鋼の不死鳥 黎明の唄   作:生野の猫梅酒

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今回はコロコロ視点変更が起きます。ご注意ください。


#43 開戦直前

 ──火星の一少年兵でしかなかった自分たちが、まさか世界を二分する様な戦いに名を連ねることになるとは。

 

 鉄華団はマクギリス・ファリドとの同盟に応じ、彼の力となって革命派の敵を打ち破る──鉄華団地球支部所属のタカキ・ウノがその決定を知らされた際の、率直な感想がそれだった。

 

 時の流れは随分と早いものであり、気が付けばアーブラウ並びにSAUを巻き込んだ紛争、通称式典戦争から半年近い時間が経っていた。あの悪辣ながらどうにも印象に残るガラン・モッサを始め数々の苦難に襲われた苦渋の時期も、こうして振り返ると一種の懐かしさすら感じてしまう。

 あれから世は事も無し。変わらず地球支部長を務めているチャドを始めとして、妹のフウカに親友のアストン、他にもたくさんの仲間たちと共に日々を過ごしていたのだが……どうやら忙しくも平和だった時間はそろそろ終わりを告げるらしい。

 

「でも、俺たちの役目は何も変わらないと思うけどな」

 

 暖かいココアを飲みながらそう呟いたのはアストンだった。

 

 冷え込んだエドモントンの冬空の下、タカキはアストンと共に屋外に設置された格納庫(ハンガー)の一角に並んで腰かけているところだ。周囲には慌ただしく物資の入搬出や整備を行う者達がいて、大声やら車のエンジン音やらが飛び交い止む気配がない。

 近々行われるだろうギャラルホルンの一大決戦に向け、今朝から鉄華団地球支部はハチの巣を突いたような忙しさだ。タカキたちも先ほどまでMSを動かして荷物の搬入を行っていたところであり、ようやく一息付けたところであった。普段ならのんびりと雑談している二人であるが、今日の話題はもっぱら一つだ。

 

 すなわち今朝伝えられた鉄華団の今後の動きと、それに付随してチャドより代弁された団長の言葉である。

 

「『俺たちの”上がり”をこれ以上なくスマートに手に入れる最大最後のチャンス』、か……二年前にクーデリアさんを送り届けた時とは違って、ちゃんと勝算のあるみたいな言い方だった。そう考えれば確かにやることは普段と変わらないのかな」

「俺はそう思うな。俺たちの上がアーブラウからギャラルホルンに変わるだけ、内容だって結局は邪魔な敵を殺すことだ。むしろ変に複雑な仕事じゃないだけ俺としては助かるな」

 

 「まだ勉強とかそういうの苦手だし」、とアストンは気恥ずかし気に笑う。荒事ばかりが専門とされがちな鉄華団だが、護衛の任務や教導官という仕事だって十分ある。そういう時はただ戦うよりも何倍も頭を使わなければならないし、自分で考え行動することが苦手な団員がまだまだ多いのも間違いない。

 一方で数少ない”自分でしっかり思考できる”団員であるタカキからすれば、今回のギャラルホルンへの加勢はとてもじゃないが楽観できない。これまでだって散々ギャラルホルンには苦渋を舐めさせられたのだ、いくら味方もギャラルホルンとはいえそう簡単に行くかどうか。疑問は残る。

 

「正直俺は怖いけどな。たぶん戦場は宇宙になるんだろうけど、そうなると俺たち地球支部はどうなるのかなとか。もし宇宙に上がることになればフウカはどうするんだとか、そういう不安ばっか浮かんじゃってさ」

「その方がタカキらしいさ。考えるのが得意じゃない俺らの代わりに頭使ってくれるのはいつだってお前だからな」

「あはは、ありがとう……うん、でもこれで不安ばっかな訳でもないんだ。今の鉄華団と、それに団長ならって思えるところもあるからさ」

 

