ドラえもん のび太の転生ロックマンX   作:赤バンブル

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最近投稿ペースが遅くなって本当に申し訳ございません。


新たな戦いの前触れ

早乙女研究所 メディカルルーム

 

「ロックマンキラー?」

 

メディカルルームでゼロは、治療を受けた後に聞いたこともない言葉に反応する。

 

「対ロックマン用に開発したワイリーナンバーズとは違うナンバーを与えられたロボットじゃ。大規模な世界征服の間の期間にまだ調子が戻り切っていないロックマンを倒すために制作したのじゃが・・・・フォルテほどではないが三人とも癖が強い奴でな、わざわざ準備が整うまで戦おうとせんのじゃ。お前みたいにな。」

 

隣のベッドで寝かされているエンカー、壁際で待機している二機の黒いゲッターを見ながら彼は、目を細めて言う。

 

「『パンク』、三人の中ではかなりまともな方で正々堂々と勝負することを好む。尤も見た目が凶悪そうなところからよく誤解を受ける。」

 

「作った貴方が何を言っているんだ。」

 

「『バラード』、プライドが高い上に形勢不利でも素直にはやられない執念深さを持つ。フォルテと同様、当時の最新技術を投入したことから性能はキラーナンバーズの中でも最高クラスのこともあって自分が常にナンバー1と思っている。」

 

「アンタのプログラミングは一癖、二癖多いからな。」

 

「そして・・・今、目の前で修理を受けているのが最も最初期に作られたロックマンキラー『エンカー』。打倒ロックマンを念頭に入れて制作されたこともあるがロックマンを追い詰めることだけに執念を燃やし、それ以外の事柄には無関心。フォルテのバカほどではないが他のナンバーズからは冷たい奴と思われている。」

 

「・・・・誰のせいだと思っていやがんだ。」

 

修理をしてもらっているエンカーは、ギロリと彼のことを睨みつける。その反応に対し、ゼロはワイリーに一言呟く。

 

「この睨み付け方、アンタのこと相当恨んでいるぞ?」

 

「まあ、ロボット狩りの際には30%近くのスナイパージョーを回収しきれんかったからな。いくら天才のワシとてそんな全てに手が届くほど万能じゃないんじゃ。助けに行ってやらんかったことは今でも済まなかったと思っている。」

 

そう言いながら彼は、アイリスとロックに工具を渡してもらいながら修理を進める。そんな中、エンカーは思い出すかのように口を開く。

 

「・・・もう100年以上も昔だ。そこの爺が言ったように俺は、ロックマンキラー第一号として作られた。ロックマンを倒すことを目的にな。結果は俺の武器であった『ミラーバスター』の致命的な欠陥で敗北した。その後修理を終える度に世界征服計画を阻止して間もないロックマンによく挑戦しに行った。負けたけどな。」

 

「あれは・・・・エンカーが学んでいないというかなんというか・・・」

 

彼の昔話にロックは、困惑した表情を見せる。実際、あの頃のエンカーは、ある意味フォルテ並みに相手の話を聞かない男だった。ワイリーの野望を阻止して被害を受けた街の復興作業の手伝いをしに行こうとしたときに限って研究所を訪問し、その度負けたらライト博士か彼の修理を受けるのがオチだった。

 

「だが・・・ロボット狩りを始まって間もない頃、状況が変わった。Dr.ライトの研究所は物抜けの殻となり、爺は基本的に各地を転々とすることが多い、俺たちロックマンキラーの前から姿を消した。そして、ロボット連盟の屑共が送り込んできたハンターを蹴散らしながら逃亡する日々。最初の頃は三人で戦っていたが、パーツの消耗でパンクとバラードは次第に戦えなくなっていった。」

 

「俺たち、ロックマンキラーは通常のワイリーナンバーズとは使用しているパーツの仕様が異なる上にスペアが少なかったからな。放棄されたワイリーキャッスルに予備が置いていないことも珍しくない。」

 

「幸い、初期に作られたエンカーはスナイパージョーともパーツの互換性があったから途中で見つけた残骸からパーツを取ることで替えが効いた。それでも限度があったがな。」

 

