鏡面世界 メカトピア軍前線基地
「命令に逆らって独断行動を起こすとは考えていたが・・・まさか、巨大兵器を投入して三機とも破壊されるとはな。」
格納庫でヴェルデは、無残に破壊されたブルタスら巨大兵器の残骸を見ながらロッソに声をかける。周りの作業ロボットは、気まずそうに彼を見つめていたが当の本人は今だにネオゲッターロボに敗北したことを引きずっていた。
「・・・・」
「もし、ここが最前線でなかったら今頃お前は軍法会議にかけられて最悪降格されて僻地に飛ばされるところだったのだぞ?ネロも知らない内に外出してしまったから私が代理としてお前と話しているが・・・・って、ロッソ。私の話を聞いているのか?」
「・・・負けた・・・」
「ダメだな、これは。訳も分からず敗北したのが余程ショックだったのか放心状態になっている。」
ヴェルデは、呆れて作業ロボットたちに彼を治療室へと運ばせる。入れ違う形で巨体を誇るブルとオーロが格納庫へやって来た。オーロは運ばれて行くロッソの表情を見るや困惑する。
「どんだけショック受けているの、あの馬鹿。今まで負けたら負けたで逆切れしてたのに一体今回はどうしたって言うのよ。」
「さあ、何しろ目にも見えない速さで惨敗したからね。」
彼は残骸にコードを接続させてモニターへと記録映像を映す。そこには両腕がドリルのネオゲッター2が巨大兵器を瞬殺している姿が確認できる。
「まさか、チキュウ側がこんな隠し玉を用意していたとはね。」
「映像再生を遅らせてやっと姿がちらっと見えるほどの速さだもの。それじゃ、あの馬鹿も見えていないはずだわ。」
「だが、ロッソの独断行動は無駄ではない。彼が動いてくれたおかげで敵の巨大兵器を確認できたのだから。見た目と戦闘をスタイルを見る限り、スピードと瞬発力が優れているようだがパワーと防御面は劣っている可能性がある。」
ネオゲッター2の動きを分析しながらヴェルデは、腕を組みながら言う。
「それで?今度はあの馬鹿の代わりにアタシに行って来いって言いたいわけ?」
「察しが速くて助かるよ、オーロ。」
オーロの返事に対して彼は嬉しそうに答えると格納庫の奥を指差す。そこには新たな巨大兵器たちが組み立てられていた。
「頭部の両サイドに鋭い鎌に眼にミサイルを装備したガラダ、左右それぞれの首から熱線光線を放つことで敵を溶解するダブラス。収縮自在なスプリングアーム、頭部にイオン光線発射板を装備したグロマゼンに三つの首からそれぞれ特殊攻撃をするゲルベロス、更に空中爆薬庫と異名を持つほどの火力を持つジェノサイダー。最後にあの高速に唯一追いつけるであろうバラスの計6体を投入しよう。」
「ちょっと待ちなさいよ。6体ってあの馬鹿の2倍じゃない!?あまり過剰に巨大兵器を投入すると流石のネロも黙っていないわよ。」
彼女は、少々戸惑う。別に負けるつもりはないが敵ロボットの性能を把握していない段階でこれほどの戦力を投入するのは無茶があるのではないか。組み立てにも時間がかかっているし、もう少し慎重に動くべきなのではと言いたかったがヴェルデは、こう続ける。
「これには兵士たちの消耗を防ぐと同時に敵ロボットの性能を把握する目的がある。兵士運搬用のダンチェルはともかく、拠点制圧用に開発されたブルタスとグレイザーが抵抗する間もなく破壊されたのは妙に信じがたい。奴と同じ考えになるのは癪に障るが第二陣到着時に人間狩りの成果は愚か面倒な敵が野放しでは我々の信用に関わる。ネロの方針に背くことになるが止むを得ん。オーロ、基地司令代行として命令する。準備が整い次第6体を連れてイレギュラーハンター本部を襲撃せよ!そして、チキュウのロボットを破壊せよ!!もし、このロボットが奴らの最終兵器だというのなら破壊は事実上、奴らへの『降伏勧告』としても使える。」
彼は、自前の杖を向けながら命令する。命令に対し、オーロは頭を押さえてため息をつく。
「はあ・・・・やるだけやるけど被害が甚大になったら即撤退させてもらうわよ。あの馬鹿の二の舞になりたくないし。」
