ドラえもん のび太の転生ロックマンX   作:赤バンブル

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今年最後の投稿なんとか間に合いました!


竜の目覚め

早乙女研究所 地下

 

「地底ミサイルの最終チェック完了。後はコイツを下で眠っているドラゴンに向かって撃てばケリがつく。」

 

地上がとんでもないことになっているとは知らずにワイリーは、ここに来た目的であるドラゴンの破壊を実行すべくミサイルを撃ち込もうとしていた。

 

「ゲッター線反応、依然として変化なし。」

 

「よしよし、そのまま大人しくしておれよドラゴン。これから貴様を跡形もなく消し飛ばしてくれるからな。」

 

彼は、ミサイルの安全装置を解除して地獄の釜最深部へと照準を向ける。その動向を見守るシグマは、未だに釜の傍で沈黙を守っている早乙女の様子を窺っていた。

 

「不思議なものですな、Dr.早乙女は。ドクターが今にもドラゴンを葬ろうとしているにもかかわらず何の抵抗もしようとしないとは。」

 

「フン、それだけドラゴンが弱っている証拠じゃ。なんせ100年以上、供給するはずだったゲッター線を放出し続けたんじゃからな。抵抗しようにもまともに力も使えん。」

 

ミサイルの位置が固定されるのを待っている間、ワイリーは釜の蓋を解放しながら150年前にここで起こったあの忌まわしき事件の記憶を思い起こす。

 

 

『ドラゴンから発せられるゲッター線出量、規定値を遥かに超えています!』

 

『弁慶の馬鹿!勝手に乗り込んで上に暴走させやがって!』

 

全ての始まりとも言えるあの日、彼はこの場で敵を巻き添えにしながらメルトダウンをしていくドラゴンの姿を見ていた。襲来してきた敵の集団に対し、ドラゴンは足を負傷して出撃できなかったゲッターパイロット「車弁慶」が乗り込んでタイミングを見計りながら近距離のゲッタービームで殲滅していった。

 

だが、改造された影響でドラゴンには致命的な問題があった。

 

それは、現役時にリミッターとして取り付けられていた制御装置が取り外されてしまっていたことだ。これは戦闘において負担がかかり続けることで発生する危険性がある炉心の暴走を抑制するもので後任の真ゲッターが不確定要素を残しながらも無事に稼働できたのを機に増幅装置として改造する際に取り外してしまったのだ。

 

その結果、ビームを撃てば撃つほどドラゴン自身の炉心は際限なく熱を帯び、最終的にはメルトダウンを起こすことになる。

 

『ここはもう危険です!早く脱出しなくては!』

 

『クソ、全員エレベーターに乗り込め!!後、第5から第8までの防壁シャッターを下ろした後、ブロック液を流し込むように地上に連絡しろ!こんな高濃度のゲッター線を地上になんて拡散させたら何が起こるかわかったもんじゃねえ!!いいか、余計なものはここに置いて行け。重量オーバーで動かなくなったら俺たちも巻き添えだぞ。』

 

ワイリーが指示を出すと各所員は急いで部屋から退散していく。残ったのが自分と早乙女博士のみになったのを確認すると彼は、博士を引っ張って部屋を出ようとする。

 

『博士、俺たちもさっさとこの場から退散だ!』

 

『しかし、弁慶が』

 

『アイツはもう駄目だ!メルトダウンを起こした時点で体が蒸発し始めて意識なんざ残ってねえ!武蔵が自爆させた旧ゲッターの10倍以上のゲッター線濃度なんだ。』

 

『だが、このまま捨ててはおけん!』

 

『ちっ。おい、誰か手を貸せ!!博士をここから・・・・・』

 

 

 

 

「・・・・ゲッター線は宇宙を滅ぼすか。だが、その心配も無くなる。ここでドラゴンを葬り、地上に現れた鉄人兵団のドラゴンも真ゲッターが倒せば・・・残すは真ゲッターの解体のみだ。・・・あの悪夢のような未来がようやく消える。」

 

