鋼の不死鳥 黎明の唄   作:生野の猫梅酒

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#45 因縁

 まず初めに戦場を支配したのは、当然のように鋼の不死鳥だった。

 

 ブースターユニットに底上げされた高い機動力を活かし、単騎だけでグレイズひしめく敵陣へと突貫を開始する。もちろん相手も迎撃を行い雨あられと砲弾が向けられるのだが、まるで弾が自ら避けているかのように不死鳥には当たらない。僅かな間隙を縫うように、機体を空いた空間にねじ込むように、戦闘宙域を優雅に前へ前へと進んでいく。

 まるで悪夢のような光景だろう。たった一機に対して過剰とも呼べる弾幕が形成されているのに、一発足りとて決め手にならないのだから。むしろ少しずつグレイズ達はフェニクスの毒牙にかかり始めていく始末。巨大兵装(カノン・ブレード)で、長剣で、ミサイルで、マシンガンで、クローで、あらゆる武装を用いて的確に狩りをするのだ。

 

 これこそが鏖殺の不死鳥たる所以、常識に当てはめれば無茶無謀も良いところな行いも、乗り手が人類史上最悪の殺人鬼である故にこれ以上ない最適解となってしまう。その証拠こそ今の惨状であり、たった一機に翻弄されてしまう敵ギャラルホルンの姿だった。

 

「ふふっ……あははっ」

 

 複雑に機体を錐揉みさせながら、無意識の内にジゼルの唇が歪む。笑い声が零れる。抗えない彼女の本性が、この無慈悲な殺戮を心から楽しんでいた。そして、それを悪いことだと彼女は思わない。悩みすらしない。もって生まれた衝動自体に不満はあっても、こうして衝動を満たすことに不満はないのだから。

 

『なんだコイツ、化け物かッ!?』

『やめろ、こっちに来るなぁーッ!』

『ふざけるなふざけるなこの悪魔が──ガッ』

 

 仕留める刹那、触れ合った機体の接触回線から声が聞こえてくる時もある。断末魔の叫びを聞いても彼女は動じない。むしろそれこそ喜悦とばかりに心と体を昂らせ、いっそう殺戮へと興じていくのだ。

 

 そしてまた一つ、敵の命へと手をかけようとしたその時──

 

『させるか!』

 

 横合いから紫の流星が颯爽と駆けつけた。振るわれた長剣は大槍に阻まれ、ついにフェニクスはその進撃を止める結果となる。そのまま剣と槍を振るうこと数合い、ほんのわずかな拮抗状態が誕生した。

 割り込んできた紫の機体──いや、ガンダム・フレームにはジゼルも見覚えがあった。細部はかなり変わっているが、基本的なシルエットとリアクター反応は変わっていない。

 

「ガンダム・キマリス……なるほど、ボードウィンの方ですか。あなたの敵はマクギリスさんでないのですか?」

『ああ、そうだ。だが目の前に殺されそうな味方がいて、どうしてそれを見過ごせる!』

 

 ASW-G-66 ガンダム・キマリスヴィダール。厄祭戦より引き継がれたガエリオ・ボードウィンの愛機であり、主神を喰らう狼(ファリド)を狩る者の名を冠した機体だった。

 かつてMAを倒すために制作されたキマリスは、そのまま現代のMS戦に向けて大幅な改修及び強化が施されている。さらに乗り手も特殊な阿頼耶識を用いることで本来のスペックすら発揮、この戦場で()()()フェニクスに対抗できるかもしれない存在だった。

 

「そうですか。なら、ジゼルからお礼の一つでも言わせてくださいよ。あなたがこのような大規模戦闘を引き起こしてくれたおかげで、たくさん殺すことが出来ました」

『……ッ、否定はしないさ! 俺のやってることは偽善で最低で最悪だろう! だがな!』

 

 けれど、ガエリオの相手はフェニクスではない。

 そしてフェニクスが相手取るのもまた、ガエリオではないのだ。

 

