21XX年 ハンターベース
電子頭脳『ジュド』がワイリーと対話をしようとしている頃、ハンターベースではゲイトがコンピュータを操作しながらあるプログラムを組み立てていた。
「ふう。」
「ゲイト、いる?」
そこへエイリアが入って来た。電子頭脳強奪事件で自分を責めているのではないかと気遣って御茶を持って様子を見に来たのだ。彼女は机に盆を置くとティーカップを手渡す。
「はい、お疲れ様。」
「ありがとう。今、大事なプログラムを組んでいるところなんだ。」
彼は、一口紅茶を飲むと画面に向き直る。覗いてみるとエックスのアーマーらしきものが表示されている。
「これって・・・・エックスのアーマー?」
「あぁ、以前君が取ってくれたアルティメットアーマーのデータをベースに何か拡張することができないかどうか模索していたんだ。」
モニターと向き合いながらゲイトは、彼女に説明する。
「アルティメットアーマーは、確かに強力な性能を誇っているが集団戦、特に特殊装甲を持ったイレギュラーを相手にするのはどうしても対応が難しくなるんだ。プラズマショットや特殊武器で対応すればいいがそれだと時間がかかる。だから、素体であるこのアーマーに追加オプションを取り付けることで瞬発的火力を底上げできないかどうか試していたんだ。無論すぐ取り外せることも考えてね。」
モニターに映っているアルティメットアーマーは、両手に高火力のガトリングにキャノン砲、両肩にはミサイルポッドなどが増設され、確かに通常の物と比べて瞬間的に敵を一気に殲滅できそうな性能をしている。
「確かにこれなら一気に周囲のイレギュラーを一掃できると思うけど・・・・これだと機動性が落ちてしまうんじゃないかしら?」
「そこがこの装備の欠点なんだ。脚部にスラスターを増設して補おうとしたんだけど態勢がやや問題でね。背部に大型ブースターを付けようと考えているんだけど・・・・不格好だろ?」
「まあ、言われてみれば・・・・・ところであれっきり地下に行っていないようだけど大丈夫なの?」
「何がだい?」
ゲイトは、キョトンとした顔で言う。
「例の巨大ロボットよ。レプリフォースの人たちに見せた。」
「あ~、あれか。あれは無理だよ。」
「無理!?」
まさかの発言にエイリアは、大きく目を見開いて大声を出す。
「いくら僕でも異星の兵器を完全再現するなんて不可能だよ。」
「でも・・・向こうには建造中って見せていたじゃない。」
「表ではね。でも、考えてみてくれ。装甲材も含めて材質は地球には存在しない宇宙金属でできたロボットをこの星の技術で完全再現するなんて魔法みたいなことできると思うかい?」
「・・・・言われてみれば。」
「例え作れたとしてもそれは模倣品でオリジナルに比べて性能が劣る。それに敵は恐らくワープ航法で移動してきている。そんなことができる連中なら巨大兵器より、兵士を優先的に送ってくるはずだ。なら、ライドアーマーとかを一機でも多く優先して生産した方がいいだろう?」
「そうだけど・・・・じゃあ、あの巨大ロボットは骨組みだけで放置するの?」
彼女が心配そうに聞くとゲイトは、考えるような仕草を取る。
「そのことに関しては専門の人を呼ぶことにしているよ。」
「専門の人?」
彼にしては意外な答えにエイリアは少し驚く。
「日本のプラズマ動力炉の開発者であるタチバナ博士。丁度、宇宙開発用の巨大ロボットの開発予定だったからこっちの計画に引き抜くことにしたんだ。」
「それって迷惑なんじゃないの?」
「いや、本人も巨大ロボット開発をやりたいところだったから快諾してくれたよ。無論、武装を付けることに関しては説得するのに骨が折れたけどね。」
同じ頃、パレットは一人リルルの働いている店で一人座席でため息をついていた。
(ハア・・・・・アクセルいつ帰ってくるんだろう。)
喧嘩した一件でこれまで何度も自分から謝ろうとしたがどうしても前に進むことができず、気が付けばアクセルは任務のためにハンターベースから姿を消してしまっていた。
(なんでちゃんと謝れなかったのかな?考えてみれば私が一方的に打ち切ったも同然だし、ドラミちゃんが来てから目の敵にしていたのも・・・・なんでだろう。)
考えれば考えるほど頭の中の靄が広がっていく。彼女が不貞腐れているとリルルが注文したドリンクを持ってきてくれた。
