ドラえもん のび太の転生ロックマンX   作:赤バンブル

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ゲッターロボの実写化・・・ロックマンXのテレビアニメ化希望。


過去の魔の手

19XX年 早乙女研究所

 

翌日。

 

植物に覆われて最早自然と同化しつつある早乙女研究所の扉がギギギと音を開けながらゆっくりと開いた。

 

「・・・思っていた以上に錆びついてんな。」

 

中に入ったVAVAは、周りを見ながら感想を述べる。隼人はライトを付けると辺りを確認する。

 

「足跡が残っているな。周囲の埃の厚さを考えると・・・昨日辺りまで誰かいたようだ。」

 

彼は、壁の一部を外して接続コネクトを配線に繋げる。

 

「VAVA、こっちに来い。お前のコンピュータに繋げて処理した方が早く開く。」

 

「俺はいつからてめえの演算処理端末になったんだ。」

 

文句を言いながらもVAVAは隼人の元に行き、コネクトを自分の頭部に接続してセキュリティーコードの処理をサポートする。中に入ってしばらく進むと奥部に光が見え、真ゲッターの胴体が見えた。

 

「どうやらお目当ての奴はまだ無事のようだな。」

 

真ゲッターの存在を把握した彼らは、元研究室の方へと足を運ぶ。そこには散らかった書類と最近捨てられたと思われるごみ袋が積まれていた。

 

「やはり、アルバートが昨日までここにいたようだな。研究記録ごとここに葬るつもりなのか散らかしている。」

 

隼人は、書類を見ながら言う。壁には研究所時代の写真が点々と貼られており、そこには若き日のワイリーと少年が仲良さそうに映っているものもあった。

 

「これがあの老いぼれの若いころの姿か。こっちのクソガキは誰だ?」

 

「早乙女元気、早乙女博士の息子だ。アルバートが心を開いていた数少ない人間の一人・・・いや、この研究所にいた人間にはアイツは不器用ながらも心を開いていたな。あの事故以降、人を信用しなくなったようだが。」

 

「それであの捻くれか。機体の状況はわかるのか?」

 

隼人は、真ゲッターの状態を確認するために端末をコンピュータに繋げる。するとエネルギーは最大まで溜まり、機体も異常がないことが分かった。

 

「流石、真ゲッターと言ったところだ。事故以降外部から供給を絶ったにもかかわらず自らゲッター線を蓄えている。恐らく俺たちの時代の時よりもパワーは上のはずだ。」

 

「ほう、ならさっさと乗って引き上げるとするか。俺たちの時代に戻ってあの野郎を屑鉄の塊にしてやる。」

 

早速機体を動かそうと研究室を出ようとした瞬間、VAVAは背後に気配を感じた。

 

「誰だ!」

 

そこには早乙女の姿があった。VAVAは、キャノン砲を構えるが隼人に制される。

 

「早乙女博士。」

 

隼人は、彼に近づく。早乙女の方は何かを察しているのか深く息をして口を開く。

 

『隼人。どうやら、お前はこの時代の隼人ではないようだな。』

 

ゲッター線と同化した影響で把握できているのか早乙女は、淡々と答える。

 

「分かりますか。えぇ、私は今から100年以上先の未来から来ました。」

 

『そうか。本来、お前はここに来るのはまだ先のはずだった。この研究所が消え、しばらく経った後にな。』

 

「過去と未来とで情報を共有しているのか?シグマみたいに。」

 

『・・・わしはまだそこまでの域に達してはおらん。だが、未来のわしが送っているのか断片的に未来の情報は分かる。お前たちがここに来た目的もな。』

 

「なら、話が早い。あの機体を譲れ。この時代じゃどの道老いぼれに腐らされるんだ。俺たちが使った方が有効的だろう。」

 

VAVAは、腕部ガトリングを構えながら早乙女に脅迫する形で要求する。彼個人の意思としては早く未来に帰ってゲッタードラゴンを片付けたいと考えているからだ。単純に頼んでいては話が長引く可能性もあるので脅した方が効率がいい。

