超次元ゲイムネプテューヌ ~殺し屋の異世界見聞録~   作:鉄の字

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今年最後の投稿です!
来年もよろしくお願いします!


殺し屋でも魔法がしたい!

「……………………んが」

 

 

殺し屋の朝は早い。

 

 

時刻は5時。

朝日が窓から覗いている。

 

 

異世界から来た俺には寝間着なんざ無い……………と言うか、ここに来る前でも寝間着なんか着てないので必要ない。

いつも下着の黒のタンクトップにスラックスのまま寝ている。

あー、誤解を生みそうなのでついでに補足しておくと、ちゃんと下着は買ってるし、洗っているので不潔ではない。

 

 

そのままの服装でベッドから這い出て、刀を持って外へ。

シアンちゃんの家の近くには一本の立派な木がある。

他の大陸と比べ空気が汚いと呼ばれるラステイションの、しかも、街の中で育つのは珍しいが特に気にも止めずその木の枝に片手でぶら下がり懸垂を始める。

 

 

懸垂で重要な事は顎をポールの所まで持ち上げること。

反動を利用して懸垂などしてはいけないし、腕は完全に伸ばさなければならない。

 

 

両腕それぞれ200回程度カウントしたら次は膝裏でぶら下がり、そのまま腹筋。

それもまた200回程度行なったら地面に降りる。

 

 

傍らに置いてある刀を持って素振り。

これがアニメや小説の主人公だったら何らかの流派を嗜んでいるかもしれないが、俺は殆ど我流だ。

師匠である爺には持ち方、振り方を教えてもらったらそこからは実戦だ。

爺曰く『俺がテメェみたいなクソガキに教えるのは“戦い方”じゃねぇ。“殺し方”だ。正々堂々?そんなのボットン便所に流せ』とか。

その殺し方を教えてもらうまでに一体何回殺されかけたやら……………

 

 

素振りを終えたら部屋に戻り、いつもの服装に着替えた頃には朝食には丁度よい時間帯になっている。

階段降りて食堂に行くと既にテーブルにはコンパちゃんとあいちゃんが座っていた。

 

 

「進さん、おはようです」

 

 

「おはよう、進」

 

 

「おはようさん、コンパちゃん、あいちゃん…………………………ネプちゃんは?」

 

 

「まだ気持ちよさそうに寝てるわ…………私とコンパが何回揺すっても起きないのよ………………」

 

 

「ハァ〜、しょうがねぇな……………」

 

 

大体ネプちゃんは寝坊することが多い。

あの性格で早起きだったら驚きだけどな………………

 

 

頭を掻きながら座ったばかりの椅子から立ち上がりネプちゃん達が寝ている部屋へ。

 

 

部屋に入ると聞こえてくる鼾。

三つあるベッドの一つだけ膨らんでいる。

紫の髪が見える布団を剥がすと大の字でだらしなく幸せそうに涎を垂らしながら寝ているネプちゃんがいた。

 

 

パジャマが捲れて結構際どい格好になっているが、俺のタイプはグラマラスな美女。

幼女に近い体系見せられても全く萌えないし、そそられもしないし、ムラムラさえしない。

 

 

「全く、気持ち良さそうに寝やがって。腹出して寝てたら風邪引くぞ」

 

 

パジャマを整え、布団を被せる。

……………………っていかんいかん。

起こしに来たんじゃねぇか、俺。

 

 

「おら、起きろよ、ネプちゃん」

 

 

「う〜〜ん…………………」

 

 

ペチッ

 

 

勢いのある寝返りにより見事ネプちゃんのおみ足が俺の額にシュート!!超エキサイティング!!となった。

 

 

それと同時に浮かび上がる青筋。

うん、君がそうするなら俺も手段は選ばない。

ここは穏便に済まそう。

 

 

「俺の右手が真っ赤に燃える!!この子を起こせと轟き叫ぶ!!爆熱!!ゴッ○フィンガァァァァァア!!!!」

 

 

「ねぷぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅううう!!!!?!?!」

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、何故か煤だらけのネプちゃんに睨まれながら皆で一緒に朝食を食べた。

 

 

フハハハ!!

