ひかりちゃんインカミング!   作:栄光

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※表現を微修正、軍事用語などにルビの追加


“聖戦”

 1945年8月17日

 

 暗闇の中、枝葉の擦れ木がへし折れる音が遠くからうなり声のように聞こえてくる。

 空ではもう接敵したようで銃声響き、発砲炎がちらちらと見えていた。

 乗員も歩兵も息を殺し、アイドル回転で低くうなるディーゼルエンジンの音だけが彼らの出す音だ。

 ネウロイの第一波が近づいてくる様子を、キューポラから双眼鏡で見た中隊長が命令を掛ける。

 そこに後方の親衛迫撃砲連隊が上空に照明弾を打ち上げ、黒いシルエットが浮かび上がった。

 

「射撃時期は指命、前方900、800、750……撃て!」

「命中!敵、なおも止まらず!」

「全車、撃ち続けろ!」

 

 照準眼鏡(しょうじゅんがんきょう)に蜘蛛のようなネウロイが横隊となって現れ、ガサガサと木々の間より姿を見せる。

 戦車砲が火を吐き、砲弾がネウロイの関節近くを吹き飛ばして転倒させる。

 自己修復までの()()()()()()()()()に、歩兵が対戦車銃で胴体中央部のコア目掛けて一斉に射撃する。

 そこに次弾装填が終わった戦車砲が放たれ、陸上ネウロイは光と消えていく。

 少数でもこのような方法で撃破しないといけない相手が第一警戒線の壕に殺到したのだ。

 

「こちら第15歩兵大隊2中隊、司令部、砲撃し……」

「第15歩兵大隊2中隊、司令部、支援を乞う!敵の攻撃苛烈なり!」

『こちら司令部、どうした……誰だ君は』

 

 送話が突如、轟音と共に途切れて次に聞こえてきたのは少し低い声の男の叫び声だ。

 背後では戦車のエンジン音やら爆発音と言った戦闘騒音が響き渡り、交戦している様子がよく分かる。

 

「中隊長戦死!指揮を引き継いだチャミスカヤ曹長です!」

『チャミスカヤ曹長、5分後一帯に砲撃支援を行う。生存者は131211より北側に後退せよ』

「了解!」

 

 その後、第15歩兵大隊からの呼び出しはなかった。

 戦車隊と歩兵の敢闘もむなしく、歩兵は光線で焼き払われ戦車は戦車壕から後退のために出ることも出来ぬまま破壊されたのだ。

 

 219連隊のナイトウィッチ、スミルノフ中尉は打ち上げられた照明弾や照空燈を見ないように地上に背を向けて戦っていた。

 照空燈や照明弾の強烈な光は少しのあいだ視力を完全に奪うのだ。

 視力以外の何らかの感覚器官で物を捉えているネウロイにとっては夜目を失い盲目のウィッチなど好餌(こうじ)にしかならない。

 飛び来る中型を中心に狙撃眼鏡付きの対戦車銃で次々と撃ち落としていると、最近よく聞く女の声が背後から聞こえた。

 

「待たせたな!スミルノフ」

「遅いわ!ブダノワ、アンタだけ?ウチの子たちはまだなの?」

 

 哨戒に上がっていた者と先行したナイトウィッチの13名はネウロイ26機をすでに撃墜していた。

 

「お前のところのヒヨコ共も追っ付けやって来る、よし来た」

 

 サーチライトの光を背に受けて121連隊と129連隊のウィッチが戦闘空域に到着した。

 

「一丁前にスポットライトを浴びて舞台女優気取り?」

 

 やって来た増援目掛けて光線を放つエイのような大型ネウロイにブダノワとスミルノフはすかさずフリーガーハマーと対戦車銃を叩きこむ。

 爆発がコアの辺りを吹き飛ばしたようで、光になるネウロイ。

 フリーガーハマーの威力に獲物を横取りされたような気分になったスミルノフは左手でしっしっと払う。

 

「502の下原が今、向こうで戦っているので121は援護をしてほしい」

「了解だ、お前も落とされるなよ」

「……アンタこそ、マロジョル」

戦果1(アイツ)はお前にくれてやる!」

「いらない!さっさと行きなさい!」

 