 不安だけでなく、こうも感じるのだ。今回の仕事がきっと鉄華団の行く末を決める最大の分水嶺であると。そして団長たるオルガはここ一番の局面においてヘマをしたことは一度もない。

 綱渡りも有ったし危機に瀕することも有った。それは事実だ。けれど最後は皆で勝利をつかみ取って来たからこそ、今日という日があるのも確かなのだ。

 

「これに勝てば団長の言う”上がり”はもう目前みたいだけどさ。正直言えば不安はあるし、自分たちの役割がどうなるのか不安なところもある。でも今その場の最善なんて結局どうしたって分からないんだから、この時この時で出来ることを一生懸命やって皆で”上がり”を目指すんだ」

「そう……だな。馬鹿な俺にも分かる気がするよ。これに勝てば皆の暮らしがまた楽になるんだ、なら精一杯頑張らなきゃな」

 

 アストンを始めとした多くの団員たちはオルガが何を考え組織を動かしているのか理解が薄いし、タカキだってあくまで一団員でしかない以上は知らないこともたくさんある。それでもなお、今回は理屈抜きに誰もが理解できるのだ。オルガがどれだけ本気でこの話に取り組み、鉄華団の舵を切るに至ったのかを。

 全ては鉄華団のため、皆でより良い未来(あす)を掴み取るために。オルガの抱くその感情に嘘はないと知っているから、彼を信じついていくことができるのだ。ならば自分たちもその想いに応えたい。

 鉄華団に所属する当たり前の一人の人間として、やれることを一つずつこなしていく。きっとそれこそ、今の彼らに求められるものだろうから。

 

「よし、それじゃあ休憩終わりだね。不安があるならせめて俺たちで少しでも解消できるようにしなきゃ、こうして此処にいる意味がない!」

 

 気合の籠もった言葉と共にタカキが立ち上がり、無言で頷いたアストンが彼に続いて立ち上がる。

 かつて感じた自身の無力、それをこの場で活かさずどうするのかと。強く感じながら二人は今日も生きていくのだ。

 

 ◇

 

 ギャラルホルン地球本部ことヴィーンゴールヴの地下には、余人の近づけぬ一種の”聖域”が存在する。

 なぜ聖域などと仰々しくも呼ばれているのか。決まっている、そこにはかつて厄祭戦を収束へと導き、いまなおギャラルホルンにて語り継がれる伝説が眠っているからだ。

 その聖域にただ一人で堂々と参上した影がある。淀みの無い自信を感じさせる足取りの主は金髪の美丈夫、革命派の首魁たるマクギリス・ファリドのものだった。

 

 潔癖さすら感じさせる広い廊下を抜け、さらに先へと歩を進めれば、吹き抜けの空間に鎮座した天使のごときMSの姿がある。白と青を基調にした美しいその悪魔こそ、かつてマクギリスが求めたアグニカの魂が宿る機体。すなわちASW-G-01 GUNDAM BAEL(ガンダム・バエル)に他ならない。

 しばし言葉も無く優美なシルエットに見惚れてしまう。一秒か、一分か、長くも短くも無い時間を費やしてしまい、彼は呆れたように頭を振った。

 

「あの願いは既に断ち切ったはずなのだがな……こうして向き合ってしまえば圧倒されるばかりだ。やはり彼は彼で素晴らしいのだと改めて思い知らされる」

 

 ギャラルホルンの悪しき権威を否定する者が、かつての権威に縋り革命するのは道理が合わない──その指摘に頷き納得したからこそ今のマクギリスがあるのだが、やはりアグニカ・カイエルという男を崇拝する気持ちまでは変わらない。かつて彼が混迷の世に力で決着をつけた事、それ自体は誰にも否定できぬ事実で偉業なのだから。

 憧れて何が悪いのか。敬意を抱くことが間違っているなど誰にも言わせない。それこそマクギリスの中に燃える永久不変の炎であり、原初の祈りであった。

 

