バルスキー隊合流から数日後。
シグナスたち上層部がメカトピア奪還作戦について話し合いをしている傍ら、早乙女研究所では敷島博士主導のゲッター線を動力源とする宇宙戦艦の建造が急ピッチに進められていた。
「ケッ、見ないうちに随分進んどるようじゃのう。」
地下ドッグに来たワイリーは、不満そうに建造中の戦艦を見る。
かつて自分や竜馬、隼人が見たゲッターエンペラーにそっくりだった。
開発は飽くまで敷島担当のため、隼人がエンペラーの存在を完全に打ち明けて模したとは考えづらい。恐らく、ゲッター線の意思が意図的に働いたのだろう。
面白くなさそうな顔で見ていると作業をしていた助手のゲッターロボたちが彼の下にやってくる。
「Dr.ワイリー、何しにここへ?」
「敷島のジジイからもうすぐ船が完成しそうだと聞いたから覗きに来たんじゃ。よりのよってエンペラーそっくりに作りおるとはな。」
尤も見た目がそっくりなだけであって同サイズの巨大ゲットマシンがあれば合体してビッグバンを起こすと言ったことはできない。無論やられても困るが。
「敷島の奴は?」
「向こうでニヤニヤしながら作業しています。」
指を差された方を見ると敷島が何やら巨大な装置を調整しているところだった。
「いいの、いいのう~!!コイツを取り付ければグフフッ、後はコレとこれで・・・・」
「おい、涎垂らしながら作業しおって。このゲテモノを更に物騒にする気か?」
「うん?」
ワイリーが来たことに気づいて彼は操作盤から手を放す。
「なんじゃい、アルバート。暇になって遊びに来たのか?」
「そんなわけあるか。どんな艦になったのか見に来てやったまでよ。エンペラーに似せおって。」
「ゲッター線に一番馴染む形状じゃからのう。余裕があれば弐号艦、参号艦と造った上に合体機能も取り付けたかったんだが。」
「そんな物騒なもん組み込まんでよいわっ!?」
「じゃがこれだけでも十分強いぞ~!装甲は恒星の中で10年過ごそうがビクともせん。口部のエンペラービーム砲の威力は木星サイズの星なら破片も残さず消滅させられるし、他に至る所に敵を醜く殺せる武装をたんまり」
「もういい・・・・ところで研究所の空き部屋が増えたような気がするんじゃが」
頭を押さえながら彼は、話題を切り替える。
この研究所は100体以上のゲッターロボが居住しているのだがここ数日で何故か居住区の半数以上が空き部屋になっていた。ハンターベースやレプリフォースの方へ出向したわけでもないため、まさかだと思うが目の前の新造艦のスペアパーツにされたのではないかと考えてしまった。
「あっ、そりゃそうじゃろう。だって、こっちにみんな引っ越しておるもん。」
「引っ越し?」
「これから戦争しに行くんじゃぞ。戦争には人手がいくらあっても足りんからな。」
「・・・・それで早乙女研究所の機能を全部こっちに移してると?」
「うん!帰ってきたらもっとアップデートする予定にしておるから楽しみにしておけ!!」
そう言うと敷島は、作業へと戻る。ワイリーは、昔と全く変わらない彼の様子に呆れた表情を浮かべた。
(コイツもある意味ゲッターに憑りつかれた男じゃな。竜馬と言い、隼人と言い、何故ここまでやらねばならんのか・・・こうしている間にもゼロがドラゴンに・・・。)
一方、地上では、真ゲッターと新ゲッターの2機があるものに対して実戦訓練を行っていた。
それは
『ギャアアアアアアァアアア!!』
「来るぞ!」
「ウッ!?」
自分たちの倍の大きさはあるであろう『王』の放つ熱線を前に竜馬の合図でエックスたちは緊急回避を行う。
「このままゲッター2にチェンジして地中から回り込む!」
「OK!チェンジ、ゲッター2!!」
隼人とタイミングを合わせてマーティは、チェンジレバーを引き、新ゲッター2へとチェンジ。ドリルアームで地中へと潜り込んで『王』の背後へと回り込む。
『王』が背後に気配を感じ振り向こうとすると目の前に真ゲッター2が現れ、挟み撃ちになる。
「「ダブルドリルストーム!!」」
ドリルの高速回転から発生する竜巻。
挟みこまれてしまえば、並のメカザウルスは外皮を削ぎ取られるどころか体が捻じれ、全身が砕かれる前に爆発してしまうほどの破壊力を持つが100m以上の巨体を誇る『王』は、太い両足で踏ん張って両者を睨みつける。
『グルルルル・・・・』
