ドラえもん のび太の転生ロックマンX   作:赤バンブル

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ツインデビルが倒せない(;^_^A


追憶

鏡面世界 

 

イレギュラーハンターの策略に嵌ったことを知ったネロは、鏡面世界各地に散らばっていた鉄人兵団に対し、撤退命令を出した。各戦闘員は、突然の撤退に不満を感じていたが攻撃を続けても目的の人間が手に入らないこともあって言い訳するよりはマシだとばかりに基地に向かって引き揚げ始めて行った。

 

「見ろ、奴らドンドン退き返して行くぞ。」

 

「どうやら、真相がバレたって言うのは本当だったようだな。」

 

各地の基地で残っていたハンターたちは、撤退して行く兵団たちの後姿を見ながら納得する。だが、彼らもこのままここでじっとしているわけにはいかない。これからこの基地の重要機関を自爆させ、表の世界に戻った後に戦争配置に付かなければならないのだ。

 

空を飛んで行く兵士たちは、ため息をつきながら各々不満をぶちまけていた。

 

「ちくしょう・・・お前の方は人間見つけたか?」

 

「いや、全然だ。ネズミ一匹も見つからなかったぜ。」

 

「はあ、基地に帰還したら俺たちどうなるんだろう。まさか、メカトピアに強制送還とかないよな?」

 

成果を上げられないこと自体は仕方のないことだがここまで時間と労力を無駄にしたのは初めてだった。これだと上層部が何を言い出すか分かったものではない。最悪母星に送還され、役立たずのレッテルを貼られることになるのかもしれない。そう思うと体の中にある動力炉が煮えくりかえそうになる。

 

「あぁ~!クソ、上層部の奴ら絶対何か仕込んだだろ!人間を新しい労働力にすると言っておいて旧式だと言って俺たちを解体して新タイプの労働ロボットとか作るつもりじゃねえか!」

 

「流石にそれはねえだろう。」

 

「いいや、ネロ隊長もネロ隊長だ!俺たちをホイホイあちこちに送り込みやがって!!あぁ~~なんかムシャクシャしてきた!!」

 

一人が腹を立てると影響を受けているのか周囲の兵士たちも同じように苛立ち始める。

 

「お前がヘマこいたせいだぞ!もう少し慎重に探せば人間が見つかったかもしれないのに!!」

 

「ハァア!?なんで俺のせいになるんだよ!元はと言えばお前が『早く帰ってエネルギー補給しようぜ』とか呑気にしていたせいだろうが!!」

 

「なんだと!!」

 

「やるか!!」

 

「お、おい、お前ら落ち着けよ・・・。」

 

「「うるせえ!役立たずは引っ込んでろ!!」」

 

「あ゛あ゛!?人が親切に言ってやってると言うのになんだその態度は!!」

 

「もう、どいつもこいつもポンコツばっかりだ!!てめえら責任取りやがれ!!」

 

「「「ナニッ!?」」」

 

血迷ったのか彼らは、全員破壊した市街地に着地し大喧嘩を始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、メカトピア前線基地ではネロが治療を終えて休息を取っていたところだった。

 

「気分はどうでマスか?」

 

目を閉じてソファーに座っている彼の様子を見てナンバーマンは、声をかける。

 

「気分か。体の方はもう大丈夫だが・・・・何とも言えんな。」

 

「・・・リルルちゃん、帰らなかったんでマスな。」

 

「あぁ・・・・俺は、兄失格なのかもしれん。今までアイツに弱気を見せないよう振舞ってきたつもりだったが・・・・アイツに更に余計な心配をかけていたようだ。」

 

「ですが、間もなく第二陣がこちらに到着するでマス。その時は・・・・」

 

「分かってる。俺もメカトピアに全てを捧げてきた戦士だ。今更、敵側に付いた妹の情けをかけようとは思わん。」

 

「ネロ隊長・・・」

 

二人がそんな会話をしていると部屋の通信機に連絡が入る。ヴェルデからだ。

 

「俺だ。」

 

『ネロ、一大事だ!各方面から帰還中の攻撃部隊が仲間割れを起こして同士討ちをしている!』

 

「なんだとっ!?」

 

ネロは、突然の事態に驚愕しながら声を上げる。

 

「規模は?」

 