 けれど、そう。今この場に足を運んだのは決してバエルを鑑賞するためではないし、ましてや搭乗しようなどとは欠片も考えていない。彼の目的は更に別の所に存在しているのだ。

 

「……では、行こうか」

 

 心の片隅に残る未練を今度こそ断ち切ってマクギリスはバエルに背を向ける。かつての自分と決別し、向き合うべき本当の悪魔(ねがい)へと突き進む。

 そうしてバエルの下から離れ改めて辿り着いたのは、七つの格納庫(ハンガー)が並ぶ静謐な空間だ。既に六つの格納庫は空白となっていて、残る機体はただ一つ。まるで継ぐ者なきバエルに殉ずるかのようにただ一機で黙して留まっていたのは、白と赤の配色が眩いガンダム・フレームだった。

 

「これがファリド家秘蔵のガンダム・フレーム……かつての厄祭戦でMAを打ち倒しアグニカと共に在った伝説の機体か……」

 

 スラリとした優美な姿はどこかグリムゲルデやバエルにも似た印象を与える。背面のバックパックには六本の長剣が羽のように収まっていて、腰部にはライフルと思しき武装が二丁用意されていた。

 シンプル極まりない武装でありながら、必要な装備を揃えただけの機能美すら感じさせるこの機体。これを除く全てのセブンスターズ秘蔵の機体は、当の昔に各々の理由からこの地より持ち出されているが、最後までバエルに付き従って眠っていた彼こそは──

 

「ガンダム・ナベリウス……第二十四番目の侯爵の名を冠する機体、か……」

 

 ASW-G-24 GUNDAM NABERIUS(ガンダム・ナベリウス)は、唯一ファリド家の意向によって三〇〇年もの時をこの地で過ごしてきたガンダム・フレームだ。無用の長物だから使わなかったのか、あるいは伝統でもあったのか。今となってはマクギリスにも分からない。

 けれどしかし、ただ一つ確実に言えるのは。この悪魔の司る概念こそ、失われた威厳と名誉の回復であるということで──今のマクギリスにはバエル以上に相応しいガンダム・フレームであるということだろう。

 

 ◇

 

 かつての厄祭戦の時代は、それこそ地獄絵図を現実に描き上げたかのような光景だった。

 人を鏖殺し尽すMAが暴れまわり、混迷する世の中だからこそ平気で悪徳を貪りほくそ笑む者達が居た。あらゆる輝きは打ち払われ蹂躙され、もはや人間の歴史も此処で途絶えるのかと大真面目に議論された時代である。

 その中でなお燦然と輝いた英雄こそアグニカ・カイエルというのは最早言うまでもない事だろう。彼と彼の設立した組織ジェリコの尽力によって絶望の厄祭戦はついに終わりを迎え、平和な人の時代を取り戻すことが出来たのだ。彼らこそあるべき光に相違ない。

 

 そして、光があれば影もまた生じるように。ジェリコとて全てが全て善に属する訳では決してなかった。なにせ暴走するMA(モビルアーマー)と悪に走る人の両方を相手取るのだ、綺麗ごとだけでは当然罷り通るはずも無い。

 最たる存在はやはり、アグニカの右腕と称されるだけの戦果を挙げたジゼル・アルムフェルトだろうか。地に堕ちた人徳と席捲する死と野蛮さの時代に生まれた希代の殺人鬼。正義に属する者らしからぬ悪夢の本性を牙として振るった彼女は、ジェリコに不都合なあらゆる人間を殺し、滅ぼし、蹂躙したのだ。

 だが、ジゼルは最たる存在であっても()()()()()()。他にも頭の螺子が一つも二つも外れた者が生まれる時代が厄祭戦だったし、ジェリコはまさにそのような人物を欲していたのだから。

 

 故にマッドサイエンティストなどと俗に呼ばれる者達が在籍していたのも、半ば必然の事だったのだろう。

 

