超次元ゲイムネプテューヌ ~殺し屋の異世界見聞録~   作:鉄の字

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ネプテューヌ、アニメ終わりましたねー。
最後の最後に中々感動できる終わりかたでしたね。


機械と人間

森から街へ帰還したあと、シアンちゃんから報酬を貰った。

するとシアンちゃんから『宿が決まってないのなら私の家に来いよ!』とのこと。

報酬を貰い、宿まで提供してくれるとは至り尽くせりってやつだな。

シアンちゃんは仕事があるから俺達に住所を説明した後、早足で帰って行った。

俺達もゆっくりと跡を追ってシアンちゃんの会社に向かっていた。

 

 

「まだまだ序盤だからかなぁ?何かモンスターを倒した時の報酬がことのほか寂しいよーな…………………」

 

 

「こら、いくら報酬が少なくても、それを文句言うのは失礼だろ」

 

 

「でも、噂に聞いたです。なんでも……アヴニールって言う大きな会社さんがお仕事をみんな持ってっちゃってるせいで不況らしいですよ?」

 

 

「確かに。中小の工場がアヴニールのあおりで潰れてるってのは、あるみたいだけど……………別にそのせいだけじゃないんじゃない?」

 

 

「でもそれって悪い会社だよね!?お仕事、独り占めしちゃってるんでしょ?それはすなわち、悪だよね!?」

 

 

「……………そこで『うん』って言ったら襲い掛かりそうね。でも別に世界征服をしてるワケじゃないんだし。そもそも会社を善悪で分けるのはどうかなー」

 

 

そりゃあ、アヴニールは仕事を独占している以外は普通の企業だ。

故に、こっちが先に手を出したらどうか?

答えは明白だ。

 

 

ネプちゃんがアヴニールにカチコミに行く様子を想像する。

うん、一般から見たらどちらが悪いのかすぐに分かるな。

本当にやることになったら全力で止めよう。

 

 

「先に言っとくけど、武力行使は駄目だぞー。それに、俺達の旅には全く関係のねぇ事だし。俺達にとっては畑違いの問題だろ」

 

 

「それは駄目!私達の目的は人々を困らせるものをやっつけること!困っている人達を助けるのならモンスターだって、会社だってやっつけるんだから!放っておくのはなしっ!」

 

 

薄々気づいていたが、やっぱりネプちゃんには話が通じないということが分かった。

ま、決意が固いっていうのはいいことかもしれねぇがな。

 

 

「一般的に会社は倒すものじゃないんだけど。そういう時は武力じゃなくて協会や女神様に、相談するのが普通なの」

 

 

「直談判ってやつか。だけど、仮にアヴニールに黒い噂があったとして、あの協会だと女神に会わせてくれるどころか何の話も聞いてくれねぇと思うぞ?」

 

 

「それもそうよねぇ…………どっちにしても現状じゃ打つ手無しなんだから、とりあえずその問題は置いといてさっさとシアンの所に行きましょ」

 

 

自分達が何もできない事にネプちゃんはまだ不服そうだったが、これに関しては仕方ないとしか言いようがないしな。

 

 

俺は俯くネプちゃんの頭を乱暴に撫でる。

 

 

「どんな不満な事でもいつかチャンスは来る。それまで待てばいい話だ」

 

 

「…………うん、そうだよね!ありがとう進!」

 

 

屈託のない笑顔を向けるネプちゃん。

うん、やっぱりこの子は笑顔がよく似合うな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここがこの前、モンスター退治の時に会った社長さん……………シアンの会社?」

 

 

「お、来たか……………別に会社なんて立派なもんじゃねーよ。ただの町工場」

 

 

奥から頬にオイル汚れがあるシアンちゃんが首にかけたタオルで拭いながら出てきた。

 

 

「調理器具からミサイルまでなんでも作ってるぜ?それよりこっちだ。ここじゃ落ち着いて話もできないだろ」

 

 

そう言ってシアンちゃんは俺達を案内して外を出ると、工場の隣にある食堂らしき店に入っていく。

 

 

「好きなトコに座ってくれよ!ここ、私の家だから」

 

 

「へぇ~、じゃあ私カウンター席とったーっ!」

 

 

こういう食堂は初めてなのかネプちゃんは興奮しながらカウンター席に座る。

俺達もカウンター席に座った。

 

 

「でも仕事場の隣がレストランなんていいなー……………っていうか、頼み放題だよ!?」

 