 ブダノワと121のウィッチたちが左翼側に行ったことを確認すると、スミルノフ中尉はやって来た129連隊のウィッチ達に指示を飛ばす。

 

「うちは中央を守り抜くわ。射撃に使ってもライトは直視するな!」

「了解!」

 

 夜間戦闘に慣熟しているナイトウィッチが大型ネウロイに火力を集中させ、緊急発進してきたウィッチに指示を出すという戦法は夜戦ではごく一般的なものだ。

 502では下原、ロスマン、クルピンスキーが中心となって突っ込んでゆき、ニパ、ジョゼ、孝美はその横に着いて死角となる下方や後方をカバーする。

 

「クルピンスキーさん!下から!」

「ありがとう孝美ちゃん、おっと、次!」

 

 クルピンスキーがサーチライトに映った小型を撃ち落としたとき、光の当たらぬ左下方からネウロイが急接近してきた。

 孝美が間髪入れずに13㎜機関銃を撃つと、勢いのまま破片を撒き散らしクルピンスキー目掛けて突っ込んできたが外れ、光と消えていった。

 一方、ロスマンとニパのコンビは火力があることから対地支援につく。

 

「ニパさん、後ろは任せました」

「ニパ君、先生を頼んだよ」

「はい!」

 

 ロスマンのフリーガーハマーが火を噴き、第2次警戒線に向かう戦車に襲い掛かる陸戦ネウロイを吹き飛ばす。

 

「うーん、何体でてくるんだよ……」

 

 ニパはロスマンの死角から近づく飛行型を撃墜して、その接近を許さない。

 

「ロスマン先生!敵の向こうに見えるアレって!」

「いつの間に……」

 

 一挙に押し寄せる陸上型ネウロイの向こうに、いつぞに見た黒い水晶のようなネウロイが音もなくいつの間にか屹立していた。

 しかし前のものに比べ大きく、遠くからは30m近くあるように見え下部は暗闇でよく見えないが脚か何かしらの手段で移動しているようである。

 歩くビルのようなネウロイは森の上空を照らすサーチライトに、上半分が黒く光る。

 悠然と近づいてくる大型ネウロイに、502JFWの部隊員たちは44年の春にスオムスのオロネツで戦った巨大な円筒形のネウロイ母機“シリンダー”を思い出す。

 

「こちらロスマン、司令部、陸上型の母機と思われる超大型を確認した」

「了解、座標を報告せよ」

「……124520付近に砲撃を要請します」

「確認した、しばらく待て」

 

 その頃、ランタンの明かりが薄暗く照らす地下指揮所ではラルやアルチューフィンと言った幕僚達が各方面から入ってくる情報をもとに反攻策を練っていた。

 状況は芳しくない、現在、第一警戒線の3個戦車連隊とその随伴歩兵部隊が壊滅して、その後方10㎞の第二警戒線まで押し込まれようとしていた。

 そこを抜けられたらもう前線司令部と交通壕で結ばれた地下指揮所まで18㎞しかない。

 

 夜間単独飛行が出来て上級指揮官課程を修了しているサーシャは指揮所要員だけでなく防衛要員としても無線交信を聞き、砂板(さばん)に表示される彼我の状況をラルの傍で見ていた。

 今すぐにでも飛び上がって援護に行きたくなったが、万が一にも本陣が襲撃されては元も子もない。

 ユーティライネン大尉らユニット回収班が武装し飛行場脇の塹壕に待機しているといっても地上戦力であり、航空優勢の確保は出来ないのだ。

 

「502より砲撃要請!目標、超大型ネウロイ!」

 

 そこに砲兵科の若い下士官が息を切らして指揮所壕へ飛び込んできた。

 

「502の連中は何と言っている」

「はい!『陸上型の母機と思われる超大型ネウロイを確認、124520付近に砲撃支援求む』です」

「どうしたい、ラル少佐」

 

 アルチューフィンの問いに下士官は答え、意見を求められたラルはアルチューフィンに向き直った。

 