今日の沢庵はいつもより美味く感じるわ!!

 

 

以上、これが殺し屋、漆谷 進の異世界での朝である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ノワちゃんが帰ってから数日経った。

ネプちゃん達にはノワちゃんが帰った事を『記憶が突然戻ったから帰って行った』と伝えておいた。

ネプちゃんは記憶喪失仲間が帰り、心無しか残念そうにしていた。

 

 

今日、俺達はそれと言った依頼はないので、各々、自由に過ごしている。

まぁ、ウチの三人娘は買い物に行ってるけど。

ん?よくよく考えてみると俺以外全員女子だな。

別に気にはならないけど。

 

 

俺は一人部屋に篭もり日課である銃のクリーニングを行っていた。

いざとなって不具合でも起こったら直ぐにあの世行きであるから、こういう小まめな事は欠かせない。

 

 

「さてと………………」

 

 

クリーニングを終えてバラバラに分解したデザートイーグル二丁を瞬時に組み立てる。

組み立てたデザートイーグルを置いて、机の端にあるマガジンに視線を移す。

マガジンの数は2つ。

 

 

片方には満タン7発あるが、もう片方は1発しかない。

つまり合計8発。

 

 

「マジでヤバす」

 

 

ノワちゃんとの戦いで使い過ぎたな。

俺が使っている弾は.50AE。

そんな都合のいいようにこの世界にある筈がなかった。

 

 

「完全にオーダーメイドだよな……………」

 

 

幸い今までの依頼の報酬によって懐は重い。

だが、問題は作ってくれる場所だ。

 

 

ちゃんとした所を選ばないと作られるのは劣化した弾丸だ。

下手をすれば暴発だって有り得る。

どこか、腕が確かな工場……………

 

 

───────調理器具からミサイルまでなんでも作ってるぜ?

 

 

………………………あ。

いるじゃん、腕が良い人。

 

 

思いついたら即行動。

俺は直ぐにその人がいるであろう工場へと足を運んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「と言うわけで弾を作ってください!」

 

 

「5W1Hをしっかり勉強してから出直して来い」

 

 

というわけでパッセの中で丁度休憩中だったシアンちゃんを引っ捕まえて事務机を挟んで座り話を持ちかけた。

 

 

「だいたい弾ってなんだよ?」

 

 

「これを増やして欲しいんだ」

 

 

俺は予め抜いておいた弾丸を机の上に置く。

シアンちゃんは手に取ると所謂職人の目で弾丸を喰いいるように見詰める。

 

 

「これ、凄く威力が強くないか?」

 

 

「お、中々鋭いな」

 

 

.50AEは実用の自動拳銃用弾薬としては最高の威力を持っている。

 

 

「弾が無くなりかけていてよぉ、出来れば沢山欲しいんだ」

 

 

「うーん、オッサンには前に言ったけどウチは材料がないし、今は博覧会のを作っているからそっちには手が回らないと思うぞ」

 

 

「別に今すぐってわけじゃなくて、大陸が来るまでの間でいいんだ」

 

 

「次に近づいて来る大陸……………確かリーンボックスだったな。確か博覧会が終わってから数週間後に来るらしいけど…………………うーん、そうだな。オッサン達には色々と世話になってるしな。博覧会が終わった後になるけどいいか?」

 

 

「おう、よろしく頼む」

 

 

「ハハハ、任せとけって。さっそくだけど、オッサンの銃とマガジンを暫く貸してくれるか?作った弾がちゃんと使えるかどうか試し撃ちしないといけないしな」

 

 

「はいよー」

 

 

俺は先程だした弾丸に加え、デザートイーグル一丁と空のマガジンを机に置いた。

 

 

「銃もまたゴツいデザインだな」

 

 

「まぁ、そこそこ威力は強い拳銃だな」

 

 

デザートイーグルは今はS&W社のM500に最強の座を譲っているものの、威力は桁外れに強い。

開発当時はその威力の高さから『ハンドキャノン』のあだ名で知られていたらしい。

まぁ、そのせいで大袈裟に表現された話はあるけど。

 

