超次元ゲイムネプテューヌ ~殺し屋の異世界見聞録~   作:鉄の字

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ジャーマン・スープレックス

『ほら!行くわよ!』

 

 

『いや、どうみてもこの店は庶民の俺にとっては場違いなんだが……………』

 

 

『だってあんた、こんな寒い冬でもスーツだけでしょ!?だからこの私が直々に買ってあげるって言ってるんだから感謝しなさい!!』

 

 

『……………うわぁ……………典型的なツンデレ……………古い…………』

 

 

『何か言った?』

 

 

『イエ、何モアリマセンヨ?』

 

 

『………………………………』

 

 

『うおっ!?あ、危ねぇ!!こ、こんな所で股間を蹴ろうとするんじゃねぇよ!!』

 

 

『ケッ!もげろ』

 

 

『こらっ!女性がそんなこと言うんじゃありませんっ!!』

 

 

『何で、ジャパニーズお母さん?』

 

 

 

 

 

 

 

 

『あら、似合ってるじゃない?』

 

 

『………………なぁ、このコート、俺の貯金とほぼ同じ値段なんだけど………………』

 

 

『あら、あんた稼ぎ少ないのね』

 

 

『ちげぇよ!これが高過ぎんだよ!!俺の貯金、数年は遊んで暮らせる程あるわ!!………………やっぱりいいわ。こんな高い物、女性に買わせるわけにはいけねぇし』

 

 

『ダメ。女云々以前に私は年上よ?年上の言うことは聞きなさい。年上の70%は正しいでできているのよ』

 

 

『んだよその屁理屈…………年上っていっても4歳年上なだけだろ……………』

 

 

『あんた未成年』

 

 

『………………………はぁ~~、分かった。男が女にプレゼント贈る季節なんだがなぁ………………』

 

 

『フフ、絶対大切にしなさいよ。穴でも空けたら容赦しないわよ』

 

 

『いや、俺の職業的に約数週間でゴミ箱行きになるぞ』

 

 

『穴空けたら………………もぐわ』

 

 

『やっぱりそれかよ!?』

 

 

『破けたら…………………もぐわ』

 

 

『お前それしかねぇだろ!?』

 

 

『フフフ、だから……………大切にしてね?』

 

 

『………………分かった。一生大切にする』

 

 

『約束よ?』

 

 

『ああ、約束だ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………………ん?」

 

 

目が覚めるとガタンゴトンと揺れる電車の中。

あーー、確か橋を渡った後、大陸の真ん中に行くために電車乗ったんだな。

 

 

「あ!進、おっはー!!」

 

 

「………………おっはー」

 

 

古い………………

目の前には良く言えば天真爛漫、悪く言えば鬱陶しい程超ハイテンションのネプちゃんがいた。

大人しくすれば、それはそれは可愛い女の子なんだが、いかんせん、現実はそんなに甘くねぇってことだな。

 

 

「進さん、ぐっすり眠っていたです」

 

 

「ま、ネプ子の相手をしていて疲れたんじゃないの?ずっとネプ子に付きっきりだし」

 

 

それにしても、何の夢見てたんだ?

えらく懐かしい夢を見ていた気がする。

急に起きると何の夢を見ていたかわからないよなぁ。

 

 

「むむ!あいちゃん、それは酷い濡れ衣だよ!異議あり、だよ!ね、進!」

 

 

「いや、案外そうかもしれん」

 

 

「ねぷっ!?私、四面楚歌!?」

 

 

おーー、ネプちゃんが四面楚歌をしっているとは意外だな。

ちらっと壁の電光板を見ると到着まであと数十分はかかるらしい。

暇なのでポケットからタッチ式の音楽機器とイヤホンを取り出し、イヤホンを繋いで音楽を聞く。

因みにジャンルはロック。

 

 

「あら、それって進の世界の機械?」

 

 

「ん?あぁ、これか?これは「わぁーー!進、貸して!!」……………音楽聞くための機械だ」

 

 

あいちゃんに説明しようとしたところ、瞬時にネプちゃんに強奪された。

つーか、イヤホン、思いっきり抜くと耳痛いんだぞ。

 

 

「そういえば、進の世界のことあんまり聞かなかったわよね?どんな世界なの?」

 

 

俺の世界のこと……………地球のことか。

 

 

「どんな世界と言われると困るけどなぁ………………女神が存在せず、モンスターもいないし、小さな争いはあるがそこそこ平和な世界だな」

 

