旧日本エリア 早乙女研究所
研究所の個室に案内されたゼロたちは、各々中に入ってこれからどうするべきかを考えていた。ゼロは先ほどのワイリーの様子もあって黙って椅子に座り込んで考えに耽っていた。
(あの敷島という男の話では俺とアイリスがゲッターに呼ばれたと言っていた。確かにここに来てから奇妙な感覚を覚えていたがジジイの話ではゲッターは人類を選び、進化を促すはず存在だ。それが何故俺たちを・・・・)
そんな彼に対してアイリスは、どう声をかければいいのか戸惑う。ただ、隼人とワイリーのやり取りを見る限り、自分たちが重要な立場であることはある程度察することができたが同時にこれから来る想定外の事態に不安を感じずにはいられなかった。
(どうすればいいのかしら?ワイリー博士の話では私たちは一刻も早くここから逃げた方がいいと言っていたけど・・・あの隼人って人は力づくでも止めに来るかもしれない。でも、このままここにいても・・・)
彼女が何か打開策を考えなければと悩んでいると部屋のドアのブザーが鳴る。もしかしてワイリーかロックマンかもしれないとアイリスは入り口を開けるがそこにはボロマントを羽織った黒いゲッター1、リョウがすごい目つきで立っていた。
「・・・・」
「え、えっと・・・何か御用でしょうか?」
体から無意識に発せられる殺気に対し、彼女は動揺する。リョウは、そんな彼女を無視して部屋の奥にいるゼロの方を見る。
「・・・お前がゼロか。」
彼の言葉にゼロは、自分の名前を知っていることに驚く。このゲッターロボは自分たちを拘束した現場にはいなかったはず。隼人から知らされたのだろうか。
「あぁ、俺だが。」
「・・・フン、あのクソジジイが手塩を込めて作られただけのことはあるな。見ただけでも性能が高いことがわかる。」
「ジジイのことを知っているのか?」
憎々しく言う彼に対してゼロは、聞く。
「さあな。昔のことは忘れたくても忘れられない。」
「ロボット狩りの被害者か。」
「ある意味ではな。だが、そんなことはどうでもいい。俺はお前が気に入らねえからここに来た。」
「何?」
リョウは、肩からトマホークを展開して彼に向ける。突然の行動にアイリスは思わず彼を押さえようとする。
「何をするんですか!?」
「俺と戦え。お前がワイリーの目指した『地上最強のロボット』なのかどうか見極めてやる。」
「俺はそんなことにこだわっていない。」
「どうかな?お前もロックマンを倒すために作られたロボットなのだろう?フォルテや俺のようにな。」
その一声でゼロは、彼の正体を察した。その目は以前対峙したフォルテと同様に狙った獲物は逃そうとしないハンターそのものだったからだ。
「お前・・・ワイリーナンバーズか?」
「どうでもいいと言っただろう。それよりもお前は何故俺に武器を向けない?最強のロボットなら敵意を向けた相手は容赦なく襲うはずだろう。」
戦うのをやめようとする気はないらしい。ゼロは、彼のトマホークを下ろさせると部屋の出口へと歩いていく。
「ここで暴れられると迷惑だ。外で相手をしてやる。」
「フン、最強ゆえの余裕か。いいだろう、ここから少し離れた所にある戦闘訓練所についてこい。お前を倒した後にロックマン、そして、あのクソジジイを痛めつけてやる。」
リョウは、トマホークをしまって部屋を出ていく。
「ゼロ・・・」
「あのロボットはどうやら俺やジジイの存在を面白く思っていないようだ。だから、戦ってその正体を突き止める。」
そう言うと彼はリョウの後をついて行く。アイリスは夫に万が一のことが起こったらと思い、ひとまずロックとワイリーを呼ぼうと部屋を後にした。
一方、ワイリーはシグマを護衛に自分の部屋から出てある場所へと向かっていた。そこは立ち入り禁止と張られて封鎖されていたが彼は、慣れた手つきで鉄格子を外し、奥へと歩いていく。