 

だが、そんな彼の思考を読み取っているのか早乙女は特に動じることなく隼人に話す。

 

『隼人、真ゲッターに乗せるのはコイツともう一人でいいのか?』

 

「どう意味です?」

 

『お前が敷島と新たな機体を開発しているであろう。寧ろそちらに乗せるべきではないか?』

 

「・・・・あの機体は試作機故に性能も未知数です。不安要素を考えるのなら既に力を見ている真ゲッターに乗せた方が得策でしょう。それにアルバートが自分の息子を乗せるとは思えない。抜けたところは私が埋めなくては。」

 

隼人が言うのは尤もだった。

 

早乙女の言う新たな機体についてはともかく、現在ゲッターを動かせる人材には限りがある。しかも適性があったゼロがアイリス諸共ドラゴンに取り込まれてしまった事実を知る由もない。現在真ゲッターに乗れるのはエックスとVAVAを除けば自分しかいないのだ。

 

そんな彼に対し、早乙女は呆れたように笑みを浮かべる。

 

『ならば、アイツを連れて行くといい。お前たちの助けになる。』

 

「アイツ?・・・まさか!」

 

実はこの時代にゲッターを乗りこなすことができる人間が一人だけいる。かつて隼人と共に死地を乗り越えた戦友であり、互いの思想の違いで別れた友が。

 

「ですが・・・アイツは自分の意思でゲッターを降りました。もう、乗ることはないでしょう。」

 

『お前は既に竜馬が間もなく死ぬことを知っているはずだ。今ならまだ間に合う。真ゲッターで迎えに行け。』

 

「その件に関しては他の連れに任せています。本来ならやってはならんことですが。」

 

『心配いらん。お前たちがこの時代に流れ着いた時点で未来は分岐した。恐らく竜馬が再び乗ることになったとしてもゲッターは無理に迎え入れることはないだろう。』

 

「それでも乗るかどうか・・・」

 

『隼人、間もなく敵が来る。お前は真ゲッターを動かせ。それまでの時間稼ぎはそこの若造に任せておけばよい。』

 

早乙女は、そう言うと姿を消してしまった。隼人はしばらく無言になっていたが入り口付近の爆発音が聞こえると我に返る。

 

「VAVA、侵入した敵を食い止めろ。」

 

「てめえ、一人で動かせるのか?」

 

「出力は落ちるが余程のものでなければなんとかなる。いいか、ある程度倒したら真ゲッターの前まで誘い出すんだ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

爆発した入り口からは、全身包帯で身を隠した兵士が10人ぐらい侵入していた。

 

『・・・・ゲッター線濃度はどうだ?』

 

『はい、活動するには問題ないレベルです。』

 

『我々の任務は「神隼人の抹殺」・「真ゲッターロボの破壊」だ。死亡したと聞いていたが・・・・・ランドウめ、仕留め損ねたな。あのマッドサイエンティストが。』

 

彼らは、銃火器を構えながら研究所内へと入っていく。

 

『隊長。しかし、帝王の方針は「地上世界への侵攻は今後保留とする」と言っておられました。バジリスク将軍の命令とはいえ、軍部の我らが勝手に動いてよろしいのでしょうか?』

 

『優先順位は上官である将軍の方だ。ジャテーゴ様も甘くなられたものだ。王家の血を引くとは言え人間の・・・』

 

「よう、侵入して暢気にお喋りか?」

 

『『『!?』』』

 

不意に声をかけられて彼らは上を見る。そこでは待ってたとばかりにVAVAが足を曲げて脚部からエネルギー弾を投下する。攻撃だと見抜いた兵士たちは急いでジャンプして回避するが遅れたものはその場で感電する。

 

『『ギギィイイ!!』』

 

『敵の攻撃だ!全員一斉射・・・ゲボッ!?』

 

命令を下そうとした隊長格は、言い切る前に飛んで来た右腕が顔にめり込んで吹き飛ばされる。司令塔を失ったことで混乱する兵士たちにVAVAは、容赦なくキャノン砲と左腕に持っているマシンガンでハチの巣にする。

