初日だけで長くなったんで分割しました。
京都東インターから国道161号線、通称:
右手に琵琶の湖を眺め、左手には比叡山が聳え立ち、JR湖西線と並走するように北へと向かう。
湖西道路の高架部分を抜けると高島市に入って村の中を通る生活道路に合流し、道の駅あどがわの前を抜けてゆく。
近江今津駅前に続く道路に入り、そこから業務車は山手へと走る。
青々とした田畑の中を20~30匹の猿が走ってゆく風景が見られ、都会出身者に対して熊出没注意の看板とともに大自然の中に居ることを実感させて来る。
「管野さん!サルの群れがいますよ!」
「いっぱいいるなオイ」
「あいつら、糧食狙ってくるから気をつけろよ、もうそろそろ営門だな」
カーブのある長い坂道を登って行き、道の突き当たりに営門があった。
左手側には白い警衛所が置かれ、正門歩哨の隊員が車に駆け寄って来た。
「お疲れ様です、許可証拝見させてください」
「お疲れ様です」
広報官の運航命令を確認した隊員はX型の車止めをカラカラと動かして道を開ける。
営門を抜ける際に同乗の3人はついつい背筋を伸ばし、姿勢を正す敬礼をしていた。
営門通過中はトラックなどの荷台座乗中でも“気を付け”が掛かるため条件反射である。
これは警衛勤務者に対する敬意を表するためとも、武道場や寺社に入る前の一礼の名残とも言われているがどの説が正しいのかは不明である。
業務車を厚生センター前の路上に置くと更衣のため、この訓練期間中に寝泊まりすることになる外来宿舎に向かった。
駐屯地に設けられた外来宿舎はとても古い平屋建ての木造小屋であり、外来部隊や新隊員、体験入隊の隊員が生活する宿舎である。
直枝、ひかりの部屋と尚樹の部屋に分けられており企業などの体験入隊や新隊員と違い少人数である事から、15人部屋を一人か二人で使うためとても広く感じた。
緑の毛布が張られたレンジャーベッド上に置かれていた迷彩作業服に袖を通し、半長靴を履き、作業帽を被る。
ひかり、直枝には女性自衛官用の迷彩作業服2着づつ貸与された。
当初、過去の日本に酷似した諸外国の軍人であることを一般隊員に示すために、直枝とひかりに扶桑海軍の制服(ウィッチ用)を着てもらってはどうかという議論になった。
そこで実際に着用して確認したところ、事情をあまり知らされていない一部の有識者からは「
これはひざ上まで履く形状のストライカーユニット運用における結果であり、
ウィッチ用軍服に官給品ジャージの下を貸与するという案もあったが、真夏に冬服のようなものを着せるというのも酷だという事もあり結局迷彩作業服に決まったのだ。
入隊式直後の新隊員のような服装となった三人は第3戦車大隊の隊舎の一室に案内された。
ザッと室内を見回すと教場となった部屋の片隅には段ボール箱が置かれ、緑色の武器毛布が入っているようだ。
小銃こそ置かれていないがこの部屋で武器教練が行われるのだろうと思う。
「おつかれさまです、助教となった北村三曹です……えっ、尚やん?」
そして入って来た隊員たちに尚樹は驚く。なんと教官はかつての同期であり、戦車陸曹となっていた。
それは北村三曹も同じであり、事前の説明ではネウロイを撃滅した少女二人とその随行者に89式小銃の分解結合をおおむね習得させるようにとしか聞いていなかったのだ。
「マサやん……じゃなくて、北村三曹、よろしくお願いします!」
尚樹は二士時代の愛称で呼びそうになり、すぐさま被教育者の態度に変える。
「ええっと、1人は知ってるとして、とにかく自己紹介からしましょうか」
黒縁メガネをかけた北村三曹、襟に桜花章が輝く刈り上げ頭の大男、尚樹、ひかり、直枝の順に自己紹介が始まった。
「私は
「僕は
「饗庭士長は去年入隊の地元民なんでこの辺のことよう知ってるわ」
