鏡面世界 メカトピア軍前線基地
「我々がこの星の攻撃を開始して既に数日。ロッソ、ブル、オーロ、そして、私が四手に分かれて部隊を展開して各方面の都市並びに敵基地を破壊していますが今のところ回収できた人間の数は0。基地を護衛していたロボットたちも基地へ乗り込んだ頃には跡形もなく消えていました。転送装置で逃げたと考えられますが装置自体は自爆したのか修復不可能レベル追跡は不可能でした。」
メカトピア軍は、自分たちが鏡面世界から出られていないことに気づかないまま攻撃を続けていた。おかげで成果は全くなく、報告されるのは基地と都市を攻め落としたことだけが告げられた。代表として報告に来たヴェルデは、何の成果を出せずにいることに後ろめたさを感じながらも無言で腕を組んでいるネロに戦況を告げて行く。
「・・・・」
「ネロ、不満には思うだろうが私は嫌に感じながらも報告に来ているんだ。せめて真面目に聞いてくれないか?成果のない報告だとしても。」
「いや、俺は至って真面目に聞いているぞヴェルデ。要は、反撃自体は激しいが違和感を感じるのだろう?」
自分の言いたかったをようやく答えてもらい、ヴェルデは頷く。
「もう、この星の3分の1に当たる地域を攻撃したんだ。それなのに犬猫一匹すら捕まえられていないこの状況に兵士の間でも不満の声が出始めている。」
「ふむ。確かリルルの報告では、友好惑星との行き来も行っているとあったな。」
「あぁ、疎開している可能性もなくはない。大型兵器の投入も検討しているがもう少し敵の動きを窺いたい。」
「私はできれば早く済ませるべきだと考えているがね。ジュドの件に関しても降伏を受け入れる際に引き渡しを要求すればいいだけのこと・・・・」
「そう急かすな、総統率いる第二陣が来るまで時間はある。その間に奴らが根を上げて降伏するというのならそれでよし。抵抗するというのなら第二陣と合流して力の差を見せつけるまでだ。」
ネロの言葉にヴェルデは、少し納得がいかない仕草を見せるが上官の命令は絶対であるため文句を言おうとはしなかった。
「・・・・お前がそう言うのなら私は従おう。セラの一件は我々の責任でもあるからね。」
「・・・すまない。」
「ロッソの馬鹿には、言うことを聞かないとカプセルに押し込むとでも言って従わせるとしよう。奴は、面倒くさがりでメンテナンスを怠るからな。」
「そうしてくれ。」
会話を終えるとヴェルデは、部屋を後にする。彼が去ったのを確認するとネロは、研究室にいるナンバーマンへと通信を繋げる。
「ナンバーマン、解析はどこまで進んでいる?」
『今、情報を引き出している途中でマス。流石のアッシも人の中身を見るのは抵抗があるんで。』
画面越しの彼は、頭を抱えながら答える。
「この戦時下だ。別に命を取るつもりはないのだから腹を括れ。」
『はい・・・』
「俺もそっちに行く。」
通信を切るとネロは、席を立って部屋を出て行った。
ハンターベース
一方、ハンターベースでも同様に鉄人兵団への対策を進めているところだった。
「敵は既に鏡面世界の3分の1を制圧。撤退した我々と人間を血眼になって探しています。残りのエリアにもダミーのライドアーマー部隊、改良型山びこ山を多数配置し、時間を稼げるように勧めています。」
ゼロの代理として鏡面世界から戻って来たホーネックは鏡面世界の地図を見せながら戦況を報告する。その勢力図をシグナスは、真剣な眼差しで見ていた。
「虱潰しに小さい拠点を攻め落として我々の動きを見ようとしているのか。大型兵器の未投入、ハンターベースとレプリフォース本部に攻撃を仕掛けていないことからして敵も我々に対して警戒しているな。」
鏡面世界におけるイレギュラーハンターの動きはこうだ。
まず各支部の警備を強化していると思わせるためにダミー人形を乗せたオート操縦のライドアーマー部隊、そして、徹底抗戦をしていると見せつけるために多数の『改良型山びこ山』を至る所に設置して攻撃を反射させていた。