「ドクター、一体どこへ向かわれているのですか?」
「『地獄の釜』の上部じゃ。真ゲッターの状態を見る限り、奴はワシの想定以上のゲッター線を吸収しているように見えた。」
「それと何が?」
ワイリーは、歩きながら天井に指さす。
「ちょうどこの上辺りがワシらが隼人たちに捕まったところじゃ。」
「つまり、あの真ゲッターとやらは下にある地獄の釜からゲッター線を収集していたと?」
「ワシの細工が正常に作動しているならな。」
二人が目的の場所に到着するとそこには人工的に掘られたと思われる巨大な穴があった。そこから何やら緑色に光るガスが噴き出したかと思えば消え、噴き出して消えるという光景が繰り返されている。
「ここが」
「『地獄の釜』。かつて150年以上前にゲッター線の増幅炉として改造されたゲッタードラゴンを用いて真ゲッターへのエネルギー供給の実験を行った場所であり・・・この研究所の惨劇の引き金となった場所じゃ。」
ワイリーは、複雑そうな顔を浮かべると持ってきた測定器を取り出して観測を始める。
「ふむ、ワシが細工した通り吸収している物以上のゲッター線を放出しているようじゃな。」
「そのゲッタードラゴンはどういった経緯でこの下で眠る事になったのですか?」
「敵の襲撃じゃ。実験中に昆虫に酷似した未知の勢力がこの早乙女研究所を襲った。奴らは、ゲッターそのものを葬るために遥か未来からやってきたのじゃ。今よりもずっと未来からな。当時稼働していた真ゲッターは勿論、増幅装置に改造されたドラゴンも対象に入れられていた。」
「では、敵から身を守るために?」
「いいや、弁慶の馬鹿が無理やり動かしてヘマをこいた。改造されたドラゴンは、戦闘能力は失われてはいないとはいえ、出力が常に高い状態になっていたことからメルトダウンを引き起こして暴走しかねない状態だったんじゃ。それにもかかわらずゲッタービームを・・・はあ、あの時早乙女の反対を押し切ってあの馬鹿諸共自爆させておけばよかった。」
彼が肩を落として調べている間、シグマは自身の仕事のため周囲を確認する。尤もここに来るものは早々いないため、気休め程度だが。
(先ほどはかなり混乱していたが流石はドクターと言ったところか。しかし、こんな何もないはずの所だというのに妙に落ち着かんな。まるで常に誰かに見られているような感覚だ。これもゲッター線による影響・・・・)
そう思った矢先、何かがすぐそばを通り過ぎたような感覚に襲われる。後ろを振り向くとそこには誰もいなかった。
「気のせいか。私としたことが無意識に錯覚を感じるように・・・・なっ!?」
シグマは、ワイリーの方を見るや驚愕する。白衣の老人とマントを羽織ったトカゲのような怪人、そして、頭部に二本の角を生やした男が彼のことをじっと眺めていたのだ。得体の知れない存在が突然目の前に現れたことに
シグマはサーベルを展開しようと身構える。
「ドクター!!」
「気にするな、こいつ等はゲッターに取り込まれた亡霊どもよ。干渉こそはするが直接害を与えるようなことはせん。そこらのインチキ商法みたいに勧誘してくるがな。」
「ハア・・・・」
改めてみると三人は特に手を出そうとする様子はない。すると三人のうちの一人である鬼の男が声をかけてきた。
『遠路はるばるまたここを訪れるとは一体どういう風の吹き回しですかな?アルバート・W・ワイリー。』
「そんなこと亡霊になった貴様なんぞに話すと思うか、ブライ大帝。貴様らがいくら勧誘しようとワシは自分の考えを変える気はない。」
ワイリーは、突き放すようにブライに答える。ブライ本人は特に激怒する様子もなく下がった。
『別に我々は貴方の考えを捻じ曲げるような気はない。ただ、呼ばれてここに来たに過ぎないのです。』