刈り上げの大男こと饗庭士長は一般曹候補生であり、4月に昇任したばかりだという。
優秀であり1選抜で陸曹教育隊に行くため、教育前教育を兼ねてひかり達の班付指導に充てられたようだ。
「次は、はい」
アイコンタクトで促された尚樹は椅子からすくっと立ち上がる。
「武内尚樹です、現在はシゲマツ自動車で整備職をしています。結構忘れていることもあるんでボチボチ思い出せるよう頑張ります」
「武内さん……尚やんはこの部隊の出身で俺の同期やから、基本中のキは知ってるよな」
一般の人に教えるものだと思って身構えていた饗庭士長の緊張をほぐすように北村三曹は話をする。
まったく知識のない人が銃を取り扱う際には弾が入っていなくとも注意が必要であり、不意に銃口を向けたり部品を脱落させたりと至る所に危険が潜んでいるからだ。
「はい、次」
「私は雁淵ひかりです、出身は扶桑皇国の佐世保で、航空学校からペテルブルグの502統合戦闘航空団に着隊して軍曹になりました。えーっと、得意なことは料理と駆けっこです!」
饗庭士長はどういう経緯で軍曹になったのかよくわからなかったので質問をしてみる。
「雁淵さんは、飛行学校からいきなり部隊配属で陸曹……じゃなくて軍曹なの?」
「はい、ウィッチの最低階級は軍曹からなんです」
「空飛べるから航空学生みたいなものやね、課程終了後に昇任するやつ」
「どうして尚やんの家に?」
「雲の中を飛んでいたら、いつの間にかこっちに居たんです。不思議ですよね」
尚樹との出会いについて説明を続けると長くなりそうなので、ひかりは切り上げる。
助教の二人も時間を取り過ぎるのもマズイと感じたので最後の1人に振った。
「最後」
「俺は管野直枝、階級は中尉、原隊は扶桑海軍の343空で、今は多国籍部隊の502に所属してる。得意なことはこの拳でネウロイをぶっ飛ばすことだ」
「拳?」
「俺の固有魔法だ。拳に魔法を纏わせてぶん殴るんだよ。デカブツ相手にゃ特に効くんだ」
「魔法が使えるんや、すげー!今ってできますか?」
饗庭士長は“魔法”というフィクションでしか聞かない言葉にテンションが上がった。
「出来ねえことはないけど、ここはエーテルが少ねえから無駄撃ちは出来ねえ」
「エーテルとか、マジであるんだ!雁淵さんはどんなん出来るの?」
「私は手足に集中させて壁に上ったり、水の上を渡れます!」
「やっぱ、剣とか使ってる人いるんですか?」
「扶桑のウィッチで刀使ってるのが居るとは聞くけど俺らの部隊には居ねえよ」
自衛隊にはいわゆるアニメ・ゲームオタクがそれなりにいる。
饗庭士長もその例に漏れずオタク自衛官だったため、二人のリアル魔法少女の実在に鼻息が荒くなっている。
直枝は「コイツめんどくせえな」と思いつつも答え、ひかりは接触魔眼については不用意に開示せずにできるだけ伏せておこうと考え、ロスマン先生との特訓や自主トレの内容を告げる。
「剣と魔法の異世界っすよ班長!」
「尚やん、マジもんの異世界人どうやって拾ったんや」
「庭に落ちてきたんだよ」
あくまで魔法とかそっちのワードでの興奮に尚樹と北村三曹は苦笑いを浮かべる。
これがJKハアハアとかヤバそうな性癖の物だったら大至急話を遮っていたところだ。
自己紹介と世界間の常識のすり合わせを兼ねた雑談を適当なところで打ち切り、座学を始める。
日本における銃刀法と武器の使用基準、自衛隊と物品亡失事案における影響、小銃の性能諸元についてだ。
内容のほとんどは尚樹が常日頃から二人に言い聞かせていたことであり、実例の一部に尚樹たちが新隊員だった頃の鉄帽アゴ紐止めネジ脱落事件が挙げられた。
鉄帽のアゴ紐を止めるマイナスネジを戦車パークで落として、炎天下の中捜索した件だ。
話していた北村三曹と尚樹は遠い目をして、舗装されている戦車パークの方角を見る。