他の二人は、あの時の出来事を鮮明に思い出す。

 

パーツの摩耗と度重なるダメージを受けて満足に動けなくなった自分たちをエンカーは庇いながらハンターたちと戦い続けていた。派遣されてきた部隊が全滅すると彼は、敵からパーツを剥ぎ取って自分のものと取り換え、二人を背負いながら次のワイリー城を目指しながら歩いて行く。

 

何度も蹴散らし、何度も物抜けの殻の基地を彷徨った末に彼らは、この浅間山付近で力尽いたところで隼人に拾われ、現在の姿へと改修されることになった。

 

だが、エンカーはそんな日々を送っていながらもロックマン打倒と言う思考を完全に断ち切ることができなかった。ほんの僅かな休息の時すらも目を閉じれば過去の戦いが浮かび上がり、戦うたびに彼と戦う欲求が刺激される。仕舞いにはボロボロになったボディを取り換えた今すらも続いている。

 

「俺は、正直自分が情けなくなった。仲間が今にも倒れそうな状況でも態度を改められず、ロックマン打倒に固執し続ける自分が。」

 

「そうプログラムされておったのだ。むしろあの時からここまでの思考できるようになっただけでも成長したもんじゃわい。隼人も敷島も頭脳ユニットはいじっていないようだしな。それだけで感心ものよ。」

 

「・・・俺をコケにしているのか?」

 

彼は、ギョロりとワイリーを睨みつける。

 

「対ロックマン戦に作った奴は、大抵ワシの命令を聞かんからな。フォルテと言い、そこのゼロと言い、当時の技術を結集して作ったはずの傑作に限って言うことを聞かない。だが、お前は聞いていた。二人とは違い、ロックマンに敵いはしなかったものの修理されるたびに挑みに行った。パンクやバラードすらもそこまで動かなかった。そこだけはワシも評価している。」

 

「・・・」

 

「尤も仲間であるはずのナンバーズすらも見下すような態度を見せるのは気に入らんかったが。」

 

「そうなるようにアンタが設計したんだからしょうがないだろうが。」

 

「ホレ、終わったぞ。」

 

修理を終えるとエンカーは、体を起こして修理台から立つと腕を回す。

 

「細工してないだろうな?神さんからアンタが大のゲッター嫌いだって聞いているからな。何か余計なことを・・・」

 

「流石にそこまでのことはせんわ!ワシが警戒しているのはこの下に眠るドラゴンと真ゲッターじゃ。あの二体を消した後に全員の炉心を交換すればこの世界とゲッターの関係を断ち切ることができる。あの悍ましい進化に辿り着くこともな。」

 

「爺?」

 

彼の真剣な顔つきにエンカーは、自分の知っているワイリーらしくないと感じる。それは他の二人も同じようだった。

 

「お前たちが隼人と敷島の方に付くのは構わん。だが、ワシの邪魔をしようとするな。これはワシの因縁でもあるんじゃ。この地球、宇宙そのものの運命を左右するほどのな。」

 

言いたいことを言うとワイリーは、そそくさと部屋を出ていく。

 

「エンカーだったな。俺が何故使命に囚われることなく動いているのかと聞いていたが大間違いだ。」

 

「何?」

 

「今の俺は、ジジイが想定していた俺じゃないんだ。本当の俺は、全てを破壊するために作りだされた破壊者。アンタたちを襲ったハンターと比べ物にならない理性の欠片もない殺戮マシンなんだ。」

 

ゼロのまさかの言葉にエンカーは、目を丸くする。部屋の隅で待機していたパンクたちも同じように驚きながら彼に近寄る。

 

「冗談だろ!?」

 

「いくらあの男とは言え、我が子同然であるロボットそんなことをさせるとは考えられない。」

 

「今の俺の人格は偶然の産物で生まれたんだ。だから、ジジイに対して反抗したり、文句を言うことができる。しかし・・・何かしらの拍子で元の戦闘マシンに戻る可能性も0じゃない。」

 

自分の想像以上の答えが返ってきたことに彼は、思わずゼロのことをガン見する。

 

