鏡面世界 シティ・アーベル
「ハッハッハッ!どうだ、見たか我が軍の巨大兵器群の威力は!そんじょそこらの乗り物とは桁が違うぜ!!」
三機の巨大兵器の暴れっぷりを見てロッソは、これまでの鬱憤が吹き飛んだかのように笑う。迫りくる三機に対し、地上にいるライデン・キメラの混成部隊が迎撃を行うが特殊装甲でできているのかまるで歯が立たなかった。
「焼き払え、グレイダー!」
彼の指示で闘牛のような二本角を持ったロボットが口から火炎を吐きながらライドアーマーを溶かして進んでいく。もう一機の方は飛んでくるイーグル部隊の攻撃を胸部にある2個の巨大ダイヤモンドから発せられる光線で吸収、格子状の口部からビームを発射して一斉に撃ち落としてしまった。
「ダンチェル、前進!!」
最後に残された頭部に一本角を生やした四足歩行のロボットは壊された市街地の前にまで歩くと一旦停止、胸部の装甲を開き、中から待機していた地上兵、狙撃兵たちが次々と降りてくる。
「くまなく探せ!これだけの街なら人間の一人か二人はどこかに隠れているはずだ。攻撃を仕掛けて炙り出せ!!」
「狙撃兵は、基地へ攻撃!敵ロボットの戦力を無力化しろ!!」
しかし、展開された狙撃兵の一部が飛んできたミサイルで撃ち落とす。飛んできた方を見ると今まで情報がない二機の戦闘機がこちらに向かってきていた。
「なんだあの戦闘機?今まであんなタイプ確認してねえぞ?」
二機の戦闘機はミサイルとバルカン砲を撃ちながら向かってくる。
「ブルタス、お前の栄養源だ。吸収しろ!」
ロッソの命令でブルタスと呼ばれた巨大ロボットは胸部からダイヤモンド光線を発射。戦闘機のミサイルは、光線に命中すると瞬く間に分解され、吸収されてしまう。更に左手に取り付けられている巨大鎌で斬りつけようとした。
「クッ!」
エックスは、バンドルを回してネオイーグル号の態勢を斜め横に変える。おかげで鎌を避けることはできたが後部座席に座っているマーティは、それどころの騒ぎではなかった。
「エックス、もっと安全に操縦しなさいよ!?危うく上にぶつかりそうになったじゃない!」
彼女が慌てるのも無理はない。何しろ、後部座席は元々人を乗せることを考慮していないためシートベルトがないのだ。つまり、反転でもすればマーティは操縦席のあちこちにぶつかり放題と洒落にならない。
「そんな無茶なこと言わないでくれ。あわあ、また来た!?」
今度は、ダンチェルの角から発せられる放電攻撃に襲われる。急上昇するが今度は浮かび上がり、彼女は必死にタオルの下を押さえる。
「見えちゃう見えちゃう見えちゃう!?アンタ、自分の嫁をなんだと思っているのよ!?」
「元はと言えば君の無茶から始まったことだろ!?」
態勢が戻ると同時に二人は言い合いを始める。そうしている間にも鉄人兵団はハンターベースを目指して進行を続けていた。
「よくわからねえがあんな雑魚を相手にする必要はねえ。グレイダー、お前は狙撃兵部隊を連れたままハンター基地を叩き潰せ!ダンチェルはこのまま部隊を展開し、周囲を制圧!ブルタスは、そのまま戦闘機共の相手をしてやれ!!」
ロッソは、飛んでグレイダーの肩に飛び移ると狙撃兵部隊を連れてハンターベースを目指して行く。残されたブルタスは格子から光線を発し、ネオゲットマシンを撃ち落とそうと動き出す。
「まずいぞ、奴ら俺たちを無視してハンターベースを直接叩く気だ。やはり、三機揃わないと・・・・」
『元はと言えばアンタが心配かけるからこんなことになったんでしょうが!』
『でも、君だって博士たちの忠告を無視してただろう!?自業自得じゃないか!!』
「おい、お前ら」
『第一何で一緒に乗せるのよ!?こんなんでカメラ越しで見られたら猶更恥かくじゃない!!』
