これもゲッター線の意思なのか!?
旧日本エリア 浅間山
ドラゴンたちから距離を置いて地上に着地した真ゲッターは、ネオゲッターを下ろすとゼロたちの安否を確認する。
「ゼロ、大丈夫か!?」
エックスは、コックピットから飛び降りて溶解して変形しているネオイーグルのハッチを無理やり開ける。中には負傷したゼロがぐったりとした様子で座っていた。
「ゼロ!」
「エ・・・・エックスか・・・」
ハッチから差した光に気づいたのかゼロは、力のない声で返事をする。一方、閉じ込められていたアイリスもマーティが槍を刺してこじ開けたことで無事外に出ることができた。彼女は礼を言う間もなくゼロの方へと行きその姿を見て絶句するのだった。
「ゼロ・・・」
「その体ではゲッターに乗るどころか動かすのも危険だな。・・・VAVAはどうした?」
隼人は、容態見ながらVAVAの行方を聞く。すると下からVAVAが這い上がってきた。
「俺はここだ。・・・・後数ミリ腕が近かったら体が潰されていた。」
「それなら心配なさそうだな。アイリス、お前はここでゼロの応急処置を行って待機しろ。すぐに救援を送るように手配する。」
「でも、私ここまでの負傷を治療した経験が・・・」
「アルバートに通信して助言を求めて見ろ。最高傑作がこんな有様なんだ。あいつ、向こうから連絡してくるだろうさ・・・・言った矢先にもう連絡をしてきやがった。」
アラームを鳴らし続ける端末を開いて隼人は、ワイリーと通信する。通信先の彼は、作業中なのか雑音が入り混じっている。
『隼人!貴様、ワシのゼロになんてことしてくれたんじゃ!?もう少し早く来てくれれば・・・』
「お前の文句に付き合っている暇はない。かなりの重体だ。早くパートナーに応急処置の助言をしろ。」
『ヌウ・・・ワシが直接来れないことを言いことに・・・まあいい。お前たちはさっさと向こうにいるドラゴンの相手でもしていろ。こっちで空いている奴を救援に向かわせる。』
通信を切ると隼人は、コックピットへと引き返す。
「お前たち三人もアイリスを残して全員乗れ!VAVA、お前は3号機だ。マーティは、1号機でエックスの後ろで大人しくしていろ。」
「ちょっと、二人を置いていくつもり!?せめてアタシだけでも守りで・・・」
「ここに来るまでに武器を消耗したお前が一人着いたところで大差はない。後はアルバートの奴に任せておけ。ここからまだ敵がうじゃうじゃいるであろう研究所の中に自力で戻れる自信があるのなら話は別だが。」
「お言葉に甘えて乗せていただきます!」
ゼロのことをアイリスに任せて真ゲッターは、翼を広げて再び上空へと飛んで行く。
上空では腕を組んだドラゴンが沈黙を続けていた。中ではコーウェンとスティンガーが脂汗を掻きながら動揺していた。
『あわわわわ・・・・』
『つ、ついに奴が・・・』
二人の脳裏にこの世界に来る以前の戦いの記憶が過ぎる。
追い詰めたと思っていた目の前いる敵とほぼ瓜二つの機体が放った渾身の一撃により敗北したあの光景を。
その時に刻まれた痛みや恐怖が飲み込もうとしていた。
『落ち着くのだ、同志よ!』
冷静さを失っている彼らに対し、ビアンコは鼓舞をし始める。
『確かに真ゲッターは、我々の目の前に現れた。だが、出せるならなぜ今まで出さなかったのか。それにはそれなりの理由があったはずだ。』
彼に声を聴いて我に返ったのか二人は、汗を拭う。
『た、た、確かにビアンコ君の言うとおりだ。落ち着くんだ、スティンガー君。考えてみればあの鏡面世界の戦いの時点で隼人くんが真ゲッターを出し惜しみするほど愚かではない。』
『う、うん。もし本気で僕たちを止めるつもりなら真ゲッターの方が遥かにいい。つまり、今の奴は万全じゃない!』
『それに僕たちも進化している。このドラゴンも。これは試練なんだよ、スティンガー君。ゲッター線が仕掛けた抵抗だ。あれを倒さなければ僕たちの存在が認められない。』