「フッ、大した奴だ。これだけの威力の竜巻の中で耐えるとはな。」
予想以上のタフさに隼人は、苦笑を浮かべる。
これよりも前にダブルゲッタービーム、ダブルミサイルストームと高威力の技を繰り出したのだがこの生物は難なく耐えきり、あの口から放たれる熱線はゲッターの装甲を容易に溶断するならまだしも、肉体自体も強靭で真ゲッター3の腕を簡単にもぎ取ってしまった。
そして、ゲッター2のスピードで翻弄させようとしたが『王』は、先ほど吸収したゲッター線を利用してか体を青白く発光させ、体内放射による衝撃波で弾き飛ばす。
「何っ!?」
「キャッ!?」
生物と思えぬ反撃に呆気にとられたこともあって反応が遅れて二機のゲッターはそのまま吹き飛ばされてしまう。
真ゲッターは、途中で分離、勢いのままゲッター1へとチェンジしたことで受け身で衝撃を抑えることに成功する。
「隼人、大丈夫か?」
「・・・恐竜帝国の奴ら、とんでもない隠し玉を持っていやがった。昔、あんなものが研究所に送り込まれていたらと考えるとゾッとするぜ。」
「まあ、腕持ってかれた弁慶と比べちゃマシな方だ。」
「いやいや、あんなでっかい恐竜野郎に腕もぎ取られるとは普通思わないじゃん!?」
一方の新ゲッターの方はと言うと山に打ち付けられたショックでマーティが気を失っていた。
「マーティ、大丈夫か!?」
「・・・・」
「マーティ!?」
「心配すんな、溶液の中で泡吹いてるだけだ。それより、早くチェンジしろ。そうでもしねえと焼かれるぞ。」
心配しているエックスを他所にVAVAは、早くオープンゲットするように催促してくる。
「そんな・・・」
「機体の操縦なら遠隔でもできる。お前がタイミングを間違えなければ問題ない。」
「クッ!」
気を失っているとはいえ、彼女に無理をさせたくないと思いながらも彼は、チェンジレバーを引いて高速でゲッター1へとチェンジする。
「これ以上、時間をかけたら不味い!!」
トマホークを取り出すと空いている左腕をバスターに変形させ、射撃を行いながら巨大な標的へと向かって行く。
「竜馬、俺たちも行くぞ。」
「言われるまでもねえ!」
真ゲッターの方もトマホークをサイトへと変形させて反撃を開始する。
接近に気づいた『王』は、背びれを発光させながら応戦しようと口をゆっくり開く。
パンパン
『!』
しかし、次の瞬間彼の目つきは変わり、二機を無視して反転して歩き始めた。
勢いよく突っ込んできた新ゲッターは、反転の際に振り回された尾に激突。真ゲッターとぶつかる形で地上に不時着した。
「うぅ・・・・」
「エックス、お前少し飛ばし過ぎだ。・・・・あの野郎、俺たちの事範疇にもないようだぜ。」
『王』が向かっている研究所の先には、女帝ゴーラ率いる恐竜帝国組がドラえもんたちと共に外で彼らの戦闘を眺めていた。どうやら彼女の手招きが合図となって戦闘を中断したらしい。
『グウウ、グルル・・・』
彼は、研究所の前まで来ると尾を犬のように振りながら次の指示を待ち始める。
「こやつ、本当に私のことを母だと思っているのかのう?」
「まあ、僕は前例を見たことがあるので。」
あまりの巨体に怯えながらもドラえもんは、彼女の指示でスモールライトを取り出して『王』の体に照射させる。かつてエックスがのび太だった頃に首長竜のピー助を育てた際に最後まで親と認識していたのでその類だろうと考えていた。
100mを超える『王』の巨体は見る見る縮小し、1分もしないうちに2mくらい大きさにまでなった。
「では、ゴーラ様。いつも通りに食事を。」
「ガレリィ、本当に私からしか受け付けないのか?」
近づいて頬擦りしてくる『王』を押し返しながら彼女は、傍にいるガレリィ長官に聞く。
「何しろ最初に優しく接したのがゴーラ様ですから。そこの狸に小さくしてもらう前に与えようとした兵士は、餌ごと喰われかけた上に唾液まみれで吐き出しましたからな。恐らく、母親であろう貴方様からしか受け取りません。」
「・・・母上が生きていたら教えを乞うことができたかもしれんな。」
『ウゥウ・・・・』
「分かった分かった。今、やるぞ。」
ゴーラは、兵士に用意してもらった肉塊を一つ取って気を引かせると少し離れたところへ放り投げる。『王』は、小柄になったにもかかわらず、ドスンドスンと足音を立てながら追いかけて行き、軽く飛び跳ねて肉塊を口でキャッチする。