『じゃあ、あのまま訓練室に置いて来ればよかったのか?自分のことをほっといて戦場に行く冷たい夫の方がよかったって言うのかい?』
『そんなこと言っていないでしょうが!せめて、着替えぐらい取りに行きなさいよ。この変態旦那!!』
『自分から事件起こしといてその言い方はないだろ!この変態嫁!!』
『誰が変態よ!?』
『君が先に言ったんだろ!!』
『何を!!』
「お前らいい加減にしろ!!こんな大事な時に狭いところで喧嘩するな!!」
通信越しで聞こえてくる二人の喧嘩に対し、ゼロは頭を押さえながら怒鳴る。しかし、二人には全く聞こえていないようだった。
「ダメだ・・・熱が入っちまっている。シャドウの奴もまだ合流していないようだし・・・間に合うのか?」
ハンターベース 格納庫
「敵ミサイルの射程に入り始めました!」
「シャドウはまだ来ないのか!?」
「現在最終防衛ラインからハンターベースに到着、こちらに向かっています。」
敵の攻撃がとうとうハンターベースにまで届こうとしている中、格納庫の整備班はシャドウの到着を待っていた。
「ちくしょう、まさかいきなり巨大メカニロイドを三機も投入してくるなんて。」
「果たしてネオゲッターロボで勝てるのか?ライドアーマーの部隊でも敵わなかったのに。」
「エックス隊長たちが操縦するんだ。おそらく大丈夫なはずだ。」
爆発による振動で格納庫一帯が揺れる。敵はもう間近に迫っている証拠だ。
「遅くなってすまない!」
そこへ前線の守備から戻って来たシャドウがようやく格納庫内に入って来た。
「遅いですよ、シャドウさん!」
「戦況は?エックスたちはどうなっている?」
シャドウは、ネオベアー号に近づきながら整備員たちに状況を確認する。
「先にゼロ隊長と二機で出撃しましたが一方的に不利です。」
「そうか。なら、急がなくてはな。」
彼は、すぐにでも出撃しようとネオベアー号に手をかけようとする。
ところがその直後狙撃兵部隊によるミサイルが格納庫に命中し、周囲は爆発に巻き込まれた。
「「「うわあぁああ!?」」」
「うおっ!?」
シャドウはスタッフ諸共爆風に巻き込まれ、格納庫の崩壊に巻き込まれる。
司令室
格納庫の崩壊は司令室からも確認できた。
「アワワワ、まずいニャン!!」
「あの様子じゃ中は大惨事なんだワン!?」
Dr.ポチとタマは、半壊している格納庫の様子を見ながらパニック状態に陥る。対してタチバナ博士は、額に冷や汗を流しながら無言になっていたがまだ生存者がいる可能性も考慮してすぐに対応しようと動き出す。
「すぐに救助隊を編成して向かわせてくれ。ミサイルは確かに直撃したがあの崩壊から考えて生存者がいるはずだ!」
彼は、近くのオペレーターに声をかけすぐに部隊を向かわせようとする。
「待て、下手に部隊を動かして被害が出たら元も子もないぞ。」
そこへセカンドナンバーズを引き連れたワイリーが部屋に入って来て部隊派遣に待ったをかける。
「Dr.ワイリー。」
「もう、地上部隊の一部がハンターベースの敷地に入ろうとしておる。防衛線が保てなくなっている以上、撤退を視野に入れる必要がある。下手に送ると逃げ遅れる危険性があるぞ。」
「しかし、このまま彼らを見殺しにすることはできない!」
「別に見捨てるとは一言も言っておらん。要は少数精鋭で短時間で救助した方がいいと言っておるんじゃ。」
彼は、タチバナ博士にそう言い聞かせると部屋にいたアイリスの方に行く。
「アイリス、お前はセカンドナンバーズを連れて現場に向かえ。その方が被害が少なくて済む。」
「えっ?わ、私がですか?」