発射体勢が完了し、現実に引き戻された彼は発射ボタンに手をかける。そして、腰を掛けている早乙女の方を見る。

 

「お前ともこれで最後だ早乙女。何か言い残すことはあるか?聞いてやるぞ。」

 

問いかけに対し、早乙女は鼻で笑う。

 

『フッ、アルバート。ゲッターを消すために動き続けていたようだがお前はまだその本質の一部しか分かっておらん。ここで撃とうとゲッターの意志を止めることはできん。』

 

「ほう、そうかそうか。それなら今すぐ元気とミチルの元へ送ってやるわい。ワシからよろしくとな。」

 

そう言うと彼は発射ボタンを何の躊躇いもなく押す。

 

ミサイルは固定されていたサブアームから外され、釜の底へと落ちていく。最深部に到達するとそこから先端のドリルを回転させ、更に下とへ潜っていった。

 

「ミサイル、釜の最深部へ到達。以降、ドラゴン目指して潜り始めます。」

 

「ドラゴン、依然として反応変わらず。動く様子はありません。」

 

探知機でミサイルが地中を掘り進んでいるのが分かる。数分もすればドラゴンへと命中するはずだ。

 

「ドラゴンまでの距離、後を1000メートルを切りました。」

 

「反応は変わりないか?」

 

「はい。後、先ほどから地上との通信が繋がりませんが・・・如何します?」

 

「ほおっておけ。恐らく、ゲッター線の影響で障害が起こっておるんじゃろう。ドラゴンが消えれば回復する。」

 

ミサイルとドラゴンの距離が500メートルを切る。

 

450・・・400・・・350・・・200・・・

 

「150、130、110、間もなくミサイルが命中します!」

 

「終わりじゃドラゴン、あの忌まわしき過去と共に眠れ!!」

 

次の瞬間、周囲に強い振動が起こる。行く故を見守っていたゲッターロボたちはその衝撃に耐えきれずひっくり返ったり、穴に落ちかけた。

 

「ミサイル命中!ゲッター線の数値に変化なし!」

 

「ドラゴンの反応消失!検知されません!!」

 

報告を聞いてワイリーは、ほっとしたのか腰を掛ける。

 

「終わった・・・ようやく、あの恐ろしい未来から解放されたのか。ワシらは。」

 

その顔は安堵しながらもどことなく寂しそうに見えた。そんなワイリーにシェードマンは、恐竜柄のマグカップにコーヒーを入れて手渡す。

 

「お疲れ様です、博士。これで安心して他の問題に取り掛かれそうですね。」

 

「あぁ、これで地上のことが片付けば真ゲッターをさっさと解体して鉄人兵団に全戦力を投入して追い返すぞ。」

 

「簡単に言いますね。今だって均衡状態だと言うのに。」

 

「ワシの手にかかれば侵略者なんぞ二度と来たくないと思うほどにしてやるなどお茶の子さいさいじゃ。」

 

二人がさり気なく会話をしている一方、シグマは地獄の釜の方で早乙女がまだ消滅していないことに疑問を感じる。

 

「ドクター、Dr.早乙女の姿が未だに消えていないようですが。」

 

「破壊したとはいえ、ゲッター線濃度がすぐに薄れるわけではないからな。まっ、どうせ時間が経てば消え・・・」

 

得意気に話している途中で警報が鳴り響く。何事かとジョーたちが計測器を確認するとその現状に声を荒げる。

 

「地下2000メートルのゲッター線数値が急上昇!?」

 

「消失していた反応を再確認!地上へ向かって上昇を始めています!!」

 

「は、速い!?いくらなんでもこんなスピードで上昇してくるなんて速すぎる!!」

 

驚く間もなく、釜の中から何か巨大な手が現れる。ワイリーが恐る恐る目を向けるとそこにはボロボロに半壊したロボットの顔が出てくるのが見えた。

 

「ゲッ・・・・ゲッタードラゴン・・・・」

 