「お前・・・・」

 

「だが、俺はそんなことを不安だとは思っていない。もし、俺は本来の自分に戻り、この世界に災いをもたらそうというのなら仲間たちが止めてくれる。俺自身、なるつもりもないがな。」

 

ゼロは、それだけ言うとアイリスを連れて去っていく。現場に残されたロックは、後ろにいる二人を気にしながら彼の近くに来る。

 

「エンカー・・・そのなんて言えばいいかわからないけど今、僕と戦いたい?」

 

「何?」

 

「ワイリーを恨むもそうだけど君は僕と戦いたかったんだろう?もし、それで君の気が済むのなら相手をするけど。」

 

「お、おいロックマン!?いきなり発破かけるなんてどういう・・・・バラード?」

 

突然の発言にパンクは止めようと動くがバラードに制される。エンカーは、しばらくロックのことを睨みつける。

 

「今はそんな気分じゃない。爺のことに関しては許す気はないがお前がいることを知っただけでゆとりができた。」

 

彼は、やや落ち着きを取り戻した様子で答えるとそっぽを向いて部屋を出て行った。緊張していたのかロックはその場で尻もちをつく。

 

「はあ、緊張したぁ。姿があんなに変わってもあの目つきだけは変わらないんだな・・・。」

 

「えっ!?あんな挑発しておいてビビってたのかよ!?」

 

彼の反応を見てパンクは、思わずツッコミを入れる。

 

「しょうがないよ。だって、エンカーの目つき昔から怖いんだもん。」

 

「お前な・・・・」

 

「それがロックマンのいいところだ。あの挑発でアイツが100年の間に全く成長していなかったわけではないことが証明された。それを試したかったんだろう?」

 

尻もちをついた彼に対し、バラードはペンチ状のアームで手を貸す。ロックは彼の手を借りて立ち上がる。

 

「ありがとう、バラード。」

 

「そういう性格だからこそ、今も尚お前は伝説として語り継がれているんだろうな。色々固執していた俺たちが倒せなかったわけだ。」

 

「でも、驚いたよ。君たちがそんなに姿を変えるなんて。あの神隼人って人に元の姿で直してもらえなかったの?」

 

「この研究所は元々ゲッター線開発用に作られた施設を改修したものだからな。エネルギーの補充の効率化も踏まえて元のボディよりも都合がいいんだ。尤も自衛のために最低限の戦闘能力を持たせる意味もあるが。俺もパンクも体を作り替えたが一部の機能は敷島博士に頼んで取り付けてもらっている。こんな感じにな。」

 

バラードは、アームからかつての装備である『バラードクラッカー』を出して見せる。

 

「そ、そんなところから出せるんだ・・・・パンクは?」

 

「おう、俺も『スクリュークラッシャー』を撃てるぜ。でも、前の身体と違って威力の調整が難しいから最近はミサイル兵装で済ませるのが普通だな。」

 

「へえ、ワイリーの作った武器だからライト博士かコサック博士たちにしかいじれないと思ったけど・・・」

 

二人が以前の特殊武器が使えることにロックは感心する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同時刻 ハンターベース メディカルルーム

 

「エックス、マーティ。もう動いていいぞ。焦らずゆっくりな。」

 

ライト博士の言葉を聞いて二人は、寝台からゆっくり体を起こす。

 

「気分はどうだい?」

 

「はい、問題ありません。特に不具合のようなものはないです。」

 

「ただ・・・・なんていうのか違和感があるわね。胸の奥の方で」

 

マーティは、自分の胸に手を当てながら戸惑う。そんな彼女にライト博士は、和やかな表情で答える。

 

「元々の高エネルギー結晶体は、その膨大なエネルギーのために取り付けたロボットを暴走させてしまう危険があったからな。そう感じてしまうのも無理はない。だが、今は技術の発展で対策が取れるからそこまで心配してくてもいいじゃろう。それにお前たち二人ならきっと使いこなせるはずじゃ。」

 

「・・・だといいんだけど。」

 

二人は、立ち上がると廊下に出て窓から輸送されて行くネオゲッターロボの姿を見る。

 