アイリスは、戸惑った様子で後ろにいる彼らを見る。元々セカンドナンバーズは好戦的で粗暴な一面があるため、苦手意識を感じてしまうのは仕方のないことだ。そのことに気づいたのかメタルマンは、彼女の前に来て一言述べる。
「心配するな、俺たちは異星のロボット共にやられる気など更々ない。ちゃんとお前と生き埋めになった連中をここに返してやるよ。」
「は、はい・・・」
「なあに、いざってときは俺たちが恐怖って奴を教えて追い返してやるよ。ヒヒヒッ、ワイリーロボの恐ろしさをな!」
一行は急いで格納庫へと走る。
格納庫
半壊した格納庫では既に狙撃兵数名が人間を求めて侵入していた。
「人間はいたか?」
「いや、気を失って下敷きになっているチキュウのロボットばっかりだ。」
彼らは、気を失っている整備班たちを一か所に集めながら周囲を探し回る。
「おい、こっちに意識がある奴がいたぞ。」
行ってみるとそこには近くにいた整備兵を庇ったのか左腕を失ったシャドウが抵抗するように身構えていた。
「無駄な抵抗はやめろ、チキュウのロボットよ。我々、鉄人兵団の傘下へ降りるのだ。」
「クッ!」
左腕のレーザーエッジが使えないため、背中に装備されている大砲『雷牙』を使うしかないが近くにいる整備班を巻き添えにする危険性がある。狙撃兵たちも彼の大砲に警戒しているのかうまく懐柔しようと試みる。
「なあ、悪い話じゃないんだぜ?俺たちに付けばロボットは全員国民として扱われる。それだけじゃねえ、人間たちのいる場所を教えれば総統閣下から恩賞が与えられる。つまり、一定の地位を授けられるってわけだ。どうだ?悪くないだろう?」
「・・・・」
「お前らだって人間にこき扱われて嫌気が差しているだろ?なっ、ここは俺たちの話に乗って・・・・ウギャッ!?」
「「!?」」
「なっ!?」
その瞬間、交渉を持ち掛けた狙撃兵の頭が撃ち抜かれる。彼は勢いのままその場で倒れる。
「き、貴様!?」
「ち、違う俺ではな・・・」
「ガッ!?」
彼らは、仲間が来たのではと周囲に銃口を構えるが次々と何者かによって体が貫かれて行く。シャドウは一体何が起こったのか分からなかったが逃げようとした狙撃兵が目の前で掴まれたことで正体が分かった。
「な、何者だ貴様!?」
「何者だぁ?人様の乗り物ぶっ壊しといてよくそんなことほざけるな。」
VAVAは、掴んでいる手に力を入れながら苛立った声で狙撃兵に答える。右手にライフルを持っていることからどうやら彼が狙撃兵たちを撃ち抜いたらしい。狙撃兵は、顔が彼の指で凹んでいくのを苦しみながら抵抗する。
「貴様、こんなことしていいと思っているのか!?我々は『神の子』なんだぞ!?これからこの宇宙を天国のような世界にするための存在なんだぞ!?それを・・・」
「『神の子』?へっ、生憎オカルトには興味ねえんだ。ただこれだけは分かる。てめえらは、俺のとって邪魔だということはな!!」
「ブベッ!?」
頭部が握りつぶされ、狙撃兵は力なくその場で崩れる。シャドウは、次は自分がターゲットになるのではと雷牙を展開しようとする。
「そんな体で俺と張り合おうってか?悪いがお前の相手をする気はねえ。」
「何!?」
VAVAは、ネオベアー号を見る。
「俺が欲しかったのはコイツだからな。ビッグアームもさっきのミサイルで壊れちまったし、助けてやった報酬としてもらっていくぜ。」
「き、貴様!今どういう状況なのか分かっているのか!?」
シャドウは、近くに落ちていた自分の左腕を掴んでビーム刃を形成して挑もうとするがふらついて跪いてしまう。
「うぅ・・」
「馬鹿が。自分の身体のダメージも把握できていないとは最近の上級ハンターは甘いな。これもどこかの甘ちゃんハンターの影響か。」
