超次元ゲイムネプテューヌ ~殺し屋の異世界見聞録~   作:鉄の字

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棒占い

 

薄暗い廊下を歩く。

周りには素人の俺が見ても分かるほど高級感のある絵や壺や像。

そして、周りの豪壮な装飾。

ここの持ち主は裕福な家庭であることが分かる。

 

 

それもその筈、ここは城…………いや、宮殿に近いか?

王権政治を行って国を治めているシベルツァ王国の城の中を俺は歩いているのだ。

 

 

シベルツァ王国

完全な王権政治により成り立っており、国も大陸の海沿いにあるため、国土は狭いながらも農業、漁業と共に盛んである。

 

 

そして、最大の特徴はその軍事力の高さである。

いや、正確には鉄鉱の産出が世界でもトップクラスであることだ。

同時に兵器の生産力もトップクラスってことでもある。

だが、王女はあくまでも平和の姿勢を示し続けているため、戦争なんてことはない。

しかも、災害が起こった国に支援を送るなど他国とは友好な関係である。

 

 

今回の依頼は一概に言うと護衛。

それも相手はここの第一王女の護衛である。

 

 

何故、その第一王女の護衛を?

理由は簡単、先代女王が亡くなったのだ。

 

 

そして、次期女王として選ばれたのが、その第一王女だった。

王位継承式があるまでその王女を護衛するのが俺に与えられたら依頼だ。

 

 

どうして殺し屋の俺に護衛を頼んだのか分からない。

だが、前金を貰った以上、依頼は遂行しないといけない。

 

 

暫く歩くと廊下の終わりに、これまた豪華な扉と両側には二人の黒いスーツに身を固めた屈強そうな男が立っていた。

 

 

「依頼で来た。漆谷進って言えば通ると思うけど?」

 

 

男の一人が俺の体を触れ、ボディチェックを行う。

一通り終えると俺から離れて扉に手をかける。

 

 

「…………………入れ。くれぐれも王女に手を出すんじゃないぞ」

 

 

警戒されてるねぇ…………

殺し屋ってことは秘密になっているから睨まれる要素はないと思うが、やはり怪しまれるんだろうな。

その様子に苦笑いしていると扉が開き、軽く手を振って礼をいいながら扉を潜る。

 

 

謁見の間には誰一人いなく、奥に玉座があるだけだった。

とりあえずそのまま立って待っていると玉座の後ろにある扉が開く。

俺はすかさず膝を着いて、頭を垂れる。

 

 

「頭をあげなさい」

 

 

暫しの静寂の間の後、凛とした声が耳に入った。

顔をゆっくりと上げ、玉座の方へ顔を向ける。

 

 

玉座には誰にも座っておらず、その隣にある玉座よりも少し小さい椅子に座っている女性がいた。

 

 

ーーーそして、その女性を見たとき、思わず息をするのを忘れてしまう。

 

 

腰まである長く、そして、一本一本が輝いている美しい金色の髪。

碧眼の瞳に神が創造したとしか思えない美貌。

その姿は正に女神だった。

 

 

「あなたが、漆谷進?」

 

 

「はい。相違ありません」

 

 

俺の返事に彼女は俺に興味なさそうに視線をステンドグラスで彩られた窓へ向ける。

 

 

「リディア・ワルラ・シベルツァ。あなたが護衛する人の名前よ。しっかりと覚えなさい」

 

 

これが俺と彼女との出会い。

彼女は殺し屋である俺の護衛対象であり、俺が二度と持つことのないであろう想いを教えてくれた人でありーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーそして、俺が護れなかった人である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ッッ!!??」

 

 

勢いよく、ベッドから上半身を起こす。

鼓動が暴れているみたいに速い。

息が上手く吸えない。

汗でタンクトップの黒シャツが体に張り付いて気持ち悪い。

 

 

横目で壁に付けられたら時計を見る。

時間は2時48分。

なんと中途半端な時間だ。

 

 

「ハァ………………ハァ………………クソッ……………」

 

 

脂汗で滲んだ顔に手を置いて、息を整える。

この世界に来てから、ネプちゃんを見る度に彼女のことを思い出してしまう。

 

 

「…………………リディ………ア………………」

 

 

ネプちゃんが彼女と似ているからか?

ネプちゃんが彼女と同じ理想を掲げているからか?

