21XX年 早乙女研究所
メモリーディスクによって弁慶の記憶を見終えたワイリーは、頭を押さえながら椅子に座っていた。
彼が曖昧だと言っていた記憶は、どうやら並行世界の記憶のようでそこには例の生物『インベーダー』と人類の長年の戦いが刻まれていた。
ゲッター線を発見して間もない人類に突如飛来した怪物。
対抗して世界連合が結成され、次々と投入されるスーパーロボット軍団。
別世界の竜馬たちゲッターチームの結成と長きにわたる戦い。
ミチルの死と早乙女の裏切り。
真ドラゴンの誕生と覚醒などこちらの世界では一切起こっていない出来事が映っていたが弁慶が武蔵の後輩として最初からチームにいたり、元気の性別が変わっていたりと意外な情報もあった。
その他にも近い歴史を歩んでいるものの比較的に緩い感じの並行世界などもあったが弁慶自身がゲッターチームに入らなかった世界線もあるのかノイズがかかって見えない部分も多かった。
しかし、この映像のおかげで今回の敵が別の並行世界の敵であるということを知ることができたのは大きい。同時に戦いに勝利を収めるにはゲッター線を用いらなければならないという現実を突きつけられてしまったが。
「なあ、これって映画じゃないよな?」
あまりにも現実離れしたものを見せられ、弁慶は半信半疑になって聞く。
「いや、これはお前の頭脳から抽出した記憶で間違いない。おそらく、ドラゴンと同化している期間に並行世界の情報も蓄積させていたんじゃろう。」
「って、ことは?」
「別世界の経験・記憶をお前は、苦労することなく発揮することができるということじゃ。代わりにドラゴンに取り込まれたゼロのラーニングシステムのようにな。」
「えっと・・・その・・・・つまり、どういうこと?」
「はあ、例えばお前がどっかのやばい組織に捕まって無敵の超人に改造された世界が存在すれば生身でもその力の一端を使えるってことだ。」
「そんなこと有り得るのか?」
「記憶の中にある以上不可能ではないはずじゃ。それで、どうする?これを戻してまたオメオメ取り込まれに行くか?それともゲッターと縁を切って新しい人生でも始めるか?お前はあれから年取っていないんだし、それなりの人生が送れるようにはしてやるぞ。」
ワイリーは、ディスクを見せびらかしながら弁慶に選択肢を与える。
パイロットとして復帰すれば再びゲッターに取り込まれる危険性がある。そんなことになれば今度こそ戻ってこれなくなるかもしれない。
かつて同じ時代を生きた仲間だからこそ彼は、これからの人生を人として送らせてやりたいと考えていた。
(コイツは150年もゲッターに縛られていたんだ。吐き出された以上もう付き合わせる必要はないし、自由にしてやってもいいはずだ。)
弁慶は、しばらく顔を顰めて考える。
「・・・・・いや、戻してくれ。」
「なぬ?」
「俺よぉ。竜馬や隼人と比べて全然で大したことねえけどさ、まだやるべきことがあると思うんだ。」
「弁慶・・・・お前はもう十分役割を果たしたんだ。竜馬も死に隼人も行方不明になった。今更パイロットとして責任を背負わんでも」
「だからだよ!今の俺には他の世界の経験も入っているんだろう。なら、昔よりも戦えるはずだ!ゲッターパイロット最後の生き残りになっちまった以上、俺がやらなきゃいけねえだろう?」
彼の意を決した顔にワイリーは、顔を歪ませる。
彼の前に戦死した3号機パイロットの武蔵も大概だったがゲッターパイロットは、何か使命感のようなものに縛られて『降りる』という選択肢を取れなくなる呪いでもかけられているらしい。
そんな弁慶の反応を脇から聞いていた敷島博士は、満足そうな笑みを浮かべてワイリーの肩を叩く。
「ヌヒッヒッヒッ、弁慶は素直じゃのう~。それでこそゲッターのパイロットじゃ!!偉い偉い!!どっかのへそ曲がりとは大違いじゃわい。」
