ドラえもん のび太の転生ロックマンX   作:赤バンブル

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色々視点が変わりすぎて大変。

外伝作品からあるキャラが登場。


疑惑と胸騒ぎ

21XX年 鏡面世界 メカトピア軍前線基地

 

敵の基地に潜伏しているアクセルは、作業終了時間で作業ロボットたちが宿舎に戻っていく中、一人『整備不良だからメンテナンスしてもらいに行く』と言って今まで入ったことがない通信部へと乗り込んでいた。

 

(・・・・よし、思っていたよりも人がいなくて簡単に忍び込めた。)

 

彼は、周囲に誰もいないか確認しながら進んでいく。監視カメラにも気を配りながら調子が悪そうにメンテナンスルームの方へと行き、そこから密かに通信室の方へと歩み寄った。しかし、運悪く誰か作業をしているようだった。

 

(ちぇ、誰かいる。せっかくここまで来れたのになぁ。待っていてもここにいたら怪しまれるし・・・・ん?)

 

アクセルは、通信室の奥の席で作業をしている人影を凝視する。それは何かデータをまとめているリルルことパレットの姿だった。当然、彼女の中身が変わったことは知る由もない。

 

(リルル?何でこんなところに?・・・・!もしかして、敵のスパイ?だから、ここに・・)

 

姿を見るなり、アクセルは直感で彼女がメカトピア側のスパイだと悟った。ショックを受けている彼の存在に気づかず、パレットは情報をまとめたファイルを圧縮してメールで送信しようとする。

 

「このくらいの圧縮レベルなら普通に送信してもバレない。エイリア先輩ならこのくらい復元して気づいてくれるはず。」

 

彼女は、それをハンターベースのエイリアの所へ送信する。同時に情報収集などの経歴をすべて削除し、何の痕跡も残らないように処理をしておいた。これでこの基地から情報が発信したことはバレない。

 

「エイリア先輩、気づいて・・・・でも、先輩メールなんて見るのかな。忙しいときは目もくれないかも・・・・」

 

「おい、リルル。こんなところにいたのか?」

 

「!?」

 

後ろからの声にパレットは、ビクッと反応する。振り向くとそこにはグランドマンと頬を膨らませたバブルマンが来ていた。

 

「え、えっと・・・」

 

「まだ寝てなくちゃダメプよ!また、どっかで倒れたら大変なことになるプク!!」

 

バブルマンは、怒ったような表情で言うが元々がかわいらしい外見だったこともあってそこまで迫力がない。

 

「リルルよぉ、お前が頑張っているのはもう本国に言っておいたからもう少し寝てろ。お前の兄貴が来た時にフラフラの状態で出てきたりなんかしたら俺たちが屑鉄にされちまう。」

 

「え、でも・・・・」

 

「基地は俺とバブルでなんとかなるから。お前は休んでこの世界と人間共のいる世界の入り口を増やす方法でも考えてくれ。流石にあの小さい釣堀から一人ずつ入ってくださいじゃ洒落にならねえし。なっ?」

 

誤魔化す前にこの場にいないネロの怒りを買うのが余程嫌なのか二人は、彼女を押すようにその場から連れ去っていく。その様子を物陰から見届けるとアクセルは、通信機器をいじり目ぼしい情報を得ようと動く。

 

「まさか、リルルがこの基地の奴らの仲間だったなんて・・・確かに僕の話を興味深そうに聞いていたから変だなとは思っていたけど・・・」

 

彼は、とりあえずファイルのいくつかを持ってきた端末にダウンロードし、その場から逃げるように退散する。

 

(これで少しでも敵に関する情報が得られればいいけど・・・・でも、あのリルルなんか雰囲気が違う気がするな。)

 

彼女の中身が自分の仲間に入れ替わっているということを気づくことなく、アクセルはそのまま宿舎へと引き返した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

未来デパート 屋上

 

屋上にあるビアガーデン。

 

休日と言うこともあり、いつもは大人の団体で利用されることが多いこの場が今日は家族連れで賑わっていた。

 

その中でクワンガーは、特に焦る様子もなく注文を取るやすぐに客に提供する早業を披露していた。

 

「では、ご家族様揃ってごゆっくり。」

 

彼は、注文の品を並べて軽くお辞儀するとまた厨房の方へと戻っていく。すると丁度同僚の女性型ネコ型ロボットが声をかけてきた。

 