『そうだよね、この世界の人類が守るに値しないことを認めさせなくちゃ!』
『その通り。我らのゲッターが早々敗れることなどありはせん!!もはや奴らが過去の名誉に縋っているだけだということを知らしめてくれるわ!!』
ドラゴンは、目を光らせると両肩からトマホークを展開して真ゲッターに向かって行く。隼人は、相手が自分たちを本気で消しに来たと察して1号機に乗っているエックスに叫ぶ。
「来るぞ!奴ら、俺たちを消す気だ!」
彼の声を聴くとエックスは、武器レバーを押す。すると両肩から勢いよく飛び出し、連結させることで巨大なゲッタートマホークになった。
「ゲッタートマホークッ!!」
真ゲッターは、トマホークを構えると高速移動してドラゴンを迎え撃つ。ゲッタードラゴンは、トマホークで斬りつけようと連撃を繰り出すがエックスは両腕についているレザーを利用しながら適切に攻撃を防いでいく。
『小癪に防ぎおって!』
『ビアンコ君、僕が行くよ!ライガーのスピードで肉薄にする!』
『いいだろう、同志よ!今こそ、過去の屈辱を払拭する時だ!!』
ドラゴンがゲッタービームを照射して距離を置くと三機に分裂し、ゲッターライガーへとチェンジする。
『チェンジ、ライガー!!』
ライガーは、高速で移動すると真ゲッターの背後に現れてドリルで身を貫こうと迫る。真ゲッターは、レザーで受け止めるがドリルを完全に防ぐことはできず、火花を散らした。
「クッ・・・」
「弱めのビームを撃って奴の目を眩ませろ。その隙にこちらもチェンジする。」
隼人の助言通りにエックスは頭部からゲッタービームを放ち、攪乱させることでライガーの視界を一時的に奪った。
「オープンゲット!」
「チェンジ、ゲッター2!」
真ジャガー号を頂点に三機のゲットマシンが合体する。チェンジを完了した真ゲッター2は、右腕のドリルを回転させて攻撃を仕掛ける。スティンガーは、一瞬の出来事に対応してライガーのドリルアームで防御する。
『クウウ・・・・流石、真ゲッター!旧ゲッターとは桁が違う。だけど、このGもただのGではない!!』
空いている左腕からライガーミサイルを発射して距離を取らせる。
そこから二機の高速戦闘が始まり、上空では鈍い金属音が絶え間なく響く。
「おい、ドラえもん。どっちが勝ってるんだ?」
「さあ・・・。」
「さあって何さ!?のび太たちが負けたら元も子もないんだよ!あのロボットものすごく強いんだから僕たちも・・・・・」
加勢しようと言おうとしたスネ夫は、そっと地上で待機しているギルギルガンの方を見る。真ゲッターに分身ともいえる爬虫類型が破壊された時こそ、怒った様子を見せていたがドラゴンに命令されて以降まるで先生の言うことを聞いた園児の如く、体育座りをして待っていた。本当に動かないのかどうかトマホークでちょっかいを出そうとすると尻尾を勢い良く振って遥か後方へと弾き飛ばしてしまった。
「・・・これ、動かない方がいいかも。」
「そ、そうだな・・・俺たちじゃ相手になりそうもない。」
空中での高速戦闘は、真ゲッター2が地中へと潜りこんだことから舞台が地中へと移った。ライガーは、地中を掘り進みながら真ゲッターの反応を探す。だが、反応が近づいていくうちに違和感を感じ始めた。
『なんか変だな。隼人君が態々と近づいてこさせるなんておかしい。』
スティンガーは、ドリルを止めてミサイルで誘き出そうとする。っが、気づくのが遅かったのか目の前の岩盤を突き破って二本の腕がライガーの体を絡めとる。
『しまった!罠だった!?』
岩盤が崩れると目の前から真ゲッター3が姿を現す。彼は体をがんじがらめにすると脚部キャタピラを回転させ、地上に突き出るほどの竜巻を発生させる。
「コイツはすげえ・・・・今までのものとパワーが桁違いだ。これで思う存分、この間の借りを返せる。」
