ドラえもん のび太の転生ロックマンX   作:赤バンブル

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今回は早く纏められたので投下!


恐るべき陰謀

22世紀 市街地

 

「ケッ、黒一色とは趣味があうじゃねえか!!」

 

戦闘形態になったジュドに対して、ビストレオは口に入った破片を吐き出して皮肉を言う。だが、当の本人は変わった自分の姿に戸惑っていた。

 

「これが・・・僕のもうひとつの姿・・・」

 

外見の変化に驚いているものの向こうはエックスがようやく本気になったと勘違いしている。

 

「久しぶりの戦いだ。楽しませてくれよ!!」

 

ビストレオは、しゃがんだかと思いきや勢いをつけて飛び掛かってくる。ジュドは、脚部のダッシュ機能で避けようとするが止まることができず、そのままビルの壁にぶつかってしまう。

 

「ブヘ!?」

 

「?」

 

自分から壁に衝突した彼の姿を見て彼は、『えっ?』とでも言いたいような顔でポカーンとする。ジュドは、顔を押さえながら戻って来た。

 

「う、動きが速い・・・・」

 

「おいおいおい・・・なんだ、今の情けねえぶつかり方は?平和ボケして弛んじまったのか?」

 

ビストレオは、困惑しながらも口を開いて襲い掛かる。今度は右腕をバスターに変形させてチャージショットを撃とうとするが反動の強さで撃つと同時に後ろに転んでしまった。

 

「アタタタ・・・・」

 

頭を強く打ってジュドは、痛さのあまりに両手で押さえる。一方のビストレオはやる気を感じない彼の戦い方に関して苛立ち始めていた。

 

「てめえ・・・わざとやってんじゃねえだろうな?素人みたいな戦い方しやがって。」

 

「だって、この体に使い方慣れていないんだもん。」

 

ジュドは、困った顔で本音を言うがビストレオには言い訳にしか聞こえない。彼は爪で近接攻撃をし始め、身体はどんどん傷だらけになっていく。

 

「うわぁ~どうやればうまく戦えるんだ!?」

 

「この野郎、意味の分からねえことばかり言いやがって!」

 

何ともしょうもない鬼ごっこが始まり、ビストレオは彼を必死に追いかける。対するジュドは、何とか攻撃しようと試みるが元々ワイリーが対エックス戦を想定したこともあって出力の調整がうまくいかず、反動で自分もダメージを受けてしまう。

 

「ワイリ~~~なんでもっと戦いやすいように調整してくれなかったんだよ~。」

 

「ゴチャゴチャうるせえ!!」

 

「うわっ!!」

 

後ろから思いっきり蹴りつけられてジュドは、その場に倒れる。さらに上から足で押さえつけられたことで逃げることができなくなった。

 

「手こずらせやがって・・・・おかげで随分時間が掛かっちまったじゃねえか。」

 

ビストレオは、リルルを言いた場所に目をやる。幸い彼女は気絶したままで逃げ出す様子はない。

 

「さてと、本当ならジリジリ痛めつけてから破壊してやりたいところだがあまり時間をかけるとゼロに怒られちまうからな。一思いに動力部を抉って楽に逝かせてやるぜ。」

 

「ひぃ~ん~!!」

 

彼は、爪にビームを纏わせて彼を突き刺そうとする。

 

「あばよ、エックス!」

 

止めを刺されそうになる瞬間、ジュドは目を閉じる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「チャージウイルレーザー!!」

 

「ギャースッ!!」

 

次の瞬間、極太のレーザーが直撃してビストレオは、少し離れた瓦礫の山へと飛ばされる。顔を上げてレーザーが飛んできた方を見るとグライドアーマーを纏ったエックスが飛んできた。

 

「エックス・・・」

 

「大丈夫か?カイ・・・いや、ジュドと呼んだ方がいいかな。」

 

エックスは、彼を起こす。一方、がれきから出てきたビストレオは目の前にエックスが現れたことで驚いていた。

 

「なっ!?エックスが二人だとっ!?何がどうなっていやがんだ!?」

 

さらに遅れてゼロたちが連絡を受けて駆けつけてきたタイムパトロール隊員たちを引き連れて現場に合流する。一機多勢になったことで戦況は一気に不利になった。

 

