21XX年 ハンターベース 格納庫
ネオゲッターロボの合体テストを終えたエックスたちは、ゲットマシンを格納庫へと移動させてメンテナンスが行われている傍ら休憩を取っていた。
「ふう・・・」
エックスは、研究員から受け取ったエネルギーボトルを口に含みながら整備が行われているマシンを眺める。この戦闘機の一機一機が各形態ごとに変形をして戦闘ロボットになるなど直接見なければ信じられないだろう。すぐ傍では同様に休んでいるゼロとぐったりしているシャドウの姿がある。
「三機のマシンで3タイプのロボットに変わるか。今でも信じがたいな。」
「のび太く~ん!」
「ん?」
声をかけられたことで彼はゲットマシンから視線を変える。そこにはドラえもんたちが来ていた。
「ドラえもん!みんなもどうして・・・」
エックスは、驚きながら5人の元へと歩いて行く。ドラえもんは会うなり、ここに来た訳を話しだす。
「僕が帰ってきたときみんなが心配して待っていたんだ。何があったのか色々言われて・・・全部事情を話しちゃった。」
「あのね・・・」
「水臭せえぞ、のび太!友達が大変なことに直面しているからこそ応援に駆け付けたんじゃねえか!」
ジャイアンは、肩を叩きながら言う。対するスネ夫は、相変わらず不安そうにしている。
「でも、まさかロックマンXの世界にも鉄人兵団が現れることになるとはね。あの頃の出来事が昨日のように思い出しちゃうよ。」
「別に無理してこなくても大丈夫だよ、スネ夫。」
「いやいやいやいやいや、勘違いしないでよ!?確かに鉄人兵団が怖いのは昔も今も変わらない。でも、僕たちだってあの頃と違って大人なんだ!そんな、のび太たちがピンチになろうとしているときに逃げたりなんてできないよ。」
スネ夫が照れくさそうに返事をする一方静香は、周りを見回しながら一番気にしていたことを言う。
「のび太さん・・・・リルルは・・・・この世界にもやっぱりリルルはいたの?」
その問いに対してエックスは、黙り込む。
「・・・」
「どうなの?」
「・・・あぁ、この世界の鉄人兵団にもリルルはいたよ。外で組み立てられているザンダクロスもね。」
彼の口から出た答えに静香は、ホッとするがすぐにどこか心配そうな顔つきに変わる。
「それで彼女をどうしたの?」
「ここの尋問室に入ってもらっている。ジュドも一緒にね。」
「ジュド?・・・!もしかしてザンダクロスの頭脳!?」
スネ夫は、思い出すように叫ぶ。そう言えば自分たちの時はあまりにもうるさかったから改造して性格を変えてしまった。あの時は仕方ない状況だったが今ではやや罪悪感があり、こちらの彼はどうなったのか気になってしょうがない。
「もしかして・・・・改造しちゃった?」
「ワイリーがね。でも、人格そのものを作り変えているわけじゃないから心配しなくてもいいよ。」
「そっか・・・」
「けどよ、アイツ俺たちの時はあんなにうるさくて抵抗していたのに大丈夫だったのか?」
「その辺は何とも言えないよ。まあ、ワイリーは元々ロボットに関してはそれなりに対等に接するからあまり反抗しなかったんじゃないかな?」
エックスは、5人を連れて格納庫から出ようとする。
「ゼロ、俺は先に上がるよ。」
「わかった。奴らがこちらの世界で偵察している可能性も否定できない。俺も警戒するがお前も気を付けろよ。」
「あぁ。」
ゼロと挨拶を交え、彼は一旦自室へと向かった。
22世紀 アチモフ一味秘密基地