これは、かつてドラえもんたちが行っていた手法だが今回に限っては敵を撃墜することも想定しているため、威力を数倍にして反射するように改造が施されている。そのおかげで敵へある程度の打撃を与えることに成功していた。
事実、こちらの損害は0に抑えられているがいつまでも騙せるわけではない。一刻も早くこちらでの準備を万全にしておかなければならない。
「小規模の都市や支部を破壊しても目的を達成できない以上、奴らは考えを変えて大都市に攻め込んでくるだろう。」
シグナスは、敵の侵攻状況から次はいよいよハンターベースかレプリフォース本部を攻撃してくると考える。本丸を壊しておけば、敵は自分たちが戦意を喪失させて降伏してくると思っているのかもしれない。そうなれば自然に現在展開している部隊を集結するのは勿論、大型兵器を投入してくる可能性が高い。
「既に鏡面世界のベースは重要機密のものは撤去してある。だが、敵の目を誤魔化す為にはここでしばらく足止めをしなければならない。」
彼の話にハンター全員は、息を呑む。シグナスは、エックスの方を見る。
「エックス、お前は17部隊を指揮して鏡面世界のハンターベースの防衛に向かってくれ。ゼロと連絡して合流してほしい。」
「シグナス。まさか・・・」
「いよいよネオゲッターロボの出番が来た。タチバナ博士とスタッフも同行させる。頼んだぞ。」
「わかった。」
「あの・・・・僕たちも一緒に行っても構いませんか?」
同じく話を聞いていたドラえもんたちは、心配そうな顔で聞く。人間であるジャイアンたちを同行させるのは本来危険だがドラえもんが一緒についていれば危険度は下がる。
「いいだろう。別世界とはいえ、君たちは彼らとの戦闘経験がある。サポートについてくれ。」
「「「はい!」」」
話が終わるとエックスたちは、準備をするために部屋を去っていく。
「・・・・用事があるなら普通に入って来てくれ。」
誰もいなくなったことを確認するとシグナスは、自分の影に声をかける。すると影からシャドーマンが出てきた。
「いつから気付いていた?」
「エックスたちと話している最中だ。今は協力体制なのだから別に隠れて来なくてもいいだろう。」
彼は、腕を組みながら言う。
「あまり、表で言う訳にはいかんと思ってな。全員がいなくなるのを待っていた。」
「ん?」
シャドーマンは、耳元にまで近づいて小声で用件を伝える。シグナスは、一瞬目を丸くするがすぐに冷静になって聞き返す。
「それで彼は?」
「ドクターの承諾を得て、尋問室に連れて来ている。話ぐらいは聞いても構わんだろ?」
「・・・わかった。話は聞こう。」
鏡面世界 メカトピア軍前線基地 研究室
研究室に入って来たネロは、すぐに作業中のナンバーマンの元へ来た。
「解析はどこまで進んでいる?」
「コピーは70%まで完了してるでマス!これと言った情報はなかったでマスけど。」
「そうか。」
目の前に椅子には拘束されたパレットが寝かされていた。特に拘束具のようなもので嵌められている様子はなく、本人はぐっすり眠っているが。
「しかし、驚いたでマスよ。まさか、一目見ただけでリルルじゃないと見抜くとは。流石兄妹でマスな。」
「一目見た時から違和感を感じていた。だから、休ませると言って眠ってもらった。」
彼は、コピーしたメモリー画像の中で妹と彼女が仲良さそうに映っているのを見て複雑な表情をする。
「俺が軍に所属するようになってからリルルは、昔のように笑わなくなった。それがこのオペレータータイプの記憶ではこんなにも笑っている。」
「アッシもリルルちゃんがここまで笑っているのは見たことがないでマス。よっぽど親しかったようでマスね。」
「・・・それで彼女とリルルが入れ替わった原因は分かったのか?」
ネロが聞くとナンバーマンは、解析中のメモリー映像を見せる。
「このオペレーター・・・『パレット』ちゃんは、最後にリルルが潜伏していたマンションで襲われているところで記憶が途絶えているマス。少なくともチキュウ側が意図的に行ったようではないようデマスが・・・・」