『帰還中の部隊の40%ほどだ。途中、突然破壊した市街地エリアに降り立って殺し合いを始めた。ロッソたちを止めに向かわせたが抑えきれん。』

 

「・・・」

 

過去のトラウマが脳裏をよぎる。

 

「ナンバーマン、帰還した兵士たちの頭脳CPUをチェックを頼む。後、俺が基地を出た後、一般兵は巨大兵器も含めて基地から出させるな!俺の命令が下りるまでは待機するように伝えろ!」

 

「りょ、了解でマス・・・。」

 

ネロは、歯ぎしりをしながら部屋を後にする。内部で不安を抱え始めていたとは突発的な同士討ちなど早々起こるものではない。となれば、有り得る可能性は一つだ。

 

「奴らの戦い方から有り得んと思っていたが・・・まさか、使ったと言うのか!ウィルス兵器を!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鉄人兵団の仲間割れによる同士討ちの状況はエックスたちが去った後のハンターベースにも知り渡っていた。彼らはモニターに映る彼らの殺し合いを見ながら驚くと同時に容赦なく仲間を破壊することにイレギュラー以上の恐怖を感じた。

 

「なんなんだ、こいつ等?引き揚げ始めたと思ったら誰もいないところで潰し合いを始めやがったぞ?」

 

オペレーターたちの間で騒がれる中、兵士たちの潰し合いは幹部たちが止めに入っているにもかかわらずエスカレートし、よりによって上官に向かって銃撃を開始するまでに至っていた。

 

「アイテテ!?お前ら、なんてことするんだ!?」

 

背後から攻撃を当てられてロッソは、振り向きながら撃って来た兵士を見る。

 

「うるせえ!脳筋上司!!歯喰いしばれ!!修正してやる!!」

 

「ナニッ!?誰が脳筋だ!?」

 

「・・・・・大体合ってる。」

 

「ブル、お前も俺のことそんな風に見ていたのか!?」

 

「そんなこと言っている場合じゃないでしょうが!!早く止めさせるのよ!!」

 

オーロは、電磁ウィップで兵士たちの回路をショートさせて動きを封じて行く。これなら、ショートした部品の身を交換すれば復帰可能なレベルで済むのだがこれだけの数の兵士全員の動きを封じるのは不可能だ。

兵士たちは、次々同士討ちで倒れて行き、その場一帯が血の海状態と化していく。

 

「こりゃあ、鬱憤が溜まっていたとかのレベルの騒ぎじゃねえな。」

 

「言われなくたって分かるでしょ!アンタも動ける奴の動きを封じな!」

 

「言われるまでもねえ!」

 

ロッソは、その大きな拳を握り締めて全身に炎を纏わせる。そして、暴走している兵士たちに向かってラリアットを繰り出す。

 

「「「アヂイィ!?」」」

 

兵士たちは、悲鳴を上げると同時に体がオーバーヒートを起こしてその場で機能停止する。そして、燃え続けている彼らにブルが水流を発生させて消火を行う。先ほどから既に100人以上を機能停止させているがそれでも兵士同士の殺戮は収まらい。ここに来て無尽蔵とも言える数が仇となった。

 

「くそ、こんなにチマチマ動きを止めていたらこっちが持たねえぜ。ヴェルデの奴はいつになったら応援を寄こすんだ!?」

 

「応援、望まない方がいい。被害、拡大する恐れある。」

 

「自分たちでやるしかないってわけね。これなら分けて帰還させるべきだったわ。」

 

三人が終わりの見えない作業を行っていると上空に飛行要塞グールが飛んできた。

 

「グール!?何しに来やがったんだ?」

 

『お前ら、そこから離れろ!』

 

スピーカーからネロの声が響く。

 

「ネロ!」

 

『あまりやりたくはないが強硬手段を使う。三人とも距離を取れ。巻き添えを喰らうぞ!』

 

グールの腹部ハッチが開き、中から卵体形の大型兵器が顔を除く。それを見るや三人は顔を青ざめた。

 

「の、ノナカーゴ!?アイツをこんなところで使うのかよ!?」

 

三人は、兵士たちを置いてその場から急いで引き上げる。三人がある程度の距離へと離れて行くとネロは巨大兵器を降下させる。

 