「クワンガーさん、ちょっと・・・」

 

彼女に声をかけられてクワンガーは動きを止める。

 

「どうしましたか、ベルさん。お客と何かトラブルでも?」

 

「いいえ。今、貴方に用事がある人たちが訪ねてきたのよ。」

 

その言葉に彼は、一瞬眉間を動かす。

 

「私に?はて、恨みを買うような客を相手にした記憶はありませんが。」

 

「急ぎの用で来たようだから早めに対応した方がいいわよ。今、混んでるし。」

 

ベルに言われ、クワンガーは渋々屋上の出口の方へ行くとそこにはゼロたちの姿があった。

 

「おやおや、まさか貴方たちがこちらに来るとは・・・エックスから教えてもらったようですね。」

 

呆れた顔で彼は、頭を押さえながら言うが同時に周囲に人がいないかを確認する。

 

ゼロがパートナーであるアイリスのみを連れて自分を訪れるのは何か引っかかる。もしや、自分を捕らえるためにタイムパトロール隊員たちに周囲を取り囲ませているのかもしれない。

 

しかし、その疑問を先に当の本人が解いた。

 

「心配するな、俺たち以外誰も来ていない。少なくとも今のお前は敵ではないようだからな。」

 

「ほう?イレギュラーに情けをかけない貴方にしては随分優しいですね。どういう風の吹き回しで?」

 

「お前が騒ぎさえ起こさなければ俺たちは何もしない。だが、どうしても確認したいことがある。」

 

「確認したいこと?」

 

「数日前、俺たちの世界のハンター本部から重要機密として保管していたあるメカニロイドが盗まれた。その現場にお前とヴァジュリーラの姿が確認された。」

 

ゼロは、電子端末を彼に手渡し映像を確認させる。自分の姿が映っていることにクワンガーは、少々驚く。

 

「おやっ、おかしいですね。私が最後にタイムマシンを利用したのはこの時間帯ではないはずなのですが。」

 

「やはり、お前じゃないのか?」

 

「残念ながら存じませんね。それにヴァジュリーラはエックスのことに執着して相手をするのが大変ですから私は最近彼と組むのはやめているんですよ。」

 

「・・・・」

 

様子を見る限り嘘をついているわけではないようだ。

 

ハンターベースを襲ったのが彼ではないと確信を得たが同時にゼロは、あることを思い出す。それは一味のリーダーを務めているであろう自分のコピーの存在だ。

 

「もう一人の俺とは連絡取り合っていないのか?仲間なんだろう?」

 

「そうですね、定期連絡は受け答えしてますが基本的にこちらから連絡をすることはありませんね。」

 

「・・・・そうか、邪魔をしてすまなかったな。」

 

彼はそう言うとアイリスとともにエレベーターに乗って屋上を後にする。エレベーターの中でゼロは、腕を組みながら電子頭脳の行方を考え始める。

 

(コピーが道具でクワンガーに変身してヴァジュリーラと共に強奪した考えれば戦闘をほとんどせず離脱したのは納得できる。しかし、俺たちですら詳細が分からなかったあの頭脳を奴が奪う理由が欠けるな。俺と同じタイプだから、アチモフのように研究素材として奪うとは考えづらい。)

 

するとまた脳裏につい最近会った生みの親の顔が浮かび上がる。慌てて消そうとするもどうしても可能性を捨てきれなかった。

 

頭を抱えるゼロの姿を見てアイリスは、心配して声をかける。

 

「ゼロ、大丈夫?」

 

「あぁ・・・どうも俺の中じゃ犯人の候補にジジイが挙がってしまうんだ。参ったな。」

 

彼女に対し、ゼロは苦笑いして答える。ワイリーが犯人候補に挙がるのは過去の行いの都合、仕方のないことである。

 

「じゃあ、会って確認する?」

 

アイリスは、その誤解を解くために会うことを提案する。少なくとも今のワイリーは嘘をついているようなところは見られないため、返事だけでももらえれば幾分かマシになるはず。しかし、ゼロは首を横に振る。

 

「いや、今の時間から見てダークマンたちが店を開いて混んでいる。流石に客たちの目の前で喧嘩なんかになったら風評被害もいいところだ。ホテルに戻って荷物をまとめて、夕方になってから改めて訪問しよう。」