「やばいぜ・・・・おい、ゼロ聞こえるか?」

 

『どうした?』

 

流石の戦闘狂であるビストレオもこれには敵わないと悟り、ブラックゼロに連絡を入れる。

 

「女は連れ戻せなかった。タイムパトロールにも囲まれそうだし、引き上げていいか?」

 

『・・・・仕方あるまい。まあ、奴がいくら助けを求めようが侵略者側に協力するわけがないから問題もないだろう。さっさと引き上げろ。』

 

「お、おう!」

 

許可をもらうと彼は、高くジャンプしてビルの壁によじ登り、そのまま姿を消した。敵が完全に撤収したのを見届けるとゼロは、傷だらけのジュドの方へと駆け寄る。

 

「おい、大丈夫か?」

 

「平気。でも、リルルの方が・・・・」

 

彼は、倒れている彼女に指を指す。

 

「パレット?」

 

「何でアイツがここにいるんだ?」

 

「怪我をしているんだ。その・・・・傷の手当てを・・・・」

 

ジュドは、手当てを頼もうとするが自分たちの正体が知られたことで果たして応じてくれるかどうか不安になった。寧ろメモリーを残して解体されてしまうのかもしれない。しかし、ゼロは彼の顔を見て頷くと倒れているリルルを抱きあげてタイムパトロールに引き渡す。

 

「これからタイムパトロール本部へ連れて行く。お前も一緒に来い。」

 

「うん・・・・・」

 

「大丈夫だよ、別に手荒なことはしない。だけど、質問には答えてもらうよ。いいね?」

 

表情を曇らせるジュドに対し、エックスは優しく声をかける。彼は、理解したのかそのままパトカーへと乗ってその場を去った。

 

ゼロは、一緒に連れてきたワイリーたちを軽く睨みつける。

 

「ジジイ、正直に話したから大目には見てやるがアンタにも来てもらうぞ。」

 

「ここまで来たんじゃ言うしかあるまい。まあ、どの道ワシもお前たちと話さなければならんことは考えておったわ。・・・・・・でも、流石にこの仕打ちはひどくないか?」

 

彼は、自分の身体に巻かれている無数のロープを見て寂しそうにつぶやいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

メカトピア星 軍本部

 

ネロ率いる第一陣が発って、数日後。

 

今度は、総統を含める第二陣が後を追うように準備を進めていた。

 

「大型兵器の積み込みはどうなっている?」

 

「はい、現在稼働できる部隊を初めに全機いつでも動かせます。」

 

旗艦の艦橋で副官の報告を聞きながら総統は、ここから見える街並みを見る。

 

「聞いた話によるとチキュウと言う星は非常に美しいと言っていたな。」

 

「えぇ、リルルたちが送って来た映像のみですが見る限りこの星の最盛期並ではないかと。」

 

そう聞くと彼は、小さくため息をつく。

 

「戦時中と比べれば大分改善されたがこの星はひどく汚れておる。度重なる戦争もそうだが、都市の機械化に伴い環境汚染が深刻となり、この星は最盛期とは似ても似つかないものとなってしまった。」

 

「チキュウの人間奴隷狩り成功の暁には、観光地として利用したいところですな。」

 

「うむ。・・・・ところでビアンコの所へ送った諜報員たちは?」

 

総統の言葉を聞いた瞬間、副官は少し苦い顔をする。

 

「それが・・・何の連絡をしてこないのです。」

 

「なに?」

 

「研究所に到着したところまでは報告があったのですが、そこから先は・・・・・」

 

副官が不満そうな顔で話をしているところへ一般兵ロボットが慌ただしく入って来た。

 

「報告します!諜報部隊が戻ってきました。」

 

「何ッ!?今頃!?」

 

突然の帰還に彼は、驚きの声を上げる。諜報部隊は遅れてドアを開けて入って来た。

 

「「「「「「・・・・・・」」」」」」

 

「お前たち、今まで何故報告もせず黙っていたのだ!?」

 

副官は、腹を立てながら怒鳴りつける。しかし、彼らの反応は微妙で聞いているのか怪しいぐらい静かだった。

 

「・・・申し訳ございません。部隊のミスで通信機が破損しまったので・・・・」

 

「破損!?大事な仕事道具を不注意で壊すとは、貴様らそれでも総統閣下に仕える部隊か!!」

 