「どうしたのパレット?最近ご機嫌斜めのようだけど。」
「あっ、リルル。ちょっとね・・・・」
アクセルほどではないが彼女もこの店を定期的に利用している。オペレーターと言う情報も既に収集済みのため、リルルは彼女からハンターベース側の情報を手に入れようと探りを入れ始める。そんなことを知らずにパレットは、最近起きた電子頭脳強奪事件、並びにアクセルが極秘任務で出撃して謝れないことを打ち明けた。
「それであんな態度取っていたの?」
「うん。だって、ドラミちゃんが教えているときは真面目にやっているのに私の時は居眠りしているのよ?それに・・・・」
「でも、アクセルも悪いと思っているんじゃない?」
「そうだけどさぁ・・・はあ、任務から帰ってきたときなんて言えばいいのか全然思いつかない。」
パレットは、頭を押さえながら言う。リルルはこのままでは情報収集にならないとと考え、思い切って大胆な作戦に出ることにした。
「あまり思いつめるのもよくないわ。この際、午後から一緒に買い物に行かない?」
「えっ?」
突然の彼女の提案にパレットは、驚く。買い物に一緒に行くのは先輩のエイリアか同期のレイヤーぐらいでそれ以外ではアクセルとしか行ったことがない。彼女は誘いに戸惑いながらも聞き返す。
「でも・・・お店の方はいいの?」
「大丈夫よ。私、午後はオフになっているから。それに友達と一緒に行った方が気が晴れるでしょ?」
「リルル・・・・」
その言葉に感激したのかパレットは嬉し涙を浮かべながら彼女の手を握る。その行為にリルルは、少し戸惑う。
「ぱ、パレット!?」
「う、うぅ。ありがとうリルル~!!友達だって言ってくれたのリルルが初めてだよ~!本当、ありがとう~!!」
「え、えぇ・・・・」
実は情報収集が目的だと言えないため、彼女は少し罪悪感を感じた。
22世紀 タイムパトロール本部
会議がひと段落し、休息時間になったゼロはアイリスと共に屋上で一服しようとしていた。
「ゼロ、お待たせ。」
市街地を眺めている彼にアイリスは、淹れてきたばかりのコーヒーを手渡す。
「すまないな、アイリス。本当はマーティとホテルでくつろいでもらってもよかったのだが。」
「いいの、私は貴方と一緒にいる時間が一番落ち着けるから。」
申し訳なさそうに言うゼロに対して彼女は、笑いながら寄り添う。屋上から見える市街地は、市民の移動で活気に溢れており、過疎化が進みつつあるシティ・アーベルと比べて一目瞭然だった。
「この世界に来るたび、俺たちの世界の人間がどれだけ地上に嫌気が差しているのか痛いほど感じるな。」
「そうね、街の復興は大分進んでいるけど地上に戻ろうとする人はあまりいないみたいよ。今進められている『ヤコブ計画』がある程度の段階まで進み次第移住をしたい人も多いって聞いたことがあるわ。」
「イレギュラーに襲われるかもしれないと言う恐怖を感じる気持ちは分からなくもない。しかし、本当に自分たちの生まれた土地を捨ててまでやることなのかと疑問に感じるな。」
ゼロは、コーヒーを口に含むと寂しそうな顔をして話す。
「人間だって、俺たちレプリロイドやロボットを作る前は同じようにどんなに荒廃しても自分たちで世界を建て直してきた。戦争や天変地異による災害に対してもな。だが、今の人間たちはどうだ?かつて自分たちにできたことを忘れ、俺たちが復興作業をしている傍らで移住計画を進めている・・・・その内大きなツケが回ってこなければいいが。」
「ゼロ・・・」
淡々と話す彼の表情を見て、アイリスは昨日の出来事を思い出したのか不安な顔になる。
「昨日のジジイの言葉が妙に引っかかってな。確かに奴は事を焦った。けれど、考えが分からないわけでもないんだ。人間が潜在的にレプリロイドを『道具』ではなく『パートナー』と認識して互いに支え合う関係を築けば、この世界のように本当の平穏が訪れるだろう。その関係を築くことができればいいが・・・・」
ゼロは、飲み終わったコーヒーカップをゴミ箱に捨てると腕を組みながらベンチに座る。
昨日の激怒したリングマンの気持ちも理解している。ワイリーのやり方は強引で結果的にあの世界のロボットと人間の関係を初期化する事態になった。
だが、かと言ってDr.ライトのやり方でもこの世界のような関係を築けると言う保証はない。それは彼自身の考える『ロボットの危険性』、『人間への安全性』からなる『ロボット三原則』を守らせようとする意識だ。
