なぜ、大成と仲良くなったのかよくわからないことは前回も記述した通りである。そしてこいつの怒ったところや落ち込んだところを見たことがないと言うか、元々そのような感情とは無縁なやつだろう、と思っていた。のだが、
「はぁぁぁぁあ……」
と働き疲れたサラリーマンもびっくりするくらいの長いため息。それもそのはず、高校の野球部でレギュラーになって活躍してやる!と意気込んではいたもののこの高校には野球部がない。それを知ってからはこのような落ち込みようである。そして大成のこんな姿は初めて見たので対応のしようがない。どうしようかと割と本気で悩んでいた時に、
「大成どうしたの?ここ最近あんな感じだけど、なんかあった?」
と話しかけてきたのは中学からの親友その2の達也。俺は大成とへ中学からの付き合いだが達也と大成は幼稚園からの幼馴染であり家も隣らしい。このことを聞いた時は女子かと思って大きな期待を抱いたのだがいざ会ってみると男だったことにショックを受けたことは死んでも言えない秘密である。
「この高校に野球部無いことを教えたらずっとこんな感じだ」
「あはは……ずっとレギュラーになる!って意気込んでたからねぇ」
「てか、事前に学校の資料みたらわかるだろ普通」
「大成はそういうの読まないからねぇ」
と苦笑しながら達也が言う。
「確かにそうだな」
と俺も苦笑する。
「どうにかしてくれよ」
と、ストレートに助けを求める俺。
「僕だって大成のこんなに落ち込んでるの見たことないよ」
幼馴染の達也ですらお手上げ。一体どうすれば…と考えていると、ふとある疑問が生まれた
「あれ?達也も中学の時は野球部だったよな?高校では部活どうするんだよ」
そう、達也も中学の時は野球部で、一応レギュラーだった。
「野球にはそんなにこだわりないからね。帰宅部だよ」
「そうなのか…」
と俺は少し驚く。
「それに僕はレギュラーだったと言ってもそんなに上手くなかったから。それに野球以外のスポーツは苦手なんだ」
「それに比べて大成は本当に野球が好きだからショックだったんだろうね」
と、達也が言う。どうにかならないものか、と考えていたらある考えを思いついた。
そして俺は後に後悔する。そのやり取りは、さっき思いついたアイデアから始まった。
「いっそのこと作っちまうか、野球部。なーんて…」
と、九割九分冗談だったのだが、大成の耳にその言葉が届くと急にガバッ!と顔を上げ、
「そうだ!その手があったか!」
とさっきまでの落ち込みようが嘘のように元気になり、少年のように目をキラキラさせながら俺の肩をガシッとつかむ。これはまずい、と俺の中の何かが訴えかける。だがもう遅い。元気になってしまったこいつは俺にも、そして達也にも止められない。
「俺、野球部作るよ!もちろん二人とも入部だからな!」
「おい、ちょっと待て!俺は入るなんて一言も言ってn
「僕は別に構わないけど?」
と、俺の必死の叫びを達也の賛成意見がかき消す。
「よし!決まりだな!てことは、あと六人か。二人とも、手伝えよ!」
こいつ、マジで野球部を作ろうとしてやがる…!
「だから俺は入るなんて一言もーー」
ギリッと音がなりそうなほど肩をつかむ力を強めて
「は・い・る・よ・な・?」
と、二度目の叫びも届かず。もはや脅しじゃないか、と思ったのだが思わず
「わ、分かったよ…」
「よし!じゃあ決まりだな!」
しまった…!うっかり認めてしまった!と認識したのは手遅れだった。
高校に入学してから一ヶ月ほど経った今日。野球部のメンバー探しが始まろうとしていた…
続きです。パッと思いついたまま書いたのでおかしな点が多いと思いますが、感想や意見などお願いします。