 

「ゼロ・・・」

 

「正直疑いたくない気持ちもあるがアイツは、過去に散々人のことを騙してきたからな。夕方ならエックスの方も手が空いているはずだ。合流して問い詰める。」

 

彼は、顔を顰めながらエレベーターを降りる。これでも最大限の温情をかけているつもりだ。

 

「・・・ジジイの奴、大人しくしてくれればいいんだが。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

市街地 市場の大型駐車場

 

シグマに引っ張られるような形で付き添うことになったジュドは、トラックで市街地にある市場に連れて来られたかと思えば荷物持ちとして行動することになり、ほぼ全ての仕入れが終わった頃には疲れた顔で駐車場に戻ってきていた。

 

「ハア~~いきなり、連れて来られたと思ったらまさか荷物持ちをやらされるなんて・・・アイツ、人遣いが荒いんじゃないのか?今の僕は土木作業用の身体じゃないんだぞ・・・・」

 

そう言いながらブロックにしゃがんでいると最後の仕入れを終えたシグマが疲れた彼に何かを投げてくる。

 

「うわっ!?」

 

彼は、それを慌てて受け止める。見るとこちらでは珍しいE缶だった。

 

「ご苦労だったな、初めての仕入れでかなり疲れただろう。それでリフレッシュするといい。」

 

「あ、ありがとう・・・」

 

ジュドは、缶の蓋を開けて勢いよく飲む。シグマは彼の隣に座ると自分も開けて飲み始めた。

 

「プハッ!なんか一気に疲れが吹っ飛ぶ!!」

 

「こちらの世界のE缶は、外見を残して中身は別物となっているからな。エネルギーを補充すると同時に疲労感を消すには丁度いい代物へと変わっている。」

 

二人は一服終えるとトラックを走らせ、『Darkメン』へと引き返す。

 

「・・・少しが気が晴れたか?」

 

「えっ?」

 

運転しているシグマの言葉にジュドは、驚く。

 

「お前が何か悩んでいるように見えたのでな。」

 

「・・・・なんか胸騒ぎがするんだ。リルルの身に何か起こったんじゃないかって。」

 

ジュドは、暗い顔をしながら語り出す。

 

「最初は気のせいかなと考えていたんだけど今朝もよく分からない・・・こう、彼女が何か大変なことに巻き込まれているような感じがしてならないんだ。単なる思い過ごしかも知れないけど。」

 

「フム、イレギュラーハンターに捕らえられたとしても奴らがそれほどひどい拷問をするとは考えられんが。」

 

シグマは、彼の言うことを馬鹿にすることなく真面目に考える。総監であるシグナスたちはエックスと共にこの場に来ているし、他のハンターたちが異星のスパイとは言え拷問をするほどの輩ではない。唯一別のやり口でやりかねないゲイトもエイリアが目を光らせているため可能性は低い。

 

留置場で収監されているイレギュラーたちにいじめられるということもないため、ハンター側が彼女を痛めつける理由はない。

 

「・・・」

 

「どうしたんだ?」

 

考え込む彼に対し、ジュドは少し心配になってくる。

 

「・・・まさかだとは思うが奴らの活動を考えると有り得なくもないな。」

 

「何がだよ!?」

 

「いや、こちらの考えだ。その件についてはドクターに確認を入れてもらう。心配することはない。」

 

そう言うとシグマは運転席のカメラを確認しながら店の格納庫へ荷台を付ける。ジュドは、そのまま荷物をいくつか持って厨房の方へと戻る。荷物を待機していたメットールとスナイパージョーたちと共に運びながらシグマは、彼に教えなかった一つの仮説を呟く。

 

「・・・アチモフ一味。奴らなら拷問なりする可能性はなくもない。だが、情報を知ったとして奴らに有益なものがあるとは思えんが・・・・一応ドクターの耳に入れておくか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

メカトピア星 軍本部

 

その頃、鉄人兵団の第一陣がついに地球に向けて出発しようとしていた。

 

「総統閣下、間もなく地球に向けて部隊の第一陣がワープを開始します。」

 

ビアンコと別れたネロは、軍上層部の方へと戻り第一陣として出発することを報告する。玉座に座つている総統は席を立ち、彼の前までくる。

 

