ドラえもん のび太の転生ロックマンX   作:赤バンブル

249 / 293
今年もあと数週間か。


未来?との遭遇

ハンターベース 研究棟 別室

 

「ハア・・・何でこんなことになったのかしら?」

 

カリンカは、待機中のOVER-1を目の前にため息をつく。隣ではスカルマンが呆れた目で見ながらも気休めに紅茶を机に置いてくれている。

 

「別に嫌なら嫌で断っちまえばいいんじゃねえか?態々あんな野郎の頼みなんて聞く必要ねえぞ。」

 

「彼の作ったロボットならそうしてやったわよ。けれど・・・それ以外のロボットだと言うなら断りにくいでしょ。」

 

「その辺の優しさは博士譲りだな。」

 

彼女は、淹れてもらった紅茶を口に含みながら先ほどタイムパトロール本部に送った『OVER-1の運用許可申請』の返事を待つ。確かに亡き父とライト博士の合作で今は自分に所有権があるのは確かだが、元々22世紀側で人格AIを搭載して動かす予定を認めていたため、こればかりは自分の独断で行えない。増して破壊されでもしたら一大事だ。

 

「本部から許可が下りると思う?」

 

「さあな。だが、本部の方にはリングマンの奴が戻って事情を把握してくれているだろうから説得はしてくれているだろうよ。アイツを送り返したのがこんな形で役に立つことになっちまうとはな。流石に気分が悪いぜ。」

 

スカルマンは、昨日送られてきた兄弟の家族写真を見ながら皮肉を言う。どうやら、末弟であるツンドラマンのスケート競技の表彰式らしく、トロフィーを持っている彼を中心に4人で写真に写っていた。

 

「・・・それでその取り換えを頼まれた異星のロボットさんの様子はどうなんだよ?」

 

「今はロールちゃんが面倒を見てくれているから問題はないわ。ただ・・・補助動力で賄っているからここを攻撃でもされたら危険になるわ。それまでに答えが返って来てくれればいいんだけど。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同時刻 格納庫

 

同じ頃、タチバナ博士がライト博士とシグナス、そして、ライトットを連れて格納庫に来ていた。

 

「突然の頼みで申し訳ありません、ライト博士。」

 

「いや、この星の危機を救おうと言うのなら私は協力を惜しまんよ。それだけの非常事態なのだからね。」

 

「でも、一体何をしようと言うんダスか?昨日は、向こうの世界でエックスたちが大活躍をして敵をやっつけたと言うのに。」

 

ライトットは、三人の後を付いて行きながら不思議そうに言う。二人の代わりにシグナスが答えた。

 

「確かに先日、ゼロが不在ながらエックスたちは見事にネオゲッターロボで鉄人兵団を撃退してくれた。だが、VAVAをまた機体に乗せたことで人間政府はまた我々に苦情を入れてくるだろう。そうなれば、同じ事態に陥った時対処のしようがない。それにネオゲットマシンに搭乗できるハンターがほとんどいないのも大きな課題だ。」

 

「ダ、ダス・・・・」

 

「シグナス総監の言う通りだ。昨日は大事に至らずに済んだが、鉄人兵団の一人がこの基地に潜入したとなると既に彼らは鏡面世界のカラクリを見抜いてしまったことになる。いくら、ネオゲッターロボと言えど無数の敵がこの世界を攻撃しようと言うのなら・・・おそらく守り切ることは不可能だろう。」

 

格納庫の奥に行くとそこにはネオゲッターロボに酷似した巨大ロボットが立っていた。

 

「これは・・・もしや」

 

ライト博士は、見るや少し驚いた顔をする。

 

「初代ゲッターロボです。かつて曽祖父が開発し、私の祖母たちがパイロットとして乗っていたスーパーロボット『ゲッター號』。」

 

「NISAR博物館に展示されていた物を私も見たことはあるが、まさかこの時代にも現存していたのか。」

 

「ゲッターロボの装甲は全て当時最高の強度を誇る『G鉱石』できています。そのおかげもあって最後の戦いを終え、修理を終えて博物館に寄贈されて以降もほとんど劣化することなく現在まで残り続けてくれました。」

 

タチバナ博士は、機体に触れながら幼き日を思い出したような顔をする。

 

