今回でプロローグは終わりです。
次から本編に突入ということになるかな。
ではどうぞ。
グレンはこの家に居候してからは、自分の義弟であるノラとタクス、
更に家主のセリカに家事を全部任せ、自分は惰眠と食事を貪ることに集中していた。
端から見たらダメ人間のお手本のようであろう。
そんなグレンは現在進行形で夢を見ていた。
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【ねえグレン君、戦っていて怖いと思ったことってある?】
【ん?何だ突然に。セラはどうなんだ?】
【私はやっぱり怖いなぁ。もし死んじゃったら、大切な人にもう会えなくなったらって
思うと怖くなるかな。グレン君は?】
【俺か?そりゃあ怖いさ。もし死んじまったらもう何も出来ないんだしな。
それに大切な人を守れなかったらって思うと余計にな。】
それはとある日の特務分室。グレンとセラが隣合って座り、会話をしていた時だった。
【やっぱり?でも私はまだ死にたくない、夢を叶えるまで死ねないって思うと
頑張れる気がするんだ。】
【オイオイ白犬、そうやってフラグを立てるな。お前はいつも他人を優先するんだから、
たまには自分の命も大事にしろ。】
【あはは、グレン君優しいね。】
【バッ・・・そんなんじゃねーよ、普通のことだろ?】
【でもそれを真っ直ぐ伝えられるんだもん、やっぱり優しいよグレン君は。】
【はあ、白犬にはかなわねえな。】
【む~、だから私は犬じゃないって!この髪も白じゃ無くて銀髪だよ!】
たわいの無い、だけどグレンにとっては大切な思い出。
□□□□
「ん・・・夢か・・・ふぁ~あ。」
(もうセラは戻ってこない・・・なのにまたあの頃の夢か・・・)
「今は・・・うわマジか、もう昼じゃねーか。目も覚めちまったしどうするか・・・」
グレンが何をしようか考えていると、(まあ寝るかぼーっとしてるかしか考えてなかったが)
コンコンとドアをノックする音が聞こえた。
(誰だ?ノラとタクスならノックせずにドア蹴っ飛ばして入ってくるし・・・、
ああセリカが昼飯持ってきてくれたのか。ありがたい限りだぜ。)
本当にダメ人間の見本のような考え方である。
「いいぞ~入ってきて~。」
グレンが気怠げに応えると、ノックした人物が入ってきた。
「お~セリカ、いつもありが・・・・・・え?」
何故グレンが絶句したのか。答えは簡単である。
「久しぶり、かな?グレン君!」
──死んだと思っていたセラが目の前にいたのだから。
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「お前・・・・・・本当に・・・セラ・・なのか・・・?」
「うん。そうだよ、グレン君。心配かけちゃった・・・かな?」
頬を掻きながらいう銀髪の人物は、自分のせいで命を落としたはずの
セラ=シルヴァースだった。
「お前はあのとき・・・」
「うん、死んだと思った。でもノラ君とタクス君、それにセリカさんが助けてくれたんだ。
特にノラ君とタクス君は頑張っていたってセリカさんが言ってたな~。
「死なせてたまるかーー!!」って必死だったんだって。」
「あいつら・・・ったく、余計なお世話だっつうのに・・・。」
(でもまあ、今はありがとうだな。ノラ、タクス。)
「グレン君、どうしたの?」
「いや、なんでもねーよ。・・・ただあいつらに感謝しとこうかなって思っただけだ。」
後半の部分は誰も聞き取れないぐらい小さな声で言った。
「そういえば白犬、あの事件のことは聞いたのか?」
「だから犬じゃないってば! まあでも少しならあの2人に聞いたかな。」
「そうか……ジャティスの野郎は俺が倒したが・・かなりの特務分室の
メンバーが死んじまったらしい。葬儀は後日行うんだとよ。」
「そっか・・・、じゃあ私も葬儀行こうかな。お世話になった人もいるし。
グレン君もいくんだよ?」
「え~・・・ダルいんだけど・・・」
「駄目だよグレン君!いくら辞めたからって昔の仲間でしょ!?
ならせめて弔ってあげなきゃ!」
「あー、わーったよ。行きゃいんだろ行きゃ。」
「よろしい。あ、それとグレン君、私今この家に住んでるんだ。」
「お~そうなのか・・・ってええ!白犬お前ここに住んでんのか!?」
「だから犬じゃないってば!・・・もう、話戻すけど一週間前からここにいるよ。
セリカさんもいいって言ってくれたし。」
「まじか、俺のときはかなり嫌そうだったのにあんにゃろー!
・・・ってえ?一週間前?俺お前のこと見てないぞ?」
「ああ、それはセリカさんが【面白そうだから】って言って
グレン君だけ私が見えなくなる魔術かけたからだよ。」
「ったくセリカのヤロー、面白そうだからって面倒なことしやがって。」
「あはは・・・・・・まあ私が頼んだことなんだけどね。」
「ん?なんか言ったか白犬。」
「ううん、何も・・・ってまた犬って言った!」
「いいだろ別に。」
「もう・・・」
「そういやセラ・・・」
「うん?なにグレン君。」
「・・・・・・すまなかった。」
グレンは頭を下げながら言った。
「え、なんで急に・・・」
「俺はあのときお前を救えなかった!救いたくても俺の力不足で・・・
俺は・・・皆の力をかりなきゃ・・・なんにも・・・」
「・・・大丈夫だよ、グレン君。」
セラは微笑みながら言った。
「確かにグレン君は皆に助けられたと思う。・・・でもグレン君はあのとき
私を助けようとしてくれた、それがとても嬉しかったんだよ?