「そこは君に任せよう。責任は命令をする私にもあるのだからね。ブルは、彼女の補佐に回ってほしい。」
ヴェルデの頼みに対してブルはゆっくりと首を縦に振る。
3人は、組み立て中の兵器たちを見ながらその時を待った。
ネオゲッターロボの活躍により、鏡面世界のハンターベースが無事に守られたことはすぐに現実世界の本部にも知らされていた。敵の巨大メカニロイド三機を瞬く間に全滅させたという実績は輝かしいもので人間政府の官僚たちは報告を耳にするやホッとした様子を見せていた。しかし、同時に問題点も浮き彫りになった。
三号機パイロットであるシャドウが今回の敵の攻撃による負傷で務めることができなくなってしまったのだ。
治療したタチバナ博士によると爆発と倒壊した際に落下した瓦礫の衝突により内部の精密機械のパーツが破損し、代用パーツでハンター業務を行うには問題ないものの、ゲットマシンの加速Gと合体時に起こる衝撃には耐えられないと診断した。完治するには彼の故郷であるギガンティスからパーツを取り寄せる他に再調整を行わなければならず、とてもだがそんな時間はない。
だが、よりによってシグナスはとんでもない決断を下してしまう。
「シグナス総監、今何と言ったかね?」
翌日に開かれた対策会議にて彼の今後のネオゲッターロボの運用に関する報告で政府の官僚たちは耳を疑うように再確認を行う。シグナスは、顔色一つ変えずに再び口を開いた。
「先ほど言ったように元イレギュラーハンター『VAVA』を三号機パイロットとして扱います。」
「正気かね!?彼はイレギュラー、それも今警戒している『Dr.アチモフ一味』の構成員なんだぞ!?」
なんと先日身柄を拘束したVAVAをネオベアー号のパイロットにすると言い出したのだ。確かに彼はライドアーマーの操縦に長けており、現にシャドウの指示があったとは言え、ゲットマシンを始めて操縦する身でありながら見事に合体に成功した。これが通常のイレギュラーなら、普段は拘束具を常備させるか裏切り防止用の時限爆弾を組み込むなどで対応を検討していたのかもしれない。
だが、VAVAの場合はその次元を超えている。彼は、エックスへの執着で二度も蘇った上にDr.アチモフと繋がっている超危険人物なのだ。そんな男に今後の戦況を左右するマシンを与えるのは以ての外、最悪途中で裏切って強奪した上で姿を暗ましかねない。爆弾や拘束具を取り付けたとしても自力で解いてしまう事すらあり得る。政府にとってはシグマに次いで恐れられた存在とも言える。
「もっと別の策を検討するべきだ!」
「17部隊のエックス隊長の夫人であるマーティ副隊長はどうだ?彼女は彼の代理でネオイーグルを操縦したのだろう?なら、彼女でも・・・」
「確かにマーティは、あの時ネオイーグルを操縦できていました。しかし、合体後はその衝撃で頭を打って回収時にはエックスの傍で気を失う形で倒れているのを確認しています。」
「な、ならばアイリス君はどうだ?オペレーター経験もあるうえに戦闘経験もある。それに他の特A級ハンターに乗せることも・・・」
「彼女の場合はゼロが許さないでしょう。」
余程VAVAに乗せたくないのか彼らはこれでもかと代案を挙げてくる。
シグナスもその件については調べてみた。しかし、他に乗せるにしても操縦法をマスターした上で合体訓練を行わなければならない。戦闘時に合体に失敗すれば元も子もない。実際、アイリスも合体シミュレーションを体験したのだが僅かなタイミングのずれで機体同士の間で押し潰されて死亡と言う診断を受けてしまった。
だが、VAVAは訓練を行わなかったにもかかわらず僅かなズレもなく合体に成功した。敵にすれば恐ろしい男だが見境なく破壊していた過去に比べて共通の敵を相手にする際にはエックスと見事な連携プレイを行うなど味方になれば心強い側面もある。勿論、アチモフ一味との繋がりに関しては何とも言えないが。
「とにかく奴をパイロットにするのはもうしばしの間待ってほしい。」