「地球はこれまでの戦地とは違い、何が起こるか分からぬ星だ。細心の注意を払え。」

 

「ハッ。」

 

「我々本隊は第二陣で合流する予定だ。お前たち第一陣は基地へ到着した後、状況確認並びに我々の迎え入れの準備を整えてほしい。」

 

「承知しております。」

 

その瞬間、彼の表情を曇らせるがその答えが分かっているため総統は続けて言う。

 

「リルルのことに関してはお前に任せる。お前が到着次第、本星への帰還・待機をさせても構わん。」

 

「ありがとうございます。では、出発します。」

 

ネロが去ると今まで彼の背後で沈黙を守っていた副官ロボットは、目を細めながら総統に告げ口をする。

 

「総統、本当にあの男に第一陣を任せてよろしいかったのですか?他にも任せられる人材がいると私は思うのですが・・・」

 

「お前は相変わらず、旧制度の偏見が抜けておらんな。だから、奴にあまりいい目で見られておらんのだぞ。」

 

彼の一言で副官ロボットは、動揺する。

 

「いえ・・・私は別にそのようなつもりで・・・」

 

「なら、別に構わんだろ。・・・っで、ビアンコの様子はどうなっている?」

 

「はあ、偵察に行った者たちの証言なのですがどうも昔の研究所で日々何かを研究しているようで・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

21XX年 ハンターベース

 

今日もハンターベースでは、巨大ロボットのテストが行われていた。

 

「今日は、安定しているな。」

 

搭乗者がA級から特A級に移行し、飛行テストは問題なく進んでいるようだった。戦闘機状態の三機を見つめながらタチバナ博士は、目を細めて様子を窺いながら次の指示を傍で測定している助手二人に仰ぐ。

 

「次は合体テストだ。前回は、NEO1だったが今回はNEO2へチェンジを行い、高速飛行でどれだけ早く動けるか試したい。」

 

「了解だニャン。」

 

「こちら、Dr.ポチ。これから合体テストを行うワン。今回はNEO2へのチェンジを実行、そのまま高速移動のデータ取りに移るワン。どうぞ。」

 

 

 

 

 

上空では通信を受け取り、一号機が先頭から最後尾へと移動する。

 

「イーグル、最後尾へ移った。ジャガー、問題はないか?」

 

テストパイロットとして搭乗しているイーグリードは先頭へ移動した戦闘機のハンターに通信を入れる。

 

『こちら、ジャガー・・・・問題はない。合体いつでも可能だ。』

 

「大丈夫か、シャドウ?顔色があまり良くないぞ。」

 

モニター越しで映る鎧武者のような姿のレプリロイドに対し、彼は心配そうに声をかける。

 

『も・・・問題ない!俺とて特A級ハンターだ。このくらいのことで・・・・』

 

「・・・まあ、あまり無理をするな。俺たちだってかなり効いているんだからな。ビートブード、お前の方は?」

 

映像を切り替え、今度は三号機に乗り込んでいるビートブードへと移り変わる。

 

『問題なし。けど、やっぱり体が合わないから結構窮屈だなぁ。何とかならないもんかね。』

 

「まあ、人型が多いA級と違って俺たち特A級は非人型のタイプがほとんどだからな。その辺は何とも言えないさ。」

 

『エックス隊長たちが帰ってきたらやっぱり乗るのかな?』

 

「恐らくな。無駄話はこの辺にしておいてそろそろ始めるぞ。シャドウ、合体フォーメーション2!」

 

『フォーメーション2!』

 

先頭の二号機が反転し、後方のビートブードが搭乗している三号機がそのまま合体する。

 

『ジャガー、ベア合体完了。』

 

「了解だ。イーグル、タイミングを計って合体する。」

 

一号機が計器と目の前の状況を確認しながら徐々に近づいて行く。

 

「5、4、3、2、1・・・・」

 

一号機はズレることなく、二機と合体した。すると変形を始め、マックたちがやった時とは違う細身のボディに両腕にドリルを付けたようなロボットへとなる。その様子を見て地上の観測組は大喜びだった。

 

「大成功だニャン!」

 

「今までNEO1の合体が精一杯だったのがやっと別の姿へのチェンジに成功したんだワン!」

 

Dr.タマとDr.ポチは、お互い抱き合いながら喜ぶ。合体が成功したのを見てタチバナ博士も安堵の表情を浮かべる。

 

