超次元ゲイムネプテューヌ ~殺し屋の異世界見聞録~ 作:鉄の字
書いていくと『ネプテューヌ、こんな台詞言わへんやろ!』と思い何度も何度も書き直してたら、凄く遅れてしまいました…………
「某ハンティングゲームは3、4回ぐらいで皮や爪を剥ぎ取ってたけど実際やると難しいな、これ」
何か突然に黒くなったのであいちゃんに見せる為にエンシェントドラゴンの死体からナイフで剥ぎ取っていた。
皮やら爪やらとりあえず何でも剥ぎ取るとエンシェントドラゴンは粒子になって消えてしまった。
剥ぎ取った物は全部コートのポケットの中に入れる。
ん?何で入れるのかって?
このコート、高級品だから(キリッ
おい誰だ。
ネコ型ロボットって言った奴は?
出て来いよ、アソパソマソにしてやるから。
果たして誰に対して話しているのか俺自身でさえよく分からない間にも全てポケットに入り、ネプちゃん達の元へと歩きだす。
何となく頭がボーっとするが、少し血を流し過ぎたのだろう。
まぁ、戦闘に支障はねぇから大丈夫だけど。
「あん?」
何かの気配を感じ刀の柄に手をやる。
気配を感じる先には大人が屈んで入れそうな大きさの窪んだ穴があった。
屈んでその中を覗くと、そこには一人のガキがいた。
「……ぅ……ぁ………」
歳は十歳かそこらぐらい。
髪は銀髪だが煤汚れていて、その煌めきはない。
本来なら活発である歳だがその顔は恐怖を超え、何もかも絶望しきった顔だった。
ガキが握り締めているのは血に染まった服。
ガキのサイズではない大人用の服に俺は全てを察した。
ガキが俺と目が合う。
その弱々しい瞳はまるでかつての俺を連想させる。
同属嫌悪かどうか分からないが、そう思うと無性に腹が立った。
ビルとビルの間に冷たい雨が降り頻る中、ゴミ溜めに埋もれるガキの頃の俺。
それを見下げる爺。
爺の瞳に写る自分が、自分の瞳が嫌に弱々しく見えたのが今でも覚えている。
「たす………けて……………」
ガキの消えそうな程小さな声に現実に戻される。
その言葉さえもあの頃と同じでますます腹が立つ。
ガキはそこで力尽きたように地面に這いつくばった。
首に手をあてて、脈をとる。
どうやら疲れて気絶したみたいだ。
どう見てもこいつは従業員じゃない。
助ける優しさも義理も俺にはない。
そして、個人的に助けたくない。
だが、こいつがこの依頼の情報を持っているとしたら保護しないといけないだろう。
「面倒くせぇな…………」
ガキの服の首根っこを掴んで持ち上げ、肩に乗せる。
先が点になる程遠く続いている線路に思わずため息を吐くが、勿論そんなことしても意味ないので歩いて行くことにした。
ガキを肩に担いでひたすら線路を沿いながらえっちらおっちらと歩き、やっとこさネプちゃん達と合流。
そこには倒された電車と包帯を巻いた従業員達がいた。
どうやらコンパちゃんが治療したみたいだ。
いやはや、合流した時はビビったビビった。
ネプちゃん達が鬼の形相で俺に迫って来るもんだから思わず肩のガキを落としそうになったぞ。
まぁ、全身血まみれ&服ボロボロ&肩にガキと言うツッコミ所満載だから仕方が無ぇか。
今の俺は上半身が裸の上に包帯を巻かれている。
血は止まっているからいらないと言ったのだがコンパちゃんは頑固として譲らず、傷の消毒はコンパちゃんがやり、包帯を巻くのはあいちゃんがやってくれた。
コンパちゃんが巻くと…………詳しくは目次の『ゲイムギョウ界』をチェックで。
今、俺達は倒れた電車の傍で休憩中だ。
コンパちゃんはガキを膝枕しながら俺の服をチクチクと裁縫道具で直している最中で、俺、ネプちゃん、あいちゃんはボーッとその様子を眺めていた。
おのれ………ガキの癖に膝枕をされてるとは…………!
羨まし………ではなく、俺も堪能したい………でもなく、仰向けに寝ながらコンパちゃんの素晴らしい胸部装甲をな眺めたい…………でもなく、けしからん!
