(完結)鉄血の子リィン・オズボーン   作:ライアン

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ここからは季節が一気に飛んだダイジェストになったりするかと思いますが
多分そうでもしないと本命に行き着くまでに燃え尽きるためご了承下さい。


鉄血の子と中間試験

あの後一部始終を見ていたのだろう、タイミングを見計らったように現れたサラより改めて参加の意志を問われた5人は、喜んで協力を申し出たリィンとトワ、ARCUSの技術に興味を示したジョルジュ、面白がったアンゼリカ、単位に釣られたクロウと各々理由は異なれど結果的に5人全員が参加を表明したのであった。

 

そうして定期的に武術教官であるサラ・バレスタインと模擬戦闘も含めた実戦形式の演習及び旧校舎にて発生した異変の調査などで行動を共にするようになった5人は何時しか自然と行動を共にするようになり、学院内でも度々話題の種となるのであった。そうしてあの旧校舎での一ヶ月が経ち、学生であるのなら誰もが避けては通れぬイベントがやってくる、そう、中間試験である。

 

「以前から思っていたがクロウ、お前は授業こそサボっているものの成績自体はそう悪くないな」

 

何時かした約束通りに首席の座の獲得に意志を燃やす次席入学者が目の前の悪友の勉強を見ながらそう呟く

 

「ふふん、わかるか。そうさ、俺はやれば出来る男なのだ!」

 

そんな風に得意気にハインリッヒ教頭に悪い影響を受けなければ良いのだが……などと心配させている張本人がドヤ顔で告げる

 

「阿呆、やれば出来るのにできていないという事はつまり普段やっていないという事ではないか。全くもって自慢にならんぞ。出来ないのならばそれは致し方ないが、出来るのにしないのは単なるやる気の欠如だ」

 

「へいへい、わかっているよ。誰かさん達がうるさいから最近はそこまでサボってもねぇだろ?」

 

トワとリィン、二人の優等生コンビとすっかり交友を持つようになり挟み撃ちとなったクロウは妥協。サボりが以前に比べて半分程度になる快挙を成し遂げていた。

 

「威張ることか、そもそもサボらなくて当然なんだからな」

 

ため息をつきながらリィンが本当にしょうがない奴だとでも言いた気に目の前の悪友を見つめる

 

「全くだ。猛省したまえ、クロウ!」

 

「アンも人の事は言えないでしょ……」

 

自分の事を棚に上げてクロウをからかうアンゼリカに対して今度はジョルジュがため息をつく

 

「前から思っていたけどアンちゃんもクロウ君も授業をサボってどこで何しているの?」

 

学校をサボるという選択肢などリィン同様に思い浮かんだ事さえない首席入学たる優等生がそう問いかけると

 

「ふふふ、迷子の子猫ちゃんを家までエスコートしているのさ」

 

「夢を……買いに行っているのさ……」

 

「つまりはナンパとギャンブルだね、全くもう二人ともハインリッヒ教頭にバレでもしたらタダじゃすまないよ」

 

抽象的な内容にきょとんとするトワに対して二人の行動パターンから察したジョルジュがそう意訳して

 

「ふふふ、心配せずとも教頭殿にバレるようなへまはしないさ」

 

「ああ、俺もゼリカもそんなマヌケじゃねぇからな」

 

出会い方が違えば剣呑な事にもなったであろうクロウとアンゼリカは問題児同士気が合うのだろう。二人して笑いながらそんな事を告げていた

 

「やれやれ、時折俺は何故お前達と友人をやれているのだろうと思うよ」

 

口ではそんな事を言ってはいるが本心からそう思っているわけではないのだろう、その証拠にリィンの口元は確かに緩んでいた

 

「は、そりゃこっちの台詞だ。お前みたいな真面目ちゃんとこうしてつるむようになるなんて思っちゃいなかったぜ」

 

「ああ、そりゃそうだろうね。君たち二人の喧嘩は今でも学院中の語り草だもの、その後こうしてすっかり仲良くなったのも含めて」

 

