Silent-Nightmare of Second- 作:reizen
紅椿暴走するってよ。
11巻の最後辺りに明らかにショック受けている箒だけど、胸を使って性格を少しマシにすれば良いと何度言えば……
12巻ではロリ姫が出てくると聞いて、簪辺りが機体を乗り換えるかもしれないとか思ってしまった人は私だけではないはず。RHBが頭に過ぎった人は私以外にもいると信じている。
シュヴァルツェア・レーゲンの暴走。
それは織斑君によって鎮圧されたけど、僕には問題が一つある。
(明日はどう攻めるか………だね)
これまでの相手はハッキリ言って雑魚だった。そしてボーデヴィッヒは機体相性が良かったからと言える。
でも今度のはコンビネーションで来る。相手は専用機持ちだ。生半可ではだめだ。
(………あれ? そう言えば本音さんはどこ行ったの……?)
ふと、辺りを見回すけどどこにも本音さんの姿がない。そろそろ帰ってきても良い時間だ……。
(……探しに行かなきゃ)
外に出て探しに向かうけど、既に9時過ぎだから辺りは暗い。今は他の人間も入り込んでいるのだから警戒するべきかもしれない。もし本音さんが誰かに捕まっているって言うなら、その時は―――隼鋼を使ってでも救出しないと。
どうやら僕の心配は杞憂だったようだ。
本音さんは整備室で何かをしている………ただ、それは―――
「なに……やってるの……?」
「あ、みーやん」
少しフリーズした本音さんは慌てて触っていたものを隠そうとしたが、僕はそれを止めた。
「なに……これ………」
「……あ、IS……」
確かに見た感じ、ISだ。
だけどなんというか、まるで演歌歌手の大きな衣装みたいな感じだ。でも………
(………正直、あまり戦ってほしくない、かな)
結局は自己満足なんだけど、それでも僕としてはあまり彼女に戦ってほしくないというのが本音だ。
戦いとは人を傷つける行為だ。これまで一緒に戦って、もしかしたら彼女にも戦えるほどの技能はあるのではないかとは思っているけど、だからと言って一緒に戦いたいかと言われると首を横に振る。織斑君は前に「みんなを守りたい」と言っていたけど、つまりそれは男特有の「安全の場所にいてほしい」というのと同じだ。
「……明日ね、この機体で戦おうって思うんだ」
「………これで?」
できれば早々に負けておいてほしいんだけど。
僕のスタイルの基本は1対多で無双することだ。本音さんは僕に気遣って援護に回ってくれているけど、正直に言うと本当にあまり戦ってほしくない。
『やっぱりさ、女は家で家事とかして待っていてほしいと思わね? 愛妻料理に夜のアレにだ。だから俺は、もっと強くなるんだ。片手間で世界をぶっ壊せるほどに』
一部はともかく透さんの気持ちはよく分かった気がする。
「………嫌?」
「正直、言うとね。僕は君が大切だから、君には戦ってほしくない」
―――でも、そうなると僕は明日の試合を棄権しないといけない
今、僕の立場は非常に危うい状況にある。まともな後ろ盾がなく、ISコアを個人所有している。もしこの大会で織斑君やデュノア君に劣っていると判断された場合、研究所に連れて行かれる可能性が高い。それに、隼鋼を没収させられる可能性もある。
あの機体は白式以上に機動に特化した機体となっていて、自分が思った以上のスピードが出る。静流と戦う時は姿勢制御を意識しながら戦っていたからとりあえず戦えているようなものだ。
「わかってるよ。でも、これは私には必要なんだ。そろそろ活発化してきてるから」
「……………何を―――」
……何かが動いているのかもしれない。
だけど僕は、それ以上は聞くのを止めた。たぶんそれはおいそれと言えないことなんだろう。
「………本音さん」
「ごめん。まだ言えな―――」
「もう遅いから、一緒に帰ろう」
僕も、何度も本音さんに救われている。だから今は僕が引く番だと思ってそう提案した。
そして翌日。
第三アリーナの観客席は満員。誰もがこの試合を楽しみにしていたらしい。もっとも、僕らがどう無様に負けるか、だろうけど。
でも、生憎だけど僕は負ける気はない。
試合開始のブザーが鳴る。