・・・だから自分を責めないで、私はあなたに救われたんだから。」
「セラ・・・そうか、そうだよな。いろいろ吹っ切れたよ。
まあ~その、なんだ、・・・ありがとな。」
「ふふっ、どういたしまして。」
「「「たっだいま~~~!!!」」」
「あ、皆帰ってきたね。」
「そうだな。んじゃあ俺らも下行くか。」
グレンとセラは並んで階段を降りていった。
□□□
「お~グレン兄にセラ姉、今準備してっから待ってて。
あ、グレン兄は手伝え!」
「ええ~~なんで俺は手伝わなきゃなんねーんだよ。」
「セリカは飾り付けしてるし、ノラは料理してるしで
俺しか掃除できるやついないからだよ!」
「ったくしゃーねーな。あとでなんか奢ってくれんならやってもいいぞ?」
グレンがそういった瞬間、グレンは背筋が凍るような感覚に襲われた。
振り返ってみるとそこには──
「駄・目・だ・よ・?グレン君?」
──黒いオーラを出したセラがいた。
「すすすすみませんでしたーー!!!」
グレンは神速で土下座をした。
その姿にセラはため息をつく。
「弟の頼みは引き受けるのが兄なんじゃないの、グレン君?」
「はい!やらせていただきます!」
「さっすがセラ姉!俺達が出来ないことを平然とやってのける!
そこに痺れる!憧れるぅ!」
「タクス君も口じゃなくて手を動かす!」
「ヘーイ、ああセラ姉は待ってて。」
「え?」
「おーい、料理出来たぞ~~~。」
「こっちも飾り付け終わったぞ~~~。」
「お、じゃあ俺も終わりにすっか。」
「え、俺やる意味なかったんじゃね?」
「サーナンノコトカワカラナイナー」
□□□
三人がダイニングにいくと、そこには色とりどりで豪華な料理が並んでいた。
「いや~疲れた。」
「凄い!これ全部ノラ君が作ったの?」
「もちろん、材料運ぶのはさすがにきつかったけどな・・・」
「お疲れ~ノラ。ほれ、コーヒー。」
「サンキューグレン兄。」
ノラがグレンから渡されたコーヒーを啜ると「ふぅ」と息をついた。
「グレン兄、料理運ぶの手伝え。セラ姉も頼む。マジで疲れた。」
「「了解」」
するとセリカがやってきた。
「お~うまそうな料理だな~。あ、グレンとセラもきたか。」
「うぃっすセリカ、いままで何してたんだ?」
「私か?ここの飾り付けをしてたんだ、なかなか細かい作業で目が疲れたな~。」
「お疲れ様ですセリカさん。でもなんで飾り付けなんてしてたんですか?」
セラが問うとセリカが笑いながらノラとタクスを呼んだ。
「おーい、そろそろ始めるぞ~。」
「「了~解~」」
「グレン、お前も手伝え。拒否ったら飯抜きな。」
「ひでぇ!!?」
セリカはグレン、ノラ、タクスを集めて何か囁いた。
セラはそれを首を傾げながら見ていた。
すると、セラを除く全員がクラッカーを持った。
次の瞬間、一斉にクラッカーが引かれ、パパパパン!っと音が鳴り響いた。
「「「「ようこそセラ!!そしてよろしく!!」」」」
セラは数秒ポカーンとしていたが、すぐに気持ちを落ち着かせて
「うん!ありがとう!!」
──と、満面の笑みで言った。
そこからはどんちゃん騒ぎだった。
パーティーが始まってから二時間ほど経つと料理も無くなり、セリカは仕事をしに、
ノラとタクスは洗い物を済ませた後に自室へそれぞれ戻っていった。
その場に残ったグレンとセラはしばらくの間コーヒーを啜っていたが
やがてセラが口を開いた。
「今日は楽しかったねグレン君。」
「ああ、そうだな。あんな馬鹿騒ぎすんのは久しぶりかな。」
「でもノラ君とタクス君に激辛料理を食べさせたのは駄目だよ?」
「そりゃあいつらが勝手に人の料理を盗み食いしたからだろ!?」
「だからって家にある香辛料全部使うのはやり過ぎだよ!!」
セラと話しながらグレンは安心感に包まれていた。
ーーああ、またこの時間がくるとは思わなかったーー
「どうしたの?グレン君。」
「いんや、なんでもねーよ。ただ、久しぶりに楽しかったからな。
・・・セラも生きていてくれたしな。」
「グレン君・・・」
「まだ言ってなかったな。」
「何を?」
「──お帰り、セラ。」
「──うん。ただいま、グレン君。」
微笑むセラの頬にはうっすらと涙が伝っていた。
ちなみに原作に添っていくのでご了承くださいな。
でもセラは生存してますよ。
グレンも原作通りのスタートなのであしからず。
ではまた。