その仕草は遠くから見れば犬にしか見えない。
「コイツ、さっきまでのび太たちをボコボコにしていたのが嘘みたいだな。」
「僕、昔パパに頼んでイグアナを飼ったことがあるけどなんていうか迫力が違うな。ブラキオサウルスのプラモ作って家が壊れかけた時みたいな・・・・」
目の前でじゃれながら食事をするこの得体に知れない生物に対して、ジャイアンとスネ夫は無意識に冷や汗を掻く。
「ところでこの子のプランが決まったのか?」
「はい、等身大のままではかなりの期間になってしまいますがこのぐらいのサイズなら移動中に完了すると思います。ただ・・・本当にいいのですか?従来のサイボーグ手術ではなく、強化外装を取り付ける簡易タイプで?これだとコックピットは外付けになってゴーラ様の安全性が・・・」
「あの子はゲッター線耐性が高い。早乙女研究所の方からバリア発生装置を取り寄せて組み込めば多少はマシになるであろう?」
「はあ、ですが正直なところ申しますと私も長官もこの個体を護衛にして専用メカザウルスを製作した方がよいかと・・・」
『ギャアアッ!!』
「うわっ!?」
気に触れたのか、『王』は食事を中断して報告していた技術者の飛び掛かる。小さくなって脅威度が薄れたとはいえその力はライオン以上でその気になれば、この男があっという間に絶命させてその身を食い荒らしていただろう。
「やめい、皆私のことを心配して言っておるのだ。怒るんじゃない。」
『グルルルッ』
「ひ、ひいぃ・・・・すいませんでした。」
彼は、怯えながらゴーラに宥められながらも自分を睨みつけてくる『王』に謝るのだった。
鏡面世界 シティ・アーベル
同じ頃、鏡面世界のシティ・アーベルでマジンガーZがバルスキー隊の機体と模擬戦を行っていた。
「・・・・クッ。」
倒壊したビル街の物陰でネロは、苦虫を嚙み潰したような顔をしていた。マジンガーZの翼は、高熱ビームによって溶断されており、飛行能力を著しく低下してしまっていたのだ。
『どうする?ネロ、リハビリだからもう終わりにしましょうか?』
まだ、万全じゃないと見据えていたのかローテールが通信で降参を勧める。
「いや、まだ大丈夫だ。続けさせてくれ。」
『いいけど、いきなりトップガンダーとゴチャックが相手じゃ悪いんじゃない?一対一でやればいいのに。』
「複数の相手でやり合えるようになる必要がある。」
『分かったわ。じゃあ、二人には加減しないように言っておくから。』
通信を終えた直後、ビルの壁を壊して二本の腕がマジンガーZの首を押さえた。
「グッ!?」
「ローテールが言っていたよな?手加減しないようにってな。」
ゴチャックのドルメルは、力を強めてZの首を千切ろうとする。
「ゴチャックロック!!」
「ウゥ・・・・このくらい!!」
「おっ!?」
背負い投げで壁に叩きつけられたドルメルはすぐに起き上り、肩の棘を放熱させてタックルを仕掛ける。
「アイアンカッター!」
マジンガーZは、右腕の左右から刃を飛び出させて攻撃を受け止めてドルメルのスパイクアーマーを切り裂いた。
「ムッ。」
「よし、最初に・・・・・うわっ!?」
ドルメルの肩を破壊して追撃を仕掛けようとした瞬間、長距離からの高出力ビームがZの左足に命中する。外装にダメージは、ないものの内部の配線が焼き切れたのか足元がおぼつかなくなる。
「スタックか。」
廃ビルの上からトップガンダーのスタックがバスターランチャーを構えて次のタイミングを窺っていた。
「足を奪った。次は本格的に動きを封じる。」
本体との接続ケーブルを外し、今度は弾倉を取り付けて狙撃をする。飛ばされた弾頭はZとの前で炸裂し、中身の液体が全身を覆った。
「こ、これは対大型兵器用特殊粘着弾!?」
液体は瞬時に固まり、マジンガーZは、自由を奪われる。
「あの機体、通常のバスターランチャーの狙撃を受けても翼が溶解するだけに留まっていた。なら、最大出力で仕留める。」
トップガンダーは、ランチャーのケーブルをスタックのコネクターに再接続し、カードリッジを交換して狙いを付ける。
「ゴチャック、ドルメルを下がらせろ。最大出力で撃つ。」
「お、おい!いくら何でもやり過ぎじゃねえか!?」
