色んな意味で。
鏡面世界 メカトピア軍前線基地 会議室
「作戦変更なしってどういうことだ!?」
会議室に戻って来たヴェルデの言葉に対し、ロッソは思わず声を荒げる。
「大型兵器を投入した方が効果があるだろう!」
「その件に関して話したが今回の敵の動きはどうも怪しいとネロは読んでいる。だから、今まで同様虱潰しに攻撃を継続し様子を見るというのが彼の結論だ。」
「そんな悠長なこと言ってたら、総統閣下率いる第二陣が来ちまうぞ!頭の固い貴族階級時代の癖が未だに抜けてねえ上層部に俺たちの実力が本物だということを見せつける絶好のチャンスなんだぜ!?それをみすみす逃すって言うのかよ!!」
上官の決定事項を言われたにもかかわらず彼は、熱が入った状態で直訴しようとする。
「ロッソ、ネロも言っただろうが今回の計画はただの戦争ではない。効率よく、労働力となる人間と仲間であるこの星のロボットを如何にして手に入れるのかが重要なんだよ。本来なら効率の悪い作戦だと私も言うだろうが今回は彼の決定に賛成だ。ブルとオーロはどう思う?」
苛立つロッソを目の前にヴェルデは、的確に今回の目的を改めて言うと同時に部屋で寛いでいる同僚二人に意見を求める。巨体のブルは、言葉こそ発さなかったが体を上下に振るって賛成の意志を見せる。
「私は、別にどちらでもいいわ。近くの星ならともかくこんな僻地の星ですもの。下手に総攻撃しかけて兵力を消耗したらそれこそ笑いものよ。」
「っと、言うことだロッソ。残念ながらお前の意見を承認することはできない。ネロの次の命令が来るまで大人しくしていてくれ・・・・・それができないなら一週間ぐらいメンテナンスを受けて待ってても構わんがね?」
「うっ・・勘弁してくれ。」
ロッソは、納得できないもののその言葉を聞くなり顔を真っ青にして部屋を出て行った。彼の様子を見てオーロは、電子端末を閉じてため息をつく。
「あれであの馬鹿大人しくすると思う?」
「さあ?だが、ロッソの短気は今に始まったことではない。その内痺れを切らして独断行動をするかもしれないな。」
彼女の問いに対して、ヴェルデは呆れたように言い返す。互いに付き合いが長いこともあってお互いの短所も理解している。おそらく近いうちに何かしら大きなことを起こすに違いないと直感していた。
「まあ、その時は奴の独断と言うことで我々の責任にはならないだろう。」
「アンタね・・・」
「それに面白そうじゃないか。あの脳筋がどんな大胆な行動に出るのか?メカトピアの劇場で喜劇を見るよりも楽しめると思うぞ。」
「それで被害被るの私らなんだけど。」
ヴェルデの予想通り、ロッソは部屋を逃げて格納庫に行くやすぐに自分の部下たちを呼び集めていた。
「大型機動部隊の出撃準備をさせろ!!」
突然の大型兵器の投入に休息を取っていた兵士たちは、一斉にひっくり返る。
「お、大型機動部隊を!?」
「あぁ、動ける奴はどいつだ?」
「ブルタス、ダンチェル、グレイダーの三体です。」
「よし、三体を引き連れて敵の重要拠点に強襲を仕掛ける!!」
ロッソは、格納庫でロールアウトしている巨大兵器三体を見ながら言う。
「し、しかしネロ隊長の許可が!?」
「ネロへの許可なら後で俺が取る。」
「そ、それは命令違反では・・・」
整備兵たちは、このまま無断出撃させたら自分たちも責任を負わされかねないと感じ、慌ててロッソを止めようとする。しかし、今までの鬱憤と同僚にいい様に振り回されて腹を立てているのか彼は引き下がろうとしない。
「せっかく実践投入できるレベルに仕上がったんだ。出し惜しみをする必要はねえ。」
「ですが・・・」
