ドラえもん のび太の転生ロックマンX   作:赤バンブル

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最近スランプ気味かも・・・


総攻撃、早乙女研究所

山岳地帯 飛行要塞グール

 

本隊との連絡が途絶えて数日。

 

グールで孤立していたネロたちは、敵の襲撃に警戒しながらも基地との通信を試み続けていた。エネルギーに関しては元々余分に持ってきていたこともあってまだ余裕があるが補給もままならない現状で戦闘になればまずい。そのため、乗組員の20%をスリープモードに切り替えて交代制で取り仕切るようになっていった。

 

「・・・・今日も本隊と通信できなかったか。」

 

ネロは、通信を行っている兵士たちの様子を見ながらため息をつく。ここまで連絡して何の返信もないとなると想定されるのは二つ。

 

一つは、地球側の何らかの奇襲で鉄人兵団の基地が壊滅した。それなら通信が繋がらないことも納得できる。しかし、いくら想定外の事態がよく起こるこの星とはいえあの規模の兵団を一気に殲滅するほどの超兵器を隠し持っているとは思えない。

 

もう一つの可能性はメカトピア本星でトラブルが発生して全軍が撤退をしたというもの。『Z』以外の大型兵器たちが届かなかったこともあって可能性はあるが基地の戦力を駆使すれば巻き返せないわけでもないため、撤退は有り得ない。

 

「・・・・まさか副官殿がクーデターを起こした・・・・とかは流石にないな。」

 

彼がそう言いながら部屋を後にしようと動いた瞬間、事態が一変した。

 

「通信信号を確認!微弱ですが・・・我が兵団のもので間違いありません!!」

 

兵士たちの喜びの顔を見るやネロは、希望の光が見えたとばかりに反転する。

 

「こちらからの電波を強化して通信を試みてくれ。」

 

「了解。こちら、鉄人兵団所属『飛行要塞グール』。こちらはグール。返事どうぞ。」

 

若干ノイズが走って画像は荒れていたものの電波が安定していくと安定していき、モニターに通信相手の姿が映った。

 

『ネロ、ようやく繋がったか。』

 

「「「そ、総統閣下!?」」」

 

通信相手がオペレーターではなく、総統自身ということにその場にいた兵士たちは一斉に飛び上がる。基地にいるはずの最高責任者が何故連絡をしてきたのか。もしや、作戦における致命的ミスを犯してしまったのではと各々顔を合わせる。

 

「か、閣下。まさか閣下自らが連絡をしてくださるとは・・・」

 

ネロは、戸惑いながらも敬礼をしてすぐにゲートを開いてもらうように頼むことにした。

 

「しばらく報告できず申し訳ございませんでした。早速なのですが基地の方からゲートを開いてもらえないでしょうか?」

 

『いや、繋がらなかったのも無理もない。何しろ基地そのものが乗っ取られてしまったのだからな。』

 

「はっ?それは・・・」

 

『お前に伝えるのは心が痛むが・・・・・単刀直入に言う。ビアンコが裏切った。奴は、あの得体のしれない二人組と結託して同胞たちを謎の寄生生命体で洗脳し、基地を乗っ取ったのだ。我々はバックアップで逃げのびることには成功したが・・・・かなりの犠牲を被った。』

 

「・・・・」

 

総統の言葉に彼は、しばらく沈黙した。かつては自分たち兄妹を救ってくれた男がメカトピアに牙を向けた。自分が何も償うことができなかったのもそうだがこんな形で決別することになるとは。

 

ネロは、頭を押さえている様子を見て兵士たちもまたビアンコの裏切りにショックを受けた。

 

『ネロよ、気持ちもわからなくもないが今は一刻も早くお前たちに合流してもらわなくてはならん。そちらに我らの臨時基地の座標を送る。ビアンコのことだ、奴が何を企んでいるのかはわからんが動き出す前に阻止しなくては。通信は一旦終了する、チキュウ側に盗聴されては厄介だからな。無事に合流できることを祈る。』

 

画面からの姿が消え、同時に臨時基地の座標データが表示された。

 