「やかましいわ!ケッ、せっかく第二の人生を送らせてやろうと思ったのに・・・・勝手にしろ!」
彼は、捨て台詞を吐いてディスクを弁慶の頭の上に投げて記憶を返す。
「だが、肝心のゲッターは隼人と一緒に行方不明じゃ。暫くは満足に訓練もできんぞ。」
「その心配は無用だ!」
そこへどこからともなく武蔵がやって来た。彼は、部屋に入るなり敷島博士に小言を言って退室させるとワイリーの方を見て話をする。
「少し前、ライト博士が非常に弱かったがエックスの反応を拾うことに成功した。我々のレーダーで更に詳しく調べたところ大きなゲッター線の反応を捉えて概ねの座標を絞れたから今から迎えに行く。」
「フン、だったらワシに報告せずさっさと行けばいいじゃろう。隼人はともかくエックスのことは知ったことじゃないわい。」
ワイリーは、鼻息を荒くしながらそっぽを向く。武蔵は顔を少しにんまりとさせて話を続ける。
「まあ、そんなことを言うな。お前も懐かしい戦友の顔を見たいと思うだろう。」
「何?」
その一言に彼は、眉を顰める。
「まさか・・・・竜馬も一緒だというのか?」
「あれだけのゲッター線反応を叩き出すことができる奴は、アイツしかいない。尤も99.8%の確率だがな。」
「・・・・」
「お、おい、大丈夫か?」
急に無言になったワイリーを見て弁慶は、心配そうに声をかける。
「・・・いいじゃろう、ワシも一緒に行ってやろう。お前たちだけで行かせたら竜馬を強制的に連れてくるかもしれんからな。ワシが説得した上で行くというのなら妥協してやる。弁慶、お前もついでに来い。」
「えっ、えぇ!?」
19XX年 早乙女研究所
ジャギオーを倒したエックスたちは、放置していた真ゲッターの残骸を回収した後に研究所へと戻って来た。
戻るなり車でどこかへ行った隼人を見送って家族や仲間の身が安全なことを確認すると彼は、研究所の入口にしゃがんで佇む真ゲッターを眺めていた。
「・・・・」
エックスは、何を考えたのかバスターを展開する。
今日の戦闘を通じてゲッターを使い続ければ、世界を滅ぼしかねない。そうならなかったとしてもあの夢のようにエンペラーへと進化して、宇宙のあらゆる生命を蹂躙することになる。
そうなる前に破壊するべきだと。
(・・・このままコイツに乗り続ければあの未来へと繋がる。そうじゃないとしても俺たちの世界が滅ぶかもしれない。そうなる前に・・・)
「おい、女房放置してて大丈夫なのか?」
「!?」
後ろから声をかけられたことで彼は慌ててバスターを戻す。振り向くと家族との話を終えてきた竜馬が来ていた。
「りょ、竜馬さん・・・・ふう、奥さんと拓馬君たちは?」
「別に怪我の一つもしてねえよ。仲間二人がトカゲ共に殺されちまったがお前ら来なかったらみんな揃って死んでたんだ。それに比べればマシなもんよ。」
竜馬は、隣に座ると同じく夕日に当たる真ゲッターを見上げた。
「・・・あの事件のときもこんな感じだった。壊滅した研究所を見ながら俺はコイツに二度と乗らないと誓った。今日、乗るまでな。」
「竜馬さん。」
「お前・・・・今、ゲッターをぶっ壊そうと考えてたんだろう?」
「ウッ。」
考えを見透かされてエックスは、体をこわばらせる。昼間に手厚いお出迎えを味わったこともあって体が無意識に身構えていた。
「フッ、無理もねえ。あの一瞬で敵諸共大勢の人間を消し飛ばしたんだ。まともな奴ならすぐにそうするだろうさ。」
「俺は・・・正直、コイツをすぐに破壊すべきだと思ってます。ゲッターを動かし続ければ世界が滅ぶ。あらゆるものを殺戮し、搭乗した者を狂わせていく・・・・まさに存在そのものが『イレギュラー』だ。」
「・・・エックス、お前には無理だ。その考えは捨てておけ。」
「なっ!?」