「心配すんなって。てめえらは全力で止めたけどできなかったって言い訳しといてやるからよ。それにこれで成果を上げて見ろ?お前らの株も上がるぞ。」
「うっ・・・」
「それに敵はほとんど巨大兵器を投入してこないんだ。余程のことがない限り大丈夫だって。」
「うん・・」
自分たちの成果にもなるという言葉に整備兵たちは、思わず欲に駆られる。結局ロッソは、待機状態の大型兵器三機を起動させ、ゲートのある湖の方へと向かって行った。
「目標は、この星で最も勢力が大きい『イレギュラーハンター本部』だ!市街地から攻撃を仕掛けて人間共を炙り出す!!全員、俺に続け!」
「「「おぉ!!」」」
狙撃兵並びに地上兵たちは、のしのしと歩く大型兵器に続いて出撃する。
鏡面世界 ハンターベース
一方鏡面世界のハンターベースでは、エックスたちが配備されたことで防衛ラインを着々と整えていたところだった。
「最終防衛ラインの構築完了。ベース内の各重要施設の自爆装置の調整80%が終了しました!」
「第一防衛ライン65%、第二防衛ライン57%が完了!」
「郊外エリアの第三防衛ラインの構築が遅れているぞ!」
「ネオゲットマシン、いつでも出せるように最終チェック!!」
「イーグルにはミサイルポットの支援タイプ、ビームランチャーを取り付けた砲撃タイプは後方に回せ。ライデンはライデンⅡとの混成部隊を前線に配備。敵はいつ出るか分からん、警戒を怠るな!」
司令室に設置した作戦本部で一般ハンターたちが慌ただしく行動している中、エックスは屋上でシティ・アーベル全体を観察していた。
「・・・・」
「ここにいたか、エックス。」
そこへゼロがやってくる。数日ぶりの戦友の再会に彼の緊張した表情が少し緩んだ。
「ゼロ。」
「作戦本部に行ってもいないと思ったらこんなところにいるとはな。」
「少しでも気持ちを落ち着かせようと思ってね。君たちの方は大丈夫だったかい?」
「敵の様子を見ていただけだからな。だが、とんでもない連中だ。味方がいくらやられようとも助けもしないんだからな。代わりがいくらでもいると考えているのか・・・」
「それが鉄人兵団の恐ろしさだ。上層部のロボットたちは、おそらく部下を使い捨ての駒としか考えていない。この世界の奴らも例外じゃないかもしれない。」
エックスは、顔を顰めて街を見つめる。
「この世界の街は、誰もいないから壊されようが被害を受けることはない。けど、もし奴らが現実世界へ行く方法を自力で編み出したら・・・・」
「その時は一時大事になる・・・っと言ったところだな。指揮官の顔を遠くから見たが恐らく相当できる奴だ。いつ気づかれてもおかしくはない。」
「・・・・」
「まあ、暗い話はこのくらいにしよう。お前、マーティの傍にいてやらなくていいのか?ここに来てからほとんど敵が来ないかどうか見張っているそうだが。」
彼の言葉にエックスは、苦笑する。
「みんなの前にいるとどうしても怖い顔になっちゃう気がしてね。」
「アイリスも俺に気遣うことはあるが、お前も大概だぞ。レッドアラートの騒動の時なんか寝たきりの状態で心配させていたんだからな。」
「そ、それは・・・」
「ここは俺が見ておく。お前は、彼女の所に行って安心させろ。戦いが始まったら忙しくてそれどころじゃなくなるぞ。」
「・・・ありがとう。その言葉に甘えさせてもらうよ。」
エックスは、礼を言うと屋上から去って行く。ゼロは、その後姿を見送ると彼に変わって街を眺め始めた。
「全く、あんな大軍勢に一度とは言え立ち向かえただけお前は立派だよ。今まで多くの事件を切り抜けた俺でさえ、今回はどうなるか分からないって内心ゾッとしているというのに・・・正直、アイリスだけでも人間たちの護衛に回しておけばよかったぜ。」
