22世紀 市街地
イレギュラーハンターとタイムパトロールの協定会議に一区切りがつき、エックスたちはシグナスの許可を得て短い休暇を過ごしていた。
ゼロとアイリスがかつて世話になったリングマンの自宅を訪問する一方、彼はマーティをホテルに残し、普段の青いアーマーではなく、人間とあまり変わらない私服で市街地を歩いていた。
「以前、一人で来たときは惑星旅行やらなんやらで人通りがものすごく少なかったけど、やっぱり平日だと多いな。」
彼は、そう思いながら手土産を持って集合住宅地の一室を目指す。エレベーターを降りて部屋の前に来るとエックスは、部屋のインターホンを押す。
しばらくするとドアが開き、一人の少年が顔を出した。
「はい・・・・あっ、“おじいちゃん”!?」
少年は思わず驚くが慌てて口を塞ぐ。
「・・・・じゃなくて、今は“エックスさん”って呼んだがいいかな?」
「いや、“おじいちゃん”のままでいいよ。セワシくん。」
少年に対し、エックスは苦笑をしながら答える。
この少年はセワシ。
エックスの前世・・・・つまり、野比のび太の遠い未来の子孫である。
以前は。
「それにしてもこっちに来るなんて驚いたよ。」
「ちょっと会議があってね。今日は中休みで空いたんだ。これ、お土産ね。」
エックスは、彼に買ってきた土産を手渡す。
「あ、ありがとう・・・・せっかくだから中で休んでってよ。今日、僕一人だから。」
「一人?・・・・あぁ。ドラミちゃんが今アクセルの所に行っていないからか。悪いね。」
エックスは、納得したように謝罪を言う。そして、中に入ろうとしたとき、何が起こったのかセワシの顔色が急に悪くなる。
「お、おじいちゃん・・・・」
「ん?」
「さっきから少し離れたところからすごい目つきの女の人がこっちを睨んでいるんだけど・・・・知り合い?」
「すごい目つきの女?」
エックスは、ちらっと後ろを振り向く。すると何かが慌てて隠れた。
「・・・・何ついて来ているのマーティ?」
「えっ!?何で速攻で分かったわけ!?」
悟られないように追尾してきたつもりが見破られていたことにマーティは、顔を出しながら驚く。
「誰なのあの人?」
「マーティ、俺のお嫁さんだよ。」
「えっ!?おじいちゃんの奥さん!?」
セワシは、思わず二度見する。
この世界においてロボットが人間同様に結婚するのはそこまで珍しいことではない。しかし、元先祖であるエックスの女運がないこともあって、結婚しているとは思ってもみなかった。エックスは呆れながら彼女の元へ行く。
「何でついて来たんだ?別に気分転換で出かけるって言っただけなのに。」
「だって・・・・エックス、アタシが目を離すとどこへ行くか分からないんだもん。この間みたいに寝たきりになったらと思うと怖くて・・・・・」
「この世界でそんなことは起こらないよ。それにこれはプライベートなことだからついて来ても・・・・」
「万が一ってことがあるでしょ!!」
「あの~~~~僕は別に気にしていないから大丈夫だよ。」
二人が喧嘩するのではないかと心配したのかセワシは声をかける。
「セワシくん。」
「心配してついて来てくれたんだからさ、そんなこと言ったら可哀そうだよ。」
「う、うぅ・・ん・・・」
「よかったらご一緒にどうぞ。あんまりいい場所じゃないけど。」
言われるままにエックスとマーティはセワシの家に招かれた。二人は今に案内されるとソファーに座らせてもらう。
「今、お茶淹れて来るから。少し待ってて。」
そう言うと彼は、台所の方へと向かった。
それを確認するとマーティは、立ち上がって部屋の中をキョロキョロと見回す。するとテレビの台座に彼とドラえもんが一緒に写っている写真を見つけた。
「これって・・・ドラえもんじゃないの?でも、耳があって黄色い。」
「ドラえもんは、元々彼の家族に引き取られたんだ。ロボット学校のオーディションを受けてね。」
「って、ことはエックスよりも付き合いが長いって事?」
「そんな感じかな。俺は小学校中学年の時からだけどセワシくんは赤ん坊の時からドラえもんと過ごしているんだ。だから、その絆は俺以上とも言える。」
「へえぇ・・・・じゃあ、なんでエックスの所へ来たの?」
