黒は白には染まらない   作:RGT

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 まだまだ二作目ということで手探りで書いているのですが、話の流れをもう少し早くした方がいいんでしょうか?また今回様々なことが立て込んでいる中、合間合間に書いたものですので、文の流れやあからさまに強引なところがあるかと思います。ご了承ください。

 いつか書き直します。


Yes ma'am!!!

 

 08:12

 早乙女の館内放送に従い、数艦を除いた艦娘達が作戦室に顔を揃えた。部屋は作戦室と言えば聞こえはいいが、実際のところ縦幅およそ2m近くの日本地図に向かって木製の長机と椅子が列をなして並べられているだけの簡素なものだった。そこに朝食を済ませて一早く来た者から順に艦種ごとある程度のまとまりを持って座っている。皆一言もしゃべらず、ただただ代わり映えのしない日本大陸とその周辺海域が記された地図を眺めていた。地図上には所々赤いピンが刺されているが気には留める者は誰もいない。

 

 08:15

 それからおよそ3分遅れで早乙女と後に続いて三人の艦娘が作戦室に姿を見せた。一人は昨日から早乙女の横に控えている長門改二。あと二人は龍驤改二とヴェールヌイ。

 見ない顔だった。佐世保第三鎮守府には龍驤も響は所属していない。ということは新たに建造した?

 皆気になる気持ちを頭の片隅に追いやると、音を立てて立ち上がり自分の持てる最大限の早さで敬礼し「おはようございます早乙女提督」と口々に言った。早乙女は一言「おはよう」と口にし、演台の前に立った。演台の上に資料を広げ、内容に一通り目を通す。そんな早乙女に対して赤城は顔色をうかがいながらゆっくりと言葉を絞り出す。

 

「て、提督。雪風が来ていません」

「………なに?………島風、相部屋だな?今すぐ連れてこい」

「りょ、了解!!!」

 

 島風は慌てて再敬礼をすることも忘れて部屋を飛び出していった。早乙女はそのことを気にも留めず横目で見送ると、戻って来るのを待つことなく演台に設置されたマイクのスイッチを入れた。スピーカーを介してジーといったマイクの内部雑音が作戦室に響く。早乙女が話し出す。そう思うと自然と艦娘たちの気持ちも引き締まった。

 

「さて、朝早くからご苦労。今日は予告したように我ら佐世保海軍基地第三鎮守府の新たな運営方針の確認をするとともに午後に控えた演習訓練の説明をする。まず初めにこれから計17名の所属艦を5・6・6の三艦隊に振り分ける。第一艦隊は主力艦隊として宿敵深海棲艦のflagship(上位ランク)級、改elite(準最上位ランク)級、改flagship(準最上位ランク)級との戦闘を見据えた艦隊構成となる。次に第二艦隊は準主力ということでnormal(最小ランク)いわゆる無印、elite(中間ランク)との戦闘を見据えた艦隊構成となる。最後に第三艦隊は遠征艦隊。主に資源の回収や護衛任務が主目標となる」

 

 早乙女は話に間を開けた。作戦室がざわつく。皆一様に口にはせずとも無謀だと不可能だと誰もがそう思った。それもそのはず。数多くいる敵艦種の中でも度を抜いた圧倒的戦力と耐久力を兼ね揃えているのがflagship、改elite、改flagshipと呼ばれる深海棲艦達だった。その強さは折り紙付き。改flagship級に勝利を収めることのできる艦隊など右手で数えられるほどの数がいるかどうか。

 elite級ならいざ知らずflagship、改elite、改flagshipなんてオブラートに死んで来いと言っているようなものだった。そんな艦娘たちの反応を予想していたかのように早乙女は言葉を続けた。

 

