ロクでなし魔術講師と二人の叛逆者   作:影龍 零

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どうも、影龍 零です。


本当に申し訳ありません!(土下座)
リアルが思った以上に忙しくなってしまい、全然書けませんでした・・・・・・

もうちょっと時間確保出来るように頑張ります



ではどうぞ


幕間その1
授業参観 前編


放課後のアルザーノ帝国魔術学院、二年次生二組の教室で。

 

「────てなわけで、明日の午後は以前から通達していた通り、お前らの親御さん達を招いての授業参観だ」

 

グレンのやる気ない宣言に、クラス中の生徒(主に男子)からうぇぇえええっ、と声が上がった。

 

「そう嫌そうな顔すんなよ、俺だって嫌なんだから・・・・・・あ、先に言っとくが、俺、明日熱出して休むかも・・・・・・今朝からなんか体調がどうにもおかしくてなぁ・・・・・・」

 

「あ、右に同じく」

 

「以下同文」

 

「き、汚ぇーーーーッ!」

 

「なんて教師だ・・・・・・」

 

「つかノラとタクスもどさくさに紛れて休もうとすんじゃねぇよ!」

 

もう放課後のホームルームの雰囲気はぶち壊され、授業参観が嫌な生徒の不満ぶちまけ大会と化していた。

 

 

「はぁ~~」

 

「どうしたの?システィ。具合でも悪い?」

 

「もしそうなら保健室までついていくよ?」

 

ため息をつくシスティーナに、ルミアとセラが心配そうに声をかける。

 

「ううん、そうじゃなくて・・・セラ先生も子供扱いしないでいいですから・・・・」

 

「あはは・・・ごめんね?」

 

セラが苦笑と共に謝ってくる。

 

「それで、どうしたの?」

 

「いや、私とルミアには関係無い話だなぁって・・・・・授業参観」

 

少し寂しげな笑みを浮かべながらセラに応じる。

 

「私たちの両親って魔導省の高級官僚なんです。仕事の関係で帝都とフェジテを行ったり来たりで・・・・最近、家にもほとんどいないんですよ」

 

「お義父様とお義母様はとても忙しいから・・・・」

 

ルミアは血の繋がりも無い赤の他人だが、諸事情でシスティーナと同じ家に住み、家族同然の扱いを受けている。

 

「明日も当然のように留守だし・・・だから関係のない話だなぁって」

 

ため息を一つ零す。

 

「やっぱり寂しい?」

 

「うーん、どうなんだろ・・・・・」

 

システィーナはそう言って寂しげに笑う。

 

「確かにお父様とお母様が学院に来るのは気恥ずかしいし・・・・・でも、私達が普段何をやっているのか、全く見てもらえないっていうのも・・・・・複雑な気分」

 

「あはは、そうかも」

 

ルミアもつられて苦笑い。

 

「うーん、私には何も出来ないからなぁ・・・・・・」

 

セラは二人の話を聞いて思案顔だ。

そして何か考えでたのか、二人に向き直る。

 

「でも、自分の娘のことなんだから、無理をしてでも駆けつけてくれるかもしれないよ?」

 

「いや、それは流石に・・・・・・無いと言い切れない自分がいる」

 

「え?」

 

システィーナのそんな言葉にセラは思わず聞き返す。

 

「でもお父様は人間としても魔術師としても厳格な人で・・・」

 

システィーナとルミアが視線を黒板前の壇上に向け、つられてセラも視線を向ける。

 

「大体、なんで俺がお前らに授業やってるところを親御さん達に見せなきゃならねーんだよ!?それじゃまるで俺が教師みたいじゃねーか!?」

 

「「「教師だろ!?」」」

 

そこではグレンが、女子生徒のドン引き視線を集めながら、男子生徒相手に喧々囂々騒いでいる。

次に三人は右隣の席を見る。

そこではノラとタクスが絶賛熟睡中だった。

一度男子生徒の一人が二人を冗談混じりに無理やり起こしたのだが、その際の二人の凄まじい負のオーラと睨みですっかり萎縮し、それを見ていた生徒達は『あの二人は絶対起こしちゃいけない』という暗黙のルールを即座に立てた。

なので起こしたくても起こすことが出来ない。

 

「もし先生とノラとタクスを見たら・・・・・・きっとクビにしろ、退学させろって大騒ぎですよ?」

 

「うぅ・・・そうかも・・・・・・」

 

義理の父の人柄を思い浮かべながらルミアも同意する。

 