同じ頃、22世紀ではブラックゼロが各イレギュラーたちに久しぶりの招集をかけていた。席には既に数人のイレギュラーたちが集まっており、最深部ではブラックゼロ本人が腕を組みながら全員が集まるのを待っていた。
「・・・・クワンガーはどうした?」
「ゴジ、ゴジゴジ・・・」
「なに?仕事が忙しくて来れない?・・・・ペンギーゴとキバトドスたちはどうした?アイツら、確か水族館で働いていたはずだぞ?」
全員集まらないことに彼は少々苛立ってきている中、ようやくペンギーゴたちが部屋に入って来た。
「いや~すまんすまん。館長に休み言うの忘れて、代役スタッフが来るまで時間が掛かっちまったクワッ。」
彼はアロハシャツに浮き輪、頭に麦わら帽子。更に首からアイスキャンディーが大量に入ったクーラーボックスを抱えたまま席に座る。同じく遅れてきたキバトドスも似たような恰好でチョコバナナを持ったまま着いた。
「ガッハハハハハッ~!!なんじゃい、ペンギーゴ!そのバカンスにでも行って来たような恰好は!?お前、ペンギンの癖にフラダンスでもする気か!?」
あまりに奇抜な格好だったこともありアリゲイツは、指を指しながら爆笑する。
「う、うるさい!?仕方ないだろうが!館長の趣味なんだからよ!!俺様だって資金集めなんてさえなければこんなふざけた格好・・・・」
「うむ、身体の模様をスイカにすれば受けがいいかもしれんのう~。」
そんな彼に対し、火に油を注ぐようにクラブロスは、目を細めながら言う。ペンギーゴは頭に血が上っていく。
「黙るクワッ、カニ!!お前は北海道に行って茹でられて食われちまえ!!」
「ハハハッ、俺はお前たちとは出来が違うんだよ。裏ロボット闘技場のオーナーを務めて、裏では色々操作をして儲けているのさ。」
「何~!?」
ここに集められたメンバーは、一部を除いて基本的に外で資金稼ぎを行っている。アチモフ一味は、首領であるDr.アチモフが逮捕されて以降、次の機会を窺うため表の行動を控えるようになったため、基地の施設や武装・スペアパーツなどの調達で資金繰りで各メンバーが自由に使用できる金が無くなってしまった。貯蓄は、十分あるのだが常にブラックゼロ自身が管理しているため許可が中々下りず、仕方なく顔割れしていないことを利用して外に出稼ぎに行っている。ペンギーゴとキバトドスは水族館のスタッフ、クワンガーは未来デパートの屋上のビア・ガーデンの店員、アリゲイツは製鉄工場の加工担当と表では意外に社会貢献していたりする。尤もクラブロスのように闇賭博で不正な賭け試合を仕組んではぼろ儲けしているのもいるが。
「お前たち、喧嘩はそのぐらいにしておけ。」
「ちっ。」
とがめられたペンギーゴは、不服そうながらも席に座り直す。一部が集まっていないもののブラックゼロは、会議を始めることにした。
「まず、新メンバーを紹介する。尤も一部は知っていると思うがな。」
部屋にカメリーオたち三人が入ってくる。かつての同僚の姿を見てペンギーゴは目を見開く。
「カメリーオッ!?」
「にっ!?お前ら、し、死んだんじゃなかったのか!?」
独房生活をしていたこともあって彼らが再生されていたことを知らなかったカメリーオはまるで幽霊でも見たかのように青ざめる。
「一人は元イレギュラーハンター スティング・カメリーオ。後の二人は、シャドウハンターのザインとギーメルだ。くれぐれも仲間割れは起こすなよ。消耗はできるだけしたくないからな。」