 

「モンスターもいないなんて皆が理想としているゲイムギョウ界じゃない」

 

 

「だが、モンスターがいない代わりに人の欲望が増し、自分の地位の為に金を使う。企業がライバルを消すために人を殺す。金が欲しいから人を殺すって輩が多いな。その他にも問題を上げたらキリがない」

 

 

ま、俺もその中の一人だな。

俺としては皆で一致団結してモンスターを倒そうとしているゲイムギョウ界の方がよっぽど平和に見えるな。

 

 

「湿っぽい話になったな」

 

 

「い、いえ!そんなことないです!」

 

 

「そういう世界があるとモンスターは必要悪なのかしら……………」

 

 

「ま、そんな深く考えるな。人の平和なんて人それぞれだから、なっ!」

 

 

俺の音楽機器をいじくっているネプちゃんから無理矢理奪い取る。

まったく、油断も隙もありゃしねぇ。

 

 

「あー!いいところだったのに~」

 

 

「知るか。後、こういうのは人のプライバシーに関するから勝手に奪うのはやめろよ」

 

 

「むーー!!進はいつも私を子供扱いしてるよ!!私だって立派な大人だよ!?」

 

 

「何を言う幼女」

 

 

「幼女じゃないっ!!まだ膨らみはあるよ!!」

 

 

「ああ、すまん、間違えた。ぺったんこだったな」

 

 

「ムキャーーーー!!!」

 

 

何か前にもこんな展開あったような気がする。

飛びかかってくるネプちゃんに冷静にデコピンで対処した。

 

 

「ねぷっ!?」

 

 

「電車で暴れるな。ま、そんな事を知らなければ大人とは言えねぇな?」

 

 

「ぐぬぬぬぬ………………」

 

 

ニヤリと勝ち誇った笑みを浮かべる俺に対して悔しそうに歯軋りしている真っ白い額を赤く染まったネプちゃんは腕を組んでドカッと椅子に座り、窓の外の景色を眺めだした。

黙るのはいいが、はてさていつまで続くだろうねぇ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわぁ!なんか鋼鉄島ーって感じ!?あいちゃんあいちゃんっ!ここはなんて大陸?」

 

 

結果一分でした。

 

 

「ラステイション。守護女神ブラックハート様が納める大陸よ。重工業が盛んで、工場なんかが多いの」

 

 

周りには工場やビルが立ち並び、中からは様々な機械音が聞こえる。

至る所には煙突があり、そこから黒い煙がモクモクと出ている。

これはまた、プラネテューヌとは違う所だな。

プラネテューヌが未来ならラステイションは現代って言ったところか?

 

 

「こういうのさ………………ディテールって言うの?大陸ごとに建物が違ったり雰囲気が違うのってさ、やっぱり女神様の趣味?」

 

 

「違うと思うわ。確かに治めるのは女神様だけど文明を築くのはあくまでも人だから」

 

 

「むーーー……………あいちゃんは夢が無いね。コンパと進はどう思う?この大陸!」

 

 

「工場とか煙突が目立ってて……………産業革命って感じがするです。……………ちょっとマニアックかもですぅ」

 

 

「俺はどっちかと言うと風景は向こうと同じだから懐かしい、と言った感情だな」

 

 

「へぇ~、進の世界もこんな所なの?」

 

 

「流石に大陸丸ごと工場地帯なんて大規模じゃねぇよ。街の所々にあるって感じだな。それよりも、さっさとモンスターの情報を聞こうぜ。協会に行くんだろ?」

 

 

「そうよ。どんな大陸でも協会に行くのはどこでも同じよ。さっさと行ってモンスターの情報を聞きましょ」

 

 

「了解だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

移動から数十分、目の前にはプラネテューヌとはデザインが違うラステイションの協会が建っていた。

 

 

「すいませーんっ!ちょっとモンスターのコトが知りたいんですけど中に入ってもいいですか!!」

 

 

ラステイションの協会の前に立っている、協会の人であろう男にネプちゃんはいつも通り超馴れ馴れしく話しかける。

 

 

「モンスターの情報?そんなもの知ってどうするんだ」

 

 

「鍵の欠片っていうアイテムを探してるです。そのために強いモンスターさんを探してやっつけないといけないですぅ」

 

 

こちらの目的を説明するコンパちゃん。

だが、協会の男は険しい顔になる。

 

 

「モンスターを……………やっつける?バカを言うな!ラステイションの軍隊でさえモンスターには苦戦してるんだ!それにお前達は、どうみても子供だろう!モンスター退治など百年早い、帰れ帰れっ!!」

 

 

俺、大人………………

何で皆、俺を大人と見てないんだろうな?

