ドラえもん のび太の転生ロックマンX   作:赤バンブル

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ロックマンXの作品のはずなのに・・・・隼人主体のエピソードになってしまった。


隼人

ハンターベース 

 

「よし、気をつけて持ち上げろ!」

 

「オーライ、オーライ!」

 

ゲッタードラゴンの襲撃の翌朝、鏡面世界から機能停止したゲッター1がザンダクロスの手によって現実世界へと引き上げられていた。激しい激闘を繰り広げた割にはネオゲッターほどの損傷は見受けられず、現場を間近に見ていた一般ハンターたちは引き上げられていく姿を不気味に感じた。

 

「これが昨日、向こうの世界でエックス隊長たちが動かした大型メカニロイドなのか?」

 

「あぁ。しかもビーム一発で山を跡形もなく消し飛ばしたらしい。」

 

「そう言えば、乗っていた人間の方はどうなんだ?ネオゲッターですら乗れないなんて言われていたんだから・・・・」

 

「それが・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

独房

 

「・・・・」

 

拘束具を付けられた隼人は、目を閉じて時が来るのを待っていた。いくつもの死線を超えてきた彼にとってこの程度の拘束やセキュリティーなど簡単に潜り抜けることができるが敢えて大人しくしていた。

 

しばらくすると独房の扉が開き、ライト博士とシグナスが護衛数名を連れて入ってきた。ハンターたちは静かにしているにも拘らず、一切の隙を見せない隼人に何とも言えない不安を感じる。

 

この男は本当に人間なのか?

 

特A級ハンターですら扱うのが困難なネオゲットマシンに勝るかもしれないあの謎のメカニロイドを強化装甲どころか明らかに生地の薄いライダースーツで操縦していた人間だ。ここに入れられる直前の身体検査でスーツを脱がせた際には信じられないほど無数の傷が刻まれていたのを見る限り、それだけのことをしてきたということだ。

 

無言の彼にライト博士は隣のベッドに腰を掛けて声をかける。

 

「君が・・・神隼人君だね?わしは」

 

「『トーマス・ライト』博士。ローバート工科大学工学部電子工学科を首席で卒業、後に平和利用の為の人型ロボット開発の研究に励み、全ての人型ロボットの基礎を作り上げた『ロボット工学の父』と呼ばれるようになった。温厚でそれ故に多くの研究者から慕われていたがその反面騙されやすい欠点がある。例を挙げるならアルバートに対してな。」

 

自分の経歴を先に言われ、彼は緊張する。

 

「貴方の名前は後世に残るほど有名だ。知らない方がおかしい。それこそ、ゲッターのように無理やり抹消しない限りはな。」

 

隼人は、鼻で笑いながら話す。ライト博士は護衛を下がらせるようにシグナスに頼み、その場を二人きりにしてもらう。

 

「俺のことはどこで調べたんです?」

 

「旧日本エリアのアーカイブから調べてさせてもらったよ。そのゲッターについては残されていなかったが140年ぐらい前、あのランドウ博士が北極基地へ派遣された君を始めとする軍事関連のメンバーの死亡リストが・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

19XX年

 

ドイツ生まれの天才科学者『アルヒ・ズゥ・ランドウ』が来るべき新世紀に向けて宇宙・地球すべての物理・経済・軍事学を自らが事前に北極に建設した大型施設『ベガゾーン』で開発する一大プロジェクトを発足。

世界各国の科学者・軍人といった知識人、大企業の多くが彼の計画に賛同。

資金提供などのバックアップを行うと同時に大勢の人材がベガゾーンへと派遣された。

 

隼人も当時軍事関連で自衛隊から派遣され、旧知の仲である橘博士が団長を務めるはずだった各大学の科学者グループと共に入った。ちなみに橘博士は行く直前でまだ幼い息子が急病を患い、病状の経過を見るために来航を一か月延期したため、不在となった。

 

団長不在でありながらも日本グループは担当であった宇宙開発用ロボットの研究を開始。数日後には試作機の組み立てを開始。隼人たちもまた軍事学関連の研究を進めていたがある違和感から途中で手を止めることがしばしあった。

 

「神さん、作業が予定より遅れていますが大丈夫ですか?」

 

