ドラえもん のび太の転生ロックマンX   作:赤バンブル

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最近ネガティブになりがち(´・ω・`)


魔神我

 

 

『緊急スクランブル!緊急スクランブル!出撃できる大型兵器は、前に出せ!!』

 

「空中狙撃兵には対大型兵器用装備を!」

 

「急げ急げ!!」

 

兵士たちの掛け声とともに格納庫で待機していた大型兵器たちが次々と発進していく。基地から少し離れた場所では大型兵器同士の戦いが繰り広げられており、容赦なく攻撃を仕掛けるが相手は装甲の隙間などから無数の目玉がギョロギョロとうごめく肉塊が飛び出し、破損すればそこから再生を行って逆に取り込んでいた。

 

「オゾネス、反応ロスト!続いてザウルス、ブラッガーが大破!」

 

「空中兵の被害拡大!」

 

臨時基地の司令室では、オペレーターたちが次々と破壊されていく味方の姿を見ながらその悲惨な状況を報告する。総統が無言になっている中、副官は信じられないとばかりに動揺していた。

 

「どういうことだ!?同じ大型兵器だと言うのに何故押されているのだ!?」

 

「そう言われましても・・・」

 

彼の怒鳴り声に対して部下たちは、各々困り果てる。一方外では、ガラダブラの肩に乗っているビアンコが高らかに笑っていた。

 

「ヌ~ハッハッハッハッ~!!メタルビーストへと生まれ変わったこやつらに従来の大型兵器で立ち向かえると思っておるのか?」

 

一方的に押され始めている鉄人兵団。

 

どちらも同じ兵器に見えがちだがビアンコが手を加えたものには大きな違いがあった。それは、外見がかなり生物寄りに造形されていることと例の寄生生命体と同化していることだ。

 

足のない爬虫類のような機体が口から放つ怪光線で迫ってきた大型兵器たちをたちまち腐食させて破壊。

 

全身から炎を吹き出す人間に近い姿をした機体は、体を巨大な火球へと変えて隕石の如く体当たり。直撃したものは大爆発し、掠ったものも高熱で溶かされて戦闘不能へと陥る。

 

他にも角の生えた蛇のような首を持った兵器が口を大きく開いて兵士たちごと呑み込み、謎の液体で固めてしまった。

 

「この程度か?これではリルルたちを確保する前に終わってしまうではないか。のう、ガラダブラ。」

 

ビアンコが声をかけるとガラダブラは、頭部の鎌を取り外す。兵団側では何をやろうとしているのかすぐに気づいた。

 

「ガラダブラの鎌が来るぞ!」

 

「シールドを張れ!!電磁シールドなら奴の攻撃を防げ・・・」

 

シールドを展開して安心したのも束の間、司令室の上半分が吹き飛ばされる。総統は、寸でのところで副官に庇われたことで何とか無事で済んだが他のものは一瞬のうちに体を真っ二つになった。

 

「ぐわあ!」

 

「お、俺の体が!?」

 

「ひっ!な、なにが起こったんだ!?」

 

状況が読み切れない者たちによって司令室に悲鳴が響く。総統は恐る恐るガラダブラの方に目をやるとちょうど鎌を頭部に戻しているところだった。

 

「まさか・・・・シールドをも切り裂いたというのか?」

 

ビアンコの手が加えられているのだから不可能ではない。さらに今の攻撃で残っていた大型兵器の多くが戦闘継続不可能レベルにまで陥ってしまい、まさに絶体絶命のところまで追いつめられていた。

 

「各機、ダメージ深刻・・・戦闘継続できません・・・」

 

「空中兵の信号がほとんど途絶えました。閣下・・・・脱出を」

 

彼らは、せめて総統だけでも逃がそうと動くがメタルビースト軍団は包囲網を縮めてくる。

 

「ヌッハッハッハッ・・・皮肉なものよのう、かつて宇宙最強の軍隊と言われていた鉄人兵団がこうも呆気ない最期を迎えるとは。だが、悲しむ必要はない。ここにいるもの全員が一つになるに過ぎんのだからな。」

 

ビアンコは、他の機体にとどめを刺すように指示を出す。蛇の首の機体は口を大きく開けて彼らを飲み込もうと迫る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

