しっかりした妹さん(仮)   作:苦土重焼燐

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第2話

「なんでですか?」

 

 

「な、なんでですか? って、そりゃ朝っぱらから、こんな状況になる兄妹なんておかしいからだろ」

 

 

 

「そもそも、起きない兄さんに非はありませんか? あっ、寝た振りしてた兄さんでしたね、失礼。このまま間違って何かに触れてしまっても、仕方無いよね、仕方無いんですよね、仕方無いよ」

 

 

 

「三段論法!? すいませんです、すいま

すいませんでした! すげぇのすげぇです!! 全面的に俺が情熱的に考えても、常識的に考えても悪かったです! マジJK!! 掌をわきわきさせるのだけは勘弁してください!!」

 

 

 

やばい、このままだとどっかの兄と妹になってしまう。それだけは、なんとしてでも避けないといかん、見たことはないがオマージュみたいになって、『それある!』的な流れはいかんともしがたい。

 

どうでもいいけど、可愛いよね。あの人。

 

 

 

「次、私を欺いたら禁じられたルート行きですからね、強制的に。世間から後ろ指差される兄さんも面白そうですから」

 

 

 

「アッハイ、いえ、うん、大丈夫です(困惑)」

 

 

 

美少女が微笑を浮かべてはいるが、その瞳には光がない。おかしい、この上なく妹は光ってるんだが、光ってない。

思わず、否定し肯定し且つ曖昧語を放ってしまった。

 

兄弟・姉妹、ようは肉親はDNA的な段階から嫌うように設定されているらしいし、良くある話だが、『お父さんの洗濯物と一緒にしないで!』と言う、娘の何気無い一言が全国のお父さんを傷付けていたとしても、仕方の無いことであり、覆せない事柄の一つ。

しょうがないよね、禁断の道に踏み込まないように染色体の段階から、そうなる運命なのだから。

 

 

でも、お父さんと近い匂いの人をすきになるらしいので、全国のお父さん達は安心感と覚悟を持ってください。

 

 

 

「あっ、兄さん。今日、危険日だったんで首の皮一枚残りましたね」

 

 

 

俺が本当かどうか怪しい情報を拡散していると、ドアまで歩いて出るすんでのところで妹は振り返り、ニコッと効果音が出そうなくらい、可愛く微笑んだ。

 

 

 

「そうだな、有難う」

 

 

 

俺も満面の笑みで返してあげといた、いつもギリギリで生かしてくれて、本当に有難うと。せめて、もう少しお兄ちゃんに優しくしてくれると、心身ともに健康でいられるんだが、それは流石に察してしまいそうだから、心の引き出しにしまっておいた。

 

 

 

ベットから起き上がり、制服に着替えている途中友達が引き出しから顔を覗かせる。

 

 

ワレ イツウ コンゴトモヨロシク

 

 

キリキリとした痛みが俺を襲い、駐在している胃から、そんな言葉が届いた様な気がした。

 

 

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

 

 

自分の部屋を出た俺は、そのまま洗面所に向かい歯を磨き、所々寝癖が付いている髪をとかす。

磨き終わる頃には髪も整い、今から漂ってくる朝餉の臭いが鼻孔を擽り、それに反応したのか、お腹の音がやんわりと鳴る。

 

ぐぅ……キリキリ……ぐぅ……キリキリ……、とお腹と胃が交互にたちまちタッグマッチ、何か取り憑いた様に二重奏を奏でている。私、困っております。

 

原因と言えば、アイツ(妹)です。憎いあん畜生です。今なら、アイツの名前を明かせそうです。

 

渡辺 美月(わたなべ みづき)、俺の一個下で高校一年生。所謂、JKだと思われます。

 

良く色んな人から『似てないね』とか『良いとこ全部取られたね』とか『誘拐は犯罪何だから、悪いお兄さんはしまっちゃおうねー』とか言われる。

 

 

悔しいです!!

 

 

私は悔しい!!

 

 

何処でこんなに差がついてしまったのか、お兄さんにはわかりません!

 

土砂降りの雨の中へtouchdownしたいくらい、悲しくて悲しくて震えてしまいます。

 

 

渡辺家の出涸らしこと、渡辺 サトシです。

 

 

俺が生まれた頃、ポケモソが流行ったらしいです。両親から聞いたけど、だからどうしたって感じです。

 

ピカチ○ウかラ○チュウ、どっちが好きかと問われたら迷わず、モッチーと答えるくらいサトシっぽいです。

 

 

 

あ、俺の話はどうでもいいですか、そうですか解りました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

実は、サトシではなく久(ヒサシ)です。本当に有難う御座いました。

 

 

 

 

下らない問答を、一方的に何処かで見ている誰かに押し付けた所で、居間へと入室する。

 

部屋に入ると、可愛らしい妹が可愛らしいエプロンを着用し、テーブルに朝御飯を並べている最中で、俺に気付くと可愛らしい笑みを浮かべた。

 

 

 

「やっときたんですね、後二分遅く来ていたらエプロンのみで兄さんの部屋に行こうとしたんですよ」

 

 

 

「そ、それはギリギリセーフだな。危ない危ない……」

 

 

 

「残念でしたね」

 

 

 

「うん、君がね……」

 

 

 

立ち振舞いは、何処へ嫁に出しても恥ずかしくないくらい満点なのに、こいつの発言で何もかもが台無しになってしまった。

 

 

 

 

お兄ちゃんは心配です、君と主に俺の人生が。

 

 

 

 

「さ、食べましょう」

 

 

 

「お、おう」

 

 

 

何事もなかったかのように席へ座る妹だが、中々あんな発言しといて澄ました顔でいれる秘訣を是非教えて戴きたい。

 

いややっぱ、ろくなことにならないだろうからいいや。

 

 

俺も席に座ろう……。

 

 

 

「白いご飯に焼き鮭、焼き海苔と味噌汁+お新香か。日本の朝が来ているな」

 

 

「本当だったら、鰻だとか山芋にレバーだとかアカマムシを出したいんですけどね、朝からはちょっとあれかなと、思いまして」

 

 

「ちょっと? だいぶあれだとは思うぞ」

 

 

「流石に、朝から夜まで逝きっぱなしというのも魅力的ですが、まだ長時間耐性はないので……」

 

 

 

「味噌汁うまー!」

 

 

 

 

朝から執拗に、精神をガリガリ削って来られるのも俺としては、非常にうまる。いや困る。

 

 

 

「私の味噌なんですから、当然です」

 

 

 

「ふぁっ」

 

 

 

俺は思わず、箸を落とす。

 

 

 

い、今、ななななんんて?

 

 

私の味噌? 私のヒ素?

 

脳味噌ってことなの? アソパソマソ的な事?

 

 

 

「冗談です」

 

 

 

「あのねぇ……」

 

 

 

こいつが言うと本気に聞こえるし、私の味噌ってすっげぇ気になる。

 

 

 

俺の塩、みたいに、私の味噌って出てきそうだが。

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