ブラックゼロに紹介されると三人は用意された席に着く。カメリーオに対しては昔から悪戯されていたのかペンギーゴたちの反応は芳しくない。
「・・・まずは、これから実行する計画について話す。」
「アチモフ博士たちの脱獄計画か?予定はまだ先と言っていたはずだが。」
ヴァジュリーラは、腕を組みながら疑問を寄せる。自分たち残党の存在もあってアチモフが収監されている刑務所の警備は現在も厳重になっている。当初は力づくで警備網を突破する案を考えていたがイレギュラーハンターが応援にやってくる危険性があるため没になった。
「今回は親父たちの救出ではない。戦力増強についてだ。」
「戦力の増強?」
「まさか、この間みたいに別の世界から引っ張ってくるのか?」
かつて原作エックスの世界に行けたこともあり、一同は今回は大規模で別の時間時空へ乗り込み戦力増工を行うのではないかと考えた。実際、別の時間軸に行けば未使用のライドアーマーやメカニロイドが大量に入手できる。だが、ブラックゼロの答えは彼らの考え方と正反対だった。
「今回は21XX年、つまり俺たちの元居た世界で行う。」
「「「ハッ!?」」」
彼の答えにペンギーゴは、アリゲイツとキバトドスと共に口をポカーンと開ける。他のメンバーの反応も同じだった。
「どういうつもりだゼロ?あの世界は復興が進んだとはいえ、荒廃している。そんな戦力増強できるものなどないぞ。」
アルマージは、動揺しつつも顔には出さずに問いかける。
実際、あちらの世界はレッドアラートの壊滅を機に自警団組織もイレギュラーハンターやレプリフォースの認可をもらうことを求められ、事実上組織に吸収されていっている。イレギュラー組織も彼らをうまく束ねていたアルスが死亡したこともあって事実上崩壊し、一気に戦力補充できるような規模のものはない。
しかし、彼がこう言っている以上何か宛てがあるはずだ。そう思い、彼は答えを求めた。
「加入したカメリーオが面白いものを拾ってきてくれてな。サンプルには逃げられたが十分すぎる情報が手に入った。」
「情報?」
「ギーメル、モニターに出力しろ。」
ブラックゼロの指示でギーメルは、モニターに鉄人兵団の情報を載せる。そこには彼らの戦力規模や各兵装についての情報があり、全盛期のイレギュラーハンターの規模を知っているペンギーゴたちは顎が外れそうになるほど口を開く。
「・・・・なんだ、こりゃ?」
情報を開示し終わった後、自分たち以上の組織規模を持つことに会議室にいるメンバーは無言になる。
「見ての通りだ。下級兵士はたかが知れているが上級兵士並びに隊長クラスは戦闘能力は一般ハンター以上、これだけの数、一部でも手に入れば戦力増強にもってこいだろう。」
「つ、つまり・・・あれか?コイツらの戦力の一部をちょうだいしようと?」
クラブロスは、冷や汗を掻きながら質問する。これだけの規模の戦力を自分たちのものにできれば確かに心強いが敵としては驚異で手に入れようにも逆に返り討ちに遭って全滅しかねない。
「その通りだ。」
「ちょっ・・・」
ブラックゼロの発言にその場が静まり返る。勿論、全員で『無理だ』と言いたいのだが彼の実力がこの中で断トツ一番強いこともあって反対できない。しかし、反対しなければ自分たちは新戦力補充のための特攻隊にされかねない。
(お、おい・・・誰かなんとか言えよ。このままだと本当にやりかねないぞ?)