っが、そこへ二つの拳が飛んできて首を掴んで空高くへと投げ飛ばした。総統と副官は一瞬何が起こったのかと驚くがビアンコは上空を見るや顔を顰めて相手を睨む。

 

「来たか、ネロ。」

 

上空には紅の翼で飛行している『Z』の姿があった。『Z』は、両腕を下ろすと基地の脇に着地し、二人の方を見る。

 

「閣下、お怪我は?」

 

「貴様、もっと早く来んか!危うく私と閣下が・・・」

 

副官は、助かったかと思いきや遅れて救援に来たネロに対して文句を言おうとする。一方、総統はそんな彼を制する。

 

「よく来てくれたネロよ。お前が来てくれなければ私も含めて全滅するところだった。」

 

礼に対してネロは、無言で敬礼するとメタルビースト軍団の方へと目をやる。一番後方にいるガラダブラの方の上のビアンコの姿を捉えると彼は憎しみを込めるかのように顔を歪めた。

 

「ビアンコ・・・」

 

「久しいな、ネロ。まさか、お前の元に『Z』が来るとは予想外であったわ。完全に破壊できんかったとはワシも詰めが甘いと言ったところか。」

 

「貴様・・・何故、祖国を裏切った?俺たちの・・・セラの愛したメカトピアを。」

 

「裏切った?違うな、目が覚めたのだ。メカトピア、いや、この全宇宙を新たな世界へ導くためにな。それにはお前たちが邪魔だった。」

 

「目覚めただと?ふざけるな!それじゃあ、これまでの戦いは何の意味があったというんだ?アイツの・・・アイツの犠牲はなんだったというんだ!!」

 

「犠牲じゃと?あの娘を殺したお前が言うことか!!この裏切り者めが!!」

 

ビアンコの逆鱗に触れると同時にメタルビースト軍団は、一斉に『Z』へと向かっていく。ヘビ首の機体は先ほどの仕返しとばかりに首を伸ばして襲い掛かる。

 

「そんな攻撃が通じるか!」

 

『Z』は剣を抜いて跳躍、攻撃をよけて背後に回ると根元から首を切り落とす。中からは例の如く肉塊が蠢いて再生しようと動くが目から放つ光線で機体ごと吹き飛ばす。

 

「ぬう、サーペンター程度では相手にならぬか。グシオス!アポロン!パーラス!生まれ変わったお前たちの力を存分に見せてやれ!!」

 

爬虫類型のグシオス、人型のアポロン、そして二枚貝を背中に纏ったようなパーラスの三機が向かっていく。先鋒のアポロンは、自らを火球へと変えて『Z』に突っ込んでいく。『Z』は両手で受け止め、忽ち全身火だるま状態へとなるが動じることなく、力を入れながらその巨体を握り潰そうとする。そこへ不意打ちをつく形でグシオスが背後から口と目から同時に怪光線を放つ。

 

「うおっ!?」

 

爆発の勢いで体勢を崩し、『Z』はアポロンを解放してしまう。起き上がると右肩の装甲が腐食して溶解していることが分かった。

 

「馬鹿な!?『Z』の装甲は如何なる攻撃にも耐えられるはずだ。」

 

「ヌッハッハッハッ!メタルビーストへと生まれ変わった大型兵器たちの性能はかつてのものとは比べ物にならないほど強化されておる。如何に『Z』とはいえ、こ奴等の攻撃を無傷では耐えきれまい!」

 

再び攻撃が開始される。迫りくる三機に対して『Z』は、両目から光線を発射するがパーラスのシールドによって防がれる。更にグシオスは、尾を足に引っ掛けて相手を倒し、再び溶解光線を放ち始める。負けじと胸部の放熱板から熱線を発射するがアポロンの業火に吸収されてしまった。

 

「『Z』が・・・『Z』が敵に押されている・・・・」

 

このままではまずいと判断したネロは、急いで上空に逃れて態勢を整えようとするがパーラスが放った怪光線を浴びたことで『Z』はまるで固まったかのように動けなくなってしまった。

 

「う、動きが!?」

 

