超次元ゲイムネプテューヌ ~殺し屋の異世界見聞録~ 作:鉄の字
俺は今、ネプちゃん、コンパちゃんとでダンジョンに行きモンスターを倒している。
工場のようなこのダンジョンはコンパちゃん曰わく『弱いモンスターのいそうなダンジョン』らしい。
それに対してネプちゃんはすんげぇ不満げだったけどな。
「あーらよっと」
スマイムに犬の鼻と耳が付いたモンスター、スライヌが俺に向かって飛びかかってくるが俺は冷静にそれを避け、手にした刀でスライヌを一刀両断した。
「よいしょっ!」
俺から少し離れた所にいるネプちゃんは木刀を手に、それでスライヌを軽々と倒している。
案外ネプちゃんも戦えるんだな。
そして、俺が一番目を疑ったのは虫さえ殺せなさそうなコンパちゃんだった。
「発射ですぅ!」
あ、ありのままに正直に話すぜ?
彼女の武器は手に持っている注射器。
それも抱える程の大きさだ。
ああ、俺も何言ってるのかよく分からんが、今現在進行形でコンパちゃんがピストンを押すと針から弾が発射され、それを振り回して鈍器として使っている。
最初、それを見たときは思わず『そんな装備で大丈夫か?』と聞くと、コンパちゃんは『注射器を甘く見ると痛い目にあいますよ!』と返してきた。
うん、確かに注射器は痛いよね?
対子供用リサーナルウェポンだもんね?
だけどできれば『大丈夫だ、問題ない』と答えて欲しかったね。
俺が注射器の恐ろしさを実感していると、コンパちゃんに向かって跳ねてくる某侵略者ゲームの宇宙人に鹿の角が付いるモンスター、シカベーダーが目に入った。
「コンパちゃん、伏せろ!」
俺は咄嗟に懐からデザートイーグルを抜き出し、コンパちゃんの背後から襲ってくるシカベーダーに銃口を合わせて引き金を引く。
銃声と共にシカベーダーが弾け飛んだのを確認すると俺は直ぐにデザートイーグルをしまった。
あーあ、貴重な弾丸がまた減ってしまったな。
この世界にデザートイーグルの弾は造られていないらしく、色んなショップに行ったが売ってなかった。
プラネテューヌの技術力があれば造作もないが完全にオーダーメイドになるので金がとてつもなくかかる。
コンパちゃんに金を借りるわけもいかないので、開発の目処がつくまで暫くは銃の使用を控える事にした。
残りのマガジンは4個。
保つかなぁ…………
「す、すみませんです!」
「謝る前に目の前の敵に集中しろ!」
「はいですぅ!!」
余所見していたコンパちゃんに喝を入れつつ、後ろから襲ってるスライヌに逆手に持った刀を突き刺した。
「進~!こっち終わったよー!」
「こっちもです!」
どうやらさっきのが最後だったらしい。
広い部屋の真ん中に三人が集まった。
「おー、お疲れさ~ん」
刀を背中の鞘に収める。
頬を膨らませているネプちゃんを見るとどうやらご不満なお様子で。
「よわーーーい!!このダンジョンのモンスター弱すぎるよ!!せめて登竜門みたいな怪鳥とかいないのー?」
「ねぷねぷ、それだと私達だけでは無理ですよ?もう少しレベルを上げないといけませんよ?」
それ以前にそんな名前の最後に先生と呼ばれるモンスターはここにいないと思うけどな。
そんな二人を苦笑しなが見ていると辺りに影が差して一体が暗くなる。
…………………殺気!?
上か!?
すぐその場を離れようとしたが二人の反応が遅れている。
なら……………
俺は左手を壁に向ける。
するとコートの袖から先にアンカーが付いたワイヤーが飛び出し、壁に突き刺さった。
俺のコートの両袖には……………何というか、ワイヤー射出器みたいなのがついている。
文字通りワイヤーを射出して、出したワイヤーを巻き取ることができる。
よく逃げる時とかに多用するんだけどな。
右手でネプちゃんの襟を掴み、腕でコンパちゃんを抱える。
左手を軽く引くとワイヤーが巻き取られ、俺の腕は引っ張られてその場から離れた。
「うはは、マジで強そうな奴が現れやがったな。フラグめ、中々侮れないな」
目の前には5mの巨体は下半身が蜘蛛、上半身は長い角が付いた人間、手には3m以上は確実にある巨大な剣を担いでいる。
「さっきまでのよりか強そうだな。ここ、弱いモンスターしか出ねぇんじゃなかったっけ?」
「そ、そのはずなんですけどぉ………………」
「来た来た来たーー!!これだよ!私が待ってたのはこれなんだよ!!」
うわぁ、ネプちゃんの目が爛々としてるし。
それよりも今は作戦を立てないとな。
「コンパちゃんは遠くから援護射撃して、俺とネプち「ヒャッホーーーー!!!」待てや、そこのハイテンションガール、ゴルァ!!!」
無視して突っ込むネプちゃん。
流石の俺も若干キレながら後を追いかける。
戦闘狂か!?