手を止めている自分のことを心配してか部下の女性が声をかけてきた。彼女の顔を見ると隼人は、眉間を指で押さえながら席を立つ。

 

「いや、どうもここの空気になじめなくてな。集中力が切れる。」

 

「気晴らしに他のグループの進行状況を観察に行かれてはどうでしょうか?間もなく橘博士もこちらに合流するそうですし。」

 

女性に勧められ、隼人は軽く礼を言うと一旦部屋を出ることにする。

 

「山咲、少しの間作業を引き継いでくれ。留守番をしているだけでも構わん。」

 

「分かりました。では引き継いでやらせていただきます。」

 

山咲は、軽く笑うと席に座り作業を始める。

 

部屋を出て長い通路を歩き、隼人はロボットの開発が進められている研究ドックへと入る。そこには宙吊りのロボットの姿があり、未完成だが着々と組み立てが進められていた。

 

「研究の方はどうですか?」

 

「あぁ、これは隼人さん。えぇ、橘博士が事前にプランをいくつか決めておいたので予定通りに進んでいますよ。」

 

しばらく研究経過について話を聞き、部屋を後にしようとすると入り口付近で幼稚園児ぐらいと思われる男の子がキョロキョロとしていた。迷子だと思い、隼人は部屋に戻る前に男の子に声をかけることにする。

 

「坊や、迷子かい?」

 

知らない人に声をかけられたことで男の子は一瞬驚いて距離をとる。

 

「え、えっと・・・」

 

「パパとママは来ているのかい?はぐれたなら一緒に探してあげるが?」

 

「・・・・パパと逸れちゃった。」

 

男の子は、少し落ち着いたのかようやく話をしてくれた。

 

彼は科学者である父親と共に少し前にベガゾーンに来たのだが親が研究に没頭していることもあり、邪魔にならないように探検をしていたのだが迷ってしまったの事。訳を聞いた後、隼人は男の子を肩車して父親の部屋を探してあげることにした。

 

ロシアのグループの通路まで来るとちょうどタイミングよく父親と思われる男性が隼人たちの姿を見て大声を出しながら駆けつけてきた。

 

「ミハイル!今までどこへ行ってたんだ!!」

 

男性は、男の子を受け止めると心配そうに抱き上げる。ミハイルは、道に迷った後隼人にここまで連れてきてもらったと説明する。男性は頭を下げてお礼の言葉を述べる。

 

「ありがとうございます!私も親としてできるだけ相手をしてやりたいと思っているのですが中々時間を作ることが難しくて・・・・」

 

「別に構いませんよ、私も偶然通りかかっただけですから。」

 

「どうもすみません。ほら、ミハイル。この日本人のお兄さんにお礼を言いなさい。」

 

「お兄ちゃん、ありがとう!」

 

「フッ、今度は道に迷うんじゃないよ坊や。」

 

隼人は、笑いながらミハイルの頭を軽くなでる。

 

そこへ丁度ランドウが視察にやってきた。

 

「おや、コサック博士。こんなところにおられましたか。」

 

「これは、Dr.ランドウ!申し訳ありません。部屋ではなく、こんなところにまで来させてしまって。」

 

コサック博士と呼ばれた男性は、息子を後ろに下がらせて話を始める。ミハイルは一緒に連れられた部下の男たちの顔を見ると何を感じたのか怯えた顔で父の背後に隠れる。隼人もまた部屋に戻りながら、彼らの異常な目つきにこれまで感じていた違和感が気のせいではないことを確信した。

 

(あの男たちの目、明らかに生気を感じない。やはり、ここはただの研究施設ではない。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の晩

 

他のメンバーが寝静まったのを確認すると隼人は一人基地の立ち入り禁止区へと向かった。ランドウの説明ではまだ建設中で万が一の事故が起こった場合危険であるということから部下以外の立ち入りを制限しているがそれにしては作業音が全く聞こえていないため、そこに秘密があると確信した。

 

「ん?」

 

隼人は、途中廊下で寝間着姿でウロウロしているミハイルを見つけた。ミハイルは、彼の姿を見ると涙目でこっちに向かってきた。

 

「お兄ちゃん!」

 

「坊や、どうしたんだ?こんな夜中に。」

 

既に就寝の時間で子供が起きているにはおかしい。トイレも各グループの宿舎に取り付けられているため、この少年がこの通路まで来るのは明らかに不自然だった。

 