「それは・・・・」
「それは、おじいちゃんが人生で大失敗して子孫の僕たちにまで迷惑かけていたせいだよ。」
エックスが言おうとしたところでセワシがお茶を入れて戻ってくる。
「ちょっと・・・セワシくん・・・」
「大失敗?」
「そう、結婚して自分で会社を立ち上げたところまではまだいいんだけど自分で遊んだ花火の不始末で火事になって倒産。その後は膨大な借金をして・・・・・」
セワシは、テーブルにお茶を入れると最早黒歴史と言っていいレベルでエックスの前世の本来の未来を暴露する。その話でエックスは顔を押さえながら恥ずかしがるがマーティは、表情を引きつりながらそうなんだとばかりに頷いた。
「・・・・結構、トンデモないことになっていたのね。エックスの未来。」
「それでドラえもんを過去に行かせたんだ。・・・・尤もドラえもんもドラえもんで人のこと言えないけど。」
「はははは・・・・・今更ながら恥かいています。」
三人は、それから今まで知らなかった数々のエピソードを持ち出して盛り上がる。
「それで工作の耳を修正してもらうはずが本人の耳をかじるって事態になっちゃったんだ。更に追い打ちで治療の失敗。ドラえもんの耳が無くなっちゃったのはこれが原因なんだ。」
「えぇ・・・・そんなことがあったのね。」
「体に虫が侵入してジャイアン並みの音痴になった時は本当に藁にすがる思いで呼んだっけな。その後一時、改善が見られないからドラミちゃんと交換しようって・・・・」
エックスとセワシの話をマーティは、面白そうに聞く。面白いのは本当だがそれ以外に夫である彼の意外な一面、そして、ドラえもんとの繋がりを感じられた。
そんな会話がしばらく白熱した後にエックスはあることを思い返し、話題を変えた。
「そう言えば、セワシくん。以前、初めて会ったとき『時間の流れ』について説明してくれたことがあったよね?」
「それがどうかしたの?」
「いや・・・・思っていたんだけど俺が死んだら君やノビスケが生まれなくなるはずだろう?けど、玉美が生まれたことで上書きされて大きく起こらなかった。」
「まあ・・・そうだね。僕はおじいちゃんを例に出したけどおじいちゃんがいなくなった場合もおじいちゃんの両親の中で子供がいれば釣り合うんだ。」
「けど、問題点が一つある。君は俺のこと『祖先である野比のび太』と認識できるということだよ。もし、君の先祖が玉美に入れ替わったのなら俺は『祖先の親族』程度で認識できなくなっちゃうはずだろう。」
「あぁ・・・・そういうことね。」
エックスの疑問にセワシは、なるほどと手をポンッと鳴らす。
「それは一種のタイムパラドックスによる現象だよ。例えば僕たちが過去に行かずにおじいちゃんが何らかの原因で死んじゃっておばあちゃんが代わりになったとしよう。すると飽くまでも『野比家』の血筋は変化しないから僕たちは変わったことに気づかない。」
「うん。」
「けど、僕とドラえもんはおじいちゃんに接触して交流している。その結果、おじいちゃんが死んでおばあちゃんに入れ替わってもその認識は変更されないんだ。ほら、おじいちゃんがもしもボックスで魔法の世界にしたときやヒーローマシンの妖怪たちの脱走で歴史が上書きされたにもかかわらずドラミちゃんが助けに来てくれたでしょ。」
「確かに言われてみれば・・・・もし、完全に歴史が上書きされていたらドラミちゃんどころかドラえもんもいないことになっちゃうな。」
「そういうこと。まあ、それ以上に大きな出来事になると大変なことになるんだけどね。」
「あのぉ・・・・アタシには何がなんなんだか全く分からないんだけど?」
二人の対談にマーティは、困った顔で言う。実際、それだけややこしい話なのだ。
「そっか・・・・じゃあ、より根本的な変化でなければ未来への影響は少ないのか。」
「そんなところかな。」
「・・・・・」
その話を終えるとエックスは、何故か複雑そうな顔になった。
「あれ?どうしたのエックス?そんな暗い顔になっちゃって。」
「・・・・・随分昔のことを思い出してね。」
エックスは、淹れられた紅茶を飲み干すとため息をつく。
「昔のことって何よ?」
