Silent-Nightmare of Second-   作:reizen

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ep.28 唯我独尊の殺戮者

「ねぇ、ジャック」

 

 一人の女性が愛おしそうに、怯え悲しむ少年に語り掛ける。女性は今もなお炎に巻かれていて、足は潰されて満身創痍だった。

 

「もしあなたに………好きな子ができたらその子だけを守りなさい」

「ママ……そんなことよりも……いまは……」

「良いのよ」

 

 炎が女性に移るが、女性は気にしない。むしろ少年の方が気にしていて怖がっている。

 

「………良い? あなたは、女性を殺す少年と同じ名前を持つ子。でも、それは私たちがあなたに強く生きて欲しいから付けただけにすぎないわ」

「……なんの……話をしているの……?」

 

 だが、それだけを言った女性は少年を突き飛ばす。同時に近くの車が爆発し、女性も巻き込まれた。

 しばらくして近くの人が通報したようで比較的早く到着。鎮火された。

 原因は車の整備不良とされており、これ以後―――少年は引き取られた家庭で酷い仕打ちをされることになる。

 

 

 

 その少年―――瞬は今、走馬灯のように思い出していた。

 

(………どうして……今更そんな……)

 

 意識が段々と遠のく。まるで自分がここで終わりだと宣言されているように感じた瞬は怒りを露わにする。

 

(……本音……さん……)

 

 瞬が求めたからか、ハイパーセンサーに本音の現在地が表示される。

 本音が乗る打鉄ごと誘拐されたからか表示されているようだ。

 

(………何で……誰も……本音さんを………)

 

 瞬は知らない事だが、虫たちは徐々に花月荘に向かい始めていた。

 専用機持ちたちは突然現れた3機が援護しているが、それでも数に苦戦しているのが現状であり、さらにはその数のせいで花月荘が本土から分断されていることも気付けていないのだ。

 

(…………僕は………)

 

 機体すべての情報が更新されていき、敵と思われるマーカーが「赤」で更新されていく。そして味方は「青」、わからないものは「黄」で表示された。

 

(………本音を………)

 

 ハイパーセンサーに本音が大型の虫に連れ去られていくのが表示された。その虫は芋虫のような姿をしている。瞬には、その虫が笑っているように見えた。

 

(………なきゃ……)

 

 瞬の口から泡が漏れる。死に体のはずの瞬からは何故か殺意が漏れ始めた。

 

(………殺さなきゃ……)

 

 ハイパーセンサーに次々とシステムが流れて行く。更新でもしていたのだろうか、途中でダイアログが展開された。

 

『あなたは、()()()()()()()?』

 

 「Yes」と「No」の選択肢が現れ、瞬は「Yes」を選択した。

 

 

 

 コードが流れ、次々と更新が進んでいく。その過程でアビリティがいくつも解放された。

 

 ―――すべての偽造OSが削除されました

 ―――更新完了まであと5……4……3……2……1……clear

 ―――システム再起動中………clear

 ―――真OS《ASSASSIN》、始動

 

 

 

 

 ―――おかえりなさい、ジャック

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『で、瞬の助けはどうするんだ』

 

 次々と金棒で破壊していく鬼型の機体を操る操縦者がそう質問すると、連続で次々と撃墜していく機体の操縦者がため息を吐いた。

 

『瞬の救出はしない。このまま放置する』

『はぁ!? って言うか邪魔だ!!』

 

 近くにいた一夏を金棒で殴って花月荘の方に飛ばした。さらに、金棒を投げて次々と破壊していく。

 

『っと。で、どうするんだよおい!』

『…………来たようだな』

『は?』

 

 途端に海が爆発した。2人が振り返るとまるで福音が第二形態に移行した時のように上昇する。

 

『来たか』

『やっとか。遅え―――』

 

 突然姿を消したかに見えた隼鋼。2人にダメージを与えて一直線に敵の群衆の中に突っ込んだ。

 

『あの野郎!!』

『落ち着け静流』

『一番槍は譲ら―――って止めるな!!』

『止めるわ。それよりも―――』

 

 急にかなりの虫が吹き飛んだことによって虫たちは標的は隼鋼の方に変えた。

 だが後ろから鬼型の機体が虫を吹き飛ばす。

 

『おうおうおう! テメェらどこ見てやがんだ!!』

『戦国時代に帰れ』

 

 冷静なツッコミは無視した鬼型の機体は虫たちを蹴散らすが、虫たちは無視して隼鋼を追う。その挙動を怪しいと思った鬼型の機体は帰って来た。

 

『………これって』

『まさか母艦までも存在するというのか?』

『―――ちょっと。こっちで虐殺してたら戻り始めたら急に撤退始めたんだけど、どういうこと?』

 