「どうにか修理が終わったんですね。」

 

「うむ。だが、鉄人兵団が大きな動きを見せないことから修理後に不具合がないかどうかを確認するために鏡面世界のベースでテストを行うとのことだ。」

 

「そうですか。」

 

三人で司令室へと向かうと丁度シグナスがVAVAと何か話をしていた。

 

「この情報は本当だというのか?」

 

「さあな、少なくともこんなゴタゴタな状況の中で俺に通信を送ってくるほどアイツは馬鹿じゃない。」

 

「シグナス。」

 

「ん?エックスか。Dr.ライトの調整は終わったようだな。」

 

シグナスは、待っていたとばかりに話を始めようとする。

 

「何の話をしていたんだ?」

 

「VAVAがブラックゼロからメッセージを受け取った。アクセルとパレットをこちらに連れてくるらしい。」

 

「なんだって!?それは本当なのか、VAVA!?」

 

エックスは、思わずVAVAに聞く。彼は、呆れたように頭を押さえる。

 

「俺に聞くな。届いたのは飽くまでメッセージだ。無事に帰ってくるとは書かれていない。」

 

「でも、おかしいんじゃないの?リルルの時は自分たちの基地に連れ帰ったくせになんで今回はこっちに送り届けてくれるのよ?アンタ、まさか変なこと企んでいないでしょうね?」

 

「お前に言われたくはない、露出狂マーメイド。だが、何かに追われているようだ。」

 

「誰が露出狂よ!!」

 

「追われている?鉄人兵団にか?」

 

「知らん。だが、ネオゲッターのリハビリには打ってつけだろう。」

 

VAVAは、肩を回しながら司令室を出る。エックスは、彼に後姿を見送るとシグナスの方へ向き直る。

 

「今の話本当なのか、シグナス?」

 

「正直に言えばアチモフ一味をまとめ上げているブラックゼロがアクセルたちをタダで返しに来るとは考え難い。何か良からぬことを企んでいる可能性がある。」

 

「けれど、こちらが警戒しているのは向こうもわかっているはずよ?それに二人は鉄人兵団の情報を手に入れている。彼らは欲しくないのかしら?」

 

エイリアは、首をかしげながら呟く。本来の首領であるDr.アチモフの身柄をこちらで押さえている以上ブラックゼロは、VAVAを経由することなく二人を餌に要求してくるはずだ。にもかかわらず、今回はこのような形で二人を返すと言ってきた。鉄人兵団の戦力が彼らの予想を上回るものだったのか、それとも別の目的があって自分たちのコンタクトを求めてきたのか不可解だ。

 

「・・・・どの道、接触ポイントは鏡面世界のハンターベースだ。備えをしておくに越したことはないだろう。エックス、マーティ。予定通り鏡面世界へ行ってネオゲッターロボをいつでも出せるように進めてくれ。VAVAへの警戒も怠らないように。仲間が来る以上、向こうへ戻るのも有り得るからな。」

 

「分かった。ゲッター號の方は?」

 

「鉄人兵団が再度の攻撃に備えてこちら側に残す。ただ、修理が終わったザンダクロスと共にジュドも調整のために同行させる。余計な争いは避けたいところだが・・・・頼むぞ。」

 

シグナスの命令を受けるとエックスたちは、敬礼して司令室を後にして鏡面世界へ向かう準備を市に格納庫へと歩く。

 

「ねえ。あの二人、洗脳された状態で戻ってくるって言う悪い冗談はないわよね?」

 

「ブラックゼロは、場合によって手段を択ばない。けど、今回に限ってそれはないんじゃないかな?下手に手を出せばアチモフたちに何をされるか彼もわかるだろうし。」

 

「・・・だといいんだけど。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜 

鏡面世界 ハンターベースから離れた山林地帯

 

ブラックゼロはアクセルたちを側車に乗せ、ハンターベースに送り届けるべくマシンを走らせていた。

 

「・・・」

 

彼が無言で速度を上げて先を急いでいる一方で側車に乗っているアクセルとパレットは、そのスピードを前に顔を歪ませていた。

 

