超次元ゲイムネプテューヌ ~殺し屋の異世界見聞録~   作:鉄の字

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リバース発売一週間、きりましたね。
そういえば、ネプちゃん達の眼鏡姿、あれってギャグなのですかね?


優しい

 

 

 

 

「……………………………帰るのが辛ぇ~~」

 

 

重工業が盛んなせいか、排気ガスによる黒い雲から青空が覗くラステイション。

 

 

そんな大陸の真ん中の街のさらに真ん中。

 

 

俺、漆谷進はベンチに座り、ダラーっと地面に足を投げて、煙草の煙を吹かしながら空を見上げる。

 

 

端から見れば失業したお兄さんだ。

“おじさん”じゃなくて“お兄さん”。

ここ大事。

 

 

「ハァ~~~~~~………………………」

 

 

やっちまった。

本当にやっちまった。

 

 

女性に、しかも、仲間に大声を出して怒鳴ってしまった。

 

 

俺は紳士だよっ!?

フェミニストだよっ!?

女性に優しくしねぇといけねぇんだよっ!?

 

 

男?

そんなの知らんッッッ!!

 

 

そりゃあ、俺は別に人の理想とかには別に口出しはしないよ?

 

 

だけど、ネプちゃんの言っていることは少し甘い。

 

 

平和は戦争と戦争の間にある一時的な休息に過ぎず、永遠の平和なんてあるわけがない。

よく、ファンタジーな王道主人公が平和を掲げて戦い、敵と戦うときに『本当は戦いたくない!』と言うが、俺は『じゃあ、戦うなよ』と常々思う。

 

 

話し合いで解決するなら何故戦う?

相手が応じないからか?

その時点で矛盾が生じている。

 

 

ネプちゃんの理想はそんな王道主人公な感じである。

甘い、と思わざるをえない。

 

 

「ま、殺し屋風情が口出しする事じゃねぇけどな」

 

 

思わずカラカラと笑ってしまう。

俺ごときが他人の理想にケチつける資格は皆無である。

それに、さっきの事は言い過ぎだ。

 

 

「あーーー……………鬱だ……………」

 

 

笑いから表情を無にしてため息を吐く。

過ぎた時は戻すことなんざできない。

 

 

あぁ、数時間前の自分を殴りたい。

どの面下げてネプちゃん達に会えばいいんだよ………………

 

 

「のわっ!?」

 

 

突然、足に小さな衝撃と共に奇妙な叫び声が聞こえた。

 

 

視線を前に向けると、黒いドレス調の服を着て、紅い瞳に赤いフレームのメガネをかけた、長い黒のツインテールの少女が痛そうに座り込んでいた。

 

 

ふむふむ、Cか。

さっきの少女といい、この大陸の少女は全てCなのか?

 

 

「いたたた…………ちょっと!脚を伸ばしながら座るなんてどんな常識をして………………」

 

 

「あーー、ごめんごめん。色々と考えごとをして………………何で剣を構えてるの?」

 

 

「あ、あんた、こんな所まで来てたなんて………………!私がここに来るのを予測してたっていうの!?いいわ、例えこっちが手負いでもあんたに負ける気はないわっ!やられたらやり返す、倍返しよっ!!」

 

 

突然、お嬢ちゃんは俺の顔を見るなり敵意を剥き出しにして腰に差していた片手剣を俺に突きつけていた。

 

 

「いや、お嬢ちゃん、天下の往来で剣を出すのはトチ狂ったように見えるぞ」

 

 

「え?……………あ…………そ、そうよね…………今は変身後じゃないしね……………」

 

 

俺の世間一般な指摘に何か自分の姿見てブツブツ言いだすお嬢ちゃん。

本当に大丈夫か?

特に頭の中とか。

 

 

………………………ん?

よくよく見るとこの子、至る所怪我してるじゃねぇか。

こんなに可愛い子に傷跡が残るのは男として放っておけるものか。

 

 

「お嬢ちゃん、ここに座りな」

 

 

俺は煙草の火を消して携帯灰皿に入れて今座っているベンチの隣をポンポンと叩いてお嬢ちゃんに座ることを促す。

 

 

「な、何するつもりっ!」

 

 

「落ち着けって。何もとって喰おうなんか思ってねぇよ。そんな怪我したまま放っておけるかっつーの。応急措置ぐらいしてやるよ」

 

 

「……………………………………え?」

 

 

何だ、そのさっきまで殺そうとしてきた奴が急に優しく接して来た時のような反応は?

