自分は何者だか分からなくなるときがある。
少年は目の前に倒れている二人をみる。多分死んでいるのだろう。
その証拠に二人から血溜まりが広がっていた。
「父、、、さん、、、母、、、さん」
倒れていた二人は少年の父、母だった。
その場で立ち尽くし。
少年は思った。自分が殺してしまったのだろうと。
だけども少年は冷静だった。何故なら今の少年は何者か分からなくなっていたから。
そんな少年に駆け寄ってきた。少女が。
少女が言う。
「おとうさん、おかあさんどうしたの?」
少年は答えなかった。だだじーと、両親の死体を見つめていた。
少しして、少年は答えた。
「僕に今までしたことをしただけだよ。」
と。
その少年と少女はその後どうなったのかは、、、
ただ言える事として少年は自分が誰だか分からなかった。
少年は門を通った。
この春から高校生になる少年、時沢 集<ときざわ しゅう>は国立魔法能力育成学園に入学した。その学園は読んで字の如く魔法と能力を育成する機関。
場所は千葉県の国家特殊区域にある人工島。(長崎の出島のデカイ番と考えればわかりやすい。)
生徒は全校で約600人いるらしい。
そして入学式会場に向かった。途中に登りやすそうな木があった。集は立ち止まった。
「柔らかな風、穏やかな光と共に、入学した231名、この国立魔法能力育成学園に入学出来た事を嬉しく思います。
選ばれた231名の中には希望に満ち溢れた者や、少しばかり不安に思う者もいるでしょう。
そんな私たちは、これからこの学園で、[以下略]」
これが今朝俺が聞いた挨拶である。
(キーン)
[あー、1年A組、時沢 集!、今すぐ職員室にこい!]
集に対しての放送が響き渡った。
その声で目を覚ました。
「呼び出しか、身に覚えは無いけどな、」
ハァー、とため息をつき、木の上から降りた。
職員室
「コホン。君が時沢だね?」
そう言ってきたのは容姿は生徒と変わらない女性の先生だった。そして少し怒り気味。
「····そうですが何か?」
「何かじゃない!今までどこに行ってたんだ?」
「どこって、学園です。」
教員は眉間にシワを寄せていた。
集は何かしたか?という表情である。
「そう言う事を聞いている訳じゃない、学園の何処に居たかを聞いているんだ。」
「そりゃまぁ、」
木の上に居た、と言ったら怒られるか?
「はぁ~。じゃあ学園に来てから順に思い出して。」
渋々考えてみる。
「えーと。校門から入って、入学式の会場に向かっげ」
「それで?」
「入学式を、」
先生は、うんうん、と頷いている。
「木の上で聞いてました。」
ちょうど良い木があったもので。
集は中学生時代授業をサボリ木の上で寝てたりしていた為、癖的な本能が働いた。
「やはりか、それで何で参加しなかったんだ?」
理由はあんまりないが適当に、
「何かめんどくさかったんで。後、人が多い所きらいなんですよ。」
先生は"やれやれ"という仕草をした。
「あのね、そういう事は担任に言ってからにしなさい。まぁ今回は入学初日で担任が分からないのもあるけども、」
初日からこんな子が居るとは。と呟いた。
「まぁ今朝の事は置いておくから、」
集はふぅーと胸を撫で下ろす。だが、
「今朝の事はね、」
集は、え?という顔した。
「その顔からすると覚えてないというか、思ってないようね、」
「ええまぁ、」
「今何時?」
「いまですか?」
見たところ、先生らしき人とが弁当を食べている。
「おそらく12時頃かと、」
「うん。その通りだ」
俺には何が言いたいのかサッパリ分からない。
弁当でもパシるのか?
「さて、もう一度質問をするが、君は入学式が終わった後何してたのかな?」
「終わった後は、」
普通生徒は入学式後にもともと掲示板に貼り出されているクラスに行くのだが。
俺は、
「そのまま木の上で寝てました。」
午前中は春の昼寝日和だったから。
先生はため息をつき。
「だと思ったよ。どうりでどこ探してもいないはずだよ。みんな普通はクラスに行くでしょ。なのに君は、」
また、ため息をつき。
「まぁ、明日はクラスに来てもらうからな。今日の午後の事は好きにしてていいぞ特に何もないから。」
先生は少々疲れ気味だった。どんだけ俺を探したんだろう、または単に俺への注意で疲れただけか。
「そうだ、君の担任とクラスだけど、」
すっかり忘れていた。
「1年A組ですね、放送で言ってました。」
先生は、あーそうそうと、手でジェスチャーした。
「そして、担任が私、野々木 美里<ののぎ みさと>で、呼び方は何でもいいや、好きに呼んでくれ。」
「えーと、よろしくお願いします。野木先生。」
野々木は言いづらかったので野木先生と呼ぶことにした。
先生は頷き手で”しっし”とやった。
容姿は生徒と変わらない担任か。そう見える原因は長袖の体操着&ポニーテールだからかな?