『やれ、ノナカーゴ。その場にいる全員を封じろ。』

 

『グロロロロロロ!!』

 

彼の命令を聞くやノナカーゴは上半身と下半身を分離させ、強力な電磁網を発生させる。電磁網はその場にいた兵士全員を包み、彼らは抵抗する間もなく体のあちこちがショートを起こして倒れて行った。

 

『まさか、敵の動きを封じた上に体に挟んで始末するための武器がこんな形で役に立つとはな。』

 

ノナカーゴは、電磁網で全員を体内にしまい込むと潰さぬように体を元に戻す。とりあえず騒ぎが治まったことでロッソたちは、安堵の表情を浮かべる。

 

「ふう、一時はどうなるかと思ったぜ。」

 

「全くだわ。もし、同士討ちで全滅したなんて言ったら本星に顔向けもできないところだったわ。ネロの機転に感謝ね。」

 

「だが、原因。分からない。」

 

『三人ともすまなかったな。お前たちが動いてくれなかったらもっと被害が甚大になっていた。これからノナカーゴを回収するからグールに乗ってくれ。このまま基地へ引き返す。』

 

三人に帰投命令を出すとネロは、下に広がる兵士たちの残骸を見ながら表情を顰める。自分が最も嫌っている光景をまた見ることになってしまった。

 

「また、同じ過ちを繰り返してしまった・・・・クソ、この星はどこまで弄んでいるんだ!妹を狂わせ、仲間を殺し合わせ!!これ以上俺から何を奪おうとしているんだ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鏡面世界 アチモフ一味の臨時基地

 

「市街地側に仕掛けておいた『精神破壊装置』の威力は予想以上だったな。奴ら自慢の兵力をかなり減らせた。」

 

ヴァジュリーラは、スクリーンを見ながらその光景に対し、誉め言葉を送る。他のイレギュラーたちもその成果に満足そうだったがブラックゼロは、引き上げていく彼らの姿を見ながら唯一不満な表情をしていた。

 

「いや、まだまだだ。確かに一般兵に対しては効果はあったが幹部クラスには聞いていなかった。おそらく、イレギュラーハンター同様にセキュリティが強固になっているのだろう。これだと次使う時までに対策を取られる可能性がある。」

 

「だが、アチモフ博士のいないこの現状で装置の効果を今以上に強化することは不可能だ。それに敵は、見る限り装置の存在には気づいていない。あまり考えすぎではないか?」

 

彼の不満に対し、アルマージは今の現状を把握しながら指摘をする。確かに対策を取られる可能性こそあるがネロたちは、原因をウィルス兵器と考えていて装置そのものには気づいていない。現在、周囲に待機している部下たちが綿密な改修作業を済ませているため、カラクリがバレる危険性は低い。

 

それに基地には既にカメリーオとヒャクレッガーが装置を仕掛けに行ってしまったため、戻って来たと同時に再度仕掛けに行くとなると敵に自分たちの存在が知られるリスクが付きまとう。

 

「・・・確かにそうとも考えられなくもないが備えはあった方がいいだろう。」

 

「その辺は、エックスたちに任せた方がよろしいんじゃないですか?なにせ、表の方では迎撃準備が万端になっているようですからね。」

 

クワンガーは、持ってきた端末を差し込んで画像を切り替える。そこにはネオゲッター以外に対策が進められていることが載せられていた。

 

「ほう、あの世界の人間も隠れてばかりいる連中だけじゃないと言うことか。」

 

「高望みはできませんがこれだけの規模なら戦力を削ることには貢献してくれるでしょう。大きいお人形さんたちは彼らに任せ、我々は他の所に手を回しておきましょう。」

 

彼らは、スクリーンに映された情報を見ながら計画を次の段階へと移そうと話し合う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハンターベース

 

「・・・・・」

 

鏡面世界から戻って来たエックスは、休憩時間を一人屋上で寝っ転がっていた。目の先には青い空に白い雲が浮かぶと言うなんてこともない景色が映っていたが彼は自分の手を見て、夢で見た赤い腕とイメージを重ねる。

 

「・・・・」

 

(俺たちとお前たちが戦い合うのは遥か未来!帰れ・・・今すぐ帰るんだ!!)

 

(帰れ!!)