 他の機体の援護をしていた紅黒い機体も2機と合流する。

 

「待て!」

 

 紅の機体とそれに追随するように各国の専用機、さらには訓練機に搭乗している教員らが現れ、銃口を向けた。

 

『援護は感謝する。しかしここは別作戦の空域にしてされていたゆえ、拘束させてもらうぞ』

「『織斑千冬か。それよりも良いのか? 今向こうにアンタの生徒が行ったが?』」

『それに関しても後程こちらで対処する。それよりも―――』

 

 千冬が説明しようとした時、鬼型の機体が教員の機体を一撃で破壊した。元々連戦で弱っていたということもあるが、それでも異常なダメージを食らっていた。

 

「『今のは手加減してやった。で? やるの? 向こうは向こうで勝手に終わるだろうし、こっちとして家畜の分際で粋がっているブタ共を一掃してやってもいい―――』」

「『阿呆か!! 余計なことしてんじゃねぇ!!』」

「『まぁ、こっちも賛成だけどさ。弱いくせに粋がっているやつって公衆の面前でメスとしての自覚させながら喘がせて最後に串刺しにしてみたいというのはあるかな』」

「『初めて聞いたわその性癖!』」

 

 激しく突っ込む機体を見て千冬は画面越しにだが、同情的な視線を送った。

 

「『見ての通り、こちらはIS操縦者と足並みを揃える気はない。故にこちらはそちらの指示には従わない』」

『…………こちらとしてもそうはできないのだがな』

「『受け入れてもらうしかないな。そうしないと、割と真面目にそちらの生徒がミンチより酷くなる可能性が高いと思っていただくしかないな』」

『………そうか』

 

 そして千冬は―――全機の待機を命じた。

 

「な、何故ですの!?」

「この数でなら捕縛は可能です」

『それはあくまでも理論上だ。それに敵の能力は未知数だ。兵装はもちろん、奴らが持つ能力もな』

 

 千冬の考えは的を射ている。

 この3機の機体は例え1機でだろうがISを叩き潰すことが可能だ。1人1人が対多数戦に慣れており、機体も個人に合わせて作られている。

 そんな機体を相手にすればどうなるか、千冬は早々に察知していた。

 

『一つ、聞きたいことがある』

「『何でしょう?』」

『お前たちの目的はISコアか? それとも男性操縦者の身柄か?』

 

 1人の操縦者はその質問の意図を理解し、答えた。

 

「『ご安心を。こちらはあの虫どもを殲滅するために来ました』」

『ならばこそ、何故隼鋼を追わない?』

「『こちらは隼鋼の特徴を全て把握している。ああなった状態の影宮瞬の特徴もとある筋から情報を得ている。故に放置するべきだと考えた。故に、こちらは待機して撤退後の影宮瞬の援護に備えるつもりだ』」

「『そんなこと言っている間に一機が勝手に行動してますけどね』」

「『…………………まぁいい。放置する。というか下手に溜め込ませていざとなって脱走された方が面倒だ』」

 

 諦めたらしい。

 慣れている同型機の操縦者はともかく、IS学園勢は呆然とした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 隼鋼の姿は大きく変わっていた。

 各所に展開装甲の機構が追加され、斬射切替ビットも8基追加されている。それらで虫たちを潰していった瞬はとうとう―――異形な形をした母艦を見つけた。

 まさしく禍々しいものの集合体とも言え艦。寄生されたのかどうかは考えずに瞬はひたすら本音を第三の瞳を開いた状態で探す。

 展開装甲から特殊なエネルギー粒子を放出させ、エネルギーフィールドを生成させた状態で突撃する。中に入った瞬は普通ならば吐きそうになる状態を何とも思わず移動した。

 

「………見つけた」

 

 その声に反応した虫は本音を抱えており、瞬は瞬く間に距離を詰めてその虫に風穴を開ける。それも、1度や2度ではない。

 周囲を破壊すると同時に跳ね返りながら何度も何度もその敵を攻撃する瞬。そして―――ISを解除された本音を布でくるんで入って来た穴へと向かう。

 

【サンプルが逃げた。捕まえろ】

 

 瞬には聞き取れない言葉が発せられ、次々と様々な形をした壁から現れるが瞬は容赦なく切り捨てると同時にビットで壁を刻んでいく。

 

【殺せ! 殺せ! 殺せ!】

【人間の女は我々の母体としても使える。逃がすな】

【男は殺せ! 新たなる頂点は我々―――】

 

 瞬が穴から外に出ると手榴弾が大量に入れ、爆発させた。が、瞬の破壊活動はそれだけに留まらない。

 本音を抱えた状態で近接ブレードを展開し、刃にオーラを惑わせた状態で横に薙いだ。すると刀身からオーラが伸びて迫りくる虫たちを切断していった。

 