「確かヤコブ計画で使われている新世代型レプリロイドのパーツには、ギガンティスから送られてきているものもあったはずだ。そこから互換性のある物が取り寄せられないかどうか我々の方で打診してみよう。」
「君の方も他のハンターたちに操作できるよう適性パイロットの育成を即急に進めてくれ。ネオゲッターロボは、この星最後の希望とも言える存在だ。奪われでもしたらそれこそ・・・・」
政府の官僚たちは、弱気を見せながらシグナスに言う。
「我々の方もこの世界の防衛網を強化することで手一杯の状態です。やるだけのことはやりますが・・・あまり期待しないでいただきたい。」
彼は、それだけ言うと頭を抱えている彼らをおいて部屋を後にした。
鏡面世界 ハンターベース メディカルルーム
ネオゲッターが基地に帰還した後、エックスはすぐに治療室に運ばれて手当てを受けた。幸いなことに目にひどい損傷はなく、顔の方も人工皮膚を張り替えれば治るとの事だった。見えない目を含めて顔が包帯でぐるぐる巻きにされた彼はベッドで寝かされ、完治するまで身動きが取れないこともあって久しぶりの昼寝をしていた。
「グウ・・グウウ・・・ぐう」
小さないびきをかきながら彼は眠っているところへ病室のドアが開く。
「やれやれ、あんな出来事があったにもかかわらずいびきを掻きながら寝れるとは大したもんだぜ。」
「まあ、のび太くんらしいと言えばらしいんだけど。」
ゼロたちは、寝かされているエックスのことを気遣って見舞いに来た。みんなの声を聞くや彼は、先ほどと打って変わって起きた。
「ムニャ・・・・その声はゼロとドラえもんかい?」
エックスは、思わず目を開けようとするが治療用として取り付けられたバイザーに当たったことで今目が見えないことを思い出した。
「そう言えば目が見えないんだった。」
「思っていたより元気そうで何よりだ。タチバナ博士の話では早くて明日にはその包帯とバイザーを取り外しても言いそうだ。」
「意外に早く治るんだね。」
「お前が運がいいだけだよ。」
目が見えない中、エックスは手探りで何とか体を起こす。
「ジャイアンたちは?」
「壊された防衛線の復旧作業を手伝っているよ。静香ちゃんは、オペレーターと救護の仕事。」
「そうか、みんな頑張ってくれているんだな。鉄人兵団の動きは?」
「ここを攻め落とすのに失敗したせいか、またほかのエリアへの攻撃を再開している。尤も再度仕掛けてくる可能性もなくはないがな。シャドウは怪我のせいでネオゲッターには乗れそうもないし、VAVAの方は降りるなり拘束されて独房入りだ。何とか態勢を立て直さないといけないな。」
「えっ?あの時操縦してたのVAVAだったのか?」
あの時意識が朦朧としていたこともあってエックスは、あの時ネオベアーを操縦していたのがVAVAであったことに驚く。
「大方、ネオゲットマシンを盗むつもりだったんだろうな。何を吹き込まれたかは知らないが協力してくれたのは不幸中の幸いだった。」
「・・・」
「基地の再建の方は僕たちで頑張るからのび太くんはしっかり休んでて。マーティさんのためにも。」
ドラえもんのさり気ない一言で彼は、妻である彼女が自分の所に来ていないことに気づく。
「そう言えばマーティはどこへ行ったんだ?いつもは先に声をかけてくれたりするんだけど・・・怪我をしたとか?」
「「・・・・」」
「ドラえもん?ゼロ?二人ともなんで黙るんだ?」
二人が急に黙ったことにエックスは、違和感を感じる。
「・・・あのな、エックス。マーティのことについてなんだが・・・・」
「えっ?もしかして俺よりもひどい怪我なのか!?」
「い、いやね!体は何ともないの!ないんだけど・・・・」
ゼロとドラえもんは、互いに顔を合わせながらオドオドと口を開く。
「・・・・お前の傍で寝てる。」
「えっ、隣のベットと言うこと?」
「うんうん、のび太くんのすぐ隣・・・・」
「えっ!?」