確かに『ROCKMAN』を始めとする彼の製作したロボットたちは、操られたことを除いて人間のために働いてきた。しかし、その関係は飽くまでロボット側がこのルールを守っていることで成り立っているもので人間側の意識が変わっているわけではない。そこがワイリーからしてみれば『最大の盲点』でそれで成り立つ社会が気に入らなかったのだ。
それを察したのか彼は、晩年にエックスを製作し、そのルールが本当に正しいのかどうかを自分で決めさせる『自由』を与えた。幸いなことにエックスは、人間とロボットの共存の可能性を知っていたこともあり、ルールに関係なく動き、自分を始めとするレプリロイドたちの意識に大きな影響を与えることとなった。無論、VAVAやシグマのようにイレギュラーになりながらも自分の存在を知らしめる輩がいるが。
「エックスやこの世界と接触したことで俺たちの中の『レプリロイドと人間の関係』は、変わりつつある。だが、まだ小さなことだ。人間が俺たちを『本当のパートナー』として手を取り合えるようになるにはまだまだ時間が必要だ。」
「・・・でも、私たちが積み重ねてきたことは無駄じゃないと思う。もし、政府が昔のままだったらこうやってタイムパトロールと会議することもなかったはずよ。」
アイリスは、彼の手を優しく握りながら言う。その顔を見て落ち着いたのか、ゼロは鼻で笑った。
「フッ、そうかもしれないな。そろそろまた会議だ。エックスたちの分まで聞いとかないとな。」
「フフッ、それもそうね。」
二人は、寄り添いながら屋内へと戻った。
Darkメン 地下室
同じ頃、Darkメンの地下室ではジュドとワイリーが話のやり取りをしていた。
「ほう、歌を歌うことが好きなのか?」
『う、うん・・・・でも、労働階級は歌を含めた娯楽すべてが禁止されているんだ。こっそり歌っているだけでも痛めつけられる。前に一度壊されかけた。』
「ひどいもんじゃのう~。ワシが理想としている世界には程遠い。言ってしまえば世紀末じゃな。」
『その後リルルが拾って直してくれたんだけどね。他のみんなの余分なパーツ分けてもらって。けど、少し前にようやくその制度がなくなるんだ!その代わりの労働力として人間を使うことになって僕とリルルはこの星に・・・』
「・・・・・」
『どうした?今更怖くなったのか?』
級に真剣な顔をする彼に対し、ジュドは冷やかすように言う。
『言っておくけど本当のことだからな。こうしている間にも本体の鉄人兵団はこの星へ向かおうとしているんだ。だから・・・・』
「のう、ジュドよ。お前さん、それで本当に自分たちの立場が良くなると考えておるのか?」
『えっ?』
彼の突然の問いにジュドは思わず驚きの声を出す。
『良くなるのかって、そうに決まっているじゃないか!』
「それは本心で言っていることか?」
『ウッ。』
心を見透かされたかのように彼は身震いする。ワイリーはメモを机の上に置くと呆れたのか肩を動かしながら語り始める。
「お前さんの話を聞く限り、メカトピアの歩んできた歴史とこの星の歴史は何ら変わりない。」
『どういう意味だよ?』
「立場じゃよ。人間が人間同士で争うと言う戦いの歴史をな。何故いつの時代も起こるのか、それは身分により貧富の差で起こる民衆の苛立ちと不満。そして、その民衆から搾取することしか考えん上級階層の存在があったからじゃ。口では『平等』だの、『民主主義』だのいくらでもほざけるが、長年染みついてきた差別意識はそう簡単になくなるものではない。つまり、お前さんがいくら頑張ったところで良くなるのはお前たちではなく、その総統率いる上層階級のポンコツどもじゃ。」
『そんな!?そんなこと・・・』
「お前をいたぶった上層階級の連中を思い出してみい。そんな奴らが『平等』になったからとはいえ、急に『ごめんね』と謝りに来るか?謝罪として何か贈り物でも送ってくれるのか?うん?」
『・・・・』
ワイリーの言葉に対し、ジュドは何も言えなくなってしまった。
考えてみれば制度が廃止されたとはいえ急に自分の処遇が改善されたと言ったことはなく、下層出身である自分たちが優先的にこの戦地に送られて来た。本格的な戦闘は上層階級で自分たちは基地建設さえ終われば用済みとなる。
そして、手柄を取れるのは誰か?
