Silent-Nightmare of Second-   作:reizen

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ep.14 難易度鬼クラスの特訓

 突然現れた謎の乱入者が中で騒ぎを起こしている中、本音はある意味究極の選択を迫られていた。

 

(ど……どうしよう……)

 

 手元には、学年別トーナメントの登録用紙があり、既に枠は埋まっている。そう、後は本音がそこに名前を書いて提出するだけなのだ。

 だがそれをしてしまえば、彼女が本当に一緒にいるべき存在を見捨てることになる。

 

(………ま、いっか)

 

 さっきまでの険しい顔つきは何だったのか、本音はサインをして折りたたんで懐に紙をしまった。

 何故主思いの本音が決断をしたのかというと、相手のことが好きだというのもあるが―――何よりも最初に一緒に組もうとしていた相手と絶賛喧嘩中だからである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ラウラに激突した鉄塊がひとりでに浮かび上がり、投げた本人―――つまり学園の生徒が知らない少年のところに戻る。少年(見た目は青年)の倍はあるその鉄塊はメイスであり、少年には使いやすいものだ。

 

「誰だ………貴様は………」

「意外と元気だな、ロリ豚」

「何ッ!?」

 

 ラウラは怒りを露わにする。豚と言われたことに憤慨し、怒りに身を任せてその少年に接近する。だが―――

 

「良いのか? そのまま近付いて俺をどうするつもりだ―――まさかお前、ISで俺を殺す気か?」

「くっ………! 貴様、卑怯だぞ!!」

「ハッ! 敗者風情がよく吠える。悔しければISを捨ててかかって来い。まぁ、ISを捨てた時点でISなしで男に喧嘩を売れない貴様らメス風情が俺に勝つのは夢のまた夢だがな」

 

 勝ち誇るようにそう宣言する少年はメイスを量子化して瞬のところに降りる。するとラウラはISを解除してナイフを抜いた。

 

「ドイツ軍人を舐めた報いを受けろ! ゴミが!!」

 

 それはラウラにとって本気の攻撃だった。

 しかし少年にとって大したことではなく、少年はラウラの腹部を蹴り飛ばした。

 

 ―――それは、普通を知る彼女たちにとってあまりにも異常な光景だった

 

 ただ少年は蹴ったように見えた。しかし、ラウラが実際飛んだのはフィールド内の端から端であり、ラウラは壁に叩きつけられる。

 しかしそれは少年にとっては日常的であり、大したこともないようで瞬を担ぎ上げた。

 

「さて、目的は果たした。ああ、それと―――ここの人間はレベルが低すぎる。俺らは影宮瞬のレベルを上げるために来たが、どうやらその必要はなかったようだな。どいつもこいつも―――弱すぎて話にならない。よくそれで自分たちが強いと勘違いできたものだ―――総じて周りがゴミしかいない環境で暮らさないといけない瞬を哀れに思う」

 

 そう言って最後に小さく笑い、その男はピットへと消えた。

 そしてその日以降、影宮瞬を学園内で目撃することはなかった。例の日までは。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 眼を覚ますと、僕は見知らぬ部屋にいた。………あ、こういう時に「知らない天井だ」って言うんだっけ? 僕もまだまだだな。

 

「お、起きたか」

「………先輩……………あれ? え? 何で先輩がここにいるんですか!?」

「何でも何も、ここは俺の研究室だからな」

 

 言われて僕は辺りを見回す。え? でもこんな部屋だったっけ……?

 

「ここは少々場所が違っていてな。一応、お前はIS学園に所属する人間だから場所の制限はさせてもらうが、ここはお前を鍛えるには最適な場所と言える」

「………鍛える? ぼ、僕を?」

「ああ。少々事情が変わって来たんだ。だからお前には最低限の実力を身に着けてもらおうと思ってな」

 

 ………もしかして、そのためにかなり非合法な手段でも取ったのだろうか?