「あれあれー?進ったらコンパの膝枕がそんなにいいの?ふふん、だったらこの超絶美少女のネプテューヌさんが特別に膝枕をしてあげてもいいよ!」
「チェンジで」
「ねぷっ!?即行でチェンジ要求されたっ!?」
「美女の太腿を仰向けに寝るのがいいんだよ。ネプちゃんは…………あー、ドンマイ」
「下手に馬鹿にされるよりそっちの方が傷付くんだけど!?」
「あ、コンパちゃん、コートとか直りそうか?」
「無視されたっ!?」
「えーと、スーツは綺麗に切られてますから縫えばなんとかなりますし、コートは少ししか解れてないのですぐ直りますよ」
「そっか。コートが無事ならそれでいいや」
スーツは別にいいけど、コートだけは大事にしとかねぇとな…………
…………じゃねぇともげられるからな…………
「それにしても料理ができて、裁縫もできるなんてコンパちゃんは将来いいお嫁さんになりそうだな」
「フフフ、褒めても何もでないですよ?」
「ねぇ、進、聞いてる!?私の話、ちゃんと聞いてる!?」
「あーはいはい。あいちゃん、それについて何か分かるか?」
「次は適当にあしらわれたっ!?」
俺の横にいるあいちゃんは先程剥ぎ取った黒くなったエンシェントドラゴンの皮や牙を色んな角度から見ている。
「これってあのエンシェントドラゴンから剥ぎ取ったのよね?」
「ああ。急にピカーって光ったと思ったら黒くなって強くなったんだよ。もう焦った焦った。まぁ、俺の踵落としでノックダウンだけど」
俺がそう言うとあいちゃんは顎に手を当て思案顔になる。
「………汚染化………それもエンシェントドラゴンが?と言うか………それを倒す進って人をやめてるんじゃ…………」
何やら不名誉な事を呟いているあいちゃん。
ふと視線の端にあの従業員がこっちに向かって歩いて来るのが見えた。
コートをコンパちゃんから引ったくり、ガキに被せる。
「こいつでそのガキを隠せ。なるべく他の奴らに見えないようにしとけ」
「は、はい!」
後ろでネプちゃんが煩い気がするが無視して従業員の方へ向かった。
従業員は俺の姿を確認すると深々と頭を下げる。
「おかげさまで従業員は皆無事です。ありがとうございました」
皆…………?
あのガキの親は従業員じゃないのか?
いや、元より存在しなかったように見せる為か?
「いえ、何とか間に合って良かったです。それより、あの機械系のモンスターは集めるのですか?」
俺の視線の先には瀕死の機械系のモンスターを運んでいる従業員達がいる。
どうやらネプちゃん達が撃ち漏らしたモンスターだろう。
「ああ、あれですか?あのモンスターにある基盤が必要なのですよ。死んでからだと取れませんからね」
「わざわざモンスターを倒しに、それも瀕死の状態にするなんてアヴニールは大変ですね」
「いえいえ、貴方も大変だったでしょう。何せエンシェントドラゴンと戦ったのですから」
「ほぉ、何で俺がエンシェントドラゴンと戦った事を知っているんですか?」
片眉を上げながらそう尋ねると、従業員は一瞬惚けた顔をするが直ぐに戻す。
「え………ああ、部下からエンシェントドラゴンがいるという報告がきていましてね。貴方の怪我の具合からそうではないかと勝手に推測しただけですよ」
「ほぉ………」
相変わらず怪しい男だな、こいつ。
「あ、それよりも、子供を見ませんでした?十歳くらいの子供なんですが………」
十歳くらいの子供…………
あのガキの事か。
ここは知らないフリをしとくか。
「子供?何でこんな所に子供がいるんで?」
「それはこちらの事情でちょっと…………まぁ、見てないのならいいのですが」
「いやいや、子供がいるのなら助けないといけないでしょ」
「あ、因みにこちらが報酬で「ありがとうございます」
ハッ!?
目の前に金があるから思わず反射で受け取ってもうた!!