「・・・数々の冒険の話をしただろう?ピー助を白亜紀の日本へ連れて行く冒険をしたり、魔界星に行ったり、海底旅行もした・・・・でもね、なんでもドラえもんと力を合わせて解決したわけじゃないんだ。ドラミちゃんやタイムパトロールに助けてもらったんだ。それに・・・・」
「それに」
「・・・うんうん。何でもない。そうだ、セワシくん。昔ドラえもんと来た時に見せてくれたアルバムってあるかい?」
話を無理やり中断してエックスは、セワシに聞く。アルバムと言うのはセワシたちが初めて野比家に訪れた際に見せてもらったものでそこにはのび太としての写真の記録が残されている。
「あるにはあるけどおじいちゃんが死んじゃった影響で途中からおばあちゃんの入れ替わっちゃってるよ?」
「構わないさ、帰るときに返しに来るから貸してもらえないかい?以前の自分の思い出とか見たいんだ。」
「そう言うなら別いいけど・・・・しまいっぱなしになっているからちょっと待ってて。」
セワシは、腰を起こして取りに行こうとする傍ら、表情が暗い夫の反応を見て不審に感じたマーティは、彼が何かを隠していると悟った。
「あぁ!折角だからアタシも手伝ってあげる!」
「えっ、でもお客さんだし・・・・」
「いいの!いいの!!ささっ、行きましょう!!子供一人だと大変なんだし!!」
「わ、わっ!?」
言われるがままにリビングを離れるとマーティは、書斎でアルバムを探し始めるセワシに対して小声で聞く。
「ねえ、なんでエックス途中で話しやめちゃったの?」
「えっ?」
「最近、あんな感じで悲しい顔をするのよ。理由を聞いても『昔のことだから』って濁して教えてくれなくて・・・アンタ、何か知らない?」
彼女は、人間時代の出来事に関連しているのではと考え、元子孫であるセワシなら知っていると踏んだ。しかし、当のセワシ本人は、腕を組みながら言う。
「そんなこと聞かれてもな・・・・僕はおじいちゃんとそんなに長い時間いたわけじゃないし。ドラえもんなら何か知っていると思うけど。」
期待していた答えが返ってこなかったことにマーティは、内心がっかりする。尤も知っているのは本人のみのため、仕方ないと切り替えた。
「そう・・・・じゃあ、なんか彼の心と記憶が見れる道具とか知らない?(道具ならスペアポケット使えば出せるし)」
「そうだな・・・『タイムテレビ』、『ユメテレビ』、後は『メモリー・ディスク』。確実に調べるなら『アンケーター』かな。あの道具は本人のすべての情報が見れるから。」
「結構色々あるのね。」
「あった。じゃあ、戻ろう。」
セワシと共にリビングに戻りながらマーティは、何かを考えているのであった。
21XX年 ハンターベース(鏡面世界)
「出来た~!!」
後日、届いた電子頭脳を組み込んだことで巨大メカニロイドが完成した。その大きさは明らかに人型としては異常で、かつてのファイナルシグマW並みの規模ではと思わせる。
「遂に完成したね。」
「我々の努力の結晶!」
「おっきいぃ~。」
「うっ、感動のあまり涙が出そう。」
完成に喜んでいるアクセルのすぐ隣では建造に協力したアルバイターの面子が嬉し涙をこぼしている。
そんな彼らとは反対にゲイトは機器を調節しながらコックピットブロックに移動させたアクセルに指示を出す。
「アクセル、早速初の稼働試験を入るよ。」
「OK!」
彼は足場から開いているコックピットの中へと乗り込む。中ではサポートとしてドラミが既に待機していた。
「ドラミちゃん!?」
「こっちも準備OKよ。さあ、座って。」
「う、うん。」
アクセルは、そのまま操縦席へと座る。するとハッチが締まり、内部の操縦機器が一斉に光り出し、目の前のモニターが映って外の光景が現れた。
「わあぁ・・・・かっこいい!!」
『まずは、動作確認をする。まずはベースの滑走路エリアまではこちらで組み込んだ脳波コントローラーで移動。その後は、元からある操縦桿での操縦へと切り替える。ドラミ、滑走路までは君が脳波でコントロールしてくれ。』
「ねえ、僕の出番は?」
『焦らない。アクセルの操縦は滑走路到着後だ。果たして、君に扱えるかな?』
「ムッ、言ったね。」
通信越しのゲイトのからかいに対してアクセルは、不満そうに言う。そんな彼をなだめるようにドラミが助言する。