「私は敵大型母艦級ネウロイへ砲兵火力を集中させ、これを撃破することを具申します」

「どうしてだ」

「おそらく、兵隊ネウロイを指揮し生産あるいは召喚している可能性があります」

 

 指揮所の無線からは各部隊からの情報や悲鳴混じりの救援要請がひっきりなしに入る。

 

『こちら……隊、デカいのがいるぞ!』

『敵増援出現!推定50、いやもっといます!』

『囲まれた!救援求む、“カニ”がこっちに来た!……うわぁ』

『おい、どこのウィッチだ、ひとり森に落ちていったぞ!』

『……航空ウィッチが救出に向かった!聞こえてる歩兵は援護しろ!』

『われ、これより突撃する。ウラー!』

 

 通話の脇で撃っているのか凄まじい銃声、あるいは攻撃を受けたのか爆発音が聞こえてきてスピーカーの音が割れる中、アルチューフィンは砲撃命令を下した。

 

「許可しよう、やってくれ。射撃座標はそちらの指揮官に任せる」

「はい!」

「ラル少佐、突撃は任せたぞ」

「わかりました」

 

 伝令として走って来た下士官が砲兵連隊の射撃指揮所へと戻っていくのをラルは確かめると、無線で上空に居る502隊員に言った。

 

「502各機に伝える、砲撃支援が終わり次第優先して大型にあたれ。雑魚は無視しても構わん」

『隊長、それまでに弾が厳しいんだよね、どうにかならない?』

「クルピンスキー、それについてはサーシャとトラックを送るので補給しろ」

 

 クルピンスキーやニパが持って出たMG42機関銃の弾ももう少なくなっていたし、孝美の13㎜機関銃も残弾僅かであり、予備弾倉も後1つしかない。

 ロスマンでさえも撃ちきったフリーガーハマーを捨てて負傷した歩兵から受け取ったStG44小銃で戦っていたのだ。

 

『了解、それじゃ砲撃のタイミングが決まるまではそのままなんだね?』

「ああ。それと、救出したウィッチはどうした」

『たった今、下原ちゃんとジョゼちゃんが地上の衛生兵に引き渡したよ』

 

 下原が夜間視能力で落下地点を特定し降着後はジョゼによる応急手当が行われ、地点確保と陽動のために危険を顧みずネウロイの中に斬りこんだ複数のオラーシャ陸軍歩兵部隊の活躍もあって撃墜されたウィッチは救出されていた。

 

『下原です、ジョゼと共に歩兵の直掩(ちょくえん)についています』

「そうか、砲撃支援はおそらく15分ほどで行われる。それまでに補給地点まで戻ってこい」

『わかりました』

 

 

_____

 

 

 

 

 歩兵や生き残った戦車部隊、自走砲部隊が最前線でネウロイの前進を必死に押しとどめている時、砲兵隊の射撃指揮所では超大型のネウロイに対しての射撃諸元が作られつつあった。

 

「射撃座標121522!」

 

 地図の縦軸と横軸に記された数字とマスの中の目盛からなる6ケタの座標へ砲撃するための射撃諸元に合わせて、重砲の照準を合わせる。

 

「ウィッチに通達しろ!『射撃準備が出来た』と!」

 

 砲兵隊からアルチューフィンのもとに射撃準備完了の知らせが入って7分後、火砲群が火を噴いた。

 

「初弾、弾着5、4、3、2、1」

 

 初弾が発射され、母艦級ネウロイの手前に落ちて大地を耕す。

 

「修正!奥に20」

 

 前進観測班やウィッチから入る情報に新たな諸元が砲側(ほうそく)の兵員に伝えられる。

 仰俯角(ぎょうふかく)のハンドルを勢いよく回し砲口が少し下がると共に、砲尾の閉鎖器がガシャンと開くやいなや砲弾、袋に入った装薬がリズミカルに装填され閉鎖器が閉じられる。

 

「撃てッ!」

 