 

 

昨日とて、あの決意を決めた、あの姿。

容姿も性格も似てないのに、何故、彼女と重ねてしまうのだろうか。

 

 

「……ハァ……………ハァ……………フゥ………………シャワー、浴びるか」

 

 

やめよう、こんなの柄じゃない。

俺は考えるのをやめ、ベッドから降りて汗を洗い流すために浴室へと足を運んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「異端者ですか?」

 

 

朝、食堂でテーブル席に座って朝食を食べている。

ご飯に焼き魚に出汁巻き卵、味噌汁にお浸し。

正に理想的なバランスの食事だ。

 

 

「異端者って自分の協会にも女神が居るのに他の女神に手を出して、協会から絶縁されちゃった人たちの事だね?」

 

 

それにしても、えらくラステイションの食事は日本っぽいな。

日本人の食事は外国と比べるとヘルシーだ。

今はファーストフードが流行ってるから太っている子供続出だけどな。

 

 

「そう、異端者って言っても元々は協会の人だったのだし、今のラステイションの現状を聞くのには最適と思うの。丁度知り合いから異端者が隠れている洞窟があるって情報が来たし」

 

 

…………………ん?

『お前も日本人じゃねぇのかよ?』って?

 

 

俺、一言も自分が日本人なんて言ってないぜ?

 

 

俺は某国で死にかけていた所を師匠である爺に拾われた。

師匠は日本人で、元々有名な傭兵だったらしい。

そんで、俺の顔が日系っぽいから俺に日本人の名前を付けたわけだ。

 

 

「でも、協会みたいに追い返されたらどうするの?」

 

 

お浸しとかの日本食が好物だから、多分、生みの親は日本人だと思うけどな。

まぁ、こういう風に醤油を少しだけかけて……………………

 

 

「その時は進がサンジェを脅した時みたいにすれば…………………進、何でお浸しに塩まぶしてるの!?」

 

 

「……………へ?………………………………………ぬぉぉぉおお!!!?!お浸しがエレベスト山脈のように真っ白になっとる!?!!」

 

 

「エレベストがどこか知らないけど気づくの遅っ!?」

 

 

慌てて塩をまぶすのを止めるが時すでに遅し。

お浸しは見事真っ白な塩に埋もれてしまった。

 

 

「進さん、どうしたですか?ずっと上の空ならぬ上の宇宙みたいです」

 

 

「いや上手くないから。あーあ、もうこれ食えねぇな。お浸し、好きなんだけどなぁ」

 

 

これ絶対食ったら辛いよな?

この量の塩は辛党の俺でも大分キツい。

どうしようか?

 

 

「ほうほう、あの進のヌボーっとした顔が更にヌボーっとしてる。つまり、これだねっ!!」

 

 

俺の様子が面白いのか隣に座るネプちゃんはからかい半分で俺に小指を見せつけてくる。

彼女………………彼女ねぇ……………

 

 

「んーー………………そんな感じだなぁ」

 

 

「…………………え?」

 

 

俺の気の抜けた返事にネプちゃんは箸を落とした。

 

 

「ねぷねぷ、箸が落ちたですよ?」

 

 

「え、あ、う、うん!」

 

 

「何でネプ子がそんなに過剰に反応するのよ?それにしても意外ね。進って女の人と付き合ってたのね」

 

 

「意外って何だ、意外って。言っておくけど、話すのは嫌だからな。俺には昔話

をする趣味はねぇ」

 

 

唯でさえ気分がナーバスなのに、追加ダメージなんか喰らいたくない。

 

 

これ以上聞かれるのは嫌なので、念の為に釘を刺しとき、俺は無理矢理話を変えることにした。

チラリと横を見るとどこか複雑そうな顔をして焼き魚を突っついているネプちゃんが見えた。

 

 

「んーー、ネプちゃんが反応するってことは俺に気があったり?」

 

 

「そ、そんなことないよっ!!進なんか、進なんか…………………」

 

 

まぁ、そりゃそうだわな。

女の子にこんなことでからかうのは良くない。

ここは素直に謝って……………

 

 

「私をいつも子供扱いしてダラダラ過ごして金にはケチで綺麗な人を見かけたら胸ばかり凝視して23歳のくせにオッサン臭いし老けてるし文字も禄に読めないし書けないし煙草吸って体が煙草臭い進なんか…………別に好きなわけないから!!!」

 

 

「………………………………ほうほう、そうかそうか。ネプちゃんはいつも俺に対してそう思ってるのかい?」

 

 

……………ハハハ、何でだろうね?