「聞いてますけど?」
突然背後から声をかけてきたアイリスに彼は、一瞬飛び上がりそうになる。
「アイリス・・・いつの間に来ていたのか。」
「エックスと入れ違いでね。」
彼女は、驚いた夫の顔を見て満足したのか笑みを浮かべて言う。ゼロは、とんでもないことを聞かれたとばかりに顔を赤くした。
「人の本音を盗み聞きするとは反則だぜ。」
「フフフッ、ごめんなさい。」
アイリスは、笑いながら謝罪すると彼の傍に行く。
「でもね、ゼロ。いくら心配だからって私一人安全なところに置いて行こうなんて言うのはズルいと思うわ。」
「すまない。だが、お前もあの数を見ただろう?あんな大勢が現実世界で攻撃を仕掛けてきたら俺たちハンターはひとたまりもない。それに大切なものがいるなら少しでも安全な場所にいてほしいと考えるはずだ。」
「そうね。・・・でも、私にとっては貴方と離れ離れになって死ぬことが一番怖いと思うの。」
「えっ?」
彼女の答えにゼロは、目を丸くする。
「最近はそうでもなくなったけどゼロ、危ないときはいっつも一人でやろうとするんだもん。」
「そうか?」
「その度ボロボロになって帰ってくるし、集中治療室に運び込まれて修理を受けていたときなんてもしものことがあったら・・・・・って生きた心地がしなかったわ。」
「・・・・悪かった。」
事実であることから否定することができず、ゼロは顔を逸らしながら謝罪する。実際、思い返してみれば自分も人のことが言えない立場だった。
最初の戦いではVAVAのライドアーマーを道連れに自爆をして機能停止するし、レプリフォース大戦ではドラグーンの助けがなければマグマの中に沈んでいた。コロニー落下未遂事件でも彼女が割って入ってこなければフォルテと共に互いに倒れるまで戦っていたかもしれないし、レッドと決闘した際には本当に生死の境を彷徨っていた。
これで心配かけていないと言い張れるのはまず誰もいないだろう。
向き直るとアイリスは、不満そうに自分を見つめていた。
「私がいつもどれだけ貴方のこと見ているかわかる?」
「わかった、わかったからその責めるような目で見ないでくれ。」
「う~ん~どうしようかな~?」
彼の困った表情を見て彼女は、笑みを浮かべて考える。何か良からぬ要求をされるのではないかと内心ヒヤヒヤするゼロだが、屋上の入り口が空いたところで会話が中断する。
「ゼロ、ここにおったのか。」
やって来たのはワイリーだった。和んでいた空気が一瞬で緊迫した状態になるのではとアイリスは、ゼロの方を見る。しかし、当の彼はいつもと変わらぬ様子で対峙していた。
「ジジイ、アンタは現実世界の方で待機じゃなかったのか?」
「まあな。じゃが、一応お前たち二人に確認を取る必要があってな。」
「確認?何をだ。」
鉄人兵団への対策だと理解しているのかゼロは、警戒しながらも会話を進める。ワイリーは懐からカプセルに入ったクリスタルを取り出す。
「それは?」
「『超エネルギー元素』。かつて、ワシとライトで発見したロボットに無限のエネルギーを与える代物じゃ。これをお前たちの身体に組み込む。」
「組み込むだと?一体何のために。」
「鉄人兵団に対抗するための強化措置じゃ。奴らはこのクリスタルを動力源にしておる。出力自体は弱いが戦闘に限っては余程のことがない限りエネルギー切れを起こして倒れるということはない。つまり、実質稼働時間は無限なのじゃ。」
彼の言葉を聞いてゼロはふと味方を助けようとしない兵団の様子を思い出し、助けなかったのにはこんな理由があったのかと理解する。