俺は職員室を出た。もう昼休み的な時間は終わろうとしていた。
腹がへったなぁー、そう思いながら俺は向かった。木に。
«国立魔法能力学園»とは、文字通り"魔法"と"能力"の学園であり、魔法素質が有る者、能力が備わっている者は義務として入学する。己が自身魔法または能力を向上·維持する事を目標としており、全生徒は魔法使い(ウィザード)か能力者(サイキッカー)に別れる。実際の人数比率は7:3となっている。(実力によって各階級に分けることができる。)
涼しい風、暖かい太陽の光。
弁当を食べ終えた集朝と同じく木の上にいた。
「昼寝日和だな。」
ふぁあー、とアクビをしながら木に寄りかかる。
「寝るかな、」
俺はそっと目を閉じた。
それから数時間後。
辺りは夕焼けになっていた。
「すみませ~ん」
下から声をかけられた気がする。
「あのー、聞こえてますかー?」
どこかで聞いたことがある声だ。
俺は起き上がり下を見た、そこに居たのは背丈は普通の白髪ロングの女子だった。
制服からして一年だろう。容姿はいわゆるボンキュボンだった。
「すみません!降りてきてもらえませんか。」
「ごめん無理」
せっかく寝ていたのに、少し不快の気分だ。
彼女はおどおどしていた、
「あの、私道分からなくて、職員室がどこだかわかりますか?」
「木の上に居る生徒が分かると思う?」
「え!あ、その、」
困りながら頭を抱え込んでしまった。
はぁー。めんどくさいけど俺も鬼じゃないからな、後そこにそういると気まずいし。
「職員室は南校舎の玄関から入って階段を上がって三階の廊下。」
「あ、ありがとうございます!」
ペコリとお辞儀をした。
だが、彼女は動かなかった。
声をかける。
「まだ何かよう?」
「あの、道案内、お願い出来ますか、」
俺も動けと言うのか。集は動きたくなかったが、ほっとくのも可哀想なので。
「はぁー。いいよ、」
彼女はありがとうございます、と言いまたペコリとお辞儀をした。
性格は悪い感じではないと集は思った。木から降りて。
指示を出した。
「じゃあ目を瞑って。」
「え、あ、はい分かりました。」
彼女は[?]となったが目を瞑った。
「いいよ、と言うまだあけるなよ、」
コクリと頷いた。
一見なにをするのかと思うが、集は自分はなるべく動きたく無いため能力を使うことにした。目を瞑らせたのは能力の事をバレないようにするため。
集は彼女の横に立ち目の前にてを掲げた。
すると、集の身長よりも一回り大きい「輪」が現れた。
この輪は簡単に言うと[ワープホール]で物体やその他色々なものを行き来できる。
集は彼女に指示を出す
「目を瞑ったまま前に歩いて。」
彼女を輪に誘導する。
コクリと頷き前に歩いた、
そして輪の中に入って行った。俺も。
輪の先は職員室前に繋がっていた。
指示を出し。
「もう目を開けていいよ、」
そう言われると彼女は目を開けた。
「ん、ここどこ?」
「職員室前」
上の表札に職員室と書いてある。
「でもさっき外にいたはずなのに。」
彼女は不思議そうだった。
後ろを振り返った見た。そこには輪は無く、窓から夕焼け色に染まった空とさっきまでいた木が見えた。
「すごいですね!魔法ですか?」
「ご想像にまかせる」
他人に俺の能力まで教える義理はない。
彼女は目を輝かせていた。
ふと、俺はあることにきずいた。
さっきまで外にいた事。そして今は校舎内。そう靴が下足。
「すまない、靴忘れてた。」
彼女は本当だと言い、笑った。
「取ってくるから名前と組を教えて。下駄箱の段数もできれば知りたい。」
「はい。1年A組<黒野 由奈>(くろの ゆな)です。えーと、二段目だったと思います。」
白髪なのに黒野なんだ、と思った。
「了解。すぐ持ってくるから待ってて」
「ありがとうございます。」
ペコリとお辞儀をした。
俺は職員室の角を曲がり下に行ったと見せかけて手を前に掲げた。するとさっきの輪と同じものが出現した。
輪の先は玄関だった。
「A組の黒野 由奈と、・・・お、あった。」
俺は下駄箱を開けた。中から手紙が流れ出てきた。
「なんだこれ?、、これは。」
手紙の一枚を拾ってみると中央にハートのマークがあった。
「いわゆるラブレターって言う奴か、しかもこんなにも。」
俺は流れ出てきた手紙(ラブレター)をかき集め上履きと一緒に持っていった。
輪の外に出る。
目の前に黒野がいた、
「すごいです!これで私を案内してくれたのですね!」
目を輝かせて見てくる。
「あ、いやその、」
バレてしまった、俺の能力が。
靴を渡した。
「靴ありがとうございます」
ペコリとお辞儀をした。早速履き替えた。
あらたに下足が邪魔になる事になった。
「ごめん、下足置いて来ること忘れてた。」
「いえいえ、そこまで気遣いしなくても大丈夫ですよ。」
黒野さんは親指を突き上げグッジョブサインをした。
自分は上履きは持ってきてないため仕方なく下足のままでいた。
「それより先の輪が気になります!」
彼女は目をキラキラさせていた。
「えーと、その事なんだが、」
話を変えなければ、何かいい方法はないか。
その時左手に手紙を持っている事を思いだし。
「そ、そうだ、黒野さんの下駄箱の中にこれが入ってたのだけど、」
ラブレターを見せると彼女は顔を赤くした。
「それは、その、」
効果適面。
「分かってるよ。手紙でしょ。黒野さんって有名な人なんだね。」
彼女は恥ずかしそうに受け取り、すぐに内ポケットに入れた。
「それじゃもう行くね」
俺は輪の中に入ろうとした、
「はい、ありがとうございました。」
ペコリとお辞儀をした。
「能力の事は黙っておいてね。」
それだけ言うって輪の中に入った。
「優しい人だったな、名前聞いてなかった。」
そう思っていたが、黒野は用事を思いだし職員室に向かった。
そして集は後から思った、普通に歩いて行けば早かったのでは?と。
夜。
少女が竹刀を振るっていた。
相手はその少女の師であった。そして父でもあった。
「そんな振りじゃまだまだあまいぞ!」
少女に肩に一撃が入る。
「く、もう、だめです、」
「まだまだ足りぬぞ!」
師は次々と少女に竹刀を振りおろす。
少女は必死に耐えた。
それが入学前日の灯野 朱未(とうの あけみ)の夜だった。
構成中