「か、閣下から臨時基地の座標が送られてきました。」

 

「航路にハンター基地がいくつか存在しますが迂回すれば悟られることなくいくことができます。」

 

「・・・・」

 

「た、隊長・・・・し、指示を・・・」

 

上官を気遣いながらも兵士たちは、ネロに支持を求める。ネロは、リルルの一件もあって意気消沈していたが部下を預かっている立場上に彼らを導く義務がある。

 

「・・・これから我が部隊は閣下率いる本隊に合流すべく、移動を開始する。偵察に出ているオーロ達を至急呼び戻せ。後、メカニックたちに各部のチェックを行わせろ。それが終わり次第、敵の目を避けながら目的地へ向かう。」

 

「了解しました!」

 

指示を出すと彼は、目を手で覆い今も現実を受け入れられない自分を呪った。

 

(リルルだけではなく、ビアンコまで離れていった。家族であるはずの存在が俺のところからいなくなっていく・・・何故なんだ・・・・俺は・・・俺はどうして・・・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同時刻

 

ハンターベース 会議室

 

隼人脱走後、シグナスはライト博士と共に人間政府とのオンライン会議を行っていた。

 

『旧アメリカ政府の記録アーカイブスに厳重に保管されていた「ゲッター線研究報告書」という資料が発見された。これによると日本エリアではかつて宇宙から降り注ぐ「ゲッター線」を動力源にするロボットの開発に成功し、未知の巨大勢力を二度も撃退したと記録されている。アメリカでは当時このゲッター線を自国でも次世代兵器に利用できないかと研究機関が設立され、早乙女研究所から提供されたデータを基に研究を行っていたらしい。だが、数年後の研究所所員が原因不明の蒸発事件が発生したことでゲッター線の危険性について問われ、研究は凍結されたそうだ。』

 

『「神隼人」。IQ300に抜群の運動神経を持つ秀才と言われていたが学生時代の時から過激な思考を持ち、学生運動で母校の一角をグループを率いて占拠。経緯は不明だがその後、早乙女研究所に所属し、自衛隊へ転属。19XX年のプロフェッサー・ランドウの本拠地「ベガゾーン」にて部下たちもろとも死亡・・・・と記録されているがまさか生きていたとはな。』

 

『しかもこの記録は、鏡面世界で初めてゲッターロボが現れた時に忽然と記録アーカイブスから封印状態で発見された。それまでの更新で確認されていなかったにもかかわらずだ。』

 

各政府の代表は、目を通しながらこの忽然として現れた報告書に難色を示す。この資料によるとアメリカでのゲッター線研究はかなり進行しており、事故が発生する一か月前には試作の炉心が完成間近にまで来ていた。それが早乙女研究所の壊滅から一週間もしない内に研究は凍結され、炉心は解体処分が下され、以降の研究記録を抹消するとまで記されていた。

 

更に研究の中止を求めたのは若き日のワイリーだったことが記載されていた。事故からわずかな期間での対応していることから見るとおそらく彼が実態を報告したうえで危険性を認識したのだろう。

 

『Dr.ワイリーの名前がここに記載されている以上、このファイルを意図的に解いたのは彼で間違いないだろう。鉄人兵団のことで手がいっぱいのこの時期に封印されし過去の遺物であるゲッターロボの出現。これはもう小さな問題ではすまなくなっている。』

 

『そもそもなぜ今になって現れたのだ?それも鉄人兵団側もゲッターロボを所持しているというではないか!?』

 

『もし、神隼人が奴らの傘下に入るなんて事態が起これば、ゲッターロボ2機によって我々人類は完全なる敗北をすることになりかねん!』

 

彼らは、早乙女研究所が鉄人兵団と結託することを恐れていた。過去の存在とはいえ、ゲッターロボの性能は現存している大型メカニロイドを遥かに凌駕している。鉄人兵団側にいるゲッタードラゴンと二機で襲ってくればネオゲッターロボとゲッター號は愚か、イレギュラーハンターとレプリフォースが全戦力で挑んだとしても敗北は目に見えている。そんな事態になれば取り返しのつかないことになる。

 