エックスは、思わず自分の周囲を手探りで探る。すると自分のすぐ傍に人肌ぐらいの柔らかい何かに当たり、少しずつ動かすとなんか触っちゃいけないような場所に触れてしまったような気がした。
「・・・・・・これ?」
「うん。」
「何も反応しないんだけど・・・」
エックスは、包帯で見えない顔を真っ青にして言う。目が見えないせいでてっきり抱き枕かと考えていたものが自分の妻だとは思っても見なかった。
「ネオイーグルからお前と一緒に運び出したとき、唯一身に着けていたタオルが取れちゃったそうでな。起きるなり、魂が抜けたようにお前の傍で置物のように固まっちまったんだ。」
「・・・・って、ことは肌着とか着けてないの?」
「「・・・・」」
「ねえ、なんか答えて。ちょっと今置かれている状況が一番怖いんだけど!?」
「これ以上いたら邪魔だな、行くぞドラえもん。」
「うん。のび太くん、お達者で。」
そう言うとゼロとドラえもんは、そのまま部屋を出て行ってしまった。
「えっ!?ちょっと待ってよ!?行かないでくれ!!お~い~!!置いて行かないで~!!」
エックスは、叫びながら助けを求めるが二人の気配がしない。隣では今まで気づかれなかったことについてなのか、それとも気づかれたくないときに気づかれて落ち込んでいるのか彼女のすすり泣く声が聞こえてくる。
「・・・・本当にごめん。」
彼は、もうここまで来たら覚悟するしかないかとどうにか彼女を抱き寄せると強く抱きしめながら謝った。
その後、二人が何をしたのかは誰も知らない。
独房
誰もいない独房の中では、拘束具を付けられた上にミノムシのようにグルグル巻きにされたVAVAが天井を眺めていた。
(場所が変わろうと独房の天井は変わらねえな。どこへ行こうが同じ場所にいるような気がしてならねえ。)
イレギュラーハンター時代、問題行為ばかり起こしていた彼は留置所送りの常習犯とも言える存在だった。あの頃は不満を抱えながらシグマが迎えに来るのを待っていたが今はどういう訳かそんな苛立ちは感じず、タダ大人しく待っていた。
(・・・にしてもエックスの奴、トンでもねえことになっていたな。素っ裸の女乗せやがって変なプレイにでも目覚めたのか?見る限り他のハンター共は愚か、ゼロすら驚いていたが。)
連行される前に見た光景を思い出し、VAVAは今治療室にいるであろうエックスのことを考え始める。
(あの野郎、あれぐらいでくたばったりしていないだろうな?俺との決着をつける前に逝っちまいやがったらただじゃおかねえ。)
無言で様々なことを考えているうちに彼は、ふとあることに気づいた。
(・・・そういや俺ってこんな細かいこと考える奴だったか?ぶち込まれる度、ムシャクシャしていたのは覚えているが自分のことしか考えていなかったような・・・・クソ、知らない内にアイツの甘さが移っちまったか。)
そう思った矢先、部屋の扉が開いてゼロが入って来た。
「久しぶりの独房の気分はどうだ、VAVA。」
「過ごしやすいなんて言うと思ってるのか?」
VAVAは、見上げるようにゼロを見る。少なくとも自分から逃げようとする様子を見せていないことから話しづらいと思い、ゼロは彼を壁に寄りかからせる。
「随分大人しくしているな、迎えでも待っているのか?」
「生憎、今のボスはケチなんでな。肝心のビッグアームも吹き飛んじまったからそもそも連絡手段がない。」
VAVAが皮肉を言う姿を見てゼロは、知らないうちに彼もまた変わってきていると感じる。昔ならこんなこと言わずに無視をするか逆上して暴れまわっていた。
それが今では大人しく会話しているのだ。命令無視が当たり前で被害を考えない行動を取っていたあの時では到底想像できない光景だ。
だが、内心ではブラックゼロたちとどうやって合流するかを計画しているかもしれない可能性もある以上気を許すわけにはいかない。特に今の時期に騒ぎが起これば戦況が一変しかねない。
「お前の取り扱いについてはシグナスが政府と検討している。尤もアチモフと組んでいるお前さんをゲットマシンに乗せるのは難色を示しているようだがな。」