『俺にも譲れない想いがある! それだけは、誰にも否定させない!』

 

 強い信念の籠もった一声と同時、キマリスが不意に後方へと逆に飛んだ。それを合図とばかりに上方から銃撃の雨霰が降り注ぎ、フェニクスへと襲い掛かる。すさまじい密度と練度、これまで屠ってきた雑兵たちの比ではない。

 さしものフェニクスもこれを完全に防ぎきるのは不可能だった。カノン・ブレードを盾にしつつ背部ブースターユニットを庇い、残りはナノラミネート装甲にモノを言わせて耐え抜いた。被害は軽微、だがその隙にキマリスはフェニクスより大幅に距離を取って離脱していた。

 

『お前の相手は俺じゃない。そして悪いが、俺もお前の相手をしてやるつもりはないんだ』

『そういう訳だ、鏖殺の不死鳥』

 

 聞き覚えのある声音がガエリオの言葉を引き継いだ。銃撃の発生源へと視線をやれば、そこには十数機のMS達の姿がある。一見すればレギンレイズとグレイズの混成部隊、だがその中心にいるのは見違えようもなくガンダム・フレームだ。

 主色は黒とダークイエローだろうか。そのシルエットはアスリート然としたシンプルな人型、これといって特徴的な要素はない。だが背面にはフラウロスのそれよりも巨大な砲身が一つあり、さらに両手には小型の(カノン)と思しき長銃が握られているのが見て取れた。

 

「また懐かしい機体ですね……」

 

 その機体には覚えがある。かつての厄祭戦では長距離砲撃を得意とした機体、パイロットもそれを活かしきるだけの技量を備えていた。後発のフラウロスに比べてより武装がピーキーだが、その分射撃の応用性には富んでいたガンダム・フレーム──

 

「ASW-G-14 ガンダム・レラジェ……かつてのパイロットを考えれば、当然今の乗り手は──」

『そうだ。このイオク・クジャンが、今日こそ貴様を討ち取ってみせよう!』

 

 ──かつて不死鳥相手に復讐を誓った男が、その命を賭して眼前へと戻ってきた。

 

「よく言いましたね。ならやってみたらどうですか? まあ全員仲良く、このジゼルが殺してあげますけど」

 

 こうなるように狙いはした。けれどここまで完璧に相手が動いてくれたことに感動と感謝が止まらない。だってそうだろう。腹を空かせた猛獣の懐に自ら飛び込んでくれるなんて、これほど都合の良いエサもあるまい。

 狂気の不死鳥(フェニクスフルース)が翼を広げた。満載された武装がギチギチと唸り、悪意と殺意の奔流をこれでもかとまき散らす。躊躇いは微塵もなく、ただただ愚直に殺したいという欲望に素直になった。それだけで、どこまでも強くなれる。

 

 そしてついに、鏖殺の不死鳥は羽ばたいた。

 

 ◇

 

 ジゼルがついにイオク・クジャンと相対したその時、革命軍とガエリオ率いるセブンスターズ一派の戦いは意外な様相を呈していた。

 鉄華団の悪魔ことバルバトスが猛威を奮い、それに続くようにグシオン並びにフラウロスが暴れているのは予想できたことだろう。阿頼耶識を用いて獅子奮迅の働きをする彼らを止められる者など数少ない。

 

「それにしても、殺さないようにするのも面倒だね」

 

 バルバトスルプスレクスが握り締めた巨大メイスを振るう。それだけで二機のグレイズがまとめて下半部を粉砕されて戦闘不能と化した。定石はここからコクピットを躊躇わず狙うところなのだが、三日月は一言ぼやいただけでその場を後にした。

 他も同じような状況で、暴れまわるグシオンもフラウロスも倒した敵へ積極的にトドメを刺してはいない。戦況全体の流れとして、不殺とまでは言わずとも無為に殺したりしないよう革命軍側で意識されているようだった。

 