 

頭の中には、未だのあの途方もない巨体を誇るロボットと同化したゼロの姿が思い浮かぶ。それが原因なのか、今日のゲットマシンの訓練では彼の顔をまともに直視することができなかった。

 

(ゲッターと言っていたがネオゲッターにあんな力はない。じゃあ、あの俺の姿は一体何だったんだ?あの地獄のような世界は本当に夢だと言っていいのか?分からない・・・考えれば考えるほど頭が混乱する。)

 

「おう、連中の所にいないと思ったらこんな所で一人昼寝をしておったか。」

 

「?」

 

突然聞こえてきた声に彼は体を起こして振り向く。そこにはライト博士とワイリーが来ていた。

 

「ライト博士、ワイリーも。」

 

「マーティが昨日からお前の様子がおかしいと言われてな。様子を見に来たんだ。」

 

「そ、それは失礼しました。こんな時に変な夢を見ちゃったもんで・・・」

 

「夢?」

 

エックスは、二人に昨日見た夢の出来事について話した。それを聞くやワイリーは、顔を険しくする。

 

「そんな夢を見ていたのか。」

 

「はい、ナイトメア事件の時や意識不明の時も奇妙な体験をしましたけど、それとはまるで次元が違う。意識だけ別の世界に飛ばされたかのような・・・・」

 

「人は時々妙な体験をすることがある。お前の見た夢もそんな出来事の一つなんじゃろう。別に気にすることではない。」

 

ライトが不安を与えないように声をかけているとワイリーは、至って真面目な顔でエックスに質問する。

 

「ゲッターゼロドラゴン。エックス、夢の中でゼロはそう呼ばれていたんじゃな?」

 

「え、えぇ。」

 

「夢のお前の姿は、悪魔のような翼に二本の角、巨大な斧を持ったロボットだと言っていたが間違いないか?」

 

「はい。」

 

「・・・・・」

 

「ワイリー?」

 

「・・・嫁のマーメイド娘にでも慰めてもらえ。あまり相手にしていないから罰が当たっていたんじゃ。」

 

彼は、エックスに発破をかけると屋上を後にする。

 

「・・・・・馬鹿な。あれが・・・・あれがまだ残っていると言うのか!?」

 

先ほどと打って変わってワイリーは、冷や汗を掻きながら自分の研究室へと急いで戻る。

 

「今、下手にナンバーズを動かすことはできん。隠密型に改修したジョーたちを向かわせよう・・・・もし、エックスの夢がアイツの見ていたものと同じだと言うなら・・・・・事実を確かめねばなるまい。」

 

彼は、部屋に戻ると端末を取り出して作業を始める。

 

「もし、メカトピアとの戦いがアイツを目覚めさせるきっかけになってしまったと言うのなら・・・・策を打たねばなるまい。もし、止めなければあの時以上・・・・地球が滅びるかもしれん!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

150年以上前

 

日本 浅間山近辺

 

早乙女研究所

 

「・・・・この設計でもダメか。」

 

その日、ワイリーは与えられた自室で椅子に座ったまま背伸びをして自分の研究を進めていた。

 

「この炉心を小型化すれば、今のロボットに組み込むエネルギーの選択肢が増える。そうすれば今までは出力を理由にどうしてもできなかった思考プログラムは、勿論他のシステムも最適化できる。だが、この設計からどうしても何かが足りねえな。これだと車サイズにでもしねえと組み込めねえ。」

 

彼は、頭を掻きながら気分転換にテレビをつける。

 

『本日は、先日のロボットコンテストで優勝を飾ったトーマス・ライト博士に出演していただきました。ライトさん、よろしくお願いします。』

 

『いえ、こちらこそ。』

 

「・・・・」

 

ライトの姿を見るやワイリーは、すぐにテレビを消す。そして、リモコンを床に叩きつけて彼は不満を爆発させる。

 

「キイイイイイ!!また、ライトのニュースかこんちくしょう!!最近、アイツ関連のニュースしかやってねえじゃねえか!!マスコミはもっと別の話題探せってんだ!準優勝の俺には声をかけねえくせにクソ・・・・」

 

ワイリーは、ある程度溜め込んでいたものを吐き切るとぐったりと椅子にもたれかかる。

 

「連盟の連中も連中だ。俺の研究は危険が伴うとか言って後回しにしやがって・・・・」

 