俺ってそんなに影が薄いか?

 

 

「み、見た目で判断しないでほしいです!こう見えても私達は、今まで何度もモンスターさんをやっつけてきてるですぅ!!ねぷねぷだって変身したらうんと強く、カッコよくなるです!」

 

 

「変身?何を言っとるんだお前は。ごっこ遊びがしたいなら、よそでやれ。仕事の邪魔だ!」

 

 

男の怒鳴り声にオロオロと涙目になるコンパちゃん。

むむ、子供相手に大声を出すとは大人気ないな。

 

 

「協会って、ずいぶん不親切なのね。女神様に仕えるアナタ達がそんなじゃブラックハート様も大したことないんじゃない?」

 

 

「何とでも言え!我々国政院は、女神にへつらう教院とは違う!女神がどう思われようと、痛くも痒くも無いわ!!」

 

 

よし、言質とれた。

俺はあいちゃんを手で下がらせる。

そして、協会の男もといオッサンの前に立つ。

 

 

「な、何だ貴様は!この子供達の保護者か!?なら、早くここから………………」

 

 

その直後、オッサンの顔面に俺の手が覆い被さった。

そして、俺はそれはそれは、とてとてもいい笑顔で、そのまま腕力だけで持ち上げてオッサンの体はリフトアップする。

 

 

「ムーー!!?ムーー!??」

 

 

「おじさぁ~ん、僕達ぃ、慈善活動の為に頑張っているんですよぉ~。それを中に入れない上に門前で罵倒するなんて酷すぎじゃないですかぁ?」

 

 

手の隙間から見えるオッサンの顔が段々青くなってきたので一回離す。

地面に尻餅を着いたオッサンは後ずさりしながら俺を指差した。

 

 

「き、貴様!国政院の俺に手を出したな!?覚えていろ、後で必ず引っ捕らえてやる!!」

 

 

その言葉に俺の笑みはもっとドス黒くなる。

女神を罵倒するこいつらに女神の後ろ盾はない。

なので………………

 

 

「じゃあ、記憶を失う程強く頭を打ちつけないといけませんねぇ~~?」

 

 

「……………………へ?」

 

 

オッサンが助けを求める前に俺は背後に移動してオッサンの腰に腕を回しクラッチする。

 

 

そして、力任せにオッサンを軽々と持ち上げーーー

 

 

「ジャーマン・スープレックスゥゥゥウウウ!!!」

 

 

「ブベラッ!?」

 

 

ーーー後方に反り投げて、オッサンの頭を地面に打ちつけ、見事なブリッジが完成した。

 

 

しかし、まだ終わらない。

 

 

俺はオッサンをクラッチしたまま地面を蹴る。

オッサンを中心に俺の体は半回転して、ジャーマン・スープレックスをする前の位置に戻る。

そして、同じようにまたジャーマン・スープレックスを炸裂させた。

 

 

「進よりネプちゃんの恨みを込めてぇぇえええ!!!」

 

 

「ハキョベヘ!??」

 

 

さらにもう一回。

 

 

「進よりコンパちゃんの恨みを込めてぇぇえええ!!!」

 

 

「ブケファラ!!?」

 

 

さらにもう一回。

 

 

「進よりあいちゃんの恨みを込めてぇぇえええ!!!」

 

 

「ホンダラバァァア!!?!?」

 

 

さらにもう一回。

 

 

「最後は……………………特に理由のない暴力じゃぁぁぁぁぁぁぁあ!!!」

 

 

「○◆◑■◯★◆◇◑□!!!!???」

 

 

最後のジャーマン・スープレックスは地面が凹む程の威力になり、オッサンは見事な犬◯家となった。

気分はフルコンボだドン!な感じだ。

これだけ頭を強打すれば、ついさっきの記憶どころか今までの記憶失うかもしれないが、まぁ、このオッサンの自業自得ってことで。

 

 

「進さん、いくら何でもやり過ぎじゃないです……………?」

 

 

「女の子を困らせるコイツが悪い。女の子を困らせること、イクナイ」

 

 

「進、すごーい!!」

 

 

「何でネプ子は嬉しそうなのよ……………流石に私でもあの男に同情するわ……………………」

 

 

ついムシャムシャしてやった。

でも、後悔はしてないっ!!