「本来、祖母たちが降りてからその役目は終わりを迎えたはずだったのですが・・・ネオゲッターのプラズマエンジンのテスト稼働のため、ここに送ってきてもらいました。」

 

「ネオゲッターの開発にこの機体が設計を含めてここまで関わっていたとは・・・・して、タチバナ博士。これを私とDr.ライトにお見せしたと言うことは。」

 

シグナスは、ある程度察しがついたのか彼の顔を見る。

 

「はい、察しの通りこのゲッターロボに近代改修を施して実戦で動けるようにします。確かにゲッターは100年以上の間エンジンのテスト以外に動かしていません。ですが、操縦系統は優秀でネオゲッターのようにパイロットに大きな負担がかかるリスクは低いと同時に元作業用として設計されていたこともあり、柔軟に対応することが可能です。武装の改修が間に合わなくてもネオゲッターのオプション装備を運用すれば実戦に耐えられます!」

 

「つまり、上級ハンターなら」

 

「ネオゲッターの操縦に耐えられないシャドウ君を乗せることも可能です!シグナス長官、是非このゲッターロボの改修工事を行うことを許可していただきたいのです。」

 

タチバナ博士は、頭を下げながら頼み込む。

 

「しかし、それでは貴方の曽祖父たちに失礼なのでは。」

 

「曾祖父もかつてゲッターロボを戦闘用に改造するのは反対していたと祖母から聞かされました。でも、この星を守るためなら認めてくれると私は思います。パイロットであった祖母たちも。」

 

「・・・そこまで言うのでしたら構いません。Dr.ライト、貴方も協力していただけますね。」

 

どの道、VAVAをまともに出撃させられない今の現状では、旧式とは言え多少の戦闘能力を持っているゲッターロボを改修して使った方がいいと判断し、シグナスは許可を出すと同時に時間が限られていることもあってライトに協力を求める。彼は、少し気難しい顔をしながらも首を縦に振る。

 

「いつ鉄人兵団がこちらに総攻撃を仕掛けてくるか分からない。やるならすぐに始めるとしよう。ライトット、お前も手伝っておくれ。」

 

「了解ダスッ!」

 

三人は、ゲッターロボを見上げながら改修作業を開始する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鏡面世界 ハンターベース

 

「ようし、降ろせ降ろせ。」

 

「オートガン、配備急げ。角度がズレると敵に当てられないぞ。」

 

鏡面世界のハンターベースでは、防衛網を復旧させると同時に自動化を進めていた。それは、ネオゲッターが鉄人兵団を撃退して僅か数時間後に、本部から知らされたネロの侵入で彼らがこの世界の正体を知ったと同時に現実世界へ攻撃を仕掛ける可能性が高まったことからだ。

 

そのため、エックスを始めとする主要メンバーは表の世界に戻ることになり、ある程度防衛線を維持できる程度に残してほとんどのハンターが撤収することが決定したのだ。

 

「第一防衛ライン並びに第二防衛ラインの復旧完了。続いて侵入防止のための電磁地雷のセットに移ります。」

 

「第三防衛ライン、オートガンの設置完了、第四防衛ラインの無人機部隊のオートパイロットプログラムの更新を開始します。」

 

本部の中も移動と指示で忙しく、ハンターとオペレーターの出入りが激しかった。廊下の移動人数も多く、戻って来たゼロは事態の一変に少々困惑する。

 

「まさか、出て次の日に撤収が始まるとはな。」

 

人ごみを避けながら部屋に行くとアイリスが出迎えてくれた。

 

「ゼロ、お帰りなさい。」

 

「あぁ、ただいま・・・と言いたいところだが荷物をまとめるぞ。とうとう本物の世界が戦場になりそうだからな。」

 

二人は、部屋に入ると持ってきていた物をまとめて箱に入れる。幸い、いつでも引き返せるように少なめにしていたため、片付けはスムーズに進んでいく。

 

「昨日、マーティと一緒にゲットマシンに乗ったようだな。」

 

「ごめんなさい。でも、私たちが動かなかったら被害が大きくなっていたわ。ハンターベースもそうだったけど、みんな危なかったのかもしれない。」

 

「謝る必要はないさ。想定外の事態が起こるのは仕方のないことだからな。だが、あまり無茶をするなよ。」

 