 152㎜カノン砲だけでなく280㎜臼砲(きゅうほう)や203mm榴弾砲といったオラーシャ軍のあらゆる重砲、多連装ロケットが火を噴き、漆黒の空に紅く輝く発射炎を曳きながら第2弾、3弾、効力射と砲撃が超大型ネウロイに集中する。

 サーチライトの光が巻きあがった土煙に映り、スクリーンのようになって視界が遮られてしまう。

 通常であれば射撃中止の命令が掛かりそうなものだが、撃つことをやめない。

 

「……フスタヴァーィ ストラナ アグローヴナヤ」

 

 むせるような砲煙と轟音の中、誰かが歌い始める。

 

 

__立ち上がれ、巨大なる国よ

__立ち上がれ、死を賭けた戦いに

__怪異どもの暗黒の力に、

__呪わしき軍勢に!

 

 砲声の中の歌声はいつの間にか砲兵たちの中で伝播し、合唱となっていた。

 同一諸元にひたすら着発信管の砲弾を投射し、外れた弾は近くの兵隊ネウロイを粉砕する。

 

__崇高なる憤激を

__沸き立たせよ、大波のごとく

__人民の戦争だ、

__聖なる戦いだ!

 

 7分間の全力射撃が止んで土煙の中から大きく穿孔された母艦型ネウロイが出てきたところに、補給を済ませたウィッチたちが砲兵たちの陣地の傍を抜けて飛んでゆく。

 

「ウィッチの嬢ちゃんがあいつをやれるように準備しろ!」

 

 砲兵たちは熱くなった砲口にスピンドル油を注ぎ、砲身を冷やしながら発射弾数を数える。

 ある砲では6発撃てるところを、装填が良かったのか7発撃っていた。

 視界も霞むような硝煙とスピンドル油が砲身で()ける匂いが砲座に漂う中で砲弾を再び装填すると、男たちは射撃の準備をする。

 すべては年端も行かぬ少女たちが迫り来る怪物を打ち砕けるように。

 大人の軍人たちが拓いた花道を彼女たちは行く。

 

 

____

 

 

 

 

 砲撃支援が行われるとなり、後退指示が下った502JFWは前線飛行場から6㎞の林野に降り立った。

 枝葉で擬装が施された整備部隊のトラックにはユニットと装填済みの機関銃、そしてロケット弾が搭載されていた。

 次々と大地へと降りてくる隊員の下にサーシャは駆け寄った。

 

「皆さん、ケガはありませんか!」

「サーシャさん、ワタシ達は大丈夫です」

「ごめんなさいサーシャさん、フリーガーハマーを投棄しました」

「無事なら良いんです……武器ならここにあります」

 

 ニパ、ロスマンとも所々汚れているものの外傷もなくユニットも問題があるように見えない。

 StG44はカールスラント陸軍のもので撤退戦などの結果から、、大抵は戦闘損耗で片付けられる。

 そこにユニットを整備部隊に預けたクルピンスキー、孝美コンビがやってきた。

 

「サーシャちゃん、僕にもねぎらいが欲しいなあ……ダメ?」

 

 サーシャは整備部隊員によって給油されているBf109を見てほっと一息。

 

「クルピンスキー中尉もユニットを壊していない!これなら次もお願いしますね」

「そう言われちゃあ次も頑張っちゃおうかなー」

「すぐ調子に乗るのは悪い癖ね」

「先生は手厳しいなあ、そう思わないかいニパ君」

「いや、中尉が色気を出そうとするときはユニットが……」

 

 わざとらしいクルピンスキーの様子を見たロスマンがツッコミを入れる。

 船団護衛の出撃にしろ、数々の度胸試しや賭け事にしろクルピンスキーは余裕そうに振る舞うときにユニットが壊れ、あるいは燃える。

 ニパもブレイクウィッチーズとして共に戦う内にだんだんとパターンを掴んできたのだ。

 孝美はトラックから九九式に代わりいつものゾロターンS-18 対物ライフルを持ってやって来た。

 装弾数は10発で、予備弾40発の入った雑嚢改め砲弾バッグを2つ左右にたすき掛けしている。

 銃だけで重量は45㎏近くあり、20㎜弾も重く魔法力による重量軽減ができるウィッチだからこその装備だ。

 