 

「じゃあ、出来上がったら話しかけるからそれまで待っててくれよ」

 

 

「ああ、本当にありがとうな」

 

 

 

 

 

 

 

 

話を終えて工場から出る。

時計を見るともうじきお昼だ。

 

 

うーむ、暫くは銃を使いたくないが、かと言って中距離以上の攻撃をする場面もないって事はない。

 

 

他の銃を使うにも金がないし、使いたくもないし。

せっかく異世界来たんだから異世界らしい物を使いたいが…………………

 

 

異世界なぁ……………………

 

 

そこでふとネプちゃん、あいちゃん、そして、プラネテューヌのババァが俺の脳裏を過ぎる。

 

 

 

 

 

 

 

 

あ、そうだ。

魔法を学ぼう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「魔法ってどうやんの?」

 

 

太陽が空の真上に上がった昼。

俺は昼食を食べながら同じテーブルを挟んで座っているあいちゃんに尋ねた。

 

 

「魔法?何でそんな急に?」

 

 

「まぁ、かくかくしかじかでよ」

 

 

「いや、分からないから」

 

 

「ふぅーん、弾が無くなりかけだから中距離の技が必要で魔法を使う私とあいちゃんに教えて欲しいと」

 

 

「何でネプ子には分かるのよ………………」

 

 

「ふっふーん、それは私と進の愛の力だよっ!」

 

 

「ああ、一生ないから安心しろ」

 

 

「ッッッ!?!?」

 

 

何やら予想以上にネプちゃんがガッカリしているので『冗談だって』と言って頭を撫でてやった。

それにネプちゃんは目を細めて気持ち良さそうにしている。

これがプラネテューヌの女神だそうです。

 

 

「でも、進さんだったら魔法無しでも十分強いと思うです」

 

 

「コンパちゃん、それは俺は人中の範囲で強いって意味だよな?」

 

 

「「「……………………………」」」

 

 

「え?何で皆そこで黙るの?」

 

 

俺は人外じゃねぇ!!

そう………………人外……………人外……………………

ヤバい、考えたら泣けてきた………………

 

 

「うーん、頼ってくれるのは嬉しいけど、魔法はルウィーの人しか使えないんだけど」

 

 

「………………………………ヱ?マジ?」

 

 

あいちゃんから出た驚きの異世界設定に思わず箸で掴んでいたトンカツを落とす。

 

 

「あ、でも、進さんは異世界の人ですからもしかしたら使えるかもしれないです」

 

 

「と言うか、進の世界に魔法ってないの?」

 

 

「あると言えばあるけど、空想の話だからな。リアルに使う奴なんかいるわけねぇよ」

 

 

実際に魔法の暗唱をやっている奴がいるとしたらそいつは厨二病と呼ばれるカテゴリーに分類されるだろう。

 

 

「ん?魔法が使えるってことはあいちゃんはルウィー出身なのか?」

 

 

「えっ!?あ、うん、そんな……………ところかしら……………」

 

 

妙に歯切れが悪いあいちゃんに俺は疑問を抱くが、特に何も言うことはしなかった。

一々人の過去にズカズカ入り込むのは無粋だしな。

 

 

「じゃ、じゃあ、この後で外に行きましょ。そこで教えてあげるわ」

 

 

「うい、よろしく」

 

 

返事をしながらトンカツを頬張る。

うん、美味い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

街から離れた森の中。

開いた場所に俺は目の前にいるあいちゃんにご教授いただいていた。

その近くでは大きめの切り株に座っているネプちゃんとコンパちゃんが様子を見ていた。

 

 

「魔法を発動するにはざっくばらんに言うとイメージ。どんな技を出そうとしても結局は頭の中で考えるでしょ?それと同じ」

 

 

「なるほど。イメージするのは常に最強の自分ってことか」

 

 

「どこの無限剣製よ………………まぁ、学ぶより慣れろ、よね。大体こんな感じよ」

 

 

言い終わると同時にあいちゃんの手の平から小さな火の玉が現れた。

 

 

「じゃあ、試しにやってみてくれる?」

 

 

あいちゃんに促され手の平を前に出し、集中する。

 

 

イメージ………………イメージ…………………イメージ…………………

 

 

……………………………………つーか、火の玉が飛ぶってどんなイメージだ?