VAVAは、彼を見向きもせずネオベアー号を奪おうと近づく。そこへセカンドナンバーズを引き連れたアイリスたちがやって来た。
「シャドウ、大丈・・・ってVAVA!?貴方何故ここに。」
「どこにいようが俺の勝手よ。悪いがお前たちの兵器は頂いて行くぜ、ゼロにいい手土産ができたってもんだ。」
「俺たちを相手にしてでもか?」
メタルマンがメタルブレードを構えると同時にワイリーロボたちは、各々の武器を展開する。
「ほう、時間がない状況で俺とやり合おうというのか?一度敗れた雑魚どもが。」
「うるせえ!今度はタイムストッパーで動けねえようにしててめえをスクラップにしてやる!!」
言い方が気に喰わなかったのかフラッシュマンは、バスターを展開する。しかし、先に開放されてたシャドウが動く。
「待て。」
「お、おい・・・」
彼は、フラッシュマンを下がらせるとVAVAの前に立つ。
「ネオベアーは、俺の識別認証で動かせるようになっている。貴様一人では動かせんぞ。」
「なら、お前をここで潰して識別コードを奪ってやろうか?」
「やれるものならやるがいい。だが、この場から逃げれば貴様は一生負け犬のままだ。」
シャドウの言葉に反応したのかVAVAは、ライフルの銃口を彼の頭部に向ける。アイリスたちは、慌てて止めようとするがVAVAの背後に整備員たちがいるため迂闊に手が出せない。
「負け犬だと?」
「俺は田舎者だが貴様のことに関してはアーカイブでしか見たことがないがこれだけは分かる。エックスに二度も負けたとな。」
「・・・・」
無言になるVAVAを見て自分の狙い通り行ったと判断したのか彼はさらに言葉を続ける。
「お前はエックスと決着をつけたかったんだろう?だが、当のエックスはこの戦いで死ぬかもしれん。貴様がゲットマシンを奪うことによってな。」
「だから、どうした?」
「いいのか?見知らぬ敵に自分のターゲットを奪われて。確かにエックスとゼロの実力は全ハンターから見ても最強だ。同じランクでも俺は足元にも及ばない。だから、同じパイロットに選ばれたときは短期間で乗りこなせた二人を見て嫉妬を感じた。でも、同時にこんな俺でも二人と共に戦えるのだと嬉しくもあった。」
「御託はどうでもいい。はっきり言え。」
もう、狙いを察したのかVAVAは、銃口を下ろしてシャドウに問う。
「見ての通り、俺はこの様だ。腕が取れ、体のあちこちがイカレて満足に戦うこともできない。おそらくマシンの操縦なんて以ての外だ。不服ではあるが背に腹はかえられない。」
シャドウは、悔しい表情をしながら彼の前に膝をついて頭を下げる。
「俺の代わりにコイツに乗って共に戦ってくれ!イレギュラーに頭を下げるのは屈辱的だが代わりのパイロットはもういない!!奪うのはこの戦いが終わってからでも構わない。頼む!!」
「シャドウ・・・」
「アイツ・・・」
彼の行動にアイリスたちは、その悔しさを察する。VAVAは、しばらく無言になるが舌打ちをするとライフルをしまってから頭を下げている彼を掴んで起こす。
「グッ」
「俺をイラつかせた上に奪おうとした物であの二人と戦えとは随分都合のいい要求をしてくるじゃねえか?俺がハンターの頃ならお前は間違いなく撃たれて無駄死にだったぜ。」
「・・・・(やはりだめか)」
「・・・だが、訳も分からねえ他所者にあの二人がやられるのは許さねえ。特にあの甘ちゃんに関してはな。」
そう言って起こすと彼はネオベアー号の方へと歩いて行く。
「早く認証コードを解け。てめえは後ろで操縦の仕方だけ教えろ。後は俺が勝手にやる。」
「あ、あぁ!」
二人は、急いでネオベアー号に乗り込む。
「そこのボタンを押して推進機を動かしてくれ。」
「これか。」
