Fate/joker ~運命の切り札~   作:タナト

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戦闘回!で戦闘のみです。
お待たせしました!
サブタイは聖杯と書いてカリスと読みます。


第4話 聖杯、再び

 現れたのは白い髪の少女と黒々とした肌の大男。私は、とっさにマスターの前に出る。

「皆様、ご機嫌麗しゅう、私はイリヤスフィール・フォン・アインツベルン」

少女はスカートの裾を上げ優雅にお辞儀した。

「アイン…ツベルン…」

後ろの凛が焦ったような声を上げる。

「おい、まさか…」

ハジメは信じられないというような顔をしている。

「そうです、彼女もマスターです。おそらくサーヴァントは狂戦士、バーサーカーかと…

危険です。マスターは下がっていてください」

「そんな…あんな子供が…」

「マスター以外にも混ざってるみたいだけど、いいわ、全部殺して、バーサーカー」

こちらの気分など歯にもかけず、少女はバーサーカーに命令した。

緊張が一瞬で高まり、頂点に達する。

バーサーカーの世界さえを揺るが

すような咆哮が響く。

「■■■■■■■■■■■■!」

「来ます!」

バーサーカーはアスファルトを抉って跳躍した。

私は迎撃の準備をした。幸いにもマスターは至極冷静だった。一番対応が遅れるであろう白井を横抱き、後ろに跳躍した。バーサーカーは私の数歩先に着地する。それだけですさまじい衝撃が発生する。

 私は意を決し、。王風結界(インビンシブル・エア)に包まれた剣を構え、突撃する。

剣と斧がぶつかり合い、甲高い金属音とともに火花が散る。その一瞬で理解した。

—強い—

それも、とてつもなく。百凡の英霊になら絶対に負けないという自負はある。だが目の前のそれはそんな領域にいるものでもなかった。

間髪入れずあらゆる方向から斬撃が殺到する。それは例外なく迅く、鋭く、まとまりのあるものだった。バーサーカーとは思えない技量の高さ、おそらくは魂に染み付いたものであるのだろ、いったいどんな武勇を誇る英霊なのか…