追求しようとしたが相手は『それでは』と言って立ち去ってしまう。
ヒューっと俺の横を冷たい風が吹く。
「……………帰るか」
報酬を貰った俺達はシアンちゃんの工場に帰り、ネプちゃん達は今、シアンちゃんに博覧会がある事を伝えている。
俺はベッドに寝ているガキの看病をしている。
野郎が野郎の看病するって何か気持ち悪いな…………
「う、う………ん…………」
身じろぎして目がゆっくりと開く。
ボーっと天井を見つめると顔を左右に倒して辺りを見渡す。
そこで俺と目が合う。
「よお、起きたみてぇだな」
「あ、えーと……………」
「俺の名は漆谷 進。ここはパッセって言う工場だ。そして、お前は奇跡的に助けられた。さて、起きて突然に悪いが幾つか質問に答えてもらうぜ?」
「…………え?」
頭をキョロキョロしながら頭にハテナマークを浮かべている。
まだ若干混乱しているみたいなので、暫く待ってガキが落ち着くのを見計らってから聴取を開始した。
「お前さん、何かアヴニールについての情報を持ってるのか?」
「何も………知りません………」
まぁ、そりゃそうだわな。
「そうか。じゃあ親はアヴニールで働いていたのは間違いないな?」
「ッ!?」
途端にガキの体がガタガタと震えだす。
「きょ、今日…………無理矢理、父さんと母さんに連れられて列車に乗って…………モンスターに襲われて…………それから……………!」
エンシェントドラゴンが両親を……………と。
顔を真っ青にしているガキから何となく読めた。
「テメェは恐らくアヴニールに目を付けられている。今は死んでると思っているが、生きていると分かったら殺しに来るだろうな」
冷たい声でそう呟くとガキの震えは更に大きくなる。
今のこいつを匿うにはリスクが大き過ぎる。
アヴニールに見つかるときっとシアンちゃんの工場を壊しに来るからだ。
「助けて…………下さい………!」
ガキは懇願するように小さく声を絞り出す。
これがネプちゃん達だったら迷いなくこのガキを助けただろう。
だが、俺は彼女達みたいに優しくはない。
彼女達は海で溺れる人を岸まで丁寧に運ぶだろう。
しかし、俺は違う。
俺がするのは助けることではなく、溺れる人に酸素ボンベを与えるだけだ。
「ガキ、人の手に自分の人生を委ねるな」
俺はガキに選択を促す。
このまま死ぬか、生きるために抗うか。
「自分で立ち、自分で選び、そして、自分で開け」
それだけ言って俺はガキから背を向けその場から立ち去ろうとする。
ガキとの距離が段々と遠くなっていく中、何か足音が聞こえた。
振り向くと立ち上がったガキが一歩、また一歩と俺に少しずつ近づいて来る。
その目は先程までの弱々しい瞳ではなかった。
「教えてください…………強くなる方法を…………もう、奪われるだけの人生は嫌です………だから、強くなりたいです…………!!」
覚悟を決めた鋭い視線が俺の双眸を揺るぎなく見つめる。
ガキは助けを乞うことを捨て、茨の道を歩む事を決意した。
もうこれでこのガキが普通に生きることはできなくなった。
「上等だ」
だったら俺はこいつに新たな人生の生き方を教えてやろう。
「ガキ、テメェの名は?」
「シレン…………シレンです…………!」
どんな荒波にも、どんな不条理にも、どんな理不尽にも負けない強さを。
その後、ネプちゃん達を加えてガキ改めシレンに他の事を聞いていたらいつの間にか夜になっていたので、聴取は一旦お開きになった。
部屋の都合上、シレンは俺と同じ部屋となり、今は床で布団にくるまって寝息を立てている。
対する俺はというと……………
「眠れん!」
久々に体を動かしたのに眠くなるところか目の前でLEDライトを照らされている並に目が覚めている。
アナログ式の時計の秒針が刻む音が嫌に大きく聞こえる。
何度寝返りしても、枕を抱いて寝ても、眠気は来ない。
「ちょっと煙草でも吸いに行くか」
ベッドから出てコートの中にある煙草とライターを取り出し、ポケットの中に入れ、手探りで部屋の出入口へと向かう。
途中、足元に柔らかな感触と『ムギュッ!?』っと言う声が聞こえたが、まぁ、問題ないだろう。
外に出て宛もなく道路をぶらつく。
春か秋か、寒くもなく暑くもないそんな気温が肌を撫でる。
信号は深夜により点滅し、街頭の光で虫が集まる。
ふと視線を上に向けると自分の前髪が目に入る。
もうそろそろ切るか?
前髪を摘みながらそう思っていると小高い丘に辿りついた。
どれだけ歩いたのか分からないが、夜のラステイションがよく見える。
その場に座って煙草を取り出しライターで火を点ける。
口の中で煙を転がし味わいながら鼻から出す。
空に消えていく煙を眺めながらこれまでの事とシレンが話してくれた僅かな情報を照らし合わせて考えてみる。
何故シレンの野郎が親に連れられあんな所に行かされたのか?