「フッ、勝手にしろ。俺以外に乗せられる奴がいればな。」
「どうだろうな、お前を使うにしてもエックスが動けるようになるまではゲッターは使えん。それまでに敵がここに攻めてこないことを祈るばかりだ。」
そう言うとゼロは、立ち上がって部屋を後にする。
「俺はまだやることがあるから話はこれで終わりだ。答えが来るまで大人しくしろよ。」
「お前の態度は相変わらずだな。だがな、俺はいつかお前もエックスもぶっ潰す。絶対にな。」
「好きにしろ。」
部屋のドアは再び閉まる。話し相手が離れて行くのを感じるとVAVAは、再び寝転がり天井を眺め始めた。
「・・・・エックスの奴について聞くの忘れた。」
現実世界 シティ・アーベル
「やっと着いたぜ。後は、荷物をハンターベースに届けるだけだな。」
「本当長かったですね。」
同じ頃、シティ・アーベルに一台の輸送トレーラーが到着していた。彼らは街に入ると近くのコンビニに車を止め、積んである資材の最終チェックを確認し始める。
「えっと『G鉱石』に対大型メカニロイド用兵器に装備、レプリロイド用の修理パーツ並びライドチェイサーの予備パーツ類・・・・よし、欠品なし!問題ねえな。」
「いやはや荒野で野宿する際、朝になって寝ている間にイレギュラーに盗まれていないか毎回確認していましたからね。」
「ふう、まあ一安心したところだし荷物届ける前にコンビニ飯でも食うか。俺、幕の内にするけどお前はどうする?」
先輩作業員は、後輩に確認を入れる。
「そうっスね・・・じゃあ、焼き肉弁当で。」
「おいおい、俺が奢るからって大胆に出たな・・・・ネロさんはどうするよ?アンタの分も奢るぜ。」
彼は、一緒に降りたネロに聞く。ネロは大剣を背負うと辺りを見回しながら答える。
「いや、俺はここらで失礼する。」
「えっ?ここまで来ていきなりお別れなんざ、ちょっと寂しくねえか?」
「そうですよ、妹さんにもまだ会っていないのに。僕たちの仕事ももうすぐ終わりますし、最後まで付き合いますよ。」
「ここからならそう遠くない。申し入れはありがたいがアイツの身が気がかりなんだ。悪いが断らせてもらう。」
二人の申し入れに対してネロは、申し訳なさそうに謝罪する。二人は、少し寂しそうな顔をするものの少しでも早く妹の顔が見たいのだと感じ、笑いながら見送ることにする。
「そうか、そんなに妹さんのこと心配してんだな。なら、しょうがねえか。」
「会えるといいですね。」
「あぁ。」
「そんじゃ、俺たちはテキトーに済ませて仕事を終わらせるか。」
「ですね。それじゃあ、ネロさんお元気で。」
作業員二人は、別れの言葉を告げてそのまま店の中へ買い足しに行く。それを確認するとネロは周囲の状況を確認し、トレーラーの後ろに隠れると電子ロックをハッキング。こっそり開けて侵入し、荷物の中へと身を隠した。
「昨日、ナンバーマンがロッソが命令違反をしてこの街を攻撃したと連絡が来ていたが・・・やはり何か裏があるな。」
彼が荷物の中に潜伏したことを知らない二人は買い物を終えるとそのままトレーラーを発進させ、ハンターベースへと向かい始める。
(この世界の秘密、暴かせてもらうぞ。)
ネロは、身を潜めながら敵の本拠地へと足を踏み入れようとする。
ハンターベース 格納庫
ハンターベースの格納庫ではライドアーマーと共にザンダクロスの調整が行われていた。
「駆動系への伝達速度の誤差はほぼなし・・・っと。ジュド、試しに片腕を動かしてみてくれ。」
「はい!」
ダグラスは、不具合がないかどうか測定数値を見ながらコックピットに乗っているジュドに指示を出す。ジュドは、指示を聞くと試しに右手を動かし、指をゆっくりと動かして見せる。
「マニピュレータも問題ないか・・・・まあ、即席で調整したにしては上出来だな。よし、もう出てきていいぞ。」
コックピットが開くとそこには無数のケーブルが絡まったヘッドギアを付けたジュドの姿があった。彼は、ギアを外すと額から出ている汗を手で拭った。
「ふう・・・」