「フン、どうせ理由もわからないんじゃろう?ゲッターに取り込まれて己の思考もなくなってしまったか、ゴール。かつての恐竜帝国の帝王であろう者が落ちぶれたもんじゃわい。」
『思考をなくしたのではない。ゲッター線と一つになったことで生物という概念の限界から取り払われただけに過ぎん。ゴールもブライも・・・このわしもな。』
二人が消えると早乙女は、得意げな顔で彼と対峙する。シグマは、目の前で起こっている非現実的な現象に戸惑っていた。
「視覚センサーも熱源探知機能にも異常があるわけではない・・・だが、この男もさっきの二人も熱源反応があるにもかかわらず、生体反応が検出されない。一体この現象は・・・・」
『お前の連れてきたこのロボットにはわしが見えているようだな。無機物でかつては器に過ぎなかったはずの機械が今では生物に変わりうる存在へと進化している。』
「だが、それはゲッター線によってではない。科学の発展、ワシとライトが道を切り開いたからこそ成し得たことじゃ。無論、ドラゴンが呼んだゼロたちもな。」
断固否定するワイリーに対し、早乙女は鼻で笑い返す。
『フッ、ゲッターが進化を促すのは何もゲッター線だけではない。浴びたことで進化した人類、そして、その文明を発展していくメカニズムもまたゲッター線から得られた恩恵でもあるのだ。』
「だから、選ばれたとでも言いたいのか?」
『わしの言えることはお前と竜馬が見たものが幾多にも別れた選択肢の一つに過ぎんということだ。その答えに行き着くか異なるものへなるかどうかはお前の息子とあの小娘次第ということだ。』
淡々と答える彼を目にしてワイリーの目つきが鋭くなっていく。
「ゼロたちをゲッターに関わらせる気は微塵もない。」
『アルバート、ゲッターの前ではお前の意志なぞ小さな存在でしかない。選ぶのはあの二人だ。その答えがどのようになろうとわし等もお前もその行く末を見届ける義務がある。例え、それが望んだものでないとしてもな。』
「ぬうう・・・」
早乙女は、釜の前にまで歩いていくと一旦下を見降ろし、二人の方へと向き直る。
『・・・・まもなくドラゴンが目覚める。この目覚めが人類・・・いや、この星そのものを見限ることになるのか、或いは新たな可能性を示すのか。しかとその眼で見ておくといい。』
彼はそう言うと穴に落ちるような形で姿を消した。シグマは思わず地獄の釜の下を覗くがそこは暗闇に飲み込まれて何も見えなかった。
「今のは・・・・本当に起きたことなのか?どうも信じられん。」
彼が困惑しているとワイリーは、肩に手を置く。
「お前のように動揺する奴がゲッターに呑み込まれるんじゃ。そうなりたくなければ耳を貸さんことだな。」
「ドクター。」
「解析の結果が出た。ワシの予測通り、ゲッター線の異常放出でドラゴンの反応が計測した時と比べて進化がかなり遅れておる。早乙女は何を思ってあんなことを言ったのかはわからんが現時点でドラゴンが目覚める可能性は不可能に近い。」
結論を述べるワイリーではあったがそれでも内心不安を拭い切れていなかった。
確かに本体であるドラゴンの進化は著しく遅れている。だが、これには仮説がある。
それは“パイロットの不在”だ。
150年以上前の事故で搭乗していたパイロットがメルトダウンの巻き添えで取り込まれたのを最後にドラゴンは、パイロットを搭乗させないまま活動を続けている。つまり、適性の高いものを乗せれば再び活動を活発化、遅れていた進化が一気に加速することが有り得る。
ここにゼロとアイリスが導かれればそれこそ取り返しにつかない事態を招きかねない。
「・・・シグマ、部屋に戻ったらトレーラーに待機させているシャドーマンに連絡を入れ、ジャイロマンたちを除く全ナンバーズにここに来るように伝えろ。ミサイルもここに運んでな。」
「しかし、あの神隼人と敷島という老人が黙っているとは思えませんが。」