「そう言うゼロも私が心配しているのによく無茶するけどね。」

 

「痛いところ突くな。」

 

「フフフッ。」

 

二人は談笑しながら手を動かす。

 

一方、エックスたちの方はネオゲットマシンの搬送に付き添っていたのだが・・・・

 

 

 

「・・・・」

 

「のび太君、なんか顔色があまり良くないようだけど大丈夫?」

 

無言でゲットマシンが運ばれて行くのを見る彼の顔を見てドラえもんは、心配そうに声をかける。昨日、連日無茶をしたこともあって目の下に薄っすらと浮かんでいる隈が疲労がかなり溜まっているようにも感じる。

 

「えっ?俺、そんなに具合が悪そうかい?」

 

「そうだよ。ここ数日連続で怪我をしてまともに休んでいないんだから無理しているんじゃない?」

 

「そうかな?俺よりもマーティの方が疲れていると思うんだけど・・・・」

 

「この辺りの仕事は、僕たちが見ているから部屋の片づけをしながら休んでてよ。」

 

言われるとエックスは、重く感じる体を引きずりながら部屋へと向かう。

 

「なんでだろう。昨日、無理した後メディカルルームでずっと休んでいたはずなのに・・・もしかして、怯えているのかな?これから先の鉄人兵団の攻撃に・・・・いや、弱気になってはダメだ!俺がしっかりしないとまたマーティが無茶をする。」

 

脳裏に昨日の彼女の姿が浮かぶ。これ以上無茶なことをやらせたらもっととんでもないことになりかねない。

 

「博士たちもなんであんなもの作ったんだろう。玉美が来ていなかったからよかったけどもし見ていたら絶句・・・・」

 

彼は自分の部屋に入るなり、言葉を失う。部屋の中ではマーティが先日あれほど嫌がっていたスーツを着用して鏡を見ながらポーズを決めていた。

 

「う~ん~あんな風に文句は言っていたけどよく見ると満更でもないわね!恥ずかしいのは確かだけどプライベート用なら有りかも。流石に水着としては・・・・あっ。」

 

エックスの存在に気づくや彼女は、顔を真っ赤にする。当の本人は頭を押さえながらその場にしゃがみ込む。

 

「エックス!こ、これは別に変な意味で着たんじゃ・・・」

 

「大丈夫・・・・大丈夫だから・・・・別に俺は君のこと変態だと思っていないから。うん・・・うん、君も疲れているんだ。ゲットマシンは大丈夫だから。」

 

「違う違う違う!!誤解だってば!?別に無理して乗ろうとしてないし、変なことも考えてないって!!ほんの出来心だから~!!」

 

泣きかけて訴えるが相当なショックなのかエックスはそのまま吸い込まれるようにベッドに倒れこむ。

 

「少しの間休むから一時間後に起こして。」

 

「エックス・・・・」

 

毛布を被って寝り始める彼に対し、マーティは涙目で睨むがしばらくすると片づけを再開するのであった。

 

「・・・本当に違うもん。グスッ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

太陽系 冥王星付近

 

鉄人兵団の第二陣の艦隊は、ワープ航法を繰り返したことでついに太陽系内に侵入した。その数は第一陣の倍はあり、周囲には巨大兵器が護衛として動いていた。

 

「総統、いよいよチキュウは目と鼻の先ですな。」

 

艦橋で副官は、ご機嫌を取るように総統に声をかける。無表情で非常にわかりづらいが彼もまたこれまでにない規模のワープで全艦無事に来れたことにホッとしていた。

 

「そうだな。これまでにないワープ移動で艦隊の一部に遅れが生じるのではと考えていたが無事に辿り着けたな。」

 

「はい。しかし、ここに来るまでの間にネロの奴めからほとんど報告がございませんでしたな。全く、何をしているのやら。」

 

副官は、呆れた様子でこの場にいないネロへの愚痴を言い始める。母星から離れていることもあって通信する機会が中々ないと言うこともあるが成果の報告すらしないのは珍しいことだった。

 

「そう言うでない。奴が報告しないと言うことはそれほど敵が抵抗しているということだ。」

 

「はあ。ですが、送ってくるはずの人間すら来ないと言うのは流石に目を瞑ることはできませぬ。まさか、敵に情を持った可能性も・・・・」

 