VAVAは、手を放してライガーを上空へと舞い上がらせると下半身後部と肩のミサイルを一斉に発射。ゲッターライガーは、高速移動で回避行動に専念しようとするものの足を掴まれ、地面に叩きつけられる。
「こんなもんじゃねえ、今度はてめえらが屈辱を味わう番だ!!」
真ゲッター3は、キャタピラ音を発しながら地面に伏したライガーを思いっきり跳ね飛ばす。
『残念ながら僕たちは、その屈辱を十分味わってこれ以上は必要ないんだよ。チェンジ、ポセイドン!!』
地面に再突すると同時にマシンが分離し、そのままポセイドンへと変形。胸部装甲を展開してゲッターサイクロンを仕掛ける。
「この間と同じ手が通用するか!」
すぐ脇に落ちていたトマホークを拾うと真ゲッター3は、腕を振るって投擲する。トマホークは、竜巻を迂回するように回り、ポセイドンの右脚を斬り飛ばした。
『グオッ!?』
まさかのダメージにコーウェンは驚きの声を上げるがVAVAは、追撃のミサイルストームを繰り出す。
『コーウェン、オープンゲットだ!まだ、間に合う!』
『ハッ!?』
ビアンコの声に我に返った彼は、すぐさま分離してその場から離脱する。真ゲッターの想像以上の反撃を前にコーウェンはヘルメットを外し、荒く呼吸をしながらも汗を拭った。
『危ないところだったよ、ビアンコ君。まさか、僕たちのゲッターに傷をつけられてしまうとは・・・不甲斐ないことをしてしまった。』
『なに、落ち込むことはない。それだけこの世界の真ゲッターの潜在能力が高いということだ。たかが知れていると括っていた我々にも非があっただけのこと。』
ビアンコは、やや凹んでいるコーウェンを慰めながら自分自身も反省するように話す。
『彼らがここまでやるとはね。どうしようか?』
『うむ、この星ではドラゴンと真ゲッターの存在を警戒して増幅装置の出力を30%以上引き出す予定はなかったが・・・こうなれば已むを得まい。出力を50%に引き上げる!!』
『50%か。正直僕たちが限界まで引き出せる力の半分以上を見せてしまうことになるが・・・既に傷をつけられてしまった以上このまま真ゲッターを泳がせるわけにはいかない。ここで仕留めなければ。』
『う、うん。そうだよね、ここで炉心を手に入れなければ僕たちの計画が遅れることになる。』
『話は決まったな。・・・・では、遊びはここまでにして確実に真ゲッターを仕留める!!チェンジ、ドラゴン!!』
上空で再合体したゲッタードラゴンは、体を光らせたかと思うと視界から消える。突然の出来事にVAVAは、トマホークを拾い、身構えながら警戒するが次の瞬間、真ゲッター3の顔面に重い衝撃が走って吹き飛ばされる。
「何が起こりやがった!?」
体勢を立て直して周囲を確認しようとするもすぐに重い一撃が入る。ゲッタードラゴンが先ほどとは比べ物にならない速さで真ゲッターを翻弄しているのだ。
「クソ!奴らどこにウォッ!?」
「奴ら、増幅装置の出力を抑えていたのか。」
エックスたちが追い詰められ始めていることに焦りを覚え始めている中で隼人はただ一人冷静に情報を分析する。
「アンタ、そんな冷静に言っている場合じゃないでしょ!?」
エックスの後ろでマーティが不安そうな表情で言う。隼人は、そんな彼女を他所にゲットマシン各機のゲッター線出力を見る。
「150年以上動いていないことを考えればマシだと言いたいところだがやはりあの時と比べて明らかに落ちているな・・・。」
更にイーグル号の数値を見ると他の二機と比べれば若干下だった。一時とはいえゲッター1のビーム出力を大きく振り上げたエックスが搭乗している割にはあまりにも低い。もし、あの現象が本物ならば自分たちの機体よりも上がっていいはず。
(あの女を一緒に乗せた影響か?いや、普段の性格を考えれば望まない限りゲッターも応えないからかもしれん。大出力のゲッタービームを放った時、確かにアイツは力を求めていた。合体時に撃ち落されるリスクはあるがここは真ゲッター1にチェンジしてエックスの覚醒に賭けるしかこの事態を打開する術はない。)