 

『『グガァアッ!?』』

 

「へっ、ちょっと仕掛けてみりゃこの様か。」

 

彼は、兵士が全員倒れたのを確認すると念入りに近づいてみる。するとそのうちの一人が急に下半身から巨大な尻尾を出し、足を捕らえた。

 

「何っ!?」

 

倒れるVAVAに対して、兵士は顔を覆っていた包帯を剥ぎ取ってその正体を露にする。それは爬虫類を思わせる顔だった。一人が押さえるとまた一人、また一人と飛びあがり、彼をがんじがらめにした。

 

「グ、グヌヌ・・・なんなんだ・・・・このトカゲ共・・・・クッ、パワーギア!!」

 

一時的に力をブーストさせてトカゲ兵士たちを吹き飛ばす。先ほどのマシンガンなどの攻撃も致命傷に至っていないこともあり、VAVAは隼人の指示通りに動くことにした。

 

「おい、真ゲッターはもう動くのか!?」

 

『もう少しで動く。お前の方はどうなんだ?』

 

「どうもこうもねえ。なんだ、あのトカゲ共は!?お前とあの老いぼれは知ってんだろ!説明しろ!!」

 

『助かれば後で教えてやる。早くこっちに誘導しろ。』

 

「・・・ちっ。」

 

彼は、通信を切ると威嚇射撃をしながら研究所の最奥部へと誘導を始める。トカゲ兵士たちはVAVAの正体が人間ではないと確信すると破壊するためにグレネードを撃ってきた。

 

「クソ、今の武装じゃ仕留められねえ。これなら、エックスにあの銃くれてやるんじゃなかった。」

 

最奥部では真ゲッターが起動準備を整えていた。VAVAが到着するのを確認すると隼人は、起動ボタンを全てONに切り替え、彼に背後に回るよう指示する。

 

「さて、果たして動くか・・・」

 

起動した瞬間、機体中にエネルギーが駆け巡る。その熱量は凄まじく、衝撃が隼人の肉体を吹き飛ばそうとする勢いで襲い、意識すらも吹き飛ばされると感じるほどのものだった。

 

「クッ!これほどのエネルギーとは!このままでは動かす前に意識が持たん!!」

 

(隼人、右の赤いスイッチだ!それを押せ!!)

 

「!?」

 

突然聞こえてきた声に導かれるように彼は、なんとか手を伸ばしてスイッチを押す。すると腹部の装甲が開き、チャージする間もなくゲッタービームが放たれる。

 

『『『ギッ!?』』』

 

遅れて入ってきたトカゲ兵士たちは、断末魔の声を上げることなくその閃光に呑み込まれ、研究所の壁に穴を空けて消し飛ばされた。VAVAが再度確認するとそこには彼らが乗り込んできた痕跡すら残されていなかった。

 

「おいおい・・・流石にやりすぎじゃねえか?・・・・おい、聞いてんのか?」

 

聞いても返事がないことに彼は違和感を感じる。仕方なく、真ゲッターの方へと戻ってコックピットを開けるとそこには膨大なエネルギーに晒されたためにボロボロに傷ついた隼人の姿があった。

 

「おい!どうなってるんだ!?」

 

操縦席から無理やり降ろされると隼人は、弱々しく声を出す。

 

「言ったはずだ・・・・お前の乗った真ゲッターとは別物だと。このくらいの傷、止血して少し休めば良くなる。」

 

「くたばったかと思ったぜ。・・・・・んで、結局アイツらはなんなんだ?てめえを殺すことも含まれていたようだが。」

 

VAVAは、手当てをしながら敵の正体について質問する。あんな生物、自分たちの時代では見たことがない。レプリロイドでもホイール・アリゲイツ、スティング・カメリーオと言った爬虫類を模したものが製造されているが彼らともかけ離れたものだった。

 

「無理もない。奴らは俺にも相当な恨みを持っているからな。例え、俺の体をバラバラに引き裂こうが満足しないだろう。」

 

