ドラえもん のび太の転生ロックマンX   作:赤バンブル

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今月何とかぎりぎり上げられました。


迫りくる恐怖

旧日本エリア 上空

 

エックス率いる第17部隊は、ライト博士の護衛としてハンターベースから目的地である早乙女研究所がある浅間山へと出発した。

 

本来なら、イーグリードたち第7空挺隊のデスログマーに乗って向かうべきなのだが前回の戦闘による損傷の修理と市街地警備の戦力として残しておく必要があったため、ネオゲッターロボの運用を想定して建造された大型航空機『グジラ』を使用することになった。この航空機はデスログマーと比べると火力は劣るもののゲッターロボをゲットマシン形態に戻すことなく収納することができ、飛行中でも修理や整備を行うことが可能で鉄人兵団戦における足としての活躍が期待されていた。

 

エックスは、残留部隊としてビートブードたち十数名を本部へ残して飛び立つのを確認すると寝かされているネオゲッターを下から見下ろすように眺めていた。

 

(これから向かうのが日本の浅間山か。ゲッターの因縁の地と言われているようだけど・・・あの神隼人という男はライト博士に何を協力させようとしているんだ?)

 

少し離れた席に目をやると一般ハンターたちが緊張を紛らわせるためにトランプで大富豪をやっていた。マーティも浮かない顔で外から見える上空を見ている中、ジャイアンとスネ夫はドラえもんに愚痴を言っていた。

 

「全く、ドラえもんってば。どうして、肝心な時にどこでもドアをメンテナンスに出しちまったんだよ?」

 

「仕方ないじゃない。僕の秘密道具は安物だから定期メンテナンスに出さないと不具合起こして壊れる危険があるんだよ。」

 

「だったら、もっとこまめにしておきなよ。そうすれば、すぐに日本に行けたのに。」

 

「すいません・・・」

 

ドラえもんが申し訳なさそうな顔をする。エックスはネオゲッターから離れ、三人のところへ行く。

 

「別にドラえもんは悪くないよ。元々こっちに来る予定じゃない上に準備もろくにできなかったんだし、仕方がないよ。」

 

「のび太君・・・」

 

「それに向こうも素直に俺たちを受け入れてくれるとは思えないよ。先にこっちが攻撃して警戒心を持っているだろうからね。出てきた先のトラップで犠牲者が出るということも・・・」

 

VAVAを素手で戦闘不能にしたほどの実力者ならあり得ないことでもない。ライト博士がワイリーから聞いた話では事故で壊滅する以前も早乙女研究所は要塞と疑われるレベルの武装を保持しており、敵が襲撃した際には恐ろしいほどの死者が出たとか。

 

その研究所を引き継いだ隼人なら周囲に警戒網を広げていてもおかしくない。そのためどこでもドアが使えたとしても開けた瞬間、設置された防衛システムに探知されて身体中ハチの巣にされかねない。それに比べて輸送機で来れば時間はかかるものの突然目の前に現れるよりは警戒心を和らげられるかもしれない。

 

「エックス隊長、旧日本エリアの上空へ差し掛かったと同時に通信が入りました。」

 

「言っている矢先に来たか。」

 

エックスは、ブリッジに上がってモニターを繋げるように指示を出す。通信相手はやはり隼人だった。

 

『まさか、クジラで来るとはな。トーマス・ライト博士は一緒か?』

 

「は、はい。護衛として俺たちも同行させてもらっています。」

 

『こちらから使いを出した。間もなく合流するだろう。確認したら誘導に従ってくれ。』

 

「わかりました。」

 

通信が切れると同時に自分たちの目の前に三機のゲッターD2が飛んで来た。彼らはクジラの周囲を飛び回り、安全だと確認するとハンドサインを送ってついてくるように指示する。

 

「所属不明機、こちらに同行を呼び掛けています。」

 

「従って進んでくれ。恐らくその先に彼らの拠点があるはずだ。」

 