「シャドウ君、次は高速飛行のテストだ。どこまでのスピードが出せるか見たい。」

 

『りょ、了解・・・・・・・』

 

通信先のシャドウの返事が芳しくないことに彼は、眉を顰める。

 

「どうした?何か具合でも・・・」

 

『な、何でもありません!テストに移ります!!』

 

答えると同時にロボットは、背部と脚部のバーニアを吹かして勢いよく上空を高速飛行始める。

 

「移動速度上昇中、マッハ2、マッハ3・・・・」

 

「まだまだ上がってるニャン!これならシミュレーターで出たマッハ7以上を達成できるニャン!」

 

「・・・・」

 

助手二人が悠々とデータを取っている中、タチバナ博士は表情を曇らせる。

 

 

 

 

上空ではロボットが今だに速度を上げながら飛行を続けていた。

 

「マッサ6・・・・マッハ7・・・マッハ8・・・・流石にこれ以上はまずいんじゃないかな?」

 

どんどん速度が上がっていくことにビートブードは、不安になってくる。それは一号機に乗っているイーグリードも同じだった。

 

「これ以上速度を上げ続けると機体より俺たちの身体が持ちそうにないな。シャドウ、もういい。スピードを落とすんだ。」

 

彼は、通信でメインパイロットであるシャドウに呼びかけるが応答がない。

 

「シャドウ?どうしたシャドウ、応答しろ!?」

 

慌ててモニターを二号機の方に切り替える。すると目の焦点が合わないシャドウの姿が映った。

 

『ウグググ・・・グウ・・・』

 

「シャドウ!?」

 

彼の顔を見てイーグリードは、一瞬動揺してしまうがすぐに我に返り、緊急停止ボタンを押す。するとロボットのスピードは急速に減速、大気圏を突破するのではないかと言う寸前で止まる。

 

『ハア、ハア!ハア!!』

 

止まったことでシャドウはようやくGから解放されて息を荒くする。ロボットは、自動操縦に切り替わったのかゆっくりと降下を始め、ハンターベースを目指して行く。

 

「・・・シャドウ。」

 

『ハアハア・・・すまない!今のは急速に速度を上げたせいで体が追い付いていなかったんだ!だから・・』

 

「もういい、今日のテストは終了だ。引き上げるぞ。」

 

『そ、そんな!?俺はまだ・・・・』

 

「その様子で言い張れるのか?」

 

『・・・・・』

 

「俺たちハンターだって適格、不適格なものがあるんだ。行くぞ。」

 

『・・・あぁ。』

 

イーグリードの指摘で彼は反論することなくぐったりとした顔で返事をする。ある程度の高度に降下するとロボットは元の戦闘機に分離し、それぞれ飛んで行く。

 

三機が戻って来た時、異常を把握していたのかタチバナ博士たちは、ホッとした顔で出迎えた。

 

「よく無事に戻ってきてくれた三人とも。」

 

「推定速度を超えた時は一時どうなるかと思って心配してたんだワン。」

 

「いや、よかったよかった。三人とも無事でよかったんだニャン。」

 

そんな彼らとは正反対に三人は、浮かない顔をしていた。

 

「・・・・博士、誠に申し訳ありませんが」

 

「やはり、君たちも降りるか。」

 

「そ、そんな!?」

 

パイロットを降りることを告げようとするイーグリードに対し、シャドウは二人の間に割って入る。

 

「俺はまだ降りるとは言っていない!!」

 

「飛行テストで伸びていたのにか?」

 

「うっ・・・」

 

「シャドウ君、私は別に無理をしてパイロットになってほしいとは考えていない。君たちイレギュラーハンターは本来イレギュラーを取り締まるのが仕事だ。この機体に無理して乗って戦ってほしいとは思っていない。」

 

タチバナ博士は、落ち着かせるように話すがシャドウの動揺はむしろ悪化していく。

 

「俺は、志願してこの機体に乗ることを選んだんだ!それを・・・」

 

「まあ、落ち着いて。」

 

そんな彼をビートブードは押さえる。そして、事態を察したのか数名のライフセーバーたちが彼の方へと駆けつけ、無理やりメディカルルームへと連行して行った。

 