 

「自分の家で頼み放題しても仕方ないだろ。工場の稼ぎだけじゃ苦しいからな。母さんがここを片手間でやってくれてるんだ。この辺りは、ま、なんていうか。アヴニールのせいで中小にまで仕事が回ってこなくなってるからな……………」

 

 

「やっぱりアヴニールは悪い会社なんだ!シアンも街の人もそれで困ってるんでしょ?」

 

 

「悪いなんてもんじゃない!仕事を全部取り上げて自分だけドンドンでかくなる化物みたいな会社さ!!どういうわけか女神様も、それに仕える協会も。アヴニールの悪行には見て見ぬふりだ。放っておいたら大陸中があの会社に乗っ取られるに決まってる!!」

 

 

ほぉ、協会も女神も知らんぷりか。

何か繋がりがあると見た方がいいか?

 

 

「やっぱり、私の思ったとおりだよ!アヴニールを倒さなきゃラステイションに平和は訪れないよ!?」

 

 

「まぁ、さっきそんな話をしていたが、どうするんだシアンちゃんよ?まさか、デモでも起こすつもりじゃないだろ?」

 

 

どんなに酷いことをされても、先に手を出した方が負けだ。

暴力は何も生まない、まさに今の現状はその通りである。

 

 

「大丈夫だ、ちゃんと考えはある。今年は待ちに待った総合技術博覧会の年だからな」

 

 

「……そうごう、ぎじゅつ、博覧会?それって何です?お祭りでもあるんですか?」

 

 

「そういえば、三人はラスティション初心者だったわね……………面倒だとは思うけど、一から説明してあげて」

 

 

旅慣れしているあいちゃんにそう言われ、シアンちゃんは顎で奥の壁を指さす。

俺達の視線はその方向に向かされる。

壁には大きめのポスターが貼られていた。

何回も言うが、字が分からん……………

 

 

「ラステイションでは四年に一度、総合技術博覧会ってのがあって、いろんな会社が決められたジャンルで展示を行う催しがあるんだ。目的は技術交流らしいが、それだけじゃない!出展したモノの中で最も優れた展示品には女神様から直々にトロフィーが送られるんだよ!!」

 

 

互いに技術を見せ合う展示会か。

工業が発達したこの大陸にはまさにピッタリな行事だな。

 

 

「つまり、優勝してアヴニールより優れた技術力を見せつけ、さらに、女神に直接現状を訴えるって言ったところか?」

 

 

俺の推測にシアンちゃんは「ああ!」と大きく頷いた。

 

 

「だから博覧会への準備が必要なんだ。なんたって優勝しないと意味がないからな。今までで最高の物を作らないといけない。今回呼んだのもそれに関わっているんだよ」

 

 

「借金の保証人なんか絶対しないよー!」

 

 

「え?マジ?俺、金払うなんて嫌だよ!?」

 

 

俺の好きなのは金と美女!

その他は何もいらないし、何もあげません!!

 

 

「……………うぉ~い」

 

 

あいちゃんは話の腰を折るネプちゃんと俺に半眼で睨んでいたが、シアンちゃんは気にする様子もなく、むしろ豪快に笑っていた。

 

 

「はははっ!先立つものって言ってもお金じゃねーよ!資材や道具を運ぼうにもモンスターの脅威は増すばかり……………ネジ一本だって命がけだ!それで、これからも細めに仕事を頼むだろうからよろしくって事さ」

 

 

「あーー、成る程。俺達をここに呼んだのは、博覧会までに俺達はモンスターの邪魔を阻止してくれってことだろ?」

 

 

「ま、そういうことだ。時々ムチャな依頼するかもしれないが、頼りにしてるぜ?」

 

 

「まっかせてよ、シアン!阻止するけど、別にモンスターを全部倒しちゃってもいいんでしょ!?」

 

 

「ネプちゃん、その台詞は死亡フラグっぽいから」

 

 

いや、あれは鼓舞するために言ったから死亡フラグではないのか。

 

 

「はははっ!よしっ、じゃあ契約成立だな。部屋は二階にあるのを自由に使っていいぜ。勿論、オッサンは別の部屋だからな!あ、でも飯はちゃんと払ってくれよな?」

 

 

ま、こういうことで俺達は暫くはシアンちゃんの下で働くことになった。

 

 

後、シアンちゃんの俺に対しての渾名が『オッサン』なんだが……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねー!なんで!?アヴニールは悪い会社だって分かったのになんでそこの仕事なんかするのー?」