コンバットハイか!?
そんなに戦闘が好きなら少年誌さん家の子になっちゃいなさいっ!!
モンスターの大剣が俺達に向かって振り下ろされる。
俺とネプちゃんは二手に分かれ、それを避ける。
ネプちゃんはモンスターの腕を踏み台にして飛び、木刀でモンスターの肩を叩きつけた。
「かたっ!!?」
やはり木刀では致命的な攻撃にはならなかったようだ。
モンスターは片手でネプちゃんを掴みにかかる。
だが、俺はネプちゃんに向かってワイヤーを発射し、綺麗にネプちゃんの胴体に巻き付けた。
「Fishing!!!」
「ねぷぅぅうう!!??」
すぐにワイヤーを鰹釣りの様に巻き取りネプちゃんをゲッツした。
だが、その拍子にネプちゃんは木刀を離してしまい、モンスターの向こう側に落ちてしまった。
「う~~、進酷いよ~………」
「うっせ。無事に済んだんだからありがたく思えや」
「後、煙草臭ーい」
「小さい身長、もっと小さくしたろかアン?」
ヘビースモーカーじゃないからそんなに吸ってはないがやっぱり臭うか……………
ネプちゃんと何気ない漫才を続けているとモンスターは大剣を振りかぶっていた。
だが、そこに炸裂音と共にモンスターの至る所に弾が当たりモーションが阻止させる。
「二人とも、今の内です!!」
あの注射器(立派な武器)で撃ったであろうコンパちゃんの言葉に俺はネプちゃんを抱えたまま、コンパちゃんの後ろまで走った。
さてと、どうするか……………
ネプちゃんは戦えない。
コンパちゃんの武器ではダメージは与えられないしな。
俺だったらあの位なら倒せる。
だが、俺の力はあまりに強すぎるが為、二人がいたら邪魔だな。
遠くにいるコンパちゃんならまだしも、ネプちゃんなら巻き添えをくらうかもしれない。
なら………………
「す、進、ごめんだけど降ろしてくれたらネプテューヌさん、嬉しいかも~……………」
「ん?ああ、ごめんごめん」
消えそうなら程小さな声で顔を真っ赤に染めて呟くネプちゃん。
今の状態は俺がネプちゃんの膝裏と脇を抱えている。
所謂お姫様抱っこだな。
そりゃ確かに会ったばかりの異性にやられたくはないわな。
素直に降ろすとネプちゃんはどこか残念そうな顔をしていたが、何でだろうな?
「ネプちゃん、コンパちゃん、俺があいつを引きつけるから二人は出口から脱出しろ」
「え!でも進は?」
「安心しろ。お前たちの姿が見えなくなったら直ぐにトンズラするって。こういう汚れ役は殺し屋の俺が適任だ」
「……………………」
どこか納得のいかないネプちゃん。
ネプちゃんは正義感が人一倍強いからねぇ~。
やれやれ仕方ない。
俺はネプちゃんの額にデコピンをくらわした。
「ねぷっ!?」
「いいかネプちゃん」
俺はデコピンで赤くなった額を抑えるネプちゃんの両肩に手を置いて真剣な表情で視線を合わせる。
「俺達が逃げてもダンジョンは逃げねぇよ。今回の事を反省して次に備えればいい話だ。逃げるのは終わりじゃない。」
「うん、でも……………………」
「困っている人達を助けたいんだろ?でもここで俺達が死んだら誰が助けるんだ?」
「………………誰もいない」
「なら、やることは分かってるな?」
俯いた顔を上げるとまだ躊躇いはあるが、コクリと頷いた。
俺はネプちゃんの頭を乱暴に撫でてやる。
「上等だ」
俺は立ち上がり律儀に待ってくれたモンスターの目の前に立つ。
「待たせたな…………って言葉通じねぇか?」
胸ポケットから煙草を取り出しジッポで火を点け、紫煙を吐きながらニヤリと笑う。
「かかって来いや糞虫。その首、ぶった斬ってやるよ」
俺の挑発に乗ってきたかモンスターは大剣を真横に振るう。
それに合わせて俺は片手に持った刀で防ぐ。
「行け二人とも!」
俺の合図で駆け出す二人にモンスターの頭が二人に向くが、俺は直ぐに銃を抜いて頭に何発か発砲する。
流石に大口径の弾丸だと効くのだろう。
二人から素早く頭をこっちに向けた
「どこ見てんだ?お前の相手は俺だ。早くかかってこい!ハリー!ハリー!ハリー!!」
「進…………………」
ネプテューヌは走りながら後ろを見る。
そこにはモンスターに対峙するロングコートの黒い背中が見えた。
迫る大剣を軽々と避けて間合いを取りながら一撃を与える。
確かにこのままだと進は逃げる事は簡単かもしれない。
だが、ネプテューヌはもしもの事を考えてしまう。
それは彼が死んでしまう事。
自分はこのまま彼を放っておいて逃げていいのか?
自分は何もしないままでいいのか?