自分の考えに賛同していると思っていた彼のまさかの発言にエックスは、立ち上がって声を荒立てる。
「貴方だってコイツを、ゲッターを動かすのは反対していたじゃないですか!?それなのにどうして!」
「・・・あぁ。俺は今でもゲッターを動かすことには反対だ。でも、ぶっ壊してどうする?ゲッターを失い、お前らの世界に戻って敵にどうやって立ち向かっていくつもりだ!無残に殺されに行くのか!?」
「そ、それは・・・」
「未来の人類。いや、地球が敵に対抗する手段がコイツしかないとしたら使うしかねえんだよ!!ゲッターに乗ってようやくそれが分かった!」
竜馬は、ゆっくりと腰を上げてエックスの前に立ちはだかる。攻撃する意思こそ感じられないが彼自身の気迫に威圧されていく。
「クッ。だったら、ゲッターでこの星を救えると思っているんですか?コイツにはもう、機械も生物も関係なく取り込んでおかしくさせる。マーティだって一緒に乗らなければあんな状態にならなかったんだ!それなのに・・・・」
エックスは、自分が魅入られらばかりに掛け替えのないパートナーを巻き込んでしまったことに拳を強く握りしめながら歯を食いしばる。そんな彼に竜馬は、続けて答えた。
「悪かった。俺がゲッターを降りる選択をしたばかりに関係ねえはずのお前らを巻き込むことになっちまって・・・だから、俺なりにけじめをつけるつもりだ。」
「けじめ?」
「・・・りょうにも拓馬にもしばらく帰れねえって伝えといた。長い用事になるだろうってな。」
彼が腕を組みながら真ゲッターを見ていると隼人の乗った車が戻って来た。
「随分遅かったじゃねえか、隼人。」
「あれだけの事をしたからな。情報操作をするにも手間がかかる。政府のお偉いさんだけじゃ頼りないから橘博士にも会って来た。ついでにお前の道場の立て直しも頼んでおいたぞ。数日でやってくれるそうだ。」
隼人は、積んであった荷物を開けると二機の真ゲッターにケーブルを繋げてアンテナで信号を発信し始める。
「一体何を?」
「昼間の戦闘で反応は掴めたかもしれないが正確な位置までは把握できないだろうからな。未来の世界にいる敷島博士とトーマス・ライト博士に向けて信号を送信している。二機のゲッター炉心で反応さえ出せば見つけてくれるはずだ。」
「・・・・あの、神さん。ゲッターについてなんですけど」
「隼人、大事な話がある。ちょっと付き合え。」
作業をしている彼にエックスが声をかけようとすると竜馬が割り込む形で遮り、少し離れた林の中へと連れて行く。
邪魔されたことにムッとしていると研究所の中から拓馬が出てきて声をかけてきた。
「兄ちゃん、兄ちゃん!」
「拓馬君。」
「あの姉ちゃんが起きたから母ちゃんが呼んで来いって。」
りょうの看病もあってか、目を覚ましたマーティの顔色は研究所に避難させる時と比べて良くなっていた。
ひとまず容態が落ち着いたと一安心したものの、エックスはまた悪化するといけないと思い、ゲッターのことを一旦保留にしてその日の夜は、彼女の傍に居ることにした。
「顔色が落ち着いたようでよかったよ。」
「ホント、こっちに来てからごめんなさいね。肝心な時に動けなくて。」
心に余裕ができたのか彼女は、ベッドに横になりながらエックスに謝る。
「別に気にしなくていいよ。いつも俺が心配かけさせる側だったし。はあ、今回の件でマーティがどういう風に考えていたのか分かった気がするよ。」
彼は、ため息をつきながら隼人が調達して来た缶コーヒーを開けて飲み始める。
「それで結局どうなったの?帰る目途は付いたわけ?」
「そのことに関しては神さんたちが進めてくれているよ。数日はかかるだろうけど多分博士たちが迎えに来てくれるだろうって。」
「そう、よかった。」
マーティは、ホッとしたように返事するもののエックスの芳しくない様子を心配していた。