窓からは青い給水塔とプレハブの新隊員教育隊の班長室、そしてエンジン音を響かせ、カクカクと曲がっていく74式戦車が見えた。
ネジは舗装されていない新パークに落ちており、雨と戦車の作った深い轍の中にあったのだ。
舗装されているパークから順に捜索しはじめ、38トンの車体で練られた泥と、深い轍、そこに溜まる泥水の中から灰色に塗色されたネジを拾い上げた。
背中は日射に灼けて白く潮を噴き、装甲服の至る所に泥が散って半長靴は輝きを失っていた。
落としたものが銃とは無関係のネジ1つとってもこうなるのだ。
ひかりや直枝にとって89式5.56㎜小銃の諸元なんか頭に残らず、新兵時代の尚樹たちの思い出話ばかりが頭に残ることとなった。
座学が終わると休憩を挟み、テーブルの上には武器毛布が敷かれる。
樹脂と金属で出来たその銃は人を容易に殺傷できる威力を持った小銃弾を発射できる。
そのため取り扱いには細心の注意が払われ、銃口の向きの統制や離席時に奪われないように武器監視要員を部屋に残すことなどの説明が行われ、実技に入る。
北村三曹を引率者として、5人は武器庫に向かう。
「左、左、左、右」
歩調を取りつつ武器庫に向かうと、武器庫前には仕事の途中であろう他の隊員たちがいた。
尚樹にとって見知った顔とそうでない者が半々くらいだ。
見物人の中にかつて本部管理中隊に居た陸曹がいた。
中隊こそ違えど、警衛勤務や消防勤務、行事などで尚樹はよくお世話になっていたので覚えていた。
被教育者として引率されている者が勝手に話しかけるわけにもいかず、尚樹は目礼にとどめた。
「おう、タケやないけ、久しぶりやな。かわいい子連れてきてからに」
「
「ワシ一曹になったわ。今2中の補給陸曹やっとるねん」
「玉野一曹は?」
「タマちゃんはお前らが辞めてから、秋くらいに退官やな。安曇川で農家やってる」
「農家ですか」
「そうや、年末行事の時に近江米の差し入れに来てくれてなあ」
退官された玉野一曹との思い出話に入りそうになったところで北村三曹が止めに入る。
「本城二曹、教練中ですんで」
「せやな、ほんなら教練頑張ってな。後ろのお嬢ちゃんたちも」
「はい!」
「おう」
半開きにされた緑色の重厚な引き戸の中から武器係が現れ、準備ができたことを告げる。
「搬出物品、89式小銃6!同弾倉!」
「搬出物品、89式小銃6!同弾倉!」
「銃、搬出!」
「銃、搬出!」
北村三曹の申告に武器係が復唱し、銃搬出の号令の後に6人は武器庫に入った。
そこには武器陸曹がおり、鍵のかかった銃架から一人一丁小銃を手渡す。
ひかりと直枝は基本形である固定式銃床の物を使い、尚樹に割り当てられたのは折り曲げ式の物だ。
「銃!」
「銃!」
胸の前に突き出された小銃を受け取り、武器係から弾倉を受け取って武器庫を出た。
固定銃床は3TK-HSと書いており、本管中隊から借りて来たもののようだ。
尚樹の銃の銃床には3TK-2Co40と3戦車2中隊、40番の通し番号が振られている。
「尚やん、余り銃だからしっかり整備したってな」
部隊に配属されると一人一丁管理の銃が与えられるのだが中隊員より銃の数が多いため、余り銃が出るのだ。
こうした余り銃は予備や、予備自衛官や新隊員の教育隊などへの貸与銃として使われるのである。
全員が銃を受け取ると、前を歩く人の踵に銃口が向かないよう左下に向ける__いわゆるローレディポジションを取って教場まで戻る。
直枝は銃口管理の喧しさに扶桑人の神経質を思い出し、世界が変わってもこの島国の人間の本質は変わらないのかと思った。
ひかりはというと航空学校の射撃教練が頭に浮かんだ。
しかし銃口の向きが下という事に疑問を持った、暴発した際に地面に弾が当たり跳弾で周囲の者の下肢を傷つけかねないと思ったのだ。