「君たちの反応は尤もだ。安心しろ。俺も君らが勝てるなんてこれっぽっちも考えてない。これは目標として見据えているだけだ。しかし近い未来には実現させる。そのためにもお前たちを一から鍛え上げるために特別講師を用意した。詳しい話は次の演習訓練の時に話す。続いて艦隊の振り分けだが、艦種関係なく実力主義でいく。午後に控えた演習の結果で戦闘力、判断力、対応力などなど様々な判断基準から総合力を分析し振り分ける。そのため実力があれば駆逐だろうと第一艦隊に加えるし、お荷物なら戦艦だろうと第三艦隊に加える。いいな?」

 

 早乙女は艦娘の顔を見渡す。何人かが反応して首を小刻みに縦に振った。話を続ける。

 

「さてでは君たちを鍛え上げる特別講師を紹介しよう」

 

 早乙女の合図とともに扉近くで控えていた長門改二、龍驤改二、響ことヴェールヌイの以下三名は早乙女の立つ演台の横に並ぶ。早乙女は「軽く話せ」と三人に聞こえる声量で言うと隣に立つ長門にマイクが渡した。

 

「長門だ。戦艦と重巡洋艦の指導を担当する。よろしく頼む」

「龍驤や、軽空母と空母を担当するで。ビシバシいくんでみんな頑張ってついてきてーな。以上。よろしゅうな」

 

 早乙女から長門へ。長門から龍驤へ。そして最後に龍驤からヴェールヌイの手へとマイクが渡った。次に皆耳を疑った。それは艦娘だけでなく早乙女もだった。

 

「ひび………ヴェールヌイだ。駆逐艦、軽巡、雷巡その他もろもろの馬鹿と阿保とお荷物を担当する。私は今までのお前達では想像もつかないほど厳しくするだろう。そんな私をお前たちは嫌うだろう。憎むだろう。だが憎めば憎むほど、それだけ学ぶことができる。いつか私を殺せるほどの力を身につけることを期待する。以上だよ」

 

 皆固まっていた。彼女たちの知る響ことヴェールヌイはもっとお淑やかでどこか可愛げのあるそんな言葉遣いの筈。しかし今目の前に立つのはヴェールヌイはそんな生ぬるいヴェールヌイではない。まるで悪魔に体を乗っ取られたかのようなそんな口調のヴェールヌイだった。

 

 ヴェールヌイから早乙女はマイクを受け取ると我に返る。

 

「それでは一度解散。二時間後に演習場に艤装を準備して集合しろ。ヴェールヌイお前には話がある。このあと残れ」

 

「了解した、司令官」

 

 皆再敬礼して作戦室を後にする。残ったのは提督とヴェールヌイの二人だけ。早乙女机の上に腰を下ろし溜息をつくとヴェールヌイに視線を移した。

 

「なんだ、あれは」

「舐められないようにとアイオアから教えてもらった映画を参考にした。確かフルメタルジャケットとかいう映画だ。私は作中に出てくるハートマン軍曹に感銘を受けたよ。あれが指導教官の鏡という存在なのかもしれない」

「映画を見たのだろう?最後は殺されていただろう?」

「確かにそうだが、あんなひよっこどもに私は殺されないよ」

「………どうしようがお前の勝手だがなあれはいくら何でも、いや、もう何でもいいや。少しくらいキツくしてやらんと覚えないだろう。好きにしろ」

「了解」

 

 早乙女は話を終えると廊下に出るとそこには雪風を連れた島風が待ち構えていた。早乙女は雪風を見る。雪風は俯いたままだった。しかしその体は震えていた。

 

「司令官、連れてきました」

 

「ご苦労。雪風………今回は不問とする。次回このようなことがあった場合何かしらの罰を与えるからそのつもりでいろ。以上だ。今日はもう戻っていい。体調がすぐれないなら医務室に行け」

 

 そういって早乙女は喫煙所へと向かった。いつもの早乙女なら手を出したりと何かしらの制裁を加えていたところだったがヴェールヌイという存在の出現に今の彼にはその気も失せていたのだった。




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