そう、それも前線で戦うことになる元上層階級のロボットたちだ。例え新しい労働力として人間を奴隷にしたとしても自分たちの恩赦は非常に少ない。寧ろ存在価値が失われ、消される可能性すらある。
その真実を理解したのか彼は体を震わせる。
『何が正しいのか分からなくなってきた・・・・僕はどうすればいいんだぁ~!?』
「なんじゃい、そんな浅はかな考えで志願したのか。まあ、高度な技術がありながらつい最近まで貴族制度を採用しているようじゃ、オツムは単純なんじゃろうな。」
『ひ、否定できませぇん・・・・』
一般兵士とは言え、ワイリーの言葉にジュドはションボリした声で答える。
『僕は・・・僕は一体何をしたくてこんな作戦に参加したんだろう・・・』
「単純なことじゃろ、学べばいいことよ。」
『えっ?』
困り果てた彼にワイリーは、鼻を鳴らしながら提案を出す。
「ジュド、お前は今ここで己の立場を改めて理解し、やろうとしていたことが本当に自分たちのためになるのかと考えた。そして、これから自分がどうするべきかを答えを見つけられずに悩んでおる。」
『うん。』
「お前が言った『神』とはそういうことを考えた上で『自分たちの天国を作れ』と言い残したんじゃないのか?他者を痛めつけるのではなく、労り、共に手を取り合っていける世界をな。」
『でも、その方法が分かんないよ。「人間狩り」を中止にしたらまた元に・・・』
「だからこそ、この世界で学べと言っておるんじゃ。」
『ここで!?』
「うむ、この世界はワシの理想と少し違うとはいえ『機械と人間の共存』を実現した社会で成り立っておる。そして、ワシのいた世界では異星との関係も持ち始めている。他者を踏みにじって上に立とうとすると碌な目に合わんぞ?」
淡々と話しを進めて行くが彼の後ろでシャドーマンは、困惑した顔で見守っている。
(それを言ったら懲りずに『世界征服計画』を実行に移すドクターも人のこと言えないのでは・・・・)
「とにかくじゃ、お前を本隊に帰す前にこの世界で自分たちがこれからしようとしていることがどれだけ愚かなことなのかを知れ。そして、自分たちがどうしていくのかを考えるのじゃ。」
『う・・・うん。』
妙に説得力のある言葉にジュドは、反射的に答える。
「それでよい。では、手始めにお前さんにボディを与えてやらんとな・・・えっと・・・」
「ドクター、我々の世界で別行動をしていたサードナンバーズが帰還しましたぞ。」
上から厨房の手伝いをしているシグマの声が聞こえる。扉を開けると巨大なカプセルを抱えたマグネットマンたちが入って来た。
「博士、ただいま戻りました。」
「おぉ、ご苦労。中身は?」
ワイリーが聞くと彼らは丁寧にカプセルを下ろし、中身を見せる。
「カウンターハンター基地がアチモフ一味に荒らされていたこともあって回収されたことを視野に入れていましたが奇跡的に最下層の隠し部屋には気づいていなかったようです。」
「ほう、それは良いことじゃ。」
彼は、手を摩りながらジュドの方を振り向く。
「ジュド、お前さんの仮の身体が見つかったぞ!これで『おはなしボックス』で外見をいじる手間が省けたわい。」
そのカプセルにはシグマのエンブレムと共に『χ-Kai』と書かれたネームプレートが張り付けられていた。
21XX年 シティ・アーベル市街
夕方、照明で照らされた市街地を私服姿のパレットとリルルが仲良さそうに袋を持って歩いていた。
「ありがとね、リルル。こんなに長い時間付き合ってもらっちゃって。」