「ね、ねえってば!!いくらなんでも飛ばしすぎじゃない!?確かに急いでいるのはわかるけど、毎回こんなスピードで強い衝撃なんて来たときは僕たち放り出されちゃうよ!」

 

「・・・参ったな。」

 

「「なにが?」」

 

「うん。」

 

二人は、ブラックゼロが指さした方を見る。既に背後には黒い巨体のインベーダーが四足走行でこちらに迫ってきていた。もう敵につけられていることにアクセルは仰天する。

 

「えっ!?もう、見つかったの!?」

 

「余程、大事なものなんだろうな。こんなにも早く追跡されるとは想定外だ。」

 

ブラックゼロは、マシンに取り付けられているマシンガンを手に取り、パレットに投げ渡す。同時に二人についていた手錠が自動で解錠された。

 

「えっ、こ、これって・・・」

 

「捕まりたくなかったら迎撃しろ。本当なら俺がやりたいところだがそんなことしたらスピードが落ちるからな。」

 

「そ、そんな~~」

 

パレットは、恐る恐る再度後ろを見る。少し離れたところにはインベーダーが口の中の牙をガチャガチャと鳴らしながら自分を捕らえようと走り続けている。それを見るやあの基地の惨状が蘇る。

 

「ひっ!?」

 

「パレット、今はコイツの言うとおりに迎撃した方がいいよ。こんな化け物、鏡面世界とはいえ、ハンターベースにまで連れてきたら大変なことになるよ。」

 

アクセルは、アクセルバレットを構えてインベーダーの頭部目掛けて射撃を開始する。パレットもビビりながらマシンガンを発砲し始めた。

 

『キシャァアッ!!』

 

「駄目、全然効いてない!!」

 

「じゃあ、これならどうかな。スナイプミサイル!!」

 

アクセルは、特殊武器の追尾式ミサイルを一斉に放つ。インベーダーは、ミサイルが命中する前に空中へと飛び、両腕を鋭い刃物状に変形させて迫ってくる。

 

「よし、空からなら避けられないはずだ。」

 

彼は、咄嗟に武装をGランチャーへと持ち替えて胴体に向かって発射する。弾は、一直線に向かって敵の腹部に大穴を開けると考えていたがなんとインベーダーは自ら腹部に穴が開くように変形して弾を擦り抜けた。

 

「う、噓でしょ!?そんなの反則だよ!」

 

アクセルの動揺を他所にインベーダーは、彼らのすぐそばに着地。恐竜のような二足走行へと切り替えて空いた両腕を使って側車を切り落とそうと振り回す。

 

「うわっ!?」

 

「キャッ!」

 

刃がすぐそばに迫ったこともあってアクセルたちは、悲鳴を上げる。ブラックゼロは、攻撃を回避しながらも先を進めるがこのままではいずれ攻撃を受けてしまう。

 

(チッ、できれば使いたくなかったがこれ以上こいつらの攻撃を回避するのは限界だ。リスクが高いが・・・)

 

彼は、目の前のパネルを操作すると取り付けられている接続ケーブルを体に繋げる。

 

《ダブルギアシステム、接続成功しました。》

 

ナビシステムの音声が聞こえると同時にブラックゼロはすぐそばで悲鳴を上げている二人の方を見て叫ぶ。

 

「お前ら!腹に力を入れてしっかり掴まってろ!!」

 

二人が側車にしがみついているのを確認すると彼は振り下ろされてくる刃を背にシステムを実行に移す。

 

「ダブルギア発動!!スピードギア、危険領域までのリミッターを解除!オーバードライブ!!」

 

するとライドチェイサーが青く発光し、命中寸前で空振ってインベーダーの刃が地面に突き刺さった。

 

『ギャッ!?』

 

インベーダーは、目の前にいたはずの敵が急に消えたことに驚いてあたりを見回す。背後からは遅れて飛行タイプの仲間たちが合流してきた。その上にはコーウェンとスティンガーが乗っている。

 

「惜しかったね、もうすぐで捕まえられると思ったのに!!」

 

「あぁ、どうやら彼らも無意識に我々の計画を進ませまいとしているようだねスティンガー君。」

 