「いくらあれだけのゲッターロボを用意しようと所詮は民間から改修したアマチュア軍団、純戦闘用に作られたナンバーズの敵ではないわ。」
二人は、やることを終えると部屋に戻ろうと動く。鉄格子の辺りまで彼を探しに来たのかロックが慌ただしく駆けつけてきた。
「ワイリー、今までどこに行っていたんだ!?」
「なんじゃ、ロックマン。そんなに慌ただしく?」
「ゼロさんがあのゲッターロボの中の一人と訓練場で決闘しているんだ!?」
「なぬ?」
通路
「迷った・・・」
その頃カリンカは、自室に案内された後に外への連絡手段はないかと廊下に出たのだが似たような背景が広がっているせいもあって道に迷ってしまっていた。道を尋ねようにも近くには作業をしているゲッターロボの姿もないために聞くこともできず、結局手あたり次第部屋を調べていくしかないという結論に至った。
「ここも無人・・・この研究所、本当にどういう作りになっているわけ?これじゃあ、毎日迷子が多発するんじゃないの?」
彼女は、頭を押さえながら次の部屋の前に来る。そこの扉は今までと比べて大きいため、少なくとも通信室かなにかの重要な部屋に見えた。
部屋を開けてみるとそこには端末を操作している隼人の後ろ姿があった。彼は、部屋の扉が開いたことにより、作業を中断してカリンカの方に振り向いた。
「なんだ?俺に何か用か?」
「えっ。いや、えっと・・・その・・・・」
道に迷ったなんて恥ずかしくて言えないと彼女は、言い訳を考える。しかし、隼人は容赦なく言い当てる。
「その様子だと自分の部屋がどこだが分からなくなってたまたま俺の部屋に来たようだな。」
「うぐっ!?」
「顔に書いてある。っで、ただの探検に出てきたんじゃないんだろう。目的はなんだ?」
「な、なによっ!子供扱いして!!私は・・・・」
「『カリンカ・ミハイロヴナ・コサック』、年齢2×歳。ミハイル・セルゲイビッチ・コサック博士の一人娘でロボット工学の科学者の卵、違うか?」
その言葉を聞くやカリンカは、顔色を真っ青にして彼を見る。
この男、一体いつ自分の個人情報について調べたのだろうか?
そもそもここに来てそんなに時間が経っているわけではないため、調べ上げることは不可能だ。
身震いしている彼女の様子を見て隼人は、本棚に収められている一冊の分厚い本を取り出して彼女の目の前に差し出す。コサックの著書『人間とロボットの未来』だ。ちなみに本棚にはワイリーの著書である『卓球しながらできるラクラク世界征服』も収められていた。
「これはお父様の・・・・」
「『ロボットの発展こそ人類の未来の鍵であり、すべてのロボットが人間を助けるために作られている。』確かに聞くだけならいい響きだ。だが、現実から見れば綺麗ごとにしかならない。彼がアルバートやトーマス・ライトの様に後世に自身の功績を残すことができなかったのはこの考えの甘さが一因だ。」
「な、なんてことを言うの!いくら甘いからってお父様のことを侮辱するなんて!!」
侮辱ともいえる発言にカリンカは、彼に掴みかかる。
「今の言葉を取り消して!」
「お前自身、その目でロボット工学の終焉と狩られて行く彼らの姿を見てきたのだろう?アルバートの行いは確かに世間にとっては迷惑だったが奴には奴の信念があった。トーマス・ライトもその世間の逆風を何とかしようと動いたのもまた事実だ。だが、お前の親父は何をした?自分の作ったロボットたちすら守ることすらできず、逃亡しながら細々と生き延びることしかできなかった。この本の発言が彼の本音だというのならすべては無理にしてもロボットの保護活動をするべきだと思うがね。」
「そ、それは・・・・」
隼人の言葉を彼女は、否定できなかった。