「フフフッ、パーラスの光線は相手の動きを封じる力がある。グシオスの溶解光線をまともに浴びているその状態では最早他の大型兵器と同じよ。さあ、メタルビーストたちよ。今こそ、厄介な『Z』の体を引き裂いてとどめを刺すのだ!!」

 

ビアンコの号令で待機していたメタルビーストたちも動き出して弱体化した『Z』へ猛攻を仕掛ける。動けなくなった『Z』は殴られ、蹴られ、槍で突き刺されといいようにいたぶられていく。自国の守護神と称えられた彼の悲惨な姿に対し、離れた場所で見ていた総統たちは呆然と見ていた。

 

「あれほどの力を持った『Z』すらビアンコの前では無力になるというのか。」

 

自分たちの周囲には回り込んでいたインベーターの集団が歯を鳴らしながら今にも飛び掛かろうとしていた。副官はあまりの絶望的状況に発生回路が動かなかった。

 

「総統閣下、最後に我々の同胞になるにあたって言い残すことはあるかな?」

 

「私に成りすまそうがメカトピアの民全てがお前が思っているほど愚かではないぞ。いずれ、新しいリーダーが貴様に裁きを下す。」

 

「フッ、裁きを下すのはメカトピアではない。新世界へと導く我々だ。」

 

インベーダーが一斉に飛び掛かる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『『『ギガガァァア!?』』』

 

「?」

 

何が起こったかわからなかった。

 

目の前で手を振り下ろそうとしたインベーダーが突然苦しみだして崩壊を起こしたのだ。

 

「思っていた以上に効果があったようだな、この武器は。」

 

そこにはライフルを持ったブラックゼロがいた。他のインベーダーは、仲間がやられたことに激情して矛先を変えるが彼はすかさずライフルを発砲。銃口から放たれた光線を浴びるや否や肉体が飽和状態になり、崩れ去ってしまった。

 

「あれは・・・」

 

様子を見ていたビアンコは、他に待機していた個体を向かわせようとするがどこからやってきたのか突然現れたアチモフ一味によって駆逐されていた。

 

「お前たちは・・・・」

 

「閣下、こ奴らは警戒対象の時間犯罪者どもですぞ!?こいつらが一体なぜ・・・・」

 

「つべこべ言っている暇があったら逃げる準備をしろ。さもないと無理やり連れて行くぞ。」

 

彼が合図をすると脱出艇に乗った単眼ロボットたちが一同の前に降下してきた。

 

「ゴジ!ゴジゴジ!」

 

「ゴジジ!ゴジ~!!」

 

「何を言っているのかさっぱりわからん!!」

 

「さっさと乗れと言っているんだ。それとも奴らのお仲間にでもなりたいか?」

 

「そ、それは・・・・」

 

「生き埋めになった部下たちもいる。救出も視野に入れるならばこの場に留まるのは彼らの身も危うくさせることになる。」

 

警戒心を持ちながらも総統はまだ生きているかもしれない部下たちのことを配慮して脱出艇に乗ることを決める。副官はしぶしぶその後に続く。逃げようとしている二人に対し、ビアンコもただ見ているはずもなく、一部のメタルビーストを差し向けようとする。

 

「逃がすものか!ドラゴガメオ、奴らを捕らえるのだ!」

 

命令を受けて龍型のドラゴガメオは、咆哮を上げながら彼らの元へと向かっていく。ブラックゼロは、ライフルを連射するが大きさが違いすぎることもあって効いていないことに舌打ちをする。

 

「ちっ、相手がデカすぎるか。」

 

そこへ別方向からミサイルが飛んできて命中する。目をやると三機のゲッターマシンがこちらに向かって飛んで来ていた。

 

「そんな!?兵団がほぼ壊滅している!!それに『Z』が!」

 

ジュドは、ドラゴガメオの目を引きながら破壊された大型兵器たちを見て唖然とする。

 

「閣下は無事・・・みたいだけどあの人たち、私を攫った連中よ!?」

 

「アチモフ一味だ。だが、アクセルの報告ではもうこの世界から撤退したはずだ。何故今頃?奴らにとっては何のメリットもない。」

 

ゲッターマシン三機は、ドラゴガメオを空中におびき寄せると空中戦形態のゲッター翔にチェンジ、右腕のドリルで口内から突っ込み体を引き裂く形で破壊する。

 