「第三勢力がいると言うのか?」
「・・・恐らくは。彼女のデータには過去の大戦についても記録がまとめられているでマス。可能性としては『シグマ』と言うロボット、後は『Dr.アチモフ』率いる時間犯罪者集団が挙げられるでマス。ただ、『Dr.アチモフ』は逮捕されて収監されているので『シグマ』の可能性が高いでマスな。」
「・・・・我ながら情けない。」
彼は、頭を押さえながら呟く。恩人の独断とは言え、妹を戦地に送っただけではなく親しくなったロボットと入れ替わられて行方不明になるとは自分がもっと見ておけばと後悔していた。そのことに関してはナンバーマンも同情する。
「し、失敗は誰にでもあるでマス。そんな気にしなくても・・・・」
「・・・・」
ネロは、しばらく黙ると起き上がって再度眠らされているパレットを見る。
「・・・ナンバーマン、お前は引き続き、彼女のメモリーから有益な情報を調べる一方、基地の未完成のゲートの改修を行ってくれ。それまでは攻撃を定期的に継続する。」
「『パレット』ちゃんは、その後どうするでマスか?」
「妹の友人だ。手荒な真似はしたくない。基地内なら重要施設を除いてある程度の自由は与えろ。」
「了解でマス。」
確認を終えるとネロは、部屋に隅に置き去りにされていた『おざしきつりぼり』を持って行く。
「あれ?それ持ってどこへ行くんでマスか?」
「少し確認したいことがあってな。」
彼はそう言うと部屋の外へと出て行く。ナンバーマンは、はてと少し気になりはしたもののパレットをいつまでも機能停止のままにするのは可哀そうだと考え、作業を再開するのであった。
ハンターベース 尋問室
シャドーマンと共にシグナスは、尋問室に来ていた。ドアを開けるとそこには武装ロックのために特殊手錠を付けられたジュドが席に座っていた。
「私に話があるようだな。」
シャドーマンが役割を終えて消え去ると彼は、席に座りながら特に圧をかけることなく声をかける。
「あの・・・・戦況は?」
「メカトピアの第一陣が鏡面世界で攻撃を続けている。今のところ、我々の罠に気づいてはいないようだがそれは時間の問題だ。君にとっては辛いことだろう。何せ、我々が君たちの仲間と戦っているのだからな。」
「・・・・はい。」
「でっ、聞きたいことはこんなことではないのだろう?」
「・・・・」
緊張しているのか、ジュドは落ち着かない様子でシグナスを見る。
「その・・・・僕にも何か手伝えることはありませんか?」
「ん?それはどういう意味だ?」
「捕虜だからと言っちゃいけないとは思うけど・・・何もできないのがやるせなくて。」
「君がワイリーと交流して自分たちのやり方が間違っていると理解したのは疑っているわけではない。だが、相手をしているのは友軍、君と彼女の仲間だ。」
「そうだけど・・・・でも、何もしないで大人しくここにいたら卑怯者だ!終わるまで待つなんて・・・」
「だが、協力することは裏切り行為になる。我々が敗れれば君も勿論、何もしていない彼女も裏切者として処罰される危険性がある。それでも協力したいと言えるか?」
シグナスは、表情を少し顰めて問う。別にジュドが再度メカトピア陣営に戻ろうと考えていないのは本人の様子から分かる。しかし、今戦っているのは彼にとっては味方であり、協力をすれば裏切り者になる。
かつてのアクセルもレッドアラートから脱走し、メンバーから裏切り者扱いを受けたがあれは小規模の組織だからこそ、まだ許容できる範囲で国家と言う巨大な組織とはわけが違う。当然、自分たちが敗北すれば彼は裏切者と言う烙印を押され、組織内での居場所がなくなってしまう。それなら、いっそのこと捕虜のままにしておいた方が彼のためだ。
「・・・・裏切り者扱いされるのは辛い・・・・・けど、このままじゃ何も変わらない!自分たちのために他を犠牲にするなんて・・・それこそ、ロボット同士で争っていた頃と変わらないんだ・・・僕たちも。」
「・・・」
