ロクでなし魔術講師と二人の叛逆者   作:影龍 零

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どうも、影龍 零です。

ちょっとばかし文豪ストレイドックスにはまってしまい、Amazonで観まくっています。
個人的には【月下獣】と【羅生門】が好きですね。

今回は魔術競技祭の練習での出来事ですが、途中からグレンとセラが主になっているのでご了承ください。

ではどうぞ。


練習と賭け

魔術競技祭前の一週間。

この期間は、授業は午前で切り上げ、午後からは競技の練習をしても良いことになっている。

 

しかし、練習をサボって余裕そうに寝ている者がいた。

言わずもがな、ノラとタクスである。

 

二人はクラスメートの練習風景をぼんやりと眺めている。

 

呪文を唱えて空を飛ぶ練習をする生徒。

 

念動系の遠隔操作呪文でキャッチボールをする生徒。

 

攻性呪文(アサルト・スペル)を唱え、植樹に向かって電光を放つ練習をしている生徒。

 

中庭の向こう側では、システィーナとルミアがベンチに腰掛けて呪文書を広げ、数人の生徒達とあれこれ話しながら、羊皮紙に術式を書き連ねている。

時折、セラに術式について質問しているらしく、セラは羊皮紙を指差しながら答えている。

 

「随分熱血だなぁ・・・」

 

「セラ姉もどこか嬉しそうだしな。グレン兄はやつれてるけど」

 

 

タクスの言う通りグレン兄は日に日にやつれている。

理由は単純、金欠かつセリカが食事をグレンにだけ出そうとしないからだ。

そのため、グレンはシロッテの小枝や食べられる野草、木の実を食べて飢えを凌いでいた。

 

 

「ねぇ二人共、サボっていないで練習したら?」

 

目をやると、システィーナが手を腰にあてながら覗き込んでいた。

後ろにはルミアとセラもいる。

 

 

「え~、だって面倒くさいじゃん。たまには寝かしてくれよ」

 

「あなた達はいつも寝てるでしょ!?」

 

 

タクスの反論にシスティーナが突っ込む。

 

 

「でも皆頑張っているんだよ?」

 

「・・・大丈夫。第一、俺らがタッグで負ける筈ないし」

 

 

ルミアが説得しようとするが、ノラは大丈夫といい再び寝転んだ。

 

「でも『タッグロワイヤル』って新しくできた競技だし、二人の内どっちかが落ちたら負けなんだよ?それに配点もそれなりに高いし・・・」

 

 

ノラとタクスが出場する競技、『タッグロワイヤル』は二人一組のチームでバトルロワイヤルを行うものだ。

使える魔術は自分が使える魔術であれば、軍用魔術以外使うことが出来る。

ただし、二人の内どちらかがステージから落ちると二人共敗退となるペナルティーがある。

 

つまり、二人のコンビネーション能力が重要になる競技だ。

 

「システィーナちゃん、ルミアちゃん、二人のコンビネーションは抜群だから安心して?でも二人共、絶対固有魔術(オリジナル)は使っちゃダメだよ?」

 

「「りょ、了解」」

 

若干の威圧感を含んだ声でセラが釘を刺すと、ノラとタクスは気圧されながらも頷いた。

そこへグレンが様子を見にやってきた。

 

「お~い、お前らちゃんと練習してるか~?・・・・(ボソッ)勝ってくれないとマジで俺餓死しちゃうから!」

 

最後の方は誰にも聞き取れない声で言っていたが、やはりグレンは必死らしい。

まぁ100%自分が悪いのだが。

 

 

「先生、どこに行っていたんですか?」

 

「ああ、【コール・ファミリア】で他のクラスを偵察していたんだが・・・やっぱりどこのクラスも成績上位者で全種目固めていやがった・・・」

 

「まぁ去年もそうでしたし・・・」

 

「ちくしょう、ずるいだろ・・・優秀な奴ばっか使うなんて、どいつもこいつも勝ちゃそれでいいのかよ!?勝利よりも大切なものってあるだろ、くそぅ!」

 

 

(さっきまで自分も同じことやろうとしてたくせに・・・)

 

(それを言うのは藪ってもんだろ?)