「おのれ!まだゲッターもどきが残っておったか!」

 

「「ビアンコ博士!?」」

 

ジュドとリルルは、ガラダブラの肩に乗っているビアンコを見て驚く。同時にビアンコも二人が乗っていることに感づいた。

 

「ジュドとリルルか。お前たちからこちらにやってきてくれるとは手間が省けたわい。」

 

「博士・・・一体・・・・あなたは一体何をしているのですか?」

 

恩人である彼の凶行に対してリルルは、思わず飛んだまま問いかける。

 

「何をしているだと?全てはセラ・・・我が娘とこの宇宙の生きとし生きる全ての生命体のためよ。そのための準備を行っておるのだ。」

 

「そんな・・・だからと言ってメカトピアに牙を向けられたというのですか!?そのために故郷を!」

 

「お前たちが理解するには時間がかかるじゃろう。だがな、計画を成就させるにはお前たちの協力が必要なのだ。さあ、二人ともワシと共に来るのだ!そして、新世界の幕開けを見届けようではないか!」

 

「・・・狂ってる。」

 

「うん?」

 

ジュドは、悠々と言ってくるビアンコに対して口を開く。

 

「僕は・・・僕たちは少しでも自分たちの立場をよくしようと考えてこの星へ来た。それは国のためでもあると思って。でも・・・みんなに会って間違っていたことに気づいた。結局は歴史を繰り返しているだけで何も解決しないことを。だから、新しい道を探そうとしているのに。博士・・・貴方は狂っている。」

 

「狂ってる・・・フッフッフッフッ、そうかお前たちから見てワシは狂っておるか。真実を知らぬものから見れば確かにそうだろうな。だが、同じものを見てしまえばお前たちも同様の結論へ至る。」

 

ビアンコは、特に怒る様子を見せず納得したように答える。それは先ほどまでの狂気が一気に失せてかつての温もりを僅かに感じられた。

 

「同じもの?同様の結論って・・・」

 

「今すぐ理解しろとは言わん。しかし、目的を果たすためにはお前たち二人の協力が必要なのだ。よって、無理にでも一緒に来てもらうぞ!ガラダブラ!!」

 

『グワアアアアアァァア!!』

 

ガラダブラは声を上げると巨大な腕を触手のように飛ばし、ゲッター翔を捕らえようとする。寸でのところで分離し、ゲッターマシンはガラダブラの目の前に急接近して再合体する。

 

「チェーンジッ、ゲッター凱!!」

 

パワータイプのゲッター凱にチェンジし、飛ばしている方の腕の死角からガラダブラの体を押し始める。ガラダブラはバランスを崩して倒れそうになるがすぐに伸ばしていた手を元に戻し両腕で捻じ伏せていく。

 

「クッ、なんて馬鹿力だ!?パワー重視の凱でもビクともしない!」

 

シャドウは、このままでは両腕が捥ぎ取られると感じ、胸部のブレストビーム、腰部のインパクトキャノンを一斉発射して吹き飛ばす。

 

「チェンジッ、ゲッター號!」

 

距離を取ると同時に分離し、素早くバランスタイプの號へとチェンジ。一気に距離を詰めて脛の部分に収納されている大型の刃『レッグブレード』を展開して蹴りつけ、ブーメランソーサーとナックルボンバーの波状攻撃を繰り出す。それでもガラダブラは悲鳴を上げることはなく、巨大な拳を握り締めてゲッター號を殴り飛ばした。

 

「グウッ!?」

 

ゲッター號は、ガードをしてダメージを抑えたものの全く傷ついていないガラダブラを見て驚愕する。

 

「あれだけの攻撃を受けて全くが効いていない!?」

 

「ゲッター線を用いぬもどき如きにやられるガラダブラではないわ!そいつのコックピットから引きずり出してくれる!!」

 

ガラダブラが手を伸ばそうとすると割り込むようにビームが遮る。遅れてネオゲッター用のガトリング砲を装備したザンダクロスと見たことない戦闘機がこちらに向かっていた。

 

「アクセル!」

 

『ごめん、遅れちゃった。援護するからその隙に。』

 