あんなに罵倒されたのに頭が酷く冷静だ。

怒る感情が出る筈なのに今の顔は蔓延の笑みだろう。

ただし、目以外は。

 

 

「ねぷぅ!?ち、違うよ!これは言葉のあやというか………………あ、あれ?コンパとあいちゃん、何でそんなに遠くにいるの!?え、進、その塩の山ができているお浸しをどうするの!?何でそれを持ってもの凄い笑顔で私を見るの!?あ、食べさせないねぷうううううううぅぅぅぅぅぅ…………………………………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「口、辛い……………………」

 

 

「悪かったって言ってるだろ。プリンも買ってやったし、そんなに怒るなって」

 

 

怒り心頭といった感じで俺を恨めしそうに睨む塩でできたエレベストを食ったネプちゃん。

その手には俺が詫びのつもりで買ったプリン。

因みに老舗の店でかった高級な物である。

 

 

俺達が騒いでいると厨房から包丁が飛んできて、俺達が座っているテーブルに突き刺さる。

厨房の方を見ると青筋を立てたシアンちゃんがこちらをいい笑顔で見ていたので、静かにお食事を再開。

というか、厨房から遠く離れたテーブルに上手く突き刺さるって、これ如何に。

 

 

シアンちゃんは俺達に博覧会中止の件はまだ納得はいかないものの、ウジウジしてられないっと話してきた。

それで、発注した部品が届くまでの暫くの間は自由にしてくれ、とのこと。

 

 

その自由な時間を使って異端者が隠れている洞窟に来ていた。

 

 

「ここがその異端者とやらがいる洞窟か?」

 

 

「そ、ここにいる筈よ」

 

 

「前来た洞窟よりも不気味ですぅ……………」

 

 

「ねぇねぇ進、異端者がいるなら異端審問会ってあるのかな?それってやっぱり女の人と関係持ってたら死ぬまで追いかけてくる人達かな?」

 

 

「そんな愛を捨て哀に生きる男共の異端審問会なんかあってたまるか」

 

 

「はいはい、そこ、馬鹿やってないでさっさと入りましょ」

 

 

あいちゃんによって会話は終了され、俺達一同は洞窟の中に入る。

中は至る所に穴があり、無数に道が分かれていた。

暫く進むと前には道が二股に別れている所に辿り着いた。

 

 

「じゃあ、前みたいに私とネプ子とコンパで分かれて片方行くから進はもう片方お願いね」

 

 

「へいよー。あー、ネプちゃん、何かあったら大声で俺を呼べよ?すぐに駆けつけるからよ」

 

 

「いやぁ~、私は嬉しいけどこんな複雑な洞窟ですぐに駆けつけるよりも見つけるのが難しくない?なんていうムリゲーって感じ?」

 

 

「ククク、安心しな俺には幸運Aを保持している相棒がいるからな」

 

 

「ええー!!進にそんな我様な相棒がいるの!?」

 

 

「まあ、見てなって」

 

 

俺は分岐点に立ち、背中の刀を取って地面に垂直に立てる。

そして、そっと手を離すと刀は左に向けて倒れた。

 

 

「異端者、こっちにいるみたいだから行ってくるわー。そっちも気をつけろよー」

 

 

刀を拾って後ろにいる三人に手を振りながら俺は左の道へと進んで行った。

 

 

「えーっと、あれって………………」

 

 

「棒占いですぅ………………」

 

 

「ツッコミ入れるタイミング誤ったけど、行かせて良かったのかしら………………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さーってと異端者はどこかな?」

 

 

左の道を更に進むと次は360°に穴が空いている所に出た。

俺はさっきみたいに刀を垂直に立てて離す。

すると刀は道ではなくその穴と穴の間にある何もない壁の方を向いて倒れた。

 

 

ば、馬鹿な!

俺はこいつで10年間やってきて確率は100%なのにっ!!

 

 

クソ爺のお使い(エロ本、エロDVD、etc.)で道に迷った時はこれで店まで行ったのにっ!!

 

 

「ん?この壁……………布か?」

 

 

よくよく見ると壁と同色の布を使ってカモフラージュしてるのが分かった。

そっとその布を捲るとその先には年季の入った木製のドアがあった。

 

 

「………………………ビンゴ」

 

 

扉を開けると、必要最低限の家具とベッドには痩せこけた爺さんが下を向いて座っていた。

 

 

「………………お前は?」

 

 

「そんなに警戒すんなって。ただ今のラステイションの協会の現状を聞きにきた若者だ。つーか、爺さん、こんな所で飯ちゃんと食ってるの?たまにはお日様の下に出た方がいいぞ。というか、ここ、トイレどうするのトイレ?」

 

 

「ワシは動かん。アレの受け取り場所はここだけじゃ。使いの者はこの場所しか知らん………………」

 

 

アレ?