マスターから引き離すように撃ち合う。

—ズキッ―

胸に走る鋭い痛み、ゲイ・ボルクのダメージだ。一瞬動きが鈍る。

狂戦士はその隙を逃さなかった。

ほとんど大岩のような斧が、私の腰に衝突する。

存在ごと抉り取るような一撃、意識を保つだけで精一杯。私は空高く投げ出される。

体が地面に叩きつけられる。

意識はほとんどなかった。

立ち上がれたのはそれこそ本能のようなものだった。

「そいつ再生するから首をはねて」

イリヤスフィールは冷酷に告げる。

バーサーカーは相変わらず、射殺すような殺気をぶつけてくる。

もはや、痛みとすら言えないような痛みが意識を削る。

黒い影が私にとどめを刺さんと跳躍の予備動作に入る。

だが引くわけにはいかない私の後ろには守るべきものがある…

—シュタッ―

えあたしと狂戦士の間に影が割って入った。私は声を失う。

バーサーカーも同じく驚愕したイリヤスフィールに合わせて動きを止める。

「マスター…!」

それはハジメだった。

「あなた、何考えてるの?」

目の前のマスターの愚行にイリヤスフィールは軽蔑するような瞳を向ける。

「誰かに守ってもらうのは性に合わない」

自分はマスターの前に立ちたかったが、朦朧とする意識からそうはできなかった。ただかすれた視界の中、懐から一枚のカードを出すのが見えた。

「ちょ、ちょっと!あなた下がりなさい!」

「始!」

後方の凛や橘たちも叫ぶ。

「そ、いいわ。無駄だと分かったから死にたいってことね。やっちゃえ、バーサーカー!」

バーサーカーは今度こそ跳躍する。

しかし、その時にはマスターの腰にそれが巻かれていた。

「変身」

 マスターが放ったその言葉、魔術の詠唱には短すぎるそれがどんな意味を持つのか、その時の私は理解できなかった。

—CHANGE—

無機質な声が聞こえたかと思うと、突如マスターの体に流水のようなものが流れる。

「マスター⁉」

バーサーカーの凶刃が迫る。私は言葉に出すだけで限界だった。

—ガキンッ—

一際強い金属音、飛び散る火花、バーサーカーの斧は弾かれていた。目の前に現れた、黒い鎧をまとう戦士によって…

「………っ!」

バーサーカーは敵のあまりの変化を警戒し、後ろに飛びずさった。

黒い戦士はその手に持った弓のような得物で斧を弾いたのだ。

「マス、タ―なのですか?」

そう問うと彼は肩越しにこちらを見やりうなずいた。その視線は彼のかぶった仮面越しにも分かる鋭さを帯びていた。

それは奇妙な仮面だった。2本のしなった突起をたたえ、ハート型の複眼を持っていた。普段は柔らかいイメージを持たせるそれだがそこからは抜け目のない鋭さが感じられた。

そして、それはただ美しかった。

「あなた、何者?」

イリヤスフィールの問いかけに、黒い騎士は向き直る。

「そうだな…この際だ、カリス、仮面ライダーカリスと名乗っておこう」

マスターがどんな表情をしているかは分からないが少女の顔が一気に険しくなる。

カリス、それがマスターのもう一つの名。この戦いでその名を名乗る意味とは…

「あなた、そんな名前ふざけてるの⁉」

少女は凍てつくような視線と声音で言った。

「悪いが、この名前とはもう何年も前からの付き合いだ」

マスターは動じず、腰のバックルを手に持った武器をおもむろに付けつつ言った。

「そう、あなたが何者にしろ、聖杯の名を騙るような傲慢な行為を後悔させてあげる!バーサーカー!」

カリス、それはまさに聖杯の意。

「俺にも負けられない理由がある。戦うしかないというなら、そうするまでだ。相手が誰であろうともな…」

ハジメの、いやカリスの落ち着いた言葉を啖呵に戦いは再開された。

両者が動いたのはほぼ同時だった。

バーサーカーはまとも距離を詰めんと踏み出す。マスターは右手で私を横抱きそのスマートな体躯からは想像もできない脚力でふわりと後方へ飛び上がった。カリスはそのまま、持っている弓から光弾を放った。それはバーサーカーの頭部に命中したが、まるで効いていないようだった。

「………」

カリスは柔らかに着地し、私を立たせるや否や、

「遠坂!ここは俺たちが食い止める。そのかわり虎太郎を安全圏まで逃がしてくれ…」

と後ろにいる凛に言った。

凛は一瞬戸惑いながらも了解し、白井を連れ走り出した。

それに反応したバーサーカーは逃がさないと言わんばかりに、標的を凛に変え急接近してくる。

そこに立ちふさがったのは、橘だった。

「俺を忘れるな!変身!」

—TURN UP—

その電子音とともに橘の前に光の壁が現れた。男はそれをくぐり赤い仮面の騎士となる。

私にはもう驚く気力すらなかった。赤い騎士、ギャレンはバーサーカーの斧を紙一重で躱し、スライディングしながら至近距離で銃弾を放った。その弾丸はバーサーカーの目元にあたった。それを受けバーサーカーは初めて怯んだ。それに乗じギャレンは距離を開けた。

マスターもすでに次の手を打っていた。彼は一枚のカードを取り出し、弓に読み込ませる。

—RECOVER—

その音声とともに紋章が浮かび上がりカリスの右腕にしみ込み光りを帯びる、そしてその手を私の傷口に叩きつけた。

「…っ⁉」

私は激しい痛みを覚悟したが、苦痛はなかった。それどころか痛みは引き、体力も回復した。

「マスタ…」

私が言い切る前にカリスは弓を構えながら、

「動けるなら来い、そうでないのなら引け」

と短く言った。

返答など決まっている、身体も戦闘可能だ、それに本来マスターを守るべきサーヴァントが、守られるなどあってはならない。

「はい、行けます」

私は複眼を真っ直ぐ見て言った。

それを聞くとカリスは無言でバーサーカーへ駆け出した。私もそれに続く。

ガリッ!ジャリッ!ダンッ!

それからの戦いは拮抗したものだった。カリスがバーサーカーの攻撃を逸らし、一定の距離を保つギャレンの射撃が行動を阻害し、私が切り込む。

一様攻撃は通っているようだが、決め手になるものはなくすぐに回復していた。

「おい、セイバー。一瞬でいい、こいつの動きをとめるような攻撃、あるか?」

カリスは巧みに攻撃をいなしながら聞いてきた。

「はい、ですが若干のためが必要で…」

このままではらちが明かないと考え、作戦を思案する。

「その隙は俺が囮になってつくろう」

そう言ったのはギャレンだった。

「頼んだぞ橘。セイバー、お前は俺たちが次のカードをラウズしたら距離を取ってその攻撃の準備に入り、俺の合図で繰り出せ」

私は無言でうなずく。

そして2人は素早くカードを取り出し、武器に読み込ませた。

——FUSION——

私とカリスは飛びずさった。入れ割るようにギャレンが2枚のカードをラウズし、バーサーカーへ突撃する。

—THIEF—

—GEMINI―

2つの紋章がギャレンのアーマーに溶け込む。

「風よ唸れ…」

私の声に反応し、剣を竜巻が包む。そしてそのエネルギーは収束していき、際限なく高まっていく。解放の準備は整った。

 それを悟ったバーサーカーは目の前で妨害を続けるギャレンにとどめを刺さんと、斧を大きく振りかぶり、振るう。その無慈悲な斬撃がギャレンに届くかと思われたその時、ギャレンの体が煙のように消えた。