150年前とほとんど姿が変わらないドラゴンは周囲をじっと見ると左手を前に出し、関節の隙間からケーブル状の触手を無数に飛ばす。

 

「うわぁ~!?なんだこりゃ!?」

 

近くにいたジョーとゲッターロボたちは、触手で絡まれて動きを封じられる。シグマは、寸でのところでジャンプして回避するとシェードマンと共に捕まりそうになったワイリーを連携して助ける。

 

「あ、あぁ・・・・力が抜けていく・・・」

 

「快感・・・いい気持ちだぁ・・・」

 

「・・極楽・・・」

 

捕まったゲッターロボたちは、取り込まれることもなければ特に苦しむ様子もなく解放されて力尽きていく。

 

「ドクター、これは一体・・・」

 

「この様子から見るとエネルギーを吸い取っただけのようですね。どうやら、博士がお預けしていたせいで余程空腹だったんでしょうね。」

 

「ど、どう言うことなんじゃ・・・・弱っているはずが・・・」

 

ワイリーが困惑している中ようやく腰を上げた早乙女は、事の発端を説明し始める。

 

『お前は、ゲッター線の吸収を阻害することによってドラゴンを弱らせていくことを狙っていたようだがそうはうまくいかん。生物が厳しい自然界を生き延びるために様々な手段を講じるようにな。ドラゴンは自ら進化を遅くし、ゲッター線の消費を最小限に抑えることによって一種の冬眠状態となって時が来るのを待ち続けていた。だが、冬眠から覚めた動物のように眠り続ければそれだけエネルギーを消耗する。今のコイツは、エネルギーに飢えておる。そして、同時に適性のあるパイロットを求めている。』

 

「なっ!?」

 

この場にいる者たちのエネルギーを一通り吸収し終え、新品同様に再生したドラゴンは何かを感じ取り、上を見上げる。

 

「上に誰かいるんですかね?」

 

「そう言えば、地上ではゼロが負傷して手当てを受けているはず・・・・」

 

「ま、まさか・・・」

 

悪い予感が当たり、ドラゴンは全身を一瞬光らせてその姿をゲッターライガーへと変える。

 

「分離することなく、ゲッターチェンジができるじゃと!?」

 

ライガーは、右腕をドリルに変形させて上へと飛んで行ってしまう。ワイリーは、まずいとばかりにその場から走り出す。

 

「ドクター!」

 

「あ~、これは本当にまずいことになりましたね。」

 

彼は、走りながら通信をしようとすると司令室にいるライト博士から連絡が入る。

 

『ワイリー、今まで連絡をしていたのに何故でなかったんだ!?』

 

「地獄の釜周囲が通信障害が起こっておったんじゃ!それよりライト、今すぐゼロを研究所内に戻すように手配しろ!!まずいことになった!!」

 

『こっちもそれどころではない!真ゲッターが・・・真ゲッターが変化したんだ!先ほどから神君たちに通信を送っているのだが応答がない。』

 

「真ゲッターが!?映像をこっちに回せ!!」

 

混乱を何とか抑え込みながらワイリーは、真ゲッターとドラゴンの戦闘映像を見る。赤い機体色が深い蒼色へとなり、体系もマッシブなものへと変化している。それを見た瞬間、顔色が真っ蒼になり、今にもその場で倒れそうになりながらも頭を押さえながらどうにか正気を保つ。

 

「ドクター・・・」

 

「あらら、これは相当重症になりかけてますね。」

 

「・・・大丈夫だ。とにかくゼロをドラゴンと接触させないことを最優先にしなくては。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

真ゲッター?の体内

 

「く、くう・・・・何があった?」

 

意識を取り戻したVAVAは、自分の状況を確認しようとする。しかし、体が異常に重く感じて思うように動かせなかった。

 

「故障か・・・・赤外線センサー・・・オン」

 

視界が暗いことに気づいて彼は、カメラ機能を暗視に切り替えてみると身体中にケーブルがいくつも繋がれており、周囲と同化している光景が目の前にあった。

 

「なんだこりゃ・・・・敵に捕まって改造されたとかの次元じゃねえぞ・・・」

 