 

 

「理想だけじゃ食べていけないでしょ?ご飯も仕事も好き嫌いしてたら立派な大人になれないってことよ」

 

 

「そうだそうだナスを食え、ナスを」

 

 

「な、なななななナスは関係ないよっ!!」

 

 

シアンちゃんからの依頼が来るまでは暇なので路銀稼ぎで仕事を受けることにしたが、あいちゃんがとってきた仕事は件のアヴニールからの依頼だった。

 

 

「ナス食えなかったら大人にはなれねぇぞぉ~」

 

 

「進はまた私を子供扱いしてぇー!!このニコチン中毒者!!」

 

 

「幼女」

 

 

「老け顔!」

 

 

「地平線の如き胸」

 

 

「字の読み書きできない!」

 

 

「ちんちくりんのおめでた頭」

 

 

「「……………………………………」」

 

 

「……………お互い傷つくなら止めたらいいのにですぅ」

 

 

こう、心に(違う意味で)グッと響きました……………

 

 

「はいはい漫才はそこまでにしてね。ほら、依頼主が来たわよ」

 

 

目から溢れ出る水を拭い、前を向くとビジネススーツをビシッとキメた中年の男性がやってきた。

いかにもビジネスマンって感じだが、その瞳はどこか冷たい。

 

 

「……………まぁ、社の者が頼んだのなら仕方が無い。私が市外のプラントを視察する間に周辺のモンスターを一掃してもらいたい」

 

 

「へいへい了解~。他に注意点とかはないですか?」

 

 

「くれぐれもモンスターを逃がして施設に被害を与える様な真似だけはしてくれるな……………では、後は任せる」

 

 

淡々とそれだけ告げると依頼主はさっさと奥へと行ってしまった。

 

 

「なんか感じ悪いです……………きっとシアンさんの時と同じで、子供だと思って侮ってるです。失礼しちゃうです」

 

 

「それだけだといいんだがな…………」

 

 

「進さん、どうかしたですか?」

 

 

「いんや、ちょーっとばかし、な」

 

 

長年、色んな依頼を受けて来た勘だが、あの目はどうみても俺達を侮っているだけではないな。

俺達を…………人間を否定している目、と言ったところか?

 

 

アヴニール…………予想以上に面倒くさそうだな。

 

 

「じゃあさっさとモンスター倒しちゃいましょ。ここは何人かに分かれて別々に行動しない?」

 

 

「ん、じゃあ俺一人だけでいいわ。ネプちゃん、コンパちゃん、あいちゃんで組みな」

 

 

「えぇ~~、進、一緒に来ないの~?」

 

 

「でも、進だけでも戦隊物のロボット並みの戦力があるから大丈夫じゃない?」

 

 

あいちゃん、それは俺が人外だと言いたいのかい?

 

 

「ま、そういうわけで、あいちゃん、コンパちゃん、ネプちゃんのことよろしくな。俺は向こうへ行くから」

 

 

俺はネプちゃん達とは反対側の道を進んだ。

後ろから『また子供扱いぃぃいいい!!!』って叫び声が聞こえるが無視の方向で。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は依頼主の後を追いながら、途中現れるモンスターを文字通り蹴散らし進むと目の前には大きな工場があった。

 

 

耳をすますと中からは機械音が聞こえる。

 

 

アヴニールの工場に間違いようだが、何故、こんなモンスターがちらほら出てくる所に建ててるんだ?

街では見られては困る物を開発してるのか?

 

 

いかんせん、今は情報が少ない。

それに時間がないしな。

だが、マークはしといた方がいいな。

 

 

「戻るか」

 

 

刀の峰で肩を叩きながら工場に背を向けて元来た道を戻り始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「よぉ~~、終わったか~?」

 

 

「終わったよー!もうここら辺にはいないよ!進は?」

 

 

「バッチリバッチリ。見敵必殺、サーチアンドデストロイだから」

 

 

俺がネプちゃん達と合流する。

どうやらネプちゃん達も上手くいったようだ。

 

 

そこへ、丁度いいタイミングで依頼主が戻ってきた。

 

 

「施設の視察は終了した……………そちらのモンスターの駆除も終わったか?本当にモンスターは全部倒したんだろうな?」

 

 

「大丈夫ですよ。見える限りのモンスターは倒したから周りにはいないと思います」

 

 