「フィーベル家は元々ここ一帯の地主で、多くの土地を魔術学院の敷地として貸し出しているから・・・・学院内においては相当の発言権があるわけで・・・お父様がその気になれば・・・・・」

 

「「本当に先生(グレン君)達をやめさせられちゃうね・・・・・・」」

 

ルミアとセラが困ったような表情で呻く。

 

「でしょう?だからお父様とお母様が授業参観に来れないのは、ある意味良かったのよ」

 

自身を納得させるように、システィーナは言った。

 

「ふふ、結構心配性なんだね、システィーナちゃんは」

 

「なッ・・・・・・!?」

 

セラの意味ありげな笑みにシスティーナは頬を赤らめる。

 

「べ、別に私はグレン先生達がクビになっても構わないけど・・・・その・・・セラ先生もルミアも先生達の事気に入っているから嫌だろうし・・・・・私もタクスと論文について話すのは嫌いじゃないし・・・・・・」

 

しどろもどろになりつつ、誰かに言うわけでもないのに言い募るシスティーナにセラとルミアは暖かい視線と笑顔を向ける。

 

「そろそろ収拾つかなくなりそうだし、止めに入ろっか」

 

「そ、そうですね!」

 

セラが笑いながら出してくれた助け船に、システィーナは颯爽と乗り込む。

セラはノラとタクスの方に近づき、システィーナはいつものように席を立ち、壇上で大騒ぎしているグレンの方へと向き直り─────

 

 

「いい加減にしてください、先生!────」

 

このクラスでは最早お馴染みとなった説教を始めたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

□□□□

 

 

 

 

 

 

 

ホームルームを終え、フィーベル家の敷地へと入っていくシスティーナとルミア。

そして玄関の扉を開いて、エントランスホールへ。

 

「ただいまー」

 

普段は誰も返す者がいない形式上の挨拶。

そのはずなのだが─────

 

 

 

「あら、おかえりなさい。二人とも」

 

 

 

その日のエントランスホールには、亜麻色の髪の淑女が佇んでいた。

 

「・・・・・えっ!?お、お母様!?」

 

システィーナほどの娘がいるとはとても思えないくらい若々しい美貌の母───フィリアナが、優しい笑みを浮かべてシスティーナ達を出迎えていた。

 

「お義母様、どうしてここに?この時期は仕事が忙しくて、帝都に出張しっぱなしのはずじゃ・・・・・?」

 

システィーナ同様、ルミアも目を丸くしてフィリアナを見る。

 

「ふふ、それはね────」

 

と、その時。

 

 

 

「ぉおおおおおおお──────ッ!」

 

 

ドタタタ─────ッ!と奥の階段を駆け下りてくる者がいた。

 

「二人共、やっと帰ったかぁああああああ────ッ!」

 

 

その何者か──齢四十弱の銀髪の紳士が、鬼気迫る表情で猛然と駆け寄ってきて────

 

 

「お父さん、お前たちにとっても会いたかったぞぉおおおおおおお────ッ!」

 

 

 

「きゃ!?」

 

 

両手を広げて飛びかかってきた紳士に、システィーナとルミアは反射的に左右にサッと身を引いて────

 

 

「ぉおわぁああああぁぎゃぁああああああああぁ───────ッ!?」

 

 

紳士が広げた両手を空を抱き、飛んだ勢いで開けっ放しの玄関を飛び抜け、ゴロンゴロンと派手に中庭を転がった後、沈黙した。

 

 

「あらあら、貴方ったら・・・本当に仕方のない人ね」

 

フィリアナは、中庭で尻を天に向けて伸びている紳士───夫であるレナード=フィーベルの姿を見て、柔らかく微笑んだ。

 

そしてシスティーナとルミアの二人を促す。

 

「事情は・・・そうね、夕食のときにでも話しましょうか。ふふっ、今日は私が久しぶりに腕を振るおうかしら?」

 

「う、うん・・・・・」

 

「わ、わかりました、お義母様・・・・・」

 

 

 

 

 

□□□□

 

 

 

 

 

「えぇぇえええーーーーーッ!?」

 

フィーベル家の食堂で一家団欒の一時の中、システィーナの素っ頓狂な叫びが響き渡った。

 

「お父様達が授業参観に来るですって!?確か今月は、ずっと仕事が詰まってて忙しいって・・・・・・」

 

 

「ふふっ、実はね、この人ったら貴女達二人の授業参観に行くために、強引に休暇をとってきちゃったのよ」

 

 

どうやら学院側からの通知が魔導省に届き、娘のことになると親バカになるレナードはいても立ってもいられなくなり、かなり重要な国政機関の仕事を投げ出して帰ってきたらしい。

 

あくまで紳士然と笑うレナード。

 

「いやー、お父さん、明日は張り切ってシスティーナとルミアの雄志を、この目に焼き付けちゃうぞーーッ!」

 

(・・・・・・この国、大丈夫なのかしら?)