彼が愚痴を言っていると部屋のドアからノック音が聞こえる。

 

「ったく、うるせえな。今日はあれの採掘作業はなかったはずだぞ。」

 

不満に感じながらドアを開けるとその先には帽子を被った男の子が飛行機のラジコンを持って立っていた。

 

「なんだ、元気のガキじゃねえか。俺になんか用か?」

 

ワイリーが頭を掻きながら聞くと元気は、持って来たラジコンを見せる。

 

「なんか電池入れても飛ばなくなっちゃったんだ。ワイリーさん、いつもみたいに直してよ。」

 

「俺はいつからラジコンの修理屋になった?一応、ここの職員なんだぞ?」

 

「でも、ほとんど自分の部屋にいるんじゃないか。」

 

「このガキ~~痛いところ突きやがって。」

 

彼に突っ込まれ、ワイリーは、顔を顰めながらラジコンを受け取る。ドライバーで分解をしてみると一部の配線が経年劣化を起こしているのが分かった。

 

「随分使ったな。もう、買い換えたらいいんじゃないか?」

 

「それお父さんが買ってくれたやつなんだ。だから・・・」

 

何かを言いかけようとすると元気は、寂しそうな顔をする。まずいところを付いたと感じたワイリーは、彼の頭を撫でながら謝る。

 

「わかったわかった。直してやるよ。早乙女の野郎、あの出来事以降ミチルどころかお前にもほとんど構わなくなっちまったからな。ったく、あの妖怪爺。」

 

彼は、早速配線を新しいものに付け直して試しに動かしてみる。するとラジコンのプロペラが動いた。

 

「あっ、動いた!」

 

「飽くまで応急処置だ。リモコンの方も大分ガタが来ているから修理した方がいいな。塗装も剥げているから塗り直さねえと。」

 

彼は、メモ帳のリストに材料を書き加えると白衣を脱いで私服に着替えた。

 

「あれ、出かけるの?」

 

「あぁ。これから橘を駅に迎えに行く予定だったからな。部品も足りねえから買い足しのついでに買ってきてやるよ。」

 

ワイリーはそう言うと部屋を後にする。元気は、その後をついてくる。

 

「ねえ、ワイリーさん。ワイリーさんはなんでいつもコンテストで優勝できないの?」

 

「周りが俺よりもライトのことを認めちまっているからだよ。だから、どれだけ優れたものを作っても見ようともしねえ。」

 

「僕は認めているんだけどな。」

 

「ハッハハハ、ガキの癖に言ってくれるじゃねえか。」

 

彼は、再度頭を撫でるとそのまま外へと出る。

 

「帰ったらすぐに直してね!」

 

「わかったよ。」

 

ワイリーは、笑いながら車を走らせた。バックミラーを見るとそこには手を振る元気の姿が見える。

 

「ったく、しょうがねえガキだ。折角だから途中で玩具屋でも覗いて行くか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

駅での用事を済ませ、彼は車を研究所に向けて走らせる。

 

「すまないね、ワイリー君。急用があって研究所を離れていたとはいえ、迎えに来させてしまって。」

 

助手席に乗っている橘は、運転をしているワイリーに礼を言う。

 

「いや、俺も偶々用事があったから引き受けただけだ。別に感謝されることはねえよ。」

 

「・・・相変わらずだな、君は。」

 

「ところで女房との久しぶりの再会は満喫できたか?」

 

急にいじりたくなったのか彼は、嫌らしい顔で聞いてくる。それに対して橘は、少し顔を赤くした。

 

「ま、まあな。急に倒れたと聞いたから心配していたが会ったら思っていた以上に元気だったよ。」

 

「ふ~ん、そうか。んで、結局こっちに戻んのか?」

 

ワイリーは、真面目に戻って彼に聞く。

 

「・・・・・私は降りることにしたよ。正直、今の早乙女博士は別人だ。何かに憑りつかれたと言うべきか・・・今の彼の元にいても自分が本来目指していた物には辿り着けないと判断した。それにこれから生まれる子供のためにもできるだけ近くにいてあげたいんだ。」

 

「そうか。」

 

「そう言う君はどうなんだ?」

 

橘の質問に彼は、しばらく沈黙する。

 

