超次元ゲイムネプテューヌ ~殺し屋の異世界見聞録~ 作:鉄の字
「はうぅぅ……………あ、あいちゃん、疲れたですぅ………………」
「ゼェ………………ゼェ………………わ、私もーーー……………」
「あんた達、進と別れてから数分も経ってないわよ。どんだけ体力ないのよ」
進から別れて別ルートを通っているネプテューヌ、コンパ、アイエフは高低差が激しい道を意気揚々と進んでいた。
と、言ってもそれは数分前のことで、現在は猫背になりながら息を切らしているネプテューヌとコンパに、その二人に呆れているアイエフという構図になっていた。
「こ、ここら辺、道が凸凹してるですぅ」
「それに、道が無数にあるから行き止まりが多くて余計に疲れて疲れて………………あいちゃーん、携帯食料かこんがり肉とかないー?」
「あるわけないでしょ!はぁ、しょうがないわね。丁度開いた場所に出たし、ここで休憩しましょ」
「やっほぉぉぉぉおおい!!!」
「……………………元気じゃない」
アイエフの冷ややかなツッコミもなんのその、疾きこと風の如くネプテューヌは岩に腰掛けてパーカーワンピのポケットから先程進が買ったプリンを取り出した。
「パンパカパンパンパーーン!進が買ってくれたプリン~!」
どこぞの猫型ロボットだ、とツッコミたくなる。
蓋を剥がし、付属されていたプラスチック制のスプーンで一口掬って口に運ぶ。
トロッとして甘い味が口一杯に広がり思わず顔がふやける。
不意にこれを買ってくれた人物が脳裏を過ぎる。
「進……………………」
いつもは金に汚くガサツで皮肉ばかり言う男。
自らを殺し屋と卑下し、時には残酷なこともする。
だが、いつも自分の危機には守ってくれ、自分を励ます。
彼と会って数週間も経っていない。
しかし、頭の中には彼の顔が思い浮かぶ。
ヌボーっとした顔、喜ぶ顔、笑う顔、怒る顔、そしてーーー
『また、失うのが怖ぇんだよ…………』
ーーーあの時の悲しそうな顔。
普段の彼からしてありえない表情だった。
“昔に何かあった”ではない。
“昔、何かが彼を変えた”のだ。
そして、昔、付き合っていたと言う女性。
おそらくそれは前に呟いたリディアと呼ばれる女性に間違いないだろう。
ただ付き合っていただけの筈だ。
それだけなのにどうしてあの様な顔ができるのだろうか?
「………………………」
「進さんがボーッとしていたと思ったら次はねぷねぷがボーッとしてるです……………」
「いつもうるさいネプ子があれだと逆に不気味ね……………ネプ子、どうかしたの?」
「ねぇ、コンパとあいちゃんは進が昔に何していたか分かる?」
「進のこと?多分、今と全く変わりない気がするけど」
「でも、進さんってあんまり自分のこと話さないです。今朝も話したくないって言ってたです」
「信用されてないのかなぁ………………」
「そんなわけないでしょ。信用されてなければあんなに命張ってネプ子を助けたりしないでしょ?」
「そうです!誰だって言いたくない過去の一つや二つあるです。この旅だってまだまだ先は遠いです。その間に進さんもきっと話してくれる筈です」
「うん……………そうだよね!」
旅が終わるまでまだまだ時間がある。
そう、旅が終わるまでは。
(そういえば、進って旅が終わったら元の世界に帰るんだよね…………………)
進は本来自分を護る為にいーすんに異世界から呼ばれた存在。
彼には帰るべき世界があるのだ。
鍵の欠片を集め、いーすんを助けて、旅が終わったら彼は恐らく帰るだろう。
だが、もう一つ可能性を言えば彼には帰る理由がない筈だ。
だったらその間にこのゲイムギョウ界を好きになってくれればいい話だ。
(あれ?何で私、進に帰って欲しくないんだろう?)
確かに進の意志は尊重しないといけない。
だが、今、ネプテューヌの心の中は彼が帰って欲しくないという気持ちで一杯なのである。
この気持ちは何なのだろう?
どうして彼のことが気になるのだろうか?
リディアとの関係も気になる。
今朝も付き合っていたという言葉にも反応してしまった。
自分でも無自覚だ。
本当に、この気持ちは何なのだろう?