 厄祭戦を終わらせるためというお題目を掲げ、あらゆる研究を真顔で行える研究者たち。平時ならば唾棄すべき者達なのかもしれないが、こと戦争の狂気の中ではむしろマトモとすら言えた。なにせ事実彼らの尽力によってダインスレイヴは発明され、阿頼耶識システムが確立され、そしてガンダム・フレームがロールアウトされたのだから。

 そしてそんな彼らだからこそ、M()A()()()()()()()M()A()を開発しようと試みるのは実に自然な流れであり……その計画は結局実らずに終わってしまう。プロトタイプ製作の時点でコストがかかりすぎた、思考制御プログラムに万一が無いとは言い切れないという現実的な理由もあった。けれど最大の理由はやはり、アグニカ直々に研究へ待ったが掛けられた事だろう。

 

 これを以って計画は凍結され、製作された『対MA用MA』は封印される事となる。代わりに台頭したのはガンダム・フレームと阿頼耶識システム。時代はもはや血の通わぬ機械ではなく人の手でこそ切り拓くべき段階として、人機一体の阿頼耶識システムが後の世の土台となったのも当然だった。

 

 ──そう、ジゼルは覚えている。いつか、アグニカにこんなことを問い、答えられたことがあると。

 

「何故あなたはMAを倒すのにガンダム・フレームと阿頼耶識を選んだのですか? いえ、ジゼルとしてはフェニクスに乗れたのでありがたい話ですが、MA(きかい)対MA用兵器(きかい)に倒させてしまえば良かったのに」

「そう物事は単純じゃないのさ。むしろ人としての尊厳に照らし合わせれば、それだけは選ぶ訳にはいかなかった」

 

 周囲は無数の瓦礫の山だった。輝く残照に照らされるのは破壊された無数のMAの残骸と、それに混じるMSや人の死骸たち。無事に立っているのはフェニクスとバエルの二機だけ。開け放たれたコクピットにはオイルの香りと死臭ばかりが届き彼女たちの嗅覚を刺激する。

 もはや見慣れた光景、厄祭戦の常とも言うべき戦果の爪痕だった。確かこの時、ジゼルがジェリコに加わってから実に三年の月日が流れていたか。

 

「人間が生み出した兵器を人の手で討ち取る事と。あるいは人間の生み出した自律兵器に任せてしまう事と。この二つは似ているようでとても違う。後者には心が一つも介在しないが、前者には在る。だからガンダム・フレームは最強の兵器足りえて、機械は最強にはなれないのさ」

「……? 意味が分かりません。誰にも負けずあらゆる相手に勝てるというなら、それは例え機械であろうと最強なのではないですか?」

「いいや違う、最強という言葉はもっと抽象的で曖昧で……なろうとしてなれるものじゃない」

 

 その言葉にはどのような意味が含まれていたのか。端正な彼の顔に疲れたような苦笑が浮かんだのが目に焼き付いている。

 

「男子たるもの、最強を目指せ……か。誰の言葉か知らないけど、全くもって下らないな。最強というのは、目指すものじゃない。強い想いで何かを成し遂げた時、気がつけば至っている頂だ。そこに男も女も関係ない。君にもいつか理解できる時がくるだろう、ジゼル」

「そう、ですか……ならひたすらに人を殺して回ったジゼルはいつその頂きに届くのでしょう? ちょっとワクワクしてしまいますね」

「はぁ……君らしい言い草だよ全く」

 

 呆れたような溜息はいつものことだったから、ことさら気に留める必要などない。これくらいの距離感がちょうど心地良かったから、それ以上の関係になろうと考えたことだって一度として無かったのだ。

 何故アグニカ・カイエルはMAを倒すために人機一体、非人道的とも思える阿頼耶識システムを採用したのか。どうして人の手で乗り越えることに拘り、決して無人兵器などに頼らなかったのか。

 

 今なら少しはその理由が分かる気もするけど。たぶん本当の答えは、”これからの戦いの中で”存分に示されることだろう。

 

 ◇

 