「質問いいですか?」
「どうぞ」
「どうして、銃口を下に向けるんですか?弾が跳ねて危ないって聞きました!」
見た目は女子中学生だが、れっきとした軍人である少女の質問に北村三曹は詰まった。
饗庭士長も同様で、まさかそういう質問が来るとは思っても居なかったのだ。
「……えっと、北村班長」
「……俺らの前期教育隊は銃口上やったなあ、何で変わったんやったっけ。尚やん覚えてる?」
「上方向だと、速い弾がどっかに降ったらマズイからって聞いたような、下方向だとエネルギーが減るからじゃないですか?」
陸上自衛隊も銃口を左上方に向けた控え銃のようなハイレディポジションだったが2015年頃、どうしてかローレディポジションを取るように通達があり教育指導もそれに準じたものへと変わっていったのだ。
この移動および待機姿勢には賛否両論あり、理由もはっきりわからないため部隊においては通達内容を指導するうえで“それらしい理由”が考えられ伝えられている。
上方に発射された弾が高速で飛び敷地外に落下した場合、自衛隊施設内の暴発事故で済まない重大な事案になるからという説があり、尚樹たちは“敷地外弾着防止説”で指導を受けていた。
ひかりの疑問に、饗庭士長は魔法が存在する国の軍隊がどういったものか興味を持って質問した。
「お二人はどう教わってたんですか」
「俺たちは“移動時の銃口は控え銃に準ずる”だ。機関銃持ってる航空歩兵は例外も多いけどな」
「えっと、持つのが難しい場合下向きで良いんでしたよね」
ひかりはうろ覚えの軍機を思い出す、地面を歩く男の軍人たちは守っているがウィッチのほとんどが例外扱いとなる。
重機関銃であったり、対物狙撃銃といったものを装備している彼女たちにも適用されるが、飛行姿勢において維持するのは現実的でないという事であり、式典に参加するとき以外は例外で許可という形が採られていた。
「俺たちはユニット脱いで徒歩で行進する事なんてほぼねえから、ずっと“飛行姿勢”って扱いだな」
軍人であるために基本教練を簡略化し、手直しする程度で大丈夫ではないかといった楽観的な見方がくずれた瞬間でもあった。
執銃時の動作、安全管理、基本教練がまるきり異なると考えるべきだったのだ。
そんな衝撃を受けた状態で、小銃の普通分解と結合についての教育が始まった。
「武器毛布の上に脚を立てて銃を置いてください。銃口は左」
89式の分解結合についての教育はアッという間に終わった。
89式小銃は構成部品がとても少なく、普通分解であれば4分以内に終わる。
新隊員教育でも64式小銃は結構時間がかかったが、89式小銃は教育時間2時間、分解のための準備時間を考えると実質1時間くらいで終わりだ。
それくらい単純、あっという間で64式小銃に比べてあまり印象に残らない。
ひかりと直枝にとっては初めての銃だったが、1930年代の設計である九九式二号二型改機関銃に比べて軽くて簡単だという印象を持った。
89式小銃は大きく分けて銃身部、銃尾機関部、引き金室部、銃床部の4つの部位で構成されている。
名の通り銃身と発射ガス動力をボルトに伝える
引き金室部は握把と引き金の他に撃鉄バネやら制限点射機構といった引き金に関する機構が組み込まれており、銃床部は肩につける部位で、固定式と折り曲げ式のものがある。
機関部や引き金室部の分解動作は割愛するが、分解と結合を4周ほどすると完全に習得していた。
ただ、ノーミスとはいかず分解中に一度だけ部品を飛ばしてしまう。
「飛ばしちゃいましたー!」
「ひかりテメエ!」
「どっち方向に飛んだ?」
「よっしゃ!見つけた」
「尚樹さんはやーい!」