D2に取り囲まれたクジラは、ゆっくり降下を開始する。雲の中を抜けると下は国連軍との戦闘で焼け野原になった山々が痛々しい姿を現した。その光景に一般ハンターたちは絶句する。

 

「これ・・・・本当に国連軍がやったのか?」

 

「いくら何でもやりすぎだろ、こんな・・・何も残らないほど焼き尽くすなんて。」

 

「俺たちもハンター業務で環境破壊していることは気にしていたけどここまでは・・・」

 

浅間山のすぐそばの山の上に来ると山が横に割れ、折り畳み式の滑走路が展開される。

 

「あの中に入れってことでしょうか?」

 

「そうみたいだな。」

 

「しかし、それでは閉じ込められることに。」

 

「向こうは協力を求めているんだ。下手に手を出さなければ何もしてこない。」

 

不安を感じながらもパイロットは、先行するD2たちに続いてクジラを基地の中へと着地させる。収納されると同時に滑走路は再び折りたたまれ、スライドしていた山は元通りに閉じられた。窓から覗くと既に複数のゲッターロボが自分たちが下りてくるのを待っている。

 

「君たちは指示があるまで待機。俺たちは、博士の護衛として下りる。」

 

「了解しました。」

 

ドアを開けてエックスたち戦闘班は、ライト博士を取り囲む形で降りてくる。ゲッターロボたちはライト博士の姿を見るやそれぞれ驚いた様子で話し始める。

 

「あれって、ライト博士じゃないか?」

 

「本当だ!ワイリーが生きていたからもしかしてと思っていたが本当に来るなんて。」

 

ボソボソと囁かれている中、隼人が敷島博士と共にエックスたち一行の前に現れる。彼は警戒しているのを確認すると作業をしているゲッターロボたちに下がるよう指示を出す。

 

「お待ちしていました、トーマス・ライト博士。ようこそ、早乙女研究所へ。」

 

二人は少しでも緊張感を和らげようと軽く握手をした。敷島博士は、横でジロジロと見ていた。

 

「う~む~写真でしか見たことがなかったがやはり絵に描いたような善人面じゃのう~。こりゃあ、アルバートの奴も腹を立てるわけじゃイッヒッヒッヒッヒ・・・・」

 

「そちらの方は?」

 

「兵器部門担当の敷島博士です。私よりも長くこの研究所に務めています。武器に関してはアルバートでも彼には及ばないでしょう。」

 

隼人が紹介している間に彼は、次の標的をエックスに向ける。

 

「そして、この青いのがアルバートの最高傑作に並ぶロボットか。ふむふむ、発明者と似て利口そうな面じゃのう。少し物足りん!」

 

「は、はあぁ・・・」

 

「なんと言うべきかシンプルすぎて虫一匹殺せないと教えているようなもんじゃ。そうじゃ!お前、ワシのところへ来んか?ワシの元に来れば史上最強のスーパーロボットに作り替えてやるぞい!!」

 

「す、スーパーロボット!?」

 

敷島博士の言葉に対し、エックスは思わずぎょっとする。

 

「ウヒッヒッヒッ、腕の変形式光線銃は威力を底上げして両腕で連続射撃できるようにするか・・・・いや、待てよ。近接戦闘用に使っとらん左腕からはチェンソーに変形できるようにするか!切り裂くと同時に新鮮な返り血が噴き出るぞ~!!シシシッ。」

 

「・・・・・」

 

「うむ、でもロケットパンチも捨てがたいのう~。後は目からビームと胸部に放熱板を追加して・・・・アダッ!?」

 

にやけながら妄想している敷島博士の頭にスパナが当たる。飛んで来た方を見るとワイリーが鼻息を荒くしてやってきた。

 

「わ、ワイリー・・・」

 

「貴様、ワシのゼロどころかエックスにまで手を出す気か!!」

 

「何を言うか?一つの芸術作品にしてやると勧誘していただけじゃ。これほどシンプルで手を加えやすいロボットなんぞそうそう見つからんぞい!ワシ、腕ふるっちゃうぞ~。」

 