父は確かに研究者としては優秀だったが、行動力はワイリーとライト博士と比べれば見劣りする。実際、自分が人質に取られた時は反逆の気を窺うわけでもなく、ロックマンと直接対峙するまで命令に従っていた。更にロボット狩りが起こり始めた時期も自分と制作中のツンドラマンがいたとはいえ、逃亡中のリングマンたちを置いて先に避難した。
その後もハンターたちの動きを見ながら転々と逃亡を生活を続けることが精一杯で他のロボットたちを助けようとすることができなかった。
行動ができていない以上、自分も亡き父も否定する権利はない。
「・・・・」
「神さん、お掃除に上がりました。失礼します。」
彼女が、ショックのあまりに固まっていると部屋に少し大きめの背負い掃除機を背負った青白のゲッター1が入ってきた。彼は、カリンカの顔を見て少し驚いた様子を見せるがすぐに態度を正して掃除を始める。
「今の発言は俺の視点からの評価に過ぎない。それを侮辱ととるというのなら謝罪しよう。だが、アルバートすらも自分のロボットを可能な限り回収していた。ロボットとの共存を語るのなら、彼らのように動くべきだった。」
「・・・否定できないわ。事前にリングマンたちと連絡を取り合っておけば、彼らが危険を冒してまで研究所に戻らずに済んだ。でも、ロボット連盟に目を付けられる危険性があった上に無理やりとはいえ、前科持ちだった父は助けることができなかった。私だってそう、お父様の立場を危うくさせたくないと思って・・・・彼らを見殺しにしてしまったわ。」
カリンカは、本を抱きしめながら過去のことを思い出す。
幼い頃はよく思っていなかったとはいえ、母を早くなくした自分にとってコサックナンバーズはかけがえのない家族だった。
現在は生き残ったリングマンとツンドラマン、アチモフが計画の一環で復活したスカルマンたちがいるが失ったものは大きい。
そんな悲しい表情を浮かべる彼女の顔を見て、青白ゲッター1は手を止める。
「ダイブマン、ブライトマン、トードマンにファラオマン。みんな、私が我が儘を言っても文句ひとつ言わず、一生懸命世話をしてくれた。そんな彼らを・・・私は何もしてあげられなかった。今でも後悔している。」
「・・・・」
「ダストマンには、もっとひどいことを言ったと思う。ゴミ収集ロボットだからと言って、無意識に避けていたのかもしれない。彼がロボット狩りに関して一番敏感だったのは覚えているわ。お父様は心配かけまいと『大丈夫だ』って落ち着かせたんだけどその次の日に・・・・今も私のことを恨んでいるのかもしれ」
「私は貴方のことを恨んでなどいない。」
「えっ?」
突然の会話の割り込みにカリンカは、思わず青白ゲッター1を見る。彼は、彼女の聞き覚えのある声で話す。
「小さい頃は確かに世話を焼かされましたが、ロックマンたちとの交流を経て貴方は、博士やライト博士のようにロボットを愛する心を持たれ、大きく成長した。ダイブもブライトたちもそんな貴方たちを見てきたからこそ、人間とロボットの共存を信じ続けることができた。」
「・・・・・」
「私も体がこんな面影もないくらい変わり果ててしまっているが博士に作られた時から与えられたこの仕事は今でも誇りを持って続けている・・・・・あっ。」
ポカーンとしている彼女の顔を見て青白ゲッター1は、しまったと口にあたる部位を手で押さえる。カリンカは、まさかと思って口を開く。
「ねえ、貴方もしかして・・・・」
「さあて、次は敷島博士のラボを掃除しないと~。あの人、掃除しないと危険物増産するからな~。」
青白ゲッター1は、気まずそうにその場から逃げようと扉を出るとそこには彼女を探しに来たスカルマンが目の前にいた。
「・・・・」
「やっと見つけたぞ、お嬢様。ったく、戻ってくるのが遅せえから探すのに・・・」
「ギャアアアアアア!!」
「な、なんだ!?」
青白ゲッター1は、絶叫を上げながら掃除機のノズルを彼に向ける。
「スカルマンの幽霊だ!!」