『お前もどうやら意識までは同化しなかったようだな。』

 

声のした方を見るとモニター越しで隼人がこちらの状況を窺っているのが見えた。彼もまた機械と融合したような姿となっていた。

 

「おい、これは一体どういうことなんだ?」

 

『ゲッター線の暴走による一種の現象だ。「機体との同化」と言うべきか。可能性はあると考えていたがこんなことになるとはな・・・』

 

「そんなことはどうでもいい。外は一体どうなっていやがんだ!?こんなんじゃまともに動かすこともできねえぞ!」

 

『その心配はいらないようだ。表の映像を見ろ。』

 

「ん?」

 

VAVAは、目の前のメインモニターの方を見る。そこでは真ゲッター視点からの映像が映されており、ドラゴンがまともにダメージを与えられずに押されている姿が見られた。

 

「押してるのか?」

 

『恐らくな。だが、肝心のメインパイロットであるエックスの応答がない。同化する際に取り込まれたのか、あるいは自意識を失って本能だけで戦っているのか・・・』

 

「女の方はどうした?」

 

『マーティとも繋がらん。巻き込まれて気を失っているのかもしれん。』

 

「ケッ、こういう時に使い物にならねえとはな。」

 

呆れたように言いながらVAVAは、体を動かそうと体についているケーブルを引き抜こうとする。だが、無理やり引っ張ろうとすると体のあちこちに激痛が走り、放してしまう。

 

「グオォオッ!?な、なんだこの激痛は!?」

 

『無理に抜こうとするな。今、俺たちの体は真ゲッターと一体化しているんだ。つまり、抜こうとする行為は自分の手足を自ら引き千切ろうとするのと同じことになる。』

 

「クソ!おい、エックス!お前、いつまで黙っていやがる!返事ぐらいしろ!」

 

 

 

 

 

『グ、グヌヌ・・・』

 

一方、外ではビアンコたちの駆けるゲッタードラゴンが真ゲッター?に押されていた。真ゲッター?は、ほとんど動作することなく目の前に近付き、一回り太くなった腕で殴りつけてくる。

 

『武器を使わずに圧倒してくるとは・・・僕たちも舐められたものだね。』

 

『ビアンコ君、どうしようか?ここは出力を60%まで引き上げて反撃を試みた方がいいかと思うんだけど。』

 

反撃するべきだと考えているコーウェンとスティンガーに対し、ビアンコは攻撃と防御をうまく切り替えながら遠目で反対する。

 

『いや、先を急ぎすぎるのは良くないぞ同志たちよ。ここは、ダメージを最小限にして反撃の時を待つのだ。』

 

『しかし、僕たちのドラゴンをここで傷つけるわけには・・・』

 

『スティンガー、冷静に考えてみろ。この真ゲッターのメインパイロットは今にも取り込まれようとしている。このまま同化を進行させていけばどうなる?意識が消え、ただ本能のままに動く人形へと変わり果てる。その時がパワーアップによる一撃を喰らわせるときよ。』

 

『・・・確かにビアンコ君の言うことにも一理あるね。こちらが出力を上げれば真ゲッターもそれに合わせて進化しかねない。パイロットが完全に同化したとしても進化した奴の存在は非常に厄介だ。ここは辛抱強く耐えようスティンガー君。』

 

『う、うん。ただでさえ「Z」と言う邪魔な存在が残っているからね。ここは我慢するよ。』

 

三人が時間をかけて勝機を窺っている頃、真ゲッター?の中ではエックスの意識が刻々と薄れて行っていた。

 

(俺は・・・どこにいるんだ?何故、体が機械と一体化してるのだろか・・・・いや、最初からこうだった?)

 

目の前には同じように周囲と同化したマーティの姿が見えていた。だが、どういうわけかこれと言った感情がわかず、これは本来の姿なのだと思い始める。

 

(不思議だ・・・意識が消えようとしているのに恐怖を感じない。いや、寧ろ安らぎを感じる。これでいいのだと・・・・あれ?俺は・・・・誰なんだ?)