(………帰るか)

 

 何をしに来たのかは理解していないが、優先順位を考えて今は本音を安全な場所に移動させることを優先した瞬は離脱しようとする―――が、そんな時母艦から大量の虫が湧いてきた。中には足の速いものもおり、本音を抱えた状態の瞬にとって物凄くマズい状況だ。

 

【人族の男……殺す】

【男は殺戮……男は根絶やしだ……】

 

 誰もかれもが瞬に対して敵意を向ける。その時―――巨大な金棒が大群めがけて振り下ろされた。

 

「『なるほど。大体理解した』」

 

 そう言った鬼型の機体の操縦者が自分の手元で縮小されていく金棒を振り上げてさらに振り下ろす。

 

「『つまり生存競争で勝った方がこの地球の支配者になれるってことだな………あれ? 面倒じゃね?』」

「………………」

 

 本音を取り返したことによって、冷静さを取り戻した瞬はその操縦者の発言に引きながらも、同時に何故機械音声でしゃべっているのだろうかという疑問を持ち始めた。

 

「『おいそこの操縦者。とっととその足手纏いを置いて戻って来い』」

「? IS操縦者は雑魚なんじゃないの?」

「『テメェは別だ』」

「…………わかった」

 

 瞬はすぐに本音に悪影響が出ない速度で花月荘に向かう。虫たちは追おうとするが、その行動をした虫たちは一瞬で吹き飛ばされた。

 

「『どこ見てんだ、テメェら』」

 

 鬼型のISの操縦者が阻むように移動する。

 

「『テメェらの相手はこの俺だ』」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 花月荘に戻る途中、紅黒い機体とすれ違った以外は特に何もなかった瞬は無事に花月荘に着いた。そして風花の間の近くに着地した瞬は現れた千冬に本音を渡す。

 

「彼女をお願いします」

「待て、影宮。お前は―――」

「あの虫たちの根城を叩いてきます」

「―――許可できん」

 

 そう言い切った千冬。瞬は少し驚きつつもすぐに冷静になる。

 

「お前は身体に穴を開けたんだ。もう後は軍に任せるべき―――」

「無理ですね」

 

 そう言った瞬はとても静かに、しかし見る者すべてを魅了するかのように美しく笑っていた。

 

「軍程度がどうこうできる事態じゃないんです。それにまだここに来ていない時点で信用できません」

「し、しかしだな―――」

「大丈夫ですよ」

 

 千冬は思わず瞬から距離を取り、本音を守るように体勢を整える。

 

「これから行われるのは一方的な蹂躙ですから死ぬことはありません。それに回収した時に本音さんはISコアを持っていませんでした。なら、まだ艦にあると思うべきです」

 

 そう言って瞬は隼鋼を上昇させると専用機持ちもISを展開して上昇してきた。

 

「瞬、俺たちも行くぜ」

「いらない」

 

 即答だった。

 というよりも「何で付いてくるの?」とすら思っているようで、それが顔に出ていた。

 

「向こうは数が多いんだ。私たちも行くぞ」

「そうですわ。それに、私たちは現役代表候補生ですから足手纏いには―――」

 

 ―――一瞬だった

 

 紅椿はすべての展開装甲機構を破壊され、ブルー・ティアーズはスラスターと武装を壊されてしまった。

 

「別に君たちが言ったわけじゃないけどさ―――君たちが戦力になっていたのは、遠い昔の話でしょ?」

 

 そう言って瞬はすべての機構からエネルギー装甲を展開し、再度フィールドを展開して再度虫たちがいる場所に向かった。

 

「『………面白いな、君たちは』」

「な、何が面白いって言うのよ!?」

 

 鈴音の言葉にほとんど全員が同意しているようだ。相手は大型バイザーで顔の上半分を隠しているため、口だけは笑っていることだけはわかる。

 

「『今の影宮瞬と隼鋼ならば、他のISをすべて破壊することができる。君たちが恋愛にかまけている間にやるべきことをしていた成果だろう。もっとも―――今までは本来の力が封じられていた状態だがな』」

「ど、どういうことだよ!?」

「『そのままの意味だよ、織斑一夏。君はこれからも生きたいならばこれからはもっと本気で、それこそ死ぬ気で努力しなければいけない。そうしなければ君は卒業と同時に施設に送られて解剖されることになるだろう。残念ながら影宮瞬を止められるIS操縦者はもういないからね』」

 

 そう言って指揮官と思われる操縦者も瞬の後を追った。

 一夏は言われていることが理解できず、千冬はすぐさま本音を医務室に連れて行き、教員らに改めて休むように言った。




なんか男を見せたりカオスになっていますが、今は流してください。
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