シグナスは、薄々自分たちに早乙女研究所を攻撃するように言ってくるのではないかと感じた。

 

『シグナス総監、このまま神隼人を・・・ゲッターロボの存在を野放しにするわけにはいかん。』

 

「仰りたいことは分かります。しかし、今の我々は膠着状態。下手に動けば敵に動揺を悟られることになります。」

 

『分かっている。だから、ここは旧国連軍を導入しようと考えている。』

 

「旧国連軍を?」

 

意外な言葉にシグナスは少し驚く。

 

旧国連軍とは、レプリロイドが普及する以前に人間によって組織されたものでイレギュラーハンターが結成したのを境に徐々に規模を縮小させ、そのまま役割を終えたと思われていた。

だが、シグマの反乱を初めとするレプリロイド同士の争いが勃発し、レプリフォース大戦、ユーラシアコロニー落下未遂事件などかなりの被害をもたらされたことに不安を感じた上層部によってヤコブ計画とは別プランで密かに再編が進められていたのだ。無論、レプリロイドは所属していない。

 

『イレギュラーハンターとレプリフォースが動けない以上、我々人間が動かなくてはなるまい。』

 

「ですが神隼人はレプリロイドすら翻弄するほどの人物です。下手に刺激しない方が・・・」

 

『しかし、こうしている間にも鉄人兵団が動くやもしれん。』

 

『それに相手はたかだか研究所一つだ。ゲッターロボを出撃させる前に攻撃を仕掛ければ動きを封じることができるだろう。』

 

『やや型落ちになってしまうがロボット群を初めとする装備も整っている。あれだけの戦力なら占拠は容易いでしょう。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

旧日本エリア 早乙女研究所

 

同じ頃、早乙女研究所の休憩室では無数のゲッターロボたちが沈黙していた。

 

『それに相手はたかだか研究所一つだ。ゲッターロボを出撃させる前に攻撃を仕掛ければ・・・・』

 

モニターにはどういうわけかハンターベースで行われている会議の光景が映されており、一部の者が無言で持っていたエネルギーボトルを握り潰し、もう一方は、表情を変えずに各々の武器のメンテを始める。

 

「ここも攻撃するって・・・人間ってなんでこうも俺たちを迫害しようとするんだろうな?」

 

「いくらライト博士のような人が現れようとも偉い椅子に居座っている奴がバカじゃいつまでも変わらないんだろうさ。」

 

「もう我慢できん!散々追い掛け回されてこれ以上、狩られる側になってたまるか!!」

 

彼らはその場から離れ、命令がないにもかかわらず各々武器庫へと向かい、戦闘準備を始める。

 

「国連軍の野郎どもが来るまであとどのくらいだ!?」

 

「多分、3時間ぐらいじゃないかな?」

 

「2時間で来るかもしれん。万が一に備えてトラップを余分に持っていこう!」

 

ある者は自身のボディを迷彩柄に塗り替え、ある者は狙撃用のスナイパーライフルを取り出し、ありったけの弾を持っていく。

 

「D2の整備急げ!奴らが本気で攻め込んできたら一機残らず撃ち落としてやれ!!」

 

「来るなら来てみろってんだ!!早乙女研究所の恐ろしさを見せてやる!!」

 

ゲッターたちが動いている傍ら、映像を見せた張本人である敷島博士は愉快そうに笑みを浮かべて見守っていた。

 

「ニヒヒヒッ、こりゃあ少しは面白い暇つぶしになりそうじゃわい。一応、注意はしておくが何人犠牲者が出るのかのう~~。醜く死んでおったら記念撮影しちゃおう~!」

 

国連軍による早乙女研究所への攻撃情報は、隼人の元にも伝わる。

 

「国連軍がここに攻めてくるだと?」

 

「はい!敷島博士のハッキング情報によると最低でも国一つは制圧できるぐらいの戦力を投入してくるそうです!」

 

「国一つですって!?」

 

隣にいたカリンカは、思わず口を開けて叫ぶ。そんな戦力がここに攻め込んでくればひとたまりもない。そう考えると彼女は隼人の方を見て避難することを進める。

 