「動けなくなったとはいえ、無理やり引きちぎってくるかもしれないからな。それに隊長は手加減をするなと言っていた。だから、壊れようが文句を言われることはしていない。」
「りょ、了解。」
ドルメルは、脚部のスラスターを吹かせてその場から離脱していく。粘着弾の効力で身動きを封じられたZは、こう檄から逃れようともがいている。
「腕も飛ばせない・・・他の武器もスタックまで届かない。どうすれば・・・・!?」
打つ手がないかと考えた矢先、ネロの脳裏に知らない記憶がフラッシュバックする。
それは、空中から高速で落下してくる巨大な爆弾とも言える大型兵器に対してマジンガーZが目から放たれる光線で破壊した瞬間だった。
「光子力・・・・ビーム・・・・光子力ビーム!?」
彼は、急いで記憶の断片を頼りに操作を行う。
「角度調整。姿勢を可能な限り整え、エネルギーを最大。粘着弾のおかげで衝撃で倒れる心配はないが・・・」
Zの奇妙な動きに違和感を感じつつもスタックは、バスターランチャーの引き金を引く。銃口から放たれたレーザーは真っ直ぐ目標に向かって行く。
「よし、頼むぞマジンガーZ。光子力ビーム!!」
ネロが発射ボタンを押すと目から極太の光線が発射される。目の前の建造物を吹き飛ばしながら迫りくる光線は、スタックのバスターランチャーのレーザーを打ち消す。
「っ!?コイツはまずい!」
トップガンダーは、急いでスタックを変形させて離脱しようとするが完了する前に直撃して他の建物と巻き込まれる形で姿を消す。
「トップガンダー!?」
ゴチャックは、ビームが消えた後にスタックがいた周囲を探し始める。センサーを切り替えて捜索すると瓦礫の中に下半身と右腕が溶解したスタックの残骸が見つかった。
「と、トップガンダー・・・・」
死んだのではと思い上半身のハッチを無理やり引き剥がしてみる。コックピットのトップガンダーは幸いにも無事なようで衝撃で顔面を負傷しているだけだった。
「まさか、これほどの威力とは・・・・!」
背後からの殺気にドルメルは、腕部にビームサーベルを引き抜いて振り向くとそこには、胸の放熱板を発光させて発射態勢を整えているマジンガーZの姿があった。
「これで決着だゴチャック。」
「何を!?まだ、俺のドルメルが残っている!このくらいで・・・・」
「そのぐらいにしておけ。」
負けを認めようとしないゴチャックの目の前にバルジオンに乗ったバルスキーが上空から割り込む形で降下してきた。
「隊長!?ですが俺は・・・」
「『Z』の熱線の威力は既に他の大型兵器たちとの戦闘で把握している。ドルメルの装甲じゃ耐え切れん。それに背後のトップガンダーを巻き込みかねん。」
「うっ・・・」
手痛い指摘を受けてゴチャックは、何も言い返せなくなる。バルスキーはトップガンダーに通信を送り、安否を確認した。
「トップガンダー、大丈夫か?」
「あぁ・・・流石はメカトピアの守護神とまで言われた大型兵器だ。スタックの下半身が完全に吹き飛んでしまった。隊長、悪いが後でプロフェッサー・ヘルに新しい機体の要請をしてくれ。これじゃあ、作戦までに復帰できない。」
「分かった。ネロ、俺は本気でやれとは言ったが機体を再起不能にしろとまでは言わなかったぞ。危うくトップガンダーもあの世逝きになるところだった。」
「す、すみません。」
ほぼ実戦の感覚でやっていたこともあってネロは、武装にリミッターを設けなかったことについて謝罪する。そんな彼を見てバルスキーはメンタルが不安定になっていることを察し、基地に戻って休むように伝えた。
飛んでいくマジンガーZを見送りながらゴチャックは、コックピットのハッチを開けて上官に質問する。
「隊長。ネロの奴、あんな戦い方でしたっけ?なんて言うか、前の模擬戦の時は落ち着いて対処していたと思ったのですが・・・」
「あれは、セラが戦死する前だったからな。今だにアイツも引きずっているんだろう。俺も未だに立ち直れたわけじゃないから分かる。」
「隊長・・・・」
「さっ、スタックの残骸を回収して俺たちも引き上げるぞ。」
「は、はい!」
ドルメルの腕を掴むとバルジオンはスタックの残骸を抱えながら空中へと飛行する。
(・・・・俺も内戦終盤で大勢の部下を犠牲にした。今だにアイツらの叫びが耳元で聞こえる。軍に入れば誰もが経験することだ。こればかりは時間をかけるしかない。)
??? ???