手当てを受けながら隼人はゆっくりと口を開く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

VAVAたちが早乙女研究所でひと悶着していた頃、エックスも又目的地へと車を走らせていた。隣の助手席ではマーティは窓の景色を眺めている。

 

「今日は大丈夫なのかい?後ろで横になっていてもいいけど。」

 

昨日のこともあって彼は、妻に安静にしていることを勧める。隼人たちが真ゲッターを回収すればまた乗ることになるだろう。無論、彼女も同乗することになるので先日以上に体調が悪化する可能性がある。少しでもそうならないよう休ませなければと内心思っていた。

 

「大丈夫よ、今日は大分気分が良くなったから。」

 

対するマーティは、自分を安心させるように返事をする。顔色こそ昨日より幾分かマシになっているが無理をしているようにも感じられる。エックスは早いとこ要件を終わらせようとスピードを少し上げる。

 

「それにしても山道に入って結構経つけど本当にこの辺に人が住んでいるのか?」

 

来るまでに見た復興作業中の市街地の状態を考えるとこの山に人が住んでいるとは思えなかった。ただ、隼人の話では世捨て人になっていてもおかしくないとのことなので指定されたポイントへと向かうのであった。

 

「うん?」

 

エックスは、少し前にランドセルを背負った小学校低学年だと思われる少年が走っている姿を見つける。

 

(こんな山の中に子供?遊びに来たにしても友達もいなそうだし・・・・・・まさか、家出じゃないよな?)

 

心配になったのかスピードを弱めて彼は、少年の隣に車を寄せる。

 

「坊や、こんな山の中でなにしてるんだい?」

 

声をかけられた少年は、エックスたちに驚くものの特に抵抗なく答えた。

 

「う、家に帰るところだけど。」

 

「家?この辺、民家は無いようだけど・・・」

 

「兄ちゃん達、旅行か?この先、俺の家しかないから行っても意味ないよ。」

 

「いや、ある人に頼まれて『烏竜館』っていう道場探しているんだけど・・・・知らないかい?」

 

目的地を言うと少年の顔色が悪くなる。

 

「・・・・兄ちゃん達、まさかヤクザの仲間じゃないよな?」

 

「えっ?どういう事?」

 

「家、貧乏だからさ。あちこちから借金取りでヤクザとか暴力団が来るんだよ。その度に親父が返り討ちにしているんだけど。」

 

「ヤクザと暴力団!?」

 

「悪いこと言わないから帰った方がいいよ?親父、多分戦車とかでも引っ張ってこない限り病院送りにされるから。最悪顔が・・・・大変なことになるぜ?」

 

少年は、身構えながらも警告する。会話から察するにどうやら隼人の言っていた人物の息子らしい。

 

そんなにやばい輩に絡まれているのかと一瞬気が引けたものの、マーティのこともあるため、エックスは少年に誤解を解く。

 

「別に俺たちはそういう間柄の者じゃないよ。ただ、向こうの知り合いが心配しているから様子を見に来ただけなんだ。」

 

「・・・・本当?母ちゃんは、得体の知れない人の言葉は信じちゃダメだって言ってたぞ。」

 

「お母さんも厳しそうだね・・・確認して挨拶したら帰るから大丈夫だよ。」

 

「・・・・・」

 

それでも警戒する少年。そこで一か八かもう一声かける。

 

「よかったら乗ってく?目的地一緒なんだし。」

 

「まじっ!?」

 

少年は、エックスの提案に喰いつく。自分はよくハブられたがかつてスネ夫の従兄弟であるスネ吉が良く新車でドライブに誘ってくれたことを思い出して言ってみたが上手くいくとは。貧乏と言っていたからこの子は余程車と縁がなかったらしい。

 

後部ドアを開けると少年は、きょろきょろと車内を見ながらランドセルを入れて座席に座った。

 

「うわぁ・・・・車に乗るなんて初めてだぁ!幼稚園の頃も親父が担いで送ってたからなぁ。スッゲ~!!」

 