「やめんか!このキチガイマッドサイエンティスト妖怪爺め!!」

 

「なによぉ~!貴様ももう十分爺じゃろうが~!」

 

二人が取っ組み合いを始めるとゲッターロボたちはやばいとばかりにその場から逃げ出していく。その様子にライト博士は思わず隼人に聞いた。

 

「神君、彼らはどうして逃げ出したんだ?」

 

「ちょっとした仕掛けですよ。では、こちらの方へ。アルバート、喧嘩は大概にしておけよ。」

 

一行は、クジラから研究所の中へと歩いていく。

 

「ライト博士には直接現場を見ていただきたい。他の者は案内が来るまでここで待機だ。」

 

「待ってくれ、博士一人を行かせるのは・・・」

 

「エックス、私のことは心配いらないよ。お前たちは私が戻るまで待ってておくれ。」

 

「は、はい。」

 

エックスは、その言葉に躊躇するがライト博士本人の意思を尊重して引き下がる。

 

二人は、その場から離れて機械音が激しく聞こえる通路の奥へと進んでいく。

 

「私に力を貸してほしいこととは?」

 

「真ゲッターの修理です。本来真ゲッターは我々が手を出すことなく、今も尚進化を続けているはずだった。だが、100年前にそれを良しとしないアルバートの手によって腐食バクテリアが撒かれた。現在、ほとんどの除去を終えていますが腐食は予想以上に真ゲッターの体を蝕んでいた。」

 

出口を出ると目の前には、装甲の一部を除去している真ゲッターの姿があった。隼人は目の前に置かれている装甲材の一部を見せて説明を続ける。

 

「これが今取り外した装甲の一つです。バクテリアの影響で虫に食われた木材のように簡単に割れる。このまま出撃することになれば恐らく、戦闘による衝撃に耐えきれず自壊してしまうでしょう。ただ、我々の力だけではどうしても時間がかかってしまう。そこで貴方の力を貸していただきたい。」

 

すぐ傍にある研究室の中で彼は、真ゲッターの図面を見せる。

 

「これは、当時の?」

 

「いいえ。真ゲッターのオリジナルの設計図は研究所の壊滅と共に永遠に失われてしまった。しかし、早乙女博士は真ゲッターを完成させる以前にいくつもの試作機を制作しており、その残骸とデータが奇跡的に残っていました。それを元に私の当時の記憶と合わせてここまで再現しました。」

 

ライト博士は、図面を見ながらこの神隼人という男の才能に驚かされていた。戦闘ロボットのパイロットであり、一流の戦士で頭脳明晰。

もし、自分たちと同じ科学の道を志していれば歴史が大きく異なっていたのかもしれない。

 

「ふむ、ここまで正確に把握するとは・・・君の努力に驚かされるよ。しかし、ワイリーはこの件に関しては何も言わなかったのかい?」

 

ここで一つ疑問に浮かぶのはワイリーの行動だ。あれほどゲッター線を恐れていた彼がこの計画を受け入れたとは考えにくい。

 

「彼に関してはドラゴンの処分を条件に承諾させましたよ。いくらあいつでもあんなものを見てしまえば妥協せざるを得ませんからね。」

 

「・・・例のゲッタードラゴンに関してのことか。」

 

「えぇ、連中が何を考えているのかはわかりませんが少なくともここにある真ゲッターとドラゴンの存在は嗅ぎつけていると見て間違いない。」

 

隼人が焦っているのには理由がある。

 

それは目の前の真ゲッターと地下に眠るドラゴンの存在だ。鉄人兵団が何故ゲッタードラゴンを所持しているのかは謎だが過去にゲッターを狙って攻めてきた敵がいたことを考えればこの二つの存在を知っていても不思議ではない。

 

