早乙女研究所
模擬戦を終えた2日後。
竜馬たちゲッターチームは、旧ゲッターでの合体訓練を行って研究所に戻ると休息のついでに食堂で食事を取っていた。
相変わらず丼を大盛りにして食べていた弁慶は、隣で自分の倍以上はあるであろう食事をガツガツ平らげている竜馬を見て驚愕していた。
「りょ、竜馬・・・・お前、そんなに大食いキャラだったっけ?」
昔の竜馬は、ここまで大食らいではなかった。少なくとも自分よりは小食だったはずだ。
「うん?あぁ、実家に帰ってから基本的にめざしと山菜、飯がほとんどだったからな。時々熊や猪を仕留めて鍋やジビエにしたこともあるが。」
「マジかよぉ。それにしたって俺の倍以上食うのはおかしいだろう。」
「研究所出てから寧ろ新陳代謝が上がっちまったのかもしれねえな。隙あればヤクザともひと悶着あったし。ふう、食った食った。」
盛られていた大皿があっという間に空になり、彼はおおきくあくびをする。
「いくらでも食うのは構わんが下品なことは程々にしておけ。他と示しがつかん。」
隼人は、二人に反して軽食で済ませてコーヒーを飲んでいる。竜馬は、楊枝で歯の隙間を掃除しながらも悪気ない態度を取っていた。
「そう、硬いこと言うなよ。もうじき暢気に食事していられなくなるんだから。しかし、こうやっているとミチルさんの料理を思い出すな。」
彼は、ふと昔のことを思い出す。
恐竜帝国と死闘を繰り広げていた頃、竜馬たちの食事を管理していたのは非戦闘員の早乙女ミチルだった。彼女は、パイロットである彼らのことを考慮して様々な料理を振舞っていた。
中でも武蔵は、気を引こうと限界を超えて意地で全部食べていたのは笑ったものだ。
「あの時の武蔵の様子と言ったら本当に呆れたもんだったな。」
「あぁ、それ以上にすぐ後の戦いでお前が死んだと思った時期が寧ろ響いていたけどな。アイツ、元気くんにまで酒飲ませてお前を弔おうとしていたよ。」
「ハッ、記憶をなくした上に鬼どもに捕まって改造されかけたんだからシャレにならなかったな。あの時は。お前と武蔵には感謝しているよ。」
「おいおいおい、また俺だけ仲間外れかよ~!?」
三人が昔話に花を咲かせているとロールが中へと入って来る。彼女は、彼らを気にすることなく厨房に立つロックのところへと向かい、食事の載った盆を受け取ってそのまま退散しようとする。
「ロール、ライト博士の様子はどうだ?」
隼人に呼び止められてロールは、思わず驚く。
「貴方たちが戻ってきてからずっとマーティの容態を見ているわ。もう大丈夫そうに見えるんだけど・・・」
「見えるがどうした?」
「・・・何か変みたい。中身の構造がまるで別物で体調不良の原因も分からないって。」
「やはり真ゲッターと一時的に同化した影響か・・・だが、VAVAの方はこれと言った異常はなかった。彼女とエックスにだけ起きているのか?」
「多分。エックスも帰ってきて早々ハンターベースの方へ行っちゃったし、私たちも何かしてあげられればいいんだけどね。」
「アイツなら大丈夫だろう。いくら足掻こうが今はゲッターに乗り込んで戦うしかない。それは分かっているはずだ。だが、マーティの方も問題だな。ゼロがドラゴンに連れて行かれた以上、ゲッターに乗れるのはおそらく後彼女ぐらいしかいない。エックスとVAVAだけでは本来の力を発揮できないしな。」
「そんなこと言ったって・・・・また、乗せてもっと悪いことになったらそれこそ大問題でしょ?」
「ふむ・・・・俺も博士のところへ行こう。彼女の状態を確認したい。」
隼人は、そう言うとロールと共にライト博士の籠っているメディカルルームへと向かった。
(かつて早乙女博士は、ゲッター線がサルを人類に進化させたと仮説を立てた。そして、その人類が遠い未来でゲッターと一つとなって共存するようになることを示唆するのを俺と竜馬は断片的に見た。機械であるレプリロイドが人類に代わって上の存在へと進化させることも有り得なくもない。ただ、それをライト博士が果たして受け入れられるかどうかは別だが。)
宇宙 ゲッタードラゴン内部