「大丈夫よ、操縦系に関してはそこまで複雑じゃないから。練習すればできるようになるわ。」
「うん・・・・・・まあ、ライドチェイサーも練習しているうちに乗れるようになったし。何とかなるか。」
落ち着いたアクセルは正面へ向き直す。ロボットはドラミの操作でその巨大な足を一歩踏み出し、一歩一歩とハンターベースの滑走路へと歩いて行く。
「わあぁ~~!!動いた動いた~!!」
「歩いた!スーパーロボットが歩いたね!」
「マジ〇ゴー!マジ〇ゴー!!」
グラビティーマンたちは、ロボットの後をついて行く。ロボットは滑走路の中央にまでくると一旦その動きを止める。
『さあ、アクセル。ここからは君の操縦だ。まずは左右の操縦桿を握る。そして、足元のアクセ・・・・ルを踏みしめながらどちらか片方を動かしてみてくれ。』
「ゲイト・・・・名前被るのは分かるけどその言い方だと悪意を感じるから普通に言ってよ。」
『そうかい?僕はこれでも気を遣おうと思ったんだけど。』
「・・・まずは操縦レバーを持ってアクセルを踏みながらだね。」
アクセルは指示通りに操縦桿を動かす。するとロボットは、右腕を振り上げ始める。
「こっちのアクセルを踏みながら動かすと腕が動くんだ。へえぇ・・・・・ねえ、ゲイト。このロボットって腕飛ばないの?」
『はっ?急に何を言い出すんだい?』
アクセルの唐突な質問に通信越しの彼は困惑した様子で答える。
「いや、だってさ。こんなに大きいんだもん。関節部にロケットブースターとか付いていて『ロケットパンチッ!』とか言うと敵に向かって飛んでいくもんなんじゃない?」
『はあ・・・・アクセル、今は大事な稼働試験なんだ。真面目にやってくれ。それにそんな武装積んでないよ。』
「えぇ~!!」
これだけの大きさだから付いていたと思い、アクセルは残念そうな表情をする。
「じゃあ、胸の放熱板から熱線を出す『ブレ〇トファイヤー』とか」
『ない。』
「『ビームサーベル』とか『ビームライフル』」
『積んでない。』
「アンテナから冷凍光線とか」
『論外。』
「『メガ・バ〇ーカ・ラン」
『真面目にやらないと降りてもらうよ?』
「すみませんでした。」
そこからアクセルは、真面目に操縦を行う。ロボットはゆっくりと歩行を始め、徐々にスピードを上げて敷地を走り始める。ゲイトはそれを計測機で測りながらデータを正確に取る。
「ふむ、あの巨体のわりに機動力は同クラスのメカニロイド以上・・・・次はバーニアを使いながら少し飛んでみてくれ。」
『了解。』
ロボットは、背部のバックパックと客負のスラスターを使ってジャンプをする。推進力が高いのかかなりの高さまで飛んでいく。更にスラスターを調整することで短時間ではあるものの飛行することができた。
「ほう・・・・あれだけのまさか飛ぶとはねぇ。」
『ヒュ~~~!!空まで飛べるなんてこのロボットすごいよ!!このスピード、もう最高!!』
一通り飛び終えるとロボットは、逆噴射をしながらゆっくりと着地して戻ってくる。
『ねえ、次は何をすればいいの?』
「いや、今日の稼働試験は終了だ。降りていいよ。」
『えぇ~~~もう終わり?せっかく調子出てきたのに。』
「今日のノルマデータは取れたからね。続きは明日にするよ。」
『はぁ~い。』
アクセルはそのまま格納スペースに戻り、ロボットから降りる。一緒に搭乗していたドラミは少し疲れた様子だが脳波コントローラーはほとんど使用することはなかったため、そこまでではないようだ。
「すっごい、面白かった!まさか、飛行用じゃないのに空も飛べるなんてね!!」
「もう・・・・あまりはしゃいで疲れないでね。まだ、今日のノルマ終わっていないんだから。」
「そうだけどさ・・・・」
アクセルが興奮しながら鏡面世界から出て行くのを確認すると、ゲイトはデータをまとめて再度ロボットの方へ向き直る。機能停止したことで動くことはないが夕日で影かかっているせいなのか今にも動き出して自分を掴むのではないかと思える不気味さを出していた。
「明らかに戦闘目的で作られたようにしか見えない性能、武装。・・・何も起こらなければいいが。」
彼は、そう言うと鏡面世界から出て行く。
???