使いの者?

何かよく分からん事を言う爺さんだ。

 

 

「…………………おお、そうじゃった。協会の何が知りたい?」

 

 

「ん?ああ、協会に行ったんだが門前払いされてな。んで女神を呼び捨てにしてるし、博覧会も中止になってさ。何があったか調べてるんだよ」

 

 

「そうか………………協会は今、政治を行う国政院によって牛耳られておる。女神に仕える教院は辺境へと追いやられてしもうた。今の協会には何を言っても無駄じゃ」

 

 

「やっぱりか。辺境………………どこへやられたか知ってるか?」

 

 

「確か………………旧協会跡地コリーヌに身を寄せとると聞いた……………まぁ、国政院も頭の固い教院も一緒じゃ。 女神を信じ、ワシ等の警告にはまったく耳を貸さん。このままでは………………人類が滅ぶと言うのに」

 

 

「旧協会跡地コリーヌ、ね……………………は?人類が滅ぶ?あー、えーと爺さん?」

 

 

「そう、人類は滅ぶのじゃ。畏怖の王、邪神ユニミテスによってな……………」

 

 

「大丈夫か、爺さーん?」

 

 

「ユニミテスは遥か昔の女神でさえ封印するに留まった凶悪な魔王じゃ。」

 

 

「いや、爺さん、俺そんなの興味ないから」

 

 

「現在の守護女神でさえもその強大さに、下界へ逃れるしか術が無かったと聞いておる……」

 

 

「無視?爺さん、無視なの?」

 

 

「ワシも最初は信じんかった。じゃが信じねば……………………いずれ使いの者によって罰が下るっ!!!」

 

 

「爺さん、あれか?一世代前のRPGに出てくる聞いても聞いても同じ返事しか返さない村長かなにか?」

 

 

「お前も同じじゃ!モンスターを倒してここまで来たのじゃろう?罰は下る!お前にも必ず罰は下るぞ!!!」

 

 

「ねぇ、聞いてる!?会話のキャッチボールしてる!?爺さん、俺の投げたボール、場外ホームランしてないっ!?俺!もっと!協会の!事情!知りたい!OK!?Understand!?」

 

 

「ワシの初恋は50年も前に燃え尽きとるわぁぁぁぁあ!!!!」

 

 

「いや、知らんがなぁぁぁぁぁあああ!!!???」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あーー、無駄に疲れた………………」

 

 

暴れに暴れまくった爺さんに俺も流石にネプちゃん達と合流しないといけないので首筋に手刀を入れて気絶させた。

流石に気絶させただけでは気分が悪いのでポケットに入ってた非常食の缶詰めを幾つか置いておいた。

 

 

「畏怖の邪神、ユニミテス……………………胡散臭ぇ~~~」

 

 

妄言っぽいが爺さんが言う使いの者と、その使いの者が渡すアレとやらは信じるべきか?

いや、胡散臭い。

 

 

こんなファンタジーな世界だから邪神やら魔王ぐらいいてもおかしくはないだろう。

だけど、胡散臭い。

 

 

「分かったのは教院の居場所だけか。ま、いっか。さて、ネプちゃん達と合流だな」

 

 

できれば女神の場所を聞きたかったが爺さんがあの状態だから聞けるわけがない。

 

 

歩いてきた道を戻ろうとしたその時だった。

 

 

「………………揺れてる?」

 

 

足から感じる僅かな振動。

そして、風と共に流れてくる微かな剣戟の音。

 

 

どこかでネプちゃん達が戦っているってことか!?

 

 

なら尚更、早くネプちゃんの所へ行かないと。

 

 

俺はさっきした通りに刀を立てて離す。

刀が向いたのは岩の壁。

 

 

この壁の向こうにネプちゃんがいる。

だが、壁が邪魔だ。

ならば…………………

 

 

 

 

 

 

 

「かの決闘者と書いてデュエリストはこんな名言を残しました」

 

 

俺は誰にも言うわけでもなく、一人で呟く。

壁の前に立ち、ニヤリと口角を上げて、握りしめた拳を振り上げる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「『粉砕!玉砕!大喝采!!』っとなぁ!!!」

 

 

そして、勢いよく振り下ろした。

 

 

 




はい、どうもー。
今回は少し進の過去を入れました。

暫くは入れる予定はなかったのですが、予想以上に進の過去が長くなるので今回は最初の部分を入れてみました。


それにしても、他のネプテューヌ小説の皆様はどうしてそんなに更新が速い上に面白いのでしょうか?
その才能、自分も欲しいです……………
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