「なるほどな。通りでボロボロの味方に目もくれなかったわけだ。そりゃあ、クリスタルが無事なら自力で帰れると考えるわけだ。だが、それなら俺一人でいいだろう。何故、アイリスにまで組み込む必要があるか?」
彼は組み込むことにこそ納得したものの、何故彼女までやる必要があるのかと疑問に感じる。しかし、これにもちゃんとした理由がある。
「お前とそこの小娘の身体には『パートナー回路』が組み込まれているじゃろう。だから、一緒に組み込めばより暴走するリスクが減るんじゃ。」
「暴走?おい、これ暴走する危険性があるのか!?」
『暴走』と言う単語を聞いてゼロは、態度を変える。実際、このクリスタルの制御は難しく過去に最初に組み込んだコサックナンバーズたちは一度暴走した。更に調子に乗ってフォルテが4つ組み込んだ際も暴走しかけた。完全に制御が成功したのはロックマン、シャドーマン。そして、再度組み込んだリングマンの3人のみだ。
「心配するな。100年前なら暴走する危険性が高かったが、今は技術が進歩しているおかげでリスクは最小限に抑えることができる。それに前線故にお前たちの身に何が起こってもおかしくないからな。そのための措置よ。」
「・・・・」
「ゼロ、私は貴方がいいというのなら構わないわ。でも、私が危ないからと言う理由で断るのはやめて。」
アイリスに言われてゼロは、少し考えこむ。
「・・・本当に暴走する危険性は低いんだな?」
「当たり前じゃ。あの馬鹿みたいに3つも4つも組み込むならまだしも1つだけならそんなことにならんわ!」
あまりにも疑われていることもあってワイリーは、顔を顰めながら答える。
「・・・少し考えさせてくれ。話は分かるがアンタに俺たちの身体をいじらせるのは抵抗がある。」
「フン、いいじゃろう。じゃが、あまり時間はないぞ。出来るだけ早く答えを出してくれ。」
そう言うと彼は、その場から去る。アイリスは、心配そうにゼロの顔を見た。
「ゼロ・・・」
「分かっている。ただな、身体に得体の知れないものを組み込むんだ。すぐにやろうなんて言えないだろう・・・ん!?」
ゼロは、思わず街の上空を見る。そこにはゲートの入り口が展開されており、中から何か巨大なものが出て来ようとしていた。
「あれってもしかして・・・」
「鉄人兵団の奴ら、人間が一人も手に入らないことに痺れを切らしてここに攻撃を仕掛けてきたか!」
二人は、急いで屋上から降り始める。
「アイリス、お前は作戦本部に行って状況を把握してくれ。」
「ゼロはどうするの?」
「相手がデカブツをぶつけてきやがったんだ。どうやら、ネオゲッターの出番が来たようだぜ。」
ゲットマシン訓練室
一方、同じ頃エックスは、目の前に出来事に困惑していた。
皆の所へ行こうとした直後に静香から連絡が入り、急いで訓練室へ来てくれと言われて急行した。しかし、その場には戸惑っているジャイアンたちとドラえもん。そして、気難しい顔をしているタチバナ博士と両方の鼻の穴にティッシュを詰めた顔が真っ赤なDr.ポチとDr.タマの姿があった。
何事なのかと周囲を確認すると訓練マシンの部屋の前に体をタオルで覆った半泣きのマーティとそれを慰めている静香がいた。
「えっと・・・・・これは一体どういう状況なの?」
彼は、周囲の気まずい空気に押されながらも原因を聞く。
「え、え、エックス君、その・・・なんと言えばいいのか今から30分前にマーティ君がこの部屋に来て『自分も訓練させてほしい』と言われて試乗させることにしたんだ。」
「最初のうちは、良かったんだワン。けど、途中から忠告を無視して加速し続けて・・・そしたら・・・・」
「身に着けていたものが加速Gに耐えられなくなって何もかも吹き飛んでスッポンポン・・・あぁ、思い出すだけでまた鼻血が出ちゃうニャン。」