「後、左のレバーを下に下げるんだ。カタパルトがさっきの爆発で使い物にならなくなってしまった。直接上に上昇するしか・・・・」
「フン、最近の物の割には随分癖の強いマシンじゃねえか。」
ネオベアー号は、そのまま上に固定されまるでロケットの発射台のような態勢に入る。
「緊急上昇と同じ方法だからかかるGが半端じゃない。気をつけて操作を・・・」
「上等だ。」
VAVAは、そのまま発進レバーを引く。
市街地
市街地では、ネオゲットマシン二機が苦戦していた。地上部隊は既にダンチェルから全て排出され、侵攻を進めているグレイザーを除いて二体の巨大ロボットを相手にしなければならなかった。
ダンチェルは、尾から液体窒素の冷凍液を飛ばしてネオイーグルのジェットに命中する。
「しまった!?」
煙を吹き出して墜落しようとしている中、エックスは急いで補助推進機を動かして高度を維持しようとする。ところが上がろうとしたのも束の間、ブルタスの光線がコックピットに直撃する。
「危ない!!」
彼は咄嗟にマーティを伏せさせて自分が盾になる。イーグル号は、そのまま破壊された道路に不時着する。
「エックス!?」
ゼロは、急いで救助をしようとするが二体の攻撃で阻まれてしまう。
墜落したイーグル号の中ではマーティが頭を押さえながら意識を取り戻した。
「あいたた・・・あっ!?タオル?タオル!?」
タオルが剥がれていたことに気づいて急いで辺りを見回す。幸い壁の端に引っかかっていた。
「もう!危うく三つ目の黒歴史ができるところだったじゃない!!エックスのせいよ!!エッ・・・・」
タオルを取ろうと手を伸ばした時、彼女は自分の目の前に青いヘッドパーツが転がっているのに気が付く。視線をゆっくり前のコックピットに移すと何の反応もなかった。モニターではゼロが呼び掛けていた。
『エックス!おい、エックス!!大丈夫か!?機体の方は動かせるか?返事をしてくれ!!」
「・・・・」
マーティは、タオルを体に巻きなおしながら前に行く。そこにはエックスがいた。
「う、うぅ・・・・」
エックスはぎこちない様子で手を動かし、通信機のボタンを押して返事をする。
『エックス、繋がったか・・・って、おい!マーティ、こっちに後ろを向けるな!見えるだろうが!?』
モニター越しにゼロは、思わず顔を赤くして叫ぶが彼女の様子がおかしい。よくも覗いてみるとそこにはエックスの痛々しい姿が見えた。
「ぜ・・・・ゼロかい・・・?き、機体は・・・・まだ動くみたいだよ・・・・ただ・・・・」
その姿にマーティが泣き顔になっているがそんなこと今の彼は、知る由もない。
「お、俺の方が壊れちゃったみたいだ・・・・」
エックスの顔は、焼かれた上に無数のガラス片が突き刺さって重傷だった。更に光線を直に受けた影響で目が霞み、視力が失われているように思われる。
「エックス・・・」
「マーティ・・・無事かい?ごめん・・・・今、目が見えないんだ・・・」
目の前にいるにも関わらず、エックスは後ろの方を向いて声をかける。敵の攻撃を直接受けたこともあってかなり衰弱している。マーティは、彼の手を取って自分の胸元に触れさせる。
「アタシはここ・・・・ここにいるわ・・・」
彼女は、泣きながら言う。エックスは、無事を確認できたのか安堵の表情を浮かべる。
「悪いけど・・・・自動操縦のボタンを押してくれないかい?」
彼の言う通りに自動操縦のボタンを探すと先ほどの墜落で壊れてしまっていた。他の細かい機器も故障しており、自動操縦は到底出来そうもない。自分を庇わなければここまでの怪我を負わなかったのにとマーティは、ボロボロの彼を優しく抱きしめる。
「ごめんね、アタシのこと庇ったばかりに・・・」
「は、ははは罰が当たったんだよ・・・。」