問題はどちらも実戦には到底耐えられないということであり、それを知られれば全戦力を投入して研究所に攻めてくるのはほぼ確実だ。防衛戦力としてゲッターD2を量産しているものの、強化した旧ゲッターすら軽くあしらうドラゴンに対しては何の防衛策にならず、ドラゴンと真ゲッターもワイリーの工作でボロボロの状態で太刀打ちできそうにない。

 

そこで考えられたのがどちらかを切り捨てる決断に至った。今の戦力で両方を守るのは無謀でしかないと判断した隼人は、バクテリアに侵された部位を排除して改修すれば太刀打ちできるであろう真ゲッターを生かし、進化が大幅に遅れて太刀打ちできない可能性が高いドラゴンをワイリーの手に委ねた。元々、彼を泳がせていたのも最悪のパターンを視野に入れた上での判断で敵の手に渡ることを阻止するためでもある。

 

「しかし、あの機体にはかつての君の友人が乗っていたのだろう。それにこの研究所の」

 

ライト博士は、心配して声をかける。

 

「・・・確かにあのドラゴンには弁慶が乗っていました。それに早乙女博士たちもあの中でゲッター線と一つとなって生きている。・・・・ですが、彼らも最悪の事態を望んではいない。必要な犠牲ならば受け入れるでしょう。」

 

「神君。」

 

「おう、話は終わったか?」

 

そこへワイリーが敷島博士と共にやってきた。その背後には作業用に連れてきたスナイパージョーたちが待機している。

 

「一通りの説明を終えたところだ。」

 

「そうか。なら、さっさと始めるぞ。」

 

隼人の答えを聞くと彼は、ジョーたちに命令を出して各作業に当たらせる。

 

「敷島、お前は武装部のチェックと補修。いじるのは勝手だが自爆装置で水爆なんて組み込むんじゃないぞ。隼人、お前はワシと共に操縦系統の機器修理。ライト、お前にはチェンジ機能を・・・」

 

「ワイリー、作業に当たる前に一つ確認させてもらえないか?」

 

作業分担を言い渡す前にライト博士は、ワイリーに確認をする。

 

「ん、なんじゃ?今更、協力する気がないと言いたいのか?」

 

「そうじゃない。お前はあれほどゲッターロボ、ゲッター線を毛嫌いしていたというのに何故手を貸すことにしたんだ?」

 

「・・・状況も状況じゃからな。確かにワシはこいつを直すことも動かすことも大反対じゃ。じゃが、あのドラゴンが存在している以上、対抗できる抑止力はせいぜい真ゲッターしかおらん。下手に地下のドラゴンを解放なんてすればそれこそ思う壺だ。」

 

「そうか。」

 

顔を顰めながらも答える彼に対してライト博士は、それだけ重大な危機が迫っているのかと改めて理解する。

 

かくして地下では、ドラゴンの破壊準備が進められている一方で4人の科学者による真ゲッターの修理が開始された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、エックスたちは遅れてきた青白ゲッター1ことダストマンに研究所内を案内してもらっていた。

 

「ここが居住区、とは言っても部屋がいくつも空いているから好きな場所で寝てもらっても構いませんよ。後、この通路の右を行くと訓練所、左は司令室、この辺は造形がほとんど同じだから迷わないように。」

 

彼は、指をさしながら施設を紹介していく。そんな説明を聞きながらエックスは、ここに来て未だに姿を見せないゼロたちのことが気になりだしていた。

 

「えっと・・・ダストマン。ちょっと聞いていいかい?」

 

「うん?」

 

「さっきから場所の説明をしてくれるのはいいんだけどゼロたちはどこにいるんだい?俺たちよりも先に来ているはずだけど。」

 

エックスの問いに対してダストマンはしばらく黙り込む。その様子に一同は心配し始めた。

 

「ま、まさか二人揃って・・・」

 

「いやいやいや!誤解ですよ!彼はアイリスさんと一緒にカプセルで休んでいます。カリンカお嬢様たちは、仲間と一緒に市街地へ物資の調達。なんもひどいことしていませんよ。」