「じゃあ、案内よろしく。えっと・・・名前は?」

 

「拓馬!流拓馬!!」

 

拓馬は、年相応の反応で答える。

 

「拓馬君か。俺はエック・・・・じゃなくてのび太、野比のび太だ。」

 

「アタシはマ・・・・イコです。」

 

エックスとマーティは、自分の名前を言おうとするが止めて言い直す。免許証を見せることになったら名前が違うことをつかれてボロが出かねないからだ。尤も拓馬はその辺気にしていないようだが。

 

「俺のことは拓馬でいいよ。じゃあ、早く家に行こうぜ!」

 

初めての車であることもあって拓馬は興奮気味に言う。とりあえず誤解が解けたこともあってエックスは再び車を走らせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・流竜馬の子供の姿を確認しました。見たことない男女2組と共に自宅に戻るようです。」

 

『よし、奴らがあのボロ屋敷に入ったら部隊を展開して仕掛けろ。研究所に送られたチームからの通信が途絶えた。何としてもあの男だけは始末するのだ。』

 

「しかし、帝国の命令なしにこんなことして大丈夫なのですか?バジリスク将軍。こんなこと知られれば帝王が」

 

『まだそんなこと言うか!いいか、奴は先代帝王であるゴール様を始めとする多くの同胞たちを殺した男だ!同胞の仇を取りたいと思うなら奴とその家族を抹殺せねばならない。ゲッターロボが再び動き出すことがないようにな!!神隼人に関してはその後にでも対処すればよかろう。そのための物も連れてきたのだからな。』

 

「は、はあ・・・・」

 

その背後で何かが忍び寄っていることも知らずに・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数十分後

 

車は目的地である『烏竜館』に到着した。

 

入り口の札に辛うじて『烏竜館』と書かれているのが分かったが少しでも大きな地震が起きれば忽ち倒壊してしまうのではないかと言うほどあまりにもボロ寺だった。

 

「えっ・・・ここ?」

 

「うん。今、母ちゃん呼んでくるから待ってて。」

 

拓馬は、そう言うと「ただいま~!」と言いながら中へと入っていく。

 

そして、数分後何やら母親と思われる女性の説教が聞こえ始める。自分たちが乗せてきたせいで偉い誤解を与えてしまったのだと考えたエックスは、念のため銃を携帯した鞄を持って道場の入り口へと向かう。

 

入り口を通り抜けようとすると目の前に胴着を着た四人組の男が立ち塞がる。この道場の門下生だろうか。敵意を向けられていることに気づいたエックスは、要件を言って穏便に済ませようと動く。

 

「あのう・・・この道場の師範さんに会いに来たんですけど・・・・お通しいただけませんか?」

 

緊張しながら言うと額に傷が特徴の男がゆっくりと近づいてくる。そして、エックスのことをじっと見つめたかと思いきや拳を連続で当てない程度に振り下ろす。

 

「師範は誰にも会わん。消えろ、ぶっ飛ばされん内にな。」

 

「えっ?」

 

「どこの借金取りだっ!!」

 

「わっ!?」

 

もう一人の小柄の男が三段蹴りで威嚇する。そして、背後で立ちはだかっているスキンヘッドの男は持っているヌンチャクを素早く振り回し、大柄の男は構えを取る。

 

「例えどのような厳しい借金取り立てでも払えぬものは払えん!それでも取りたければ我々四天王を倒してから取れ!!」

 

「え・・・・えっと・・・借金取りって・・・・」

 

身構える『自称:四天王』の四人組に対してエックスは、どう反応すればいいのか困る。ちゃんと用件を伝えたのに彼らは自分のことを借金取りと思っているようだ。

 

彼が呆然としていると大柄の男が前に出て口を開く。

 

「我々も本意ではないが・・・師範はかなり気まぐれなお方で、ある程度溜まらないと金を出さんのだ。鍛錬の一つだと言ってはいるが道場を守るためなら背に腹は代えられぬ。」

 