「やってくる前に避難した方がいいわ!いくらあのロボットが強いからって数で圧倒されたらひとたまりもないわよ。」

 

自分の時代では、ワイリーロボたちに対して歯が立たなかったとはいえ規模の違いから心配するが隼人は、鼻で笑う。

 

「フッ、そう来るか。なら、歓迎でもするか。」

 

「えっ?」

 

「各員に伝えろ。“相手を殺す”以外のことは全て許可するとな。間違っても手足を吹き飛ばす程度にしておけ。本気でやってやれ!」

 

「了解、全員に伝えます。」

 

ゲッターロボが敬礼して去っていくと彼は、机に座り直して止めていた作業を再開する。

 

「ねえ、あんな命令して大丈夫なの?」

 

「そんな経験、ここに来る連中にとっては慣れたようなもんだ。それに相手は、ハチュウ人類や百鬼ほどの力のない人間、戦車だろうが爆撃機持ってこようがこの研究所は落とせはせんさ。」

 

「けれど、ロボットたちには人間を傷つけてはいけない『ロボット三原則』がインストールされているのよ。」

 

「長い年月を生き続けたアイツからしてみればそんなお約束とうの昔に忘れちまってるよ。人間だって自分たちで決めたルールを平然と破ることだってあるんだ。その子供でもあるロボットがやらないわけがない。特に迫害された身なら尚更な。」

 

モニター越しでは研究所中のゲッターロボたちが既に応戦しようと身支度を整えている。カリンカは、そんな彼らの姿を見て100年前のロボット狩りの惨状がこれほどにまで影響を及ぼしているのかと感じざるを得ない。

 

「・・・それにしてもどうして国連軍はここを攻めようなんて決断したのかしら?ただ、ゲッターロボでエックス君たちを救援に行っただけなのに。」

 

彼女はソファーに腰を掛けながら頭を押さえる。これではあまりにも理不尽だ。隼人はデスクを操作しながらその質問に答える。

 

「大方、俺たちが鉄人兵団と手を組んでいると考えたんだろう。ゲッターロボはそもそも早乙女博士が独自で開発したものだ。それが敵のところにあるのは明らかにおかしい。そして、こっちにもゲッターがある。」

 

「でも、戦った理由はどうつけるのよ?」

 

「鉄人兵団側へのデモンストレーションだと解釈したのかもしれんな。敵に敢えて上位機体を渡して、こちらは下位互換で応戦。それでも十分な性能を発揮できると売り込んだとな。」

 

「いくらなんでもそれはあんまりだわ!」

 

「人間というのはそういう生き物だ。喉元過ぎれば熱さを忘れる。だから、同じようなことを繰り返すのさ。」

 

彼は、ため息をつきながら言う。実際、今の人類は自らの手で未来を掴むことを忘れてしまっている。激戦の時代を生き抜いたからこそ言えるのだ。

 

「何はともあれ、この戦いで政府の馬鹿どもにお灸を据えられるだろう。そうでもしなくちゃ話も聞かないだろうからな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間後・・・・

 

政府の命令を受けた旧国連軍は、早乙女研究所の制圧のため浅間山に向かって侵攻を開始した。生い茂っていた森林は人間用にカスタマイズされたライドアーマー隊の火炎放射器によって焼き払われ、研究所が潜伏していると思われる山に対しては爆撃機の部隊が空爆を開始。

 

木々は勢いよく燃え、浅間山近辺は一時間もしないうちに焼け野原となってしまった。それでも彼らは上層部の命令である『神隼人の身柄の確保』並びに『残存勢力のせん滅』のため、周囲に部隊を展開して捜索を継続していた。

 

「こちら、前線第4捜索隊。周囲を索敵していますが依然、金属片反応なし。生体反応も検出されません。」

 

「第1捜索隊、同じく。」

 

「第2捜索隊も反応が確認できません。先ほどの爆撃で全員生き埋めになったのではないでしょうか?本隊、応答願います。」

 

『いや、爆撃で生き埋めになったのならその辺にロボットの残骸やらパーツが出てきてもおかしくない。ただでさえ税金の無駄遣いと言われているのだ。腕の一本でも見つけんと給料泥棒になるぞ。』