 

「カプセル?なんでまた・・・」

 

「この研究所の地下に眠るドラゴンが二人を引き寄せているとかなんかでワイリーが警戒しているんだ。全く、昔は俺や兄弟たちを洗脳して世界征服した大の男が何でそんなこと気にしているのやら・・・・」

 

彼が愚痴を混ぜながら答えるが『地下に眠るドラゴンに引き寄せられている』という言葉を聞いてエックスは、マーティと顔を見合わせながら驚く。

 

「二人が引き寄せられているって・・・」

 

「あの夢が現実になる日が近いってことじゃなければいいんだけど。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後 ハンターベース 会議室

 

エックスたちが出発してから数日。

 

ハンターベースでは、緊急会議が行われていた。

 

内容はジュドとリルルが受け取ったメカトピア軍の通信内容で二人は当初報告するべきか悩んだが仲間として受け入れてくれたイレギュラーハンターを信じて告白した。

 

『ジュド、並びにリルル。この通信を見ているということはお前たちに未だに我々とチキュウ側の和平を求めているということだろう。本来、裏切り者に対してこのようなことを言うのはおかしいと思うが急を要する事態が起きた。要件は至って単純、お前たち二人がこちらに戻ることだ。もし、戻るというのなら以前、ネロに懇願していた今回の作戦の中止を前向きに検討しよう。今回の戦いでチキュウ側もかなり疲弊しているはずだ。悪い条件ではあるまい。だが、チキュウ側の戦力と共に戦うというのなら鉄人兵団は正々堂々と応戦させてもらう。いい答えを期待している。』

 

二人から受け取った鉄人兵団側からの要求に対してモニター越しで各世界政府の代表は、半信半疑となっていた。ただでさえ圧倒的物量で優っていたはずの鉄人兵団が急に二人の引き渡しを条件に作戦の中止を考えると言ってきたのだ。何か裏があると思われても無理はない。

 

『これは連中の作戦ではないのか?我々を油断させて引き渡したと同時に総攻撃を・・・』

 

『いや、あの二人は工作兵に過ぎん。それを今更連れ戻すなど意味があるのか?』

 

『もしや、二人を捕らえたうえこちらの情報を抜き取って止めを刺す気だ!!』

 

『しかし・・・目的が何にしろこちらとしても好都合では?戦力の消耗が激しいのも事実。一回撤退してもらえれば立て直しも。』

 

『だが、二人はゲッターロボのパイロットでもある。引き渡してしまえばゲッターロボが動けなくなるのも同然だぞ。エックス隊長とゼロ隊長が不在のこの状況なら猶更だ。』

 

『替え玉を用意して潜入させるのはどうかね?例のアクセルだったかな?彼に二人のうちどちらかをコピーさせて潜入させるのは・・・』

 

引き渡すに賛成派と反対派の意見が分かれ、会議が難航する。すべては己の保身とばかりとばかりに話し合う彼らに対し、シグナスはしばらく沈黙を守っていたがいつまでも話がまとまらない代表たちに痺れを切らして口を開く。

 

「引き渡すも何も貴方々は、二人を道具だとしか考えられないのですか?」

 

『『『!?』』』

 

一同は、話を中断してぎょっとする。普段のシグナスは、物腰柔らかに事を荒げずに進めるタイプで政府の要求に対しても文句ひとつ言わずに対応する。

しかし、今の彼は顔には出さないようにしているものの内心自分たちのことしか考えていない代表たちに対して明らかに殺意レベルの怒りをあらわにしていた。

 

「彼らは、我々の可能性を信じて祖国を裏切った。物量でも兵力でも圧倒的に勝っているのにも関わらずだ。それなのに・・・貴方々は、それを掌返しにして敵に売ろうとしている・・・・これでは敵と何も変わりません!!」

 

『ぬ、ぬうう・・・・だが、シグナス総監。実際に我々の戦力は刻々と限界に近付きつつある。このまま徹底抗戦したとしてもそう長くは』

 