地球圏から飛び立ったゲッタードラゴンは繭のような外殻を形成しつつ、太陽系から離れようとしていた。無尽蔵とも言えるゲッター線を吸収しながら移動する姿は最早彗星のようでワイリーの手で止められていた進化は後れを取り戻すかのように内部から進行していた。
取り込まれて精神体のみとなったゼロとアイリスは、ドラゴンの意思によって見せられたビジョンから解放され早乙女の前に引き戻された。
『・・・』
『戻ってきたようだな。』
『あぁ。・・・・なあ、今俺たちが見せられたものはこれから先起こる未来の一つだったのか?』
彼は、頭を押さえながら自分が体験したことに困惑する。
その未来でゼロは、一人の少女の願いから目を覚ました。
荒廃し、ディストピアと化した世界。
エネルギー問題故にイレギュラーとして処分されていくレプリロイドたち。
自分こそが英雄だと豪語する親友の複製。
レプリロイド、人間双方に強い憎悪し、復讐を完遂しようとした科学者ともう一人の自分。
今の自分たちの世界と大きくかけ離れていたことに夢の出来事なのではないかと思えてしまった。
アイリスの方もある程度覚悟こそしていたものの、復讐に取り付かれた自分がゼロに殺されるビジョンを見せられて背筋がゾッとしていた。
『あれが私たちが歩む可能性のあった未来・・・』
『有り得た「過去」でもあれば「未来」の一つであったとも言える。答えがすべて一つとは限らん。選択肢が多ければそれ以上の結果が生まれる。これから起こるであろうこともな。』
早乙女が不敵な笑みを浮かべる一方、ゼロはようやく落ち着きを取り戻したのか顔を上げる。
『ドラゴンが俺たちに有り得た未来のを見せたのは分かった。だが、気になったこともある。』
『ほう?』
『最後に見せられた巨大なゲッター同士の戦い。一方は俺、もう一方はエックスだった。現に俺もアイリスも取り込まれている。あれもこれから起こるのか?』
彼が我に返る直前に見たビジョン。
それはゲッター聖ドラゴンへ進化したドラゴンとエックスが操っているゲッター天がぶつかり合う世界で自分とアイリスはドラゴンと同化している姿を見た。
今の状態を考えるとあのビジョンは、そう遠くない未来で現実となり、エックスもゲッターに取り込まれることを意味する。
同じゲッターでありながらどうして戦うことになったのかはわからないが。
『ドラゴンが見せたとなれば未来で起こるであろうことは確かだ。しかし、先ほど言ったようにすべてその通りとは限らん。お前たちの意思次第では別の答えも見つかるだろう。』
早乙女の答えを聞いてゼロは、何かを悟ったかのような顔になる。
『・・・そうか、答えは俺たち次第か。なら、まだ何とかなりそうだな。』
『ゼロ?』
アイリスは、何か良からぬことでも考えたのではないかと彼を見る。
『俺たちにもやれることはある。』
早乙女研究所
ライト博士は机で頭を抱えていた。
「やはり、見間違いなどではない・・・・こんなことロボットでは到底有り得ない現象だ。これが早乙女博士の言っていた機械が本当の意味で生命となる『進化』と言うべきことなのか・・・」
彼は、複数の写真を見比べながら信じられないと言う感情がありながらも確信する。
「・・・これをエックスたちに伝えるべきだろうか。正直、このことを話せばあの子は自分のことを見失いかねない。だが」
「おい、ライト。来てやったぞ。わざわざ呼びつけ追って何の用じゃ。」
ワイリーが嫌そうな顔をしながら部屋に入ってくる。
「ワイリー・・・・」
「言っとくが要件は手っ取り早く頼むぞ。敷島の奴がとんでもないものを組み込まないかどうか心配でしょうがないからな。・・・・ところでマーメイド娘はどこじゃ?」
彼は、部屋にマーティがいないことに気が付く。
「あぁ、大分落ち着いたから食堂の方に行かせたよ。ひょっとしたらロールとすれ違っているかもしれない。」
「そか。んで、要件は?」
「これだ。」
ライト博士は、ワイリーに写真を見せる。最初こそ、嫌そうな顔で眺めていたが順番に見ていくにつれて真剣な表情へと変わり、一通り見終えると無言で席に着いた。