「エックス、何かあったの?」
「別に気にするようなことじゃ・・・・」
「嘘。顔に出てるわよ。今のアタシじゃ話を聞くことぐらいしかできないけど、困っていることがあるなら言ってちょうだい。」
「いや、今日はもう休んだ方が・・・」
「アタシが毎回どれだけ心配していたか分かったんでしょ?」
彼女は、目を細めて釘を刺すように言う。
エックスは、観念して昼間の真ゲッターに乗った時の出来事を話し始めた。
同時刻。
北海道サロマ湖にあるNISARの本拠地『BIG NISAR』では、ゲッターパイロットたちが責任者である橘博士に何やら詰め寄っていた。
「博士、どういうつもりなんですか!?俺たちに相談なく、いきなりゲッターロボを改造するなんて!」
一番手に声を上げたのは、ゲッター號のメインパイロットを務めている一文字號だった。
彼は、三号機パイロットである剴と共に真ゲッターが作ったクレーター後周囲の調査へ赴いたものの、大した成果もないまま帰還命令を出された挙句、戻ってきたら見知らぬ男にゲッターから降ろされて目の前で改造をし始められたのを目にすれば説明を求めたくなるのも無理はない。
「自分も號と同じ意見です!事前に言っていただくならともかく、それも博士自身ではなく知らない人間にゲッターロボを改造させるなんてあんまりではありませんか。」
剴も続くように橘博士に抗議する。元々この二人は、ゲッターロボが戦闘用に改造する以前からテストパイロットを務めていたこともあって愛着が強い。
故に見ず知らずの人物に手を出されていることが許せなかった。
そんな彼らの言葉に対し、橘博士は困った顔をしながら謝罪する。
「君たちに相談なくこんなことになってしまったことについては済まないと思っている。」
「だったら、すぐに止めさせてください!」
「もう、ゲッターロボは十分戦ったじゃないですか。この間言ってたじゃないですか、これでようやく本来の役割に戻してあげられるって。」
ゲッターロボは、元々NISARが宇宙開発を目的に開発されたロボットでランドウの世界征服が開始した際、彼らの主力兵器である『メタルビースト』と同じG鉱石の装甲を持っていたことで唯一の対抗手段として戦闘ロボットへと改造された。
数か月前の蛇牙城での最終決戦でほぼ大破状態になった際は、修理をする際に武装を外して本来の宇宙開発用へと戻そうと少し前に話したばかりだった。
仕様を戻す案を上げたのは元々戦闘用へ改造するのを最後まで渋っていた橘博士でこの意見に関しては二人も納得していた。
それが急に変更になったのだから防衛省から何か圧力をかけられたのではと思わずにはいられなかった。
そんな二人を宥めようとDr.ポチとDr.タマは、おどおどしながらも声をかける。
「號君も剴君も落ち着くんだワン!」
「今回の改造については橘博士も私たちもノータッチなんだミャン。だから、いくら責めてもどうにもできないんだニャン。」
「けど・・・・そう言えば翔は?」
號は、ここに来てようやくチームの紅一点である翔がいないことに気が付く。最終決戦の後、パイロットからメカニック中心の仕事に戻っていたが基地に戻ってきてから一度も顔を見ていない。
「あぁ、翔なら彼の手伝いをしているよ。」
「手伝い!?俺たちのゲッターを改造しているのに!?」
「博士、よく考えてみたらあの男は何者なんですか?翔が一緒に作業をしている限り知り合いのようですが。」
博士は、説明しづらそうな顔をする。
「彼は、アルバート・W・ワイリー。私の知り合いで翔と信一も幼い頃からの付き合いなんだよ。」
「そんな人がどうしてゲッターの改造を?」
「私と彼には、共通の昔の因縁があってね。今回それが表に出かけたのを、どこかで聞いたのか家に駆けつけてきたんだ。」
「因縁?」