 

自分のことすら分からなくなっていく頃、真ゲッター?の攻撃は威力は増している一方で適応するための準備なのか動きが単調になってきた。

 

「なんかコイツの動き鈍くなってないか?」

 

『エックスの意識がゲッターと完全に同化しかけている兆候かもな。奴の意識が完全に消えたら俺たちもどうなるかわからん。』

 

動きに変化が表れ始めたことにVAVAと隼人は、このままではまずいと感じつつも身動きが取れないため歯がゆく感じる。

 

「エックスをこっちに引き戻す方法はねえのか?」

 

『これだけは俺にもわからん。だが、意識がまだ残っているのなら殴るなりして無理やり引き戻すことぐらいはできるかもししれん。できればの話だが。』

 

「チッ、なんとかアイツのところまで行く方法はないのか?お前、コイツ関連のベテランパイロットなんだからなんとか知恵を出せ。」

 

VAVAの無理難題な注文に隼人は、ため息をつきながら仮説交じりに話す。

 

『元々ゲッターのコックピットは第二世代のG以降、直接視認するために合体後独立するブロック構造を採用している。つまり、お前の上には俺の操縦席があり、更にその上にエックスがいるはずだ。』

 

「それで?」

 

『意識を集中しろ。今、俺たちはゲッターと一つになっているんだ。エックスの居場所へ行くことを強く念じれば移動することも可能なはずだ。飽くまでも可能性だがな。』

 

「トコトン腹が立つ野郎だ。俺に面倒かけさせやがって。」

 

VAVAは、早速意識を集中してエックスの居場所を探り始める。すぐ上を探ると隼人の気配がすぐに感じ取れた。更に上に意識を向けると弱い反応が二つある。恐らく、エックスとマーティだろう。マーティに関してはただ気を失っているだけのようだがエックスの方はどんどん気配が薄れていっている。

 

「・・・見えた。まだ、完全には消えていないようだ。」

 

『次はそこへ行くように念じて見ろ。敵もこちらの攻撃が弱くなっているのに気づき始めている。急げ。』

 

エックスの元へ移動するように強く念じると身体中に纏わりついているケーブルがウネウネと生き物のように動き始めて移動を始める。VAVAは、移動しながら今にも消えようとしている彼に対して強い苛立ちを覚えていた。

 

(エックスの奴、こんな得体の知れない物に呑み込まれかけやがって・・・倒されるならともかくこんなくだらないことで消えたら俺が許さん!)

 

最上部に上がると目の前にパートナーと一体になったように見えるエックスの姿が現れた。目は朦朧としており、今にも周囲と同化してしまいそうに見えた。

 

「やっと来たぜ。おい、さっさと目を覚ませ。聞こえてるのか!?おい、エックス!!」

 

VAVAは、最初に声をかけてみるものの返事は返ってこない。腕を伸ばそうとしてもケーブルが邪魔で動かすことができず、仕方ないと考えたのか偶々絡まっていなかったキャノン砲を向けて放とうとする。

 

『VAVA、何をするつもりだ!?』

 

「手も足も出ねえんだ。だったら、コイツをぶつけるしかねえだろ。」

 

『正気か!?エックスを吹き飛ばしたら、真ゲッターにどんな悪影響が及ぶかわからないんだぞ。』

 

「もう既にごちゃごちゃだろ。それにコイツを木っ端微塵にするほど俺も馬鹿じゃねえ。威力は抑えて撃つ。」

 

彼は、外部からの刺激で意識を戻そうとキャノン砲をエックスの顔面目掛けて放つ。しかし、エックスに命中する寸前ゲッターの意志なのかケーブルが目の前に集まって壁になることで攻撃を防いだ。

 

「防いだだと!?なら・・・グオォオオ!?」

 

キャノン砲を再度向けた瞬間、耐えかねない激痛が全身に走る。自分を拘束していたケーブルがいくつも抜かれ、オイルが血液のように吹き出し始めた。

 