「お疲れだな。どうだ?元の身体でやった時との差は?」
ダグラスは、降りて尻もちをついている彼にエネルギーボトルを手渡す。ジュドは、受け取ると勢いよく飲み始める。
「差も何もこんなに疲れるとは思わなかったよ。前は頭で思い浮かべるだけで簡単に動かせたのに今は集中しないと鈍くなっちゃう。」
「まあ、本来頭部に合った頭脳系統をコックピットに回した上に遅れが生じないよう手動に切り替えられるように改修したからな。その辺は仕方ないさ。」
彼は、寝かされているザンダクロスを見ながら話す。
「後はマニピュレータに規格をネオゲッターに合わせれば武器の取り回しができるようになる。内蔵兵装は充実しているがこういうのは弾切れになった時が一番怖いからな。時間があればミサイル系を外してビーム兵装に切り替えたいところだが時間がな。」
「・・・・」
「ん?疲れて喋るのも辛くなったか?」
「いや、みんな強いなって思って。」
ジュドは、立ち上がると周囲で忙しく動いているメカニックたちの様子を見る。
「敵が圧倒的で勝てる見込みが薄いのにここにいるみんなは自分にできることを精一杯やっている。どうしてそこまで頑張れるのかなって。」
「そりゃあ、いつだってそうやっているからさ。戦争になろうが地球が滅亡しそうになろうがやれることに全力を尽くす。それが浮かばれるかどうかは誰にもわからねえ。実際、過去の事件でここのメカニックもそうだが大勢のレプリロイドや人間が犠牲になった。」
ダグラスは、空になったボトルを潰して悟ってるかのように語り始める。それは大勢の仲間の最期を見届けてきた彼だからこそ分かることだった。
ユーラシアコロニー事件では、コロニーの落下こそは防げたもののシグマウィルスの汚染でワクチンプログラムが間に合わなかった大勢の仲間がイレギュラー化して処分された。ナイトメア事件でもナイトメアに憑りつかれたレプリロイドたちが犠牲になり、レッドアラート騒動では敵対したとはいえレッドアラートの構成員たちの大半が死亡することになった。
「だがな、それでも俺たちは挫けずに前に進み続けた。仲間たちの犠牲を無意味にしないためにもな。それが絶望的な状況でもだ。」
「ダグラス・・・・」
「今日のコイツの調整はこれで終わりだ。そろそろ休憩時間だから彼女の所に行ってやったらどうだ?」
「う、うん。」
ジュドは、彼の芯の強さに感服しながら一旦その場を後にした。
ハンターベース 入口
ジュドが休憩に入った頃、資材を積んだトレーラーがハンターベースに到着していた。
「これが今回頼まれていた資材のリストです。」
作業員二人は、オフィスで受け付けのオペレーターに確認を取るために車から離れている。その間に一般ハンターたちは荷物の運び出しを始める。荷物は二手に分けられ、一方は格納庫へ。
もう一方はここベースの研究棟近くの倉庫へと運び込まれた。
「これで全部だな。」
「あぁ。そう言えばあのジュドとかって言うエックス隊長のそっくりさん、真面目だよな。何時も作業を手伝ってくれてさ。」
「今、鏡面世界を攻撃している鉄人兵団の一員だったんだろう?なんかあの姿見ていると信じがたいな。俺はいい奴だと思うけど。」
「だよな。でも、向こうの連中って階級制度が厳しいらしいぞ。」
「つまり、上のお偉いさんは頭の固い奴ばっかりってか。」
「はははっ、シグナス総監みたいに話しやすい人だったら交渉とかできそうなのにな。」
彼らは世間話をしながらその場から離れてしばらくすると荷物の一つが開いて隠れていたネロが顔を出した。
「鏡面世界・・・やはりカラクリがあったようだな。」
彼は、天井の通気口を確認するとコートの中から万能ドライバーを取り出して外し、中に入っていく。
「話を聞く限り、ジュドとリルルがここにいるのは間違いないようだ。だが、ジュドが奴らと協力しているとはどういうことだ?」
通気口から下の状況を確認しながらネロは、ハンターベースの中を調べ始める。
ゲッターは東映版もいいぞ(初めて見たのがこれだというのもあるけど)。