「サーシャさん、次は対物ライフルでいいんですよね」

「はい、母艦級ネウロイ……“六角柱”を撃破することが優先されます」

「ワタシ達はアレに突っ込んでいけばいいんですか?」

「そうです、“六角柱”を撃破できればおそらく今晩の襲撃は止まるでしょう」

 

 サーシャがそこまで言った時、衛生兵の後退を支援していた下原とジョゼがようやく降りてきた。

 戦闘救難を行ったため弾が切れ、手にはオラーシャ歩兵から借りたPPSh41機関短銃を持ち、ジョゼに至っては集束手榴弾を持っていた。

 手榴弾は“弾薬”だからよいとして、オラーシャ軍の装備である“機関短銃”はまずい。

 

「すみません、遅れました!」

「下原さん、ジョゼさん!その銃は……」

 

 サーシャの顔色が変わったことに気づいたジョゼが言いづらそうに入手経路を言う。

 

「ああっサーシャさん、……私達がウィッチだってことで歩兵のお兄さんが貸してくれたんです」

「ジョゼさん、どこの部隊ですか!」

「どこだったっけ定ちゃん!あのトラックに乗ってた……」

「えっと第16自動車化狙撃兵連隊です」

 

 ラルやブダノワという破天荒な人物が多く忘れられがちだが、基本、軍隊において兵士の体の一部と言ってもいい武器の紛失や許可なき譲渡は()()である。

 気を効かせて“戦闘損耗”という事でうやむやになればいいが、ときどき男性兵士がウィッチに武器を貸して、忘れた頃に所属部隊から返還要求が来るという事態が発生する。

 この手続きがとても面倒であり、借りたまま返さないといういわゆる“借りパク”という状態になると下手をすれば憲兵が“窃盗”として介入してくる事態になり上官は責任を取らされる。

 規律の緩いアフリカや、後退に後退を重ねて装備の放棄も珍しくない撤退戦の最中とは違うのだ。

 

「連隊との調整は後で私がします、今は母艦型を撃破することだけ考えてください」

「了解」

「あと、トラックに加給食(かきゅうしょく)のチョコレートがあります」

 

 サーシャは連日の哨戒飛行や戦闘で消耗した魔法力とエネルギーを回復するために加給食を申請していたのだが、突然の奇襲に本来予定していた開封日を前倒しにしたのだ。

 チョコレート、この単語に先ほどまでの申し訳なさそうな様子は鳴りを潜めジョゼのテンションが上がって来た。

 

「チョコレート!やったね定ちゃん!早く行こう!」

「そうね、もう、ジョゼってばはしゃいじゃって」

 

 おそらく奪還されたばかりのベルギカかあるいはリベリオン製のものだろうが、疲れた所に普段食べることのできない甘味というのは最大の娯楽であり、食事に幸せを感じるジョゼ以外の者でさえ大いに喜んだ。

 

 後に喪失扱いとなり員数外の装備となる借り物のPPSh41はトラックに収納され、下原とジョゼは予備銃を手に取った。

 どうやら、砲撃が始まったらしく雷鳴のような音が黒々とした木々の向こうから響いてくる。

 加給食の木箱の中に入っていたのはリベリオン製のチョコレートで、502の隊員がチョコを口に含み魔法力の回復に努めている横で整備班長が給油を急かし、若手の整備士たちが200リットルドラム缶に手回し式ロータリーポンプを取り付けてハンドルを必死に回していた。

 1回転で約1リットルを吐出するこのポンプは電気も圧縮空気も要らないことから前線で多用され、燃料を多く必要とするストライカーユニットや戦車への給油に使われている。

 

 給油が終わればウィッチは空へと上がり、砲撃終了と同時に間髪を入れずに攻勢に転じるのだ。

 全員の魔法力と燃料の回復が終わった時、砲撃ももう終わりに近づいていた。

 

「502全機発進!」

 

 サーシャの号令と共にくさび形編隊を組んで502のウィッチは“六角柱”へと突撃していった。

 




夜襲は次で終わります

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