「助けたいんだ。みんなを、僕に大事なことを教えてくれたこの星を。」
ジュドは、真剣な目で答える。そんな彼の答えに対し、シグナスはしばしの間無言になるが答えを見つけた彼をこれ以上止めることは意味をなさないと判断した。彼は、手錠の電子ロックを解除する。
「・・・・君がそこまで決意を固くしたのなら私は止めはしない。しかし、君は同時に裏切り者になり、同時に共に戦う我々からはスパイではないかと疑われ、背後から銃口を向けられ撃たれても文句は言えない。後戻りはできないぞ?」
彼の最後の忠告とも言える問いにジュドは、黙って頷く。
「覚悟は本当にできているようだな。」
シグナスは、早速部屋の通信機を使って連絡を入れる。
「エイリア、私だ。ダグラスに連絡を入れてザンダクロスをジュドに扱いやすいように調整してくれるよう頼んでおいてくれ。彼は、私が作業場まで連れて行く。後、リルルのケアにロールを呼んでほしい。彼女なら我々と比べて警戒せずに接することができるはずだ。もし、事態が一変したら直接連絡してくれ。」
エイリアとの通信を終えると彼は、ジュドの方に向き直る。
「まずは、この基地が攻撃された場合に備えて君の本来の身体であるザンダクロスの最適化を行う。その後は、ダグラスに従って作業を手伝ってくれ。何しろ人手が足りないからな。」
「は、はい!」
「格納庫までは私が同行する。但し、忘れてはならない。周りのハンターたちは、君のことを敵だと警戒している。信頼を勝ち取るのも自分次第だ。それを忘れるな。」
二人は、尋問室から出て外へと向かう。
市街地からかなり離れたエネルギースタンド前
鉄人兵団が鏡面世界に留まっていることもあって生産工場から各拠点に向けて、利用して物資の運搬が滞りなく進められていた。この動きを敏感に察知したのか既に市街地には人の姿はなく、売店などの利用客もほとんど一般レプリロイドとなっていた。
「なあ、知ってるか?最近、イレギュラーハンターがまたとんでもない敵と戦い始めたって言う話。」
物資を積んだトレーラーへのエネルギー補充のためにスタンドに寄った作業レプリロイドは、充電を待っている間に相方とボトルを飲みながら話をしている。
「えっ、誰とです?また、シグマが出たとか?」
「いやいや、あのハゲ出てきたらまた街の一つや二つ消し飛ぶじゃんか。」
「じゃあ、レプリフォースとまた喧嘩騒ぎとか?」
「そんなんならこの辺が空爆されて大騒ぎよ。」
「もう、意地悪だな。正直に教えてくださいよ先輩。」
後輩レプリロイドは、不機嫌そうに眉間に皺を寄せる。それに対して、先輩レプリロイドは笑いながら謝罪を入れる。
「いや、すまんすまん。政府は詳しい情報を公表していないんだが宇宙人なんじゃないかって噂だ。」
「宇宙人?先輩、嘘も大概にしてくださいよ。」
「本当だって。何しろ目的は人間とレプリロイドを捕まえたら喰っちまうとか。」
「どこの映画ですか!?第一そんな話、あるわけないじゃないですか。深海基地は愚か、スペースコロニーがある時代ですよ。」
「でもよ、最近イレギュラーハンターやレプリフォースへの積荷の仕事多いだろう?」
「それは、きっとあれじゃないですか?例の軌道エレベーターの。確か作業用に新型レプリロイドが開発されるそうですからその運用試験とか。」
「そうか?そう言うのって研究所とかでやると思うが・・・・おっと、そろそろ充電が終わる頃だ。早いとこ、出発しようぜ。何しろ、こんなハイテクになったご時世でもシティ・アーベルまで行くのにこのだだっ広い荒野を通り抜けるのに2日かかっちまうかんな。」
先輩レプリロイドは、飲み干したボトルを押し潰すとゴミ箱に入れる。後輩も並ぶように潰して入れた。
「そうですね、早いとこ向こうについてホテルのベッドでぐっすり眠りたいですよ。トレーラーの運転席だと窮屈だし。」
「だな。さっさとこの荒野とおさらばしようぜ。」
二人は、運転席に乗りこんでスタンドから出発する。
「先輩、もうすぐボーナス日だし景気よく音楽でも聴きましょうよ。」