「誰が幽霊だ!?って言うか掃除機向けて退治しようとかゴース〇バスターズかよ!?」
訓練場
「おうおう、リョウの奴があの赤い奴を押してるぜ!」
「いいぞ、ワイリーのポンコツロボットなんぞやっつけちまえ!!」
「お前どっちに賭ける?俺はリョウに1000ゼニー!」
「どうかな?ワイリーが作った奴だからな。俺は赤いのに2500ゼニー。」
「イケイケイケ!今日の試合は盛り上がるぞ~!!」
訓練場の待機室では、どういうわけかゲッターロボたちが中で行われているゼロの決闘を観戦していた。取り付けられている窓からは、ゼロとリョウが戦っており、セイバーとトマホークで切り付けあっていた。
そんな盛り上がっている場でアイリスは、不安な顔でゼロを見ている。
「こっちです!」
そこへロックマンがワイリーを連れて入ってきた。アイリスは、彼らを見るやすぐ傍に来て見えるところへと案内する。
「あそこです、あの部屋の中でゼロが」
彼女に言われるままにワイリーは、二人の様子を見る。
部屋の外で彼が自分たちの様子を見ているの察するとリョウは、鍔迫り合いをしながらゼロに皮肉を言い始める。
「どうやら、くそジジイとロックマンが見に来たようだな。お前の勝利を見に。」
「なぜそこまでジジイを恨んでいる?あの男は確かに許されざることをやってきた。だが、それはお前も同じだろう?」
「確かに俺も周りから見ればアイツと同類だ。奴の世界征服のため、ロックマンを排除するために作られた。それだけならまだいい。それだけならな!!」
リョウは、腹部の装甲を開いてゲッタービームを放つ。寸でのところでダークホールドを発動して距離を取るゼロだったがチャージを行おうとした瞬間、彼はコンバットナイフとトマホークを投擲して妨害をした。
「動きが思っていた以上に速い。」
「俺だけはどうしてかロックマン打倒に執念を燃やすように作られていた。だから、他の奴らが他のことを考えられるのに対して、俺はどうしてもロックマンと戦う以外の目的を考えられなかった!」
突進してくる彼に対してゼロは、アースクラッシュで地形を崩す。それに対しリョウは、大ジャンプをして飛びかかってきた。
「龍炎刃!!」
炎を纏ったセイバーでトマホークを受け止める。
「フォルテを見たときはまだ『自分もこういう仕様なのか』と受け入れられた!だが、お前はどうなんだ!?同じ目的で作られたはずなのに使命に囚われることなく動いている!他のナンバーズの様に!何故だ!?」
リョウは、もう一本トマホークを展開してゼロの首に近づけていく。
「俺はこの100年、ロックマンと戦うことを忘れることができない自分を呪い続けた!!あの爺のこともな!パンクとバラードは何とか今の自分を受け入れられた。けど俺は・・・・・俺は!!」
「グウウ!!」
掛かってくる力が強くなってきているのか押されて、徐々にトマホークの刃がゼロの首に近づいてくる。
「いいぞ、リョウ!ワイリーの目の前でその赤い奴の首をはねてやれ!!」
「心配すんな、後で敷島博士に頼んで直してやるから!!魔改造されるかもしれないけど!!」
「ゼロ・・・・」
今にも首が撥ねられそうな事態にアイリスは、顔色を真っ青にする。ロックマンもこのままでは本当に危ないと動こうとするがワイリーに止められる。
「ワイリー!?」
「焦るなロックマン。あのバカを止める方法はお前がほんの少し動けばいいだけのことよ。」
彼は、白衣のポケットから小型の通り抜けフープを取り出して窓にくっつける。
「あの黒いゲッターに向かってロックバスターを撃つんじゃ。」
「でも、ここからの距離でバスターは・・・・」
ここからではこちらに気をそらせるほどの威力は出ないとロックマンは、言おうとする。しかし、それを言う前にワイリーは嫌そうな笑みを浮かべて話を続ける。
「心配いらん。お前が撃てばアイツは必ず動きを止める。その時がゼロの巻き返しのチャンスだ。」