 

「「「了解。」」」

 

後方の陣取っている本隊からの通信を終えると各部隊長は、面倒くさそうな顔で見合わせる。

 

「給料泥棒か。それならいつものように政府ご自慢のレプリロイド共でも使えばいいと思うんですがね。」

 

「だよなぁ、俺たち人間はもうこういう仕事する必要ないっていうのにな。はあ、彼女とデートに行きてえな・・・」

 

「そもそも今やっている戦争だって所詮は機械同士の争いでしょう?レプリフォースと言い、イレギュラーハンターと言い、言うことだけ聞いていればいいものを・・・・彼らには何か起こさないと壊れる呪いでもかかっているんでしょうかね?」

 

三人は、捜索を部下たちに任せてどこから持ってきたのか小さなテーブルを出して麻雀を始めようとする。

 

「さあて、今日は誰が勝つかな~。」

 

「今日こそは僕が勝たせてもらいますよ?このままだと負け越しなんでね。」

 

「いやいや、今回も私が勝たせてもらいますよ。あっ・・・そういえば一人足りないな。」

 

彼らは、唯一他のメンバーと共に作業している初老の第3捜索隊部隊長の方に目をやる。

 

「爺さん、アンタも一勝負やらないかい?」

 

「一人足りないんですよ。掛け金いくらでもいいからどうです?」

 

「こんな田舎の山での仕事なんて面倒でしょう。後は部下たちに任せて我々はテキトーに待ちましょうよ。」

 

初老の部隊長は、一度手を止めて三人の方を見る。

 

「いや、私は賭け事が弱い方なんでね。遠慮させてもらうよ。」

 

「そんな固いこと言わずに。」

 

「年季の入った人間はどうしても上の命令を守る癖がついちゃっているんだよ。悪いが若い部下の一人でも引っ張ってきてくれ。」

 

「そうか・・・まあ、無理強いはできねえな。」

 

「仕方ありませんな、じゃあ我々の部隊の中から一人招集しますか。」

 

三人が話している様子を見ながら部隊長はため息をつく。

 

彼は若い頃から国連軍に所属しており、その栄枯盛衰を見続けていた。

 

かつての組織は兵士の一人一人が誇りをもって任務に取り組んでいたがイレギュラーハンターやレプリフォースが結成されたのを皮切りに予算を削られた影響で規模が縮小し、『レプリロイドに任せれば自分たちは必要ない』という考えが蔓延したことで下の者はまじめに任務を怠るようになっていった。

 

(若い頃は、軍がこんな体たらくになるとは考えもしなかったな。レプリロイドが出てから確かに世の中は便利になったが人間は何か大事なものを捨てちまった。俺もそうだが人間にこれから先の時代に生きる価値なんてあるもんかねぇ?)

 

部隊長は、内心自虐しながら作業を進めていると部下の一人が叫んだ。

 

「部隊長殿!こちらにロボットの腕らしきものが埋まっています!!」

 

「何?」

 

報告を聞くと彼を初め、マージャンをしていた三人も指を差された場所へと向かっていく。そこには配線が切れたロボットの腕の残骸が埋もれかけた状態であった。

 

「おぉ~やっと証拠品が出てきたか!」

 

第一部隊長は、これでやっと帰れるとばかりに喜ぶ。現場でこれしか見つからなかったということは早乙女研究所は爆撃の影響で内部が沈下し、全員が生き埋めになったということを意味する。さらにこの腕の破損具合を考えれば、おそらく首領格である神隼人も助からないだろう。捜索の継続はあるだろうがこの分野は民間メカニロイドやレプリロイドの方が最適で自分たちは引き上げることになるはずだ。

 

「いやはやこうも早く見つかるとは。これで地下都市の本部に戻って寛げますな。」

 

「うんうん。さっ、さっさと回収して本隊の方に引き返そう。」

 

第2、第4部隊長は、腕の残骸を持ち帰ろうとする。第3部隊長は怪訝な表情を浮かべてその様子を見守っていたが何かを思い出したのかハッと目を大きく見開く。

 