タチバナ博士たちは、真っ青な顔でこの状況に陥った経緯を説明する。
つまり、マーティが少し前にこの部屋に来てゲットマシンの訓練をやらせてほしいと頼んで試乗させてもらった。
そこまではいいが徐々にスピードを強めたことで身に着けていたビキニアーマーが加速Gに耐えられなくて吹き飛び、訓練室にいた職員全員にその瞬間を見られてしまったという事らしい。Dr.ポチとタマが鼻にティッシュを詰めているのもその瞬間を目撃して鼻血を吹き出したからのようだ。彼女本人が忠告を無視したことも一因だが流石に全裸になる瞬間を見てしまったことで全員がそれ以上の罪悪感に駆られていた。
エックスは、呆れると同時に自分が不甲斐無いばかりに彼女にこんな思いをさせてしまったと痛感し、顔を押さえる。そんな彼の様子にドラえもんは、心配そうに声をかける。
「の、のび太くん・・・・」
「大丈夫だよ、ドラえもん。心配いらないよ。」
エックスは、ひと呼吸おくとその場にいる職員たちを安心させようと動く。
「みなさん、どうも家の妻がご迷惑をおかけしました。後は俺から言っておくので皆さんは自分の部署に戻って作業を再開してください。」
彼に声をかけられると各所員は戸惑いながらも次の作業のためにその場から離れて行った。Dr.ポチとタマは一番責任を感じたのか去る間際に二人に深く頭を下げて行った。ドラえもんたちもこの場は、エックスに任せるべきだと判断し二人のことを心配しながらも立ち去る。
二人きりになったのを確認するとエックスは、縮こまっているマーティの元へと歩み寄る。当の彼女本人は、新たな黒歴史を作ってしまったことに余程のショックを受けているのか一言も発さない。
「・・・」
「・・・『何でこんな無茶したんだい?』って、言うところだけど俺があまりみんなと顔合わせしなくなったことを気にして頑張ろうとしてくれたんだよね?ごめん。」
彼は、妻を抱き寄せて宥めながら謝罪の言葉を述べる。
「俺も正直傍にいたら却って余計に心配をかけさせてしまうんじゃないかと思っていたんだ。自分でもわかるぐらいすぐに顔に出るし。・・・でも、余計に心配かけさせただけだったよ。負担が大きいゲットマシンの訓練をやるように仕向けることになってしまったんだから。」
「み・・・見られた・・今度は大勢に見られた・・・もう生きてけない・・・・・」
話は聞いているようだがマーティの方は、先ほどの職員全員にありのままの自分を見られたことで泣き続けていた。
「もう、エックスの傍にいられないほど汚されてた・・・・離婚届出して人気の付かない山奥にでも移住して隠居します。」
「だ、だ、大丈夫だって!?汚されていないから!!みんな悪気があったわけじゃないし、謝っているから!!俺はそんなことで嫌いにならないから!!」
「うぅう・・・」
「俺のパートナーは君だけだよ!この世界でたった一人のお嫁さんです!!愛してるよ!!離婚なんかしないし、ずっとそばにいる!!だから・・・・」
どんどんネガティブ思考になる彼女に対して、エックスは全力でフォローを入れる。このままだと自分からスクラップ工場に行ってプレス機に身を投げかねない。お姫様抱っこをしながら彼は、どうにか立ち直らせようと必死にあやす。
<鉄人兵団襲来!!巨大兵器三機がハンターベースにめがけて進行中!!ゲットマシン、発進準備せよ!繰り返す、発進準備せよ!!>
警報と同時にゲットマシンの発進要請が館内放送で流れる。嫁と仕事に挟まれ、エックスはどっちを選ぶのか迫られる。
「えっと・・・えっと・・・・」
「グスグス・・・」