 

 

「……………何が目的?」

 

 

「ん?目の前に困っている人がいたら手をさし伸ばすのが普通だろ?」

 

 

ただし、女と金限定で。

 

 

お嬢ちゃんは俺の言葉にキョトンとした顔になってしばしの間思案顔になる。

 

 

そして、黙ってツンとそっぽを向きながら不機嫌そうな顔で俺の隣に座った。

 

 

うーーん、これって治療していいってことだよな?

えらく警戒されてるが、俺ってこの子に嫌われることしたっけ?

 

 

「じゃあ、痛い所を言ってくれるか?」

 

 

「体全部」

 

 

これまでにないくらいアバウトな答え、ありがとうございます。

所々擦り切れているから目に見える範囲で治療するか。

 

 

俺はコートのポケットを弄り、中から救急箱を取り出す。

 

 

「ちょっと待ちなさいよ!その救急箱、どう見ても絶対コートのポケットに入らないわよね!?そのポケット、四次元ポケットか何か!?」

 

 

「え?あー、このコート、高級品だから」

 

 

「高級品、関係ないわよねっ!?」

 

 

おお、中々鋭いツッコミをするな。

 

 

「じゃあ、手袋外してくれるか?」

 

 

「す、スルー………………」

 

 

お嬢ちゃんはまだ何か言いたそうだが黙って二の腕まである黒い手袋を外す。

白い肌の腕には赤い傷跡が所々にある。

 

 

俺は救急箱の中にあるガーゼに消毒液を染み込ませながら傷跡に当てて消毒をする。

 

 

「……………っ!」

 

 

「はいはい、我慢しろよ~~」

 

 

「べ、別に痛がってなんかないわよっ!!」

 

 

「へいへい。しかし、こんな怪我、どうしたんだ?モンスターにやられたのか?」

 

 

「……………………モンスターなんか可愛く見える程、凶暴な奴にやられたのよ」

 

 

どこか皮肉めいた感じで言うお嬢ちゃん。

ふーん、そんな奴いるんだな。

会ってみたいものだ。

 

 

消毒を終えて腕に絆創膏を貼る。

次に頬にある傷に消毒液を含ませたガーゼをあてた。

 

 

痛さにまた顔を歪ませるお嬢ちゃん。

 

 

…………しかしなぁ、このお嬢ちゃんの傷跡に妙な概視感がある。

つい最近……………つーか、あの洞窟で会った少女につけた傷の場所が殆ど一緒なんだが。

 

 

じーーーっと、お嬢ちゃんの顔を見ると何となくだが顔立ちが似てる気がする………………

 

 

「お嬢ちゃん、最近俺とどこかで会った?」

 

 

「ええ!?な、ないわよ!あんたみたいなヌボーっとした間抜けな顔をしたオッサンなんか初めて会ったから!!」

 

 

…………………何か必死だな………………

 

 

因みに、このヌボーっとした顔は昔からだし、俺は23歳だっ!!

四捨五入してもまだ20だぞ!!

立派な“お兄さん”だっ!!

 

 

俺がそう考えて黙りこんでいると涙目でオロオロするお嬢ちゃん。

可愛いと言えば可愛いが、益々怪しい。

 

 

 

 

……………………………………………ま、いっか。

 

 

 

 

 

俺はそれからは黙って治療を続けて、お嬢ちゃんの怪我している所、全てに絆創膏を貼って治療を終えると救急箱をポケットの中にしまう。

 

 

「これで終わりかな?じゃあ、モンスターだかなんだか知らねぇが、気をつけろよぉ~~」

 

 

「ちょ、ちょっと待って!」

 

 

ベンチから立ち上がり手を振りながら背を向けようとしたが、お嬢ちゃんに止められる。

 

 

「ん?まだ痛い所あんの?」

 

 

「そうじゃなくて………………その、助けてもらったから……………お、お礼させなさいよ!べ、別に変な意味じゃないんだからねっ!」

 