「待て!そいつに触るんじゃねえ!!」

 

「「はっ?」」

 

突然の呼び止めに二人は、鳩が豆鉄砲を食らったよな顔をして彼を見る。

 

「第3部隊長殿?」

 

「おかしい・・・こんだけ探してこの腕一本だけしか見つからんというのは明らかに変だ。俺たちは・・・・敵の策に踊らされているのかもしれん。」

 

「策?流石に考えすぎじゃねえのか?」

 

「そうですよ、念入りに山全体吹き飛ばしたんだし、きっと残骸がこれしか残らなかったんですよ。」

 

「第3爺さんは、我々より一世代前の輩故警戒心が強すぎるんですな。」

 

彼らは忠告を無視して腕に手をかける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ズボッ

 

「ん?」

 

第1部隊長は自分の右足に何か触れたのを感じ、下を見る。足元では真っ赤なロボットの腕が彼の右足をしっかりと握りしめており、そこから土が盛り上がって何かが飛び出してきた。

 

「な、なんだっ!?」

 

同時に地中から複数のゲッターロボたちが飛び出し、銃を発砲し始める。

 

「撃て撃て!」

 

「汚え人間は滅びろ!!」

 

「オラオラ!!」

 

捜索部隊はあっという間に無力化され、次々と身柄を拘束されていく。銃で応戦しようとした兵士に対しては微弱のゲッタービームで目くらましをして捕らえ、暴言を吐いている割には命を取る行為には至らなかった。空から捜索をしていたヘリ部隊も空を飛べる機体たちに包囲され、呆気なく落とされた。

 

 

後方の本隊では捜索隊の映像が途絶えたことに不信を感じていたが程なくして重武装したゲッターロボたちが押し寄せてきた。

 

「な、なんだこいつらは!?」

 

「覚悟しやがれ、人間ども!!」

 

「俺たちロボットの怒りの鉄槌を受けてみよ!!」

 

彼らは、叫びながら発砲していく。旧国連軍は混乱に乗じず、応戦する者もいたが一般兵の練度が低いこともあって中々巻き返すことができない。

 

「各隊、落ち着け!敵は機械とはいえ数では我々の方が有利だ!落ち着いて対処すれば対抗できる!!」

 

「だめだっ!?逃げろ!!」

 

「ひ~ん~!!こいつら、人間に普通に暴力振るってくる!?」

 

上官の声が聞こえていないのか兵士たちは、一目散に逃げだす。しかし、逃げた先にもゲッターロボたちが待ち構えており、ショックガンを撃たれて気を失う。

 

「止むを得ん。運んできたメカニロイドたちを起動させろ!」

 

「しかし、こんな状況では味方を巻き込む危険性が・・・・」

 

「今は、一時でも奴らを巻き返すことが最優先だ。全員に合流ポイントを送信しろ。無事に生還できたものはそのポイントで合流してもらう。

 

「りょ、了解しました。」

 

メカニックは待機していたメカニロイドを起動させる。全機の目が光るとゆっくりと動き始め、ゲッターロボたちに攻撃を仕掛けてくる。

 

「あっ、こいつら!?」

 

何か見覚えがあるのか、彼らは驚いた様子で引き返し始める。

 

「D2部隊の出撃を要請!あんなもの相手じゃ俺達でも敵わん!!」

 

「クソ、政府の人間どもめ。あんなものまで引っ張り出してくるとは。」

 

背後からドクロの頭部に角を生やした巨大メカニロイドが両腕のガトリングガンからビームを連射してくる。さらに後方から出てきた一本角の機体の腹部から発射されるニードルミサイルで腕を吹き飛ばされた個体も現れた。

 

「腕が吹き飛ばされた!?」

 

「足を吹き飛ばされました!!