 前に僕を逃がした時にかなりの数から攻撃を受けたはずなのに、ピンピンしている先輩に少しホッとしているけど、正直それは僕が辛い。

 

「そんなことしなくて良いですよ。それで先輩や静流に迷惑をかけたくありません」

「なに言ってんだ。そんなことない」

「それに静流には学校―――って、僕にも授業がありますから!」

「それならIS学園の理事長と話をつけてきた。学年別トーナメントに間に合えば問題ないってよ」

 

 意外にも太っ腹な対応に僕は唖然とした。というか―――

 

「そんなことしたら、また「依怙贔屓だ」とか言って面倒なことになるじゃないですか」

「普通ならそれが当たり前なんだけどな。それに贔屓ならば織斑一夏にされていることの方が明らかに多いんだ。それに―――専用機持ち全員ボコって再起不能にまで追い込めばもう誰も文句は言わんだろうよ」

 

 と言って不気味な笑みを浮かべる先輩。ホント、この人も色々とぶっ飛んでるなぁ。

 

「あれ? でも僕が倒れる前は静流の声が聞こえたのは気のせい……?」

「いや、静流に迎えに行かせたけど?」

 

 …………帰ったら嫌な予感がする。

 例えば、全員から「アレは誰なんだ」とか「強い奴がバックにいるからって調子に乗ってんじゃないわよ」とか言われそうだ。別に調子に乗った覚えはないけどね。

 

「そうそう、これから特訓なんだけどな―――静流を倒せ」

 

 見る人が見ればうっとりしそうな笑みを浮かべて、先輩は残酷な事を言った。

 

「女2人をカッコ良く救出した後に無様に負けたのは悔しいだろ」

 

 どうやらこの人はあの事をしっかりわかっていたらしい。まぁ、一つ指摘するようがあるけど。

 

「救出? 何を言っているんですか? 僕はボーデヴィッヒを潰すのに邪魔だったから退かしただけですよ?」

「またまたぁ…………あ、うん。だと思った。で、途中で学年別トーナメントが近いことを思い出して、その時にボコれば良いと思ってわざとAICに捕まった、と?」

「………何でそこまで知っているんですか」

 

 僕まだ何も言ってないんですけど………流石は天才、ということなのかな。まぁでも、もしかしたら本音さんからある程度の情報は聞いていたのかもしれない。

 

「それで、何で静流を倒さないといけないのですか?」

「静流を倒せるぐらいの力量があるならIS学園の生徒を黙らせるから」

「安易すぎますよ!」

 

 一体どれだけの力が必要だって思っているんですか!?

 

「言っておきますけど、静流を倒すって言うのはただロードローラーを乗せるだけで勝てるってわけじゃないんですよ!?」

「むしろ破壊すらしそうだしな………というのは置いといて、だ」

 

 作業を終えたのか、ひと段落したかのように伸びをする透先輩。また何か作っていたのだろうか?

 

「相手は化け物だって言う事は俺も充分理解している。なら工夫をすればいい」

 

 とドヤ顔する先輩は、ペイント弾が装填されている銃とトラップを僕に渡した。

 

「ところで、さっきから何作ってたんですか?」

「マルチロックオン・システム。IS用にプログラムを組み直してた」

「…………お疲れ様です」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ■■■

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 IS学園は、今2つの勢力に分かれていた。

 1つはラウラを攻撃し、瞬を連れてどこかに消えた男に力の差を見せつけべきと考える過激派。そしてもう一つは、放置する穏便派だ。過激派は女尊男卑思考を持つ女が主であり、またIS学園に所属する日本人以外の人間が多かった。対して穏健派は日本人が多く、そんなことに興味がない人間もそういう立場を取っている。

 何故、これまで瞬に対しては全員で嫌っていたのにその男に対しては2つに分かれたのかというと、本音がその男について知っていて名前を出したからである。

 

 その男の名前は「舞崎 静流」。それを聞いた日本に住む特に1年の女生徒たちは怯えた。

 何故ならその男は数々の伝説を作っていて、その大半が女権団や不良集団をたった一人で壊滅させたものである。いや、それだけではない。

 実は静流は一度捕まっており、その際に手足を拘束されてしばらく殴られていたのにも関わらず、中には手足を捥がれた女がいるほど大立ち回りを見せただけでなく、主催者の車を素手でスクラップにしたがその時に近くにあった車を2台とも片手で持ってひたすらボコボコにしたという話があるほどだ。

 それほどまで恐ろしい男に対して喧嘩を売るのは間違っていると考えるのが穏健派だった。そして、その穏健派は―――

 

「布仏さん、一緒に食事でもしない?」

 

 瞬がいないことを良いことに本音を食事に誘っていた。もちろん保身のためだ。

 もしこれまで瞬にしてきた仕打ちが友人である静流にバレたら、また出てくるのではないかと怯えているのだ。

 だが本音は伊達に暗部にいるわけでなく、そういう人間の思考を見抜いてずっと断ってきた。

 

「…………はぁ」

 

 本音は一人寂しく昼食を食べている。これまで瞬とずっと一緒にいたツケだろう。便所飯、とまではいかないがサンドイッチを頬張っていた。

 

「瞬に会いたいな………」

 