僕はブザーと同時に加速し、デュノア君の前に移動した。
「は、早い!」
「させるか!!」
織斑君が反転してくる。だけどそれは、移動中に仕掛けた探知式のクレイモア地雷が遅らせる。
「させない」
「逃げれると思ってる?」
至近距離から発砲し、腹部にダメージを負わせる。
「くっ!?」
「シャルル?! この―――」
織斑君が足止めをするのは、何も地雷だけじゃない。そっちは任せると、本音さん。
■■■
一夏は後ろからの奇襲を受ける。
「何だ!? の、のほほんさん!?」
「いっけぇ!!」
青色のボールを放出する本音。それが一夏に接近すると水に変わり、一夏を襲う。さらにたらいが接近して物理的なダメージも忘れない。
「じ、地味に痛い」
「でも、遊びはここまでだよ」
そう言って本音は2本の曲剣を展開して一夏に攻撃した。
「君も剣を使うのか!」
「だけじゃない!」
本音は距離を取ってからまるで剣をブーメランのように投擲し、一夏に触れると同時に爆発した。
「爆発する!?」
「まだまだ!!」
今度は4本。本音は同時に召喚すると同時にバックパックからナノマシンの糸で編んだ鳥を射出。レーザーを発射させた。一夏はすぐに横に回避する。
「逃がさない!!」
地面から糸が飛び出してさらに一夏に迫る。そんな時だった。
シャルルが一夏の上から躍り出て散弾銃を2丁同時に使用して広範囲に攻撃した。
「瞬は?」
「お休み中。でも、罠にかけるのが精いっぱいだった。機動力だけ言えばたぶんあの機体は第四世代級だよ」
いつ仕掛けたのか、シャルルが使用した痺れ罠に捕まっている瞬。スピードが速いが故に避けるのが難しいと判断してのトラップだったようだ。実際その通りで瞬は簡単に捕まってしまったというわけだ。
こうなれば一夏とシャルルの独壇場になる。何せ本音の機体「打鉄特殊改造機」は学年別トーナメントの決勝進出者の中で唯一の訓練機という事もあって特別に許可は出たが、時間が無くて使用機体そのものは弄られなかったのだ。
「今の内に布仏さんを倒すよ」
「わかった」
そこでふと、一夏はあることを思った。
(………彼女の名前、布仏本音って言うんだ……)
割とどうでも良いことだったが、一夏はあだ名として呼んでいた「のほほん」が略してもそうなることに密かに驚いていた。
2人の戦い方は確かに正しい。
瞬の戦い方はラウラと同じでコンビネーションを重視したスタイルじゃない。一応、本音も戦えるよう配慮はしているが、それでも1対1が2つ同時に行われている感じだった。
だが今回の相手はどちらかを放置しては作戦に支障が出るほどの実力を有している。ならば、瞬を足止めして本音から先に倒そうと考えたのだ。そうすれば、瞬を2人で相手にできる、と。
―――だが、それは瞬を甘く見過ぎた結果に過ぎない
確かに多少実力がある―――セシリアと鈴音のコンビだったらそれは通じたかもしれない。2年や3年でもそれは通じただろう。
―――しかし、相手は瞬だ
2人も決して瞬を舐めていたわけじゃない。むしろ自分たちの機体的な事情から出せる最善の結果とも言える。だが瞬は―――ナイフだけではないのだ。
一夏の頭部に銃弾が当たり、絶対防御が発動してエネルギーが大幅に減る。尋常じゃない程、減る。
衝撃もそうだが、銃弾が鐘を鳴らす槌のようになってしまうISでは逆に脳を揺らしてしまう。
「くっ………一体……なん―――」
一夏が背中に押し当てられたものに冷汗を流す。だが背中に押し付けた犯人は躊躇いもなくパイルバンカーを使用した。
背中―――特に背骨を折るととんでもないことになる。だからこそ瞬は躊躇いなく全弾使用した。
【織斑一夏、戦闘不能】
シャルルは一夏の方を見て、驚く。
「何で……あれは………」
「………確かに効いたよ。まだISの全システムは回復していないけど………それでどうにかってところかな」
実際、今の瞬はラウラ戦で見せた高速移動はできない。だがそれでも普通に戦えるほどの技量はある。―――いや、
「何だか、君たちを見ているととてもムシャクシャしてきた」
もしくは、瞬が放つオーラがシャルルを怯ませているかもしれない。
(僕だけになった……でも、やるしかない!)