 

 

「ま、さっさとここを離れるぞ。周りに人がいないとはいえ、何があるか分からないからな」

 

 

「誰のせいだと思ってんのよ、全く……………」

 

 

どこ吹く風な俺にあいちゃんはため息を吐き、俺達はその場から離れる事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

「でも、これからどうするです?モンスターさんの事を聞くどころか、協会の中にも入れてもらえなかったですぅ…………」

 

 

「と言うか一部、ここにいるお兄さんの仕業だと思うけど」

 

 

「いやはや照れるじゃないか、あいちゃん」

 

 

「褒めてないわよ!……………でも、協会もおかしいわよ!女神様のことを呼び捨てにしてたのよ!?教院とは違うとか女神様なんかどうでもいいとか!!」

 

 

「何もあんな言い方しなくてもいいのに!やっぱ大陸が違えば協会も違うのかな?……………世知辛い世の中になったね」

 

 

「いんや、あの連中は国政院なんだろ?さっきアイツは『女神にへつらう教院とは違う』って言ってただろ。だったら教院は普通ってことなんじゃないのか?」

 

 

だとしたら、どうなっているんだろうな、この大陸は?

女神を支える筈の国政院が女神を罵倒するとはな。

ここの国政院の地位はそんなに高いのだろうか?

こりゃあ、また変なことに巻き込まれそうだな。

 

 

「んーー、分からない事は街の人に聞いてみようっ!先ずは情報集めだよ!」

 

 

「ねぷねぷの言うとおりです。地道だけど、ラステイションに来たばっかりです。知らない事が、たぶん多すぎるですね。まだまだ序盤です。これしきのことでへこんだり、変に先走りすぎないでのんびりまったりいくですぅ!」

 

 

何とものんびり口調のコンパちゃんによく合う言葉だな。

だが、確かにここで立ち止まっていてもしょうがない。

 

 

手掛かりはまだゼロってわけではない。

ただ、地道にやっていくしかない。

それだけの事だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

それから街に聞き込みを行ったところ、鍵の欠片についての情報はなかったが、その代わりにモンスターを討伐してほしい、という依頼があった。

モンスターの情報が欲しい俺達にとっては正に砂漠にオアシスな好都合な話だ。

 

 

「あ、きっとあの人です!モンスターさんを倒して欲しいって言う社長さんは!!」

 

 

「えー?なんか一回り小さいよ?社長さんて言うくらいだから、もっと風格のあるガッチリした人じゃないの?」

 

 

「でも……………あ、気づいたです。……………顔をしかめたです。手を振ってくれたです。やっぱり間違いないですぅ!」

 

 

「向こうの人も、もしかしたら、こっちと同じ気分かもね」

 

 

待ち合わせの場所に行くと、茶髪のボブカットに勝ち気な目が特徴な中性的な顔をした、黄色いつなぎを着た女性が立っていた。

 

 

だが、その顔はどこか不安そうな表情をしている。

んー、この面子を見れば誰でもそう思うよな。

 

 

「……………お前らか?モンスターを退治してくるってのは。本当に大丈夫なのかよ」

 

 

「見かけによらないのはお互い様よ。それより、はじめまして。私はアイエフ、後ろの三人がコンパとネプテューヌと進よ」

 

 

「私はシアン。都心近くでパッセって言う小さな工場をやってる!実は交易用の道にモンスターが出るようになって荷馬車や列車がたびたび襲われてるんだ。それをどうにかして欲しいって訳だが、大丈夫か?」

 

 

「大丈夫、戦闘はもう慣れっこだから大船に乗ったつもりで、任せていいよ!!」

 

 

「気に入った!!そう自信満々に言ってくれるとこっちも任せがいがある!これにモンスターが出現した場所が書いてあるから、直ぐにでも行ってくれ!」

 

 

シアンちゃんはポケットからメモを取り出し、この中では年長者に見える俺に渡した。

 

 

…………………やっぱり字が分からん。

 

 

「おう、了解だ、シアンちゃん」

 

 

「『ちゃん』付けするなっ!はっ倒すぞ、オッサン!!」

 

 

ははは、手厳しいな。

それと、オッサンって言葉は23歳にとっては地味に傷付くので止めてね。

 

 

 

 

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