超次元ゲイムネプテューヌ ~殺し屋の異世界見聞録~   作:鉄の字

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護る為に殺す

あの後、何とかコンパちゃんを泣き止ませて、今はシアンちゃんの家へ帰っているところだ。

 

 

先にネプちゃんとコンパちゃんが先を歩き、後ろに俺とあいちゃんが追いかけるように歩く。

 

 

コンパちゃんは自分がした事に今更気づいたのか顔を真っ赤にしてこっちをチラチラと見ている。

んー、恥ずかしいのかねぇ。

 

 

そして、その横でネプちゃんが『進の体どうだった?カチカチだった?カチカチマッチョだった?』とか聞いていた。

 

 

「ごめんな、あいちゃん。これでアヴニールからの仕事が来なくなったかもしれない」

 

 

俺は前の二人に聞こえない程度の小声であいちゃんに話しかける。

 

 

「あら、むしろ私はあいつをぶん殴って欲しかったけど?」

 

 

「ククク、そりゃ物騒なことで」

 

 

「それよりも、私が何でアヴニールの依頼を取ったのか分かったのよね」

 

 

「アヴニールの情報を聞き出す為だろ?まぁ、あんなオッサンだと聞くのは難しいだろうけど」

 

 

じゃなきゃ、あの女の子を泣かす男の恥の仕事なんかとらんだろ。

 

 

「そうよ、進って仕事柄、色んな人から色んな依頼を貰ったことがあるのでしょう?だから、何か分かるかな?って思ったのよ」

 

 

「何か分かるって程じゃあねぇと思うが、恐らくアヴニールは会社員少ないぞ?あのオッサンがお偉いさんなら全て機械に任せるだろうしな。んで、オッサンが視察に行った施設には多分大事な物、博覧会の作品が作られているってことぐらいしか分からないかなぁ」

 

 

「…………………むしろ分かり過ぎじゃない?」

 

 

「逆にこれだけ分からなかったら甘いぜ、あいちゃん。戦の布陣、勢力、作戦、そして勝利は全てーーー」

 

 

俺は人差し指でこめかみをトントンと叩く。

 

 

「ーーーここで決まるんだぜ?」

 

 

「あんたにそれをドヤ顔で言われるとは何か癪だわね」

 

 

「どういうことじゃい、オラァ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいまーっ!あーくつろぐなぁ……この汚いカウンター!差し迫る狭い造り!こびりついた食べ物さんの匂い~」

 

 

「シアンちゃん、酒!仕事終わりの酒くれ、酒!!ビール!焼酎!洋酒!」

 

 

「はっ倒すぞ!オッサンはまだ昼だから自重しろ!そう言えばお前等、あのサンジュに会ったんだろ?どうだ?嫌な奴だろう!!」

 

 

サンジュ………………あぁ、あのアイラブ機械ーー!!なオッサンのことか。

 

 

「会った!あいつ、機械がどうこうってコンパを泣かせたんだよ!絶対、悪者だよ、あいつ!!あっ、でも進のメンチビームとタンカバトルで相手はもう顔真っ青で逃げていったよ!!」

 

 

「ははは!オッサン、やるなぁ!あのサンジュを脅したのか!?すげぇな!」

 

 

「いやいや、女の子泣かす奴はこの世全ての悪だから。シアンちゃんは前にそいつに会ったことあるの?」

 

 

「もちろんだ。問題の会社の代表だし。あいつ、俺が居た専門学校のOBだしな。特別講師で来た時に会ったけど、たぶん、その時と同じ事を言ったんだろ。『人に機械ほどの正確さがあるか?』とかな」

 

 

「ああ、それで怒鳴ってコンパちゃんを泣かせたんだぜ?あれは機械好きなレベルじゃねぇだろ」

 

 

「アイツは技術者の腕を否定する。技術者の誇りを否定する。だから嫌いだ。それだけじゃないけど、嫌いだ」

 

 

何か思うところがあるのだろうか?