シャルルは瞬と本音から距離を取る。だが銃撃戦に持ち込む気はないのか瞬はナイフを展開して接近した。
そのスピードはいつもの超スピードではなく、シャルルでも慣れているスピードだ。故に本音ではなく瞬を狙って引き金を引いたシャルル。しかし―――銃弾はすべてナイフで細切れにされた。
「―――はい?」
素早く動けない。そう踏んでの攻撃が呆気なく敗れ、銃弾が細切れにされる現象にシャルルは頭を抱えた。
もう回復したのか―――そう考えたシャルルだが、この状況に置いて「考える」という行為は瞬に隙を与える。
大きく回転して迫るナイフを回避するシャルル。しかしそれはフェイクであり、瞬は少し時間をずらして別の物を投げていた。
シャルルが持っていた重機関銃《デザート・フォックス》が切断され、武器が瞬の方に戻って行く。
「何で―――」
「驚きすぎだよ、君」
瞬は戻ってくる武器をゲットせず、距離を詰めた。だが、
「―――この距離なら、外さない」
同時にシャルルも瞬時加速で瞬との間合いを潰すと同時に彼女の切り札でもあるパイルバンカー《
―――バンッ!!
大きな音が会場内に響く。しかし攻撃は空を切っていて、瞬の身体は―――シャルルの顔の横にあった。そして瞬は容赦なくシャルルの顔に膝蹴りをかました。
脳を揺らされ、身体の自由を奪われるシャルル。なんとか立とうとしてもふらついて満足に立てない。
「くっ………」
「君たちの敗因はただ一つ」
シャルルの身体が何かに拘束される。それを感じたシャルルは初めて気づいた。
―――影宮瞬が、かつてないほどにキレていることに
「僕の目の前で本音さんにリンチをしようとしたことだ」
瞬はスイッチを押す真似をすると、シャルルの周囲が爆発した。
【シャルル・デュノア、戦闘不能。よって勝者、影宮瞬・布仏本音ペア】
学年別トーナメント1年生の部は瞬と本音の優勝で幕を閉じた………が、
「あー! 結局全然戦えてない~」
「…………ごめん。すっかり忘れてた」
ポカポカと瞬を叩く本音。瞬は甘んじてそれを受け入れた。
■■■
僕らは優勝した。けど反省点はかなり多い。その内の一つは「最後辺りは全くコンビネーションを生かしきれていない」なのだから問題すぎるだろう。ところで、
「それで、お二人はこれを機にお付き合いするという事でよろしいでしょうか?」
インタビューアーにそんなことを言われたんだけど、どういう事なんだろ? え? 僕と本音さんが付き合うの? だけどそれは、残念ながらできるわけがない。
「止めてくださいよ。冗談にしては洒落になっていませんよ」
「ですが、お二人は大変仲がよろしいですし、もしかしたらアタックすればチャンスはあるかもしれませんよ」
「………ところで、一つ良いですか?」
「何でしょう?」
「―――何故、学年別トーナメントで優勝しただけで「付き合う、付き合わない」という話になっているのでしょう?」
心の底からの疑問に僕は内心で首をかしげていた。
本来なら、学年別トーナメントは自分の今の能力の可能性を見てもらう大会。本来ならクラス対抗戦が事故で無くなったのでその分を合わせて1年間のデザートフリーパスが渡されるだけになっているはず。少なくとも、誰かと付き合うことができるとか知らない話だ。………もっとも、「学年別トーナメントで優勝すれば織斑君と付き合える」という話なら聞いたことあるけど。そしてオルコットさんと凰さんが食いついていたことも。
「知りませんか? 学年別トーナメントで優勝すれば好きな相手と付き合えることになっているんですよ」
「…………………謹んで辞退させていただきます」
誰だ。元々馬鹿げているそんな話をさらに馬鹿げさせたクソ女はどこのどいつだ!!
「そもそも、我々がここにいるのはISの技能を高めるためでしょう? だったらそんなことをしている暇なんてないですよ」
「………そ、それもそうですね」
「それに
ちょっと言い過ぎだとは思ったけど、個人的にそれくらいは必要だと思うので言ってみたけど、見事にお通夜状態になった。
「もっとも、それが生身でできるのは僕の親友か先輩ぐらいで、どちらもそれなりの常識はわきまえているのでそんなことしませんけどね…………実際2人を殺すにしても女性がISを数機持ち出しても勝てるかどうか怪しい気がしなくもないですけど」
さらにお通夜状態にしてお祝いムードを思いっきり下げてやった。だって、明らかに殺意を向けられているなんて気持ちの良いものじゃない。それなら、全員を黙らせた方が良いに決まっている。
その後、本音さんに簡単なインタビューがされて、閉会式は滞りなく終わった。
一夏とシャルルが取った戦略は間違っていません。ただ相手が悪かっただけなんです。本音に対する依存性が高すぎただけなんです。
ちなみに本音の武装はとある幼女を意識しています。某ゲームでは☆5の彼女です。
……早く復刻しないかな。