彼が言いかけた時、艦橋中に通信音が鳴り出した。

 

「チキュウのネロ隊長からです。」

 

「まさかのタイミングだな。スクリーンに映せ。」

 

「はっ!」

 

回線を繋げると艦橋の大型スクリーンにネロの顔が映し出される。

 

『お久しぶりです、閣下。』

 

「久しぶりであったと言いたいところだがまず、状況を報告せよ。チキュウでの戦況は如何に?」

 

総統は、隣で不満そうに見る副官と違い、普段と変わらぬ物腰で問いかける。ネロは、少し引きつった表情をした後に口を開く。

 

『ハッ、お恥ずかしながら我等第一陣はまんまと敵の誘導に嵌められました。』

 

「何っ!?嵌められただと!?貴様、それでもメカトピアが誇る戦士か!!」

 

まさかの報告に副官は、思わず怒鳴りつける。

 

「待て、まだ報告は終わっておらん。」

 

「ですが、閣下。この男は失態を・・・・」

 

「ネロよ、嵌められたと言ったがそれはどういうことだ?」

 

『ハッ、我らは先行部隊としてリルルたちが建造した基地を中心に各地へ奇襲攻撃を行う予定でした。しかし、敵はこの基地のある鏡面世界と表の世界を通じるゲートに細工を施し、我々を鏡面世界に足止めをさせたのです。』

 

「ふむ。して、被害状況は?」

 

『兵士の4割は大破並びに負傷で最小限にとどめていますが持って来た大型兵器のうち、ブルタス、ダブラスを始めとする7機が敵の大型兵器に破壊されました。』

 

「何!?兵士1000体以上の働きをする大型兵器を7体も!?」

 

大型兵器の損失具合に副官は、めまいを感じる。大型兵器は各機それぞれ特殊な能力を持ち、戦争時代からメカトピアに大きく貢献した存在で負け知らずとまで言われていた。それが7体も失われると言うのは信じられないことだった。

 

『今からお見せするのは、その映像です。ご覧ください。』

 

画面が切り替わり、ネオゲッターの姿が映し出される。艦橋にいた兵士たちは、次々と倒される大型兵器を目の前に言葉を失うのであった。

 

「そんな・・・あのダブラスが。」

 

「戦時中は敵地を更地にするまで爆撃を続けたと言われるジェノサイダーがこうも呆気なく・・・」

 

兵士の間で絶望とも言える言葉が漏れる中、総統も思わぬ敵の出現に腕を組む。

 

「・・・まさか、我らが誇る兵器たちが敗れるとは。どうやら敵は想像以上に手ごわいと言えるな。」

 

「ネロ、貴様ともあろうものが何をしていたのだ!?我が軍最強の戦力である兵器を・・・・」

 

「静かにせい!!」

 

「閣下・・・」

 

副官を黙らせると彼は、ネロの方を見て改めて口を開く。

 

「お前ほどの男が何故一言も報告をしなかったのかはよく分かった。っで、我が第二陣の迎え入れの準備は?」

 

『このチキュウを回る衛星の裏に回ってください。そこから基地に続く大型ゲートを展開してお迎えします。それと閣下、誠に勝手ながらお願いがございます。』

 

ネロは、モニター越しで頭を下げながら総統に言う。

 

「分かっておる。お前自身、大型兵器に搭乗して指揮を執ると申すのであろう。それならば指揮官様に調整を進めているキングダンが・・・・」

 

『いえ、あのロボットを倒すにはキングダンでは性能不足かと。』

 

「何?そこまで凄まじい性能だと言いたいのか。ならば、何を求める?」

 

『あれを・・・・・「Z」の使用許可を頂きたい!』

 

「なっ!?」

 

彼の言葉に総統は、絶句する。周囲の兵士たちは勿論、副官すらも驚きを隠せなかった。

 

「貴様、本気で言っているのか!?あれは・・・現在の我々の技術ですら把握できない未知数の機体だぞ。それを・・・・」

 

『だからこそです。このチキュウを完全に屈服させるには「Z」の力を持って知らしめる必要があるのです。そして、奴らに抵抗は無駄だと証明してやるのです!!そうでもしなければ・・・・この戦線は泥沼化する!!』

 