「パパがね・・・起きたらパパたちがいなくなっていたの・・・」

 

「何?」

 

「僕ね・・・寝相悪くてベッドの下に落ちちゃってわからなかったんだけど。起きたらパパも他の人たちもみんな部屋からいなくなっちゃったんだ。どこか行っちゃった・・・。」

 

泣きながら話すミハイルを見て隼人は、険しい顔をする。

 

「坊や、この道を行けば日本グループの部屋に行ける。俺が戻るまでそこで大人しくしているんだ。山咲と言うお姉ちゃんに声をかけろ。事情を話せばわかってくれる。」

 

「お、お兄ちゃんは?」

 

「・・・君のパパを探してくる。だから、泣くんじゃないぞ。」

 

彼はそう言うとミハイルをその場に残して立ち入り禁止区へと忍び込む。入り口にはちょうど警備ロボットが一体巡回していた。

 

『ココカラ先ノブロックハ、立入禁止区トナッテオリ・・・ギャアァ!?』

 

話を言い切る前にロボットを破壊、部屋の一つ一つを調べ始める。

 

「うっ!?」

 

次の部屋に入った瞬間、隼人は目の前の光景に言葉を失う。部屋には大量のカプセルがあり、その中で培養液につけられた人間が脳をむき出しにされ人体改造を施されていたのだ。いくつか探っていくと昼間会ったコサック博士の姿もあった。

 

「・・・・ひどいことをしてくれる。」

 

更に通気口へ入り、施設の奥深くへと乗り込んでいく。通気口から抜けるとその真下には、大量の破壊兵器に人造兵士たち、巨大ロボット達が並んでいた。

 

「メタルビーストの生産ラインはどこまで進んでいる。」

 

「はっ、既にヒューマンサイズの量産化の目途が付き、試作機を含める第一陣を世界各地へ潜伏させる予定です。また、都市攻略用の大型タイプも次々とロールアウトしています。」

 

「人間の改造の方も順調です。本日はロシアのグループが完了しました。ただ、子供の姿が見えなかったのでばれるリスクが。」

 

身をかがめ、隼人は真下で部下たちと話をしているランドウの会話を盗聴する。

 

「たかが子供一人だ。見つけ、バラそうとしたら捕らえて始末しろ。」

 

「了解しました。子供は始末し、次は日本に取り掛かります。」

 

「橘博士の合流まで待とうと考えていたがあの若造のおかげで手間が省けた。まさか、ロボット工学業界で今期待の逸材が来るとはな。」

 

ランドウは、不敵な笑みを浮かべる。

 

「しかし、『トーマス・ライト』は怪しむのではないでしょうか?」

 

「あの若造は才能が高いのに反して馬鹿正直に他人を信じ込む癖がある。現に私が直々に会いに行った際には快諾しおった。あのアルバート・W・ワイリーが要件を蹴ったというのにな。奴を私の助手にし、共にメタルビーストの開発を行わせればそれこそ世界征服野望の達成が近くなる。だから、できるだけ悟られぬようにするのだ。」

 

「「了解。」」

 

「・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数十分後

 

部屋に戻った隼人は、部下と研究グループのメンバーを全員起こした。彼らは何事かと眠い目を擦っていたが目の前に大量の武器を出されてただ事ではないと直感する。

 

「神さん?」

 

「山咲、今すぐ装備を整えて脱出の準備をしろ。」

 

「神さん、一体どういうことなんですか!?急に銃なんか出して」

 

研究グループの方はいまいち呑み込めなかったが部下たちの方は事情を察して銃の装備を始める。

 

「皆さん、第6ハッチに急速潜航艇が用意してあります。命が惜しければ大事なもの以外すべて捨てていってください!!」

 

周囲の警備を確認し、隼人たちは一斉に目的地を目指して走り始める。動きを察知した護衛ロボットたちは現場に急行しようと動くがその直後に起こった爆発で吹き飛ばされる。事前に隼人が設置しておいた時限爆弾が作動したのだ。

 

「急げ!逸れると巻き込まれて吹き飛ぶぞ!!」

 

ロボットで対応できないとわかったのか今度は改造兵士たちが襲い掛かってくる。銃撃で部下の数名が倒れるが隼人は、被害が広がる前に彼らを蹴散らす。

 