バーサーカーはあるべき手ごたえの喪失によってバランスを崩した。

「やれ!」

カリスが叫ぶ。

相手はアインツベルン、私の真名などとうに知っている、よって剣を隠す理由はない。ここしかないと確信する。

王風鉄鎚(ストライク・エア)!」

解放の言葉とともに剣を突き出す。

超高密度の竜巻の塊がバーサーカーの体にもろに直撃した。その巨体は浮き上がり倒れ完全に無防備なものになった。

—BIO—

すかさずカリスはカードをラウズし、弓の先端を地面に突き立てる。

するとバーサーカーの近くのアスファルトから太い無数のツタが伸びた。それは容赦なくバーサーカーを拘束した。

それだけではすぐ破られると思った。しかし、

—ROCK—

空中に突如現れた黄金の翼をもつギャレンがカードを読み込ませ、弾丸を放つ。

弾丸はツタを石に変えていた。

そうしてその隙は決定的なものとなった。

「決めるぞ、橘!」

「分かってる!」

2人は3枚のラウズカードをそれぞれ取り出し、読み込ませた。

—FLOT—

—DORIL—

—TORNADO―

3つの紋章がカリスに溶け込み、額が光る。

—GEMINI—

—DROP―

—FIRE—

ギャレンにも同様の事が起きる。

—SPINING DANCE—

―BURNING DIVID—

そして二人は飛び上がった。

先を飛ぶギャレンが2人に分身し、その間にカリスが入る。カリスは回転とともに竜巻を帯びる。ギャレンの足もまた炎を帯び始める。

そして2人はバーサーカーに足を向け急降下する。その力は一つとなり、大きな炎の渦のようになる。

「「ハァァァーーー!」」

2人の蹴りは間違いなくバーサーカーの胸に刺さっていた。轟音が響き、熱波が広がる。

「…くっ⁉」

これが、仮面ライダーの力。

迫りくる熱波と防風、それが止んだ時、2人は私の傍らに立ち爆炎を見つめる。

しかし、黒い影は健在だった。

「そんな、手ごたえはあったはずだ…」

ギャレンは驚愕の声を上げる。

バーサーカーはなおもこちらを攻撃せんとし、歩みだす。

私たちも身構えるが、後ろから、

「もういいわ、バーサーカー」

少し離れたところから戦いを見ていたイリヤスフィールが近づいてきてバーサーカーを制した。

「あなたたち、バーサーカーとここまでやりあうなんてやるじゃない。でも残念だったね、バーサーカーは不死身なの」

彼女はクスクスと笑いながら言葉を続ける。

「…っ!どういう意味だ!」

カリスが若干の動揺を見せ、彼女を問いただす。

「どうしてって、バーサーカーは一番強いサーヴァントだからよ。ギリシャ神話一の大英雄、ヘラクレス」

「…っ!」

なるほど…武勇も知名度も私すら凌駕する英雄、白兵戦で彼に勝てる者はいないと言っていいだろう。

「でも今日は見逃してあげるわ。まだまだ楽しめそうだから」

少女はニコニコしながらバーサーカーに歩み寄った。

「帰るわよ、バーサーカー」

バーサーカーは命令に従い、彼女抱きかかえた。

私はカリスを一瞥したが彼は小さくうなずき、一歩下がった。

相手が引いてくれるなら追わないということだろう。

私は警戒こそ解かないが剣を下した。

白い少女はそれを見ると無邪気な笑みを浮かべ、

「またね、おにいさん♪」

それは少女の見た目に違わぬ愛らしい声だった。

バーサーカーは跳躍し、視界から消えた。

冬木の冷たい空気が戦闘で高ぶった精神を徐々に収めていった。

 




どうでしたか?初めての本格的な戦闘描写だったのでうまく伝わる少し不安です。
ラウズカードの効果の拡大解釈がありますが、ご了承ください。
APの計算が地味に大変でした。

 最近アマゾンズにはまってます!まあ一期だけですが、ライダートークも皆さんとしたいので、評価・感想・メッセージ待ってます!
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