人は敵対する相手に対して時に潜在的に眠っている暴力的闘争本能を目覚めさせることがある。それは温厚な人間であっても対象であり、何かしらの衝動で普段では考えられない行為に及ぶことすらある。隼人は、エックスを追い込むことで無理やり真ゲッターの力を引き出すことにした。
「VAVA、ゲッター3のままでは不利だ。弾幕を張ってゲッター1にチェンジする!」
「あぁ!?俺はまだ負けていねえ!」
「言う通りにしろ!コイツの体をよく見て見ろ。僅かだが合体の衝撃で亀裂が入り始めている。このまま長期戦に持っていかれれば破損がひどくなる俺たちの方だ。お前の勝手で全滅させるわけにはいかない!」
「チッ。」
VAVAは、舌打ちをすると真ゲッター3のミサイルを全弾一斉掃射してドラゴンをかく乱させる。隙を見てゲットマシン状態に戻ると上空へと逃れ、イーグル号を先頭に三機が連結で合体。胴体から腕と足が高速で形成され、頭部が変形すると同時に悪魔の翼を広げる真ゲッター1へと姿を変えた。
『最期の覚悟ができたようだな。だが、勝ちを譲る気など毛頭ないわ!!』
ドラゴンは、トマホークを連結させて薙刀のように回しながら斬りかかってくる。真ゲッターは、肩からトマホークを展開すると鈍い音を立てながら迎え撃つ。
「す、すごい衝撃だ・・・直接触れてるわけでもないのに振動が直接腕に伝わってくる!」
実際に腕が痺れているのかエックスが操縦桿を握っているにもかかわらず、次の一撃を受けて真ゲッターはトマホークを落としてしまう。
『武器を落とすとは自殺行為だぞ!!』
動きが鈍った真ゲッターに対してドラゴンは思いっきり蹴りを打ち込む。地面に勢いよく激突した真ゲッターはなんとか体を起こすが隙を与えることなく、チェンジしてきたライガーのマッハスペシャルで装甲を削り取られて行く。
『どうしたのかな?さっきまでの勢いはどこへ行っちゃったんだい?』
ドリルが真ゲッターの左腕を吹き飛ばすと同時にエックスの左腕が血を吹き出す。
「グッ!?」
「え、エックス!?」
突然の出来事にマーティは、ベルトを外して彼の元に駆け寄る。モニターで見ていた隼人は、この現象に対して強い違和感を感じた。
(馬鹿な、真ゲッターがダメージと同じ個所を負傷するだと?いくらゲッターとはいえ、俺と竜馬すらこんなことが起こったことがない。それに数値もチェンジしてからも変化していない。シンクロし始めているにしてもその兆候が・・・・兆候?)
機体が大きく揺れる中で彼は、エックスの顔を見る。
攻撃を受けるたびに出血しているにもかかわらず、彼の顔に何か配線が走っているようなラインが浮き上がってきていた。腐食バクテリアにより装甲の劣化と繰り返しの合体によって各所に亀裂が走ってきた真ゲッターは、力尽いたのかの如く、その場に膝をついて沈黙し始める。
『どうやら、パイロットが操縦に耐えきれなくなってしまったようだね。なんか変な感じがしなくもないけど僕たちの計画のためにもその体の中にあるゲッター炉心を頂くよ!』
膝をついて動かなくなった真ゲッターの胸部に向かってライガーは、ドリルを突き立てる。先端が徐々に体の中に食い込んでいき、内部にある炉心を引きずり出そうとする。
「エックス、どいて!アタシが代わりに操縦するから後ろで休んで・・・・!?」
あまりの出来事にこれ以上操縦させれば夫が壊れてしまうのではないかと言う不安に駆られ、マーティはエックスを操縦桿から引き離そうと手をかけるが彼の体に無数のケーブルが触手のように喰い込んでいるのを見て唖然とする。対するエックスは、自分の変化に気づいていないのかゆっくりと彼女の方を向く。
「・・・何か言ったかい?」
「えっ?危ないから操縦を変わろうと」