「はい、頭脳の誘導でパーツは全て北極に送られているはずでした。しかし、私が現場に到着した時はパーツどころか頭脳も見つかりませんでした。その場を偵察しに来たロボットに発言ではどうやら『イレギュラーハンター』と言うこの星の治安維持組織に回収されてしまったようです。現在戦闘で放棄されたと思われる施設から情報を集めていますがまだ・・・・・」
シグマの反乱で破壊されたイレギュラーハンターの基地の一つで少女がまだ機能している端末を操作しながら連絡を取っている。
『ウム、ここしばらく調査を行っていない都合前線基地を作るのに都合がいいと考えていたが・・・・迂闊だったな。』
「ジュドから発せられる脳波で場所の探知を試みましたがダメでした。地球側は我々の存在を察知するのも時間の問題かもしれません。」
『・・・・・・リルルよ。お前は引き続きその『イレギュラーハンター』とやらの組織の情報収集を行い、奴らの本部の場所を探れ。ジュドの頭脳を回収するのが最優先だ。最悪な場合、パーツごと爆破して証拠を隠滅せねばならん。』
通信先の相手の言葉にリルルと呼ばれた少女は、動揺する。
「し、しかし!」
『パーツの再送は問題ない。奪還チームとして数名を応援に寄こす。所在場所が分かり次第連絡をするのだ。それにこの作戦で犠牲が覚悟な上で志願したはずだ。分かるな?』
「・・・・了解しました。」
『では、健闘を祈る。』
通信を終えるとリルルは、再び端末を操作して情報収集を開始する。
「ジュド・・・・無事だといいんだけど。」
???
地球から遥か離れたとある銀河の惑星。
そこでは多くのロボットたちが集まり、出発準備を整えていた。
「総統閣下、果たしてあの小娘に前線基地の建設を任せてよかったのでしょうか?」
武装を積載している戦艦の艦橋で側近である副官ロボが総統ロボに心配するかのように声をかける。
「なぜそのようなことを心配する?」
「あの小娘は、ついこの間まで作業用でしかなかった民間ロボット。それに作戦に参加させたジュドもボディがなければ役に立たないスクラップ以下のポンコツ。それだけの者に作戦を任せたのはまずいかと?」
「地球のロボットはリルルのようなタイプが多い。潜入させるのは適材だ。それにジュドも単体では発声回路が備わっていない。早々、我々の計画の全貌が把握されることはあるまい。」
「ですが・・・」
副官ロボが話を続けようとしたところへ、一般兵ロボが艦橋へ入ってきた。
「申し上げます。敵対惑星の攻略を終えたネロ隊長の部隊が帰還しました。」
「何!?」
その報告を聞いて副官ロボは、目が飛び出す勢いで驚く。
「馬鹿な、あの敵対惑星の戦力からしてたかが一月で!?」
「それがネロ隊長を始めとする精鋭チームの奮闘により、敵側の攻勢が一転。うまく停戦にまで運んだ模様です。」
「あの愚連隊が・・・・」
副官ロボが口を開こうとした瞬間、彼の傍を何か巨大なものが掠った。それは、艶がある漆黒の大剣で飛んできた方を改めて見るとそこには、黒いロングコートを羽織ったヒューマンタイプのロボットが睨みつけていた。
「ネ、ネロ・・・・」
「随分と私の愚痴を叩いていたようですな、副官殿。」
ネロと呼ばれたロボットは彼の傍に歩み寄ってくると壁に突き刺さった剣を引き抜く。
「聞くところ、先ほどからリルルのことで何か仰っていたようですが・・・・何か問題でも?」
「・・・・・・」
「おぉ、ネロよ。よくぞ、戻ってきてくれた。」
怯える側近を他所に総統ロボは、信頼しているのか悠々と彼に近づく。ネロは、大剣を戻すとその場に膝をついて頭を下げる。
「お久しぶりです、総統閣下。ネロ・L、ただいま部隊と共にメカトピア星に帰還いたしました。」
「顔を上げい、そこまでする必要はない。」
総統に言われると彼は顔を上げる。
「一月に続く異星での戦闘でさぞかし、疲弊したであろう。配下たちと共にメンテナンスを受け、しばしの休息を取るがいい。」
「はっ。」
ネロは、立ち上がり艦橋を後にしようとするが出口の手前で足を止める。
「総統、リルルのことについてですが」
「今、太陽系にある『チキュウ』と言う惑星に行ってもらっている。」
「・・・・」
「心配する必要はない。仕事は、飽くまで前線基地を建設するだけだ。終わったら、こちらに戻す予定でいる。その後はお前たちの仕事だ。」
「・・・そうですか。」
そう言うと彼は、部屋を後にする。
そして、エレベーターに乗り、扉が閉まるのを確認するとネロの顔は、それまでのクールな表情から一転して不満そうな顔へと変わる。
「何故、リルルが・・・・遠征前に作戦に参加するなとあれほど言ったのに・・・・ビアンコのイカレマッドが!俺たちだけでなく、リルルの改造まで余計なことを!!」
不満をブツブツと言う彼だがそのことを知る者は誰もいない。
本作は他のロックマンシリーズからも参戦・・・・・予定。DASHと流星はないよ多分。