「「・・・・・」」

 

「「・・・・」」

 

「・・・・」

 

「はあ・・・・っで、ビアンコの様子はどうだったのだ?」

 

いつもなら何かしら言い訳をするにもかかわらずしてこない彼らに対し、副官は頭を押さえながら確認をする。

 

「はい・・・ビアンコ博士は自分に没頭しているだけで本国に対する反抗の意はありませんでした。」

 

「そうか。もう、よい。下がれ。」

 

「「「「「「・・・・」」」」」」

 

彼の一声で諜報部隊は、そのまま静かに部屋を出て行った。その様子に総統は、違和感を覚える。

 

「彼らは元々あんな感じなのか?」

 

「いえ・・・いつもなら機器の整備ミスだとか文句を言ってくるはずなんですが・・・・何があったんでしょう?」

 

 

部屋を出て行った諜報部隊は無言で自分たちの部屋に戻らず、メディカルルームの方へと向かう。中へ入ると丁度ドクターロボットたちが部品などのチェックを行っていたところだった。

 

「ん?おぉ、君たちか。あまりにも帰ってこなかったから副官がご立腹だったよ。かなり絞られたんじゃないか?」

 

ドクターの一人が気を遣って彼らに近寄る。だが、特に反応する様子はない。

 

「・・・・」

 

「大丈夫かい?」

 

もしや調子が悪いのではないかと心配するがJ5の目が取れたことで事態は一変する。

 

「お、おい・・・・」

 

取れたはずの目の奥に無数の黄色い目が蠢いているのだ。同時に他のメンバーも体からギチギチといやな音が鳴り始める。近寄ったドクターは、急いで離れようとするがその瞬間J5の胸部装甲が吹き飛び、黒い肉塊が襲い掛かって来た。

 

「うわあああ!?」

 

一人が襲われたことで他のドクターたちも動揺する。しかし、逃げる間もなく他の諜報部隊からも肉塊が噴き出し、部屋を覆った。

 

「「「「わああああ!!!」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その数分後。

 

静かになったメディカルルームは何事もないようにドクターロボットたちが動いていた。そこへ一人の看護婦タイプのロボットが入って来た。

 

「先生、出撃予定の各兵士たちの身体データのカルテがまとまりましたので確認をお願いします。」

 

彼女は、自分の担当であるドクターに端末を渡す。彼は無言で受け取る。

 

「・・・・」

 

「先生?どうかされましたか。顔色が悪いようですが・・・」

 

「・・・いや、心配ないよメディ。データは後で確認しておくから君は本星に残って頑張っておくれ。」

 

「わかりました。では、失礼します。」

 

メディは、頭を下げると部屋を後にする。扉が閉まる瞬間、彼の頭は床に落ちた。

 

「イカンイカン、コレデハ素顔ガ丸見エダ。」

 

頭を拾った彼が立ち上がるとそこにはロボットとは全く異なる生物の顔が出ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ビアンコ研究所

 

「そうか、無事に潜入に成功したか。」

 

ビアンコは、通信を終えると地下の研究室へと降りる。そこでは、内部フレームが剥き出しだったはずのロボットが外装を覆い始めていたところだった。

 

「ビアンコ君、地球へ行く部隊への潜入はうまくいったのかい?」

 

調整を行っていたやや相方よりも小柄の大男が振り向いて聞く。ビアンコは、黙って頷く。

 

「既に仲間が部隊の一部と同化した。ほとんど悟られぬことなく地球へ行けるだろう。だが、必要あるのか?あの星には君たちの望む『あれ』が存在しているとは思えんが。」

 

「そこが気になるのだよ。我々が知っている限り、どの世界にもターニングポイントであるあの男がこの神秘の光を発見し、そのエネルギーを動力源とした器を作り出した。だが、この世界ではその偉大なる名前すら残されていない。だから、この世界の彼の痕跡を知りたいのだよ。」

 

三人は、揃ってロボットの格納庫よりもさらに地下へと降りて行く。

 

「君たちを出会ったのはあの日・・・そう、ワシがこの星に伝わる終末神話について研究をし、その記述が残されていた遺跡へ調査に行っていた時のことだ。娘を失い、傷心していたワシに残されていたのはあの娘と共に調べていた古代神話の研究のみだった・・・・」