よくよく考えてみれば俺ってそんな火が飛び出す世界とは無縁だったし。

いつも飛び交うのは弾丸か手榴弾だったしな。

 

 

飛ぶ火?

火って………………………爆発?

いやいやいや、それやったらネプちゃん達が危ないだろ。

 

 

俺は目を閉じながら身近にある火をイメージした。

すると、体の中から何かが流れる感覚を感じ、それが手に集まっていく。

こ、これが魔力か!?

 

 

俺は一層イメージを強くする。

 

 

そして………………………………!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シュボ!←人差し指からライター並の火が出る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………………………………」←無表情な俺。

 

 

「…………………ププ!」←笑うネプちゃん。

 

 

「「……………………」」←苦笑いなあいちゃんとコンパちゃん。

 

 

変な沈黙の中、俺は煙草を取り出して、その火で煙草を点けた。

 

 

「これが……………………魔法、か」

 

 

「いや、違うから!」

 

 

ツッコミを入れるあいちゃん。

その隣ではネプちゃんが笑いこけていた。

後でジェノサイドキックを喰らわせよう。

 

 

「………………………次は王道から離れて土属性をやってみるか」

 

 

「何でわざわざ王道から離れるのよ………………」

 

 

土が一番イメージしやすそうだからな。

 

 

よし、土か。

つまり岩。

……………………………………やっぱり飛び出す岩ってイメージ湧かねぇ!!!

 

 

岩が飛ぶわけねぇじゃん!!

 

 

いや、ここはもう岩じゃなくて別の物…………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

サラサラサラサラ←手からこぼれ落ちる砂。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………………………………」

 

 

「……………………ッ!…………………ッ!」←笑い過ぎて呼吸困難なネプちゃん。

 

 

「「…………………………」」←相も変わらず苦笑いなあいちゃんとコンパちゃん。

 

 

意気消沈とはこの事を言うのだろう。

魔法……………………難しい………………

 

 

「え〜〜?進さん、もしかして殺し屋から農業に転向するの?土もいい物があるし、転職じゃない?ププッ!」

 

 

口を手の平で隠しニヤニヤ笑いながら俺を野次るネプちゃん。

 

 

完全に舐めきった態度をとるネプちゃんに俺の体は熱くなり、頭は冷たくなる。

 

 

俺は砂が乗った右手の付け根に左手を乗せてネプちゃんに向ける。

 

 

 

 

 

……………………………ああ、そう言えば一つだけイメージできる物あったわ。

 

 

殺し屋とは切っても切れない縁がある物。

それは、スナイパーライフルだ。

俺はこんな姿だが、これでも狙撃は出来ない事はない。

 

 

狙撃に影響を与える物。

それは気温、湿度、確度、気圧、コリオリ力、そして……………………一番の天敵、ビルの風だ。

この全ての条件をクリアした時、初めて狙撃は完了する。

 

 

ビルの上で風に当たりながらスコープを覗く。

常に風を意識しながら動く標的を殺す。

 

 

そう、俺が一番イメージできるのは─────

 

 

 

 

 

 

「────風じゃぁぁぁぁあああ!!!」

 

 

吹き荒れる突風。

 

 

捲れるコンパちゃんのスカート。

 

 

空中を舞う砂。

 

 

ダイレクトに目に砂が入るネプちゃん。

 

 

「ねぷぅぅうう!!!ぎゃー!目が!目がぁぁぁぁぁああ!!!」

 

 

目に砂埃が入って地面をのたうち回るネプちゃんを見て多少溜飲が下がった。

 

 

「なる程、これが魔法か」

 

 

「違う!違う!違う!普通、そんな使い方しないわよっ!!」

 

 

「あうぅ……………進さん、スケベですぅ………………………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この俺が魔法を使って分かったこと。

 

 

 

 

 

 

 

────────魔法は目潰しの為にある、と。

 

 

「だから違うって!!」

 

 

 

 

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