シアンちゃんは顔をしかめて、どこかに視線を向けて、遠いところを眺めていた。

その様子を見た俺達の視線に気づいたのかハッとした表情になり慌て始めた。

 

 

「あ、今なんか、らしくない事言ったな私!そんな事より仕事の話をするか!今日は隣町まで行って、シェーブルの資材屋から必要な資材を受け取ってきてほしい。馴染みの店だから、地図を渡しておく」

 

 

つなぎのポケットからあらかじめ用意していたのであろう、手書きの手紙を俺に渡してくれた。

 

 

その時、食堂の端に設置してあるラジオから流れていた音楽が中断されチャイムが流れた。

 

 

『………………放送の途中ですがここで協会からの公共情報をお送りします。例年より大分発表の遅れていた総合技術博覧会に関してですが、教員関係者の話では今年の開催は見送られる事になりました』

 

 

「っおい!?ちょっと待ってくれよ!!」

 

 

突然過ぎるラジオの放送にシアンちゃんは縋るようにラジオに向けて叫んだ。

 

 

『教院側は参加企業の減少を理由として挙げていますが、民間の実行委員会からは教院主導の大陸行事に対し、国政院による圧力があったのではないか、との意見から反発が強く、今後の方針について充分な審議がなされるのかどうかにも、疑問の…………………』

 

 

「ふざけるなっ!今やらなくて何時やるってんだ!?四年後まで待ってたら参加する工場なんて本当に、一つもなくなっちまうんだぞ!!」

 

 

「ちょっ!シアン、落ち着いてよ!!」

 

 

「この工場にとっても……………もう今年が最後のチャンスかもしれないのに……………!!」

 

 

ネプちゃんの声を無視し、顔を真っ青にしながら頭を抱え取り乱すシアンちゃん。

皆がシアンちゃんを宥める中、俺はカウンターの近くにあった酒瓶を勝手にとり、グラスに移して飲んだ。

 

 

不思議と、高価な筈のその酒は全く美味くはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの後、何とかシアンちゃんは落ち着いたものの、まだ、どこか納得いかない様子。

待ちに待った会社の存続を左右する大事な博覧会なので、ショックは尋常ではない。

とりあえず、埒があかないので俺はネプちゃん達に『暫く置いておこう』と言いその場を離れ、今は街の外れの草原にいる。

 

 

「シアンちゃん、大丈夫かねぇ?」

 

 

「結構ショック受けてたけど協会の決定だから仕方ないわよ。ほとぼりが冷めたのを見てから帰りましょ」

 

 

「それが妥当だな。んで、そのほとぼりが冷めるまで俺達はそこら辺をブラブラ彷徨く………………………………はずなんだよな?」

 

 

「ええ、そのはずなんだけど……………………」

 

 

俺とあいちゃんが視線を横にずらすと使命という炎を燃やすネプちゃん、コンパちゃんが。

 

 

「「何で鍵の欠片の情報すらも掴んでないのに依頼を二つの返事で受け取るんだよ(のよ)………………………」」

 

 

シアンちゃんの食堂から出て数分、俺達がこれから鍵の欠片の情報を聞きに行こうとしたとき、別行動とっていたネプちゃん、コンパちゃんが迷子の子供の捜索を引き受けてしまったのだ。

 

 

もう、何で数分としない内にこんな金にもならない厄介事持ち込むのよ……………

天才?君達天才なの?

厄介事を持ち込む天才なの?

 

 

「 世界を救う為とはいえ、目の前の人を放っては本末転倒です!お爺ちゃんが言ってました。千里の道も一歩から、ですぅ!」

 

 

「その子のお母さんも凄く心配してたんだよ!街の外にはモンスターさんも沢山いるし、急いで見つけないと、ガブッと食べられちゃうかもよっ!」

 

 

「食べられたら食べられたでいいじゃない。自然の摂理よ…………あーー!!もうっ!分かった分かった!あんまりのんびりしてると、手引いちゃうからね!!」

 

 