 

自分達の兄に呆れることしか出来ない二人。

 

 

「グレン君、今更編成を変える、なんてこと考えてないよね?」

 

「な、な、何言ってんだよ白犬!?お、俺はそんなこと、これっっぽっちも考えてないからな!?」

 

セラの指摘にあからさまに動揺するグレン、どうやら図星だったらしい。

 

「あー!また私のこと白犬って言った!」

 

「うるせぇな、いいだろ別に。犬っぽいんだし」

 

「もうっ!私は犬じゃないよ!それにさっきの様子だと、編成を変えようとしてたみたいだけど?」

 

ギクッ!とグレンは肩を震わせ────

 

 

 

 

「撤収!」

 

 

「こらーー!逃げるなーー!」

 

 

      ───背を向けて逃げ出した。

 

 

 

 

「あの二人ホント夫婦みたい何だけど」

 

「大体いつもあんな感じだよ。この後どうなるかも」

 

「え?それってどういう──」

 

システィーナがタクスに質問しようとすると、

 

 

 

「《大いなる風よ》────ッ!」

 

「おぉぉぉぉぉぉわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!?」

 

セラが放った【ゲイル・ブロウ】がグレンを空へ吹き飛ばした。

 

 

「「(゜Д゜;)・・・・・・」」

 

「・・・これがいつものグレン兄とセラ姉だよ」

 

唖然とするシスティーナとルミアにノラが眠気混じりに言う。

このとき、グレンには男子生徒から凄まじい嫉妬がこもった視線が送られていたが、本人は知るよしもない。

 

 

 

 

「いっつつ・・・もうちょい手加減してください白犬さん」

 

「ご、ゴメンね?」

 

地面に落ちてからしばらくした後、グレンは痛みと共に起き上がった。

セラもやり過ぎだと思ったらしく、グレンに謝りながら手当てをしている。

男子生徒からの嫉妬の視線が更に強まったのは言うまでもない。

 

「大丈夫かグレン兄?」

 

「これが大丈夫に見えるなら病院行け・・・」

 

「別にグレン兄は体頑丈なんだし大丈夫だろ。さっきも受け身をとってたし」

 

「ノラの辞書には心配という言葉はないのか・・・?」

 

「んなもんある訳ないだろ?」

 

これ見よがしにノラはグレンをからかう。

タクスは一応心配していた。

 

 

その時。

 

 

 

「さっきから勝手なことばかり・・・・・・いい加減にしろよお前ら!」

 

突然、激しい怒声が周囲に響いた。

 

「・・・なんだ?」

 

四人が声の方向に向くと、グレンのクラスの生徒達と他のクラスの生徒達が、中庭で言い争っていた。

 

「・・・おーい、何があった?」

 

ため息交じりにグレンがその場所に向かい、その後を三人がついて行く。

件の生徒達はまさに一触即発の雰囲気だった。

 

「あ、先生!こいつら、後からやってきたくせに勝手なことばかり言って───」

 

グレンのクラスの生徒、カッシュが興奮気味にまくし立てる。

 

「うるさい!お前ら二組の連中、大勢でごちゃごちゃ群れて目障りなんだよ!これから俺達が練習するんだから、どっか行けよ!」

 

他のクラスの生徒も興奮気味に言葉を吐き捨てた。

 

「なんだと─────ッ」

 

「はいはい、とりあえず落ち着いて」

 

セラが取っ組み合いを始めた二人の肩を掴んで宥めると同時にグレンが首根っこを掴んで、左右に強引に引き剥がした。

 

 

「あがが・・・く、首が・・・痛たた・・・・・・」

 

「うおお・・・い、息が・・・く、苦し・・・・・・」

 

「もう少し、譲り合いの心を持ったほうがいいんじゃない?両方とも」

 

大人しくなったのを見てグレンは手を離し、セラが生徒達を注意する。

 

「えーと?そっちのお前ら・・・・・・その襟章は一組だな。お前らもここで練習か?」

 

「え・・・あ、はい。そうです・・・その・・・・ハーレイ先生の指示で場所を・・・・・・」

 

腕力だけで比較的大柄な生徒を制したグレンに萎縮したらしく、一組の生徒達は殊勝に応じる。

 

 

「確かに場所取りすぎだね・・・ゴメンね。もう少し端に寄らせるから、それでいい?」

 

「あ、はい!場所を空けてくれるなら、それで・・・・・・」

 

なんとなく丸く収まりそうな雰囲気だったが────

 

 

 

「何をしている、クライス!さっさと場所を取っておけと言っただろう!まだ空かないのか!?」

 

怒鳴り声と共に二十代半ばの男性がやってくる。

学院の講師職の証である梟のローブを羽織った、神経質そうな男だ。

その男の名前は────

 

 

「あ、ハーレム先輩じゃないっすか。ちーっす」

 