謝罪する彼女に対してエックスは、苦笑しながら答える。モニター越しのゼロは、その痛々しい光景に複雑な心境になるが何を見たのか表情を変える。
『エックス、ベアー号は発進したぞ!シャドウの奴、ようやく乗ったようだ。』
「そ・・・そうか・・・・」
エックスは、覇気のない声で答える。このままだと流石の彼でもまずい。マーティは、意を決したのか席をスライドでずらし、彼の前に座って発進準備を進める。
『マーティ、お前何をしようとしているんだ?』
「見ればわかるでしょ、発進準備しているのよ。」
『いや、お前その格好で・・・・・』
「もう、変態でも何でもいいわよ!!好きに呼びなさいよ!!早くしないとエックスが死んじゃう・・・・・」
彼女は、泣きながら操縦桿を握る。ここまで来るともう止めようがないと感じたのか、ゼロは最後に一言確認をする。
『操縦の方は大丈夫なのか?』
「合体は、シミュレーションでしかやったことないけどGに関しては問題ないわ。」
『・・・・そうか。ベアーと合流して合体するぞ!』
発進準備が整うとマーティは自分のすぐ後ろで意識が朦朧としているエックスをしっかり自分の後ろにくっつけるように固定する。
「エックス、少し我慢していてね。必ず助けるから。」
彼女は、レバーを引いてイーグル号を再発進させる。コックピットの窓が割れていることもあって凄まじい風が彼女を襲い、折角巻き直したタオルが剥がれそうになるがそんなことは気にしない。一刻も早くエックスの手当てをしなければならない。
しばらく飛ぶとネオジャガー号の姿が見えた。
『うまく来られたか。初の実戦でネオゲッター1を操作するのはお前にとって荷が重い。ネオゲッター2で行く。』
「分かったわ。」
『シャドウの方も構わないな?』
『誰がシャドウだ。』
「『!?』」
合流してきたネオベアーから聞こえる声に二人は、驚愕する。
『この声はまさか!』
ゼロは、ネオベアーの映像に切り替える。そこには本来操縦するはずのシャドウの姿はなく、VAVAの姿があった。
『VAVA、お前どうしてそこにいるんだ!?』
『態々合流してきてやっているのにその口の利き方は気に入らねえな、ゼロ。せっかく来てやったんだ。礼ぐらい言えよ。』
彼の反応に対してVAVAは、不機嫌そうな態度を取る。マーティは、これはまずい事態ではないかと緊張が走る。
「も、もしかしてアンタ、シャドウを・・・・」
『お、俺は後ろだ・・・』
後ろの席からシャドウが身を乗り出して顔を見せる。彼の姿はエックスと並んで痛々しく、ゼロは思わずVAVAに疑いの目を向ける。
『お前、シャドウに何をした?』
『別に大したことじゃない。コイツに代わりに操縦してくれと言われて乗っているだけだ。それとも何か、俺が脅して乗せたと思っているのか?』
『イレギュラーの言っていることを信用できると思っているのか?』
『ゼロ、奴が言っていることは本当だ。』
『そう言うわけだ。お前らが他の意味の分からん連中にやられるのは気に入らない。分かったら、さっさとやり方を教えろ。』
二人の言葉にゼロは、疑惑を払拭しきれないものの現在の状況を打開するために今は信じるしかないと考えた。もし逃げようとするならその時は撃ち落とせばいい。そう決めると彼はすぐに行動に移る。
『・・・今からネオゲッター2にチェンジする。お前は、俺とイーグルの間に入れ。レバーを引くと同時に音声入力をすれば後は俺が動かす。』
『フン、いいだろう。早く片付けるぞ。』
三機のゲットマシンは上空に急上昇し、隊列を組む。
『マーティ、俺が叫ぶと同時にレバーを引くだけでいい。その後は操縦機器の下の非常用の修理キットが入っている。それでエックスの応急手当てをしておけ。いいな?』