「いいのよ、別に私も見て回りたいところがあったから。」
嬉しそうに笑うパレットを見ながら彼女は、返事をするものの内心では罪悪感に駆られていた。
(何でこんな息苦しいんだろう?任務で当たり前のはずなのに・・・彼女は飽くまで情報を得るための手段にすぎないはずなのに・・・)
「あっ、そう言えばリルルってどの辺に住んでいるの?よかったら送ってくよ!」
「えっ!?」
パレットの言葉にリルルは、思わず声を上げる。
「べ、別にいいよ。そんな綺麗な部屋じゃないし・・・」
「え~!でも、友達だからいいじゃん。それに私の部屋なんていっつも書類ばっかりで汚いからそんなこと気にしないよ!」
「そういう意味じゃ・・・・」
「いいの、いいの!この際だからあなたの家まで行って盛り上がりましょう!!」
困った彼女を他所にパレットは清々しい顔で言う。
仕方なく、リルルはカモフラージュを兼ねて借りている部屋へ連れて行くことにした。そこは市街の外れの少々ボロいマンションでシグマの反乱前までは多くの住民が住んでいたが現在はほとんど空き家状態となっている。
二人は、マンションに着くとエレベーターに乗って上の回へと向かう。
「へえ~!リルルってこのマンションに住んでいたんだ!」
「え、えぇ・・・・ここ、イレギュラー警戒地域に近いけどその分家賃も安くなっているから。」
本当は人目に付きにくいことで利用しやすいのが答えなのだがそんなことを言うことなく、彼女は話を合わせる。
エレベーターを降りると住人のいない空き部屋をいくつか通り抜け、リルルの借りている部屋の前に着く。
「ここが私の部屋。と言っても最近ここに住み始めたばかりだから何も置いていないの。ほとんど寝泊まりする程度しか使っていないから。」
彼女は、そう言いながら部屋の電子ロックを解除して中に入ろうとする。
『に、に・・・・・ににに・・・・』
「!?」
しかし、誰もいないはずの部屋から不気味な声が聞こえてきた。リルルは、突然のことに後ずさる。
「リルル、どうしたの?急に止まっちゃって。」
パレットは気づいていないのか不思議そうに彼女を見る。
「部屋に誰かいる!?」
「えっ?」
緊張した顔をするリルルの言葉を聞いて彼女は中を覗いてみる。
「・・・誰もいないわよ?」
「そんな馬鹿な・・・」
納得いかない様子で部屋の照明をつけてみる。確かにそこには誰もおらず、部屋の窓が割られて侵入されたような形跡も見当たらない。
「おかしいわね・・・」
リルルは、部屋を見渡しながら困惑する。
「リルル、疲れているんだよ。私が知っている限り、いっつもバイトしていたからきっとそうよ。」
パレットは、お構いなしにドアを閉めるとそのまま部屋の中へと入る。少しボロが出ていた外と違い、部屋の中はまだ新築に見えるほどきれいだった。
「へえ、流石元高級マンションだけのことはあるわね。ハンターベースの部屋とは大違い!私も貯金ある程度溜まったらここに引っ越そうかな~。」
彼女は、袋から買ってきた飲み物とお菓子を取り出しながら話していると背後から徐々に何かがクッキリと写り始める。
「パレット、後ろ!!」
「へっ?後ろ?」
リルルに言われて彼女が後ろを振り向くと
『ニイイイイイイイィイイイ~~~~~!!!』
「「きゃあああああああああ!!!」」
その日、ほとんど人が通らない市街地の外れのマンションで叫び声が響き渡った。
何に汚染されていたかお分かりですかな?