「そこです。私が気になっているのは。」

 

『『『ん?』』』

 

怒りを収めてシグナスは、代表たちにこのメッセージを見て疑問に感じていたことを話し始める。

 

鉄人兵団が何故今更二人を呼び戻すのか。

 

既に鏡面世界の広範囲を占拠し、その気になれば各方面からいつでも再攻撃を行える彼らにとって、一般兵と階級が変わらない二人を引き戻すメリットはほぼ無いに等しい。

 

しかも作戦の中止案を持ってくるなど明らかに怪しい。鏡面世界のからくりで苦汁をなめさせられたのだから全戦力を投入して殲滅戦に移行した方が効率がいいはずだ。それを敢えてやらずに二人に通信を送ってくる。これはつまり、鉄人兵団側でも想定外のトラブルが起こり、二人の協力が必要になったのではないかと推測した。

 

『要するに連中はうかつに攻撃を行えなくなったと言いたいのかね?』

 

「戦力を考えれば通信など送らずに力づくでも取り戻そうとするはずです。この間の黒い肉塊の生物兵器、ゲッタードラゴンと言い、現在彼らの組織は一枚岩ではなくなりつつあるようです。」

 

『それで・・・君の案は?』

 

「彼らの狙いを探る必要があります。恐らくあのリーダー格の男は二人が我々にこの通信を見せることは想定していると考えています。」

 

『では、こちらから連絡し直そうというのかね?』

 

「リスクが高いのも承知です。ですが、ここで糸口を見つけなければこの先の見えない戦いを終わらせることはできません。それに相手が話し合う気があるのなら交渉を行うことも。」

 

『「虎穴に入らずんば虎子を得ず」、地球は今危険な架け橋を渡らなければ生き残れんということか。』

 

ようやく受け入れたのか代表たちは、厳しい表情を浮かべる。

 

「では、こちらから再度通信を行い、交渉を試みます。まずは・・・」

 

「シグナス!」

 

その矢先、エイリアが慌ただしく部屋に入ってきた。会議中は基本的に入室厳禁なのだが、彼女の様子を見てシグナスは、何かあると察して咎めなかった。

 

「鉄人兵団が動き出したのか?」

 

「えぇ。でも、おかしいのよ。今、回線を繋げるから。」

 

彼女は会議室のデスクを操作してマップを表示させる。そこには鉄人兵団のものと思われる大型兵器の反応が複数確認できるが何故か都市部ではなく、人気のない山間部へと移動していた。

 

『これはどうしたことだ?』

 

『あのエリアは、現在人は愚か作業メカニロイドも撤収させて何もない廃坑地帯のはずだ。』

 

「・・・・エイリア、この端末に指定されたポイントとマップで重ね合わせてくれ。」

 

指示を受けて彼女は、座標ポイントを地図に重ね合わせてみる。すると大型兵器たちは指定ポイントへと向かっていることが分かった。

 

「これって・・・」

 

「どうやら、一枚岩ではないという推測は当たったのかもしれん。ジュド達にゲッターマシンに搭乗させて発進するように指示を出してくれ。アクセルにもザンダクロスで援護を。後、タチバナ博士にアームライザー整備を急ぐように伝えてくれ。」

 

「えぇ。」

 

命令を受けるとエイリアは、急いで部屋を後にする。

 

『シグナス総監、動くには早いのではないかね?』

 

「いいえ、こちらを罠に嵌めるにしてもやるなら鏡面世界でやってしまえば済むことです。それに彼らが仲間割れを起こしているというのなら交渉もやりやすくなります。無論、警戒をするに越したことはありませんが。」

 

『むう・・・最早、我々の方でうんぬん言えることではないようだな。わかった、君のことを信じよう。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

山間エリア 飛行要塞グール ブリッジ

 

ハンターベースで確認された反応は、グール内でも確認されていた。

 

「どういうことだ?何故、我が軍の兵器たちが閣下のおられる臨時基地を攻撃している!?」

 