(…………………ま、別にいっか!)
変な事は気にしないのはネプテューヌにとっていい性格なのだろう。
残ったプリンをかき込むと岩から降りる。
「プリン食べてふっかぁーーーつっ!!!元気100倍、ネプパンマン!!」
「あ、いつも通りです」
「急に元気になったわね」
何だかんだ言いつつも心配していた二人もネプテューヌが元気になったことに安堵し、思わず笑みがこぼれた。
「よしっ!さっさと異端者探して進に脅してもらおうよ!」
「はいはい………………というか進が脅すのは確定なのね」
「ねぷねぷが脅すと可愛いだけなので、強面で老けている進さんの方がスラスラ喋ると思うです」
「うんうん、あのヌボーっとした顔も怒ると阿修羅の如き顔になるしね!」
「それ、思いっきり進が気にしていることよね?」
本人が聞くと『俺は老けてないし、ヌボーっとした顔は生まれつきじゃいっ!!』と抗議してるだろう。
「まあ、確かに私達よりも進の方が凄みがあると思うけど……………………………ん?」
暫しの休憩の後、動こうとした時、アイエフは何かが近づいてくる気配を察知した。
アイエフの様子に二人もアイエフの視線の先を見る。
そこへ、黒い姿をした少女が現れた。
「ネプテューヌ!?どうしてここに!?」
驚愕の声を上げる一人の少女。
そう、丁度昨日ネプテューヌを襲撃し、進に返り討ちにされた少女だった。
「あー!昨日、進にボコボコにされていた新型!」
「ぼ、ボコボコになんかされてないわよっ!ちょっと油断しただけよ!」
「言っとくけど、進は別の道に行ってるからここにはいないわよ。残念ね、リベンジできなくて」
「そう………………まぁ、いいわ。別にあの男はどうでもいいの。私は元々ネプテューヌに用事があるのだから」
少女は進がここにいない事を聞くと安心したような残念そうな表情をするが、直ぐに切り替え、剣を振りかざし、構える。
「さぁ!ネプテューヌ、変身して私と闘いなさい!」
「ねぷねぷ、変身するで………………あ、もう変身してるですぅ」
コンパが言い終わるよりも早くにネプテューヌは光に包まれており、光が消えると変身後の大人びたネプテューヌへとなっていた。
「ハァ~、どうしてこうも行く先々で戦闘になるのかしら……………記憶を失う前の私は何したの?」
「何をブツブツ言ってるかしらないけど、こっちから行かしてもらうわっ!!」
少女はハイフィンを噴かして呆れるネプテューヌの間合いに入り剣を振り下ろす。
ネプテューヌは直ぐに防御。
相手を押し出すとネプテューヌも空中に踊り出た。
「空中に行かれると私、意味ないわね」
「私もあんなに速く動かれると狙いが定まらないです」
足手まといに悔しそうに顔を歪めるアイエフとコンパを尻目にネプテューヌと少女の剣戟は更に速度を上げる。
決して広くない空間の中を8の字を描きながら太刀と剣を交える。
「ハァァア!!」
「ヤァァア!!」
時にぶつかり合い、時に避けながら斬り結び火花を散らしながら高速で移動する。
少女は力を抜いてネプテューヌの太刀をいなす。
ネプテューヌは前にのめり込み姿勢を崩した。
「そこっ!」
「クッ!?」
少女の袈裟斬りになんとか方向転換をして剣を防ぐが、勢いは殺しきれず、地面に叩きつけられる。
「ウアッ!」
「終わりよ!!」
苦痛が全身に響くがそんなのはお構いなしに少女はネプテューヌに向かい急降下してくる。
「ネプ子、危ない!!」
そこにアイエフが割って入り、カタールを交差させてネプテューヌを護る。
「そこを退くですっ!!」
アイエフの防御により相手の動きが一瞬止まる。
その隙にコンパが注射器で弾丸を放った。
少女は即座に反応して後ろに下がり弾丸を避ける。
「ありがとう…………あいちゃん、コンパ」
「礼には及ばないわよ。全く、進がいないとやりにくいわね」
「進さんでしたら容易く相手に当てることができたです……………」
「ええ、でも、進がいなくても勝てないとね。いつまでも護られてばかりじゃ、いつか本当に進に迷惑かけるわ」