 

「まさか、百鬼獣が残っているとは。それもリサイクルするなんて。畜生!人間その気になればなんだってするんだな!」

 

ゲッターロボたちが下がっていくと地中からドリルを突き出して巨大なロボットが飛び出してくる。ロボットは左腕からミサイルを発射して迎撃する。

 

「あの機体はなんだ?報告にあったゲッターロボではないぞ。」

 

「確認します・・・・・ボディカラー並びに形状はやや異なりますが第二世代のゲッターライガーと似ています!」

 

上空からはドラゴンに悪魔の翼を生やしたようなゲッターロボがマシンガンを発砲して次々と戦闘機を打ち落としていく。地上の百鬼獣もゲッターポセイドンに酷似した機体に圧し潰された。

 

 

 

旧国連軍が投入した戦力は一日もしないうちにたった一つの研究所によって壊滅したのであった。

 

「・・・・全部隊に降伏するように連絡しろ。」

 

「司令・・・わかりました。全兵士に武器を捨てて降伏するように命令します。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「終わったか。百鬼獣まで持ち出したときは少し驚いたがD2で問題なかったようだな。」

 

「いや・・・数で圧倒的だった敵に対してこの結果ってあり得るの?」

 

研究所内部で冷静に結果を見る隼人に対してカリンカは、困惑して聞く。

 

「つまら~~ん~~!!もっと、ドカーンッと派手に吹き飛ばんか!!面白くない!!」

 

それとは反対に敷島博士は物足りない様子で叫ぶのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鉄人兵団臨時基地

 

旧国連軍と早乙女研究所の戦いは、鉄人兵団の方でも見られていた。

 

「「な、なんという野蛮なロボットたちなんだ・・・・」」

 

ゲッターロボ組の戦闘を見た兵士たちは、自分たち以上に容赦のない彼らの戦いぶりを見て引く。その一方、総統は、出撃したD2たちを見ながら首をかしげていた。

 

「ビアンコの作った大型兵器とそっくりだ。これは一体どういうことなのだ?」

 

「わかりません。しかし、こうなった以上本星に引き上げることも視野に入れなければなりませんな。」

 

「うむ・・・・」

 

副官の話を話を聞く傍ら、彼はこれからの事態に備えての計画を考える。

 

(まさか、チキュウにあんなものがあったとはな・・・・これは確かに一度引き上げて対策を考え直した方がよいのかもしれん。・・・いや、ビアンコの動向も気になる。そういえばジュドとリルルをスパイとしてこの星に送り込むのを推薦したのは奴だったな・・・ん?)

 

「閣下、本星もビアンコの手にかかっている可能性がございます。ここはワープで1週間はかかるものの最も近い植民惑星の方へ・・・」

 

「ジュドとリルルの連絡用の通信アクセスはまだ生きているか?」

 

「はっ?」

 

副官は、思わず口を開く。

 

「今、なんと?」

 

「ジュドとリルルの通信アクセスはまだ生きているのかと聞いている。」

 

「はあ・・・よほどの改造をされていない限りは生きていると思いますが。」

 

「二人に暗号通信を送れ。」

 

「しかし、あの二人はすでに裏切り者。通信は反って敵に居場所を教えてしまう危険性がございます。」

 

「数が減ったとはいえ、戦力はこちらの方が上だ。もし、二人がチキュウ側の戦力と来たのなら相手をしよう。だが、それよりもビアンコが何故あの二人を抜擢したのかが気になるのだ。もしくは二人の体に何か秘密を隠しているのやもしれん。」

 

「はあ・・・」

 

「こうしている間にもビアンコが動いている。奴の企みを阻止するために一刻も早く動かねば。」

 

「わかりました。一応、二人へ暗号通信を送っておきます。応じればよいのですが。」

 

二人は今後の話をしながらネロたちが合流するのを待った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鏡面世界 元メカトピア軍基地

 

「見たかい、スティンガー君。あのゲッターの姿を。」

 

「う、うん。見たよ、コーウェン君。あれはまさしくゲッターD2だよ。こんな形で実物を見ることになるとはね。」

 

同じく鏡面世界でもこの映像を捕らえていた。コーウェンとスティンガーは、ゲッターの姿を見て驚くと同時に喜んでいるように見せた。

 

「この機体たちを知っているのかね同士よ?」

 