そう思うと自然と逃げる足が止まる。
「ねぷねぷ!」
「コンパ……………やっぱり私逃げれないよ!進はパーティーで仲間!大切な仲間を一人にするなんて駄目なことなんだよ!!」
彼は会って間もない。
自分を殺し屋と自虐的に話すその男。
だけど自分の大切な仲間である事に違いない。
「ねぷねぷ………………気持ちは分かりますが、でも私達じゃ何もできませんよ?」
「うっ…………」
だが自分に武器はない。
コンパの武器では大したダメージは与えられない。
やはり何もできないのか?
悔しさを越え逆に悲しくなってくる。
彼を手伝うことすらできない。
だが、突如ネプテューヌに頭痛が襲う。
「いたっ!?」
「ねぷねぷ!どうかしましたか!?」
ズキズキと痛みが襲う中ネプテューヌの脳裏ではある記憶がフラッシュバックしていた。
それは自分のようで自分である存在。
姿は違えど、それは自分であることが何故か分かる。
頭痛が治まる。
ネプテューヌの頭の中にはある方法が記憶された。
いや、記憶が蘇ったのだ。
これは一体何だろうか?
だが今はそんな事を考える暇はない。
(私は………………進と戦いたい!!肩を並べて戦いたいの!!)
彼女の純粋なその想いが彼女の隠れた力を解き放つ。
「さぁてと、ネプちゃん達はもう逃げたか?」
鍔迫り合いから後ろに飛ぶ。
もうそろそろ本気だしても大丈夫か?
そう思っていると背後から大きな光が現れた。
背を向けている俺でも分かるほどに光るそれに思わず振り向き、それを額に手を置いてよく見る。
何だ?
新手のモンスターか?
するとその光から突然、紫の影が飛び出し俺の横を高速で通り過ぎる。
そして、俺の背後にいるモンスターに一撃を加えた。
「お待たせ進」
俺の目の前に一人の女性が降りてくる。
紫と黒のボディースーツにスタイルのいい体を包み、澄んだ蒼い瞳をした彼女は凛々しい顔つきに紫のロングヘアーを長い二つのおさげにしている。
背中には羽のようなハイフィンを従えた装備。
そして、手にはボディースーツと同じ色合いをした大振りな太刀を持っていた。
そうそれは……………………………………………
「………………………………………………誰?」
思わずポロッと口に出してしまった。
いや、でも、本当に……………………誰?
自慢じゃないが今まで会った女性(但し美人、美少女に限る)は俺の脳にインプットされているので忘れる事はない。
しかもこんな高ランクの美少女だったらものの一番に出てくる筈だが………………
むむ、俺ももう年か?
「どうしたの?どこか怪我したの?」
「え?あ、ああ、ちょっとね……………えーと、お嬢さん、どっかで俺と会ったっけ?」
心配そうにこっちを覗き込むお嬢さん。
とりあえず名前を聞いたが彼女は不機嫌そうな顔になる。
「何言ってるの?ずっと一緒にいたじゃない。私よ、ネプテューヌよ?」
ネプテューヌ?
ネプテューヌ……………………
『 私はネプテューヌ!えーと、進だね!ススムン…………ススリン…………何か嫌だから進でいっか!よろしくね、進!』
『 ペッタンコじゃないもん!!まだ将来に希望があるもん!!』
『進はパーティーの一員だし、仲間は信じないとね!!』
ネプテューヌって、あのネプちゃん?
「ネプちゃんは知ってるけど、こんなデカくはないし………………」
「デカいって失礼ね。だから、私がそのネプテューヌよ」
あーーー、はいはい。
この目の前にいるのが…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………ぅゑ?
「チラッ(コンパちゃんを見る)」
「コクコクコクコクコク………………!!!(激しく首を上下するコンパちゃん)」
「あー、うん、成る程ね。君がネプちゃ………………
うええぇぇぇぇぇええええええええええええええええええええええええええぇぇぇぇぇぇぇえええええええええええええ!!!?!?!???!!?!!?!??!?!??!??
え?あ?
うぇぇええええええええええええええええええええええぇええぇぇぇえええ!!!?????!!???」
「うるさいわよ………………」
「いやいやいやいやいや!!?何があったの!?成長期!?急すぎるでしょうが!?劇的にビフォーでアフターし過ぎでしょう!!?」
性格違いまっせ!?
姿違いまっせ!?
スタイル違いまっせ!?
ボイン違いまっせ!?
あ、でもよくよく見て幼くしてみるとネプちゃんに似てるかも……………………って違うでしょうが!?
「私にもよく分からないのよ。でも、これなら逃げる必要はないわよね?」
太刀を振りかざし、何故か律儀に待ってくれていたモンスターに向き合い不適に笑う。
仕方ねぇ、もう認めよう。
「………………………はぁ、了解。恐くなったら何時でもお兄さんの胸に飛び込んで来いよ」
「フフッ、期待してるわ。コンパもね」
「え?あ、は、はいですぅ!!」
先ほど叫んだ拍子に落とした煙草を拾い携帯灰皿の中に入れ、ポケットからまた新たな煙草を取り出し口に咥えて火を点ける。
「仕切り直しだ。一気に叩き潰す」