「鉄人兵団バルスキー隊からの注文がきました。至急、メンバーの一人のトップガンダー専用の機体を用意してほしいとのことです。」
地球から遠く離れたある惑星。
表面のほとんどが海水に覆われ、一年のほとんどは雨で占められている。
そんな海の上に建てられているメカトピアの施設の中で一人の女性ロボットが上司と思われる人物に報告をしているところだった。
「早速、相手にしてしまいおったようだな。」
「パイロットが生存しただけでも奇跡のようなものです。」
「確かメカトピア内戦時に奴が使用していた大型兵器『バッシュ』のオリジナルが倉庫に保管されていたはずだ。そいつを改修して繋ぎとしてくれてやれば良い。イチナナの量産もあるからな。」
「では、向こうにはそう伝えてビックウェインに改修作業をさせておきます。・・・・・それで、どう対策するおつもりで?」
女性ロボットは、端末を操作し終えると急に態度を変えて詰め寄る。
「データを拝見しましたが戦闘でマジンガーZは、明らかに自力で『魔神パワー』が解放していました。やはり、この世界でも貴方が言うようになるというのですか?『終焉の魔神』に。」
「断言はできんが可能性は大いに上がったであろうな。そもそもあのロボットたちとの騒ぎで覚醒しなかっただけ運が良かったのだ。あの時点で魔神化する条件は揃っておったのだからな。」
「それならどうして今になって・・・」
「恐らくゲッターと言う存在への抑止力か・・・或いはただの偶然か・・・儂にも分らん。」
「・・・正直、あの時所長が何故自らを犠牲にして貴方に全てを託したのか今も分からない。ジュピターとマースも本来なら科学要塞研究所の一員として迎え入れられるはずだった!それを・・・それを貴方のせいで・・・私も鉄也も!!」
彼女は、憎悪を込めた眼差しで男を睨む。男の方はと言うと一瞬見たかと思えばすぐに外の方へと視線を戻しては気のない言葉を発する。
「その代償として儂は全てを失った。あしゅら、ブロッケン。地下帝国、機械獣軍団・・・・野望のすべてをな。軽率だと言うべきだった・・・・あの9体を手中に収めれば・・・奴が完成する前に手に入れられると。」
「貴方が憎い!!あんなことさえなければ人間として生きられたのかもしれない!まだ、別の未来があったのかもしれない!それなのに・・・・」
「だからこそ、剣造が何故アレとお前たちをただの抜け殻と化した儂に託したのか今だに考えておる。」
「考えてる?・・・ハハハッ、体を機械化してまで生き長らえることを選択していつ来るとも分からない終末の刻に備えてアレを改良し続けて、彼を戦闘マシンのように・・・・これで止められると!?」
女性ロボットは、情緒不安定の状態に陥り目から涙を流しながら叫び続ける。しかし、等の男は響いていないのか淡々と呟く。
「よもや今までにない例外中の例外。恐らく失敗すれば次などなく全てが消えるだろう。その時は・・・お前たちの好きにするがいい。すべてが終わる前にな。」
しばらくして満足するくらい泣いたのか、女性ロボットは平常心を取り戻して顔を上げた。
「失礼しました。興奮気味になるとつい。」
「もう、何千、何万回も付き合っているから流石に慣れたわい。そろそろ奴が戻ってくる頃だ。出迎えてやれ、炎ジュン。」
「今はエラトネールです、Dr.ヘル。いえ、プロフェッサー・ヘル。」
エラトネールは、それだけ言うと部屋から出て行く。
ヘルは、彼女が部屋から去るのを見届けると窓から雨が降り続ける外を眺めた。
外では丁度、マジンガーZに酷似したロボットが施設の方へと戻ってきているところだった。
色々やりすぎちゃった(;^ω^)