「この道を進めば第6ハッチへ行ける。急げ!!」

 

研究グループのメンバーたちが死に物狂いで駆け抜けていく。その中で一緒に連れてきたミハイルは、オドオドした様子で隼人の元へと来る。

 

「お兄ちゃん・・・パパは?パパは一緒に行かないの?」

 

父親がすでに改造されてしまったことを告げるには彼はあまりにも幼い。

 

「・・・パパはね、やることがあるから一緒に行けないそうなんだ。・・・だから、先に逃げてくれって言っていたよ。」

 

「もう会えないの?」

 

隼人は、しゃがんで泣きそうな顔をしている彼の肩に両手を置いて顔を見ながら答える。

 

「会えるさ。今は無理でもいつの日か。それまで強く生きろ。」

 

「う、うん・・・」

 

「山咲、この子を頼む。」

 

ミハイルを山咲に託すと隼人は銃の弾丸を装填し直す。彼女は何かを察したのか不安そうな顔をする。

 

「神さんは?」

 

「後腐れが残らんように掃除をしてくる。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ベガゾーン内は、至る所が爆発してパニック状態に陥っていた。メタルビーストの格納庫は爆破され、改造プラントも吹き飛び、ランドウは怒り心頭だった。

 

「おのれ!!一人たりとも逃がすな!」

 

彼は、部下たちに消火作業を行わせながら指令室の中を歩く。

 

「プロフェッサー・ランドウ。動き回られては危のうございます!」

 

「ここは安全になるまでシェルターの中へ。」

 

「これ以上私が築き上げてきたものを破壊されてたまるものか!!」

 

部下たちの制止を振り切って逃亡者たちの動きを確認しようとするランドウであったが、その直後真上の通気口の蓋が落ち、隼人が銃を構えて着地してきた。

 

「!?」

 

隼人は、驚かせる時間も与えずに彼の頭を狙って銃を発砲する。銃弾は左目を吹き飛ばすが致命傷には至らず、残りの弾はかばった部下たちによって阻まれた。マガジンを交換して追撃を試みるが背後からの銃撃でランドウの殺害を断念せざるを得なかった。

 

「うぎゃぁあ!!」

 

「プロフェッサー・ランドウ!すぐに手当てを!!」

 

「構わん!奴を・・・奴を殺せ!!皆殺しにするのだ!!」

 

治療を優先する部下に対してランドウは、傷口を押さえながら怒声を上げる。

 

 

隼人が通路から第6ハッチの通路へ向かうとそこには先に逃げていたはずのグループメンバーたちが困った顔をしていた。

 

「何をしている!?敵はもうすぐそこまで迫ってきているぞ!」

 

「第6ハッチに通じる通路がロックされて・・・・」

 

目の前を見ると開いているはずの通路が分厚い鉄扉によって塞がれていた。どうやら防衛システムが作動して封鎖されたらしい。自分の部下も数名しか残っておらず、ここを開けない限り全員皆殺しにされる。

 

「山咲はどうした?」

 

「この子を私たちに任せて電子ロックを解除しに行きました。」

 

「何っ!?」

 

隼人は、追ってきた改造兵士たちを始末しながら山咲を探す。幸いにも彼女はそこまで離れた場所に行っては追わず、電子ケーブルからメインコンピュータにアクセスしてロックの解除を試みていた。

 

「山咲!」

 

「大丈夫です。もうすぐロックを外せます。」

 

「もう、あまり時間がないぞ。」

 

山咲が入力を終えると閉ざされていた鉄扉が開き始め、メンバーは次々と第6ハッチの方へと駆け抜けていく。隼人は、急いで彼女の手を取ってその場から走り始める。

 

「何が起ころうとも足を止めるな!」

 

「はい!」

 

駆けると同時に改造兵士が乗り込む試作の小型メタルビーストが壁を破壊して、二人の方に狙いを定める。両腕に装備されているガトリング砲は、周りの被害を考えることなく発砲を開始し、たちまち至る所がハチの巣にされていく。

 

「神さん!山咲さん!急いでください!!」

 

他の隊員も二人を助けようと銃撃を始めるがメタルビーストを相手にするには分が悪く、狙いを切り替えられて射殺されてしまう。隼人は、銃撃で足を負傷した山咲を庇って近くの壁に隠れる。様子を窺うとメタルビーストの周囲に改造兵士たちが集結しつつあった。