「ハーレイだ!ハーレイ=アストレイだ!貴様舐めてるのか!?」

 

 

気楽に名前を間違えながら挨拶するグレンに、ハーレイは物凄い形相で詰め寄ってくる。

 

 

「・・・で?そのハー・・・なんとか先輩のクラスも今から練習っすか?」

 

「・・・貴様、そこまで覚えたくないか、私の名前」

 

 

ぴきぴきとこめかみに青筋をたて、拳を震わせながらハーレイは話を続ける。

 

「ふん、まぁいい。競技祭の練習と言ったな?当然だ、今年も私のクラスが優勝をいただく。私が指導する以上、優勝以外は許さん!今年は────」

 

 

「・・・そこまで勲章って大事っすか?ユーレイ先生?」

 

「ハーレイだ!ハーレイ=アストレイだ、ノラ=ルイカス!私が話している途中で話の腰を折るな!」

 

「そんなにピリピリしているとストレス溜まりますよ?」

 

「やかましい!誰のせいだ!誰の!」

 

 

ノラの道化じみた態度に、ハーレイは忌々しそうに舌打ちをした。

 

「それよりも聞いたぞ?グレン=レーダス。貴様は今回の競技祭、クラス全員を何らかの競技に出場させるつもりだとな?」

 

「え?あぁ、はい。そうなっちゃたみたいっすね・・・・・・不本意ですけど」

 

「はっ!戦う前から勝負を捨てたか?負けた時の言い訳作りか?それとも私が指導するクラスに恐れをなしたか?」

 

グレンが困ったように頭をかいていると。

 

「あの~、話が脱線してますよ?これ場所取りの話ですよね?」

 

セラがこの状況を打破しようとし、ハーレイとグレンの間に割り込んだ。

 

 

「ちっ・・・まぁ、いい。さっさと場所を空けろ」

 

「あー、はいはい。あの木の辺りまでで充分ですかね?」

 

セラに乗るようにグレンが練習用の面積を考慮して、場所割りを提案するが───

 

 

 

「何を言ってる?お前達二組のクラスは全員、とっととこの中庭から出ていけと言っているんだ」

 

そんなハーレイの一方的な言葉に、その場にいた二組の生徒達が凍りついた。

流石にグレンも渋面になり、セラは憤慨しながら抗議する。

 

 

「それは流石に横暴ですよ!こっちも真剣に練習しているのに!」

 

「何が横暴なものか」

 

ハーレイが吐き捨てるように言い放つ。

 

「もし、貴様達にやる気があるのであれば、練習のために公平に場所を分けてやってもいいだろう。だが、貴様達にはやる気が全くないではないか!なにしろ、そのような成績下位者達・・・足手まとい共を使っているくらいなんだからな!」

 

「な──ッ!?」

 

「勝つ気のないクラスが、使えない雑魚同士で群れ集まって場所を独占するなど迷惑千万だ!わかったならとっとと失せろ!」

 

余りに酷い言い草にセラが言い返そうとした時。

 

 

「お言葉ですがね、先輩。うちはこれはこれで最強の布陣なんすよ。無論、優勝を狙っていますよ?全員でね。主力とか足手まといなんて関係ない。一人は皆のために、皆は一人のために、だ。その一体感が最強の戦術なんすよ?わかりますかね?」

 

グレンが不敵な笑みを浮かべ、ひとしきり悪役のように哄笑し始めた。

 

 

「くっ・・・そんな非合理的な精神論が通用するとでも・・・・・・ッ!?」

 

そんなハーレイの反論を、グレンは真っ向から切り捨てる。

 

「給料三カ月分だ」

 

「な、何ィ・・・・・・ッ!?」

 

「俺達のクラスが優勝するのに、俺の給料三カ月分だ」

 

 

なんとグレンはハーレイに対して賭けを持ち込んだ。

 

 

「グレン兄・・・馬鹿なのか?」

 

「ムカついたから後先考えずに強がったんだろ・・・多分ギャンブルでもこんな感じだったんじゃね?」

 

自分達の兄にタクスは呆れ、ノラはなんとなく理由を察していた。

 

その後、ハーレイが見事に賭けに乗り、生徒達のやる気が上がった。

しかしグレンは自分の発言に猛烈に後悔し、内心泣きつつも威風堂々とした態度を取り続けた。




次はいよいよ魔術競技祭本番!
ノラとタクスのコンビネーションも見れるのであしからず。

【叛逆者】の名前にふさわしい活躍を見せれるように頑張ります。



ではまた。
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