アクセルは、ザンダクロスの両肩に装備されているロケットランチャーを展開して攪乱を行う。ガラダブラが標的を変えている隙にゲッター號は、戦闘機の方へジャンプする。

 

「Gアームライザー、音声認証確認。装着!」

 

認証すると同時にアームライザーと呼ばれた戦闘機からパーツが分離、胸部をはじめとする両腰、両脛に装着された。そして、拳を打ち合わせてソードトマホークを生成する。

 

「磁鋼剣ソードトマホーク!!」

 

スーパーゲッター號は、構えを取ってガラダブラに向かって走っていく。

 

「馬鹿め!ゲッターの長所である合体と分離を切り捨てるとは、自ら弱点を作ったものよ!」

 

捕えかけたザンダクロスを放り投げ、ガラダブラは頭部の鎌を取り外して斬りかかろうとする。

 

「消え失せい、ゲッターもどき!!」

 

「ハアアアア!!」

 

ソードトマホークは振り下ろされた大鎌を受け止めると弾き飛ばし、腹部から肩部に向かって斬り上げる。ガラダブラは、予想外のダメージに悲鳴を上げる。

 

「ヌッ、パワーが上がっているだと!?」

 

ダブラスの頭部からレーザー光線を放ち、スーパーゲッター號を軽く吹き飛ばす。装甲自体も強化されていることもあってこれと言ったダメージは見られなかった。

 

「博士、僕は・・・僕たちは貴方を止める!」

 

「ヌヌヌ・・・・よかろう!そこまで抵抗するというのならばかかってくるがいい!!そのゲッターもどきでどこまでできるか・・・お前たちの信じたものとやらを見せてみろ!!」

 

スーパーゲッター號は、剣を構え直して自分よりも遥かな巨体を誇るガラダブラと再対峙する。斬られた傷は既に再生が進んで消えようとしている。

 

「ヌハッハッハッ、来い!ジュド、リルル!!」

 

「うおおおおお!!」

 

ジュドは、剣を振り上げて向かおうとする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドン!!

 

「「!?」」

 

その瞬間、重い打撃音が周囲に響き渡る。見ると発信源は『Z』を痛めつけていたメタルビースト軍団がいた辺りで見ると変わり果てた『Z』がグシオスの頭部を叩き潰していた。

 

「あれは・・・『Z』なのか?」

 

ジュドの目から見たその姿はもはや今まで見てきた『Z』とは程遠い姿だった。外装をすべて溶かされたことによって青銅色の騎士の姿から重厚感のある黒と白を基調としたシンプルな姿へとなり、面影は顔ぐらいだった。コックピットではネロが顔を伏せたまま操縦桿を握って沈黙している。

 

「あれほどの猛攻を受けても外装のみしか破壊できんかったか。だが、おかげでネロの位置がわかりやすくなった。メタルビーストたちよ、『Z』の頭部のネロを狙え!いくら装甲が固くともネロさえ始末してしまえば蹴りがつく。」

 

ビアンコの命令を受け、頭部を破壊されたグシオスは尾を『Z』の首に巻き付けて動きを封じる。動かなくなった『Z』に対し、体を近づけ、顔を再生させると同時に溶解光線を再度放とうと口を開く。

 

「・・・・」

 

だが、『Z』はゆっくりと両腕を動かしてグシオスの体を掴む。グシオスは放すまいと抵抗をするが力が徐々に勝り、体を引き千切られてしまった。

 

『グワァァァァアアオォオン!?』

 

悲鳴を上げてのたうち回るグシオス。

 

『Z』は、解放されるとその場に膝をつく。隙を逃さずアポロンは火球へと姿を変えて突撃してくるが胸に取り付けられている鋭角な形状をした放熱板から発せられる熱線にとってドロドロに溶けてただの鉄塊へとなり果てた。

 

続いて両刃の付いた大ナタを装備するグリークスに斬りかかられるが両腕で力を入れて切断しようとしているのに対し、『Z』は片腕で受け止め、逆にナタの刃を砕いて胴をそのままぶち抜いて戦闘不能へと追い込む。

 

各個体が次から次へと挑んでいくが先ほどと打って変わって『Z』にこれと言ったダメージを与えることはなく、容赦なく破壊されていった。その光景にはジュドとリルルは唖然とし、同時に今までの『Z』と比べて得体の知れない恐怖を感じさせるほどだった。