橘博士が二人の相手をしている一方、格納庫ではワイリーの主導の元でゲッターロボの改修・改造が行われていた。その中に翔の姿もあり、彼が引き連れてきた作業ロボットの指示を出して作業を急がせていた。
「ワイリーさん、いくら作業用ロボットを導入してもこのペースだと4、5日が限界よ。」
「いや、合体機能を我慢してゲッター號として運用すれば何とか明後日には仕上げられる。念のため、Gアームライザーを取り付けた状態にしよう。チェンジしないならその方がマシだ。」
彼は、一旦手を止めてタブレット端末からロボットたちの作業指示を修正する。
「ねえ、本当に行く気なの?」
「あぁ、アイツが動いたと聞いた以上野放しにするわけには行かねえ。それこそ取り返しのつかないことになる。」
「それならせめて號と剴にも訳を話した方が・・・・」
「お前と信一は、ガキの頃から俺の話を聞いていたから分かるんだ。ほんの数年程度の付き合いの奴じゃ話にならねえ!こんなオカルト染みた存在なんざ・・・・。」
「ワイリーさん・・・」
「・・・悪い。信一が亡くなってからあんまり経っていないのにな。だが、アイツが本格的に動き出したら世界云々の問題どころじゃ済まなくなるんだ。」
「ごめんなさい。じゃあ、僕はアームライザーの方を済ませておくから。」
「頼む。サポートに作業ロボット数体、お前の方に回す。」
ワイリーは、ゲッター號を見ながら虚しそうな顔を浮かべる。
「お前も本当ならただのロボットに戻るはずだったんだけどな。少しだけ俺に付き合ってくれ。お前の兄とも言える機体を止めるためにな。」
2日後 早乙女研究所
朝早くエックスは、真ゲッターのコックピットの中で連絡を取ろうと試みていた。スペアポケットの中から取り出した特殊無線機を接続し、信号を強化することで自分たちの居場所を知らせると同時に通信を拾えるように微調整を続ける。
「こちら、エックス。聞こえるか?今、この時代からSOSを発信している。救援を求める。繰り返す、救援を求める。こちら、エックス・・・・」
研究所入口付近では隼人が手配した自衛隊のトラックが来ており、竜馬の家族を後ろの荷台に乗せている一方で伊賀利が謝っている姿があった。
「すみません、神さん!我々も可能な限り隠蔽を図ったのですが。」
内容は、先日の真ゲッターの一件が帰国していたワイリーの情報網に引っかかってしまったことについてだった。
彼は、情報を知るや否や母国を脅して調達したプライベートジェットで日本にとんぼ返り。
最も早く使えそうな戦力であるゲッター號がある『BIG NISAR』へと足を運んだ。
事前に隼人から頼まれていた橘博士は、足止めを行おうとしたものの勢いに押されてしまい、結局ゲッター號の対ゲッター線への改修は少し前に完了。バトルヘリに積載してこちらに向かってきているそうだ。
「いや、アルバートが俺たちのことを嗅ぎつけるのは時間の問題だった。流石にここまで早く行動するとは想定外だったがな。」
謝罪する彼に対して隼人は特に怒る様子はなく、寧ろワイリーの行動の速さに呆れていた。しかし、ここで真ゲッターと交戦させるような形になればこの時代に更に干渉することになる。
「どうする隼人?ここで一発仕掛けて追い返すか?」
竜馬は、もう戦いは避けられないと考えて迎撃することを提案する。
「ダメだ。これ以上この時代で真ゲッターが動くようなことになれば未来に悪影響が出る恐れがある。」
「相手はアルバートだ。アイツは、俺以上にゲッターに否定的でこっちが手を出さなくても平気で攻撃してくるぞ。」
「エックス!連絡はまだ取れないのか!」
彼は、一刻も早くこの場から離れるために確認を取る。
エックスの方はと言うと周波を変えながら通信を続けているが返答は未だに返ってこない。
「こちら、エックス。救援を・・・・」