 そう呟きを漏らす。周りは聞こえたが同時に静流が襲来してくるのではないかと怯える者もいれば殺意を持ち始める者もいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方、その頃……

 

「相変わらずの素早さだなクソネズミ!!」

「黙れロリコン!! とっとと死ね!!」

 

 瞬は瞬で、常人にはまずできない静流討伐クエストで―――本気で殺しにかかっていた。

 

 

 それからしばらくして、日本は6月の最終週に突入した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「しかし、凄いなこりゃ……」

 

 少し疲れた様子で着替えながら更衣室のモニターで観客席の様子を見る一夏。画面には一夏でも知る各国政府関係者やISの研究所員、企業エージェントなどが同じ場所に集まっている様子が映し出されている。

 

「3年にはスカウト、2年には1年間の成果の確認にそれぞれ人が来ているからね。1年には今のところ関係ないみたいだけど、それでもトーナメント上位入賞者には早速チェックが入ると思うよ」

「ふーん、ご苦労なことだ」

 

 驚きはしたが、正直のところ興味がないというのが一夏の本音だ。シャルルはそれを見抜いて小さく笑う。

 

「一夏はボーデヴィッヒさんとの対戦だけが気になるみたいだね」

「まあ、な。自分の力を試せないっていうのは、正直辛いだろ」

 

 あの時、専用機持ちだった2人がどうして乱入しなかったというと、2人は瞬に救出した2人の面倒を見るように言われたからだ。IS学園に専門の救急要員は控えておらず、自分たちで運ぶためになっていたのでクラスメイトに協力を仰いで鈴音とセシリアを運んでいた。

 

「感情的にならないでね。彼女は、おそらく1年の中では現時点で最強だと思う」

「ああ、わかってる」

 

 言われて一夏は少し心を落ち着かせる。そして朝に引いたくじ引きの結果の事を引き合いに出した。

 

「にしても、Aブロック1回戦1組目なんて運が良いよな」

「え? どうして?」

「待ち時間に色々考えなくても済むだろ。こういうのは勢いが肝心だ。出たとこ勝負、思い切りの良さでいきたいだろ」

「ふふっ、そうかもね。僕だったら1番最初に手の内を晒すことになるから、ちょっと考えがマイナスに入っていたかも」

「なんならいっそのこと、ソードじゃなくてドリルでも装備した方が良いんじゃない? そっちの方が織斑君にとっても使いやすいだろうし」

「そうは言ってもな。俺の白式にはもう容量が………」

 

 ふと、一夏は口を止める。

 何故ならそこにはこれまでいなかったはずの声が自分の耳に届いたからだ。

 

「………瞬? いつからそこに……」

「ずっといたけど」

 

 ―――何でいるの!?

 

 シャルルは顔を青ざめる。

 何故なら彼は本当は男ではなく、女。元々企業スパイとして男として入学させられていたのだ。

 一夏にはラウラが最初に暴れ、瞬に止められた日の夜にバレてしまった。だが一夏が同情したことでまだ男として通っているのである。しかし、瞬はそのことを知らない。

 

「どうしたの、デュノア君。あ、僕のパートナーは本音さんなんだ」

「な、何でもないよ?」

 

 瞬の興味は既にシャルルになく、大会表を確認している。

 

「そう言えば瞬、これまでどうしてたんだ?」

「ずっと特訓とか戦闘に関する講義とかだよ。正直疲れた」

 

 瞬の脳裏にはとても苦しい修行の日々が浮かぶ。思い返して、同じ専用機持ちの2人の目の前で言った。

 

「………正直、僕この大会で優勝できるんじゃないかなって思ってる」

 

 そう言って瞬は半袖のジャージを着て先に外に出ると、何かを感じた瞬は回避し、それを動いている状態で確認したことで手を出して引き寄せる。

 

「む~」

「………ただいま、本音さん」

 

 そう言って瞬は本音を抱きしめる。向こうに行くことは知っていたが、電話一つ寄越さなかったことで起こっていた本音も抱きしめる。

 しばらくすると人の気配がしたことで瞬は本音を離した。本音は頬を膨らませたが、人の話し声が聞こえたので納得する。

 

「でも、どうして連絡が来なかったの? ずっと待ってたのに」

「………特訓した後に疲れて倒れた」

 

 本気で遠い目をする瞬に対して本音は何かを察し、肩に手を置いた。




アーキタイプブレイカーをしようかしまいか悩み中。
一夏がプレイヤーじゃなかったらしているんですけどね………でもどのタイミングで新キャラが出てくるとか知りたいしなぁ……。
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