「このスキャン、あの娘のものか?」
「そうだ。お前はどう思う?」
「・・・・ロボット工学的には有り得ん現象だ。しかし、これを見る限り“育ってる”。ある意味ゲッター線による進化というものじゃな。余計なことをしてくれた。奴には教えたのか?」
「いいや。」
「エックスにもか。」
二人は、再度部屋に誰もいないかを確認する。
「うむ・・・だが、時が来れば二人とも知ることになるぞ。特に小娘の方はな。」
「しかし、エックスにこのことを知らせればどうなると思う?あの子は今不安定な状態だ。このことを知れば何をするか・・・」
「お前らしくないぞ、ライト。確かにゲッター線の干渉があるとはいえロボットがより人間の隣人に近い存在へとなったと思えばいいのではないか?」
「そう思ってよいのだろうか?この戦いで正直、私は何を望んでいたのか揺らいでおるよ。」
「しっかりせい!ロボット工学の父と世間でもてはやされた奴が情けないことを言う出ないわ!貴様が言わんならワシが言っちゃうぞ!!」
そう言って部屋から出ていこうとする彼をライト博士は、必死に止める。
「やめるんだ、ワイリー!?」
「なんじゃ、お前ができんと言ったからワシが教えていくだけじゃぞ!」
「ただでさえこの状況なんだ!こんなことを知らせれば」
「知らせんでもアイツは無理をするぞ!!教えた場合と教えない場合の違いくらい貴様でもわかるじゃろ!!」
「エックスの方はどうするんだ!?」
「奴に教えなければいいだけじゃろ!深刻になる前にこの戦いを終わらせればマシになるじゃろがい!」
「バレたらどうするんだ!?そこまで考えているのか!!」
「太ったといえばいいじゃろ!!そんなすぐにデカくならんわ!!そんなに嫌なら摘出して倉庫にでもしまっとけ!!」
「そんな物みたいなことできるか!!」
「だったら生ませればいいじゃろ!孫ができたようなもんじゃから寧ろ喜べこの馬鹿!!」
「バカとはなんだ、バカとは!?そんなことすれば世の中混乱するわ!少しは考えろ!!」
「そんなもん試験的に作ったとかなんかで誤魔化せばいいだけじゃろうがい!!お前、それでもあの小娘の義父か!この偽善者め!!」
「お前にだけは言われたくはないわ!!ハゲ!!」
「あっ!ついに言いおったな、このサンタクロース!!お前のそのモジャ髭を毟り取ってやろうか!!」
「その前にお前に昇竜拳を当ててやる!!」
「上等じゃ、この野郎!!」
二人の言い合いは取っ組み合いに発展しそうになる。
その直前、ライト博士たちは部屋にいつの間にか隼人とロール、マーティが来ていることに気づいた。
「「「・・・・」」」
「・・・・ロール、神君も。」
「隼人・・・・お前たち、いつから聞いてた?」
「お前たちが騒ぎ始めた時からだ。全部聞いてたぞ。」
「「・・・・」」
二人が気まずい表情になっている中、マーティは戸惑いながらも口を開いて気になったことを聞く。
「さっきの話どういうこと?」
ハンターベース
メカトピア、恐竜帝国との異例の同盟で騒がしくなっているハンターベース。
今日の作業を終えたアクセルは、エックスが戻ってきているとダグラスから聞き、会いに来ていた。
「エックス、お帰り!いや、随分お留守だったから心配してたよ。僕たちの方は・・・」
彼は、部屋に入るがそこに部屋の照明をつけずベッドに腰を掛けながらデジタル端末で写真を眺めている悲壮な表情を浮かべるエックスの姿があった。
「ゼロ・・・アイリス・・・そして、その前には大勢の仲間がいた。」
「エックス・・・・」
感傷に浸っていたエックスは、アクセルの存在に気づき慌てて立ち上がって照明をつけた。
「アクセル・・・来ていたんだな。すまない、少し考え事をしていた。」
「いや、いいよ。僕も突然入ってきたもんだから。大丈夫?」
ベッドに置かれた端末を拾うとアクセルは、イレギュラーハンターの集合写真を見る。
「へえ。これ、僕はここに入る前の集合写真?」
「レプリフォース大戦後のものだよ。チャモチャ星の事件を解決した後だったかな。」