「こんな手間かけるよりさっさと殺した方が早いんじゃないの? ねぇオルガ」

『気持ちは分かるが、そういう訳にもいかないのさ。なんせ──』

『その先は私が説明しよう、オルガ団長』

 

 三日月とオルガの通信に割り込んできたのは髭を生やした偉丈夫、マクギリスと手を組んだラスタル・エリオンその人だった。彼は自らが指揮するスキップジャック級の巨大戦艦に座して、前線に立つマクギリスに代わり戦況に目を光らせている。彼の指揮が今の革命軍たちの指針となるのだ。 

 そんな男がわざわざ他愛の無い会話に割り込んで来る辺り、戦況の優位さと意外な律儀さが垣間見て取れる。

 

『アンタか、ラスタル・エリオン。わざわざアンタに説明してもらう必要もないと思うんだがな』

『そう言ってくれるな。“出来るだけ殺すな”という指示を出したのが私な以上、その説明をする義務はあるだろう』

『まぁそうかもしんねぇがよ……』

 

 漏れ聞こえるオルガの返答は歯切れが悪かった。なにせラスタル・エリオンはかつて矛を交えたこともあるギャラルホルンの重鎮で、しかもマクギリスの元政敵だ。地球では彼の仲間によって地球支部を散々な目に遭わせられかけたこともあって、どうにもオルガはラスタルを信用しきれないでいる。

 とはいえ今は味方な以上、無用な諍いを持ち込まない分別もついているのだが。故に妙な態度になってしまうオルガを横目に、ラスタルは滔々と語ってみせる。

 

『今でこそ二分化してしまったギャラルホルンだが、元を辿れば志を一つにした同組織だ。なのに無暗に数を減らしてしまえば、例え勝ったとしても今後に差支えがでるからな。君らとしても今楽をする代わりに、今後また新たな火種に駆り出されるのは遠慮したいはずだろう。それに──』

 

 そこでラスタルは不自然に言葉を切った。不自然な沈黙が一瞬だけ場を流れる。

 

 ──私はこの戦いが発生するよう目論んだ内の一人だから、せめて無用な血は流させたくない。

 などと、今更どの口が言えようか。指揮官がそれを言うのは命を懸けて戦う兵士たちに失礼な事だし、私情に囚われてしまえばそれまでだ。だから彼はグッと言葉を堪え、いつものように不敵に笑った。

 

『君らならこの程度は簡単な事だろう、鉄華団の諸君よ。かつて君たちの敵だった者として、私は君らを最大限に評価しているからな』

『ハッ、調子の良いこと言いやがるぜ』

「ふぅん、そう」

 

 これには三日月もオルガも揃って呆れのような笑みが出てしまった。随分と都合の良い話だが、同時に全くの嘘とも思えない。これだけの相手にその力を認められるというのは、中々どうして悪い気もしないものだ。

 そして、その間にも三日月の戦いは進んでいく。今度は三機のグレイズを相手取り、二機を大破、一機を完全に沈黙させてみせた。殺さないよう意識はしてるが、殺してはいけないとまで指示されても居ない。殺す時は躊躇わず殺る、それが彼の戦い方だ。

 

 ラスタルとてそれは百も承知だろう。特に咎めるでもなく、静かに言葉を続けた。

 

『多くは望まん、鉄華団の諸君は好きに戦ってくれたまえ。それが互いに取って最良の線引きだろうさ』

 

 その言葉を最後にラスタルが通信から消えていった。それから、オルガはわざとらしく溜息を吐く。

 

『ま、良いさ。ラスタル・エリオンの言ってることも間違っちゃいねぇ。それに向こうじゃあの殺したがりが好き勝手暴れてんだ、この上こっちまで殺してちゃギャラルホルンも立ちいかねぇだろうさ』

「……色々と難しいね。そういうのはオルガに任せるから、今はこっちに集中するよ」

『おう、頼んだぜミカ』

 

 通信が切れ、三日月の意識が戦場へと立ち返って行く。次の相手を探して索敵を開始するが──何かがおかしい。第六感とも言うべき感覚が警鐘を鳴らしている。

 

