4月。
旧暦で言うと卯月、英語だとApril、4日にオカマの日、29日に昭和の日が設定してある。まぁどうでもいい。
4月。
それは人にとって様々な事が始まり、未知のものに戸惑い、真新しい事に翻弄され、これからに胸を膨らます時期。
かく言う私も無事に高校受験を乗り切り、県内でも有数の私立進学校である
そして本日はその松陽学園の入学式であり、初登校の日である。
私立というだけあって資金が豊潤なのか入学式に使用した講堂の椅子はフカフカで、学園長のゆったりとした口調の長いお話によって危うく夢の世界へと旅立つところだったが腿肉を抓って事なきを得た。腿肉は犠牲になったのだ。睡魔の犠牲にな。
ちなみに隣の男子は爆睡していた。寝不足なのかな?クマがあるし。
この学園には附属中学校があり、中学受験をして高校にそのまま上がる、所謂エスカレーター式進学があるため、クラス分けに高校受験組の3ヶ年コースとエスカレーター組の6ヶ年コースと言う組み分けがあり、更にそれぞれの中で理系文系や特進進学普通とクラス分けされる。
上記の事から窺えるように生徒の分母数は多く新1年生の生徒数だけでも300を優に超す。
故に学校の敷地面積も大きく、校舎、部活棟、体育館、グラウンド、講堂や食堂、実習に使用する農地や研究林などを含めると、のべ300haにも及ぶ。これは東京ドーム64個分に相当する。でもあれだよね、東京ドーム何個分って言われてもしっくり来ないよね。何で東京ドーム換算するんだろう。
また話がそれた。
これは1つの高等学校が保有する面積としてはあり得ない程広く、敷地内を自転車で移動する事が許可されているまである。
学習カリキュラムも農地や研究林がある事から他の学校と比べて異色の物が揃っているのが分かっていただけるだろう。
ぶっちゃけて言うと、ここまでやるか普通…、という感想が浮かんで止まない。
以上の事が校長の話を聞いてる間に浮かんでいた事である。ちゃんと起きてたんだから!
さてさて、長ったらしい先生来賓方の話も終わりいざ1年間お世話になる教室へとGO!としようと講堂を出たら、あれまびっくり。
目の前にバスが数台並んでいるではありませんか。
どうやら教室へ行く前に敷地内をバスで移動しつつ校舎等諸々の場所を見せて回るらしい。
何のツアーですか?
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松陽学園はアホみたいに大きい。
簡単にまとめても、正面校門から見て敷地を東西南北中央にブロック分けして、北に学園長室や教員室、生徒会室、部活動連盟長室、風紀委員室と言った生徒の纏め役達が活動の場としている校舎、東に高等部生徒の学習校舎、西に中等部生徒の校舎、北東に研究林、北西に農地、中央にグラウンドや体育館、食堂兼購買、室内プールの様な全生徒共用施設、となる。
え、わかりずらい?これでも頑張ってまとめたの!
1時間半にも及ぶ敷地把握ツアーを終え、私達はやっとこさ教室へと入る事ができた。
教室自体もまた大きく、我ら1-4、生徒数42名が全員入ってもゆとりのある広さとなっている。
運良く同じ中学出身の友人が1人いたが、変わり種な学習カリキュラムがあるという特色故に県外からも進学者が多く、高校のある敷地とは別に寮を持っているので見知らぬ人もかなり多い。
まぁ、流石にアニメや漫画のようにピンクやら青やらオレンジやらという髪色の人はいないが、金髪や薄いブラウン、薄く赤みがかった黒髪などはちらほら見られる。
また、少しばかりパンフレットに載っていた制服とは細微が異なる制服を着ている人がいるが、ある程度自由が許される校風なのでやり過ぎない制服改造などは許容されているので風紀委員や生徒指導の先生にとやかく言われる事はない。実際に学校の半分以上が何らかの改造を施しているため全体で見たらそこまで珍しい物でもないし。
が、1人。
たった1人だけ明らかに異彩を放ち、教室中の視線を一身に受けている人がいる。
男性で細身長身、背の丈は180を少し超すぐらいだろうか。
髪は不清潔さを感じさせない程度には伸ばしあまりクセもなく、その色は綺麗な黒である。
顔立ちもかなり整っており、雑誌のモデルとして表紙を飾る事も出来るであろう容姿をしている。
ここまでなら学年に1人はいそうなイケメンとして女子からキャーキャー言われそうだが、今の所我がクラス内からは黄色い悲鳴は上がっていない。
その理由は彼の服装にある。
・糊の利いた白いシャツ
・シミひとつない白いベスト
・型崩れが一切してない純白の蝶ネクタイ
・糸屑やホコリなど一切付いてない綺麗な黒のジャケット
・見るだけで上質な綿を使っていると分かる白手袋
・年代物と分かるモノクル
以上より該当する服装→燕尾服
燕尾服より該当する職業→執事
そう、執事である。
執 事 で あ る 。
そんなイケメンで高身長で執事な彼が教卓の目の前の席に座り、これまた高価そうな懐中時計を上質そうなハンカチで磨いているのである。
今日日何処かの大富豪でも側に置かなさそうな100%純執事である。
訳がわからない。
何故、執事なのか。
何故、ここに居るのか。
何故、燕尾服なのか。
何故、懐中時計など持っているのか。
雰囲気や物腰的に本当に高校1年生なのか。
てか、もはや制服ですらないがそこの所は校則的に大丈夫なのか。
などなど、疑問が尽きないが、取り敢えず分かった事は、彼が教室内の彼以外全員の視線を受けても気にもしない程度の豪胆さを持っている、という事である。唯の鈍感なのかもしれないが、取り敢えず動物園のパンダ状態なのに気づこうよ。
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担任と思われる先生が来るまでの十数分間、何とも言えない空気の中、彼は懐中時計を磨き、モノクルを磨き、手鏡で服装や髪型に乱れがないか確認し、懐から取り出した手帳で何かを確認しつつミニ万年筆で何かを書き込んでいた。
本物の執事の作法なんて全然知らないけど、彼の仕草が付け焼き刃や一夜漬けの様な半端なものではない事が分かる程に堂に入った物だった。
勿論、早くもグループを作りキャイキャイと会話をしている生徒もいたが、盗…聞き耳を立ててみればどのグループも会話内容が執事のことに関してばっかりである。
やれカッコイイだの、背が高いだの、あれ本職なのかなぁだの、あの執事欲しいだのetc…
わぁ、モテモテだぁ。
まぁ、2/3程は好奇心と戸惑いでいっぱいだと思うけど。
なんだかんだで、私達新入生の初めてのHRが開始される時間になり、教室の前扉から先生が入ってきた。
人当たりの良さそうな笑顔を浮かべ、彼は私たちに声をかけた。
「皆さん、ご入学おめでとうございます。」
今、ここから私の高校生活が始まろうとしていた。
あ、執事についてはノータッチでっ
息抜きで書いた
後悔はない