「あのう、だから俺」

 

「見たところガスの集金人らしいがここは一つ師範の気が変わるまで待ってくれまいか!大人しく帰らねばわしの技が暴発する!!」

 

「集金じゃないのに。」

 

こうなれば拓馬が戻ってくるまで待つしかないかと思った矢先、持っていたカバンのチャックが勝手に開かれていることに気づく。振り向くとそこには顔色が先日同様に悪くなっているマーティが不機嫌そうにマシンガンを構えていた。

 

「「「「えっ?」」」」

 

「ま、マーティ?」

 

「アンタらね・・・・こっちは要件言ってるのに借金取り、借金取りって・・・耳付いてるの?」

 

彼女のドスの利いた声に一同は、思わず引く。エックスは、このままではまずいと考えて銃を下ろさせようとする。

 

「マーティ、後は俺がやるからもう休んで。まだ、調子よくないんだから」

 

「そう言えばそこのアンタは技が暴発するとか言ったわよね?でも、アタシも今機嫌が悪くてこれが暴発しちゃいそう・・・・」

 

不敵な笑みを浮かべながらマーティは、マシンガンを空に向かって発砲する。

 

「「「ひゃっ!?」」」

 

「あぁ・・・・手が滑っちゃった。今度は当てちゃうかも・・・・」

 

「落ち着いて落ち着いて落ち着いて!!」

 

「何の騒ぎ?」

 

そこへ中から女性が出てきた。後ろには疲れた顔をした拓馬が着いて来ている。

 

「あっ、姐さんと坊ちゃん。」

 

「母ちゃん、この兄ちゃんたちだよ。俺のこと家まで送ってくれたの。」

 

「あら、そうなの!」

 

女性は、四天王を下がらせると二人の前に来てお辞儀する。

 

「家の拓馬がお世話になりました。」

 

「あっ、いいえ。こちらこそ。えっと、貴方は拓馬君のお母さんですか?」

 

「りょうと申します。ところで要件は?」

 

「はい、実は知人の頼みでここのご主人である流竜馬さんに会いに来たんです。」

 

「あのう、申し訳いのですが借りたお金の方は・・・・」

 

「後ろの方々にも言ったんですけど集金じゃなくて本人の顔を見に来ただけなんです。用事が済んだらすぐ帰るので。」

 

余程日頃からヤクザとひと悶着しているのかと思いながらもエックスは、りょうに事情を話す。最初こそはやや警戒していたりょうだが後ろのマーティの顔色で事情を察したのか意外に早く信用してくれた。

 

「それなら別に構いませんわ。拓馬、この人たちをお父さんのところへ案内してちょうだい。」

 

「はーい。」

 

「はいは短く。」

 

「はい。」

 

「貴方たちも一緒について行ってちょうだい。万が一に備えて。」

 

「「分かりやした姐さん。」」

 

「後でお茶を持っていきますので・・・ではどうぞ。」

 

りょうに通されて、二人は拓馬に先導してもらって道場の廊下を歩いて行く。

 

「・・・・」

 

「車に戻る?」

 

「いい。さっさと済ませて帰りましょう。」

 

心配するエックスに対し、マーティは心配を掛けさせまいと気丈になって後ろから付いて来る四天王二人に声をかけた。

 

「それにしてもアンタたち、随分と乱暴なことするのね。いつもあんな風にして借金取り追い払っているの?」

 

「はあ、何しろビンボー道場でして。師範も金を持っているのか、稼いできているのかよくわからんのです。」

 

「不規則でも払ってはいるのね。」

 

二人は、仏堂に当たる部屋に到着する。中では仏像の目の前に一人の男が寝ていた。近くに酒の入っていた陶器がいくつも転がっていることから恐らく泥酔しているのだろう。

 

「親父、お客さん連れてきたよ。」

 

「先生、客人です。」

 

「・・・・・」

 

拓馬たちの声に対して男は無反応だったが、エックスはこの男が眠っていないことを気配で察知していた。寧ろ、得体の知れない自分たちが来たことに対して敵意のようなものすら感じられた。