「これは……」

 

 周囲を見渡すことで違和感の一端はすぐに分かった。不自然に付近の敵が少ないのだ。それは三日月たちが倒し過ぎたからではなく、あたかも自分たちから撤退を開始したかのような。

 あまりの蹂躙劇に敵が弱腰になったか? しかしそれにしては引き際が鮮やかすぎる。気が付いたら敵が居ないという状況、よほどの意図がなければまず起きまい。

 

『なぁ三日月、こいつは……』

『なんかヤバいのが来るんじゃねぇのか……?』

 

 昭弘とシノも同じ違和感を感じたらしく、通信が繋がりコクピットのモニターにそれぞれの顔が映し出された。どちらも戦いの興奮と状況への戸惑い、そして僅かな緊張をまとっている。

 誰ともなくゴクリと喉を鳴らし、どう出るか決めあぐねていたその瞬間──一条の光が迸った。

 

「これ、知ってるやつだ」

 

 途端にバルバトスのコクピットに警報が発生する。薄桃色の光線がモニターを埋め尽くすように輝き、それに連動するかのようにセンサーが捉えた仇敵の情報が躍り出る。さらに阿頼耶識がリミッターを外すべく動き出そうとし、何となく予期していた三日月はそのフィードバックを辛うじて制御した。

 薄桃色の光線──ビームの照射は十秒も経つ頃には収まり、きっちり装甲に守られた機体は変わらず無傷のままだった。けれど重要なのは、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()というその一点だ。

 

 そして、三日月は見た。漆黒の宇宙空間の先に佇む、鳥の如き二つの機影を。かつて倒した”それ”とは細部のデザインや色が異なるが、特徴的なシルエットはそのままだ。嘴にも似た砲口は開かれたまま、残心でもしているかのように煙が上がっている。

 

『おいおい、こいつは冗談だろ……』

『だったら良かったんだけどよ……俺ら全員が夢でも見てる方がまだ現実味ありやがるぜ』

 

 シノの軽口もどこか空々しく感じられてしまう。それだけ眼前の光景が信じられず、また火星の地より蘇った災厄を彷彿とさせるのだ。

 かつて厄祭戦を引き起こした元凶たる自立起動兵器──人を狩る天使ことMA(モビルアーマー)。たった一機だけでもエースパイロットを翻弄できる最悪の殺人機鳥。それが二機、革命軍たちの前に姿を現した。

 

 ◇

 

「MAが出現しただと? それは事実なのか?」

 ガンダム・ナベリウスが手にした長剣を振るう。それだけでグレイズが二機、瞬く間に分解されてただの鉄屑と化した。鮮やかな手腕はそこらのパイロットとは一線を画するもの、乗り手の高すぎる技量が伺える代物だ。

 

『はい。どうやら三日月・オーガスら鉄華団が二体のMAと遭遇、現在鉄華団を中心に対処を開始したとのことです』

 

 だが石動からの淡々とした報告にはさしものマクギリスも頭を抱えたくなる思いだった。

 万事が上手くいくとまでは考えていなかったが、まさかMAなどという隠し札を持っていたとは。いくら優秀とされる彼でも、さすがに古代の遺物がまたも蘇るとは予想さえしてなかったのだ。

 

「おそらくはセブンスターズの所有物だろうが……それにしてもこれは」

 

 まさか都合よく地球辺りにでもMAが埋まっていて、それを修復した訳でもあるまい。厄祭戦の時から何処かに保管され続けていたのが、この戦いに際して解き放たれたと考えるのが妥当か。そしてその仮定なら、ファリド家がガンダム・ナベリウスを所持していたようにセブンスターズが保管していた可能性が非常に高い。

 他にもMAに敵味方の区別が付くのか、戦闘が終わった後はどうやって抑えるつもりなのか、疑問はある。だがいずれにせよ言えることは、MAという最低にして厄介な兵器が投入されてしまったことだろう。