「あぁ、大丈夫だよ。さっきまでは揺れていたせいか頭の中が掻きまわされたような感覚に襲われていたけど今は大分落ち着いた。」
そう言うと彼はメインカメラの方に視線を戻してレバーを動かす。同時に沈黙していた真ゲッターの右腕が動き、ライガーのドリルを押さえた。
『ぬっ!?』
その行動に対してスティンガーは、少し驚きはしたもののドリルの出力を上げて捩じ切ろうとする。だが、いくら出力を上げても右腕が離れる様子はなく、寧ろ力が増して回転が止まってしまった。
『なっ!?そ、そんな馬鹿な・・・』
ライガーが顔を上げると真ゲッターの目がギロリと睨みつけていた。真ゲッターは、自分の体からドリルを引き抜き、ミシミシと音を立てながら握り潰した。
『ら、ライガーのドリルが!?』
『まだ抵抗する力が残っていたか。』
ライガーミサイルで軽く吹き飛ばし、ビアンコの指示でマシンは分離、空中でドラゴンへと再合体する。真ゲッターは、ヨロヨロと起き上がるとバトルウィングを展開して後を追う。
「・・・俺はまだコイツのことをよく知らない。この機体を知らなくちゃならない。」
傍でパートナーが心配しているのを他所にエックスは、何かに憑りつかれたかのように独り言を言う。真ゲッターは肩からトマホークを取り出すと大鎌へと変形させてドラゴンを待ち構える。
『ボロボロのその姿で挑発のつもりか?貴様はもう役割から外れたのだ!この先の未来を動かすのは我々よぉっ!!』
ビアンコは、トマホークを両手に持って高速移動で背後に回り振り下ろす。
「・・・後ろだ。」
エックスの声と同時に真ゲッターの大鎌が動いて攻撃を受け止める。先ほどまでの状態なら衝撃に耐えきれず落としてしまうところを微動だにせず静止していた。
『ぬ、ヌウウウ・・・!』
ドラゴンは、トマホークを幾度なく振り下ろすがまるで先を読まれているかのように攻撃を防がれてしまう。出力を瞬間的に上げて前から攻撃しようとするが紙一重に回避される。
『攻撃が当たらん・・・ワシの動きを読んでいるというのか・・・・!まさか、貴様・・・同化し始めておるな!!』
ビアンコ同様に隼人もコックピット内でエックスの異変に気付き始めていた。真ゲッターが相手を翻弄し始めた頃からイーグル号のゲッター線出力が急速に上昇していたのだ。
「・・・この上がり方普通ではない。この間のも異常だったがここまで極端ではなかった。やはり、真ゲッターに乗っているのが影響しているのか?このままだと何が起こるかわからん。」
攻撃を受け流し切った真ゲッターは、隻腕でありながら大鎌をトマホークに戻して反撃を始める。ドラゴンは、動きを読んで回避しようとするが当たる直前で急に動きを変えられ、直撃しそうになる。
『クッ!』
「分かってきたぞ・・・・・そうか。ゲッター、お前は感情を込めることによって力を引き出すことができるのか。そして、その力に限界はない。」
焦点が合わないグルグル目に口裂け笑いとほぼ別人の顔をしたエックスは、意図も扱いなれたかのように真ゲッターを乗りこなしていく。同化によるものなのか切断された左腕を初めとする傷が再生し始め、モニターに表示されている数値は既に最大値を振り切りつつある。
これ以上エックスにゲッターを操縦させ続けたらどのような悪影響が出るか計り知れないと感じ、隼人は通信越しでマーティに指示を出す。
「マーティ、今すぐエックスを操縦席から引き剥がせ!何か悪い予感がする。」
「やってるわよ!?でも、このコードを引き千切るなんて簡単じゃ・・・・」
言われるまでもなく彼女は、既にエックスの体に絡みついているコードを引き千切っていた。それでもコードの数が減る様子はなく、操縦席から引き剥がすことはほぼ不可能に近かった。
「まさかこのままエンペラーとかに進化するなんて悪い冗談じゃないわよね・・・・」
エックスが真ゲッターに変化して自分の目の前から飛び去って行く夢を思い出す。