銃左側の切り替え金を固定するダルマピン、それに嵌っているRのような形のクリップをマイナスドライバー押して外すときに、勢い余って飛ばして部屋中を捜索することになった。
さんざ物品亡失の事案を聞いていた直枝の脳裏に青筋を立てたポクルイーシキン大尉が浮かぶ。
「管野さん、ひかりさん、部品を落とすという事はその銃が使えなくなるという事です……見つかるまで捜索!」
なんと恐ろしいことを。
幻聴だろうか、直枝は一瞬青くなる。間違っても自衛隊の物品管理について教えてはならない。
そんな直枝をよそに北村三曹が飛んだ方向を尋ね、金属音とひかりの声に反応した尚樹が瞬間的に這いつくばり、壁際に近づく。
これらは自分たちがかつて通った道であり、武器整備あるあるなので体が覚えているのだ。
「ホントは落とした部品×10回で反省やけど、説明不足やったのもあるし次から気をつけてな」
尚樹たち新隊員であれば腕立て伏せを1つの部品に対し10回という“反省”があったが、ひかりは初回であったため腕立て伏せは免除であった。
もし自衛隊の反省システムが502に輸入されたとしたら、腕立て400回、V字腹筋200回などの狂気の沙汰とも思える大反省会がハンガーで週何日のペースで行われるのである。
そしておとずれる筋肉痛はジョゼの治癒魔法で回復させられる。
負荷→休養日→負荷と一昔前に流行った超回復理論に当てはめると、休養と魔法の併用により回復期間が短縮され、そのスパンと飛行が合えばブレイクウィッチーズは筋骨隆々のマッシブウィッチーズに変わるだろう。
直枝とひかりはサーシャが容赦なく腕立て伏せを命じてくる様子がありありと浮かんできた。
「このことはサーシャには言うなよ、伯爵はどうでもいいけど、ニパが死んじまう」
「そうですね、ニパさんが……」
出撃でなくともユニットが壊れ、何かが起こるニパが過労で倒れかねないと二人は思った。
「おっ、もうこんな時間か。そろそろ飯だな」
「班長、武器返納しますか?」
「そうやな、じゃあ武器返納したら食堂に行こうか」
分解結合に邪魔だと取り外していた三点式負い紐を小銃に付け、武器毛布を畳む。
この三点式負い紐が曲者であり、64式小銃などで使われていた単純な二点式スリングと違い、取り外しできるバックルや縫製してあるものを噛ませて折り返したもので構造に熟知していないと綺麗に張れずに弛むのだ。
サバイバルゲーム用グッズでは“タクティカルスリング”と言う名称で販売されており、肩から掛けたまま射撃姿勢に移れるというのが特徴である。
射撃検定などでは負い紐を外していることも多く、武装障害走、演習などでも普通の二点式負い紐同様に弛ませて使用していることが多いためバックルを外して射撃姿勢に移行という機能を使った試しがないのである。
ひかりたちは三点式スリング特有の樹脂製のサイドリリースバックルと紐の関係に悩みながらピンと張る。
一方、折り曲げ銃床の尚樹には銃床を折り曲げて張った状態のまま負い紐を外し、また同じように銃床を伸ばして張るという卑怯臭い方法が存在した。
しかし、その手はみんな知っていることであり尚樹も結局緩めて取ることになったため、張るのに苦戦する。
「一番上と下は張れんのに、真ん中だけが垂れてくるってどうなってんだこれ」
「管野さん、私は下がダメでした」
「まったくやり方思い出せねえ、どこ引っ張るんやったっけ」
3点式負い紐は紐の折り返しで弛みが出て、弛みがあると立て掛け銃架に引っかかるし、やり直しがかかることから、一部隊員からは嫌われているのだ。
なんとか負い紐を張り、武器庫に返納したころには11時58分であり食事ラッパが鳴ろうかとしていた。
滋賀地本ェ……どうせなら戦闘服姿のウィッチが見てみたかった
艦艇によくいるイメージの宮藤さんが海、劇場版の静香ちゃん空、持続走クッソ強そうなひかりちゃん陸で