例え自分が危ない状況になると、彼は自らの体を犠牲にしても護る。
鍵の欠片を持っていたモンスターの時も、目の前の少女と戦う時も、彼は傷つくことを恐れず自分を護っていた。
だが、ネプテューヌにとっては苦痛でしかなかった。
彼の肉体はどんなことをしたって傷つかない。
しかし、彼だって命を持っている。
それは彼でも死ぬことを暗示している。
きっと彼はこれからも自分を護るだろう。
そして、沢山傷つき、いつか命を落とすことになる。
そうなって欲しくない。
だからこそ、彼なしでも強くならないといけないのだ。
そして、あの少女に勝たなくては。
彼と肩を並べて共に闘えるように。
「コンパ、あいちゃん、絶対勝つわよ」
「はいです!」
「あったり前よ!」
三人同時に少女に向かい走り出す。
少女は高く上がろうとするがネプテューヌは少女よりも早く上に飛び、高い角度からの攻撃をする。
相手が他の方向へ逃げる隙さえ与えず怒涛の太刀を振るう。
やがて防御に徹している少女は地面に下がっていき、地上までの間は1メートルまで縮まる。
「くらいなさいっ!!」
「発射ですぅ!!」
少女の左右からアイエフの連続の蹴りによる攻撃、コンパの狙撃に何とか防ぐも何発かもらい、痛みに膝をつく。
「ッ………………」
顔を上げた少女の前には太刀を少女に向けて突きつけているネプテューヌが。
堂々と龍その姿、内に炎を秘めたその瞳はネプテューヌの思いの現れを物語っている。
「私は…………あなたに勝つ!!」
宣言と共にネプテューヌは少女に接近。
太刀を下から上へ振り上げる。
苦し紛れに剣を横に防いだ少女の体は無理矢理、空中にへと上げられた。
「クリティカルエッジ!!」
高速の速さで空を駆け抜け上空の少女に閃光の一太刀を浴びせる。
「キャァァァァア!!!」
直に攻撃を受けた少女は悲鳴をあげて地面に落とされた。
「クッ………………!下界の人の助けを借りてるとはいえ、私が負けるなんて………………前よりも強くなってる。どういうこと………………!」
痛む部分を押さえながら、よろよろと立ち上がり、ネプテューヌ達が聞こえない音量で呟く少女。
ゆっくりと浮かび上がり、ネプテューヌ達に背を向けた。
「これが私の実力だと思わないで!次は必ず倒すわ、ネプテューヌ!!」
「あ!待ちなさい!」
この場から撤退しようとする少女。
記憶を失う前の自分を知っているかもしれない少女にネプテューヌは慌てて止めようとする。
だが、突然の異変に四人の動きは止まる。
「洞窟が揺れている?」
アイエフの呟きにその場の全員が洞窟の天井に目をやる。
微かに揺れる洞窟。
その揺れは時と共に大きくなってくる。
そして、揺れと同時に何かを壊す音が耳に入る。
それはまるで“壁を突き破るような音”のようだった。
「ーーーaaaaーーーーー」
どこからともなく聞こえてくる野太い声。
まるで野獣のようだ。
「ーーーaaaaaaaaaaaAAAAAAALALALALALALALALALA!!!!」
突如、少女の近くにある壁が爆ぜた。
いや、正確には何者かが壁をぶち破ったのだ。
粉々に砕かれた瓦礫と共に黒い影がネプテューヌ達と少女の前に出る。
今まさに蹴破ったであろう上げた右足で着地。
足で地面を踏ん張りながら勢いを殺した。
遅れて舞い上がった土煙が彼を包む。
暫くしてその姿を露わにした。
黒いスーツに黒いスラックス。
黒いワイシャツに黒いネクタイ。
黒いロングコートに黒い鞘の刀。
黒い髪に黒い瞳。
全てを黒で身に包んだ男。
「俺、参上!!(ビシッ!」
「「「「……………………………」」」」
殺し屋(馬鹿)が現れた。
今日はここまでです!
投稿遅れてすみません!
ここ最近、入試や入試対策の勉強を受けていたので書く暇がありませんでした。
え?『どうだった』って?
ハハハ!聞かないで下さいよぉ(泣)!!!
まぁ、そういうこともありまして、暫くは投稿は不定期になるかもしれません。
以上、お知らせを終わりますっ!
駄文な小説ですが、これからもよろしくお願いします!