 

「・・・流竜馬さんですよね。」

 

「・・・・・」

 

「神隼人さんに頼まれて貴方の様子を見に来ました。」

 

「・・・・隼人だと?」

 

今まで無言だった竜馬が起き上がって振り向く。その顔には昔付いたと思われる古傷が残っており、やや酔っているにも拘らずその目は明らかに自分のことを睨んでいた。

 

「え、えっと・・・実は神さんから頼まれたことがあるんです。信じてもらえないと思いますが大事な話なのでどうか聞いて・・・」

 

エックスが本題へ移ろうと話をした直後、竜馬は素早く飛んで一瞬にして彼の背後に回り込む。突然の出来事に対応しきれず、エックスは振り向くや腹部に強烈な蹴りを受けてしまった。

 

「グガッ!?」

 

彼は、勢いよく吹き飛んで壁に衝突する。

 

その光景にマーティは絶句、拓馬たちに関しては父親の突然の暴行に目を丸くしていた。

 

「お、親父・・・」

 

「拓馬、変な奴と絡むなって教えただろう?お前たちもなんで通した?追い返せと言っただろう。」

 

「す、すみません。」

 

「姐さんが許可を出したので・・・」

 

「りょうの奴・・・まあ、今度からは気を付けろ。お前ら、この場から離れろ。俺はこれからこの人形の相手をする。」

 

「えっ?人形?」

 

父の思わぬ発言に疑問を感じながらも拓馬たちはその場を後にする。竜馬は、青ざめているマーティを無視して倒れているエックスの方へと向き直る。

 

「おい、いつまで寝ている?そんなことして俺の目を誤魔化せると思っているのか?」

 

「・・・いきなり何をするんだ、貴方は。」

 

エックスは、よろめきながらも立ち上がる。これまでシグマを始めとするイレギュラーたちの戦いで何度も攻撃を受けたことがあるが今の一撃は人間のものとは思えない威力だった。

 

「隼人め、俺を連れ戻すためにこんなものを送ってくるとはな。確かに皮は人間そっくりだが動くとき僅かに機械の駆動音がする。他の奴なら騙せるが俺には通じない。」

 

竜馬は、一気に間合いを詰めてエックスに張り手をかけようとする。エックスは、仕掛けられる前に後ろに下がるがどういうわけか張り手が顎に直撃。更に倒れる間もなく肘打ちを顔面に喰らい、いいようにボコられる。

 

「やめて!!」

 

夫がボコボコにされるのを見ていられないとばかりにマーティが止めに入ろうとする。すると竜馬は動かなくなったエックスを捕らえたまま彼女を見る。

 

「娘。」

 

「うっ。」

 

今度は自分がターゲットにされるのではないかと冷や汗を掻く。

 

「隼人に伝えといてくれ。」

 

「え、えっ?」

 

「俺の返事はこれだと。」

 

竜馬は、ボロボロになったエックスを見せる。

 

「俺と隼人のやり取りはこんな方法のが分かりやすいからな。俺はもう研究所に戻る気はねえ。」

 

「だから・・・・・何を勘違いしているんだ・・・・俺はそんなことのために来たんじゃ・・・グフッ!?」

 

エックスは、抵抗しようと手を伸ばすが竜馬は、容赦なく勢いよく床に叩きつけた。

 

「返事の手紙が元気良すぎちゃ俺の決心は、隼人に伝わらねえ。アイツの性格はしつけえからな。」

 

「・・・・けんじゃないわよ。」

 

「ん?」

 

「ふざけんじゃないわよ!!人の旦那をこんな物扱いして!!こっちは話をしに来ただけなのに・・・アンタには人の心がないの!?」

 

沸点が切れたのか、マーティは鬼気迫る勢いで竜馬に詰め寄り始める。予想外の抵抗に竜馬は、目を丸くするがすぐに平常に戻り、寝ているであろうエックスに指を指しながら言う。

 