この二人の説得は無理だろうと判断したあいちゃんは渋々承諾して二度目の溜め息を吐く。

その言葉に喜んでいる脳天気二人組を見て俺の頭痛はさらに増し、こめかみに手を置いてしまう。

 

 

「あいちゃん、俺は頭痛がして仕方ねぇよ………………」

 

 

「安心しなさい、私もよ……………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これは、モンスター……………もう死んでるわ。大丈夫だから!隠れてないで、早くこっちに来てよ」

 

 

子供が入ったであろう洞窟を進んでいくと、少し開いた場所には無数の惨殺されたモンスターが転がっていた。

 

 

俺とあいちゃんはそれの生死を確認した後、後ろの岩から覗く十字キーとカチューシャに向かって呼びかける。

 

 

「ダメダメダメ!!今回はあいちゃんと進に一任するから適当な結論出して閉めちゃって!私とコンパはここで静観してるから!!」

 

 

「そ、遭難者探しを再開したくなったら言って欲しいですぅ!!」

 

 

「さっきまでのやる気に満ちた覚悟はどこ行った、オイ」

 

 

どうせ直ぐ消えるから死体の一つを二人が隠れている岩にむけて投げ込もうか?という考えが脳裏を掠めたが、そんな気分じゃないので拒否。

 

 

「でも、この倒され方、ラステイションの武器じゃないわ。鋭利な切り口に大口径の焼け跡……………プラネテューヌの先進兵器、ともちょっと違う」

 

 

「ちょい待ち、あいちゃん、この世界ってレーザー兵器とかあるの?」

 

 

「レーザー兵器となるとプラネテューヌにしかないけど、そんなの普通にあるわよ?」

 

 

Oh…………異世界カルチャーショック……………

 

 

「ってことは………………レールガンとか高周波ブレードとかは?」

 

 

「高いけどショップに売ってるわよ」

 

 

あいちゃんのさらりと言い放つ言葉に俺はあいちゃんの両肩をガッシリと掴みあいちゃんに詰め寄る。

 

 

「あいちゃん、今すぐプラネテューヌに戻ろう。やはり旅立つ為には装備が必要だ。俺とネプちゃんの刀を高周波ブレード、コンパちゃんの注射器をレールガンに!そして、あいちゃんのカタールをライトセイバーにしよう!!俺とネプちゃんは雷◯になれるし!コンパちゃんは超電磁砲になれるし!あいちゃんはジ◯ダイになれるんだぞ!!!」

 

 

「ちょっ!近い近い近い近い!!!落ち着きなさいよ!あんた、目が血走っていて怖いわよ!もうプラネテューヌは離れているし、買おうにも私達のお金じゃ買えないわよ!!」

 

 

なん………………だと…………………!?

 

 

俺の胸に燃える男のロマンが儚く燃え尽きた………………

 

 

「やっぱり世の中、金…………か。貧乏人は辛いなぁ~」

 

 

容易く近代兵器なんか使えるわけねぇってか……………

金好きなのに貧乏。

これ如何に。

 

 

俺はポケットから煙草を取り出そうとするが、あいちゃんにその手を掴まれた。

 

 

「ちょっと、まだ未成年の私の前で煙草吸うのはやめてよ」

 

 

「あぁ、ごめんごめん」

 

 

これまでの道のりではネプちゃん達から離れて吸うか、わざわざ喫煙所まで行って吸ってたからなぁ。

 

 

俺はあいちゃんから離れて洞窟の開いた場所のネプちゃんとコンパちゃんがいる所とは別の入り口付近で吸うことにした。

銘柄はラステイション・スピリット。

中々、香りがいいな。

 

 

紫煙を少し吐き、再びモンスターを見る。

段々と粒子となって消えていくが、俺はそこでおかしな所を発見した。

 

 

「………………何で人の足跡が無いんだ?」

 

 

そう、これだけのモンスターと戦ったのだ。

例え、戦闘でかき消されたとしても俺がいる所や、ネプちゃん達がいる所に足跡があっても不思議ではないはず。

だが、実際は足跡がない。

 

 

綺麗な切り口に大口径の焼き跡があるのなら殺したのは武器を持った人間に間違いはない。

 

 

武器を持ち、尚且つ飛ぶことができる人間……………………

 

 

「………………ネプちゃん?」

 

 

俺の頭には変身後のネプちゃんの姿が思い浮かぶ。

確かに変身後のネプちゃんは空中を泳ぐように飛んでいた。

 

 

しかしながらネプちゃんはずっと俺達と一緒にいたのでネプちゃんではない。

 

 

なら、誰が………………

 

 

 

 

 

 

……………………ん?