二人が残念そうに話していると上から一体のロボットが腕を組みながら降下してくる。

 

『そんなに急ぐことはない、同士よ。リルルがこちらに戻ることを拒むというのなら我々が力づくで連れ戻すまでよ。』

 

ビアンコは、ドラゴンのコックピットから言う。

 

『最早地球とメカトピアの戦いなど我々にとっては関係のないこと。Zを破壊した以上、我々の前に立ちはだかりそうな存在はあのゲッターもどきと地球の旧ゲッターのみ。ドラゴンとプロト、そして、我が子を支える触媒であるジュドとリルルを収めることができれば我らの計画は最終局面を迎える。』

 

「確かにその通りだ。そう、別に急ぐ必要はない。彼らは僕たちにとってはちっぽけな存在に過ぎないんだよ、スティンガー君。」

 

「う、うん。そうだね、コーウェン君。でも、待ちきれないよ。こうしている間にも様々な次元で僕らの同胞たちが奴等に滅ぼされている。」

 

落ち着きを取り戻しながらも何か不満を感じているスティンガーに対し、ビアンコは笑いながら答える。

 

『フフフッ、奴らの行き先など既に分かり切っておる。ならば・・・』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

旧日本エリア 早乙女研究所

 

 

夜が更ける頃、隼人は一人黙々と端末を動かしていた。

 

「ここ数日に入って地下で眠るドラゴンの動きが僅かだが活発化し始めている。ゲッター線の多量放出で弱っていると考えていたがそれ以上にパイロットの不在が進化の遅れをきたしていたのか?」

 

過去のデータを見ながら彼は、この研究所の地下で眠り続けているゲッタードラゴンの反応の変化について推測していた。ワイリーの小細工さえなければドラゴンは、自分がコールドスリープから目覚める以前に進化を終えて地上に姿を現していたはずだった。それもかつての戦友が恐れていた事態になっていてもおかしくはなかった。

だが、実際は進化が異常に遅れて反応も100年前の頃からほとんど変化が起きておらず、おそらく今の時代でも目覚めることはないだろうと考えていた。

 

(やはり、あの二人をパイロットとして求めていたというのか?かつての俺たちの様に。だが、彼らは人間に近い思考を持ち合わせているが人間ではない。・・・・早乙女博士ならこんな時に何を言うのだろうか?)

 

彼は、眉間を指で押さえながらグラスに入っているウイスキーを口にする。これで酔えば少しは気も晴れるかもしれないがアルコールに強いのかほとんど酔うことはなかった。

 

「・・・フウ。ん?」

 

そこへドアのブザーが鳴った。開けて見るとそこには昼間の時のようにカリンカがやってきていた。

 

「あっ・・・もう寝るところだった?」

 

「別にそうでもない、徹夜することも珍しくないからな。お前こそ何しに来た?また、迷子になったのか?」

 

「貴方、人に対して失礼ね・・・・・そんなんじゃないわよ。ただ、ダストマンのことについてお礼を言いたかったこともあるけど。」

 

彼女は、困ったように言う。手に紅茶セットを持ってきたこともあり、おそらく眠れないのだろう。作業も一区切りしたこともあり、隼人は少し話でも聞こうかと考えた。

 

「ここで立って話すのもなんだから部屋の席に座れ。」

 

部屋に入るとカリンカは、ハーブティーを淹れながら話を始める。話によるとあの青白ゲッター1の正体は、死んだと思っていたダストマンでロボット狩りから逃れた後、この研究所で働いていたことが判明したのだ。

 

「本当にありがとう、彼を助けてくれて。」

 

「飽くまで彼の人工頭脳を回収したのは敷島博士だ。俺はそれを試作で作った小型ゲッターのボディに移植しただけに過ぎない。」

 

「それでもよ。私とお父様ももう駄目だったと諦めていた。家族の一員であるはずの彼に何もしてあげられなかったとずっと後悔していたのを貴方が救ってくれた。」

 

「・・・家族か。」

 