「『ゲッターロボD2』。早乙女君が真ドラゴンを生み出す計画の中で量産を前提に真ゲッターとドラゴンの設計データをベースに開発を進めていた機体だよ。真ドラゴンへ進化させるためにはそれだけの数を揃えなくてはならない。しかし、ゲッタードラゴンをそのまま量産するにはあまりにもコストがかかり過ぎることからオリジナルのドラゴンを核にこのD2で不足分を補おうと考えていた。尤も、僕とスティンガー君が国機連のコネを利用してコスト面が解決したから生産されることはなかったけどね。」

 

「しかし、この世界の隼人君もやってくれるね。早乙女君の設計したD2は飽くまでドラゴンを除く形態へのチェンジ機能はオミットしていたのにこの世界のD2はライガーとポセイドンへのチェンジができている。」

 

「大方、敷島君の協力があったんだろうね。そうでもしなければあれだけの数と小型ゲッターロボを揃えられるはずがない。どこの世界でも実に厄介だよ、あの二人は。」

 

二人は、厄介事と言いながらも特に顔に出さずに話す。

 

「だが、これで君たちの言っていた『真ゲッター』と『ドラゴン』がまだ残っている可能性が出てきたというわけか。」

 

「その通り、あれだけの力を持つ存在がそう簡単に無くなるはずがない。例え本体が無くなろうとも組み込まれていた炉心が残っているはずだ。」

 

「その炉心さえ手に入れば僕たちの計画は大幅進めることができる!進化を早めることが!!」

 

「ふむ、ならば行くしかあるまい。・・・・・ドラゴンの整備は終わったか!」

 

やることが決まったビアンコたちは、整備が進められているドラゴンを見上げてメカニックたちに確認する。

 

「はっ、間もなく完了です。」

 

「炉心の出力も安定しています。最終チェックを。」

 

「うむ。」

 

ビアンコは、最後に自分の手でチェックを始める。

 

「ヌフッフッフッ、これで我々の計画が速く進めることができる。・・・・全てはドラゴンか真ゲッターの炉心を手に入れるかだ。セラ、もうすぐだ。もうすぐ、お前を目覚めさせることができるからな。それまでゆっくり眠っておるがいい。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

早乙女研究所 地獄の釜

 

地獄の釜の方ではワイリーがモニターで旧国連軍の捕虜たちを連行しているゲッターたちの姿を見てため息をついていた。

 

「ちっ、百鬼獣まで持ち出していたもんだから少しは期待しておったが・・・やはり、隼人と敷島が手塩に掛けて教育した奴ら相手には荷が重すぎたか。」

 

彼は、モニターを切ると釜の下の方を見下ろす。そこには駆け付けたワイリーナンバーズたちが作業を進めており、ミサイルや爆弾などを下ろしていた。

 

「ドクター、これはいかがなさるおつもりなのですか?」

 

シグマは、作業の様子を見ながら聞く。彼は、顔色を変えることなく返事をした。

 

「真ゲッターに関しては事情も事情で動けるぐらいには手を貸してやるつもりだ。だが、ドラゴンだけは許すことができん。こいつは、すべてのケリが付き次第葬り去る。」

 

「ですが、鉄人兵団が持ち出したゲッタードラゴンの力は強大です。」

 

「それに関しては旧ゲッターに強化装備を施して対応させる。設計図自体は敷島に渡したから後は奴が勝手に魔改造して改良するじゃろう。」

 

ワイリーは、下で薄らと見える緑の光を見て寂しそうな顔をする。

 

「すまんな、弁慶。あの時、乗り込むお前を止められなかったワシにも非があるが今の世界をゲッター地獄に変えるわけにはいかんのじゃ。だから、お前の守ってきたドラゴンを葬らせてもらう。これがゲッターに関わったワシなりのけじめじゃ。悪く思うなよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドックン、ドクン

 

 

ドックン、ドックン

 

ドクン、ドクン、ドクン

 

オォオオオオオオオ・・・・・

 

 

 

遥か地中深くで巨大な繭が心臓のような鼓動を発しながらその意に反して動き続けている。

 

それが目覚める日はそう遠くない。

 

 




ロックマンはどこへ・・・
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