「そうか……………だが、もしモンスターが残っていて施設に傷の一つも付ける様な事があれば……………今後一切、君達に仕事は頼まん」

 

 

鋭い眼孔をさらに鋭くして睨む依頼主。

何ともお厳しい評価なことで。

 

 

「そ、そんな大げさですぅ。壊れても、すぐ直せば済むじゃないですか……」

 

 

そんなコンパちゃんの何気ない言葉に依頼主はカッと目を見開き、怒りにプルプルと震え始めた。

 

 

「……………何も分かっておらんな。対して役にも立たん人間の分際で機械を軽んじるなど、おこがましい…………!!人に機械ほどの精密さがあるか!?人に機械ほどの正確さがあるか!?」

 

 

低く唸るような声でコンパちゃんに怒声を浴びせる依頼主。

コンパちゃんは突然のことに肩がビクッと震えた。

 

 

それからと言うものコンパちゃんを『不完全な人間だ』とか『ミスするのが人間なら私は機械に仕事を頼む』とか訳の分からんマシンガントークをタラタラと続けられた。

こりゃあ聞くに耐えんな。

 

 

コンパちゃんも涙目だった瞳からとうとう涙腺が崩壊してポロポロと涙がこぼれぐずり始めてしまう。

 

 

俺はコンパちゃんの前に出た。

 

 

「…………す…………す……………む…………グスッ………ざん…………」

 

 

「何だ君は?まだ話の途中なんだが?」

 

 

「もうここまでにしておいてくれませんか?彼女も泣いていますし、貴方も言いたいことも言ったから十分でしょう?」

 

 

「フン、その子供が機械を軽んじているから悪い。君も年長者なら、その子にちゃんと言い聞かせておいてくれないか?ああ、不完全な人間だとそれは無理な話か。不完全な人間が教えてできるのは不完全な人間だからな。機械には遠く及ばん」

 

 

不完全な人間ねぇ……………

人間と機械の話なんか中学校の英文に出てきた話だろ。

こいつ、ちゃんと勉強してんのかねぇ?

 

 

「確かに、俺は不完全な人間だ」

 

 

金で人を殺し、目的の為なら手段を選ばない糞畜生。

それが、殺し屋である俺だ。

 

 

だがーーー

 

 

「だが、この子は違う」

 

 

コンパちゃんはネプちゃんと同じように困っている人を助けようとする。

そして、誰とでも優しく対等に接し、あの明るい笑顔を振りまく。

 

 

だからこそ、この子は機械よりも偉大な存在だ。

 

 

俺は依頼主の胸倉を荒く掴み、デザートイーグルを取り出して依頼主の眉間に突きつけ、撃鉄を起こす。

 

 

「……………そんなに機械が好きなら勝手に一人でター○・ネ○ター作ればいいだろうが?これ以上なにか意味分からねぇことをタラタラ、タラタラとほざくなら、そのクセェ口の他に眉間にもう一つ口作ってやるぞ、アァ?」

 

 

殺気を剥き出しにしてドスの利いた低い声で脅す。

依頼主は段々と青白い顔になり、脂汗をダラダラとかきだす。

 

 

「し、失礼するっ!」

 

 

依頼主は力任せに俺から離れると報酬を俺に押しつけ、逃げるように早足でその場から去っていった。

ククク、ザマァ。

 

 

俺はコンパちゃんに向き、頭にゆっくりと手を置いて優しく撫でる。

 

 

「ごめんな、コンパちゃん。本当だったらぶん殴りたかったけど、仮にも依頼主だったからな」

 

 

「いえ…………すすむさん…………ありがとうですぅ…………」

 

 

「コンパちゃんは立派だぜ?それは俺達がちゃんと保証するしな。あんなオッサンの言うことなんか和式トイレに流しちゃいな」

 

 

「すすむさん………………ふえぇ~~~~ん!!!」

 

 

不意を突いた俺の言葉にコンパちゃんはまた泣き出し、俺に抱きついてきた。

お、おお、中々の大きさですな……………

 

 

こ、こりゃあ参ったな。

助けを求めるようにネプちゃんとあいちゃんに視線を向けるが……………

 

 

「「…………………………」」

 

 

ネプちゃんはネコ目になってこっち見てるし、あいちゃんはやれやれといった感じでこっちを見ていた。

 

 

そして、下を見ると俺の胸に顔を埋めているコンパちゃん。

 

 

………………………俺はどうすりゃあいいんだろうね?

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