マーティは今だに立ち直る様子がない。かと言ってこのまま彼女の部屋に行って新しいアーマーを着せる暇もない。敵が進行している中、エックスは気が触れたのかなんと彼女を抱えたまま格納庫へと走り出す。
「あ~~!!もう、このまま行きま~す!!」
「うっ、うっ・・・えっ?」
彼の思わぬとんでも行動に泣いていたマーティも思わず、声を漏らす。
ハンターベース 格納庫
「敵大型兵器、第二防衛ライン突破!!このままでは第一防衛ラインも突破されます!!」
「ゲットマシンに火を入れろ!いつでも発進できるように隊長たちが来る前に!!」
市街地を壊しながら移動してくる巨大ロボット三機をモニター越しで確認しながら整備スタッフたちは各ゲットマシンのチェックを急ぐ。
「動かせるか!」
先に到着したのはゼロだった。スタッフの一部は、彼に敬礼するとすぐにネオジャガー号の方へと誘導する。
「プラズマエンジンの調子は快調です。ただ、練習機のデータをそのままインストールしたので最適化は戦闘中に行う必要があります。」
「それぐらい、俺たちで何とかするさ。エックスとシャドウは?」
「シャドウさんは、第一防衛ラインの守備に回っていますがすぐにこちらに駆け付けるはずです。エックス隊長の方は・・・・」
「どいた、どいた~!!」
機器をいじりながら聞いているのも束の間、エックスの声が近づいてくる。
「来たかエックス・・・・お、お前・・・・何してるんだ?」
コックピットから顔を出したゼロは、目の前にいる彼の姿を見て整備スタッフ共々驚愕する。
何しろタオル一枚でその下が全裸のマーティを抱えたエックスがその場にいるのだから。
エックスは、顔を赤くしながらネオイーグル号の方へと向かう。
「あのう、エックス隊長。副隊長と何が・・・」
「ちょっと色々あってな。気にしないでくれ。」
彼は、そのまま彼女を後部座席に乗せてコックピットの操作を始める。
『お、おい、エックス。お前まさかマーティも乗せて出撃する気か?』
「今、色々ゴタゴタしてそれどころじゃないんだ。早く出よう。」
『いや、それ以前に何で彼女がはだ・・・』
「うわぁ~!!頼むから何も聞かないでくれ~!!!」
『お、おぉ・・・』
彼の悲痛な叫びに対してゼロは、思わず引く。後ろからちょこっと顔を出すマーティの表情を見る限り、少なくとも意図的なものではないようだ。
「ネオイーグル、ネオジャガー、発進OK!」
「第一防衛ライン突破されました!最終防衛ラインまで迫っています!!」
「シャドウさんが間もなくこちらに到着します。」
敵はもうハンターベースのすぐ近くにまで迫っていた。二機のゲットマシンは、ジェット推進機に火が付き今にも飛び立とうとしている。
「エックス、シャドウは後で合流する。先に出て時間を稼ぐぞ。」
「あぁ。」
「ちょ、ちょっと待っ・・・」
流石にこのまま発進したらまずいことになると感じ、マーティが声をかけようとするがもう手遅れだった。
「「ネオゲットマシン、発進!!」」
二人の掛け声と同時にマシンは勢いよく発進し、その衝撃はコックピットを襲う。彼女は唯一身に着けているタオルが吹き飛ばされまいと必死に押さえる。
「もう嫌!今日、災難ばっかり~!!」
格納庫から発進されたゲットマシンが市街地へと飛んで行く。
「・・・・二機が飛んで行ったな。っということは一機はガラ空きと言うことか。」
ビッグアームの操縦席から双眼鏡で覗き込むVAVAは今が好機とばかりに密かにハンターベースへと移動していく。
「飛んでもねえ敵と戦っているようだが、俺にはそんなこと知ったこっちゃねえ。頂いて行くぜ、あの巨大メカニロイドのパーツをな。クックククク・・・・」
メカトピア側の巨大兵器、実はある作品のロボットが元ネタです。