「えぇ。」
『VAVA、途中で気が変わって離脱しようとするなよ。そんな事すれば三機揃って空中分解でおさらばだからな。』
『うるせえ。』
『いくぞ、ゲッターチェーンジッ!!』
叫ぶと同時に三機は順次に連結合体し、地上に向かって急降下する。
地上では突然上空へと飛んで行った三機をロッソが呆然と見ていた。
「なんだったんだあの三機?合流したかと思ったら空の果てに飛んで行っちまいやがった。・・・まあ、あの様子じゃ逃げたんだろうな。さて、ブルタスも自由になったんだしそろそろ三機で総攻・・・・」
その直後、何がが振動を起こしながら墜落してきたと同時に何の前触れもなく先に先行していたグレイザーが爆散した。
「えっ?」
彼は、一瞬何かが来たかと目を丸くするが今度は目の前にいるダンチェルが地中から突き出る何かに胴体を貫かれ、押し上げられた末に機能停止する。アスファルトの下からは両腕がドリルになっている細身のロボットが地中から顔を出していた。
「な、なんだ・・・コイツ!?」
突然の出来事にロッソは唖然するがロボットは、その隙も逃さずダンチェルを投げ捨て急接近して待機状態のブルタスに向かって行った。
翌日 ???
「うっひょっひょ~!コイツはめっけもんじゃわい!あの連中、一体どこでこれを取っているのやら。」
誰も知らぬ研究室では、また今日も老人がハッキングした映像を見ていた。彼は、嬉しそうに笑いながら映像を見ている傍ら何か物騒なものを組み立てている。そこへ青年が部屋に入って来た。
「博士、今度は何を見ておられるんですか?」
「おぉ、例のアルバートの若造がいるロボット共の巣窟のコンピューターベースのデータを確認していたら、昨日の映像があったんでな。お前さんも見るか?」
老人は、ニヤニヤしながら青年に映像を見せる。青年は映像を見るや表情を変える。
「これは・・・・ゲッター・・・」
そこには誰が取ったのかは不明だが鉄人兵団の巨大兵器を瞬殺するネオゲッター2の姿があった。青年は、驚くのと同時にどこか懐かしいものを眺めているかのような目でその戦い様を見終えるとしばらく無言になる。
「・・・これは、本当に戦闘の映像なんですか?」
「うむ、画像の粗がないかどうか穴が開くほど調べ尽くしたが間違いなく本物じゃ。」
「この戦闘の場所は?」
「シティ・アーベル。破壊された街の形状が一致しておる。ただ、文字が全部左右あべこべになっておったがのう。」
老人の言葉を聞くと青年は、首をかしげる。
「妙だ。ここ数日の世界情勢を確認したが戦闘が行われた痕跡は確認されていない。このシティ・アーベルも昨日の段階でイレギュラー発生情報すら出ていない。なら、この映像はどこで・・・・」
青年は、もう一度映像を確認する。
現れた瞬間、そのスピードを殺さないで最初の相手をドリルからビーム刃を発生されて一刀両断。その後、爆発する前に地中へ潜って二体目を胴体から貫いて破壊。最後の機体は、ドリルを飛ばして最大の武器である胸部武装を破損させ使用不能にした上で止めを刺している。
その動きはかつて自分が得意にしていた戦術によく似ていた。
(並の人間なら地上に衝突した瞬間に骨格や内蔵がグシャグシャになって即死のレベル、その後の戦闘に関しても強化服を身に付けたとしても耐え切れる者じゃない。こんな無茶な戦闘をするのは俺たちぐらいだと思っていたが・・・これも時代の流れか。人からロボットへ、『運命に逆らうのも運命』の結果がこれか。竜馬、これがお前が選んだ答えなのかもしれんな。)
青年は、思わず苦笑する。
「フッ、あのゲッターのパイロット・・・面を見ておく必要があるかもしれんな。」
もう名前隠す意味が・・・