なお、あのド派手な喧嘩の後にすっかり親友同士と呼んで遜色の無い関係となったリィンとクロウの二人を見てドロテという平民生徒の中の目覚めてはいけない何かが目覚めたようだがそれは全くの余談である。

 

「ははは、私も正直オズボーン閣下のご子息様とこうして友人になるとは入学する前は思っていなかったよ」

 

「私も初めてリィン君の家名を聞いた時はびっくりしちゃったなぁ」

 

入学式の日の事を思い出しているのだろう懐かしそうにアンゼリカとトワがそう口にして

 

「ククク、お前も将来はあんなごっついおっさんになったりするのかもな」

 

どこかからかうような口調でクロウが口にする。それは怨敵を思い浮かべるようなものではなく、単に友人の父親に対する穏やかなもので……

 

「おお、そこにいるのは我が宿命のライバルたるリィン・オズボーンではないか」

 

「ご談笑中失礼します皆様」

 

5人がそうして話しているとえらく仰々しい芝居がかった様子でリィンとアンゼリカと同じⅠ組の人間であるヴィンセント・フロラルドがメイドであるサリファを伴い話しかけてきていた。

 

「……フロラルドか、そちらは勉強せずに良いのか」

 

「ふふふ、華麗なる白鳥は水をかくのは水面下で行い、決して周囲にはそうと悟らせぬものさ。我がライバルよ」

 

「……そうか。俺は見ての通り友人達と勉強中だ」

 

だからとっととどっかへ行ってくれ。そう続けそうになる言葉を飲み込みリィンはそう返した。

 

リィン・オズボーンは実技の時間に自分に敗れてから勝手にこちらを「宿命のライバル」と認定して張り合ってくるヴィンセント・フロラルドを苦手に思っていた。あくまで嫌っているのではなく、苦手としているのである。

これでも彼はリィンとトワに次ぐ三位で入学してきており、なおかつフェンシングにしても貴族の嗜みとしてかなりのもので、そういう意味ではトワが実技では中堅の上位なのを考えれば総合力ではあるいはリィンに次ぐ物と言っても過言でも無い学年屈指の実力者なのだ。

加えて真の貴公子たる貴族を自負しているためなのか、リッテンハイムのように殊更平民だからと邪険にあしらったりするわけではなく、むしろ「美しき花に惹かれるのを当然の理。さあ存分にこの私という花を愛でると良い」と言って親切な位でそういう意味ではリィンとしてもある程度の好感を抱いているのだが……

 

「ふふふ、まあ煌く宝石の輝きに磨きぬかれた鋼の輝きが劣るというものでもない、そう卑下する事は無いさ」

 

「……ああ」

 

いや、別に卑下してねぇよそう言いそうになる言葉をリィンはまたも飲み込む。

一人でこうして盛り上がり、やたらと仰々しく気障な様子のヴィンセントを見ているとどうにもそういう気にならないというか、喋っているだけで疲労を催してくるのであった。

 

「ふふ、それではさらばだ。我が宿敵よ、明日は正々堂々と雌雄を決するとしようじゃないか」

 

「それでは皆様、失礼致しました」

 

そうして去っていく二人を見送った後にリィンにどっと疲労が襲ってきた。思わずため息をつくリィンに対して

 

「ハハハハ、だとよヴィンセントの宿命のライバル」

 

「彼はアレで実力は本物だからね、君もうかうかしていられないんじゃないかなフロラルド家嫡男の宿敵君」

 

にやつきながらクロウとアンゼリカはそんな風にからかってきて

 

「頼むから勘弁してくれ……」

 

珍しく本当に疲れたような様子を見せるリィンにトワとジョルジュは苦笑するのであった。

なお、中間試験の結果は入学時と同じくトワが一位、リィンが二位、ヴィンセントが三位という結果となり

宿命のライバル二人はその結果にどちらも悔しさを滲ませるのであった。

 




オズボーン君とトワ会長は実技は圧倒的にオズボーン君が上(ただし試験はあくまで座学なので座学では五分)
軍事学:オズボーン君>トワ会長
芸術:オズボーン君<<トワ会長
政経:オズボーン君=トワ会長
その他:オズボーン君≦トワ会長

位の想定で居ます。
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