(無茶言うな。あのゼロが言ったんだぞ。奴は今まで行ったことは全部実行している。反対なんてとても・・・)
(かと言って反対すればハチの巣にされそうだし・・・・)
(ちくしょう、カメリーオの奴なんて情報持ってきやがったんだ。)
ほとんどのメンバーが情報を持って来たカメリーオを睨みつける中、ザインはただ一人ブラックゼロに質問をしてきた。
「・・・別に戦力補充するのは構わないが方法は考えているのか?俺たちや個々の戦力を結集しても明らかに不利だと思うが。」
「「「「!?」」」」
入って来てまだ彼の実力の恐ろしさを知らないのか何の抵抗もなく質問してくるザインに対し、全員思わず口を開ける。それだけでも十分ビビるがその問いに対してブラックゼロは、普通に返事を返す。
「当たり前だ。向こうの戦力はほぼ無尽蔵だからな。量産兵とは言え、侮れない。そこで奴らとイレギュラーハンターの戦争を利用して内部に混乱を与える。」
彼は、映像を切り替えてモニターに小型のマシンを映す。
「コイツは、親父がアチモフマシンを完成する以前に製作した周囲のロボットの精神回路に一時的にショートを起こさせ、暴れるようにする『精神破壊装置』だ。最初は、この装置を各地に撒いてロボットたちを暴れさせて混乱している隙に乗じて世界征服を行おうと考えたが効果範囲が狭いことと全世界にばら撒くには予算がオーバーすることから不採用になった。だが、鏡面世界に基地を設けている奴らに対してならそこまで量産する必要もない上にうまく混乱を与えることができる。」
続いてリルルの頭脳回路にアクセスした際に入手した鉄人兵団の基地の全貌を見せる。
「奴らの基地は既に確認済みだ。全員でハンターを偽って撹乱を行い、ガラ空きになった基地の中にカメリーオを筆頭とする隠密行動部隊を潜入させて、基地に装置を仕掛ける。兵舎を中心にな。そして、奴ら全員が基地に戻って一休みしようとした際に装置を作動させる。奴らは仲間が狂ったかと思って潰し合いを始める。当然、隊長クラスの連中も動く。そこへ俺たちが部隊を率いた上で奴らの目を引かせ、試作型アチモフマシンを作動させて洗脳する。いくら無尽蔵の兵士共でも潰し合いをしていれば助けに行く隙もあるまい。」
ブラックゼロの説明が終わると先ほどまであった不安が嘘のように消えていた。確かに自分たちのリスクも十分あるが鉄人兵団が最初に目を付けるのはあの世界では最大勢力とも言えるイレギュラーハンターとレプリフォースの2大組織だ。
ハンター側がどんな作戦を考えているかは分からないがあちらでうまく戦闘を集中してくれればこちらが基地に乗り込むのは容易になる。そして、例えハンターたちが敗北しようとも戦力は相当消耗するため、次の部隊が来るまで一時的に戦闘を中断することを選択せざるを得なくなる。そこへ上手く攪乱させ、隊長クラスを洗脳した上でスパイ行動をさせれば・・・・鉄人兵団と言えど徐々にその戦力を自分たちのものへすることができる。本命はアチモフをすぐに脱獄させたうえでアチモフマシン2号を製作してもらい、洗脳機能を強化した上で投入したいがそこまでの高望みは期待できない。
そもそも肝心の情報を知っているリルルが基地に戻りでもしない限り作戦がバレることはない。無謀に特攻するわけではないと分かったことからメンバーたちは、ホッと胸を撫で下ろす。だが、同時にクワンガー同様にこの場に来ていないVAVAのことを思い出す。
「そう言えば、ゼロ。VAVAの姿が見えないが・・・・奴はどこへ行ったんだ?」
「アイツか?さあな、最近クワンガーに止められた件で飛び出してからまともに連絡してきてないから知らん。尤も定期的にメンテしに帰って来るが今回の作戦には参加しないだろう。」
「そ、そうか。」
質問をしたヒャクレッガーは、返事をするもののこの判断が後に大きなミスにならないかと少し不安になった。
鏡面世界
鏡面世界の方では、グランドマンが作業員たちを指揮してハンター側が使用していた人工湖を専用ゲートに回収していた。