 

「神さん、ここは私が引き受けます。貴方は合流してここから脱出を・・・・」

 

「バカを言え!ここで死ぬのは俺の役目だ。」

 

彼女の応急処置を終えると覚悟を決めたのか、隼人は懐から『W』マークが書かれた筒状のカプセルを取り出して安全装置を外す。メタルビーストはもうすぐ近くにまで迫っていた。

 

「アイツがここを抜けたら全員あの世逝きだ。合図をしたら這ってでもハッチへ迎え。そして、ここから・・・なっ!?」

 

飛び出そうとする彼に対して山咲は、隙をついてカプセルを奪う。

 

「貴方は、これからの世界に必要な人間です。だから、私に構わず生き延びてください。」

 

「山咲・・・」

 

「さようなら、隼人さん。」

 

彼女は、最後の言葉を告げると表に飛び出してメタルビーストへと向かっていく。メタルビーストは獲物を補足し、近くにいた改造兵士たちも彼女に向けて発砲を始めた。山咲は体をハチの巣にされてもカプセルを手放さず、

目の前に向かって投げた。

 

「山咲!!」

 

隼人は、彼女の最後の姿を見て叫ぶと同時に閃光に呑まれて消えていく。

 

 

 

 

この爆発によってメタルビーストは愚かベガゾーン自体の3分の1が消失。

 

これ以上待つのは危険と判断した日本グループは、隼人たちを置いていくという苦渋の決断をして北極から脱出。無事に日本に帰国し、世間にプロフェッサー・ランドウの野望を公表する。しかし、ベガゾーンの爆発は事故として処理され、ランドウ自身の生存も絶望的と断定。公になることなく消えていった。

 

一方、橘博士の助手たちは脱出する前に隼人から託されたロボット設計図をNISARへと持ち帰った。

 

十数年後、死亡したと考えられていたランドウは再編成した新メタルビースト軍団を率いて世界に宣戦布告。

 

隼人が託した設計図は後の『ゲッターロボ號』の改造に使われたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そして、爆発に巻き込まれた私は海中に沈んで死んでもおかしくなかったが、どこから噂を聞き付けたのか敷島博士に救出され、一命を取り留めることになりました。ですが、傷はひどく当時の医療では完治することは不可能だった。そこで冷凍睡眠で時間を遅らせて少しずつ治療を進めることにしたのです。」

 

「そして、治療を終えたのが最近で君があのゲッターロボで駆けつけてくれたと。」

 

隼人の話を聞いて、ライト博士は複雑な表情を浮かべる。

 

彼が動かなければあの頃、自分は改造されて世界征服の手駒にされていた。

 

話が終わったのを確認すると扉をノックしてシグナスが再度部屋に入ってきた。

 

「Dr.ライト。お話は済みましたか?」

 

「あぁ、昔のことが色々分かって複雑だがね。」

 

シグナスは、目の前にいる隼人を見ながら質問をする。

 

「神隼人、君にいくつか質問がある。あの大型メカニロイドの正体は?何故、あのロボットで救援に駆けつけてくれた?そして、君の狙いは?」

 

「別に狙いがあってきたわけではない。救援に来たのもあのパイロットたちをむざむざ殺させるのが勿体無いと思ってきただけだ。尤も、相手のドラゴンの力が想像を遥かに超える恐ろしい代物だということだけは別だが。」

 

「ドラゴン・・・名前はどこで知ったんだ?」

 

「知るも何もあれは元々俺が乗っていた機体だ。150年以上も昔の話だが。」

 

彼の答えにシグナスは、困惑する。

 

あの機体に乗っていたと言うことは鉄人兵団に内通しているのではないだろうか。

 

「だが、あの機体は俺たちが乗っていた機体とは別物だ。見た目は瓜二つだが中身は桁違いに改良が加えられている。もし、撤退してくれなかったらあの場で全員死んでいた。・・・・俺の乗っていたゲッターはどうした?」

 

「・・・こちらに引き上げてドックに搬送した。機能停止していたが破損はほとんどないそうだ。」

 

「そうか。なら、帰らせてもらうか。」

 

「ん?」

 