モニターで暴れまわっている味方兵器の姿を見てヴェルデは、部下に向かって叫ぶ。

 

「わかりません!ですが、こちらで確認されている機体はすべて鏡面世界の基地で整備を受けていたものばかりです。」

 

「つまり、Dr.ビアンコが裏切ったというのは事実だというのか・・。」

 

彼は、背後の席で座っているネロの様子を見る。ネロは拳を握り締め、歯ぎしりをしながら勢いよく席を立つ。

 

「ビアンコめ・・・・とうとう本気で狂ったか!!」

 

思い立った彼は、出口に向かう。

 

「ヴェルデ、艦の出力を上げて基地へ急げ!!俺は『Z』で先行して閣下をお守りする!!」

 

「ネロ、待つんだ!迂闊に動くことは・・・」

 

ヴェルデが言い終わる前に部屋を後にし、ネロは格納庫へ走って待機している『Z』のコックピットへと乗り込む。

 

「ここで閣下まで失えば、俺は・・・何もなくなる。それだけは・・・」

 

目を光らせると同時にマントを紅の翼へと変形させ、『Z』は開いた射出口から飛んでいく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

早乙女研究所 地下

 

真ゲッターロボの修理を開始してからしばらく、ドラゴンが眠る地獄の釜と呼ばれている地下でも作業が着実に進められていた。

 

「・・・・」

 

「経過は順調か?」

 

現場を指揮しているシグマの元にシャドーマンが前触れもなく姿を現す。

 

「シャドーマンか。こちらが問題なく進んでいる。今日中には地底破壊ミサイルの設置が完了して指示があればいつでも撃てるようになる。ところでドクターの方は?」

 

「真ゲッターの装甲の腐食が予想以上に広く、チェンジ機能の回復に遅れが生じている。Dr.ライトが尽力しているから十分巻き返しはできるだろう。」

 

「そうか。」

 

シグマは、そういうと休憩のために椅子に座る。シャドーマンは彼の隣をじっと見る。

 

「・・・・その男に抵抗はないのか?」

 

そこには幻なのか早乙女博士が座っていた。彼はじっと穴の方を見つめている。

 

「あぁ、最初は気にしていたが今はむしろ興味を持っている。ゲッター線に触れるとまではいかんが。」

 

「ドクターは、機械までがゲッターに呑み込まれることを恐れている。貴様が一線を越えようすれば・・・」

 

「構わんさ。その時は遠慮なく斬るといい。」

 

忠告に対し、シグマは動じることなく返事をする。シャドーマンは、それを確認すると消えるようにワイリーの元へと帰っていく。

 

「ドクターはあのように恐れて排除しようとしているがどうにもわからん。Dr.早乙女、貴方は何故そう落ち着いていられるのだ?これから自分たちが排除されるというのに。」

 

気配が完全に消えたのを確認すると彼は、早乙女博士に問いかける。すると博士は、鼻で軽く笑い返す。

 

『何を食らおうがドラゴンは死にはせん。竜馬を失って以降、あやつはわし等と共に待ち続けていたのだ。これから現れるであろう敵に立ち向かえる者に。』

 

「それがゼロとエックスたちとでも?」

 

『シグマと言ったな。お前も色々試しているようだが全てを理解しようとしても無理なのだ。ゲッター線もロボットもすべてを理解しようとすればそれだけで永劫の時が流れてしまう。』

 

「・・・・だが、私は知りたいと思っている。あの二人に秘められた可能性を。」

 

『ならば、そうするがいい。決めるのは自分自身なのだ。竜馬も隼人も・・・そして、アルバートもそうして生きてきた。答えを見つけ出すのもお前次第だ。』

 

早乙女博士は、ゆっくりと立ち上がって上を見る。

 

『まもなく、敵が来る。人類が喰われるか、食らうか。全てはあいつらの判断だ。それがいかなる結果になってもな。』




次回やっと戦闘描写入れられそう。
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