依然と鏡面世界と現実世界を繋げるからくりは分かっていないが幸い近くに特定の場所へ行くための転送装置のようなものが設置されていたため、後は発信信号を発し続ければ鉄人兵団第一陣は、確実にこの湖を通ってこちらの世界へ到着するはずだ。
「よし、チキュウのロボット共が使ってくれていたおかげで手間が省けたぜ。後は、ここから発信信号を出し続ければネロたちがここを通って合流するはずだ。」
彼は、到着前にゲートが完成したことにホッとしているのか深いため息をする。作業員たちも体を動かしながらこれから先のことについて話をしている。
「なあ、この作戦が終わったら俺たちにもそれなりの報酬が降りて来るかな?」
「今の総統なら出してくれるんじゃねえか?あのうるせえ副官が変なこと吹きこまねえ限りはよぉ。」
「あ~あ~この戦争終わったら、植民惑星に遊びに行きてえ!メカトピアに帰ってもあのガス臭せえ空気で胸焼けしちまう。」
「そうだな、俺は環境がいいところでオイルで酔い潰れてえよ。浴びるほどに飲んでな。」
「「「いいな~それ。」」」
「おい、お前ら!後、一日しかねえんだぞ!早く手を進めろ!!」
グランドマンに怒鳴られ、彼らは急いで手を動かす。
「ったく、俺らに言うんだったら自分も手を動かせよ。」
「仕方ねえじゃん。グランドマン、肩のドリルのせいで手が届かねえんだから。」
愚痴を言いながら作業を進める。
その様子は既にハンター側でも確認していた。
「予定通り、敵がゲートを改修しています。」
彼らは光学迷彩で覆っているテントの中からわざと仕掛けたことがバレていないか観察していた。隊を指揮するホーネックは、映像越しで確認しながら敵が上手く自分たちが仕掛けた罠に喰いついてくれたにホッとする。
「これで敵が全員こっちの世界に来た後、工作を行えば問題なく足止めをすることができそうですね。後は、アクセルたちが上手く基地をカモフラージュしてくれればいいんだけど・・・・大丈夫かな?うっかり、正体がバレたりしなければいいんだけど。」
余程のことを起こさなければスパイだとバレる心配はないと思うがアクセルは、うっかり変身を解いてしまう可能性もないとは言い切れない。それにもし本陣が到着すれば勘の良い上官に目を付けられて怪しまれることも有り得る。尤もこれから本格的に戦争ともなれば正体を把握する暇もないと思うが。
「それで各地に設けたカモフラージュ用の基地の建設進行は?」
「主要都市の仕掛けは準備完了。各地に設置している仮設の基地は表の整備が6割終わり、機密保持用の自爆装置の組み込みを行っています。」
部下の一般ハンターは、各地の統計データを確認しながら報告する。これで敵基地に潜入した諜報隊員たちの報告が来れば、作戦の第一段階は完了となる。
「では、奴らが基地に戻り次第ここを畳んで地下シェルターに移動、敵の本隊が出現まで待機!基地制作を行っている部隊は偵察隊に見つからないよう偽装せよ!」
「了解、各部隊に伝えます。」
「・・・・ここがこれから始まる戦争を大きく左右させる。出来るだけ奴らをこの鏡面世界に閉じ込めておかなければ。」
彼は、黙々と作業を続けている作業部隊を見ながら真剣な顔を浮かべる。
太陽系外 小惑星地帯
「ネロ隊長、このエリアに到着してからようやくグランドマンたちの信号の受信が確認されました。」
太陽系外に存在する小惑星地帯で次のワープのエネルギーを蓄積するために泊まっている戦艦内で一般兵がネロたちの元へ報告に上がる。
「そうか、それでポイントは?」
「はい、チキュウのやや大きめの湖に移動用ゲートを設けたのこと。」
「なに?ゲートは基地内で作るんじゃなかったのか?」
同じく会議室で休息を取っていたロッソは、ボトルを飲みながら少し驚いて聞く。
「はっ。それが当初の予定よりゲートの開発が遅れており、敵のゲートを改造して使えるようにしたそうです。」