「・・・・俺は、もう少しだけ残ることにした。」

 

「何故だ?」

 

「確かに早乙女の豹変には戸惑いが隠せねえ。いつもドラゴンの採掘することばかりに執着して周りを何も見えなくなっている。だが、ゲッター線の研究にはこれから始まるであろうロボットと人間の社会にも大いに役に立つと思っているんだ。」

 

「変わったな、君は。あそこに行くまでは一匹狼のようで誰ともかかわろうとしなかったのに。」

 

「元気のせいかもしれねえな。痛いとこつくガキだが、今まで否定されていた俺の研究をあの歳とは言え認めてくれている。あんな風に見てくれた奴は・・・・・!?」

 

その直後、ワイリーは急ブレーキをかける。車体は大きく揺れ、車は危うく崖に堕ちそうになる。

 

「い、いきなりどうしたんだ?」

 

橘は、彼の急な行動に戸惑いつつも研究所の方を見ると上空から巨大な物体が暗雲を突き抜けて迫って来ていた。

 

「あ、あれは一体・・・・」

 

「こんなタイミングで仕掛けてきたのかよ!?」

 

彼は、急いで研究所に向けて車を走らせる。急な斜面の多い山道ではあるがお構いなしにスピードを上げて先を急ぐ。

 

「早乙女の奴は何を考えているんだ!?あんなもんが落ちたら・・・・!?」

 

車を運転しながらワイリーは、その忘れることのない光景を目撃する。研究所周囲から凄まじいエネルギーが発生し、迫りくる巨大な物体を消滅させていくのと同時に目の前が光に包まれた。

 

「うっ!?」

 

「こ、この光は!?」

 

二人は、その光の余波で視界を失い意識が一時的に途絶える。その中で彼は、あるビジョンを見た。

 

遥か未来で宇宙を跨ぐ強大な存在。

 

容赦なく蹂躙されて行く他星の生命。

 

それは、自分が進めようとしている研究の最終地点であり、望まないものだった。

 

(これが・・・・これが俺がやろうとしていたものの正体なのか!?こんな他者を容赦なく滅ぼすのが人類の未来だと言うのか?ふざけるな・・・・俺は、俺はこんなことのために研究をしようとしたんじゃない!こんな・・・・ことの・・・・為・・・に・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼が次に目を覚ましたのか橘に揺すられた時だった。目の間を見ると研究所はただの廃墟となり、近くには警察が周囲を閉鎖しようと動いていた。

 

「これは・・・・」

 

「わからない。だが、私が目を覚ました時にはこう・・・・・」

 

「・・・・それってまさか」

 

「ワイリー?」

 

ワイリーは、橘をその場に降ろして警察の制止を振り切って車を研究所へと走らせる。

 

「お、おい君!そこから先は・・・・・」

 

研究所へ辿り着くと急いで中に入ると出かける前と比べ物にならないほど荒れ果てており、最早誰もいなかった。

 

「嘘だろ・・・全員、消えたって言うのかよ?」

 

辺りから漂っている瘴気を気にすることなく、彼は、叫びながら人を探す。

 

「元気!どこだ!おい!いるなら返事しろ!!」

 

行けるところは全て回り、無駄だと感じながらも呼び続ける。返事は帰ってくることなく、疲弊したワイリーは自分の部屋に辿り着く。机には結晶化したラジコンが残っていた。

 

「元気・・・・」

 

彼は、手を震わせながらラジコンを手に取る。力を入れていないにもかかわらず、ラジコンは砕け散ってその場から消滅した。放心状態となった彼が外に出ると既に警察が駆けつけており、保護される形で研究所を去ることになった。それまでの研究資料などを回収することなく。

 

数日後、彼は誰に言うこともなくひっそりと日本を去って行った。

 

そして、幾多の年月が経ち、彼は『悪のマッドサイエンティスト Dr.ワイリー』として全世界に宣戦布告。長きに渡る世界征服計画を開始するが宿敵であるライト博士が作ったロックマンに何度敗北しようと決してロボットにゲッター線を使おうとはしなかった。

 

それが例え自分の最高傑作であったとしても。

 

(何があってもあれだけは使わん・・・・あれを使えば地球が、全宇宙が滅びる!!)




イレハンとコマミの移植はいつなのやら。
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