『了解、了解。もうすぐそっちに着く。』
「えっ?」
繋がったと思った矢先にもうすぐ来るという返答に彼は、喜びよりも驚きが勝った。
「それじゃ、伊賀利。彼女たちを頼む。」
「わかりました。神さんたちもお気をつけて。」
トラックが去って行くのと同時に上空に時空間の入口が開き、中から巨大なゲッター戦艦が姿を現した。
「なっ、あ、あぁ・・・・・」
「驚くのも無理ねえだろうな。俺も初めて見た時はビビったんだから。」
竜馬は、唖然としているエックスに同情する。研究所の真上に到着すると中央のゲートが開き、複数の人影が降りてくる。
「おぉ、やはりお前もこの場にいたか竜馬。」
「む、武蔵!?」
最初に姿を現した武蔵を見て彼は、驚愕の表情を浮かべる。
十数年以上も前、しかもその時は記憶喪失になっていたこともあって最期の姿を見ることができなかった。
その武蔵が今当時の姿のままで目の前にいるのだ。
「気にするな、コイツはゲッターが精巧に作った作りものじゃ。ワシらが知っている武蔵とは似ても似つかん代物よ。」
遅れてワイリーが顔を出す。年老いて容姿こそは変わっているものの若いころの面影を感じられたことから竜馬は本人だと気づく。
「お前、アルバートか?随分老けたなぁ。」
「未来から来たんじゃから歳をとるのは当たり前じゃわい。ところで拓馬とりょうはどうした?お前のことだから一緒に離れたと思ったが。」
彼が周囲を見回しながら聞くと代わりに隼人が答えた。
「・・・竜馬は、このまま俺たちの時代に行く。」
「何っ!?隼人、何か変なこと吹き込んだんじゃないだろうな!!」
ワイリーは、思わず隼人の襟元を掴もうとするが竜馬に制される。
「隼人は何も言っちゃいねえ。俺の意思だ。」
「竜馬。お前、言ってたじゃろう!ゲッターには二度と乗らんと。」
「あぁ、今だって考えは変わってない。だが、乗ろうが乗るまいが俺が背負うはずだったものを他の奴に押し付けただけで何も変わらねえ。ゲッターは人類、いや恐らくお前が作ったロボットだろうと逃そうとしねえだろう。」
「グッ、グゥウ・・・・」
ゼロがドラゴンに取り込まれたこともあってワイリーは、否定できずに歯を食いしばる。竜馬は、そんな彼に作り笑いながらも更に言葉を続けた。
「だから、あえて乗ることにしたぜ。ゲッターに抗うためによ。」
「ゲッターに抗うじゃと?フン、不可能じゃ。ドラゴンすら、100年以上ワシが時間を費やしても進化を喰いとめることができんかった。」
「それは俺が恐竜帝国に殺された未来での話だろ。隼人のおかげでこうして生きている。お前たちが介入した影響が何かのきっかけになったんだ。なら、とことん首を突っ込んで反抗してやるぜ。」
「じゃ、じゃが、向こうに言ったら面白くないことが盛りだくさんじゃぞ!?お前の嫌いな帝国が地上と軍事同盟を結んでもうたし。」
「人間と手を組むってことはそれだけ重大なことだって未来のトカゲ共は、理解しているんだろ?喧嘩を売られれば容赦はしねえがその気が無えなら割り切るさ。」
「ムムムムム・・・・」
「アルバート、いくら言おうとコイツは考えを変えるつもりはない。この時代のお前が邪魔しに来る前にさっさと引き上げるぞ。」
隼人にとどめとばかりに言われてワイリーは、肩を落とす。
「クッ。ワシは、できればお前をこんな出来事に巻き込みたくないと考えていた。独り身のワシや隼人はともかく、お前はりょうと拓馬がいるんじゃからのう・・・・。」
「さっさと終わらせて帰ればいいだけの話だ。りょうの奴にもちゃんと帰って来いって念を押されちまったからな。」
「・・・・竜馬、ワシはゲッターと人類の繋がりを完全に断つために世界の敵に回る選択をし、その中でお前の仇でもある恐竜帝国とも手を組んだ。この星の環境を破壊するほどにな。それでもゲッターとの関係を完全に断ち切ることができなかった。終いには最高傑作と誇っていた息子がドラゴンに取り込まれてしまう始末じゃ。それでも、お前はやると言うのか?」