「敵のものを?それがやや危険なのでは・・・調査はちゃんとやったのですか?」
「・・・・・」
ヴェルデが不信に感じている隣でブルは黙々とエネルギーを飲む。その様子に一般兵は頭を抱える。
「そのことに関しては私からはなんとも・・・・」
「まあいい、こちらにはナンバーマンを連れて来ているからな。不安ならアイツにゲートを診てもらえばいい。リルルのことについては何か言っていたか?」
部下をフォローする一方で彼は、気がかりだった妹のリルルのことについて聞き返す。
「一度、敵に捕まりかかったそうですがその後は基地内で大人しくしているそうです。体の方は至って正常です。」
「・・・わかった。お前もそろそろ休んでおけ。明日は敵地に乗り込むからな。」
「ハッ、失礼します。」
ネロの言葉を受けて一般兵は、敬礼をして部屋を後にする。彼が部屋を出るのを見送るとネロは、腕を組みながら深いため息をつく。
「・・・・」
「リルルのこと、よっぽど心配してるのね。」
彼の気持ちを察するようにオーロが声をかける。
「わかるか?」
「まあ、アンタとこのバカ三人とは付き合いも長いからね。ビアンコ博士に何か言われたの?」
彼女の問いに対してネロは黙り込み、少しずつ話し出した。
「・・・アイツ、リルルとジュドが特別だと言っていた。」
「特別?何が?」
「さあな。だが、セラが死んでからアイツが何を考えているのかさっぱりわからん。最低でもろくなことじゃないのは確かだと思うが。」
「・・・・」
「あの二人は、基地に到着して落ち着き次第ナンバーマンに診察してもらった上で母星へ強制送還する。」
ネロは、腕を組みながらどこか寂しげな表情をする。口では叩けどビアンコには昔から兄妹で世話になっていたこともあり、娘を仲間のためとはいえ手をかけた。それだけに罪悪感を感じる。
「ネロ・・・」
「早く、この戦争を終わらせる。・・・・そして、リルルがセラみたいな事故を起こさない内に元の身体に改修させる。もう、あんな出来事コリゴリだからな。」
彼は、席を立ちあがって部屋を出る。廊下側からは宇宙が見え、遥か遠くに輝く太陽が僅かながら確認できる。あの辺に自分たちのターゲットであるチキュウがある。
「・・・リルル、俺たちはもうすぐそちらに着く。お前の役目はその時点で終わる。だから・・・後はメカトピアで大人しくしててくれ。あんな悲惨な事故に遭う前に。」
ネロは、目を閉じながらチキュウにいる妹へ念じる。
その妹が中身が別物にすり替わっているとは知らず。
21XX年 ハンターベース 研究棟
「・・・・」
夜中、ワイリーは一人コンピュータを操作しながら何かを調べていた。
「・・・・日本のデータベースには何も残っておらんか。フン、情報隠蔽することだけは昔から一級品だな。」
彼が行っていたのは、日本政府の機密ファイルへのハッキングだった。普通なら侵入された時点でサーバー側から警報や撃退プログラムが作動して接続を切られてしまうが、悪のマッドサイエンティストの異名は伊達ではなく、難なく気づかれることなく突破してしまっていた。
「・・・若さゆえの過ちと言ったところか。あの頃、ライトを超えようと偶々目についた研究所に配属希望を出して行った結果、あんな大惨事が起こるなど想像もできんかったな。あの男を含める職員全員が消えるなんて・・・誰も信じんじゃろうな。生き残ったのが外に資材調達をしに出掛けたワシと橘、あれに乗っていた二人なんじゃからのう。」
彼は、眉間を押さえながら一枚の写真を取り出す。そこには若い頃の自分が不満そうな顔をしながらもある団体と一緒に写っていた。彼は、脳裏にその時の光景が焼き付いて今でも思い出す。
偶々、外出して戻ろうとした時に見た研究所の最期。
一瞬ではあったがあの光を浴びて見た遥か超未来のあの悍ましい存在の姿を。
そして、警察の取り調べを受けている中、その惨劇を間近で見た男がそれに向かって叫んだ言葉を。
『貴様は一体俺たちになにをやらせる気なんだ!!』
ドワォ!!