シレンが仕事に興味持って付いて来たって言えば納得はいく。
だが、親に無理矢理連れていかれたとなれば何らかの裏がある筈だ。
そして、あの従業員、名前は…………ガ○シュだったか。
何か髪の毛が金色っぽい名前だが………別にいいか。
あいつのあの顔。
長い事この仕事をしているがあの顔はクズがクズな事を考えている顔だ。
恐らくだがシレンの親はアヴニールにとって不利な情報を持っており、アヴニールは情報の抹消する為にシレンの両親をあの洞窟に呼んだ。
それに感づいたシレンの両親はシレンが家にいたままだと殺されると思い連れて来た、と見ていいだろう。
あくまで推測だけどな。
だとして、何故アヴニールは俺達に依頼したんだ?
そこが謎だ。
「あれ?進?」
「んあ?」
思考の海から浮上して声のする方へ頭を向けると、そこには寝間着姿のネプちゃんが瞼を擦りながらそこにいた。
何とも可愛らしい姿だが俺のタイプは金髪ボインの美女である。
更に欲を言えば美脚であること。
ニーソックスやストッキングなども素晴らしいと思うが俺は何も着飾らない方が至高だと考えている。
「どうしたんだ?こんな所まで来てよ」
「トイレ行こうとしたらどこかに行く進が見えたから付いてきた…………って言うのがよくあるセリフだよね!」
「…………そーですねー」
「本当は眠れないから外でプリンでも食べようかなっと思ってね」
よいしょ、と俺の隣に座ってきた。
柔らかい香りが風に乗って俺の鼻腔に入るが、俺のタイプは(ry
「進さぁー、本当にあの子を育てるの?」
「何だ?反対なのか?」
あいちゃんならまだしも、ネプちゃんだったら何も反対せずに『また新たな仲間が増えたね!あ、でもシレンは控えだよ!大丈夫!経験値はちゃんともらえるから!』とか言いそうなのだが…………
ほんの少し言い辛そうに口篭りながら言葉を口に出す。
「だって、進みたいにヌボーっとした顔で美人が好きで金にケチになって煙草や酒を摂取しまくる超不良少年になるんじゃないのかそれはそれは心配で…………」
「そうかそうか。そんなに口を引っ張られたいか」
「いひゃい!いひゃい!ごめんなひゃい!」
おー、すげぇ、餅のように伸びる伸びるー。
離すと涙目で俺を睨むが無視し、口に貯めた煙を一気に吐き出す。
「もぉー、煙草はやめてよぉ。プリンが不味くなるじゃん」
「俺の体は言っている。ここでニコチンを摂取するべきだ………と」
「どこのナレーション!?」
まぁ、ネプちゃんの言葉にも一理あるので煙草を携帯灰皿に突っ込んだ。
あー、どうも口元が寂しい感じがする。
ネプちゃんのプリン貰えないかなー。
だが、悲しいかな。
目の前のプリンはスプーンに削られ、その姿を無くしていく。
つーか、ネプちゃん、プリン食うの早っ!?
高速の速さでプリンを食べ終えたネプちゃんは視線を少し下へと落とす。
「シレンって他に家族はいないの?おじいちゃんとかおばあちゃんとか」
「いや、祖父母はとっくの昔に亡くなったらしい。更に両親には兄弟もいないから親戚はいないみたいだな」
「そう、なんだ…………じゃあ、シレンは一人なんだね」
声のトーンが少し下がる。
その表情は彼女らしくない暗い顔をしていた。
「ねぇ進、もし私が早く来ていたらシレンのお母さんやお父さんは助けれたと思うんだ」
「ネプちゃん、それは絶対にシレンに言うなよ。あいつの覚悟が揺らぐ」
「分かってる………分かってるけど………!」
その澄んだ紫の瞳からはポロポロと珠の様な涙が溢れ出す。
「私、やっぱり助けることができないんだよ………!」
「……………」
「私がグズグズしてたからシレンのお母さん、お父さんが死んじゃったの!私はそういう人達を助けないといけないのに!私は………私は………!」
まるで懺悔するかのように後悔を吐き出す。
しかし、例えシレンの親を助けたとしても国政院を味方に付けたアヴニールから逃げる手はない。
故にネプちゃんが嘆くのは筋違いだと言いたいが彼女は優しい。
優しい故に嘆いてしまうのだ。
もう彼女に何を言っても自分を責めるだろう。