「心はあるさ。だが、俺はこう見えても精神は繊細なんでな。うまく言い包めようとも隼人が使いに寄越したとなればゲッター関連のこと以外考えられねえ。」

 

「研究所壊滅のこと?それとも・・・・ゲッターエンペラー?」

 

「!?お前、何故その名前を知っている?」

 

「将来なるからよ!家の旦那が・・・・エックスが遠い未来で・・・」

 

「・・・・コイツがだと?」

 

竜馬は、半信半疑になって倒れているエックスを見る。

 

エンペラーの存在は自分と隼人、そしてもう一人を除いて知らないはず。

 

それにかつて見たビジョンでは乗っていたのは未来の自分で間違いないはずだった。

 

「でたらめだ。ゲッターが人間以外の存在を受け入れるとは考えられねえ。」

 

「本当よ。アタシも夢で見た。彼が巨大なゲッターと一つになってかつての仲間たちと潰し合う世界を。そして・・・・彼が真ゲッターに変化したことも。」

 

「・・・・・まさか、ゲッター線が人類を見捨てたというのか?お前ら、一体何者だ?」

 

「アタシたちは、100年以上先の未来から来た“レプリロイド”よ。簡単に言えば人に近い感情を持つようになったロボット。未来での戦いの余波に巻き込まれてこの時代に流れ着いたの。」

 

彼女は、エックスを抱きかかえながら話す。

 

「未来から来ただと?そんなはずが・・・・」

 

否定しようとする竜馬だったが過去の体験もあって言葉が途切れる。ゲッター線ならば時空を超えることも可能なはずだ。それは自分が経験したことだからよくわかっている。

 

「・・・と言うことは隼人も未来から来たのか?」

 

「えぇ。貴方のことについて後悔している。」

 

「だが、100年もどうやって生きていたんだ?数年前の事故でさえ行方不明になったきりだってんのに。」

 

「その事故で敷島博士っていう変態爺さんに助けてもらったって聞いているわ。当時の医療技術じゃ完治できないからコールドスリープを繰り返して生き続けたってね。」

 

「あのジジイ・・・・研究所から出て行ってからくたばったかと思ったら生きていやがったのか。」

 

「全身機械化させて元気にやってるわよ。」

 

「あのイカレマッドサイエンティストめ。それで100年以上生き延びたって訳か。」

 

まさかの人物が元気でいることに呆れながら竜馬は、その場で胡坐をかく。

 

「んで、その未来から来たお前らと隼人が今更俺に何の用事で来やがったんだ?何度も言うが研究所にも戻らねえし、ゲッターに乗る気もねえ。あんなもん動かせばまた不幸が生まれる。」

 

「そんなことしないわよ。けど、家族のことを心配しているなら今すぐここから離れた方がいいわ。」

 

「どういうことだ?」

 

「神さんの話によると今日の昼頃、アンタたち一家が何かに襲われて死ぬって言っていたのよ。」

 

「死ぬ?流石に笑えない冗談だぞ。第一、こんな山の中なんだ。いくらヤクザ共が束になってきても俺には・・・」

 

「きゃあああぁ!!」

 

「うわああああ!!」

 

「!?」

 

外から聞こえてくる悲鳴に竜馬は、外の方へ出る。そこには青い顔をしたりょうが拓馬を抱えて走ってきた。

 

「どうした!?」

 

「は、は、はわわわ・・・・」

 

パニックになっていることもあって竜馬の問いに対してりょうは答えることができなかった。だが、目の前に転がって来たものを見て戦慄する。

 

それは『自称:四天王』の一人の首で転がってきた先を見るともう一人の首を掴んだ修行僧の集団が向かってきていた。

 

「ようやく貴様を嬲り殺しにする時が来たぞ、流竜馬!」

 

「恐竜帝国のために貴様ら一家揃って死んでもらう!!」

 

「恐竜帝国・・・。」

 

彼らの顔は、全員トカゲのものだった。




最初は竜馬とエックスの殴り合いを書きたかったけどそれだとイレギュラー認定されてしまうのでお蔵入りにしました。
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