「逃げるのは元々俺の性には合わなかったからな。もうたくさんだ。」
「・・・・フッ、家庭を持って少しは丸くなったかと思ったがお前も隼人も変わらないな。ワシだけ年を取り過ぎたか。」
「らしくもないことをしていただけだ。世界を相手に喧嘩を売るなんざ、お前には向いていないからな。ミチルさんや元気くんが見ていたら呆れていただろうよ。」
「うるせえ。」
現在こそワイリーは、世界を何度も恐怖のどん底に突き落とした悪のマッドサイエンティストとして知られているが二人にとってはやり方こそ問題あれど志は昔と変わらない一人の人間だということを理解していた。
自分の思い描いていた世界を否定され続け、信じられる人物もおらず、ロボットのみに愛情を注ぐようになり、最終的に自らが世界の中心になろうと動いた不器用な男。
それがこのDr.ワイリーなのだ。
「そうと決まればさっさと乗り込め。ぐずぐずしているとこの時代のワシが何をするか分からんからな。エックス、お前の方は体が何ともないか?」
「俺は大丈夫。けど、マーティの方が調子が良くないんだ。」
「・・・・ゲッター線に取り込まれかけたんじゃろうな。帰ったらライトに頼んでフルメンテナンスしてもらえ。少しはマシになるはずだ。」
彼らが話している間に真ゲッター2機が艦内へと転送され、続くように艦内に入ると弁慶が待ってましたとばかりに一同の前に駆けつけた。
「おっ!やっと話が終わったんだな!!」
「「弁慶!?」」
彼の姿を見るや竜馬と隼人は、思わず口を開ける。弁慶はそんな二人にお構いなしにジロジロとみる。
「いや~またこうして三人揃うとは思わなかったぜ~!やっぱ、ゲッターチームは俺も加えて3人いねえとな。」
「「・・・・」」
「しかし、竜馬が女房と子供を持つなんて信じられねえぜ。どうやって口説いたんだ?隼人はどう思う?」
「弁慶」
「はい?」
「この馬鹿野郎!!」
「ヘブッ!?」
竜馬の拳が顔面に命中し、彼は勢いよく後ろへと飛ばされた。
「アイタタッ・・・・いきなり何するんだよ!?」
「何するだと?てめえ、あんなことやっといてよくノコノコ顔出せたな!」
竜馬は、弁慶に近づいて胸元を掴むと頭突きを喰らわせる。
「イジジ、それは俺が研究所を守ろうと・・・・」
「何が守ろうとだ!?増幅装置に改造したドラゴン動かした挙句、メルトダウン起こして地中に消えやがったくせに!お前があそこまで無茶する大馬鹿だとは思わなかったぜ!!」
「ひいぃいん!!隼人、助けてくれ~!!」
脱出しようともがく弁慶は、隼人に助けを求める。当の本人は、呆れた様子でそっぽを向いた。
「今まで心配させたツケだ。思いっきり竜馬に構ってもらえ。」
「って、訳だ弁慶。たっぷり可愛がってやるぜ。」
「うわ~ん~!なんで再会早々こんな目に遭うんだ~!!」
浅間山 上空
BIG NISARからバトルヘリ数機に牽引される形で出発したスーパーゲッター號は、輸送コンテナからワイリーが装備させたと思われる狙撃用レーザーライフルを構えて時を待っていた。
「・・・・なあ、おっさん。これ、本当に撃つ気なのか?」
コックピットの中で浮かない顔をしている號は、ヘリに搭乗しているワイリーに連絡する。
『あぁ、大型の実機テストはできなかったが小型機での実験は成功している。コイツを命中させればゲッター線はたちまち拡散して無力化することができるはずだ。』
ワイリーの考えはこうだ。
いくらスーパーゲッター號と言えどチェンジ機能が使えず、更にそれ以上の力を持っているであろう真ゲッターを相手にするのは無謀にもほどがある。