 

割と本気でそう思うシスティーナ。

 

「え、えーと、お父様?楽しみにしてくれていたところ、悪いんだけど・・・・・・」

 

こめかみを押さえながら進言するシスティーナ。

 

 

「その・・・・やっぱりお父様もお母様も忙しいでしょう?だから、私達のために時間を割いてもらわなくても・・・・・・」

 

「そうですよ、二人が私達のためにわざわざご足労を煩わせることはないです。私達は大丈夫ですから、どうか二人はお仕事に専念されて・・・・・・」

 

「な───」

 

その瞬間、レナードは奈落の底に突き落とされたかのごとき表情となり────

 

 

 

「どうしようフィリアナぁああああああーーーーッ!?反抗期が、娘達に反抗期が来ちゃったぁああああああーーーーッ!?もう駄目だ!この国は滅びるぅーーーーーッ!?」

 

明日にも世界が滅びるとばかりにレナードが取り乱し始め────

 

 

「ふふ、貴方ったら」

 

いつの間にか、レナードの背後に立ったフィリアナが、赤子を抱きしめるように、錯乱しているレナードの首にその細腕を絡め────

 

 

 

 

こきゃ。かくん。

 

 

 

 

一瞬でレナードを締め落とし、沈黙させた。

 

 

「「・・・・・・」」

 

 

フィーベル邸では割と見慣れた光景に、あぁ二人共本当に帰ってきたんだなと、強い確信を抱くシスティーナとルミアであった。

 

それから二人はフィリアナからねだるような笑みを向けられ、強く否定出来ずにいた。

しかし脳裏に浮かぶのは、グレンのすっとぼけた顔とセラの微笑む顔、ノラとタクスの寝顔。

セラはともかく、三人がいつもの態度をレナードの前で見せたならば本気でクビと退学にされかねない。

本来ならば、レナードは魔導省きっての切れ者で、自分にも他人にも厳しい人物なのだ。

おおらかなフィリアナとは違い、レナードと三人を合わせるのは絶対に不味い。

 

冗談抜きで、フィーベル家現当主のもつ力は大きい。

 

システィーナが脂汗を流しながら必死に考えていると。

 

 

「ふふ、よかった。これで、やっと噂のグレン先生とセラ先生、ノラ君とタクス君にお会いできるわ」

 

 

今まさに考えていた四人の名前が話題に上がったのを聞いて、システィーナは飛び上がらんとばかりの勢いで立ち上がった。

 

「ごほごほっ!な、なんでお母様が先生達のこと知ってるの!?」

 

「なんでって・・・・いつも貴女達が私達にくれる近況報告の手紙に毎回、お世話になってるグレン先生とセラ先生のことが書かれていたじゃない?」

 

「え、えええーーーーッ!?」

 

「それにシスティの手紙にはタクス君のことが、ルミアの手紙にはノラ君のことがいつも書かれていたわよ?」

 

 

システィーナはそれを聞いて即座に思い出す。

確かにグレンとセラ、ノラとタクスのことを書いた記憶はあるが、毎回書いているとは自分達ですら気づかなかった。

 

 

「ふふっ、システィもルミアも、随分と四人の方々がお気に入りのようね?どんな人なのか、今から会うのがとても楽しみだわ」

 

「はい、お義母様。とってもいい人達ですよ、ね?システィ」

 

「わ、私は別に・・・・その・・・・・・」

 

 

しどろもどろになりながらも、システィーナはなんとか落ち着こうと飲み物を口に含む。

 

 

「ね、二人共。もしかして二人には好きな人がいるの?例えば・・・ノラ君とタクス君とか」

 

 

 

そこにフィリアナが爆弾発言を落とした。

 

 

「ぶーーーーーーーーッ!?げほっ、げほごほっ!?お、お、お母様、一体何を言って────ッ!?」

 

 

「あら?貴女達はもう立派な淑女よ。恋の一つや二つ、経験しても可笑しくないわ」

 

 

咽せながらも同様にしまくるシスティーナとは対照的に、フィリアナは屈託無く笑う。

 

 

「それに恋は少女を美しく成長させるわ。久々に見た貴女達がとても綺麗だったから、もしかしたら・・・なぁんて勘ぐっていたのだけど・・・・・本当はどうなのかしら?」

 