 

気が付けばメタルビースト軍団は、『Z』一機によって全滅させられていた。

 

「おのれ、『Z』!大人しく朽ち果てていればいいものを!今は貴様を相手にしている時ではないのだ!!」

 

残されたガラダブラは、ビアンコの怒声と共に『Z』へと迫る。我に返ったジュドは、流石に『Z』でも相手が悪いと考え、離れたところに刺さっている剣の代わりにソードトマホークを渡そうと投げる。

 

「ネロ!これを使って!!」

 

スーパーゲッター號は、『Z』に向けてソードトマホークを投げる。剣が飛んでくるのに気付いたのか、『Z』は手を伸ばして取ろうとする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガキン!!

 

と思われていたが『Z』はなんとソードトマホークを弾き飛ばした。これには投げたジュドは愚か敵であるビアンコすらも唖然とした。

 

 

イラン

 

 

まるでテレパシーで語りかけてくるかのようにドスの利いた声がジュド達の脳裏に響き渡る。

 

「えっ?何、今の?ネロの声?」

 

「分からない・・・声は兄さんと似ている。でも、何かが違う。やさしさも温もりも感じられない冷たく、締め付けてくるような・・・怖い。」

 

「二人とも落ち着け・・・・と言いたいところだが俺も人のことを言えんな。聞いただけで身震いがする。こんな気配だけで恐ろしいと感じたのは生まれて初めてだ。奴は本当に機械なのか?」

 

怯える二人の様子を見ながらシャドウは、ガクガクと震える手を押さえながら言う。

 

『Z』は、特に身構えることなくガラダブラの攻撃を受ける。自分の倍近くもある相手の拳を受けているにもかかわらず、今いる位置から一歩もずれる様子はなく、寧ろ攻撃をしているガラダブラの拳の方が耐えきれなくなって潰れた。

 

『がああっ!?』

 

「恐れるなガラダブラ!その程度のダメージならすぐに再生できる。次は貴様の鎌で・・・ぬおっ!?」

 

次の瞬間『Z』の拳がガラダブラの体にめり込む。中からはインベーダーの肉塊が飛び出し、今にも同化しようと動くが目を見た瞬間、彼らは何かに怯えるように体へ戻っていった。

 

 

時間切レカ・・・ヤハリ、ヒトツニ戻ルニハマダ早スギタ

 

 

「一つに戻るだと?ネロ、いや『Z』!貴様は・・・・」

 

ビアンコが言い切る前に『Z』は、ガラダブラを上空へと放り投げる。そして、目を光らせて眩い光線を放った。

 

 

光子力ビーム

 

 

上空へ放り出されたガラダブラは、光に包まれると同時に体が崩壊していく。中にいたインベーダーは悲鳴を上げることなく消滅し、ビアンコも苦痛の表情を見せながら消えていく。

 

「ぬおぉおおおおおお!!ワシとしたことが・・・・完全に見誤ったわぁ!!ネロ、『Z』にこれだけの力が隠されておったとは・・・・だが、最低限の役目は果たした!後は・・・後は本物のワシが炉心を手に入れれば目標は達成される・・・・ヌッハッハッ・・・・ムハハハハハ、ぐおおおおお!!」

 

光が晴れるとそこには何も残っていなかった。『Z』は、敵を消滅させたのを確認すると視線をスーパーゲッター號に変える。ジュド達が息をのむ中、アクセルの乗るザンダクロスがソードトマホークを拾ってきて手渡す。

 

「結構やばいことになったね・・・ジュド、一旦引き上げる?アイツ、空は飛べなさそうだから」

 

「いや、そうも言っていられないよ。」

 

ジュドは、『Z』の背後を指さすとそこには遅れてきたグールの姿が見える。ブラックゼロたちがやってくれたのかブリッジには総統と副官の姿があり、彼らは『Z』の姿を見ながら驚愕していた。

 

「閣下から聞いてはいたが・・・まるで別物だ。姿に全く面影がない。」

 

ヴェルデは、沈黙している『Z』を見ながら言う。一方で総統は、近くにいるスーパーゲッター號とザンダクロスの方に目をやる。いくら敵とはいえ、自分たちがここにいられるのは彼らが時間稼ぎをしてくれたからでもある。

