この世界に馴染んでいくのを感じる。
だが、それは自分がこの世界の純粋な住民でないことを表していた。
よもや、誰が転生者の存在を信じるだろうか。
残念ながらこの世界に仏教はないので、もちろん輪廻転生の考えなどない。
転生者だと告げたところで冷めた視線を向けられるだけだ。
転生者は孤独だ。
しかし、悪いことばかりではなかった。
前世の記憶によって、転生者はこの世界にない知識を得ている。
ゆえに、本来ならこの世界ではありえなかった物事をもたらすことができる。
とある転生者は自身のロボットに関する知識を総導入し、この世界の最高戦力である幻晶騎士の技術を飛躍的に向上させた。
歴史が動くほどの大きな出来事だった。まさに革命と言える。
だが、彼はここで語られるべき存在ではない。
ここではもう一人の転生者――
彼は前世にあまりにも凄惨で、冒涜的な歴史を残した。
幻晶騎士と同じく人の形をした史上最強の兵器“アーマードコア・ネクスト”を駆り、清浄な空に浮かぶ揺り籠、クレイドルのすべてを破壊した。
人類は深刻な出血を強いられ、生き残った人々は彼を人類種の天敵と恐れた。
彼もまた人間だった。人類を絶滅まで追い詰めたものの、最期は寿命に倒れた。
だが、その魂は汚れたまま、この世界への転生を果たす。
これは、あり得ることのなかった、もう一つの世界の歴史。
*
長い夢から覚めたような、そんな不思議な感覚を覚えた。
かつての自分が駆っていた最強の兵器によく似た巨大な人型、幻晶騎士を目の前にした時、
あまりにも凄惨な記憶。すべてを焼き尽くした最悪の歴史。
だが、自然と受け入れることができた。それが当然であるかのように。むしろ、今までの平穏な日々こそが夢だったと思えるほどに。
純粋無垢だった少女の瞳に禍々しい何かが宿る。
光が失われ、深淵の闇だけがあった。
一体何をしようというのか。彼女はおもむろに幻晶騎士のもとへと歩き出す。
だが、呼び止める声が彼女の小さな背中にかけられた。
「りんくす! あぶないですよ」
舌足らずな、しかし元気に満ちた可愛らしい声。
振り返ると、そこには美少女と呼ぶにふさわしい子どもがいた。
だが、天使と見紛う可憐な容姿をしているが、彼は男の子だ。
「える、ねす、てぃ」
子ども、エルネスティ・エチェバルリアの名を口にする。
すると、リンクシィの瞳は濁りが抜け落ち、光を取り戻した。一体何をしようとしていたのか、すっかり忘れてしまった。
あの記憶は残ったままだった。しかし、エルネスティの存在がリンクシィの穢れた魂に宿るかつての彼女の狂気を抑えたのだった。
理由は特に思いつかない。強いて挙げるなら、エチェバルリア家とカラーディア家は親密な仲にあり、二人は一緒にいる時間が長かったことくらいか。
エルネスティはリンクシィの手を取り、安全な場所まで下がらせた。
「あなたもしるえっとないとにきょうみがあるのですか?」
何かを期待しているかのような笑顔を浮かべて、エルネスティは訊ねた。
「……わからない。でも、わたしは、あれをしってる。ころすためのどうぐ。いつか、じんるいをえしさせるそんざいになりかねない」
予想の斜め上をいく答えにエルネスティは困惑を隠せずにいた。
彼もまた転生者ゆえに彼女がどういうことを言ったのか、そして、その幼い見た目に相応しくない答えを口にしたことを理解していた。
余談だが、エルネスティもあまり見た目相応な言葉づかいではないと言える。教えてもいない丁寧語を初めから使える幼子などそうそういない。
「む、むずかしいことをかんがえているのですね」
「わたしは、こわい。……また、ころしてしまいそうだから」
顔を俯かせ、自分自身を抱きしめるリンクシィ。彼女は恐怖に身を震わせていた。
エルネスティは戸惑いを隠せなかったが、ぱしんと自分の頬を打つと、曇りのない笑顔を浮かべた。
「いいじゃないですか、それでも」
「……?」
「ろぼっとのつかいかたはひとそれぞれです。だれかにおしつけられるものじゃありません。あなたがただしいとおもうことをすればいいのです。たとえ、じんるいをほろぼすことになろうとも」
ロボットをこよなく愛する少年は、愛ゆえに歪んだ考えを持っていた。
しかし、目の前の少女にとってその言葉は、胸のうちに秘めた殺意への恐怖をいくらか和らげていた。
――わたしは、なにがしたい?
その答えはすぐに出てこないだろう。
だから、探すことにした。
遠くでエルネスティの母親の声が聞えた。一人勝手にここに来たらしいエルネスティは「いけない、かあさまがよんでる」とリンクシィに背を向けて走り出した。
そう思いきや、突然振り返った。
「りんくす! ぼくはしょうらい、ないとらんなーになります。ないとらんなーになって、しるえっとないとをそうじゅうします! それが、
そう残し、彼は再び心配しているだろう母親のもとへ急いだ。
一人残されたリンクシィは、幻晶騎士へと視線を向ける。
巨大な人型。原始的であれども武器を手に取り、敵を殺す兵器。
あれに乗ることを選べば、また殺すことをやめられなくなるかもしれない。
だが、もう一度、何かを守るために戦うことを選ぶこともできる。一度は捨ててしまった道を、もう一度やり直せるかもしれない。
「わたし、は……」
なれるだろうか? あの白き閃光のように。
「……ううん。なるんだ。――なって、みせる」
――それが、私の
リンクシィは決意を抱いた。
はたして、その先に待っているものは何だろうか。
運命の歯車は今、ゆっくりと回り始める。
現時点での二番煎じ。
ACfaやり直したら無性に書きたくなったんです。
……本当に申し訳ありません。
長く書くつもりはなく、せいぜい一万ちょっとくらいを目安に書いていくつもりです。
アーマードコアはfaとvだけプレイしたことがあるだけで、他は知識だけです。
わたくしのコジマ汚染も大したことないレベルです。
変態を期待していた方には申し訳ありません……。
ナイツ&マジックは書籍第一巻、アニメを途中、なろう全話といった具合です。別にアニメが見たくなくなったわけではなく、諸事情により見れない状況になっただけですので、機会ができたら全話見ます。書籍は……どうなんでしょう? 読んだ方がいいでしょうか?
長くなりましたが、後書きはここまでです。
次回は入学です。サクサク行きましょう。
素人ですが、どうぞご容赦を。
それでは、また次回。