 

「しかし、そこに記されていたのはこの星の未来を奪う残酷な結果だった。神は、君たちを自分の子供と言いながらその暴走を恐れた。」

 

「そして、彼はこの星をすべて無にすることができる破壊神を残した!!あらゆるものを喰らい尽くすナノマシン生命体『プロト』を!!」

 

「戦いに敗れた我々は、次元の狭間に自らの因子を飛ばすことでこの星に生き永らえた。しかし、生命を維持する供給を失ったことで元の肉体を形成することもままならず、近くにあった『プロト』の誤認で取り込まれ、その一部として休眠状態へと入った。」

 

「その通り、ワシは偶然にもあの日解凍が進み始めていたプロトのコアを発見し、同時に我が種族の時間が残り少ないことを悟った・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

過去 メカトピア星 古代遺跡

 

「お、おぉおお・・・・」

 

古代遺跡の最下層でビアンコは、目の前にあるものを見て思わず声を出す。それは何かを厳重に封印するシステムでその中央には液体が入った球体があった。不気味に人間の体液のように赤いその球体は、周囲を囲っている保護膜を突き破ろうと蠢いている。

 

「神話は正しかった・・・・我が種族の運命は・・・未来は・・・・」

 

少し前に戦死した娘を看取り、少しでも気を紛らわそうと部署から離れて研究を再開した束の間だった。もし、神話の記述が正しかったとしても所詮は古代の物。最新技術を持った現在なら対応が可能だと考えていたからだ。

しかし、目の前で胎動しているその異物は想像を遥かに上回っておりシステムの封印具合からそんな時間がないことを示していた。

 

「・・・・フハ、フハハハハ、ハ~ハハハハハハハッ!!」

 

既に未来への希望が絶たれたと理解したのかビアンコは、狂ったかのようにその場に膝をついて笑いだす。

 

「これが・・・・これがあの娘とやって来た末の結果か。クククッ、何たる皮肉だ。ワシは、我が子どころかこの星の未来すら失った!ハハハハッ、何とも愚か・・・愚かなものよ!!」

 

最早、何もかもがどうでもよくなった。彼は大笑いしながらも同時に悔し涙を流した。すると彼の声に反応したのか、コアの中に黒い物体が現れる。

 

「アハハハハッ、ハッハハハハ・・・・・何が神だ!我が子である我々を恐れて、こんなものを残しおって・・・・おぉお・・・・」

 

笑い疲れたのかビアンコは、息を荒くしてその場にへたり込む。黒い物体は彼の方を向いて止まるや黄色い目玉を開いて、先端を鋭利にしてコアから飛び出す。

 

「なっ!?」

 

黒い肉塊は、外に出るや大きく広がって彼の体を覆った。穴の開いたコアはまだ制御システムが動いていることもあってすぐに穴を閉じた。

 

黒い肉塊が自分と同化していく中、ビアンコはその脳裏に膨大な情報が入ってくる。

 

この広大な宇宙に降り注ぐ、無限とも言える神秘のエネルギー。

 

生命の進化を促そうとする大いなる意志。

 

そして、自分たちと同じロボットでありながら途方もない進化をし続ける存在を。

 

自分が知りもしない知識が次々と流れ込んでくる。そして、全てを理解した瞬間、彼はある境地へと立つ。

 

「ワシは決心した!これが我らメカトピアの民に定められた運命だというのなら例え神への冒涜になろうとその先へ進むことを!!滅びが避けられぬというのなら・・・・その滅びすらも取り込んで進化することを!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの時は正直驚いていたよ。ほとんど仮死状態に近い我々が無我夢中に同化を試みてメタルビーストになるどころかその先を行ったのだからね。そして、我々を取り込むどころか他星で鹵獲した有機生命体を利用して体の再生に協力してくれた。」

 

「この星のロボットを生命体の如く進化へと導く君の壮大な計画・・・・僕たちは感激したよ。拒むのではなく、自ら受け入れるとはね!」

 

「しかし、この星の民たちの犯した過ちはあまりにも大きい。無論、ワシも例外ではない。」

 

三人は最深部へと辿り着くとそこにはプロテクト解除中のプロトコアと特殊な培養液に満たされたカプセルに何かが入れられていた。

 