「そっか、僕の知らない顔が多いな。この人たちはどうしたの?」
それを聞くとエックスの表情が曇る。
「・・・いなくなってしまったよ。ユーラシアコロニー、ナイトメア事件でやられてしまった。」
「ご、ごめん・・・・悪いこと聞いちゃった。」
「いや、いいんだ。彼らの犠牲もあったら今の俺たちがいる。」
アクセルから端末を受け取るとエックスは机の中へとしまった。
「アクセル、君から見てゲッター艦隊はどう見えた?」
「そうだねぇ、一言でいうなら『余裕』そうに見えたって感じかな?僕たちが必死に応戦しているときも彼ら、何の迷いもなく淡々と応戦できていたし。」
「俺は、これから起こるかもしれない自分を恐れているんだ。彼らみたいにまるで・・・感情を失ったただひたすら敵をせん滅するマシンに変わってしまうじゃないかって。」
「エックス・・・・僕が言えたことじゃないけど、それはないと思うよ。実際、パレットから聞いたんだけどエックスって自分の・・・なんて言うのかな?闇・・・みたいなものに呑まれそうになっても結局乗り越えられたじゃん。だから、今回も何とかなるよ。みんないるんだし。あっ、ゼロとアイリスはどっか行っちゃったんだっけ・・・」
激励のつもりが思わず墓穴を掘ってしまったとばかりにアクセルは、口を押える。チラッとエックスに顔をやると顔色が良くなったように見えた。
「ありがとう、アクセル。溜まっていたものを言えたから少し楽になったよ。」
「そ、そう・・・それならよかったよ。」
「最近、ろくに昼寝もしてなかったせいかもな。今日は寝るよ、これからのことも考えないといけないし。」
「じゃあ、僕は自分の部屋に戻るよ。」
「それがいい。俺もどのくらい休めるかわからないしね、今のうちに寝だめしよう。」
「それじゃあね。」
アクセルが部屋から出ていくとエックスは、部屋の照明を消してベッドに寝っ転がる。
(わかってはいるんだ。戦わなくちゃいけないことは・・・・けれど、あの機体が力を発揮するたびに本来の自分が何者だったのかわからなくなる。次、覚醒した時も果たして今の自分でいられるのか・・・それだけが怖い。今は忘れよう・・・今だけは・・・この恐れを消すために)
同時刻 早乙女研究所
「あの・・・博士、確認なんですけど。」
ライト博士の話を聞いてロールは、困惑しながらも無言になってしまったマーティの代わりに内容を理解しようとする。
「えっと・・・・えっとですよ?つまり、マーティはあの真ゲッターとの同化の時に体が大幅に改造されて、彼女の体内で正体不明の熱反応が複数見つかった。それで・・・」
「人間の女性で言う『妊娠』、胎内で胎児が宿っている状態だ。」
半信半疑で言いづらそうにしている彼女の代わりに隼人が結論を言う。
マーティのここ最近の体調不良の原因。
研究所に戻るまでは真ゲッターと同化した影響で取り込まれかけた副作用だと考えていたが彼女の病状を振り返ると妊娠初期の女性のよくあるつわりと酷似しており、更にライト博士のここ数日の検査で反応が徐々に大きくなっているのが分かった。つまり、着実に胎内で何かが成長している。
「でも、彼女の体は機械よ?ロボットが子供を作るなんてありえないわよ。」
「ゲッター線は、あらゆる事象を引き起こす。サルから人へ進化させたように、無機物でしかなかった機械を生命体へと進化させることも不可能じゃない。VAVAは特に何の変化もなかったから気にもしなかったが他の二人が大きく変化するとはな。」
「けど・・・」
「だが、報告を躊躇うのも分かる。ロボットが自力で子供を作れるようになったということはそれまで作る役割であった人間の存在意義が失われる。つまり、二人のようなレプリロイドが増えるようになればいずれは人類を淘汰し、滅ぼすことになりかねない。」
「いくらなんでもそれは考え過ぎじゃ・・・」
「本来の未来ではゲッターと同化した人類が他の星の生命を脅かす存在へとなっている。それが機械に置き換わってもおかしくない。ゲッター線が人類を完全に見限ればの話だが。」
「・・・・」