頬杖の上に浮かべる微笑は悪戯猫のようであり、どこか小悪魔的だった。

 

「それは秘密です、お義母様。ご想像にお任せしますね?」

 

ルミアは人差し指を立てて唇を抑え、悪戯っぽくウインクする。

 

「ごごごご誤解ですお母様!?私がタ、タクスに、こ、恋、とか・・・・・・あり得ないですッ!?」

 

システィーナは顔を真っ赤にしながら、手と首をぶんぶんと振って、遮二無二否定する。

 

 

「うーん、本当はどうなのかしら?気になるわぁ・・・・・・」

 

娘二人の愛らしい様子に、フィリアナは楽しそうに破顔して─────

 

 

「・・・・こ、恋・・・・だとぉ・・・・・・ッ!?」

 

 

ようやく復活したレナードが、ぶるぶる震えながら顔を上げた。

 

「ダメダメダメッ!恋愛なんて、お前達には早過ぎますッ!お父さん、そんなの絶対認めませんッ!」

 

「だ、だから違うって言ってるでしょ!?変な勘ぐりは止めて下さい!」

 

「くっそぉ!?私の可愛い娘を誑かしやがってぇぇぇーーーーッ!?許さんッ!そいつらの家はどこだ!?燃やしてや─────」

 

 

「ほら、貴方、落ち着いて」

 

 

 

こきゃ、かくん。

 

 

 

 

すぐさまフィリアナがレナードを一瞬で締め落とす。

 

 

その後、フィリアナとレナード若い頃の話や、レナードが暴走しかけたこともあったが、それはまた別の話である。

 

 

 

 

 

 

□□□□

 

 

 

 

 

 

次の日、午前中の授業の休み時間にて。

 

システィーナとルミアは中庭に件の四人を呼び出し、昨日のフィーベル邸での出来事を説明していた。

 

 

「何つーか、スゲェ親父さんだな」

 

「子煩悩と言うより親バカ、なのかな?」

 

この二人には気を付けて、とシスティーナから渡されたレナードとフィリアナの写真画を眺めながら、グレン、ノラ、タクスの三人は呆れ顔を隠せずにいた。

セラも苦笑いをせずにはいられない程である。

 

 

「お父様は普段、自分にも他人にも厳しい人なんですけど・・・私達の事になると嘘のように親バカになるというか・・・・・・」

 

「よくお前みたいな真面目一辺倒の堅物が生まれたな?白猫」

 

「こらっ、グレン君もそんな事言わない!」

 

 

セラがグレンを注意するが、システィーナは反論らしい反論も出来ず、溜め息をつく。

 

「とにかくです!今日の午後からの授業参観は本当に気をつけてくださいね!?前にも言いましたけど、この学院におけるフィーベル家の発言力はとても大きいんです!」

 

「下手すりゃグレン兄はクビにされる可能性大だな」

 

「別にそれでも良いんだけどなぁ・・・・・」

 

「えっ?」

 

その言葉で、システィーナはグレンが魔術が大嫌いと言っていたのを思いだした。

この騒動に便乗して学院を去ることだって十分に考えられる。

 

しかし、ここでノラが横槍を差してきた。

 

 

「グレン兄、もし今回の授業参観に便乗してクビになったら、今度こそセリカに消し飛ばされるぞ?」

 

「よーっし!僕全力で頑張っちゃおうかなぁーー!?」

 

グレンは冷や汗を垂らしながら大声で言う。

セラとルミアは苦笑い、タクスとシスティーナは呆れ顔だ。

 

「まぁ、以前の俺ならそれでも嫌だったろうが・・・しゃーねぇ、今日だけ真面目に講師ぶってみるか・・・・・・」

 

続くグレンの言葉により、授業参観での方針が決まった。

 

無論、日頃授業態度がすこぶる悪いノラとタクスも授業参観だけは眠らずに臨むことを確約させられた。

理由は、

 

「嫌な予感がする」

 

というタクスの言葉だ。

こういう時のタクスの予感はかなりの確率で的中する。

そのことをタクス含めた全員が理解しているため、仕方ない様子で確約したのだ。

 

システィーナから気をつけるべきポイントを言われ、少しグレンとシスティーナの間でイザコザがあったが、兎にも角にも授業参観を乗り切る手段が整ったのだった。

 

 





次回後編やります。



デート・ア・ライブ三期が一月から放送とは・・・・七罪は個人的に好きなキャラなのでどんな声になるかとても楽しみです!
転スラも結構面白くてビックリ


ではまた
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