ネロの迫真の言葉を前に全員が息を呑む。ここまで彼が本気になったと言うことはそれほど敵の抵抗が強いと言うことを意味している。それを目の前にして総統も引くに引けないと悟ったのか冷静さを取り戻して話を戻す。

 

「お前がそこまで言うと言うのなら・・・許可をしないわけにもいくまい。」

 

「総統!?」

 

「だが、本星から送られてくるので時間がかかる。それまでの間に戦況は変化しないのならばそのまま使用許可を認めよう。だが、戦況が我等の方に傾いたら使用せずにそのまま続行してもらう。よいな?」

 

『ハッ。それならば私も構いません。』

 

「では、ネロ。チキュウで我らの到着を待つのだ。」

 

『お待ちしております。』

 

敬礼するとネロの映像が途切れる。同時に彼は、ため息をつきながら再び玉座に腰を掛ける。

 

(よもや「Z」まで持ち出すことになるとは・・・・敵は我らの想像を大きく上回る存在だったようだな。全てのロボットを平等するためとはいえ、とんでもない輩に喧嘩を売ってしまったのかもしれん。)

 

「どうやら、ネロの奴から通信が来たようですな。総統。」

 

そこへタイミングを合わせたかのようにビアンコが艦橋に入って来た。科学者である彼がここに来ることは非常に珍しく、副官を始め兵士の多くが意外そうに見る。

 

「ビアンコか。貴様がここに来るとは珍しいな。」

 

「いえ、近くを通りかかったら懐かしい声を聞きましたのでな。ついつい来てしまった。」

 

ビアンコは、不敵に笑いながら話す。その姿に副官はどこか不気味さを感じる。

 

「しかし、『Z』まで持ち出そうとするとはネロもまだ若い。第二陣が着けばこの戦争などすぐに終わると言うものを・・・」

 

「だが、チキュウ側も我々の予想に反して抵抗が激しいようだ。応援を呼ぼうにも時間がかかる備えるに越したことはなかろう。」

 

「なに、心配することはありますまい。」

 

そう言うと彼は、さっさと部屋を出て行く。

 

「そう、こうしている間にも目覚めの時は近づいているのだからな。古き世界の終わりと新世界の始まりの刻が・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???

 

エックスは、浅い意識の中でどこかを彷徨っているようだった。

 

(何の夢だ・・・・最近変に疲れて見なかったけど・・・)

 

彼は、そう思った矢先無重力に感じていたからだが突然落下を始めた。

 

「えっ!?」

 

雲の隙間から抜け出てエックスは、そのまま地上へと落下して行く。彼は下に見える建物が間近に迫る中、どうにか衝突を回避しようとする。

 

「ファルコンアーマー!!・・・・あれ?展開できない。」

 

いつもならすぐに換装できるアーマーが出現しない。寝ている間にプログラムをオフにしてしまったのだろうか?

 

「うわぁ~衝突する!?」

 

エックスは、翼でもあればとばかりに自分の運命を呪うが同時に背中から何かが生えるような感触を感じた。

 

「へっ?」

 

一瞬、何が起こったのか分からなかったが彼の身体がふわりと宙に浮き、そのままビルの上へと着地した。

 

「何が起こったんだ?」

 

エックスは、背中を見るとそこには黒い悪魔のような翼が生えていた。更に周囲を見ると荒廃したビル街と赤黒い雷鳴を鳴らす雲が空を覆っていた。寝る前の光景と真逆のものとなっているため、彼はこれが夢の中なのではと錯覚する。

 

「ゆ、夢にしては・・・随分すごい夢だな・・・」

 

手を見ると刃のような突起物が数本生えた赤い腕が見える。更に割れたビルのガラスを覗くとそこにはいつもの自分の顔ではなく、赤い鬼のような二本角を持ったロボットの顔が映っている。

 

「・・・・『気ままに夢見る機』でも使ったのかな?こんなリアルな夢、早々見れるもんじゃないけど。」

 

周囲の光景に戸惑いながらもエックスは、空を見上げるそこには雷鳴と同時に雷を落とす雲で空には何かが無数に飛んでいた。

 

「これ、夢ならドラえもんが見てくれているんだよな。ドラえも~ん~、いるなら返事をしてくれ。別に夢見なくていいからさ。ドラえ、わっ!?」

 