そこで戦闘が開始すると同時に自分が開発した『アンチゲッタービーム砲』を放つことで動力源であるゲッター炉心の出力を急激に下げさせて無抵抗の状態へと追い込む。
本来は、試作中のゲッター線を吸収しながら合金を腐食させるバクテリアを散布する計画を立てていたのだが動いた以上、そんなことをしている暇はない。
無論、撃つ前に近接戦に持ち込まれてしまえばそれまでなのだが。
「いいのかよ、昔の仲間が乗っていたロボットなんだろう?」
『なんだ、今頃怖気づいたか?』
「そういう事じゃねえよ。って、なんだあのバカでかい奴は!?」
號は、モニターに移されているゲッター戦艦を見て愕然とする。ワイリーも想定外の相手に同じ反応をするもすぐに我に返り、號に指示を出す。
『號、あのでかい顔に向かってアンチゲッタービーム砲を撃て!』
「いきなり何言いだすんだよ!?いくらなんでもあんなでっかいのに撃ったら返り討ちにされかねないぞ!?」
『いいから撃て!』
「クッソ・・・当たれ!!」
成すがままになれとばかりにスーパーゲッター號は、ビーム砲を戦艦の顔に向かって発射する。放たれたビームに反応したのかゲッター戦艦のバリアーが展開されるがビームが着弾すると罅が入り、砕け散ってしまった。
『今だ!ソードトマホークを出して奴の額に投げつけてやれ!!』
「わ、分かった!」
ライフルを捨てるとスーパーゲッター號は、急いで拳を打ち合わせてソードトマホークを生成して思いきって投げつけた。
トマホークがゲッター戦艦の額に刺さるとワイリーは、やったと笑う。
ゲッター戦艦は、そのまま時空間へと入って行ってしまった。
「・・・・・あれでよかったのかよ?」
『十分だ。ソードトマホークを生成する最中に表面に開発中の腐食バクテリアをコーティングするように調整しておいたんだ。他のエネルギーでは反応しないが、ゲッター線を吸収すればそこからたちまち腐食を始める。これで爪痕ぐらいは残せたらいいんだが・・・・』
時空間 ゲッター戦艦 ブリッジ
「本艦表面の一部が腐食していることを確認。徐々に広がっています。」
帰還中の船で乗組員が戦艦の額に刺さったトマホークから発生しているバグテリアの存在に気づく。
「おそらく、若い頃のワシの抵抗じゃろうな。あの時期なら不完全とは言え、旧ゲッターぐらいならすぐに機能停止できるぐらいのものは作れたからな。」
「流石若い頃のお前だな、アルバート。だが、この本艦を完全に腐食させて朽ち果てさせるならその50倍以上の量でなければ無理だな。」
武蔵の言う通りで表面の腐食は、ゲッター線の加護とでもいうべきなのか途中で止まり、すぐに新しい装甲へと変化してたちまち浄化されてしまった。
「数分もしないでもう浄化か。ったく、これだからゲッターは嫌なんじゃ。」
ワイリーは、そう言うとボコボコにされた弁慶の様子を見にその場から離れる。
「表面装甲の再生完了。刺さっている剣は除去しますか?」
「うむ・・・・防御シールド面に問題はないか?」
「ありません。このままでも問題なく機能します。」
「・・・じゃあ、そのままにしておいてやれ。若い頃とは言え、アルバートの抵抗の証だ。そのくらいしてやらねば、アイツも気が沈むだろう。」
額に剣を刺したまま、ゲッター戦艦はエックスたちの時代へと戻っていく。
それぞれの思惑を乗せて。
簡単なキャラ解説
・一文字號
『ゲッターロボ號』の主人公でゲッター號のメインパイロット。サーガ版ではスポーツ刈りだったがこちらは兜甲児くん似の少年。
・橘翔
ゲッター翔のメインパイロットでチームの紅一点。サーガ版ではキャラがコロコロ変わるがこっちでは僕っ娘。
・大道剴
ゲッター剴のメインパイロット。サーガ版では三枚目の大柄だったがこちらでは引き締まったやせ型で真面目な性格。
中の人は、初代竜馬の人。
次回、やっと21XX年に戻る。