嘆きに嘆き、自分で転けて歩むべき道を諦めてしまう。
だがらこそ、俺は彼女を支え、歩かせないといけない。
「誰だって蛇口から出てくる水を全て手で受け止める事はできない。それと同じだ。両手で全ての命を受け止める事なんてできねぇんだよ」
「…………」
「だけど、救うんだろ?」
「え?」
「君は俺に困っている人を見捨てる事はできない、そう言ったよな?全ての命は救えない。だが、ここで諦めたら救える命さえ救えなくなる。ネプちゃん、君はそれでいいのか?」
「でき………ないよ…………できるわけが、ないよ………」
「ああ、そうだ。だからこそ君は諦めてはいけない。ひたすら救い続けるんだ。それが、君の望みへと繋がるからだ」
「…………」
俺の横顔を見つめるネプちゃん。
あー、ヤバい。
すげぇ恥ずかしい。
「あー、人間の最底辺にいる奴が何偉そうに言ってんだって話だけどな」
「ううん、そうだよね。ここで弱音を吐いてちゃいけない、そう言いたいんだよね?」
「まぁ、そんなところだな…………」
「ありがとう」
感謝の言葉と共にネプちゃんは俺の体に抱きついてきた。
その体は柔らかく、心地良い温かさがある。
何故か“久しぶり”に感じた。
そう思ってしまう。
「私、救い続けるよ。例えどんなに辛い事があっても、どんなに苦しくても、頑張って皆を幸せにしてみせるから」
「ッ!?」
いつの間にか俺の右腕はネプちゃんの後頭部に回され、あと少し動けば彼女を抱きしめる形になる。
だが、俺はそこから動かない。
いや、“動いたらいけない”。
「進?」
固まった俺を不思議に思ったのか見上げる彼女。
俺は右腕を引き、彼女を引き離す。
「……………何も、ねぇよ。プリン食べたなら早く寝な。寝る前はちゃんと歯は磨けよ」
「あ、うん………進は?」
「もう少し、風に当たってから寝るわ」
俺はそれだけ言って煙草を取り出す。
ネプちゃんはまだ何か言いたそうだったが、特に何も言わずパッセへと帰って行った。
ネプちゃんが去った後、銜えた煙草を摘み、口を細めて紫煙を吐き出す。
「何で俺ってあの子に甘いんだろうな…………」
ネプちゃんの理想はもはや妄想に近い。
本当なら俺は彼女に現実を突きつけるべきなのだ。
なのに、何故彼女を応援するような事を言ってしまうんだ?
ただアイツに似ているだけなのに………
いや、アイツに似ているからこそなのか?
星空を眺めていると太腿の上に何か小さな物が落ちてくる感覚を感じた。
何だと思って太腿を見ると、落ちた部分が水みたいな物で濡れている。
最初は雨かと思ったが、空は満天の星空だ。
そこで風が吹き、頬に何か冷たい物を感じる。
頬に手をやり、やっとその正体が分かった。
「俺、泣いてるのか?」
涙なんてあの日で枯れ果てたと思っていた。
だが、今頬を伝っているのは確かに涙だ。
あの子に抱きつかれた時、胸に暖かい感情と懐かしい感情がじわっと浮き出てきた。
思わず抱きしめるところだった。
幸せだと思ったのだろうか?
もう、二度と味わう事がないと思っていた感情に無意識に体が反応したのか?
抱きしめていたら幸せになれたのか?
そう思うと更に目から涙がボロボロと溢れる様に流れ出し、咄嗟に手で両眼を覆う。
何度も何度も涙を拭うが一向に止まらない。
それどころか、息も震えてきた。
ああ、もう一度この感情に浸りたい。
彼女と共に笑い合い、共に喧嘩し、共に泣き合い、ついに別れ、そして……………
だがしかし、駄目なんだ。
この感情に身を委ねてはいけない。
そうすれば、俺はまた失ってしまう。
だからこそ俺はこの感情を拒み続けなければならない。
この感情を押し殺さないといけない。
「俺は…………幸せになったら………いけねぇんだよ……………!」
ここ最近、色んなネプテューヌ小説がコラボしてますね。
自分もやってみたいものです(まぁ、絶対書ける自身がありませんけど……………………)
でも、いつか全てのネプテューヌ小説の主人公達を集めて大規模なクロスオーバーをしてみたいですね。
全次元ゲイム ネプテューヌみたいなタイトルで……………すんません、調子乗り過ぎました…………