 

「閣下、この際です。ネロに命令してグールに搭載されている大型兵器を用いてあの二機を捕らえましょう!そうすればこちらの実態が外部に漏れる心配は・・・」

 

「・・・・あの二機に通信を入れて今は手を出さないことを伝えろ。後、生き埋めになっている者たちを救助する捜索隊を組め。」

 

「はい、ただいま・・・・って、はっ!?」

 

彼の命令に副官は、思わず大声を上げる。部下たちも全員、信じられないとばかりに総統を見ていたが彼は態度を崩すことなく続ける。

 

「今回の件でビアンコの反乱は既に我がメカトピア内だけの問題では済まなくなっている。チキュウ側の代表にも話をできるように通信を入れろ。」

 

「ですが、奴らにとって我々は敵対国、とても話を聞く相手とは考えられませんぞ。」

 

「元々この作戦を主導したのは私だ。もし、向こうが責任を取れというのなら全て私が被ろう。」

 

「閣下・・・・」

 

「だが、今は目の前に事態に対処せねばならん。責任を取るのはそれからだ。ジュドとリルルにネロと『Z』の回収を。あっちのボディに乗っているパイロットには救助活動を手伝わせろ。」

 

グールから通信が送られる。内容に対し、ジュド達は信じていいかどうか半信半疑になるもののそれ以上に先ほどのことが嘘のように静かになっている『Z』に乗っているネロの方が気にかかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???

 

「本当にあれでよかったのか?」

 

「あぁ、彼らの種族を束ねるあの男に生き残ってもらわねば味方に引き入れるのは難しい。お前たちの行動で恐らくメカトピアも今回の事態を重く見ているはずだ。」

 

巨大戦艦の中ある一つの部屋でブラックゼロは、マントに安全ヘルメットを被った男と向き合いながら話をしている。

 

「これから我々は浅間山へ向かう。そこでアルバートとトーマス・ライト博士、イレギュラーハンターたちに事実を話し、協力を求める。」

 

「・・・・」

 

「どうした?これからの我々の行動次第でこの世界の宇宙の命運がかかっているんだぞ?」

 

「・・・・分かっている。だが、そのエンペラーと言う奴が導き出した答えと言うものは本当なのか?この世界の干渉がお前らの宇宙をも滅ぼすって。」

 

「それだけ並行宇宙同士の関係は緻密なのだ。一つの選択を誤ればその宇宙が崩壊し、連鎖するようにすべての宇宙が巻き込みかねない事態へ発展する。ゲッターエンペラー・・・竜馬はそれを防ぐために俺たちを派遣した。この可能性を捨てたはずの世界へな。」

 

「それで一番接触しやすかった俺たちを捕まえたったわけか。親父たちがいないこんな状況で勘弁してほしいぜ。」

 

「そう言うな、お前も自分の手以外でオリジナルがいなくなるのは納得いかないだろう。」

 

「まあな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

太平洋 海上

 

青い海がひたすら広がる太平洋。

 

その上を三機のゲットマシンが飛んでいた。

 

「ヌウウ・・・」

 

「お帰り、ビアンコ君。どうやら随分ひどい目に合わされたようだね。」

 

ポセイドン号に乗っているコーウェンを自動操縦が解除されたドラゴン号に通信を入れながら言う。ビアンコは頭を押さえながら他に二機に回線を繋げる。

 

「ワシとしたことがしくじってしまったわ。目の前にリルルとジュドが来てくれたというのに。」

 

「けど、『Z』の注意をあっちに向かせることには成功した。これで僕たちは本命である日本へリスクを冒すことなく行くことができる。ねっ、コーウェン君。」

 

「その通り、先行させた彼らが既に早乙女研究所で交戦を始めている。後は、消耗しているところを僕たちが乗り込んでドラゴンか真ゲッターの炉心を手に入れてしまえば進化するのに十分なエネルギーを手に入れることができる。」

 

三機のマシンは、スピードを上げながら目的地へと向かって行く。

 

「リルル、ジュド。お前たちの回収はまた次の機会としよう。まずは・・・この星最後のゲッターを頂くとしよう。」




ドワォ
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