次の瞬間、隼人は自分の手錠を外して一瞬の間にシグナスの手にかける。

 

「なっ!?」

 

「生憎、やることがあってここに長居することができないんでな。アンタを人質に取ってゲッターの元まで案内してもらう。」

 

護身用のバスターショットを奪われ、背中に突き付けられるとシグナスは、突然の出来事に驚くがすぐに平常心を取り戻して口を開く。

 

「ここを抜け出しても周囲のハンターたちに身柄を拘束される。下手な真似はしない方がいいと思うが。」

 

「相手も人間ならな。だが、ここの連中は『ロボット三原則』を守る良い子軍隊だ。アンタを盾にした俺を撃てるかな?」

 

「・・・・」

 

「神君!悪いことは言わない。彼を開放してくれ。」

 

ライト博士は二人の間に割って入って落ち着かせようとする。すると隼人はシグナス放して彼を取り押さえた。

 

「なら、貴方にご同行してもらおう。貴方の方が彼らも素直に道を開いてくれるでしょう。」

 

「・・・分かった。だが、誰も傷つけないことを約束してくれ。そうすればわしは君に従おう。」

 

「いいでしょう。」

 

そう言うと二人は独房の外に出る。看守たちは、一体何が起こったかと思わずバスターを向けるがライト博士はやめるように伝える。

 

「銃を下ろしてくれ。彼は誰も傷つけないと言っている。」

 

「・・・・」

 

看守は、仕方なく道を開ける。隼人は武器を下ろすように指図し、安全なことを確認すると外に出ようと足を進める。

 

 

 

 

 

 

「なんだ?今日は誰かさんの出所日だったのか?」

 

そこへ外出していたVAVAが戻ってきた。主にこの場所を利用している彼は、どこで調達してきたのか酒の入った瓶を担いで隼人の前に立ちふさがった。

 

「用がないなら道を開けてほしいんだが?」

 

「てめえ、昨日俺たちに命令した人間だな?」

 

「だったらどうした?悪いがお前の相手をしているほど暇じゃないんだ。」

 

「ほう、そうかい。」

 

そう言うとVAVAは、素直に道を譲る。隼人は、ライト博士を連れて入口へと向かおうとする。

 

「VAVAが道を譲った!?」

 

「普通なら殴り掛かってきそうなのに・・・」

 

看守たちは、彼の意外な行動に感心した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

隼人の背後から瓶を叩きつけるまでは。

 

「なっ!?」

 

突然、中身の入った瓶を叩きつけられて隼人は驚く。VAVAは、割れた瓶を捨て隼人の胸倉を掴む。

 

「てめえが暇かどうかはこっちの知ったことじゃねえ!俺は昨日からてめえの面を殴りたいと思ってうずうずしていたんだ!!」

 

VAVAは、彼を殴り飛ばす。隼人はそのまま壁に叩きつけられ、抵抗することなく襲われる。

 

「ひゃあ・・・やっぱりVAVAだ。」

 

「こりゃあ、部屋が血だらけになりそうだ。」

 

看守たちは、顔を青くしながら物陰に隠れる。VAVAは、ぐったりしている隼人を掴み上げると壁に付けて頭を押さえてぶつけ始める。

 

「昨日はよくも散々俺たちのことをバカにしてくれたな!単純なことしかできないだと!?ふざけるな!あの甘ちゃんはともかく俺はそこまで優しくねえ!!」

 

無論、隼人も黙ってやられているはずがない。彼は、腕を掴んで動きを封じると右手で目をついてカメラアイを破壊する。

 

「目だ!」

 

「グォッ!?」

 

「耳だ!!」

 

「ガァツ!!」

 

続いて、聴覚センサーを吹き飛ばされる。

 

「鼻・・・っと、お前には鼻がなかったな。」

 

「なめんじゃねえ!!」

 

視覚と聴覚を失いながらもVAVAは、サブカメラを作動させてなんとか隼人を捕らえる。隼人は、視界を奪ったという優位を利用して背後に回り込んで頭に掴みかかろうとする。

 

しかし、VAVAは伸ばした腕を捕まえて勢いのまま背負い投げをして応戦する。

 

「何っ!?」

 

「次は俺の番だ!」

 

二人の殴り合いで部屋一帯は血とオイルで汚れていく。あまりの光景に看守たちは失神、シグナスとライト博士は茫然としていた。

 