 

 

ふと、どこからか俺達に高速で近づいてくる気配を感じた。

 

 

すると俺の横を黒い影が通り過ぎてネプちゃん達の前に現れる。

 

 

「一般人?何してるの、こんな所で」

 

 

黒を基調としたボディースーツに勝ち気な明るい水色の瞳に混じり気のない真っ白な髪を腰あたりまで伸ばした少女。

その姿はどこか変身後のネプちゃんに酷似している。

背中にはハイフィン、手には機械質な大きな剣を持っていた。

そして、この子がモンスターを………………

 

 

………………………うむ、Cか。

悪くはない。

むしろ、いいね!

 

 

「そ、それは私のセリフよ!あんた、何者なの。何しに来たのよ、こんな何もない所で!!」

 

 

「子供よ。迷子の子供を助けに来たの。もう街の側に置いてきたけど。それより私と同じ様に仕事を受けた子が居たはずよ?ネプテューヌって言うの。知らない?」

 

 

ネプちゃんの名前を知ってる?

あいちゃんはババァの件を思い出し思わず苦い顔になる。

まぁ、俺としても知らない振りをして相手の出方を見るのが無難だが……………

 

 

「うわー!何!?すごいカッコイイよ!!あいちゃんの知り合い?」

 

 

あーあ、ご本人、出て来ちゃった。

 

 

「私じゃなくて、ネプ子の知り合いでしょ?…………この人、ネプ子の名前知ってるわよ。変身後とちょっと似てるし……………どういう関係なの?」

 

 

「うぇえ?だってぜんぜん見覚えないよ?ごめん、どっかで会ったかな……………?」

 

 

ネプちゃんは記憶喪失なので仕方ない。

知り合いだったら慌てるだろう。

 

 

だが、相手の反応は違った。

 

 

「……………そうね、下界だもの。それに部外者の前だし知らないフリをして争いは極力避ける……………人型のネプテューヌにしては真っ当な判断だわ。だけど………………私がわざわざ顔を見せる為だけにここまでやって来たと、思う?」

 

 

少女は不適に笑うと表情を一変させ、剣を構える。

 

 

チッ…………やっぱり敵か。

 

 

「決着をつけるわ、ネプテューヌ!!」

 

 

ネプちゃんに突撃していく少女。

 

 

敵の接近を許した事に苛立ちを感じながら、俺は煙草を捨て、ネプちゃんの下に走り出した。

 

 

だが、相手の方が遥かに速い。

ネプちゃんは対応できず目を瞑ってしまい避けることができない。

そして、俺も間に入り、防ぐことができない。

 

 

 

 

 

 

またか?

またなのか?

 

 

俺はまた護れねぇのか?

 

 

“あの時”のように目と鼻の先にある護るべき命を護れねぇのか?

 

 

………………いや、違う。

 

 

あんな事を起こさない為に殺すのだろうが。

あんな悲劇を起こさない為に殺すのだろうが。

 

 

例え、それが誰かが望まないことだとしても。

例え、その行為で俺を見る目が変わったとしても。

例え、それで誰かが悲しんだとしても。

例え、この身が果てたとしても。

 

 

俺は………………

“彼女”と同じように俺を殺し屋だと分かっていても蔑まないあの子達の為に…………………

 

 

 

 

 

 

 

…………………こいつを殺す。

 

 

 

 

 

 

 

 




やっとブラックハートことノワール出せた………………

次回、進VSノワールですっ!!


久々の三人称の戦闘描写、自信ねぇ~……………
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