「マーティ、君とエックスに言わなかったのはすまないと思っている。しかし、今の君たちには受け入れがたい話だと思っていたのだ。それに・・・エックスの精神状態を考えれば尚更な。」
ライト博士は、彼女の前で頭を下げて謝罪する。
無言の彼女に対してワイリーは、ジロジロ見ながら聞く。
「そんなわけだ。それでどうする小娘?今からだったら手の打ちようはあるぞ?」
「手の打ちようって何よ?」
「要は胎児が成長する前に摘出すればいいんじゃ。そうすれば話が済む。尤もしばらくの間後遺症で悩むことになるがな。」
「アンタ、最低。」
代わりに聞いたロールは、彼の非情な提案に嫌気が差す。
「だったら、どうする?このままにしておけば腹の中で成長して降ろすこともできなくなるぞ。望まずに生まれる子供がどれだけかわいそうなのか分かるまい。」
「それはそうだけど・・・決めるのはマーティでしょ?」
「じゃが、今のエックスでは猛反対するじゃろうな。」
二人が話しているとマーティは、両手を合わせながらボソリと口を開いた。
「・・・・夢を見たの。」
「「夢?」」
「あのゲッターに取り込まれた時ね。苦しくて動けない中、小さい影たちがアタシの周りに来て支えてくれたの。そして、意識が戻る直前こう言ったのよ。『またね、お母さん。』って。最初はよくわからなかった。レプリロイドが子供を持つなら工場で作るしかないと思ってたから夢に出るのは変だって。・・・・でも、今の話を聞いてやっと意味が分かった。あれはアタシの中にいる子たちでゲッターの意思に呑み込まれかかったアタシを助けてくれたんだって。」
彼女は、自分の腹部に手を触れる。今、こうしている間にも子供が育っているのだ。
「こんなこと言うのは失礼だと思うけど貴方とエックスの子供だって保証は・・・・」
「その心配はいらんよ、ロール。DNAスキャンを行ったところ、胎児はみんなエックスのDNAデータを受け継いでいた。勿論、彼女のもだ。」
「じゃあ、後は」
「アタシは・・・生みたい。エックスとアタシの子供を産みたい。初めてで何もわからないけど自分の中で生まれた新しい命をこの手で抱きしめてあげたい。」
顔を見るとマーティは、強い決心をした表情をしている。ライト博士は、少なくとも彼女は心配ないと判断し僅かながら安堵した。
「そこまで言うのならわしは反対せんよ。だが、問題はエックスの方だ。彼は果たして受け入れるかどうか・・・・」
「なら、この件が済むまで黙ってて。賛成する以前に戦線から突き放そうとするから。」
「ちょっと!貴方まさかその体でゲッターに乗るつもりなの!?」
「ゼロが居ないんじゃ、アタシ以外誰が乗るのよ!?それに傍にいなくちゃエックスがおかしくなってしまうかもしれない。」
「エックスも大事だけど、子供のことも考えなさいよ!無理したらそれこそ」
「マーティの言うことにも一理ある。今からパイロットを選出しても戦いに間に合う保証はない。」
彼女の体を心配するロールに対して隼人は、飽くまで乗せる方針へ話を進めようとする。ロールはいくらなんでもあんまりだと叫ぼうとするがその前に彼は言葉を続ける。
「しかし、ゲッターの影響で生まれた子供なら何か加護のようなものがあるのかもしれない。ライト博士、彼女の体を負担を最小限に軽減するスーツの作成をお願いできますか?それまではマーティをできるだけゲッターに載せないように俺と竜馬たちで戦闘をカバーします。」
「隼人さん・・・・」
「ゲッター線の影響で生まれてくるロボットの子供なんて前代未聞だからな。途中で流産なんかされたら元も子もない。」
「一瞬でも尊敬しようとした私が馬鹿だったわ。アンタ、ワイリーと同類ね。」
「マーティ、お前も体調が悪くなった時以外はできるだけ普段通りの態度で接するようにしろ。急に変えたら却って逆効果だからな。」
「えぇ。」
「ワシは知ーらない!ワシは初めから見なかったことにしよう!」
周りがそれぞれ言う中、マーティは感謝しながらこれからのことを思うのであった。
「ところで子供って何人いたの?」
「4人。」
次回はできるだけ早く書けるようにしたい。