「・・・彼は、最近ギカンティスから本部へ招集されたばかりのハンターなんです。向こうでは優秀な方だったからこちらでも見劣りしないように必死になっているんですよ。」

 

「あの例の人工島か。そう言えば新種の鉱石が発見されて研究施設が増設されていると聞いていたね。」

 

「はい、彼はその施設で作られたレプリロイドの一人。故郷の恥をかかないように努めているんですよ。」

 

「・・・それが誤った方向へ行かなければいいが。」

 

二人は、連れて行かれるシャドウを遠目で見送る。

 

「・・・とりあえず、彼は3号機の候補として保留にしておいてください。あの機体なら他の二機と比べて加速にかかる負担もまだ軽度ですみます。」

 

「・・・フウ、分かった。残りの候補者も少ない。自ら志願するというのなら無理に突き放すようなことはせんよ。」

 

「ありがとうございます。」

 

二人が話を終えると同時に現場にティルがやって来た。

 

「イーグリード、まだここにいたの。」

 

「ティル?どうしたんだ、こっちに来るなんて。」

 

「体に相当のGが掛かったでしょ?異常が起こっていないかどうか診てもらわないと。」

 

「俺は何ともないが・・・・」

 

「ダメ!そんなこと言って後でおかしくでもなったりしたら大変なんだから。」

 

ティルは、彼の手を掴むとそのまま本部の中へと引っ張っていく。

 

「お、おい・・・・」

 

二人が去っていくのを見届けるとタチバナ博士は、格納庫へと運ばれて行く三機を見ながら複雑な心境になる。

 

「・・・残りの候補者も少ない。果たしてこの機体に乗れる人材は見つかるだろうか?敵が来る前に。」

 

彼は、頭を押さえて後を追うように整備のために格納庫へと入る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、司令室ではエイリアが頭を抱えていた。

 

「一体何が入るのかしら・・・・」

 

デスクに付きながら彼女は、ため息をしていると休憩を終えたレイヤーが戻ってくる。

 

「ただいま戻りました。」

 

「あぁ、レイヤー。貴方、これが分かる?」

 

「はい?」

 

突然の質問にレイヤーは思わず目を丸くする。エイリアのパソコンを覗くと何やらメールが届いていた。

 

「誰かからメールが届いたんだけど、ロックが掛けられていて開けないのよ。」

 

「はあ・・・」

 

席を譲ってもらい、彼女は解除コードの枠を見てみる。そこには虫食い状態のようなものになっており、一見すると何を意味しているのか見当がつかない。

 

「これは・・・・・もしかするとパレットのものかも。」

 

「パレットの!?」

 

「はい、訓練学校時代に彼女が遊び半分でやっていた暗号コードです。大半が武器やライドアーマーの名前を使っているので意外に解くのは簡単だと思います。」

 

レイヤーは、虫食い個所に文字を打ち込んでいく。全部埋めるとピッーと言う音が出ると同時にロックが外れ、中の圧縮ファイルが開けるようになった。

 

「圧縮されているせいで何のデータか分かりませんね。復元しても構いませんか?」

 

「いいわよ。」

 

エイリアの承認を得ると彼女は圧縮ファイルを解凍し、データを復元する。すると画面いっぱいにファイルが表示された。

 

「えっ!?何、このファイルの量は!?」

 

レイヤーに席を返してもらうとエイリアは、手早く整理する。すると、そこには鉄人兵団による『人間奴隷化計画』の全貌が可能な限りまとめられていた。

 

「これって・・・まさか、パレット。敵に捕まっているというの?」

 

彼女は、他にメッセージがないかどうかを探してみるが見つからない。しかし、このメールがパレットが送ってきたことは間違いないようだ。

 

「パレット・・・・」

 

「これはまずいことになったわね。レイヤー、研究棟に連絡して北極にいるスカルマンを呼び戻して!彼ならタイムパトロール経由でシグナスたちと連絡が取れるはず!急いで!」

 

「は、はい!」

 

レイヤーは、急いで自分の席に座って通信を行う。エイリアは送られてきたデータを再度閲覧し、エックスたちが戻り次第すぐに報告ができるように調べ始める。

 

「パレット・・・無事でいてちょうだい。潜入しているアクセルが見つけてくれればいいんだけど・・・・」

 

 

 




シャドウのハンターランクって公式では何級なんだろう・・・
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