「いいな。じゃあ、俺は・・・・わっ!?」
先輩レプリロイドは、前を見て大慌てでハンドルを切る。少し離れたところには先ほどいなかった人影が見え、危うく撥ねるところだった。
「危なかったですね・・・・」
後輩レプリロイドは、冷や汗を掻きながら言う。彼は思わぬトラブルで機嫌が悪くなり、窓から顔を出して目の前の相手に怒鳴りつけた。
「ばっきゃろう!!どこ見て歩いていやがる!・・・・ゲッ!?」
しかし、相手の姿を見るや先輩レプリロイドは顔色を変える。全身が隠れたボロボロのローブに背丈よりも大きいであろう漆黒の大剣を背負ったレプリロイドは明らかに普通ではないように感じた。
「もも、も、もしかして、い、イレギュラー・・・・」
「先輩、まずいですよ!?」
二人は、抱き合いながら体を震わせる。この辺は狙うような鉱山や施設がないことからイレギュラーの遭遇率はほとんどないはずだ。しかし、目の前の男は只者ならぬ気配を感じる。
「せ、先輩。イレギュラーハンターに通報しましょうよ。」
「無茶言うんじゃねえよ、こんな荒野なんかにすぐ駆けつけるわけねえだろうが。あぁ、俺彼女もできていないのにこんななにもねえところで死ぬなんて・・・」
彼らは、今にもあの大剣で脳天から真っ二つにされるのではと怯えていると男は運転席の方にまで来て声をかけた。
「おい、すまないが途中まで乗せてもらえないか?」
「す、すいません。荷物は差し上げますんでい、命だけは・・・・って、えっ?」
男の予想外の言葉に二人は、抱き合うのをやめて改めて彼の方を見る。男は、困った顔をしながら語る。
「ここに来る途中、乗っていたマシンがイカレてしまったんだ。生憎、通信機も故障して使い物にならなくてな。なんとか乗せてもらえないか?」
実際、少し離れた車線脇に年季の入ったライドチェイサーが止められていた。どうやら嘘ではないらしい。
「そ、それなら別に構わねえけど・・・どこまで行くんだ?」
「シティ・アーベルまで行きたい。行かないなら近くで降ろしてもらっても構わん。」
「あっ、それなら僕たちも行くんで大丈夫ですよ。」
後輩が言うと男は、頭を下げて後部座席に乗せてもらう。見た目は怪しいが性格は意外に真面目そうでイレギュラーではないのは確かだ。トレーラーは再び目的地を目指して走り出す。
「しかし、あんなところでイカレちまうなんて危なかったなアンタ。この辺、イレギュラーは出ないけど車の通りがほとんどない。運が悪かったら少し前のスタンドで補給用車が来るまで3日いなくちゃならなかったぞ。」
先輩レプリロイドは、運転しながら後部座席の男に声をかける。男は、頷くと背負っていた大剣を脇に置く。
「すごい大剣ですね・・・・もしかしてハンターさんですか?」
「まあ・・・そんなところだ。」
男は、足を組みながら外の光景を眺め始める。
「街には何しに行くんだい?お仕事かい?」
「いや、少し前に離れた妹に会いに。」
「妹さんにですか?こんな緊急事態に会いに来るなんて驚きだな。」
三人は、さり気ない会話を楽しむ。意外にも男が気軽に話をしてくれるので二人は、先ほどまでの緊張が無くなって行った。
「そうか、仕事の都合で別れちまうなんて大変だったんだな。」
「あぁ。」
「でも、妹さんも大喜びなんじゃないですか?態々お兄さんが遠いところから駆け付けてくれるんですから。」
「そうだな。」
「そう言えば、アンタ名前は?」
会話を楽しんでいる束の間、先輩レプリロイドはまだ男の名前を聞いていないことに気づく。聞くと彼は、フードの下から目を覗かせながら答える。
「ネロ、ネロだ。」
「ネロ?どっかで聞いた頃がある名前だな・・・・・なんかハンターで」
「先輩、それはゼロさんですよ。ほら、あの赤いヘルメットに金髪の。」
「あっ、いっけねえ・・・・」
「すみません、ネロさん。先輩時々失礼なこと言うんで。」
後輩は、彼の方を見ながら頭を下げて謝る。
斯くして三人は、シティ・アーベルを車を走らせた。
妹を訪ねて三千里。