 

「石動、お前は鉄華団の援護に行け。彼らの事だから心配はいらないだろうが、戦力は一つでも多い方が良い」

『了解しました!』

「頼むぞ、お前も彼らもこれから先に無くてはならない存在だからな」

 

 現宙域から離脱していくヘルムヴィーゲリンカーを見送り、即座に別の通信チャンネルを開いた。すぐに憮然とした金の瞳がモニター越しにマクギリスを貫く。

 向こうも要件は承知しているはず。故にマクギリスは単刀直入に訊ねた。

 

「オルガ団長、彼女から何か話は聞いているか?」

『さっきちょいと確認しといた。だがあのMAについてはジゼルの奴も詳しいことは知らないらしいぜ』

「そうか……となると、厄介だな」

 

 ただでさえ強力なMAが二機、それも詳細な情報は不明となればより面倒な事態になる。最悪の場合、逆転負けという事態すら起こり得るのがMAの脅威なのだから。

 

『だが、ある程度の予想は付くとか言ってたぜ』

「詳しく聞かせてくれ」

『あいつの乗る機体、ガンダム・フェニクスは元々MAをモチーフにして作られた機体らしい。なら、その前に“MAを倒すMA”自体が先に作られていても不思議じゃねぇ。そんでかのアグニカ・カイエルはMAによるMA殲滅を好まなかったんだとよ』

「それだけ聞ければ十分すぎる。つまりあのMAは実験機、MAを倒すために厄祭戦の中途で作成された機体の可能性が高いというわけだ」

 

 言葉にすればマクギリスとしても腑に落ちる。かつて機械文明が今よりも発達していた時代、人間ではなく機械にMAを倒させようとするのはごく自然な発想だろう。なぜアグニカがそれを拒んだかまでは知らないが、お蔵入りになった実験機があってもおかしくない。

 なら現在暴れているMAは、元から人が扱うためのセーフティも多く搭載されているはず。それなら躊躇いなく戦場に投入することが出来るし、余計な被害も出づらい。その出どころも十中八九バクラザン家かファルク家、あるいはその両方なのだろう。

 

「……まさかあのガエリオが制御不能な災厄を解き放つとも考え難いからな」

『あ? なんか言ったか?』

「いいや、何でもないさ」

 

 誤魔化したのは感傷にも似た呟きだった。かつて紛れもない友として並び合った者として、まだ信頼が残っていたのか。彼自身にも分からない些細な機微はすぐに消えていき、後には改革者として理想に燃える一人の男がただ残る。

 

「ともあれ、そちらは任せる。エリオン公と共に上手くいなしてくれ」

『アンタはどうするつもりだ?』

「私は──」

 

 その時、コクピット内にアラートが響いた。敵機が一つ、ナベリウスへと向かい高速で接近しているのだ。宇宙の闇を切り裂く紫の流星、照合された機体名はマクギリスもよく知るあの名前だ。

 ついにこの時が来た。本当の決着をつけるこの瞬間を待ち望んでいた。今こそすべての因縁に終止符を打ち、過去を振り払う時なのだ。

 

「奴と決着をつけてくる。手出しは無用だ」

『ったく、総司令官様が好き勝手言いやがるぜ……せめて、死んでくれるなよ』

「ああ、無論さ」

 

 非常に珍しい、というより初めてかもしれないオルガからの激励に不敵に応え、マクギリスはスロットルを引き絞った。連動して背部のコネクタと繋がったシステム──厄祭戦から残った阿頼耶識と同調し優雅に二本の剣を構えさせる。星明りに剣が鈍く輝き、武骨な機能美を照らし出した。

 

「さあ、今こそすべての清算だガエリオよ。俺とお前のどちらが正しく、そして強いか。それを此処に知らしめる時がきた」

 

 軽く(うそぶ)いてからスロットルを開放、迫りくるキマリスにも匹敵する勢いでナベリウスも飛び出した。

 


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