 

顔を真っ赤にしてビシッと俺を指を指すお嬢ちゃん。

見事なまでなツンデレに俺は思わず笑ってしまう。

 

 

「ククク、じゃあ、是非お願いしようか。あー、お互い名前知らなかったら何だし、自己紹介しようか。俺は漆谷進。しがない便利屋だ。よろしく、ツン子ちゃん」

 

 

「ツン子じゃないわよっ!私はノワールよっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「本当にコーヒーだけでいいの?もっと頼んでいいのよ?」

 

 

「いんや、今は腹は減ってねぇからさ。これだけで十分だよ」

 

 

街の一角にあるカフェでお嬢ちゃんこと、ツン子こと、ノワールこと、ノワちゃんにコーヒーを奢ってもらっていた。

 

 

俺としては女性に奢ってもらうのは気が引けるが、ノワちゃんの性格だと引く気なんてないから、安いコーヒー一杯をご馳走させてもらっていた。

 

 

「ねぇ、さっき何であそこに座っていたの?」

 

 

「ついさっき、仲間と喧嘩別れしたから」

 

 

「そ、そう。ごめんなさい、嫌なことを聞いちゃって…………」

 

 

「いいのいいの、言ったのは俺だしな」

 

 

そこで話は途切れるがノワちゃんは気まずくなったのか、次に別の話題を持ってきた。

 

 

「あんたってプラネテューヌから来たのよね?」

 

 

「おう、一応そうなるな」

 

 

「他の大陸から見て、このラステイションはどう思う?」

 

 

どう思う、と言われてもなぁ………

自分の住んでる大陸だから感想が聞きたいのかな?

 

 

「プラネテューヌと比べると文化はやや遅れているし、アヴニールが仕事を独占しているせいで経済が傾きつつある。モンスターの被害は少ないが協会の国政院の奴らがあまりにも不親切過ぎる。さっき、仲間と一緒にモンスターの情報を聞きに行ったが子供だからって門前払いされた」

 

 

ちゃんとあの国政院のオッサンにはジャーマン・スープレックスを喰らわせましたがね。

あの犬◯家の姿を思い出すと今でも笑いが漏れてしまうな。

 

 

「そう、なんだ…………………」

 

 

俺の率直な感想にノワちゃんは表情を暗くして悲しそうな顔をする。

俺はコーヒーを一口飲み、言葉を紡ぐ。

 

 

「……………だが、それ以上に女神の愛が感じられる」

 

 

「……………え?」

 

 

「街の人に聞いた話だとラステイションには巨大な空気清浄機があって、それのおかげで空気の汚染を防いでいるんだろ?それに、技術士関係の学校の授業料を安くしている。未来を担う若者に貢献してるってことだな」

 

 

「で、でも空気清浄機はプラネテューヌの科学者との共同開発だから、女神がやったことじゃないのよ………」

 

 

「だけど、それだけ人々のことを想い、愛しているんだろ?俺はここの女神はすげぇ人だと思うぜ」

 

 

「…………………そ、そう?………………あ、ありがとう」

 

 

顔を真っ赤にして恥ずかしそうに俯きながらもじもじするノワちゃん。

いや、ノワちゃんに言ったわけではないが………………

まあ、自分の住んでる大陸を褒められたら嬉しいかもね。

 

 

しかし……………………

 

 

 

 

 

 

 

………………な、何なんだ!?

この可愛い小動物は!?

俺の心をキュンと鷲掴みにする、この小動物は!?

 

 

待て待て待て!

落ち着け、漆谷進、23歳!

 

 

俺のタイプは美少女ではなく、美女だっ!

妖艶なナイスボデェェエエエな美女が好みなんだよっ!

ここで新世界を開拓したら、見境なく女を襲う変態になっちまうっ!!

 

 

「あなたって意外と優しいのね………」

 

 

「……………………は?」

 

 

「どうしたの?変な顔をして」

 

 

ノワちゃんの突然の言葉に思考が停止して口を開けてしまう。

 

 

「ノワちゃん、その言葉は俺には似合わない。俺は最低な奴さ」

 

 

俺が、優しい?