おそらく見ているであろうドラえもんに声をかけようとした彼だが、背後から襲ってくる何かに反応して飛翔して回避をする。衝撃で周囲のビルが崩壊、エックスは体勢を立て直して攻撃した相手の方を見る。

 

「いきなり何をするんだ!?・・・・えっ?」

 

その姿を見るや彼は、声を漏らす。そこには三機の巨大ロボットが立っていた。攻撃を仕掛けたと思われる機体はネオゲッター3のようなパワータイプ、残りの二機はネオゲッター1とネオゲッター2のような形状のものだった。

 

「な、なんなんだお前たちは!?」

 

「なんなんだ?へっ、おいコイツ寝ボケているんじゃねえか?」

 

「おいおい、そんなんでよくこの世界を生き抜いて来れたな。」

 

「まあ、いいんじゃねえか。目が覚める前に始末すればよ。」

 

三機は何か会話をした後、真っ先にエックスに襲い掛かって来た。エックスは、いつもの感覚でバスターを撃とうとするが腕が変形しないことで焦りを見せる。

 

「この体にはバスターがないのか!?」

 

「ハハハ、戦い方すら忘れちまっているぞ!!」

 

パワータイプの機体は、アームを飛ばす。飛ばされたアームは、エックスの腹部に命中してビルへと打ち付けられ、生き埋めにされた。

 

「なんだ、コイツ。完全体の癖に全然大したことねえぞ。」

 

「だったら都合がいいな。早いとこコイツをバラバラにしてパーツとエネルギーを頂いちまおうぜ。」

 

三機は、生き埋めになった彼を回収しようと近づいてくる。エックスは、状況を理解できず理不尽な目に遭ったことで流石に怒りを露わにする。

 

「一体何なんだよこの夢はぁーーーー!!!」

 

彼が瓦礫をどかしながら叫ぶと腹部の中央辺りのカバーが開いてビームが発射される。パワータイプは思わず避けるが残りの二機はビームをまともに浴びて吹き飛ばされる。

 

「「ギャッ!?」」

 

エックスは、パワータイプのアームを引きちぎり、反射的に肩を叩くとソードトマホークとは比べ物にならない大きさの斧を展開。一気に接近して真っ二つに切り裂いた。

 

「ば、バカなっ!?」

 

三機は、バラバラになって辺りに崩れ落ちる。エックスは戸惑いながらも斧をその辺に置くと倒れている三機の方に近づきながら声をかける。

 

「俺は、イレギュラーハンター17精鋭部隊隊長エックスだ。抵抗しないならこれ以上は・・・・」

 

「「「!?え、エックス様!?」」」

 

名前を聞くなり、三機は今までの態度と打って変わって動揺し始め、自分の目の前で土下座のような態勢を取った。

 

「ま、まさか、そのお姿で見られていたとは・・・も、申し訳ございません!」

 

「とんだご無礼を・・・」

 

「え、え・・・いや、エックス様って。」

 

彼らの態度にエックスは、戸惑いを隠せなかった。三機のコックピット部を見ると中には無数のケーブルで一体化したレプリロイドと思われる者の姿が見える。

 

「その体は・・・」

 

「これは貴方様と共に新たな天地へと向かうためのもの。」

 

「奴を倒せば共にこの地獄から外の世界へ・・・・宇宙は勿論、極楽のような星にも・・・」

 

「全ては貴方様たちの導きでございます!」

 

「俺が・・・導いた?」

 

エックスは、改めて空を見る。そこには無数のロボットたちが飛んでおり、一体が雷撃で壊れたかと思いきや機体同士で争って消えていく姿があった。

 

「あれは?」

 

「あれは忌まわしき敵と我らの同志が戦っているのでございます。我等を開放するために。」

 

「そのために同志が道を開こうとしているのです。」

 

彼らの言葉に対し、エックスは困惑しながらも更に問う。

 

「あの先には・・・あの向こうには何があるんだ!?」

 

「ゼロ・・・ドラゴン・・・」

 

「ゼロ?」

 

 

 

「ゲッターゼロドラゴン!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「間もなくエックス様が来られる!活路を開け!!」

 

「ライガー3005、ドラゴン20052!敵機の侵攻を妨害せよ」

 