「あの時、戦争を終わらせるためと反対を押し切るお前を戦闘用へ改造しなければ・・・・なあ、許せ・・・許しておくれ、セラよ・・・・おぉおおぉ・・・」

 

そのカプセルには、褐色の肌のショートの緑髪の少女が目を閉じて眠り続けていた。体の至る所に傷があり、そこを微細のナノマシンが修理を続けていた。

 

「だが、彼女はもうすぐ己の罪から解放される。そして、この星を進化へと導く女神となる。君もそう思うよね、××××××くん。」

 

「う、うん!そうだね、○○○○○くん!彼女は、これからこの星を導く大きな存在へと変わる。その瞬間が次元を超えて同胞たちを迎え入れる時!!」

 

「だが、報いは受けねばならん。そう、その本質が何であるか知ろうともせず、自分たちを『神の子』だと豪語し、己の為すがままにこの星をもてあそんだ愚かな者達よ・・・・さあ、この星の夜明けは近い!己の罪を悔いながらこの星の糧となるのだ!ナ~ハッハッハッハッハッハッハ!!」

 

「ハハハハハハ!!」

 

「ウ~ハッハッハッハッ!!」

 

「「「ワ~ハッハッハッハッハッハッハッハッ!!!」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

22世紀 タイムパトロール本部 会議室

 

タイムパトロール本部では、シグナスを初めとしてエックスとゼロ、タイムパトロールの高官たちを囲んでジュドとワイリーを尋問していた。

 

「・・・っで、今に至ると言う訳か。」

 

ゼロは、呆れ果てて頭を押さえる。シグナスは、しばらく考え込むと不貞腐れたワイリーの方へと向き直る。

 

「Dr.ワイリー、貴方に聞きたい。彼と交流をして貴方は、メカトピアの情報を可能な限り知った。」

 

「まあのう。じゃが、それでも一部の情報に過ぎん。分かったことは、奴らは効率はどうであれ『人間』と言う新しい『奴隷』が欲しいという事。できることなら手段を選ばんじゃろう。そして、厄介なところは奴らは数の上で圧倒的に多いということじゃな。少なくともイレギュラーハンターとレプリフォースが組んだとしても不利じゃろうな。」

 

彼の答えを聞き終えるとエックスは、困った顔をしているジュドの方を見て口を開く。

 

「ジュド、君はワイリーと接触して短期間ではあるもののこの世界で生活をした。その体験を通じて、今でも鉄人兵団のやり方に賛同するかい?」

 

「・・・」

 

ジュドは、最初こそどう答えればいいか戸惑うか勇気を出して自分の答えを言う。

 

「・・・正直言うと本当にメカトピアのやり方が正しいとは思えなくなった。けど、同時にだからどうして行けばいいのかが分からないんだ。人間狩りをやめたとしても結局別の奴隷を探そうと他の星を襲う。襲わなければ、僕のような下層階級のロボットたちは、また上層階級のロボットたちの影に怯えて暮らさなければならない。どうしていけばいいのか・・・・」

 

「ちょっと、ジュド!貴方、本国を裏切るつもり!?」

 

そこへ治療を終えたリルルが部屋に連れて来られた。抵抗する可能性もあることから一応手錠がされている。

 

「リルル・・・・」

 

「この作戦には多くの仲間たちが新しい社会を望んで参加しているのよ!」

 

「分かってる。でも、だからと言って他者の平穏を奪っていいの?僕たちの生活が良くなるのならなんだってしてもいいの?」

 

「・・・・けど、本国の侵攻はもう止めることはできない。貴方にはそれが分からないの?」

 

「分かろうとしないのはリルルの方じゃないか!!」

 

彼の返事にリルルは、思わずこわばる。今まで仕事仲間として付き合ってきたが文句は言えど、ここまで反発されたのは初めてだった。

 

「確かに僕たちは、メカトピアで作られたロボットだ。けど、この星の人間もロボットも同じ心を持っている。」

 

「ジュド・・・・」

 

「リルルだって分かっているはずだ。その体の持ち主とだって・・・・」

 

「違う!パレットとは情報を得るために接触していただけ!友達なんかじゃ・・・友達なんかじゃない・・・」

 

ジュドに対して彼女は、必死に否定するがその顔は苦しそうだった。その様子を見てゼロは、彼女に問いかける。

 