「少しは骨があるようだな。」

 

隼人は血を手で拭いながらVAVAに言う。VAVAは、破損がひどかったのかその場から動けなくなっていた。

 

「てめえ・・・・」

 

「本当は手荒なことをして戻りたくはなかったがやむを得ん。」

 

隼人はブーツの靴底から隠しボタンを取り出して押す。

 

 

するとドックで取り調べを行おうとしていたゲッター1が勝手に再起動を始めた。

 

「「なっ、なんだ!?」」

 

メカニックたちは突然動きだしたことに驚くがゲッター1は拘束具を取り外して外へと出ていく。

 

「「「わぁあっ!?勝手に動き出した!?」」」

 

外にいたハンターたちも歩いてくるゲッター1を見るやその場からは逃げる。ゲッター1は独房がある施設の方にまで歩くと拳を振り上げて壁に突っ込む。手は丁度隼人の前に現れ、彼は伝うように手の上に乗る。

 

「トーマス・ライト博士、もし協力していただけるのなら日本の浅間山に来ていただきたい。場所は貴方のロボットが知っています。敵が動いている以上時間があまりありません。良い選択を期待していますよ。」

 

そう言うと隼人はコックピットに乗り込み、ゲッターウイングを展開して飛び去って行ってしまった。

 

「と、飛んで行っちゃった・・・。」

 

「レーダーで奴の進路先を割り出せ!このままじゃイレギュラーハンターの面子が丸潰れだぞ!!」

 

ゲッター1が逃走した後、シグナスは倒れているVAVAの顔を見る。配線が的確に切断され、交換しなければ復旧が不可能なほどのダメージを負っているのがわかった。

 

「ウィークポイントをうまく狙って破壊している。まさか、ハンターでもない人間がここまでのことをやってしまうとは・・・敵には回したくない男だな。」

 

神隼人という男がどれほどのものかと思い知る中、独房の騒ぎを聞きつけてマーティが入ってきた。

 

「シグナス、さっきあのでかいロボットがここに手を突っ込んでいたけど・・・・って、えぇっ!?なんでこいつ、顔がグシャグシャになってるの!?」

 

VAVAの顔を見るや彼女は、目を丸くして驚く。

 

「マーティ、来て早々すまないがVAVAを医療室に運んでおいてくれ。この傷では満足に動けん。」

 

「え、えぇ・・・何が何だかさっぱりだわ。」

 

シグナスに言われ、マーティは、肩を貸して独房から連れて行く。ライト博士は、空いた穴から外を見て今の地球が自分たちの想像のできない事態が起ころうとしているのを感じ取る。

 

「彼の話が正解ならワイリーおそらく・・・わしも行かなくてはなるまい。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

旧日本エリア 早乙女研究所

 

数時間後、ゲッター1は早乙女研究所へと帰還していた。

 

「神さん、お疲れ様です!」

 

「ゲットマシン形態に戻せ!ドックに運んだら整備開始だ!」

 

ゲッターロボたちが動いている間を通り抜け、隼人はメインブリッジへと入る。中ではニヤニヤと帰りを待っていた敷島博士と驚いた顔をするワイリーが立っていた。

 

「おう、隼人。無事に戻ってきおったか。」

 

「えぇ、なんとか。」

 

「お前・・・ハンターベースの中でよく堂々と逃げ出してきおったのう。」

 

ワイリーは、眉間に皺を寄せながら言う。よく型破りなことをやりかねない男だとは思っていたがここまで大胆なことをしでかすとは思ってもみなかった。

 

「お前もよく刑務所から脱走していただろう。」

 

「ワシも脱走の常習犯じゃったが目を欺くことなく大胆に逃げ出したことはないぞ。」

 

「まあ、こうやった方が向こうも都合よく動いてくれる。後は・・・奴らがここを攻めてくる前にどこまで対策を進められるかだ。」

 

隼人は、モニターにドラゴンとゲッター1の戦闘映像を映す。

 

「今の我々の戦力でどこまでやれるか・・・・」

 




サーガ読んでないと知らない人ばっかりだな。
山咲さん、アーク1話でも少し出てくるけどいつから付き合ってたんだろう。
ちなみに「W」マークのカプセルはワイリー製です。
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