納得いく答えではないもののチャージなしのロックバスターをリョウの背後に向かって発砲する。チャージなしの上に距離があることもあって、ロックバスターの光弾は弱くなり、すぐ近くにまで向かうことにはダメージをまともに与えられないほどのものになる。
「そろそろ楽にしてや・・・・!?」
最後の一押しと力を入れようとした瞬間、リョウは無意識にセイバーを受け止めていた右手のトマホーク上に挙げる。同時にロックバスターの光弾が彼に命中し、何の因果か動きが取れなくなった。
「な、何っ!?」
リョウは、予想外の事態に戸惑う。同時にその動きを見てロックマンはあるロボットの存在を思い出した。
「ワイリー、もしかしてあのロボットは」
「お前も気づいたようだな。敷島と隼人の奴が同じ武装を付けたかどうかまでは知らんが行動プログラムは早々書き換えられる代物ではない。ワシが作ったものなら尚更な。」
攻撃が止まったことにより、ゼロは動きが止まったリョウに対してバスターを向ける。
「よ、止せ!?こんな時にバスターなど・・・・」
「ダブルチャージウェーブ!!」
抵抗する間もなく、リョウの身体が真上に吹き飛ばされる。ゼロは、ゆっくりと体を起こしてセイバーの刃を彼に向ける。
「・・・・結局、俺は自分を超えることができなかったか。とどめを刺せ。」
「・・・あいにく俺は欠陥品みたいでな。動けない相手にとどめを刺すようにはできていない。」
彼は、セイバーをしまうと動けないリュウに手を貸す。
「畜生、リュウが負けちまった!」
「汚ねえぞ、Dr.ワイリー!いくらかわいいお前のロボットが負けそうになったからって邪魔立てを!!」
ゲッターたちは、ワイリーのほうへ向かって文句を言い始める。当の本人は、特に悪く思っている様子はなく逆に言い返してきた。
「フン、ワシは逆に助けてやったんじゃ。」
「「なに~!?」」
「ワシがロックマンに言って横槍を入れなければより悲惨な終わり方になっておったぞ?何しろ、あんな状況下でもラーニングマシンは動いておったのだからな。」
「テキトーなことを・・・・」
「お、おい、みんな見てくれよ!?さっきまでのリョウとあの赤いロボットの戦闘中のエネルギー残量計測していたんだけよぉ・・・・」
全員が解析していたゲッターの方へと集まってPCを覗き込む。するとさきっほどの横やりが入る直前の状況でゼロとのエネルギー残量の差が大きく開いていたことが判明した。この結果を見て全員が驚愕する。
「こ、こんなバカなことが・・・・」
「ゼロは押されていたのではない。あえてエネルギーを消耗させて持久戦に持っていけるように割り出していたのじゃ。つまり、あのまま続ければ間違いなくアイツが勝っていたいうことだ。」
そう言うと彼は、ロックマンとアイリスを連れて訓練場の中へと入る。アイリスは、夫の無事を見るや不安だったとばかりに強く抱きしめる。
「ゼロ、よかった。押されていたからどうなるかと」
「心配かけてすまなかったな。・・・・ジジイ、コイツのことに関してだが」
「お前の傷と合わせて直しながら説明してやる。敷島の奴にやらせたらとんだ魔改造をされかねんからな。今も見るに堪えんが。」
ワイリーは、リョウの前にしゃがみこんで彼の顔を見る。リョウは、鋭い眼差しで睨み返した。
「ワイリー・・・・」
「久しぶりじゃな、エンカー。こんな姿でまた会うことになるとは思わんかったぞ。」
彼が視線を先にやるとそこには他の二機の黒いゲッターが立っていた。
「・・・察するにあっちのゲッター2とゲッター3がバラードとパンクと言うわけか。隼人め、敷島と共にとんでもないことをしてくれおったな。」
ワイリーは、手招きで二人を来させてリョウ改めエンカーを整備室へと運ばせた。
まさかのダストマンとエンカー。