「グウゥウ・・・」

 

『エックスのことが余程お気に入りのようだな。攻撃させないために苦痛を与えると来たか。』

 

「・・・・ハア・・・ハア・・・・上等だ。」

 

VAVAは、自由になった右腕を前に出して弾丸を発砲する。今度は傍にいるマーティ目掛けて撃ったがまたも壁に阻まれ、ケーブルが抜かれる形でまた激痛を味わうだけだった。

 

「ガアァアッ!!・・・・嫁も対象かよ。」

 

攻撃が失敗するたびに戒めの如く激痛を味合わされる。辺りは彼のオイルで濡れ、忽ち血だまりへとなった。

 

『もうやめろ!これ以上続ければお前が死ぬぞ!!』

 

このままでは危険と判断して隼人は、VAVAに攻撃をやめるように言う。

 

「し、死ぬ?はっはっは・・・・死なんて俺にはそんな大したことじゃねえ。二回も地獄に落ちたんだからな。」

 

残りのケーブルを無理やり引き千切ってVAVAは、コックピット内に落ちる。自由になった彼は、弱った体を這いずりながらエックスを目指す。

 

『何故、そこまでしてエックスを連れ戻そうとする?お前の敵だったはずの男を。』

 

「あぁ・・・敵だ。悩んでばかりで情けをかけるこの甘ちゃんばかりが強くなって・・・俺はいつも一歩及ばない。」

 

ケーブルを掴みながら彼は、エックスの前にたどり着いた。

 

「だから、このまま勝手に消えていくことが許せねんだ。俺にはないものを持ち、強くなっているコイツがいなくなるのを。ゲッターの意志がなんだ?俺たちにそんなもんは関係ねえ!戻ってこれねえなら力づくで引き戻してやる!!」

 

VAVAは右腕を上に振り上げ、エックスに向かって振り下ろす。

 

「いい加減目を覚ましやがれ、この甘ちゃんが!!」

 

勢い良く振り下ろされた拳が顔にめり込み、体が軽く揺れる。するとエックスの目に光が戻った。

 

「い・・・いてて・・・・・何があったんだ?」

 

「ようやく目が覚めたか、この馬鹿・・・が・・・・」

 

正気に戻ったのを見て安心したのかVAVAは、ぐったりと倒れる。身の回りの出来事と重なってエックスは、状況が理解できず困惑する。

 

「VAVA!?これはどういう状態なんだ?」

 

「本当に取り込まれかかっていたようだな・・・・そんなことはどうでもいい。とりあえず、目の前の状況を何とかしろ。」

 

力の籠っていない声で言う彼の言葉を聞きモニターの方へ目をやるとドラゴンが真ゲッター?にカウンターを喰らわせて上空に逃れている姿が見えた。シャインスパークを繰り出すつもりらしい。

 

「いけない!けど、この状態じゃビームを撃つことすら・・・!?」

 

(エックス、ストナーサンシャインを出せ!)

 

「ストナーサンシャイン?」

 

(このゲッターのエネルギーは最大に達している。だが、器としてもう限界が近い。力を抜いて精神力で放つんだ。)

 

「精神力で・・・・」

 

焦る気持ちを押さえてエックスは、脳裏に語り掛けてきた言葉通りに感情を込める。

 

外では好機と見たビアンコたちがシャインスパークを使おうとエネルギーを収束していた。

 

『増幅装置出力80%・・・これで真ゲッターを仕留める。ン!?』

 

目の前で動きを止めていた真ゲッター?が動き出したことにビアンコは、シャインスパークを放つのを中断する。真ゲッター?は、包むように両手を構えるとゲッターエネルギーを凝縮させてエネルギー弾を生成。それを一気に膨張させていく。

 

『ストナーサンシャイン!?』

 

『まさか、パイロットの意識が戻ったというのか!?』

 

コーウェンとスティンガーが動揺する一方、ビアンコは今のままではシャインスパークが押し負けて敗北することを察知すると同時に意を決して口を開く。

 