 あの怪物(ジゼル)を殺せるか──イオク・クジャンの胸に宿る焦りとも疑問ともつかない心の声は日を経るごとに大きくなっていく。

 最低最悪だからこそ強い鏖殺の不死鳥を仕留めるには、今のイオクだけでは逆立ちしたって敵いはしない。では信頼する部下の力を借りればどうかと言えば、それもまた駄目だろう。だって火星では圧倒的数の差を振り切ってイオク以外を皆殺しにしたのだ。単純な数の利だけで殺せるはずも無い。

 彼の最大にしてほとんど唯一の目標である不死鳥(フェニクス)狩り。覚悟の炎をいくら燃やそうともまだ足りない。厳然たる実力差をどうにかしなければただの無駄死にとしかならないから。

 

 故にこそイオクは恥も外聞も投げ捨て、勝つために必要な”措置”を行うことを決意した。本気なのだ、心の底から部下の仇を討ちたいと願っているのだ。ならば矢面に立たねばならぬ自らが弱くて良いはずがない。

 そう考えたゆえの結論に迷いなど微塵も無く。ガエリオと共にヴィーンゴールヴで打って出るまでの三か月にやれることは全て施した。ならばもう、後は結果を出してやるしか道は無い。

 

 地球軌道上に浮かぶクジャン家保有の宇宙艦隊、その旗艦の一室にイオクの姿はあった。地球よりついに宇宙へと上がって来たのだ。

 

「全く、お互いとんだ相手と矛を交える羽目になったな」

「……貴公か」

 

 瞑想に耽っていたイオクにそっと語り掛けてきたのは、このしばらくの間にすっかり顔なじみとなった同盟者(ガエリオ)である。今や傷跡の走る顔を隠そうともせず、ヴィダールではなくガエリオ・ボードウィンとして姿を出していた。

 

「勝てるのか、鏖殺の不死鳥とやらに。俺は直接矛を交えたことは無いが、聞く限り相当な手練れらしいが」

「分からぬ。だがやるしかあるまい。これは私の個人的な敵討ちであると同時に、貴公とその部下たちに狂気の矛先が向かないようにするための戦いでもあるのだ。ならば恐れる訳にはいかぬのだ」

 

 不死鳥を野放しにすればきっと嬉々として誰かを殺して回るだろう。それはダメだ、我慢がならない。

 既に大切な部下たちを奪われた男として、イオクはフェニクスを引きつけ戦わねばならない。どれほど無理難題を行おうとしているかは他ならぬ彼自身が承知していることだ。

 

「それにな、ガエリオよ。私は既に失う物など何もないのだ。この一連の事態でクジャン家は大きく力を失い、もはやこの戦いで生き残ろうが死のうが風前の灯だ。ならば私は、せめて私のために散った部下の無念を晴らしたい。そしてそんな身勝手な行いが翻って他者の為にもなるなら願ったりだろう」

 

 もはや引き返すことなどできない。失われた命も、しばらく前に支払った賠償も、そして彼自身の命でさえ。かつてのように全て元通りとはいかないのだ。例え最初が自業自得に近しいものであったとしても、だからといってここで膝を屈していい理由にもなりはしない。

 

「そこまで言うなら、もはや俺から言う事は何もないな。だからせめて、勝ってくれ。俺はお前の勝利を願っているぞ、イオク」

「こちらこそ、貴公の勝利を願っている。あの偉そうな男を一発殴ってくれたのなら、これほど溜飲が下がる事もないだろうさ」

「はは、任せておけ。そのために俺は此処まで来たんだからな」

 

 軽口を叩き合ってから、イオクは毅然と立ち上がった。それと同時に室内の通信機が起動、艦橋から手短に報告が寄せられイオクとガエリオへと届けられた。

 

「……いよいよこの時か」

「では行くとしよう。泣いても笑っても、俺たちの明日はこの一戦で決まる」

 

 かくして二人の男は、堂々とした足取りで艦橋へと歩を進めたのである。

 


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