隼人は、何か懐かしむような顔をしながら紅茶を口に含む。カリンカは、彼のデスクにパイロットスーツを着た彼とその仲間が映った写真を見つける。

 

「この写真は?」

 

「昔、仲間と一緒に撮った写真だ。」

 

「家族の写真はないの?」

 

「お袋は物心が付く前に死んだ。親父は仕事以外には無関心な人間でな、ここに来てからは完全に縁が切れた状態だ。おそらく、俺を死んだと思っていただろうな。」

 

「・・・・寂しくはなかったの?」

 

「さあな。だが、この世の中を壊したいと思ったのか学生運動を行って当時の大臣暗殺まで計画していたほどやさぐれていた。アイツが来るまでな。アイツが俺のことを迎えに来なかったら今この場にいなかった。」

 

「貴方、さり気無く恐ろしいこと言っていない?」

 

カリンカのツッコミを無視して隼人は、写真を手に取って眺める。

 

「この人たちは?」

 

「俺のすぐ隣にいるのが弁慶、その反対にいる竜馬、そばにいる老人が早乙女博士とミチルさんに元気くんだ。後この研究所にいた所員たちそうだが、ここに来てから俺はようやく家族と言うものを知ることができたのかもしれん。人類を守るという使命も・・・・だから、常に置いて行かれている。」

 

彼は、写真を戻して寂しそうな顔をする。

 

「最初の戦いで一人の戦友が自分とゲッターを引き換えに散っていく中、早乙女博士は俺にこんな言葉を送った。『お前たちには残酷な未来が待っている』と。確かにその通りだった。あの後、弁慶も死に博士を含めるここにいた研究所所員全員が消え、竜馬も違う道を選んで死んだ。それでも俺は道を変えずに今まで生きてきた。博士の言っていたことは事実となった。」

 

「でも・・・それは貴方が死んでいった人たちのためにしてきたことじゃないの?」

 

「ん?」

 

彼女の言葉に隼人は、顔を上げる。

 

「私もお父様が培ってきたものを未来へ残すために今の時代まで生き残ってきた。それはお父様がやってきたことを無意味にしたくないと思ったから。貴方も博士やここにいた研究所の人たちのやってきたことに意味を持たせたいと考えて生きてきたんじゃないの?」

 

「・・・・」

 

「ごめんなさい、でしゃばるようなことを言ってしまって。」

 

カリンカは、湿原をしてしまったことに謝罪をする。

 

「・・・・フッ、お前と話しているとミチルさんのことを思い出す。」

 

「えっ?」

 

「彼女もそんな感じの女だった。竜馬が行方不明になった時、俺と武蔵が死んだと考えている中で彼女は最後まで生存を信じていた。そしたら、本当に生きていたんだからな。あの時は信じられなかった。おてんば娘であるところもそっくりだ。」

 

「・・・それって褒めているの?」

 

彼の反応に彼女が顔を顰めている。

 

その直後、研究所中の警報が鳴り出した。

 

「な、何!?急に警報が!?」

 

カリンカが戸惑っている中、隼人はすぐにブリッジに通信する。

 

「何が起きた?」

 

『イレギュラーハンター側で緊急事態です。神さん、至急ブリッジに上がってください。』

 

連絡を受け、隼人は急いでブリッジへと向かう。ブリッジには先に敷島博士が助手のゲッターたちと共に作業を進めていた。

 

「敷島博士、状況は?」

 

「面白半分でジャックしておいた鏡面世界の方で戦闘が起こりおった。今、画像が乱れてわからんがすぐに復旧させる。」

 

騒いでいると何事かとワイリーたちもブリッジに上がってきた。

 

「何が起こりおった!?」

 

「映像、回復します。」

 

モニターに映像が映る。

 

「なっ!?」

 

「これは!?」

 

 

 

そこには黒い量産型ザンダクロス二機を始めとするインベーダーたちを相手にするネオゲッター1。

 

 

そして、暗いこともあって分かりづらいが上空でその様子を窺っているゲッタードラゴンの姿が映されていた。

 

 




チェンゲ版の早乙女博士の中に人がシグマ隊長と同じ麦人だと最近気づいた(;'∀')
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