『二人とも、済まぬが少しばかりワシのわがままに付き合ってはくれまいか?』

 

『ン?』

 

『今のままシャインスパークを放てば恐らく押し負けて我々が敗北するだろう。100%の力なら勝てる可能性もあるが逆にゲッター線に呑み込まれる危険がある。だが、選ぶのならどちらにする。』

 

『『・・・』』

 

二人は、一瞬沈黙する。

 

『確かに増幅承知の出力をこれ以上上げれば我々の意識が逆にゲッターに呑み込まれかねない。だけど、一度負けた僕たちはここまで乗り越えてきた。そうだよね?スティンガー君。』

 

『う、うん!彼のおかげでね!なら、ビアンコ君のわがままに付き合うのも悪くない!』

 

二人の言葉を聞くとビアンコは、増幅装置のリミッターを解除する。するとドラゴンの輝きがより増し、太陽が二つあると錯覚する事態へとなった。

 

『グウウ・・・出力95・・・96・・・・98・・・・・100!!』

 

『グオォオオ・・・意識が・・・意識が呑み込まれる・・・・』

 

『踏ん張るんだスティンガー君・・・・ここが僕たちの正念場・・・』

 

意識が消えそうになりながらも三人は、同時にペダルを踏みこむ。ドラゴンは彗星のを思わせるような姿で真ゲッター?に向けて急降下する。

 

『行くぞ、真ゲッター!!我ら三人の最大の必殺、フルパワーシャインスパークを!!』

 

ドラゴンがシャインスパークを放つと同時に真ゲッター?のエネルギー弾も両手に収まらないほどに巨大化していた。

 

「ストナァアアアアアサン、シャイン!!!」

 

エックスは、感情を込めてできたストナーサンシャインをドラゴンに目掛けて飛ばす。二つの巨大なエネルギーは衝突すると同時に周囲に強力な衝撃波を発生させ、地上でネオゲッターを回収していたゲッター1が勢い良く吹き飛ばされた。

 

「あれ~~~!?」

 

「な、な、な、何が起きたんだよ~!?」

 

「ママ~!!」

 

ネオゲッターの中では駆け付けてくれたサードナンバーズの元でゼロの手当てを行っていたアイリスが突然の衝撃に動揺する。

 

「何が起きたの!?」

 

「分からん。だが大きく揺れているのは確かだ。」

 

「全員ゼロを押さえろ!衝撃から守るんだ!!」

 

ぶつかり合ったエネルギーはやがて空間を圧縮させ、大きな時空の歪みを生み出す。

 

「ヌウウウウ!!」

 

「・・・・」

 

歪みで現れた時空の穴から発せられる重力にドラゴンが踏ん張るのに対し、ストナーサンシャインを放ったことですべての力を出し切った真ゲッター?はエックスが再び意識を失うと同時に元の姿に戻り、破損していた体がボロボロに崩れながら吸い込まれて行った。

 

しばらくすると時空の歪みは閉じ、耐えきったドラゴンは周囲を見回して真ゲッターが姿を消したことを把握する。

 

『どうやら真ゲッターの方は歪みに吸い込まれたようだ。恐らくもう戻ってこれまい。』

 

『か、勝ったんだね・・・僕たち、奴に勝利したんだね!あの真ゲッターに!!』

 

『・・・・・』

 

『どうしたのコーウェン君?』

 

『・・・うん?あ、あぁ・・・聞いているよスティンガー君。』

 

ボーっとしているコーウェンに対しスティンガーは、どうしたのかと首を傾げる。

 

『無理もない。何しろ強引に100%の力を出したのだからな。ゲッター線に呑み込まれかけたのだろう。』

 

『確かにそんな気がするよ。悪くないどころか心地よく感じた・・・でも、僕たちがそれを味わうのはまだ先だよ、スティンガー君。』

 

『そ、そうだね。そうだよね!僕たちにはまだやるべきことがあるのだから。』

 

改めて下を見下ろすと上半身が埋まって情けない姿を晒しているゲッター1。

 