「なら、何故パレットの体を捨てようと考えなかった?」

 

「えっ?」

 

「アチモフの基地から脱出する際、基地の中を探れば他のロボットの身体と交換する方法があったはずだ。その気になれば体を捨てることもできた。なのに何故彼女の身体を捨てようとしなかった?」

 

「それは・・・・」

 

任務と言おうとしたがリルルは、ゼロの問いに対して明確な答えを出すことができなかった。確かにその気になれば兵隊ロボットの身体と交換して逃げ出すことができたはずだ。他にも体の負担を無視すればアディオンを奪って逃走したはずだし、飽くまでも他人の身体であるのだから傷付こうが知ったことではない。

 

しかし、そんなことはできなかった。任務だからとか使命だからと言う理由ではない。

 

『友達』だから。

 

否定したくても否定できない自分に対し、彼女はその場に膝をついて泣き出してしまった。

 

「わからない・・・・・わからない!どうして・・・・どうしてなの!?本国のために動いていたはずなのに・・・・兄さんに恥をかかせないために動こうとしたはずなのに・・・・・どうして?どうしてこんなに苦しいの・・・・どうして・・・」

 

「リルル。」

 

ジュドは、席を立って彼女の前に来るとあやすように優しく彼女の背中尾を摩った。

 

「一緒に考えよう。本当はどうするべきか、どうしていくべきかを。ねっ、他に方法があるはずだから・・・」

 

「えん・・・・えぇぇぇん・・・・」

 

泣き続ける彼女の様子を見て、会議室にいる一同はこれ以上続けても仕方ないと判断し、静かに退室して行った。

 

「あの二人は、明日同じ便で我々の世界に同行してもらう。飽くまで軟禁することを前提にな。」

 

シグナスは、部屋に案内される二人を見ながら静かに言う。

 

「ジジイ、分かっているだろうが・・・」

 

「言わんでもついて行ってやるわ!ライトの奴にも喝を入れんといかんしな。じゃが戦闘に参戦するとは言わんぞ。ワシは飽くまで中立的立場じゃからな。」

 

ワイリーが渋々ゼロたちに連れて行かれるとエックスは、一人席に座ったまま沈黙していた。

 

「エックス?」

 

心配したマーティとドラえもんは、彼の傍に来る。

 

「・・・」

 

「大丈夫?もしかしてトラウマが・・・」

 

「いや、俺の知っているリルルのことを思い出してね。あの時のリルルは、俺たちと共に行動をしながら悩んだ末に答えを見つけた。彼女はパレットたちと触れ合ってこの星のロボットのことを知った。だから、これからが大事なんだと思う。自分たちが正しいのか正しくないのか。」

 

「のび太くん・・・・うん、そうだね。僕たちも帰ろうか。」

 

何かほぐれたのかエックスたちは、ホッとしたような顔で部屋を後にする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、アチモフ基地ではビストレオが冷や汗を掻きながらブラックゼロの元へ戻って来た。

 

「なあ、ゼロ。あの嬢ちゃん連中に引き渡して本当に良かったのか?」

 

椅子に座っている彼は、ライターの火を点けたり消したりしながら答える。

 

「あの女には計画については教えたがいつのタイミングでやるかは言っていない。それに仕掛けるのは鉄人兵団の方だ。イレギュラーハンターが邪魔をする義理はない。」

 

「そうか?だけど、あのお人好しの集まりだぜ?」

 

ビストレオは、心配そうな顔で聞くがブラックゼロはダーツを持ちながら気にすることなく話を続ける。

 

「それならそれで別に構わないさ。奴らが疲弊するだけなんだからな。俺たちの目的は少しでも早く親父たちを牢獄から助け出すことだ。今回の仕掛けは戦力補充になればよしと言ったものだからそこまで心配することじゃないさ。」

 

彼は、そう言うと同時にダーツを的に向かって投げる。矢は見事に中央を貫いた。

 

「ハア、お前さんはやるときはやるからな。メンバー招集は任せるが俺に合う連中にしてくれよ。喧嘩で失敗は勘弁だからな。」

 

それだけ忠告しておくとビストレオは、彼から矢を受け取ってダーツに参加するのであった。




もうあの二人の名前伏せる意味が・・・


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