外ではこの戦況を芳しく思っていないのかビアンコたちが次の手に出る。
『同化が進んでいる以上、ワシ等より先に行かれては面倒だ。こうなれば、炉心ごとこの周囲一帯を吹き飛ばすことなるが出力50%のシャインスパークを喰らわせて仕留める他ない!』
『しかし、ビアンコ君。今の奴はライガーのスピードよりも速くなりつつあるよ。この状況でシャインスパークを放っても僕たちが消耗するだけに終わってしまう。』
『心配することはない、スティンガー。奴が動き回るなら、それを封じてしまえばいいだけのことだ。ダブルトマホーク、ブーメラン!!』
ビアンコは、二丁のトマホークを投擲する。真ゲッターは、大きく動作すること回避するがタイミングを合わせるかのように地上で待機していたギルギルガンが動き始めた。
『グワアアアアア!!』
彼は咆哮を上げると翼を広げて飛び立ち、体から無数のインベーダーの触手を放つ。触手は、体を拘束するように縛り、真ゲッターは動きを封じられる。
「コイツ、抑え込むつもりか?」
エックスは、トマホークを振って触手を切断しようとするがギルギルガンは更にそれ以上の触手を伸ばし、最終的に自らの手で真ゲッターを取り押さえた。
「クッ!身動きが!?」
『今だ、今こそ真ゲッターに引導を渡すとき!!』
ドラゴンは二体を見下ろせるぐらいの高度にまで上昇し、シャインスパーク発射の準備を開始する。真ゲッターは、力づくでギルギルガンの拘束を振り解こうと藻掻くが抵抗する力は更に強まり、機体の各部で悲鳴が鳴り響く。
『ヌハッハッハッ!!ここまでよく抵抗したと褒めておこう。未来を掴み取るのは我々だ!!』
『炉心が手に入らないのは残念だが代用プランはいくらでも考えられる。』
『そのままゲッター線に抱かれて死ぬがいい!』
『『『今こそ、我らの心を一つに!』』』
『『『シャインスパーク!!』』』
ドラゴンの前身の光が最頂点に達し、勢いよく降下してくる。ある程度勢いがつくとドラゴンは反転して離脱し、残されたエネルギーの塊は二体の元へと突っ込んでいく。
「まだだ!真ゲッターのパワーはまだこんなものじゃない!!」
エックスの叫びと同時に真ゲッターの目が大きく見開く。同時に全身が発光し始め、拘束している触手を吹き飛ばす。
『もう遅い!研究所諸共消し飛べい!!』
「うおおおおおおお!!」
真ゲッターは、シャインスパークの直撃を受け止める。コックピット全域が白い光に包まれ視界を奪われ、取り押さえていたギルギルガンは苦しみながら消滅していく。。
「何がどうなっていやがんだ?」
「これは・・・同化・・・・ゲッターに同化していく!!」
VAVAと隼人の意識は一早く消える。エックスを引き剥がそうとしたマーティは、光を受けると何に反応したのか掴んだコードが今度は自分たちを繋ぎ合わせるかように全身至る所に刺さった。
「え・・・エッ、クスゥ・・・・」
彼女の意識も又溶けるかのように消え、真ゲッターは光の中へと姿を暗ます。
閃光に包まれた真ゲッターを見てビアンコたちは、自分たちの勝利を確信していた。
『・・・・終わったか。』
『あれだけの威力のシャインスパークを受けたんだ。無事でいるはずがない・・・・そ、そう思うだろ、スティンガー君。』
『う、うん。ギルギルガンを道連れにしたのはちょっと残念だったけどこれで僕たちを邪魔するものがいなくなった。後は、「Z」と・・・!?』
三人は、目の前に広がりつつあった光の変化にギョッとした。
やがて浅間山全域を呑み込むはずだった光が逆に収縮し始めたのだ。
最初は一体何が起きているのか分からなかったがその中心にいる影を見てビアンコは思わず声を上げる。
『こ、こんな馬鹿なことが・・・・』
そこには真ゲッターではなく、全身深い蒼色に染まったゲッターロボがこちらを見据えていた。
次回はできるだけ早く出す予定です。
後半の展開は急すぎたかな。