そして、中破したネオゲッターの方にはゼロを守るために衝撃であちこちに放り出されたサードナンバーズ、コックピットには意識を失ったゼロとアイリスがいた。

 

『ふむ・・・真ゲッターの炉心を手に入れ損ねた以上、研究所の地下にあるであろうドラゴンの炉心を手に入れるしかなさそうか。』

 

『でも、あるかな?この様子だと解体してしまっている可能性も歪めないよ。』

 

『まあ、炉心は計画を早めるための手段にすぎぬからな。最悪、旧ゲッターとD2たちの炉心を頂戴するとしよう。』

 

そういって地上に降下しようとした瞬間、ネオゲッター1近くの地面から何かが飛び出してきた。

 

『うん?あれは・・・・ゲッターライガー!?』

 

動きを止めて見ているとそれはゲッターライガーだった。ゲッターライガーは、地上に着地すると光を発してドラゴンの姿に戻り、周囲をキョロキョロと見まわすと探していたものが見つかったとばかりにネオゲッターの方へと歩み寄る。

 

『ゲットマシンに戻らずにチェンジを行うとは想定外の進化をしておるようだな。』

 

『・・・・・』

 

『コーウェン君!またそっちの世界に行きかけているよコーウェン君!!戻ってくるんだ!!しかし、僕たちに目もくれず、あんなゲッターもどきのところへ行くとはどうしたんだろう?』

 

映像を拡大するとドラゴンは、素手でネオゲッターの装甲を剥ぎ取り、中にいたゼロとアイリスを自分の掌に丁寧に乗せる。そして、胸部に捩じ込むように入れると立ち上がってビアンコたちの方を見た。

 

『取り込んだということはここまではゲッター線の意志で動いていたというのか。っで、ここで我々とやるつもりか?』

 

先ほどのフルパワーの影響であちこちに不具合が生じながらも彼らは応戦しようと身構える。がっ、ドラゴンはしばらくジッと見ただけですぐにマッハウィングを広げシャインスパークを放つのと同じ要領で体を輝かせて上空へと勢いよく飛び去って行った。

 

『僕たちを無視して飛んで行ってしまった。でも、どこへ行くつもりなのかな?』

 

『・・・・あっ、僕はまた行きかけていたかいスティンガー君?』

 

『コーウェンがこの状態では追うのは得策ではないな。仕方あるまい、基地に引き返し体勢を立て直した後にドラゴンの捜索を開始する。』

 

『早乙女研究所はいいのかい?』

 

『真ゲッターとドラゴンを失った早乙女研究所など最早用はない。「Z」への対応もあるしな。』

 

『そうだね、コーウェン君がこの状態じゃ却って計画が水の泡になりかねない。』

 

ビアンコたちは、静寂となった浅間山から飛んで行くとゲットマシンにチェンジして撤退した。

 

ようやく指令室へ戻ってきたワイリーは、モニターでその様子を見終えると顔を顰める。

 

「・・・敷島、研究所の被害を確認しろ。ライト、お前はエックスの反応が本当に消えたかどうか調べてくれ。」

 

「ワイリー、エックスは」

 

「ゲッターに乗っておったんじゃ。そうそう死ぬわけがない。シグマ、新しく建造したワイリーキャッスルから新型探知機をここに持ってくるように言ってくれ。負傷したナンバーズは全員収容。あの寄生生物が付いていないかどうかも念入りにチェックしろ。」

 

それだけ言うと彼は、彼は再び部屋を後にする。

 

「・・・ドラゴンめ、ワシはまだ諦めんぞ。お前を見つけ出して絶対にゼロから切り離してくれる。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同じ頃、ドラゴンがいなくなった地獄の釜では早乙女がジッと底の方を見下ろしていた。

 

『・・・・そうか。お前を解放したということはゲッター線は我ら人類を見捨ててはいないというわけだな。となればまだ道はある。わしはもうしばらく傍観させてもらうとしよう。』




来年はなんとか鉄人兵団編終わらせたいな(-_-;)
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