金の為なら冷酷に残虐に人を殺す、俺が?

 

 

俺はつい数時間前、あの少女を殺そうとした。

それはネプちゃん達を護衛の為。

 

 

しかし、ネプちゃんは自身の使命故に俺のそれを拒み、少女を助けた。

 

 

他人から見れば誰もがネプちゃんに“優しい”という言葉をかけるだろう。

 

 

「そんなことないわよ。あなたは私が怪我しているのに助けてくれたじゃない」

 

 

「そんなのは一般常識だろ。俺は社会の底辺に位置するどころか、しがみついているような人間だぜ?」

 

 

「卑下し過ぎよ。さっき聞いた仲間との喧嘩も、あなたが仲間を想っての事じゃないの?」

 

 

「………………………」

 

 

思わず言葉に詰まってしまう。

何で女は変な時に勘が鋭いんだろうな?

 

 

「あなたは十分に優しいわよ」

 

 

「…………ま、そういう事にしとこうか」

 

 

未だに湯気が昇っているコーヒーを一気に飲み干す。

 

 

「仲直り、できるといいわね」

 

 

「ま、頑張ってみるさ」

 

 

空になったカップをソーサーの上に置いてテーブルに立てかけた刀を背負って立ち上がる。

 

 

「コーヒー、ご馳走さん」

 

 

「もう行くの?」

 

 

「おう、いつまでもグダグダしてらんねぇしな。もう少しブラブラしてから帰るわ」

 

 

「そう………………」

 

 

「なぁに、世界は思ったよりも狭い。もし、バッタリと会ったら今度は俺が奢らせてもらうぜ?」

 

 

残念そうな顔をするノワちゃんを俺がそう言ってニヤリと笑うとノワちゃんもつられて破顔する。

 

 

「フフッ、是非そうさせてもらうわ」

 

 

「ノワちゃんはそうやって笑った方が綺麗で可愛いと思うぞ」

 

 

「なっ…………………!」

 

 

少し振り返りからかい半分でそう言うと、ノワちゃんは予想通りの反応を示してくれた。

 

 

「んじゃぁ~~ねぇ~~~~」

 

 

何かを言われる前に早足でその場を去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………本当にあいつなのよね?」

 

 

一人しかいないテーブルでノワールは一人呟く。

数時間前、自分を殺そうとした人物と、ついさっき去って行った人物は同一人物の筈なのに何故か別の人間、または多重人格者に見えてしまう。

 

 

『 ん?目の前に困っている人がいたら手をさし伸ばすのが普通だろ?』

 

 

さも同然、と言った風に答える彼の顔が思い出される。

まさか、殺されかけた男に助けの言葉をかけられるとは思いもしなかった。

気づけば自分は警戒を解き、彼と楽しく談笑をしていた。

 

 

「不思議な人…………………」

 

 

また呟きながらノワールは自分が頼んだ紅茶が入ったカップに口を付けて傾けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

太陽が傾き、少し暗くなった夕方。

俺はある施設の前に佇んでいた。

 

 

「護衛に潜入…………………俺って殺し屋だよな?」

 

 

朝、あの機械好きなオッサン…………………………名前何だっけ?

ああ、サンチェだったか?

ん?それって食べ物名前だった気がするが…………………

 

 

まぁ、そのサンチェが視察していた施設の前にいる。

 

 

あの時に視察に行くということは博覧会の作品が作られている筈。

そして、その博覧会は中止となったはずなのに中からは機械音が絶えず響いている。

つまり、博覧会があるということを意味しているのだ。

 

 

それに、どうしてアヴニールが博覧会がある事を知っているのか気になる。

博覧会を取り仕切っているのは協会。

なら、協会に繋がりがあるとみていいのか?

 

 

まぁ、全ては仮説。

俺の勝手な想像にしか過ぎない。

だが…………

 

 

「仮説は立証するためにある、ってか?ま、何にせよ、手ぶらで帰るわけにはいかんからな」

 

 

俺は施設に向かって歩を進める。

 

 

さぁて、ショータイムだ。




フェアリーフェンサーF、プレイ動画見ましたが面白そうですね。
欲しいけど受験がァァァァァアアア………………!!
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