「ポセイドンR07、G53は弾幕を張れ!」

 

轟く雷雲の中をエックスは、飛び続ける。周囲は巨大ロボット同士の争いが続いており、ある者は破壊され、ある者は落雷で吹き飛ばされて行った。

 

「ゼロドラゴン・・・奴がこの世界を作ったのか?でも、何故・・・!!」

 

雲の中をいくつも飛び越え、彼はその先にある存在を見る。

 

そこには他のものとは比べ物にならない超巨大なロボットの頭があった。胴体は雲の下にあるのか見えず、その表皮には無数のロボットを取り込んだと思われる痕跡がある。

 

「コイツが・・・・ゼロドラゴン・・・!?」

 

エックスは、顔の上にあるランプと思われる部位を見る。そこには見覚えのある顔が。

 

「・・・・ゼロ?」

 

そこには、親友であるゼロの姿があった。ゼロは、ゆっくりと自分を見る。

 

「・・・エックス」

 

「ゼロ!本当にゼロなのか!?これは一体・・・・」

 

「・・・・何故来た?」

 

「えっ?」

 

本来の彼らしからぬ態度にエックスは、呆気にとられる。

 

「ここはお前の来る世界ではない。何故来た!?」

 

「うっ!?」

 

声と同時に凄まじい衝撃が走り、身構えて耐える。

 

「俺たちとお前たちが戦い合うのは遥か未来!帰れ・・・今すぐ帰るんだ!!」

 

「俺たち・・・・!?」

 

エックスはゼロのすぐそばをよく見る。そこには彼同様に同化しているアイリスの姿があり、彼女の手には二人の子供らしきものが抱かれていた。

 

「アイリスまで・・・一体どうなっているんだ!?何故、君と俺が・・・」

 

 

 

「帰れ!!」

 

「わあああああ!!」

 

叫びと共にエックスは、勢いよく飛ばされて行く。飛ばされる先にはゼロと同じかそれ以上に巨大な今の自分とそっくりのロボットがそれより一回り小さい黄緑、青、赤、黒のロボットたちを従えて迫ってくる。

 

「なんなんだ!?これは一体何なんだああああ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・ックス、エックス!エックスってば!!」

 

「ハッ!?」

 

目を覚ましたエックスは、勢いよく目を開ける。目の前には、マーティが相変わらずの格好で自分の顔を見ていた。

 

「・・・・マーティ?」

 

「大丈夫?寝たかと思ったらすごくうなされていたけど。怖い夢でも見てたの?」

 

「夢?」

 

エックスは、ゆっくりと起き上がって周りを見渡す。そこは鏡面世界の自分の部屋で辺りに荷物をまとめた箱があった。

 

「・・・・寝てたのか?俺はどのくらい寝ていたんだ?」

 

「えっと・・・・大体30分ぐらいだけど。」

 

「ゼロとアイリスは?」

 

「仲良く後片付けしてる。ねえ、起きたなら一緒に片付けましょう。後はエックスの荷物だけなんだし・・・・・エックス?」

 

エックスは、何かに憑りつかれたかのように呆然として独り言を呟いていた。

 

「そんな馬鹿な・・・・あれが全部、俺の夢の出来事だったと言うのか?夢にしてはドラえもんの道具と比べ物にならないぐらいリアルすぎる・・・すべての感触が体の中に残っている・・・・あの俺の姿は・・・・」

 

「・・・・本当に大丈夫?もしかして、この格好のままだから軽蔑してる?ねっ、ねえったら~!!」

 

マーティに揺さぶられる中、エックスはあの出来事が本当に夢だったのかと違和感を感じるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???

 

「っくしょん!!ん?」

 

薄暗い研究所の中、老人は一瞬背後で何かが動いたのではと振り向く。

 

「・・・・気のせいか。100年以上も動かなかったのに火も入れていないのに動くはずがないからのう。竜馬の馬鹿め、ワシや隼人に最後の別れも言わずに死におって。真ゲッターも嘆いておるぞ、もう。」

 

彼は、そう言うと自分の部屋へと戻って行く。

 

そこにはエックスが夢で見ていた自分の姿と同じ姿をした巨大ロボットが聳え立っていた。




まあ、ゼロはゼロシリーズでね。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。